JPS6344960B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は回転軸に対して垂直方向に吸込口を有
する流体機械の吸込ケーシング流路形状の改良に
関する。

〔従来の技術〕

従来、多段流体機械あるいは両吸込流体機械で
は小形で、かつ高速回転を達成する目的すら羽根
車上流に軸受部を設けることが多い。この場合に
は吸込ケーシングはその吸込口を回転軸と直交し
て設ける必要が生ずる。即ち第１０図、第１１図
に示す多段ポンプ吸込ケーシングを例にとつて説
明すると、ポンプは吸込ケーシング１、その一部
を構成する側壁１′、複数組の羽根車３、案内羽
根５、水返し羽根６、及び吐き出しケーシング
（図示せず）と、吸込ケーシング１と吐き出しケ
ーシングを貫通する回転軸４とで構成され、回転
軸４は各ケーシング端に設けられた軸受（図示せ
ず）で支えられている。符号１″は側壁１′のコー
ナ部である。また符号３１はボス、３２は前縁部
でいずれも羽根車３を構成する。このような構造
では、吸込ケーシング１は回転軸４に垂直方向に
吸込口を設け、その吸込流路２は羽根車３の直前
で90度流れの向きを変えて軸方向流入させる必要
がある。従つて、羽根車３の入口において吸込口
に遠い断面Ｄに流入する流れは、吸込口からの距
離が長いだけでなく回転軸４をまわりこんで羽根
車３に流入するために、断面Ａに流入する流れと
比較すると流動抵抗のため流速は遅くなり、流れ
の周方向の均一性は著しく悪い。また、断面Ｂ，
Ｃにおいては第１１図に示す如く流れは急激に向
きを変えて軸方向には流入できないため、断面Ｂ
では回転方向と逆方向の、また断面Ｃでは回転方
向の旋回流れ成分を有する。尚、７はバツフルで
ある。

このように、羽根車直前で子午面速度成分、お
よび周方向速度成分が周方向に著しく分布する場
合、羽根車１への流れは第１２図〜第１５図に示
す如く、各速度成分が周方向に均一であると仮定
して形成した羽根９に適合した流れ（第１２図〜
第１５図に破線で示す）とはならない。ここで
v_nは絶対流速の子午面速度成分、v_uは絶対流速の
周方向速度成分、ｖは周速度、ｗは相対流速、β
は相対流れ角、Δβは抑角であり、添字ａ〜ｄは
それぞれ断面Ａ〜Ｄでの状態を示す。この流れの
不均一性は第１０図の吸込ケーシング流路幅Ｌが
短かいほど著しく、軸方向長さ短縮の障害となつ
ている。

流れの周方向の不均一は羽根車効率を低下させ
るだけでなく、迎角の増大による吸込性能の低
下、あるいは失速、逆流等を生じて低流量域特性
を著しく悪化させるため、第１０図、第１１図に
示す吸込ケーシング形状は比較的上流流れの影響
を受けにくい多段ポンプ、あるいは低比速度ポン
プに用いられる。一方、両吸込ポンプ等では第１
６図に示す如く吸込口を回転軸と偏心させ、渦巻
状に吸込流路２を形成して流れに一方向の旋回成
分を強制的に与えて周方向の均一性を良くする強
制渦形流路を用いることが多い。しかし、強制渦
形流路においても羽根車入口に流入する各周方向
位置毎の流れの、吸込口からの流線長さの違い及
び回転軸の影響度の違いは生ずる為、これらの影
響を少なくするためには過大な予旋回を必要とす
る。ところが、予旋回が過大となると羽根車３入
口における流速及び周方向速度成分が増すため、
キヤビテーシヨン性能や全揚程が低下する。この
ような過大な旋回流れを防止するために、吸込ケ
ーシング１の巻終り端には予旋回量を適度に調整
するバツフル７が設けられている。上記バツフル
７は旋回流れをせきとめる機能を有するため、バ
ツフる７のＥ面とＦ面との間には圧力差を生ず
る。通常Ｅ面の圧力はＦ面よりも高くなるため、
第１７図のバツフル付近の拡大図に示すごとくバ
ツフル７の背後には圧力の高いＥ面からの流れが
圧力の低いＦ面側にまわりこむ。この流れはＦ面
側の主流と干渉して渦流れ９を生じ、局所的な低
圧部を伴つて羽根車３へ流入してポンプに振動、
騒音及び強いキヤビテーシヨンの発生をもたらす
弊害があつた。

このようなバツフル付近の流れの悪化を防止す
るため、特開昭４−108903号公報に開示されるよ
うに、バツフル上流路の流路形状を３次元的に捩
る形状として、周方向流れを半径方向だけでなく
軸方向にも滑らかに転向できるような構造とした
り、特開昭51−142101号公報に記載の如くバツフ
ルとほぼ同一形状の案内羽根を吸込口側流路全周
に放射状に複数配列し、バツフル部の悪影響を周
方向に一様化しようとする構成のものがある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし上記従来技術は、流れの周方向の不均一
性の原因となる、吸込口から羽根車入口までの流
動抵抗の周方向各位置毎の違いや、回転軸の悪影
響の周方向各位置毎の違いについては考慮されて
はおらず、流路全周にわたる流れの均一化の効果
は十分ではなかつた。

本発明の目的は、羽根車に流入する流れを全周
にわたつて一様かつ乱れの少ない流れとすること
にある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的は、吸込流路の羽根車側壁の羽根車目
玉径部に近接する内径部壁面を吸込流路内側に突
出させ、この突出部壁面高さを吸込口側で最大バ
ツフル部で最小とし、この間の突出部壁面高さを
徐々に変化するように吸込流路形状を形成するこ
とにより、達成される。

すなわち本発明は、羽根車を回転せしめる回転
軸に対して垂直方向に形成した吸込口及びこれに
続く吸込口側流路と、該吸込口側流路からの流れ
を曲げて前記回転軸に沿つて前記羽根車に流入さ
せる軸沿いの流路とを備え、前記羽根車側と前記
吸込口側流路とを該軸沿いの流路を除いて側壁に
て仕切り、更に前記吸込口側流路の途中に流れを
周方向に仕切るバツフルを形成してなる吸込ケー
シングにおいて、前記吸込口側流路に面して前記
側壁の前記軸沿い流路側円周状のコーナ部を該吸
込口側流路方向に突出させ、前記側壁における前
記吸込口側流路の形成面から前記突出にて形成さ
れた円環状突出部先端までの突出部高さを、前記
吸込口に最も近い位置で最大とし、以下流れ方向
に向つて徐々に高さを減じて前記吸込口から最も
離れた位置で最小とするよう形成することを特徴
とする。

〔作用〕

吸込流路内側に突出した壁面は、羽根車入口直
前の吸込流路幅を調整している。この突出壁高さ
は吸込口からバツフルまで流れ方向に向つて徐々
に高さを減ずるように構成しているため、羽根車
入口直前で流れが軸方向に転向する際の抵抗は、
吸込口部で最大、バツフル部が最小となる。従つ
て吸込口から羽根車入口直前の突出壁部までの流
動抵抗を含めた全流動抵抗を、全周にわたつて一
様化することができる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を第１図〜第９図を用い
て説明する。第１図は本発明の第１実施例に係る
両吸込うず巻ポンプにおける吸込流路を説明する
断面正面図、第２図は第１図の−線に沿う断
面図である。

吸込ケーシング１は吸込口２とこれに連なる吸
込口側流路２１を有し、該流路２１はうず巻状に
形成されケーシング１の一部たるバツフル７に至
つている。符号４は回転軸であり、回転軸４の周
囲に見える符号３１は羽根車３の先端を構成する
ボス面である。羽根車３はボス３の他、前縁部３
２やシユラウド３３等を含んでいる。この吸込側
流路２１から回転軸４に沿つて流れが曲がり側壁
１′（第２図。尚ケーシング１の一部分である。）
の内側及び／またはシユラウド３３の内側に向け
て形成される軸沿い流路４７となつて羽根車３に
至る。この曲がり角即ちコーナ部は本発明におけ
る特徴的構成要素たる突出部８を形成している。
突出部８は側壁１′のコーナ部円周上に形成され、
即ち円環状を呈する。符号８ａ，８ｂは夫々便宜
上付した突出部８の断面部分である。

このように吸込ケーシング１の羽根車側側壁
１′面の羽根車目玉部付近には、吸込口側流路２
１側へ突出した円環状突出部８（断面図では例え
ば８ａ，８ｂ）が設けられており、この側壁は羽
根車３直前の吸込流路幅Ｌを調整している。この
側壁高さは吸込口に最も近いバツフル７背面Ｆで
最大であり、以下流れ方向（Ｆ→Ａ→Ｂ→Ｅ）に
向つて徐々に高さを減じて吸込口側流路２１の巻
終り端のバツフル７腹面Ｅで最小となる。本実施
例は上記のように構成されている為、吸込口に最
も近く流れが流入し易い断面Ｆ，Ａ付近では突出
部８ａが流れに対する抵抗となつて流入が妨げら
れ、一方、吸込口側流路２１の巻終り端に近い断
面Ｂ，Ｅでは相対的に抵抗が少ないため流入し易
くなる。従つて過度の予旋回をつけることなく羽
根車３直前の流れの均一化を達成することがで
き、過度の予旋回による性能の低下、或いはこの
予旋回をバツフル７で無理に抑制することによる
乱れた渦流れを生ずることはない。この結果、第
１図に示すようにバツフル７の周方向位置をずら
しボリユート巻角θを小さくしても、第１６図に
示す巻角の大きい従来の吸込口側流路と同等の一
様流れを得ることができ、ボリユート高さ縮少に
よる吸込口側流路の小形化を達成することも可能
である。

本発明の第２実施例を第３図〜第９図に従つて
説明する。

本実施例は第１０図、第１１図に示すタイプの
多段ポンプの吸込口側流路に本発明を適用したも
のであり、第３図は従来の第１１図に対応する断
面図、第４図は第３図の−線に沿う断面図、
第５図は同じく−線に沿う断面図、第６図〜
第９図はそれぞれ第３図に表わされた流路断面Ａ
〜Ｄにおける流れを説明する図である。

本実施例では吸込口側流路２１を通る流れは羽
根車目玉部の両側を回転軸４をまわり込みながら
羽根車３へ流路するため、周方向流れのよどみ点
は断面Ｄ付近となる。本実施例に示すような左右
対称形の吸込口側流路では、このよどみ点は左右
に変動して流れが不安定となるため、第３図に示
すように通常は流れを安定化させるため断面Ｄ付
近にバツフル７を配置する。第４図の断面図で断
面Ａが上方、Ｄが下方に位置しており、円環状突
出部８の内、吸込口２に最も近い位置は８ａであ
り、最も遠い位置は８ｄであつて、本例では８ｄ
の高さｈはゼロである。従つて、突出側壁はそれ
ぞれＡ→Ｂ→Ｄ、及びＡ→Ｃ→Ｄ断面へと高さｈ
を減らすように構成すれば、前記両吸込渦巻ポン
プの吸込口側流路２１内の流れと同じ効果により
流れの周方向の均一化を図ることが可能である。
更に、本実施例における吸込口側流路２１の場
合、断面Ｂと断面Ｃにおける突出部８ｂ，８ｃの
高さｈを第５図の如く変えることにより流れの予
旋回成分が左右で異なることによる悪影響を緩和
することも可能である。即ち第３図に示すごと
く、断面Ｂでは流れは羽根車３の回転とは逆方向
の旋回速度成分をもつて流入し、逆に断面Ｃでは
羽根車３の回転と同方向の逆回速度成分で流入す
る。この場合、第５図に示す如く断面Ｃ側の突出
部８ｃを断面Ｂ側の突出部８ｂより高くして吸込
口側流路２１を絞ることにより、羽根車３直前の
子午面速度成分は断面Ｃ側で小さくすることが可
能である。この結果第７図、第８図の速度三角形
にみられるように羽根車の相対速度は断面Ｂ，Ｃ
で異なるが、羽根車３の相対流れ角βb，βcはほ
ぼ等しく調整することが可能であり、低流量域の
不安定特性あるいはキヤビテーシヨンエロージヨ
ン等、羽根の失速に起因する悪影響をきらう流体
機械ではその作動範囲を広げることが可能とな
る。

なお、第１、第２各実施例はポンプを用いて説
明したが、本発明は作動流体は水に限定すること
なく圧縮機等の吸込流路に対しても有効であるこ
とは言うまでもない。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明の吸込ケーシング
によれば吸込流路壁の一部を吸込口側流路方向へ
突出し、この突出高さを周方向に変えることによ
り、羽根車直前で流れが軸方向に転向する際の抵
抗を周方向に変化させることができるため、吸込
口から羽根車入口までの全流動抵抗を周方向に一
様化でき、過度の予旋回を与えることなく小形の
吸込口側流路で一様流れを得ることができ、さら
に目的に応じて羽根車相対流れ角の一様化を達成
することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る両吸込渦巻ポ
ンプの吸込口側流路を説明する吸込ケーシング断
面図、第２図は第１図の−線に沿う断面図、
第３図は本発明の他の実施例に係る多段ポンプの
吸込口側流路を説明する吸込ケーシング断面図、
第４図は第３図の−線に沿う断面図、第５図
は第３図の−線に沿う断面図、第６図は第３
図の断面Ａにおける相対流れを説明する速度三角
図、第７図は第３図の断面Ｂにおける相対流れを
説明する速度三角図、第８図は第３図の断面Ｃに
おける相対流れを説明する速度三角図、第９図は
第３図の断面Ｄにおける相対流れを説明する速度
三角図、第１０図は従来の多段ポンプにおける吸
込口側流路を説明する断面図、第１１図は第１０
図の吸込ケーシング付近の正面断面図、第１２図
は第１１図の断面Ａにおける相対流れを説明する
速度三角図、第１３図は第１１図の断面Ｂにおけ
る相対流れを説明する速度三角図、第１４図は第
１１図の断面Ｃにおける相対流れを説明する速度
三角図、第１５図は第１１図の断面Ｄにおける相
対流れを説明する速度三角図、第１６図は従来の
両吸込渦巻ポンプの吸込口側流路を説明する断面
図、第１７図は第１６図のバツフル付近の拡大断
面図である。 １……吸込ケーシング、１′……側壁、１″……
コーナ部、２……吸込口、２１……吸込口側流
路、３……羽根車、３１……ボス、３２……前縁
部、３３……シユラウド、４……回転、４１……
軸沿い流路、５……案内羽根、５……水返し羽
根、７……バツフル、８，８ａ，８ｂ，８ｃ……
突出部、８ｄ……突出高さゼロ部分、９……渦流
れ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 羽根車を回転せしめる回転軸に対して垂直方
   向に形成した吸込口及びこれに続く吸込口側流路
   と、該吸込口側流路からの流れを曲げて前記回転
   軸に沿つて前記羽根車に流入させる軸沿いの流路
   とを備え、前記羽根車側と前記吸込口側流路とを
   該軸沿いの流路を除いて側壁にて仕切り、更に前
   記吸込口側流路の途中に流れを周方向に仕切るバ
   ツフルを形成してなる吸込ケーシングにおいて、
   前記吸込口側流路に面して前記側壁の前記軸沿い
   流路側円周状のコーナ部を該吸込口側流路方向に
   突出させ、前記側壁における前記吸込口側流路の
   形成面から前記突出にて形成された円環状突出部
   先端までの突出部高さを、前記吸込口に最も近い
   位置で最大とし、以下流れ方向に向つて徐々に高
   さを減じて前記吸込口から最も離れた位置で最小
   とするよう形成することを特徴とする吸込ケーシ
   ング。