JPH0687694U - 両吸込型遠心流体機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安定したポンプ特性を得ることを目的とす
る。 【構成】 複数の羽根により左右の側面から周面に至る
複数の流路が形成された両吸込型の羽根車を備えた両吸
込型遠心流体機械における複数の流路を左右に分離する
隔壁を設けずに流路を左右の流れが互いに合流する形状
にして入口から出口に至る流路幅が略等しく形成される
ように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、両吸込型遠心ポンプなどの両吸込型遠心流体機械に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３および図４は揚水、送水などに使用されている従来の両吸込型遠心ポンプ における羽根車の説明図である。図において、両吸込型遠心ポンプにおける羽根 車１内は中央の隔壁５により分割され、羽根２により左右の流路が形成されてい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の両吸込型遠心ポンプにおいて、一般に両吸込型遠心ポンプ を低流量で運転すると、図３に示すように羽根車１左右の流路内における流れは 主流３の他に二次流れ４を生じる。特に、比速度が小さいポンプではこの二次流 れ４による主流３の速度損失が大きく、図４に示すようにＱ−Ｈ特性がフラット 又は右上りdH/dQ ≧０の傾向を示し、ポンプ特性としては不安定で好ましくない 。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る両吸込型遠心流体機械は上記課題の解決を目的にしており、複数 の羽根により左右の側面から周面に至る複数の流路が形成された両吸込型の羽根 車を備えた両吸込型遠心流体機械において、上記複数の流路を左右に分離する隔 壁を設けずに上記流路を左右の流れが互いに合流する形状にして入口から出口に 至る上記流路幅を略等しく形成した構成を特徴とする。

【０００５】

【作用】

即ち、本考案に係る両吸込型遠心流体機械においては、複数の羽根により左右 の側面から周面に至る複数の流路が形成された両吸込型の羽根車を備えた両吸込 型遠心流体機械における複数の流路を左右に分離する隔壁を設けずに流路を左右 の流れが互いに合流する形状にして入口から出口に至る流路幅が略等しく形成さ れており、両吸込型遠心流体機械の低流量域で大きな速度損失を発生する羽根車 左右の流路内における二次流れは主に羽根車の入口から出口に至る流路において 流れの過度の減速によって生じるが、流路を左右に分離する隔壁を廃して羽根車 入口から出口に至る流路幅を略等しくしたことにより流路内における流れが過度 に減速することなく等速に近くなって低流量域においても羽根車の流路内におけ る流れに大きな二次流れが発生しない。

【０００６】

【実施例】

図１および図２は本考案の一実施例に係る両吸込型遠心ポンプの説明図である 。図において、本実施例に係る両吸込型遠心ポンプは揚水、送水などに使用され るもので、一般に両吸込型遠心ポンプを低流量で運転した場合に大きな速度損失 を発生する羽根車１左右の流路内における二次流れは、主に羽根車１の入口から 出口に至る流路における主流の過度の減速によって生じるが、この二次流れを防 ぐためには羽根車１入口の流路幅Ｂ₁ から出口の流路幅Ｂ₂ へ至るまでの変化を あまり大きくせず大きな断面積を増減をさせない形状とし、羽根車１左右の流路 内における流れの過度の減速を抑えることが望ましい。このような考えで羽根車 １の形状を決めると図１（ａ）に示すような羽根車１になるが、この場合は羽根 ２の厚さが羽根車１出口側で非常に厚くなり、新たな速度損失を発生する可能性 がある。このため、本両吸込型遠心ポンプにおいては同図（ｂ），（ｃ）に示す ようにこの羽根２の肉厚が増加する部分を反対側の流路として互いに利用するよ うに左右両側の流路を一方の溝の部分が他方の山の部分となるように形成すると ともに、羽根車１の入口から出口に至るまでの流路幅Ｂ₁ 〜Ｂ₂ が略等しくなる ように、従来の両吸込型遠心ポンプにおいて羽根車１内を左右に分割している中 央の隔壁をなくし、羽根２の厚みの一部を反対側の流路の一部として互いに利用 する構造になっている。従って、左右それぞれの流路１ａ，１ｂ内における流れ は流出速度Ｗ₂ で羽根車１出口から矢印で示すように流出するようになっている 。

【０００７】 羽根車１をこのような構造にして羽根車１入口における流路幅Ｂ₁ と出口にお ける流路幅Ｂ₂ とを略同じ大きさに制作することすることにより、羽根車１にお ける左右の流路１ａ，１ｂ内の流れが過度の減速にならず、速度損失の原因の一 つである二次流れの発生が大幅に抑制される。これにより、図２に示すように特 に低流量域において二次流れによる速度損失が減少するので、Ｑ−Ｈ特性の右下 りdH/dQ ≦０の傾向が強まる。また、左右の流路１ａ，１ｂの羽根２の枚数を従 来の両吸込型遠心ポンプにおける枚数の半分に減少させることができるので、羽 根車１入口の流路面積を大きくすることができ、これによりキャビテーションに よる弊害を受け難くなって左右の流路１ａ，１ｂ内における流れの速度損失がさ らに減少する。これらにより、ポンプ効率およびキャビテーション性能が良く、 安定したＱ−Ｈ特性を有する両吸込型遠心ポンプを得ることができる。なお、次 式で定義される比速度ｎ_S が、ｎ_S ≒３５乃至ｎ_S ＜３５の範囲にある両吸込型 遠心ポンプにおいて特に効果が大きい。

【０００８】 ｎ_S ＝ｎ・Ｑ^1/2 ／Ｈ^3/4 ただし、ｎ_S は比速度、ｎは回転数(rpm）、Ｑは流量(m³/s)、Ｈは揚程(m) であ る。

【０００９】 一般に、従来の両吸込型遠心ポンプを低流量で運転すると、羽根車１左右の流 路内における流れは主流の他に二次流れを生じる。特に、比速度が小さいポンプ ではこの二次流れによる主流の速度損失が大きく、Ｑ−Ｈ特性がフラットまたは 右上りdH/dQ ≧０の傾向を示し、ポンプ特性としては不安定で好ましくないが、 本両吸込型遠心ポンプにおいては羽根車１入口から出口における流路幅Ｂ₁ 、Ｂ ₂ が略等しく、このために流路内における流れが等速に近い流れとなることによ り低流量域においても大きな二次流れが発生しない。また、羽根車１左右の流路 １ａ，１ｂの一部として羽根２の肉厚が増加する部分を利用することにより、速 度損失も少ない。また、羽根２の枚数が従来の両吸込型遠心ポンプにおける枚数 の半分になることにより、羽根車１入口における流路の面積を大きくすることが できてキャビテーション特性が向上するなど、ポンプ性能を低下させることなく 安定したポンプ特性を得ることができる。

【００１０】

【考案の効果】

本考案に係る両吸込型遠心流体機械は前記のように構成されており、低流量域 においても羽根車の流路内における流れに大きな二次流れが発生しないので、安 定したポンプ特性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）は本考案の一実施例に係る両吸込型
遠心ポンプの羽根車の正面図、同図（ｂ）は断面図、同
図（ｃ）はその羽根車における左右の流路を重ね合わせ
た断面図である。

【図２】図２はその作用説明図である。

【図３】図３（ａ），（ｂ）は従来の両吸込型遠心ポン
プの羽根車の断面図である。

【図４】図４はその作用説明図である。

【符号の説明】

１ 羽根車 １ａ 流路 １ｂ 流路 ２ 羽根

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の羽根により左右の側面から周面に
   至る複数の流路が形成された両吸込型の羽根車を備えた
   両吸込型遠心流体機械において、上記複数の流路を左右
   に分離する隔壁を設けずに上記流路を左右の流れが互い
   に合流する形状にして入口から出口に至る上記流路幅を
   略等しく形成したことを特徴とする両吸込型遠心流体機
   械。