JPH11135327A - 薄膜インダクタ - Google Patents

薄膜インダクタ

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JPH11135327A
JPH11135327A JP9300334A JP30033497A JPH11135327A JP H11135327 A JPH11135327 A JP H11135327A JP 9300334 A JP9300334 A JP 9300334A JP 30033497 A JP30033497 A JP 30033497A JP H11135327 A JPH11135327 A JP H11135327A
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JP
Japan
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thin
copper
magnetic
film inductor
spiral coil
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Withdrawn
Application number
JP9300334A
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English (en)
Inventor
Hidekuni Sugawara
英州 菅原
Masanori Kumagai
政則 熊谷
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Tokin Corp
Original Assignee
Tokin Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 局部での磁束集中による損失の発生,及び高
周波数帯域の特定の範囲での交流損失の増加を回避でき
る薄膜インダクタを提供すること。 【解決手段】 このスパイラル型薄膜インダクタは、ガ
ラス基板1上において外鉄型磁心を有すると共に、メッ
キ法により銅メッキで形成した改良構造の銅メッキスパ
イラルコイル3´を磁気的に等方な複合磁気異方性膜2
に組み合わせて成る。銅メッキスパイラルコイル3´
は、交流損失を減らすために局部に位置されて基体を成
す統合基体部3aから2分割された分割部3bを有し、
統合基体部3aが分割部3bを1周毎に統合し、且つ中
心から外周へ向いた一半径方向に揃って設けられてい
る。銅メッキスパイラルコイル3´自体は、最外周に位
置される最外周部及び最内周に位置される最内周部を統
合基体部3a及び分割部3bによらない通常の巻線形と
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてハイパワ
ー用電源に使用されるDC/DCコンバータ及びAC/
DCコンバータ等に適用されると共に、数MHzの高周
波数帯域で高Q値を示す薄膜インダクタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の薄膜インダクタは、基板
の厚みを除いた素子の全体の厚みが100μm前後と薄
いため、今後に予測される半導体に一体化されるMCM
(Multi Chip Module),MMIC
(Microwave Multi Integrat
ed Circuit)等の電源の分散化に伴う小型
化,小パワー化,高効率化が要求される超小型電源への
採用が検討されている。因みに、こうした超小型電源
は、例えば携帯情報機器,パソコン,センサー電源等へ
の応用が可能である。
【0003】こうした薄膜インダクタ素子を製造する場
合、磁性薄膜形成のために例えばAr等による金属ター
ゲット及び絶縁性ターゲットからの酸素雰囲気中におけ
るスパッタリング法と、銅コイル形成のための化学メッ
キ法とが導入されている。その他に必要とされる微細パ
ターン形成では、フォトマスクを用いた露光によって数
μmのレジストパターンの形成後、磁性層や導体層を成
膜し、その後にリフトオフ法を用いてパターン加工する
工程を有するため、半導体製造技術とほぼ同じ技術が採
用されている。
【0004】一般にハイパワー用薄膜インダクタでは、
主に数mmのフェライト巻き線コイル及びフェライトチ
ップが使われており、電気回路部分の駆動周波数が1〜
5MHzと高周波化による周辺回路の小型化が進展して
いるにも拘らず、その反面、充分なインダクタンスが得
られないこと,効率が悪くて発熱が大きくなってしまう
こと等の理由により形状を小さくできないため、回路自
体の厚みが薄くならずに小型化できないが、特に将来的
に予測される電源の分散化に伴う超小型電源に採用する
場合、小型化薄型化が是非とも必要である上、超小型電
源の発展傾向としてインダクタやキャパシタを薄型フリ
ップチップ化してカードの中に挿入する形態も考えられ
るため、素子厚みの薄型化が必須となっている。
【0005】そこで、薄膜インダクタは、フェライト巻
き線コイル及びフェライトチップから薄膜素子に移行す
る必然性があり、こうした素子の厚みが薄いものは電源
の小型化薄型化には最適であり、しかも金属材料を使っ
ての薄い構造であるため、放熱性に優れるという長所も
ある。
【0006】しかしながら、薄膜素子による薄膜インダ
クタの場合、磁性体の構成やインダクタの形状に制約が
あるため、インダクタンス値が小さかったり、或いは効
率が悪いという問題がある。
【0007】薄膜インダクタに使用される磁性体は、例
えばスパイラルコイルを用いた構成のもの(スパイラル
型薄膜インダクタ)の場合、これまでには一方向に磁気
異方性方向を有する一軸磁気異方性膜も使われていた
が、この一軸磁気異方性膜は厚くすると反磁界により透
磁率が低下したり、或いは熱処理により異方性分散を大
きくして等方的にするとインダクタンスは増加するもの
の、損失も同時に増加して効率が低下してしまうという
問題がある他、コイルの作製には主にスパッタリング法
を採用しているため、10μm以上の膜厚に作製するこ
とが困難となって直流抵抗を低減できないという問題が
ある。
【0008】これに対し、高周波数帯域での特性改善を
目的として軟磁性層及び絶縁層を多層構造にし、一方向
に磁気異方性方向を有する一軸磁気異方性層(軟磁性
層)を互いに磁気異方性方向が異なるように絶縁層と交
互に積層して複合化した構成の磁気的に等方な複合磁気
異方性膜は、絶縁層を介した磁性層毎に一軸磁気異方性
方向を45度回転シフトさせて成膜するため、4n(但
し、nは自然数とする)層構造では成膜のみ(As−m
ade)でも磁気的に等方な性質が得られ、更に異方性
方向が磁性層毎に異なることにより反磁界の影響が少な
く、透磁率が低下しないという特徴がある。それ故、複
合磁気異方性膜はスパイラル型薄膜インダクタには非常
に適していると考えられており、今後の開発が期待され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した磁性体に複合
磁気異方性膜を用いたスパイラル型薄膜インダクタの場
合、複合磁気異方性膜を厚くしても透磁率が低下しない
ために大きなインダクタンスが得られ、しかもメッキ法
を用いることにより厚いCu導体を作製できて直流抵抗
を低減できるという長所があるが、高周波数帯域の特定
の範囲(5MHz〜10MHz)において交流抵抗が急
激に増加(交流損失が増加)してしまうという問題があ
る他、外周コイルと内周コイルの中間付近に磁束が集中
してしまうという問題がある。
【0010】こうした原因は、使用する複合磁気異方性
膜とコイル形状との構成にあると考えられる。即ち、使
用する磁性体は外鉄型磁心であり、高周波数帯での特性
改善を目的として軟磁性層と絶縁層とを幾重にも積層し
た多層構造にし、一軸磁気異方性方向を磁性層毎に45
度シフトした磁気的に等方な複合磁気異方性膜である
が、それに組み合わされるスパイラルコイルの形状がこ
れまでに十分に検討されておらず、例えば構成的には渦
電流損失や磁束集中による損失が発生する場所の解析並
びに対策が行われていなかったことによる。
【0011】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、局部での磁束集中
による損失の発生を抑制できると共に、高周波数帯域の
特定の範囲での交流損失の増加を回避できる構造面及び
特性面で優れた薄膜インダクタを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、外鉄型
磁心を有すると共に、メッキ法により銅メッキで形成し
た銅メッキスパイラルコイルを磁気的に等方な複合磁気
異方性膜に組み合わせて成る薄膜インダクタにおいて、
銅メッキスパイラルコイルは、交流損失を減らすために
局部に位置されて基体を成す統合基体部から分割された
分割部を有して成る薄膜インダクタが得られる。
【0013】又、本発明によれば、上記薄膜インダクタ
において、統合基体部は、分割部を1周毎に統合して成
る薄膜インダクタが得られる。
【0014】更に、本発明によれば、上記何れかの薄膜
インダクタにおいて、統合基体部は、銅メッキスパイラ
ルコイルの中心から外周へ向いた一半径方向に揃って設
けられた薄膜インダクタが得られる。
【0015】加えて、本発明によれば、上記何れか一つ
の薄膜インダクタにおいて、銅メッキスパイラルコイル
は、最外周に位置される最外周部及び最内周に位置され
る最内周部を統合基体部及び分割部によらない通常の巻
線形として成る薄膜インダクタが得られる。
【0016】又、本発明によれば、上記何れか一つの薄
膜インダクタにおいて、複合磁気異方性膜は、一方向に
磁気異方性方向を有する軟磁性層を互いに磁気異方性方
向が異なるように絶縁層と交互に積層して複合化して成
ると共に、該軟磁性層の厚みを5μm以上とし、且つ該
絶縁層を含めた全体の厚みを10μm以上として成り、
銅メッキスパイラルコイルは、厚みを10μm以上とし
て成る薄膜インダクタが得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げ、本発明の薄
膜インダクタについて、図面を参照して詳細に説明す
る。
【0018】図1は、本発明の一実施例に係るスパイラ
ル型薄膜インダクタの基本構成を分解して簡易に示した
斜視図である。この薄膜インダクタは、ガラス基板1上
に磁気的に等方な複合磁気異方性膜2を成膜し、この複
合磁気異方性膜2上に図示されない絶縁層を介して化学
メッキ法によりメッキ銅で形成した銅メッキスパイラル
コイル3´を配置し、この銅メッキスパイラルコイル3
´上に図示されない絶縁層を介して別の複合磁気異方性
膜2を成膜し、更に別の複合磁気異方性膜2の中心を通
して銅メッキスパイラルコイル3´の中心における端部
と他端部が電極に接続されるアルミニウムボンディング
線4の一端部とを接続することにより、一対の複合磁気
異方性膜2間に銅メッキスパイラルコイル3´が組み合
わされ、且つ銅メッキスパイラルコイル3´の全体が複
合磁気異方性膜2の複数の磁性層によって覆われると共
に、外鉄磁心を有する構成となっている。但し、銅メッ
キスパイラルコイル3´は、後文で説明するように交流
損失を減らすため、局部に位置されて基体を成す統合基
体部から分割された分割部を有して成る改良構造のもの
が採用されている。
【0019】この薄膜インダクタの細部に関して、一対
の複合磁気異方性膜2は、図2に示されるように、厚さ
4μmの絶縁性基材2c上に一軸磁気異方性方向を示す
4つの磁性層2aと4つの絶縁層2bとを交互に積層し
た多層構造となっており、磁性層2aは互いに磁気異方
性方向が45度シフトされて異なるように配置されてい
る。又、4つの磁性層2aは、それぞれ厚さ20nmの
SiO2 層等の絶縁層2a´により1層当たりの厚さ
0.5μmのCoNbZr層等の磁性層が2分割されて
成っており、4つの絶縁層2bはそれぞれ厚さ300n
mSiO2 層等から成っている。ここで4つの磁性層2
aはそれぞれ一軸磁気異方性を保ったままであるが、膜
全体としては磁気的に等方な特性を示す。
【0020】因みに、実際の複合磁気異方性膜2におけ
る4n層構造は4層構造をn回繰り返して作製されるも
ので、例えばn=5回とすれば磁性層2a全体における
厚さの総和は(2μm×5=)10μm以上となる。
尚、絶縁性基板2cとして使用可能な材料としては、シ
リコン基板,低温焼成セラミックス等のセラミックス基
板,ガラスエポキシ等のプリント配線板,ポリイミド等
の樹脂絶縁基板等が挙げられる。
【0021】この複合磁気異方性膜2の場合、磁性層2
a及び絶縁層2bによる多層構造から成るため、層面内
で等方な磁気特性を示し、しかも面内方向に発生する磁
束成分による渦電流が抑制されるため、高周波帯域でも
良好な透磁率が得られるものとなる。
【0022】ところで、各磁性層2aの一軸磁気異方性
の付与は永久磁石を2ケ平行に並べて各磁性層2a毎に
磁束方向をシフトさせて成膜すれば良い。こうした方法
により、熱処理しないで層面内で磁気的に等方な透磁率
を有する軟磁性層を作製できる。尚、一軸磁気異方性の
付与の方法としては、ここでの平行磁石による磁界を基
板を中心にして回転させる方法の他、Arガス流方向に
対して基板を回転させて形状磁気異方性を形成させる方
法や、或いはこれらの方法を併用する方法等が挙げられ
る。
【0023】一方、銅メッキスパイラルコイル3´を得
るための化学メッキ法としては、基板上にメッキ用電極
及びコイルパターンを形成し、その上にレジスト壁を数
10μm塗布してから露光,現像した後、Cuメッキ層
を40μm形成するか、或いは基板にTi及びCuを薄
くスパッタリングし、その上にレジスト壁を数10μm
塗布してから露光,現像した後、Cuメッキ層を40μ
m形成し、更にイオンビームエッチングでコイル部以外
のCu,Tiを除去するようにすれば良い。こうした方
法によれば、厚さ40μm以上に及ぶ厚いCu層(銅メ
ッキ)を形成できるため、直流抵抗を低下させることが
できる。
【0024】即ち、この薄膜インダクタの場合、複合磁
気異方性膜2と銅メッキスパイラルコイル3´とを組み
合わせることにより、透磁率を低下させずに大きなイン
ダクタンス値で低直流抵抗な特性が得られて効率が改善
される上、一対の複合磁気異方性膜2の磁性層2aで銅
メッキスパイラルコイル3´の全体を覆って外部へ露出
させないために高周波ノイズの低減化も有効となる。
【0025】そこで、この薄膜インダクタについて、コ
イル導体内の高周波電流の流れ方、並びに渦電流及び磁
束密度分布状態の解析(電流の流れ方,磁束分布,及び
渦電流の流れの解析)を行った。こうした解析は交流損
失の低減化の具現のために必要な検討事項である。
【0026】具体的に云えば、5MHz帯域の電磁界解
析方法として、マクスウエル3Dフィールドシミュレー
タを使用してAC電流源により発生する磁場及び渦電流
を解析し、表皮及び近接効果を調べることにより、磁束
レベル,電流分布,及びインダクタンス、更には抵抗及
び損失を算出した。
【0027】図3は、改良構造でない通常の銅メッキス
パイラルコイル3の高周波電流の流れ方を説明するため
に模試的に示したものである。但し、ここで用いた銅メ
ッキスパイラルコイル3の仕様は、例えば使用ソフトの
処理能力の関係で巻回数(ターン数)を8ターンとし、
コイルを完全な円ではなく12角形のものとして銅メッ
キで形成した銅メッキ線を渦巻き状に巻回して設計して
いる。
【0028】図3からは、銅メッキスパイラルコイル3
の5MHzにおける100mA高周波電流の流れ方に関
して、出入り口が右にあり、時計方向に流れて中心部に
集まっている様子が判る。
【0029】図4は、改良構造でない銅メッキスパイラ
ルコイル3を用いた薄膜インダクタにおける渦電流の直
径方向の切片局部(X−line上の切片局部)におけ
る強度分布を示したものである。
【0030】ここでのX−line(μm)上の渦電流
を示す高周波電流JX (A/M2 )の流れに対する磁性
体表面の渦電流分布からは、図3中のY−line上直
径方向の渦電流値分布状態がコイル幅に沿って変化し、
磁性体全面を渦電流が覆っていないことが判り、計算結
果から渦電流は磁性体の損失に大きな悪影響を及ぼす程
度ではないことが判った。
【0031】図5は、改良構造でない銅メッキスパイラ
ルコイル3を用いた薄膜インダクタの磁束密度の直径方
向の切片局部(Y−line上の切片局部)における強
度分布を示したものである。
【0032】ここでのY−line(μm)上の磁束密
度BY (Tesla)の強度分布からは、銅メッキスパ
イラルコイル3の外周部及び内周部の中間付近で磁束が
集中していることが判る。
【0033】以上の結果により、薄膜インダクタに関し
て改良構造の通常の銅メッキスパイラルコイル3を用い
てその上下に磁性層2aを配した構成とした場合、磁束
がコイル中央に集中して漏れが少なく、磁束を有効に封
じ込めていることが判る。これは磁性材料が高周波でも
磁気的に等方な複合磁気異方性膜2の存在のために磁束
の方向に関係なく磁化が励磁されるからであり、複合磁
気異方性膜2を用いた成果と考えられる。従って、銅メ
ッキスパイラルコイル3の交流損失は磁束密度の集中す
る外周部及び内周部の中間付近で損失を低減することが
効果的であるので、損失低減の方法としてコイル導体幅
の分割を試みる構造に改良することが有効となる。尚、
コイル幅をi分割するとi2 に比例して交流損失が低減
する。
【0034】図6は、上述した図1に示す薄膜インダク
タの細部構成を拡大部分を含めて模試的に示したもので
ある。この薄膜インダクタは、ガラス基板1上において
外鉄型磁心を有すると共に、メッキ法により銅メッキで
形成した改良構造の銅メッキスパイラルコイル3´を磁
気的に等方な複合磁気異方性膜2に組み合わせて成って
いる。銅メッキスパイラルコイル3´は、交流損失を減
らすために局部に位置されて基体を成す統合基体部3a
から2分割された分割部3bを有し、統合基体部3aが
分割部3bを1周毎に統合し、且つ中心から外周へ向い
た一半径方向に揃って設けられている。
【0035】この薄膜インダクタの場合、銅メッキスパ
イラルコイル3´自体は、最外周に位置される最外周部
及び最内周に位置される最内周部を統合基体部3a及び
分割部3bによらない通常の巻線形としている。最内周
部は中心電極6に接続され、最外周部はガラス基板1上
の四隅の一つに配置された電極5に接続され、中心電極
6はアルミニウムボンディング線4によりガラス基板1
上の四隅の他の一つに配置された電極5に接続されてい
る。尚、ガラス基板1上の四隅の別な箇所には固定パッ
ド7が配置されている。
【0036】即ち、改良構造の銅メッキスパイラルコイ
ル3´における分割の方法は、コイル入り口となる電極
5付近の最外周部から中心電極12付近の最内周部まで
を全部分割するのではなく、最外周部及び最内周部を除
く他の部分を一周毎に2分割し、その分割部3bを統合
基体部3aの両側方向に向かって延びるように場所合わ
せを行っている。一周巻き毎に分割されたコイル合体構
造は、コイル位置による磁束密度の違いから生ずる電流
の遅延を平均化し、磁気損失を減らす効果が期待され
る。尚、最外周部及び最内周部を分割していないのは、
これらの場所では磁束密度が小さいく、損失が少ないの
で分割の必要がないからである。勿論、最外周部及び最
内周部を除く他の部分を3分割以上に多分割しても損失
低減化に効果的である。
【0037】こうした薄膜インダクタの場合、2枚の複
合磁気異方性膜2の分割と銅メッキスパイラルコイル3
´自体が分割された構造を持つことにより、高インダク
タンス,低直流抵抗,並びに交流損失の低減が可能とな
るため、基本性能の向上に極めて効果的である。更に、
2枚の複合磁気異方性膜2で銅メッキスパイラルコイル
3´の表面を覆って銅メッキスパイラルコイル3´が外
部に露出しないため、高周波ノイズの低減にも効果的で
ある。
【0038】ところで、図6に示す薄膜インダクタを作
製する場合、ガラス基板1上に成膜した複合磁気異方性
膜2の一方のものの上に図示されない絶縁層を敷き、こ
の上に銅メッキにより形成した銅メッキスパイラルコイ
ル3´を配置した後、この上に図示されない絶縁層及び
複合磁気異方性膜2の他方のものを成膜し、他方の複合
磁気異方性膜2の端部を取り出してアルミニウムボンデ
ィング線4により電極5に結線する。尚、銅メッキスパ
イラルコイル3´の最内周部に接続される中心電極6並
びにガラス基板1四隅の電極5及び固定パッド7は、予
め形成しておいても良いし、必要に応じて途中段階で形
成しても良い。ここでの電極5はSMD電極として半田
ランドになる。
【0039】表1は、薄膜インダクタ構造として各部の
仕様とその設計値とを例示したものである。
【0040】
【表1】
【0041】尚、表1において、銅メッキスパイラルコ
イル3´の分割数は2としている。一般にコイルの分割
数を増やすとライン/スペースのスペース分が増加し、
コイル全体を多分割にするのは素子面積を増やすだけで
効果的でないが、上述したように磁性体の損失が一番大
きい場所で多分割にすることには意味がある。又、組成
Co86Nb9 Zr5 の磁性層2aの磁気特性は、飽和磁
束密度Bsが1.05Teslaであり、飽和磁歪λs
は+0.5×10-6であり、膜単層の比抵抗ρが120
μΩcmとなっており、透磁率(μ′、μ″)に関して
はAs−made(成膜が終わった状態)と300℃R
FA(回転磁界中熱処理)とにおいて10mm角の試料
場合に1MHzでそれぞれ(600,5)と(180
0,80)となっている。
【0042】即ち、ここでの薄膜インダクタの全体の厚
みは、ガラス基板1の厚み0.5mmを除いた場合、磁
性層2aが上下合わせて20μmであり、絶縁層2b及
び絶縁性基材2cが上下合わせて40μmであり、銅メ
ッキスパイラルコイル3´の厚みが20μmであるの
で、これらの総和である100μmとなる。
【0043】図7は、表1に示した空心銅メッキスパイ
ラルコイル3´をシングル及びダブルで用いた場合のイ
ンタクタ特性として周波数f(MHz)に対するL(μ
H),R(Ω),Q特性の測定結果及び計算結果を示し
たものである。
【0044】ここでは、As−madeにおける空心銅
メッキスパイラルコイル3´のシングルの場合、インタ
クタンスLair 測定値は0.3μHであり、直流抵抗R
dcは0.95Ωであるが、これに対してダブルの場合、
インタクタンスLair 測定値はシングルの場合とほぼ同
じであるが、直流抵抗Rdcの方はシングルの場合と比べ
て低くなっていることが判る。一般に、交流抵抗は分割
数iの1/i2 に比例して低下するが、空心銅メッキス
パイラルコイル3´の交流損失は小さいため、10MH
z以下の範囲までは分割の効果が少なく、しかも直流抵
抗Rdcの低下やQ値の増加も少しである。
【0045】尚、ここでは抵抗Rair 計算値でμ=1と
しており、インタクタンスLair 測定値から交流損失を
計算することによってRair ,Qair の値を得ている。
【0046】図8は、表1に示した磁心銅メッキスパイ
ラルコイル3´(磁心を両面に配置した構成のもの)を
シングル及びダブルで用いた場合のインタクタ特性とし
て周波数f(MHz)に対するL(μH),R(Ω),
Q特性の測定結果及び計算結果を示したものである。
【0047】ここでは、As−madeにおける磁心銅
メッキスパイラルコイル3´のシングルの場合、インタ
クタンスLmag 測定値が1.8μHであり、Qmag 測定
値が1.5MHz付近で5.8であるが、これに対して
ダブルの場合、インタクタンスLmag 測定値はシングル
の場合とほぼ同じであるが、Qmag 測定値の方はシング
ルの場合と比べて1.5MHz付近で8程度に増加して
いることが判る。これはダブルの場合、導体コイルの分
割による導体回りの渦電流の分割化により交流損失が低
下し、1MHz以上の周波数帯域で交流損失の低減が顕
著となるためである。尚、ここではインダクタンスL
mag 計算値を磁心銅メッキスパイラルコイル3´による
インダクタンスL値及び空心銅メッキスパイラルコイル
3´のインダクタンスL値が所定値であるとし、これら
の双方を合せて数値を得ている。又、薄膜インダクタの
損失は直流抵抗Rdcと交流損失抵抗Rac(Rmag )に分
けられるため、交流損失抵抗Rmag の計算では直流抵抗
dcに空心銅メッキスパイラルコイル3´のインダクタ
ンスL値から起因する交流損失と磁心銅メッキスパイラ
ルコイル3´に起因する交流損失とを合わせて数値を得
ている。
【0048】以上の結果により、ダブルの場合、導体の
分割の効果として一層の交流損失の低減が確認でき、数
MHzの周波数帯域では空心の交流損失がシングルの場
合に比べて約4分の1に低減していること、並びに磁心
の交流損失がシングルの場合と比べて半分程度に低減し
ていることが判った。尚、磁心の交流損失の低減が4分
の1にならなかったのは磁性体の損失が大きいためと考
えられる。
【0049】何れにせよ、薄膜インダクタの全体の厚み
100μmのうちの半分程度の厚みを占める銅メッキス
パイラルコイル3´を分割構造とすることで、交流損失
の低減が可能となる。このような分割は銅メッキスパイ
ラルコイル3´の磁界分布の解析から磁束密度の大きい
コイル位置(ほぼ中心部)に対して主に行うことで、コ
イル寸法を小さく押さえることができる。
【0050】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明の薄膜インダ
クタによれば、複合磁気異方性膜と組み合わせられるメ
ッキ法で形成された銅メッキスパイラルコイルの構造を
改良し、磁束密度の大きいコイル位置に交流損失を減ら
すため、局部に位置されて基体を成す統合基体部から分
割された分割部を配置させているため、局部での磁束集
中による損失の発生,及び高周波数帯域の特定の範囲で
の交流損失の増加を回避できるようになり、結果として
5MHz〜10MHzの高周波帯の効率が改善され、小
型薄型で優れたインダクタ特性が得られると共に、交流
損失の低下を充分に計り得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るスパイラル型薄膜イン
ダクタの基本構成を分解して簡易に示した斜視図であ
る。
【図2】図1に示す薄膜インダクタに用いられる複合磁
気異方性膜の細部構成を拡大して示した斜視図である。
【図3】図1に示す薄膜インダクタに用いられる銅メッ
キスパイラルコイル(改良構造でない通常のもの)の高
周波電流の流れ方を説明するために模試的に示したもの
である。
【図4】図1に示す薄膜インダクタ(改良構造でない銅
メッキスパイラルコイルを含む)の渦電流の直径方向の
切片局部における強度分布を示したものである。
【図5】図1に示す薄膜インダクタ(改良構造でない銅
メッキスパイラルコイルを含む)の磁束密度の直径方向
の切片局部における強度分布を示したものである。
【図6】図1に示す薄膜インダクタ(改良構造の銅メッ
キスパイラルコイルを含む)の細部構成を拡大部分を含
めて模試的に示したものである。
【図7】図1に示す薄膜インダクタに用いられる空心銅
メッキスパイラルコイルをシングル及びダブルで用いた
場合のインタクタ特性として周波数に対するL,R,Q
特性の測定結果及び計算結果を示したものである。
【図8】図1に示す薄膜インダクタに用いられる磁心銅
メッキスパイラルコイルをシングル及びダブルで用いた
場合のインタクタ特性として周波数に対するL,R,Q
特性の測定結果及び計算結果を示したものである。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 複合磁気異方性膜 2a 軟磁性層 2a´,2b 絶縁層 3,3´ 銅メッキスパイラルコイル 3a 統合基体部 3b 分割部 4 アルミニウムボンディング線 5 電極 6 中心電極 7 固定パッド

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外鉄型磁心を有すると共に、メッキ法に
    より銅メッキで形成した銅メッキスパイラルコイルを磁
    気的に等方な複合磁気異方性膜に組み合わせて成る薄膜
    インダクタにおいて、前記銅メッキスパイラルコイル
    は、交流損失を減らすために局部に位置されて基体を成
    す統合基体部から分割された分割部を有して成ることを
    特徴とする薄膜インダクタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜インダクタにおい
    て、前記統合基体部は、前記分割部を1周毎に統合して
    成ることを特徴とする薄膜インダクタ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の薄膜インダクタに
    おいて、前記統合基体部は、前記銅メッキスパイラルコ
    イルの中心から外周へ向いた一半径方向に揃って設けら
    れたことを特徴とする薄膜インダクタ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか一つに記載の薄膜
    インダクタにおいて、前記銅メッキスパイラルコイル
    は、最外周に位置される最外周部及び最内周に位置され
    る最内周部を前記統合基体部及び前記分割部によらない
    通常の巻線形として成ることを特徴とする薄膜インダク
    タ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか一つに記載の薄膜
    インダクタにおいて、前記複合磁気異方性膜は、一方向
    に磁気異方性方向を有する軟磁性層を互いに磁気異方性
    方向が異なるように絶縁層と交互に積層して複合化して
    成ると共に、該軟磁性層の厚みを5μm以上とし、且つ
    該絶縁層を含めた全体の厚みを10μm以上として成
    り、前記銅メッキスパイラルコイルは、厚みを10μm
    以上として成ることを特徴とする薄膜インダクタ。
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