JP3373350B2 - 磁性部品およびその製法 - Google Patents

磁性部品およびその製法

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JP3373350B2 JP05265396A JP5265396A JP3373350B2 JP 3373350 B2 JP3373350 B2 JP 3373350B2 JP 05265396 A JP05265396 A JP 05265396A JP 5265396 A JP5265396 A JP 5265396A JP 3373350 B2 JP3373350 B2 JP 3373350B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜技術を使用し
た磁性部品およびその製法に係り、特にコンバータやス
イッチング電源等のパワー用として好適で、小形・薄形
に構成される磁性部品およびその製法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、比較的出力容量の小さい電源の革
新的な小形化を狙いとしてスパッタリングや蒸着法を用
いて製作する小形・薄形の薄膜トランスや薄膜インダク
タ等の薄膜磁性部品の提案がある(例えば、T.YACHI,M.
MINO,A.TAGO,and K.YANAGISAWA,PESC'91 RECORDS,pp.20
-26,1991. )
【0003】これらの薄膜磁性部品は、これまでのバル
クの磁性部品に比べて磁性薄膜断面積が非常に小さいた
め、高周波で使用する必要がある。そのため、高周波で
損失の少ない構造設計技術と高周波特性に優れ且つ損失
の少ない磁性材料技術が強く望まれていた。
【0004】そこで、磁性膜の高周波特性の改善・低損
失化を狙いとして、磁性膜層間にSiO2 などの非強磁
性絶縁膜を挿入し、磁性膜内の渦電流損失を低減する多
層磁性膜技術を用いた薄膜トランス、薄膜インダクタが
開発されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、これま
で、薄膜磁性部品においては、多層磁性膜技術などの材
料面から高周波特性、低損失化の改善がもっぱら行なわ
れてきたものの、構造面の改善は進められておらず、以
下のような問題が残されていた。
【0006】多層磁性膜は、磁束の流れが磁性膜の面内
方向になる磁化に対しては、磁性膜1枚当たりの断面積
が低減されるために優れた低損失特性と高周波特性を有
している。しかし、磁束の流れが磁性膜の厚さ方向とな
る磁化方向に対しては、断面積の広い平板と等価となる
ため、大きな渦電流が流れ、多層膜化の効果は得られな
かった。また、この磁性膜厚さ方向となる磁化方向に対
しては、磁性膜の相互間に挿入した層間絶縁膜により磁
気抵抗が増加してしまうため、磁束の漏れが増大し、近
傍にあるコイルの交流抵抗を増大させる欠点もあった。
【0007】図4は従来技術を用いて製作した閉磁路・
外鉄形の薄膜インダクタの構造を示す模試図で、(a)
は平面図、(b)は(a)のX−X’線における厚さ方
向を拡大した断面図である。図4において、1は上部多
層磁性膜、2は下部多層磁性膜、3はコイル、4は上部
多層磁性膜1と下部多層磁性膜2とをつなぐスルーホー
ル(ヴィアホール)部、5は基板、6a〜6cは絶縁
膜、8は多層磁性膜1、2からなる磁気回路、9はコイ
ル3の電極である。
【0008】図中のスルーホール部4においては、磁束
の流れが磁性膜1、2の厚さ方向となるため、大きな渦
電流が流れ、損失が発生する。加えて、多層磁性膜1、
2の磁性層間に存在する絶縁層のため、磁気抵抗が増大
するので、スルーホール近傍において磁束が多層磁性膜
1、2中を通らずに、多層磁性膜1、2の間のギャップ
を流れる漏れ磁束が発生する。
【0009】図5はこの漏れ磁束の様子を示す図であ
る。1aは上部多層磁性膜1中の磁性膜、1bは上部多
層磁性膜1中の絶縁膜である。また、2aは下部多層磁
性膜2中の磁性膜、2bは下部多層磁性膜2中の絶縁膜
である。7はスルーホール部4における渦電流並びに磁
気抵抗の増加により生じた漏れ磁束を模式的に表したも
のである。この漏れ磁束7は、スルーホール部4の近傍
のコイル3と錯交し、高周波におけるコイル抵抗を大き
く増加させるため、薄膜インダクタの損失が著しく増加
し、高周波化を妨げていた。
【0010】このように、従来の薄膜磁性部品において
は、実際の3次元構造を有するデバイス構造を考慮した
最適構造設計がとられておらず、高周波化並びに低損失
化が充分なものとはいえなかった。
【0011】本発明の目的は、高周波特性および低損失
特性を有する小形・薄形の磁性部品およびその製法を提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、上部多層
磁性膜と、下部多層磁性膜と、該両多層磁性膜で絶縁状
態で挟持されたコイルと、該コイルを前記両多層磁性膜
で囲むように前記両多層磁性膜をつなぐスルーホール部
とを具備する磁性部品において、前記両多層磁性膜を低
比抵抗・高透磁率系の磁性膜で構成し、且つ前記スルー
ホール部を高比抵抗系の磁性膜で構成した。
【0013】第2の発明は、前記第1の発明において、
前記両多層磁性膜の外側に高磁気飽和特性の別の多層磁
性膜を設けて構成した。
【0014】第3の発明は、第1又は2の発明のコイル
により発生する磁束の流れる方向と直交する方向に直流
磁界を印加しながら前記請求項1又は2の多層磁性膜お
よび前記スルーホール部の磁性膜を形成するように
た。
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]図1は本発明の第1の実施の形態
の薄膜インダクタを示す図で、(a)は平面図、(b)
は(a)のX−X’線断面図で、厚さ方向を拡大したも
のである。図1において、11は磁性膜と絶縁膜を交互
に積層した上部多層磁性膜、12も磁性膜と絶縁膜を交
互に積層した下部多層磁性膜、13はコイル、14は上
下の多層磁性膜11、12をつなぐスルーホール(ヴィ
アホール)部、15はシリコン基板、16a〜16cは
絶縁層である。17はスルーホール部14に形成した磁
性膜、18は磁気回路、19はコイル13の電極であ
る。
【0017】ここでは、上部多層磁性膜11−スルーホ
ール部14の磁性膜17−下部多層磁性膜12によりコ
イル13を囲む磁気回路18が形成されるが、この磁気
回路18を上部並びに下部の多層磁性膜11、12の部
分(要素1)と、スルーホール部磁性膜17(要素2)
の2つに分けている。
【0018】要素1においては、多層磁性膜11、12
中を流れる磁束が基板15と平行する面内方向であるた
め、比抵抗が小さいものの、保磁力が小さく透磁率が大
きいCo−Hf−Taなどの低比抵抗・高透磁率系の多
層磁性膜を、図1の()のY−Y’方向が容易磁化方
向となるように、磁気異方性を付与して成膜している。
このため、X−X’方向(コイル13により発生する磁
束の流れる方向)の磁化に対して回転磁化モードを用い
た低損失な磁化特性が実現される。
【0019】一方、スルーホール部14となる要素2に
おいては、磁束の流れが磁性膜の厚さ方向となることを
考慮し、比抵抗の大きなFe−Al−B−Oなどの高比
抵抗系磁性材料を使用しており、要素1と同様に成膜中
に図1の()のY−Y’方向又はX−X’方向が容易
磁化方向となるように、磁気異方性を付与している。こ
のため、厚さ方向の磁化に対して回転磁化モードを用い
た低損失な磁気特性が実現されるとともに、スルーホー
ル部14の磁気抵抗が低減されるため、漏れ磁束も減少
する。
【0020】なお、この第1の実施の形態では、要素1
の高透磁率磁性材料として、Co−Hf−Taを用いた
が、Co−Zr−Re、Co−Zr−Nb、Co−Zr
−Ta、Co−Hf−NbなどのCo系アモルファス磁
性材料、Fe−Co−Si−B、Fe−Si−Bなどの
鉄系アモルファス磁性材料、Fe−Ni(パーマロイ)
などを用いることができる。また、要素2の高比抵抗系
磁性材料として、Fe−Al−B−Oを用いたが、Fe
−B−O、Fe−B−N、Fe−Al−N、Fe−Al
−Oなどの窒化鉄系磁性材料、酸化鉄系磁性材料、フェ
ライトなどを用いることができる。
【0021】このように、要素1、要素2の部分に適し
た磁性材料を用いることにより、磁性体特性に適した励
磁を行なえるため、コイル13に流れた電流により発生
する磁束は、低比抵抗・高透磁率の多層磁性膜11、1
2(要素1)中の面内ならびに高比抵抗磁性材料のスル
ーホール磁性膜17の(要素2)の厚さ方向に効率的に
流れるため、渦電流ならびに漏れ磁束による損失が少な
く、高周波特性に優れた磁気回路を実現できる。
【0022】次に、製作方法について述べる。表面を熱
酸化したシリコン基板15上に、SiO2 、ハードキュ
アしたフォトレジスト、あるいはポリイミドなどの絶縁
層16aを形成した後、イオンビームスパッタリング、
RFスパッタリング、あるいは蒸着などの手法により、
Co−Hf−TaとSiO2 を順次交互に成膜して、下
部多層磁性膜12(要素1)を形成する。
【0023】そして、形成した下部多層磁性膜12をフ
ォトレジストを用いてパタンニングを行なった後、イオ
ンビームスパッタリング、RFスパッタリング、あるい
はケミカルエッチングなどを用いてパタン加工を行な
う。
【0024】続いて、絶縁層16bを前記と同様に形成
した後、コイル13の形成のために、CuあるいはAl
などの高導電率材料を前記した磁性膜12の形成と同様
に形成し、エッチングによりコイル13のパタンの加工
を行なう。なお、コイル13の形成方法としては、選択
CVD方やフレームめっき法などを用いることもでき
る。
【0025】続いて、絶縁層16bを形成した後、下部
多層磁性膜12の成膜と同様に、上部多層磁性膜11を
形成する。
【0026】続いて、メタルのシャドーマスクを用いた
エッチングを行ない、スルーホール部14の窓開けを行
なう。そして、メタルのシャドーマスクを用いてFe−
Al−B−Oを酸素雰囲気中で成膜し、スルーホール部
14に磁性膜17(要素2)を充填する。この後、保護
膜としての絶縁層16cを形成してから配線用端子の窓
開けを行ない完成する。
【0027】なお、磁性膜11、12、17に磁気異方
性を付与するために、磁性膜成膜中は、図1の()の
Y−Y’方向が磁石のN極S極の方向となるように、シ
リコン基板15の下に永久磁石を配置している。このと
き、磁界強度は、磁性材料が充分に飽和する値であるこ
とが望ましく、例えば、数kA/m程度の値が用いられ
る。この磁界により、磁性膜には〜数kA/m程度の異
方性磁界が付与され高周波特性が改善される。
【0028】なお、磁性膜の透磁率は異方性磁界に反比
例するため、異方性磁界の値を大きくし過ぎると、イン
ダクタンスが小さくなるので、〜MHz程度の比較的低
い周波数で使用する場合には、使用する周波数で性能指
数Q(=ωL/R)が最大となるように、異方性磁界を
調整する必要がある。このためには、周辺材料が劣化し
ない温度、例えば摂氏220度から、図1の(a)のX
−X’方向(Y−Y’方向に直角な方向)に直流磁界を
かけながら冷却する磁場中熱処理を行なうことにより、
異方性磁界を成膜後の数kA/m程度から数百A/m程
度に減少するように、調整する。
【0029】以上のように構成した薄膜インダクタのイ
ンダクタンスと等価直列抵抗の周波数依存性の測定結果
を、従来技術による薄膜インダクタの特性とともに、図
2に示した。本発明による薄膜インダクタの等価直列抵
抗の値は、従来技術によるものに比べて小さく、磁性膜
の渦電流損失が大幅に低減されていることが判る。同時
に、インダクタンスについては、これが向上するととも
に、高周波特性も著しく改善されており、帯域が増加し
ている。
【0030】また、両者の薄膜インダクタを高周波コン
バータに実装して効率を比較したところ、本発明の薄膜
インダクタの損失(鉄損+銅損)は従来例に比べて1/
3に低減され、コンバータ効率が向上した。さらに、薄
膜インダクタのインダクタンス向上により、ピーク電流
が低減され周辺の半導体部品もより容量の小さな小形の
ものに替えることが可能となった。さらに、薄膜インダ
クタの損失の低減による発熱が減少したことから、コン
バータの基板面積を2/3に縮小できた。
【0031】[第2の実施の形態]図3は本発明の第2
の実施の形態の薄膜インダクタを示す図で、(a)は平
面図、(b)は(a)のX−X’線の断面図で、厚さ方
向を拡大したものである。図3において、21Aは磁性
膜と絶縁膜を交互に積層した第1(内側)の上部多層磁
性膜、21Bは磁性膜と絶縁膜を交互に積層した第2
(外側)の上部多層磁性膜、22Aは磁性膜と絶縁膜を
交互に積層した第1(内側)の下部多層磁性膜、22B
は磁性膜と絶縁膜を交互に積層した第2(外側)の下部
多層磁性膜、23はコイル、24は上下の磁性膜21
A、21B、22A、22Bをつなぐスルーホール(ヴ
ィアホール)部、25はシリコン基板、26a〜26c
絶縁層である。27はスルーホール部24に形成した磁
性膜、28は磁気回路、29はコイル23の電極であ
る。
【0032】この第2の実施の形態においては、上部多
層磁性膜21A、21B−スルーホール部24の磁性膜
27−下部多層磁性膜22A、22Bにより形成される
磁気回路28を、第1の上部多層磁性膜21Aならびに
第1の下部多層磁性膜22A(要素1)と、第2の上部
多層磁性膜21Bならびに第2の下部多層磁性膜22B
(要素3)と、スルーホール24の磁性膜27(要素
2)の3つの部分に分けている。
【0033】各要素に適した材料としては、要素1につ
いては、磁性膜中を流れる磁束が基板25と平行する面
内方向であるため、比抵抗が小さいものの保磁力が小さ
く、透磁率の大きい、Co−Fe−Si−Bなどの低比
抵抗・高透磁率系の多層磁性膜を、また要素3について
は、要素1と同様に磁性膜中を流れる磁束が基板25と
平行な面内方向であるため、比抵抗が小さいものの飽和
磁束密度の大きい、Fe−Co−Si−Bなどの低比抵
抗・高飽和磁束密度系の多層磁性膜を、各々図3の
(a)のY−Y’方向が容易磁化方向となるように磁気
異方性を付与して成膜する。このため、コイル23に流
れる電流により発生する磁束の流れる方向(X−X’方
向)に対して、要素1、3共に回転磁化モードを用いた
低損失な磁化特性が実現される。
【0034】一方、スルーホール部24となる要素2に
ついては、磁束の流れが磁性膜の厚さ方向となることを
考慮し、比抵抗の大きなFe−Al−B−Oなどの高比
抵抗系磁性材料を使用しており、要素1、3と同様に、
成膜中にY−Y’方向又はX−X’方向が容易磁化方向
なるように磁気異方性を付与している。このため、厚さ
方向の磁化に対して回転磁化モードを用いた低損失な磁
気特性が実現されるとともに、スルーホール部24の磁
気抵抗が低減されるため、漏れ磁束も減少するようにな
る。
【0035】なお、この実施の形態では、要素1の高透
磁率磁性材料としてCo−Fe−Si−Bを用いたが、
Co−Hf−Ta、Co−Zr−Nb、Co−Zr−T
a、Co−Hf−Nb、Co−Zr−ReなどのCo系
アモルファス磁性材料、Fe−Co−Si−B、Fe−
Si−Bなどの鉄系アモルファス磁性材料、Fe−Ni
(パーマロイ)を用いることができる。また要素3の高
飽和磁束密度材料としてFe−Co−Si−Bを用いた
が、Fe−Hf、Fe−Hf−C、Fe−Zr−B、F
e−Zr−B−Cuなどの鉄系アモルファス磁性材料を
用いることができる。さらに、要素2の高比抵抗系磁性
材料として、Fe−Al−B−Oを用いたが、Fe−B
−O、Fe−B−N、Fe−Al−N、Fe−Al−O
などの窒化鉄系磁性材料、酸化鉄系磁性材料、フェライ
トなどを用いることができる。
【0036】このように構成した第2の実施の形態の薄
膜インダクタでは、第1の実施の形態の薄膜インダクタ
と同様に、各要素の部分に適した磁性材料を用いている
ので、磁性体特性に適した励磁を行なえるため、コイル
23に流れた電流により発生する磁束が、磁性膜中を効
率的に流れ、損失が少なく高周波特性に優れた磁気回路
要素を実現できる。
【0037】加えて、飽和磁束密度の高い磁性材料を要
素3として要素1の外側に付加したので、磁性膜全体の
厚さをさほど増やさずに、磁性膜の磁気飽和を回避でき
るため、インダクタの直流重畳特性を向上させることが
できる。これにより、要素1を所望の厚さ(第1の実施
の形態のように)まで堆積させるのに比べて磁性膜形成
の時間を短縮できるとともに、磁性膜の厚さに起因した
残留応力による膜の剥離などが減少し、歩留りも向上す
る。
【0038】さらに、透磁率の高い要素1と飽和磁束密
度の高い要素3を組み合せたことにより、小振幅レベル
から大振幅レベルまで広い範囲で利用できるインダクタ
を小形に構成することができる。
【0039】次に、製作方法について述べる。表面を熱
酸化したシリコン基板25上に、SiO2 、ハードキュ
アしたフォトレジスト、あるいはポリイミドなどの絶縁
層26aを形成した後、イオンビームスパッタリング、
RFスパッタリング、あるいは蒸着などの手法により、
Fe−Co−Si−BとSiO2 を順次交互に成膜し
て、第2の下部多層磁性膜22B(要素3)を形成し、
引き続きCo−Fe−Si−BとSiO2 を順次交互に
積層して第1の下部多層磁性膜22A(要素1)を形成
する。続いて、形成した下部多層磁性膜22A、22B
をフォトレジストを用いてパタニングを行なった後、イ
オンビームスパッタリング、RFスパッタリング、ある
いはケミカルエッチングなどを用いてパタン加工を行な
う。
【0040】続いて、絶縁層26bを前記と同様に形成
した後、コイル23の形成のために、CuあるいはAl
などの高導電率材料を磁性膜と同様に形成し、エッチン
グによりコイル23のパタンの加工を行なう。なお、コ
イル23の形成方法としては、選択CVD法やフレーム
めっき法などを用いることもできる。
【0041】続いて、絶縁層26bを形成した後、第1
の下部多層磁性膜22Aと同様に第1の上部多層磁性膜
21Aを、また第2の下部多層磁性膜22Bと同様に第
2の上部多層磁性膜21Bを形成する。
【0042】続いて、メタルのシャドーマスクを用いた
エッチングを行ない、スルーホール部24の窓開けを行
なう。そして、メタルのシャドーマスクを用いてFe−
Al−B−Oを酸素雰囲気中で成膜し、スルーホール部
24の磁性膜27(要素2)を充填する。
【0043】この後、保護膜としての絶縁膜26cを形
成してから、配線用端子の窓開けを行ない完成する。
【0044】なお、磁性膜に磁気異方性を付与するため
に、磁性膜成膜中は、図3の()のY−Y’方向が磁
石のN極S極の方向となるように、シリコン基板25の
下に永久磁石を配置し、磁性膜に数百A/m程度の異方
性磁界を付与している。
【0045】以上のように構成した第2の実施の形態の
薄膜インダククタの直流重畳特性は、2割り程度の磁性
膜の厚さの増加により約1.5倍となり、わずかな厚さ
の増加で扱える電流を1.5倍にすることができた。ま
た、製作時の膜の剥離などの問題は見られなかった。
【0046】
【発明の効果】以上から第1の発明によれば、磁気回路
を構成する各要素に異なる磁性材料を用いるので当該要
素に適した磁性材料を用いることができ、磁性体特性に
適した励磁を行なえるため、コイルに流れた電流により
発生する磁束が効率的に流れ、渦電流並びに漏れ磁束に
よる損失が少なく、高周波特性に優れた3次元的磁気回
路を実現できるようになる。特に、第2の発明のように
両多層磁性膜を低比抵抗・高透磁率系磁性材料で構成
し、スルホール部を高比抵抗系磁性材料で構成すること
により、その効果は顕著となる。
【0047】また、第3の発明によれば、磁性膜全体の
厚さをさほど増やさずに、磁性膜の磁気飽和を回避でき
るため、インダクタの直流重畳特性を向上させることが
できる。これにより、磁性膜形成の時間を短縮できると
ともに、磁性膜の厚さに起因した残留応力による膜の剥
離などが減少し、歩留りも向上する。
【0048】第4の発明によれば、磁性膜に磁気異方性
を付与できるために、コイルに流れる電流により流れる
磁束の方向の磁化に対して、回転磁化モードを用いた低
損失の磁化特性が実現される。
【0049】以上から、本発明を例えば、コンバータや
スイッチング電源に実装した場合には、特性上から半導
体部品のスペックが緩和でき、低損失・低発熱による小
形化ができ、さらにはより一層の高周波化が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の薄膜インダクタ
を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)の
X−X’線断面図である。
【図2】 図1に示した薄膜インダクタのインダクタン
スと等価直列抵抗の周波数依存性を示す特性図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態の薄膜インダクタ
を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)の
X−X’線断面図である。
【図4】 従来の薄膜インダクタを示す図であって、
(a)は平面図、(b)は(a)のX−X’線断面図で
ある。
【図5】 図4に示した従来の薄膜インダクタの漏れ磁
束発生の説明のための説明図である。
【符号の説明】
1:上部多層磁性膜、1a:上部多層磁性膜の磁性層、
1b:上部多層磁性膜の絶縁層、2:下部多層磁性膜、
2a:下部多層磁性膜の磁性層、2b:下部多層磁性膜
の絶縁層、3:コイル、4:スルーホール部、5:シリ
コン基板、6a〜6c:絶縁層、7:漏れ磁束、8:磁
気回路、9:電極、11:上部多層磁性膜(要素1)、
12:下部多層磁性膜(要素1)、13:コイル、1
4:スルーホール部、15:シリコン基板、16:層間
絶縁層、17:スルホール部の磁性膜(要素2)、1
8:磁気回路、19:電極、21A:第1の上部多層磁
性膜(要素1)、21B:第2の上部多層磁性膜(要素
3)、22A:第1の下部多層磁性膜(要素1)、22
B:第2の下部多層磁性膜(要素3)、23:コイル、
24:スルーホール部、25:シリコン基板、26:層
間絶縁層、27:スルホール部の磁性膜(要素2)、2
8:磁気回路、29:電極。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 41/04 H01F 31/00 D A (72)発明者 柳沢 佳一 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−320939(JP,A) 特開 平4−151809(JP,A) 特開 平7−240315(JP,A) 特開 平7−66050(JP,A) 特開 平6−215949(JP,A) 特開 平8−316100(JP,A) 特開 平6−124843(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 30/00 H01F 17/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上部多層磁性膜と、下部多層磁性膜と、該
    両多層磁性膜で絶縁状態で挟持されたコイルと、該コイ
    ルを前記両多層磁性膜で囲むように前記両多層磁性膜を
    つなぐスルーホール部とを具備する磁性部品において、 前記両多層磁性膜を低比抵抗・高透磁率系の磁性膜で構
    成し、且つ前記スルーホール部を高比抵抗系の磁性膜
    構成したことを特徴とする磁性部品。
  2. 【請求項2】前記両多層磁性膜の外側に高磁気飽和特性
    の別の多層磁性膜を設けたことを特徴とする請求項1に
    記載の磁性部品。
  3. 【請求項3】請求項1又は2のコイルにより発生する磁
    束の流れる方向と直交する方向に直流磁界を印加しなが
    ら前記請求項1又は2の多層磁性膜および前記スルーホ
    ール部の磁性膜を形成することを特徴とする磁性部品
    製法
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