JPH11135313A - R2t17nx系磁石材料粉末とその凝集体とそれらの製造方法およびボンド磁石 - Google Patents

R2t17nx系磁石材料粉末とその凝集体とそれらの製造方法およびボンド磁石

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JPH11135313A
JPH11135313A JP10242052A JP24205298A JPH11135313A JP H11135313 A JPH11135313 A JP H11135313A JP 10242052 A JP10242052 A JP 10242052A JP 24205298 A JP24205298 A JP 24205298A JP H11135313 A JPH11135313 A JP H11135313A
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material powder
magnet
silicon
magnetic material
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Seiji Kojima
清司 小嶋
Takeshi Takahashi
岳史 高橋
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モ−タなどに用いられるボンド磁石の原料磁
石粉末である希土類(R)−鉄(T)−窒素(N)系磁
石粉末に関し、磁気特性の経時変化の原因である酸化を
防止し、扱い易い大きさの粉末を提供する。 【解決手段】 R217X系合金粉末をペルヒドロポリ
シラザンを有機溶媒に溶かした溶液に分散させて、この
合金粉末の表面にペルヒドロポリシラザンを付着させ、
磁場中で余分の溶液を遠心分離し、さらに真空中で溶媒
を蒸発除去し、大気中にて80〜150℃でペルヒドロ
ポリシラザンを酸素または水蒸気と反応させてアモルフ
ァスSiO2とし、塊状となった合金粉末凝集体を解砕
して平均直径が30〜400μmの大きさの磁石粉末凝
集体とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータやスピーカ
など磁石応用機器に多用されているボンド磁石用として
有用な磁石粉末とその凝集体とそれらの製造方法に関す
るものであり、さらにはボンド磁石に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】Sm−Co系の異方性磁石粉末やNd−
Fe−B系の等方性磁石粉末などの高性能希土類系磁石
粉末を用いた高磁気特性のボンド磁石が小型モータを始
めとした磁石応用機器に使用されている。このボンド磁
石の使用分野および使用量は機器の小型化、薄型化、軽
量化の要求に従って年々増加の一途にあり、またそれに
応じて多様な特性を有する磁石が要求されている。この
ような背景から、新しい磁石粉末の開発が活発に行われ
ているが、そのなかで希土類(R)−鉄(Fe)−窒素
(N)系の磁石材料、特にサマリウム(Sm)−鉄(F
e)−窒素(N)系の磁石材料が注目されており、早い
実用化が望まれている。
【0003】このSm−Fe−N系磁石材料は、Th2
Zn17型構造を有するSm2Fe17を窒化したものでS
2Fe173付近の組成を有するものが最も磁気特性が
優れており、飽和磁化4πIs=15.7kG、異方性
磁界Ha=260kOe、キュリー点Tc=470℃と
いう基本物性が明らかにされている。このSm−Fe−
N系磁石材料は、その保磁力機構が核成長タイプである
ために、保磁力を大きくするには磁石粉末を3μm以下
の単磁区粒子にまで小さくする必要がある。この微粉末
化の方法は種々考案され、主として、ボールミル、振動
ミル、アトライター、ジェットミルなどによる粉砕が採
用されている。このような方法で作製されたSm−Fe
−N系磁石粉末は、ボンド磁石の原材料磁石粉末として
用いられ、有機樹脂をバインダーとしてボンド磁石にさ
れる。
【0004】しかし、有機樹脂をバインダーとした樹脂
ボンド磁石では、初期の磁気特性は良好であるものの、
時間の経過とともに磁気特性が劣化するという問題が生
じ、この経時変化の解決が大きな課題となっている。こ
の経時変化の原因は、Sm−Fe−N系磁石粉末が酸化
し易いSmやFeが主体の組成であること、および磁石
粉末が微粉末であって表面積が大きいことにあり、ボン
ド磁石内に存在する酸素や侵入する酸素が徐々に磁石粉
末を酸化することにあると考えられている。このため磁
気特性劣化防止のためには、Sm−Fe−N系磁石粉末
に耐酸化性を付与することが重要となる。
【0005】Sm−Fe−N系磁石粉末に耐酸化性を付
与する試みは従来から為されており、例えば、金属、無
機化合物または有機化合物から構成される非磁性被覆が
磁石粒子表面に形成されている磁石粒子とする方法が知
られている(特開平5−190311号公報)。ここで
いう金属とは、例えばZn,Sn,Cu,In,Pb,
Ga,Sb、これらを含む合金またはこれらの化合物で
あり、無機化合物とは前記金属の窒化物、炭化物であ
り、有機化合物としては脂肪酸塩である。これらのうち
で特に低融点であってかつ低温でFeと非磁性化合物を
形成する元素が適しているとされている。
【0006】また、磁石粉末粒子表面に、粒子の平均粒
径に対して0.2〜25%の厚さのSn,Pb,In,
Ni,Cuの少なくとも1種を主構成成分とする金属被
膜を形成する方法が知られている(特開平5−2305
01号公報)。この被膜成形方法としては、無電解メッ
キ法が適しているとされている。
【0007】また、磁石粉末に、Zn,Sn,Pb,B
iから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物粉末と粒
状のCaとを所定の割合で混合し、この混合物を不活性
雰囲気中で加熱して反応させ、得られた反応生成物を水
または弱酸水溶液で処理して、粒子表面を前記金属で被
覆した磁石粉末とする方法が知られている(特開平5−
326229号公報)。
【0008】また、微粉砕後にジエチル亜鉛などの有機
金属化合物を加えて光照射により分解生成させ粉末表面
をZn被覆した磁石粉末とする方法が知られている(特
開平8−143913号公報)。
【0009】以上のように、従来の耐酸化性付与技術に
は、低融点元素、特にZnを磁石粉末の表面に被膜とし
て形成するものが多い。この方法は、低融点のZnの特
徴を活かし、ZnをSm2Fe17X系磁石粉末の粒子表
面と密着させ、磁石粒子表面の表面粗さを減少させて磁
石粉末の酸化を防止するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、Sm−
Fe−N系磁石材料の実用化を妨げている最大の問題
は、磁石材料の経時変化であり、この原因の大部分は酸
化にあると考えられる。このため、磁石粉末に耐酸化性
を付与することが重要な課題である。この課題を解決す
る試みとして、前述の方法が知られているが、これらの
方法により耐酸化性を付与したSm−Fe−N系磁石材
料はまだ実用化に至っていない。
【0011】また、Sm−Fe−N系磁石材料は、前述
のように、3μm以下の単磁区粒子になった微粉末であ
る。従来の希土類系ボンド磁石に用いられてきた2−1
7系SmCo磁石やNd−Fe−B系超急冷薄片やHD
DR法によるNd−Fe−B系異方性粉末は、その平均
粒子径が100μm〜400μmという扱い易い大きさ
のものであり、製造装置もその大きさに適合するように
つくられている。これに対して、Sm−Fe−N系磁石
材料の3μm以下の微粉末は、扱い難く、従来の製造装
置にも適合し難い。これがSm−Fe−N系磁石材料の
実用化を妨げる原因の一つになっている。
【0012】本発明は、かかる事態に鑑み、従来とは異
なる方法により耐酸化性を付与したSm−Fe−N系磁
石材料粉末とその製造方法、およびこの粉末を用いたボ
ンド磁石を提供することを目的とする。また、本発明
は、耐酸化性を有しながらも、取り扱いやすい従来の粉
末程度の大きさとして得やすいSm−Fe−N系磁石材
料粉末凝集体とその製造方法、およびこの凝集体を用い
たボンド磁石を提供することも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のR217X系磁石材料粉末は、R217X
相を主とする合金粉末と、この合金粉末の表面を覆う酸
化物および酸窒化物から選ばれるいずれかの無機化合物
とからなることを特徴とする。ただし、Rは、Smを必
須とする少なくとも1種の希土類元素であり、Tは、F
eを必須とする少なくとも1種の金属元素であり、x
は、2.6〜3.2の範囲にある数値である。このよう
な構成とすることにより、耐酸化性を有するR217X
系磁石材料粉末(Sm−Fe−N系磁石材料粉末)とす
ることができる。この磁石材料粉末は、Znなどを利用
する従来の方法とは異なり、合金粉末の表面を覆う酸化
物または酸窒化物からなる無機化合物を酸化防止層とし
て使用することにより耐酸化性を付与するものである。
【0014】前記R217X系磁石材料粉末において
は、無機化合物が無機珪素化合物からなることが好まし
い。この好ましい例によれば、無機化合物は安定した酸
化防止層とすることができる。無機珪素化合物は、具体
的には珪素酸化物または珪素酸窒化物である。さらに具
体的には、無機珪素化合物は、Si−O結合からなるネ
ットワーク構造およびSi−O結合とSi−N結合とか
らなるネットワーク構造から選ばれるいずれかのネット
ワーク構造を有することが好ましい。これらのネットワ
ーク構造は極めて安定であって、合金粉末の表面を覆う
ネットワークにより、空気中の酸素による合金粉末の酸
化が十分に抑制される。このように合金粉末の表面を、
Si−Oネットワーク構造またはSi−O−Nネットワ
ーク構造を有する、いわゆるSi−O系またはSi−O
−N系無機化合物(セラミックス)で覆うことにより、
合金粉末の酸化が効果的に抑制される。
【0015】前記R217X系磁石材料粉末において
は、合金粉末の平均粒径が3μm以下であることが好ま
しい。この好ましい例によれば、粉末がほぼ単磁区粒子
となっているため、保磁力を大きくすることができる。
【0016】また前記目的を達成するために、本発明の
217X系磁石材料粉末凝集体は、前記R217X
磁石材料粉末が、平均直径が30μm〜400μmの凝
集塊状を成していることを特徴とする。このような構成
とすることにより、粉末が扱い易く、従来の製造装置に
も適合しやすく、ボンド磁石用に好適な磁石粉末体とす
ることができる。
【0017】また、前記R217X系磁石材料粉末凝集
体においては、前記合金粉末の磁化容易軸が一定の方向
に配向していることが好ましい。この好ましい例によれ
ば、R217X系磁石材料の優れた磁気特性を活かすこ
とが可能となる。
【0018】本発明のボンド磁石は、少なくとも、前記
217X系磁石材料粉末および前記R217X系磁石
材料粉末凝集体から選ばれるいずれかを構成要素とする
ことを特徴とする。このような構成にすることにより、
217X系磁石材料粉末およびR217X系磁石材料
粉末凝集体の優れた磁気特性を活かし、かつ経時変化を
抑制したボンド磁石とすることができる。
【0019】また前記目的を達成するために、本発明の
217X系磁石材料粉末の製造方法は、R217X
を主とする合金粉末を、珪素含有ポリマーを含む溶液に
分散させることにより、前記合金粉末の表面に前記珪素
含有ポリマーを付着させる工程と、前記表面に付着した
珪素含有ポリマーを無機珪素化合物に転換する工程とを
含むことを特徴とする。ただし、R、Tおよびxは、い
ずれも前記と同様である。
【0020】本発明のR217X系磁石材料粉末の製造
方法によれば、耐酸化性を有するR 217X系磁石材料
粉末(Sm−Fe−N系磁石材料粉末)を効率良く製造
することができる。すなわち、溶液中において珪素含有
ポリマーを合金粉末に付着させることにより、合金粉末
の表面を確実に珪素化合物により覆うことができる。ま
た、無機珪素化合物は、前述のように、安定した酸化防
止層として好ましい化合物である。
【0021】前記R217X系磁石材料粉末の製造方法
においては、珪素含有ポリマーを無機珪素化合物に転換
する前に、溶液が付着した合金粉末から余分の溶液を分
離することが好ましい。この好ましい例によれば、余分
の無機化合物成分(セラミックス成分)を除去して磁石
材料粉末内の非磁性成分を減少させることができるた
め、磁気特性を向上させることができる。また余分の溶
液を分離した後に、さらに、合金粉末の表面に残存して
いる溶媒を蒸発除去することが好ましい。
【0022】また、前記R217X系磁石材料粉末の製
造方法においては、合金粉末から余分の溶液を分離する
手段が、遠心分離を含むことが好ましい。この好ましい
例によれば、合金粉末に付着した溶液の量を容易に調整
することができる。付着した溶液は、必要な珪素含有ポ
リマーを供給するために最小限の量とすることが好まし
い。
【0023】また前記目的を達成するために、本発明の
217X系磁石材料粉末凝集体の製造方法は、前記R
217X系磁石材料粉末の製造方法において、R217
X相を主とする合金粉末の表面に珪素含有ポリマーを
付着させることにより、前記合金粉末が塊状に凝集した
凝集体を得ることを特徴とする。このような構成とする
ことにより、粉末が扱い易く、従来の製造装置にも適合
しやすく、ボンド磁石用に好適な磁石粉末体を効率的に
得ることができる。
【0024】また、前記R217X系磁石材料粉末凝集
体の製造方法においては、合金粉末の表面に珪素含有ポ
リマーを付着させた後であって前記表面に付着した珪素
含有ポリマーを無機珪素化合物に転換する前に、外部磁
場を作用させることにより、磁化容易軸を一定の方向に
配向させることが好ましい。この好ましい例によれば、
217X 系磁石材料の優れた磁気特性を活かした磁
石材料粉末凝集体を効率的に製造することができる。
【0025】また、前記R217X系磁石材料粉末凝集
体の製造方法においては、磁化容易軸を一定の方向に配
向させながら前記余分の溶液を分離することが好まし
い。この好ましい例によれば、R217X系磁石材料粉
末の磁化容易軸を一定の方向に配向させて固定すること
ができる。すなわち、余分の溶液を分離すると残存する
溶媒が直ちに蒸発を始め濃縮された珪素含有ポリマーが
磁石粉末を凝集したまま固定することになるからであ
る。このようにすることでR217X系磁石材料の優れ
た磁気特性を活かした磁石材料粉末凝集体を製造するこ
とができる。
【0026】また、前記R217X系磁石材料粉末凝集
体の製造方法においては、真空中または不活性雰囲気中
において、前記凝集体から溶液を分離することが好まし
い。珪素含有ポリマーが十分な濃度で粉末表面を覆うこ
とになっていない状態で多量の酸素に触れることは磁石
粉末が酸化される可能性が大きくなる。したがって、上
記の好ましい例のように、真空中または不活性雰囲気中
にて溶液を分離することにより、R217X系磁石材料
の優れた磁気特性を活かした磁石材料粉末凝集体を製造
することができる。この方法は、R217X系磁石材料
粉末の製造方法にも適用することができる。
【0027】また、前記R217X系磁石材料粉末凝集
体の製造方法においては、珪素含有ポリマーを80〜1
50℃の温度域で無機珪素化合物に転換することが好ま
しい。この好ましい例によれば、R217X系磁石材料
粉末の磁気特性を劣化させること無く、前駆体としての
珪素含有ポリマーを無機珪素化合物に転換(セラミック
ス化)することができる。150℃を越えると磁気特性
が劣化するおそれが生じる。一方、80℃未満とすると
無機珪素化合物への転換が容易ではなくなる。この方法
も、R217X系磁石材料粉末の製造方法にも適用する
ことができる。
【0028】また、前記R217X系磁石材料粉末凝集
体の製造方法においては、珪素含有ポリマーに酸素原子
を導入することにより、この珪素含有ポリマーを、Si
−O結合からなるネットワーク構造およびSi−O結合
とSi−N結合とからなるネットワーク構造から選ばれ
るいずれかのネットワーク構造を有する無機珪素化合物
に転換することが好ましい。この好ましい例によれば、
前述のように、表面がSi−O系またはSi−O−N系
セラミックスで覆われ、酸化が効果的に抑制された磁石
粉末を製造することができる。珪素含有ポリマーとして
は、ポリシラザンが好ましい。これらの方法も、R2
17X系磁石材料粉末の製造方法にも適用することがで
きる。
【0029】また、前記R217X系磁石材料粉末凝集
体の製造方法においては、珪素含有ポリマーを無機珪素
化合物に転換した後に、平均直径が30μm〜400μ
mとなるように粉砕することが好ましい。この好ましい
例によれば、扱いやすい大きさの合金粉末凝集体とする
ことができる。本発明の製造方法により、Si−O系、
Si−O−N系などの珪素系セラミックスによって合金
粉末の表面を覆うようにすると、通常、粉末の凝集体は
平均粒径が前記範囲を越える塊状となるため、この塊状
の粉末凝集体を砕いて前記の扱いやすい範囲の大きさと
するものである。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について説明する。本発明のR217X系磁石材料粉
末を構成する主相であるR217X相は、RとしてSm
を、TとしてFeを必須成分とする。この相の代表的な
合金相としては、Sm2Fe17X相を挙げることができ
る。中でも、Sm2Fe173相は、その物性値から優れ
た磁石材料となる可能性を有している。
【0031】本発明は、主としてSm2Fe17X相を対
象としているが、この相を主とした合金を優れた磁石材
料とするために、種々の添加元素を加えて組成を変えた
ものも対象としている。例えば、R217X相における
希土類元素Rとして、サマリウム(Sm)の一部を他の
希土類元素で置換したものを用いてもよい。Smを置換
する元素としては、Y,La,Ce,Pr,Nd,E
u,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybおよび
Luから選ばれる少なくとも一つの希土類元素が挙げら
れる。この場合の置換量は50原子%以下が好ましい。
置換量が50原子%を越えると磁気特性が低下し実用性
を損なうおそれがあるからである。
【0032】また金属元素Tは、鉄(Fe)の一部を他
の金属元素で置換したものを用いてもよい。Feを置換
する元素としては、Co、Ti,V,Cr,Mn,N
i,Cu,Zn、Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,
GaおよびAlから選ばれる少なくとも1つの元素が挙
げられる。この場合の置換量は55原子%以下が好まし
い。置換量が55原子%を越えると、前述と同様、磁気
特性が低下し実用性を損なうおそれがあるからである。
【0033】好ましい置換量を考慮すると、R217X
相は、以下の式により示すことができる。 (SmaR’b2(FecT’d17X (1) ここで、R’はSmを置換する希土類元素であって、具
体的には前記に例示した元素が好ましく、T’はFeを
置換する金属元素であって、具体的には前記に例示した
元素が好ましく、a、b、c、dはそれぞれ、0.5≦
a≦1、0≦b≦0.5、a+b=1、0.45≦c≦
1、0≦c≦0.55、c+d=1によって示される範
囲内の数値であり、xは2.6〜3.2の範囲の数値で
ある。
【0034】なお、窒素Nの含有量は、x=2.6〜
3.2が実用特性として許容されるが、x=2.6〜
3.0が磁気特性上さらに好ましく、x=3の場合が最
も優れた磁気特性を示す。
【0035】このように、置換元素を導入したものも含
めて、本明細書では、R217X相と称することとす
る。また、本発明のR217X系磁石材料は、R217
X相を主としていれば、わずかに混在するSmO2を代
表とする酸化物やα−Feやその他製造上避けられない
不純物を含んでいても構わない。
【0036】以下、本発明に用いる代表的な合金粉末で
あるSm2Fe17X系磁石材料の粉末作製方法について
その一例を示して説明する。
【0037】Sm−Fe2元合金を高周波溶解して鋳造
塊を作製し、それを約1100℃で12時間かけて均一
化熱処理してSm2Fe17相(Th2Zn17型構造)を主
相とする合金塊にする。この合金塊を機械粉砕や水素吸
蔵粉砕して150μm以下の粉末にし、次に窒素雰囲気
中で熱処理し、窒化する。その温度は470℃が最適で
あってこの場合約100時間を要する。さらに高温にす
ると短時間で窒化は終了する。しかし、約600℃を越
えると窒化したSm2Fe17X相は分解を始めるので、
600℃より高温で窒化するのは好ましくない。Sm2
Fe17相は窒化によりSm2Fe17X相になるが、結晶
構造は同じでTh2Zn17型構造である。ただし、結晶
格子はNの侵入によりc軸が大きく伸びまたa軸も伸び
る。なお、アンモニア中で熱処理すると窒化は速く行わ
れるが粉末の表面部分が窒素過多となってアモルファス
になることがあり、その後に均一な窒素組成にするため
にアニール処理が必要となる。この後この150μm以
下の粉末をジェットミルやボールミルで微粉砕して3μ
m以下の粉末にすると優れた磁気特性を有する磁石粉末
となる。以上の工程では、出来るだけ酸素に触れさせず
に行なって磁石粉末の酸化を抑制することが好ましい。
【0038】一方、合金粉末を覆う無機化合物は、具体
的には、Si−O系またはSi−N−O系無機化合物
(セラミックス)であることが好ましく、これらのセラ
ミックスは、結晶であってもアモルファスであっても構
わない。これらの系のセラミックスは、一般に熱処理す
れば結晶化するが、前述のように、R217X相は高温
に曝されるとその磁気特性が劣化する場合が多く、高温
で熱処理することは好ましくない。したがって、結晶化
させることなくアモルファス状態に止めることが好まし
い。
【0039】このSi−O系、Si−N−O系セラミッ
クスは、例えば、セラミックス前駆体となる珪素含有ポ
リマーを出発原料として製造することができる。この珪
素含有ポリマーを塗布して大気下で酸化することにより
セラミックス化が進行し、さらに80〜150℃の熱処
理によりセラミックス化がほぼ終了してアモルファス状
態のSi−O系またはSi−N−O系セラミックスにな
る。熱処理により完全にセラミックス化が行われると、
通常は、アモルファスSiO2が形成される。しかし不
完全であるとNが含まれた状態になる。
【0040】このように、セラミックス前駆体ポリマー
としては、例えばポリシラザン、さらに具体的にはペル
ヒドロポリシラザンを用いることができる。ペルヒドロ
ポリシラザンは、主鎖の(−Si−N−)構造に側鎖と
して水素のみが結合しているもので(−SiH2−NH
−)を基本ユニットとしている。このペルヒドロポリシ
ラザンはジクロロシランとピリジンの錯体を作製し、そ
れにアンモニアを反応させることにより合成される。こ
のペルヒドロポリシラザンの分子構造の一例を図2に示
す。ただし、実際の分子構造は複雑で不規則な環状部を
多く含む。数平均分子量は500〜2500程度で、炭
素(C)や酸素(O)の含有量が少ないものを使用する
ことが好ましい。
【0041】また、ペルヒドロポリシラザンは、芳香族
やエステルなどのほとんどの有機溶媒に可溶という特徴
を有しており扱い易い。しかし、OH基(水酸基)を有
する物質と反応し加水分解されため、水やアルコ−ル系
溶媒は使用できず、また水を溶解する極性溶媒の使用も
好ましくない。好ましい溶媒は、例えば、キシレンやジ
ブチルエ−テルである。
【0042】ペルヒドロポリシラザンは、大気中での酸
化および/または水蒸気による加水分解によって非晶質
SiO2に転化する。その反応式は以下の通りである。
【0043】 (−SiH2−NH−)+O2→SiO2+NH3 (2) (−SiH2−NH−)+2H2O→SiO2+NH3+2H2 (3) ペルヒドロポリシラザンを非晶質SiO2に転化するた
めには、通常は大気中400℃以上での処理が必要とす
るが、微量の促進剤を添加することにより80〜150
℃でセラミックス化することができる。R217X相合
金は、高温に曝されると磁気特性が劣化する場合が多い
ため、できるだけ低温での転化が好ましい。したがっ
て、ペルヒドロポリシラザンの非晶質SiO2への転化
は、80〜150℃が好ましい。80℃未満では反応が
遅くかつ不完全となるおそれがあり、一方、150℃を
越えると磁気特性が低下するおそれが生じる。
【0044】現在、多量に使用されているNd−Fe−
B系の超急冷薄片の等方性磁石粉末は、厚さは20〜3
0μmであるが幅は100〜400μm程度である。ま
た、Nd−Fe−B系の異方性磁石粉末も、その粒子径
は50〜400μm程度である。このように高性能の希
土類系磁石粉末は、大きな粒子径の粉末を圧縮成形して
ボンド磁石化している。
【0045】Sm−Fe−N系磁石材料粉末は平均粒径
3μm以下という細かい粉末であるため、投入時の流れ
性が悪いなどの問題があって扱い難い。しかし、本発明
のR 217X系磁石材料粉末は、磁石粉末がその周囲に
珪素含有ポリマーを付着させる過程で凝集してポリマー
のセラミックス化によって凝集したまま固定化されるの
を利用し、ポリマーをセラミックス化させた後で粉砕
(解砕)する際に従来の磁石粉末の大きさとほぼ同様の
粒子径(具体的には平均直径が30〜400μm)とす
ることができる。
【0046】塊状の凝集体においては、個々の磁石粉末
は単磁区粒子、すなわち異方性磁石粉末であるが、凝集
体では個々の磁石粉末がお互いに小さな磁石となって吸
着しあっているため磁気的にはほぼ完全な等方性特性を
示す。この等方性磁石塊状凝集体は等方性の磁石粉末と
して実用性のあるものであるが、R217X系磁石材料
は、本来優れた異方性磁石粉末であるため、この特性を
引き出すべく、塊状凝集体で異方性磁石体とすることを
検討した。合金粉末を珪素含有ポリマーを含む溶液に浸
けて付着させ、余分の溶液が付いている状態で個々の異
方性磁石微粒子を磁場中において一方向に配向させて、
この状態で余分の溶液を分離除去し、次いでポリマーを
セラミックス化すると、個々の磁石微粒子が一方向に配
向した状態でポリマーがアモルファスSiO2になり、
磁石粉末を固着した塊状凝集体となった。この凝集体を
細かく解砕して塊状粉末とし、その磁気特性を測ったと
ころ、優れた異方性の磁気特性を有していることが明ら
かとなった。これは、この塊状凝集体を形成している個
々の異方性磁石微粒子の磁化容易軸が、一つの塊のなか
で一方向を向いており、塊全体としても磁化容易軸が一
方向を向いているためであると考えられる。この塊状凝
集体の異方性磁石粉末は、従来のNd−Fe−B系の異
方性磁石粉末と同様に扱うことができた。
【0047】また、合金粉末と、Si−O系またはSi
−N−O系のセラミックスからなる磁石材料粉末を製造
する方法について検討した。まず、セラミックス前駆体
ポリマーとしてのペルヒドロポリシラザンを溶媒のキシ
レンに溶かして溶液を作製し、その中に微粉末の合金粉
末を入れ、攪拌棒で十分に攪拌したのち、容器を傾けて
溶液を別の容器に移し、磁石粉末と付着した溶液だけと
した。この状態で真空排気できる装置に移し替えて排気
し、キシレンを蒸発飛散させて除去した。この処理を時
間的に早く行うためには、約100℃くらいまで温度を
上げるとよい。また真空状態でなく窒素ガスやアルゴン
ガスなどの不活性雰囲気中で行なっても構わない。ただ
し、酸素や水があるとペルヒドロポリシラザンは溶媒中
に溶けこんだ状態で分解して微粒子のSiO2になる。
微粒子のSiO2は磁石粉末表面を覆うのに適していな
いので、磁石粉末の表面が十分にSiO2で覆われず、
その後の大気中暴露の際に酸化が生じて磁気特性が劣化
する経時変化が起きるおそれがある。このため、溶媒の
除去はできるだけ酸素や水が存在しない状態で実施する
ことが好ましい。
【0048】また、ペルヒドロポリシラザンの付着量
は、溶液に含まれている量と磁石粉末に付着している溶
液の量に依存する。溶液中のペルヒドロポリシラザンの
溶解量は溶液の準備においてコントロールすることがで
きるが、磁石粉末に付着する溶液の量はコントロールが
難しい。そこで、磁石粉末に付着する溶液量を最小限に
する方法として遠心分離による方法を検討した。不活性
雰囲気中において溶液が付いたままの合金粉末を遠心分
離機にかけて溶液を飛ばし、磁石粉末に薄く付着してい
る溶液だけにして余分の溶液は除去することができた。
この際に遠心分離機の回転数と時間を選択するにより付
着する溶液の量をコントロールすることができるように
なった。
【0049】また、こうした真空排気や遠心分離による
溶液や溶媒の除去を磁場中で実施するためには、着磁さ
れたNd−Fe−B系の高性能の焼結磁石を用いるとよ
い。この焼結磁石に磁石粉末が引き寄せられ、一方向に
配向化した状態で処理することができる。例えば、真空
排気装置には溶液の付着したままの合金粉末を焼結磁石
に吸いつけた状態で入れることにより、あるいは遠心分
離機の容器の一部に焼結磁石を取りつけてそこに溶液が
付着したままの合金粉末を入れて焼結磁石に吸いつける
ことにより、容易に磁石粉末を一方向に配向化して溶液
を分離したり溶媒を蒸発除去することができる。
【0050】
【実施例】次に、本発明の具体例を説明する。
【0051】Smメタルと電解鉄とスポンジチタンとを
所定の量を秤量してルツボに入れ、アルゴンガス中にて
高周波誘導加熱により溶解して鋳型に鋳造した。鋳造塊
をアルゴンガス中で約1100℃で12時間保持して均
質にした。室温に徐冷後その一部をX線回折で調べほと
ころ、ほとんどがTh2Zn17型構造の相であり、α−
Feの回折線はわずかに痕跡が認められる程度であっ
た。また組成分析により、Smが24.16重量%、T
iが0.33重量%、残部がFeで,化学式で表すとS
2.01(Fe0.995Ti0.00517であって、ほぼ予定し
た組成の合金が出来ていることが確認された。
【0052】この均質化処理後の合金塊を分割してステ
ンレス製の高圧容器に入れ、容器内の雰囲気を水素ガス
置換して水素ガス圧力を40kgf/cm2に上げて電
気炉に入れた。徐々に昇温していくと約90℃で合金塊
は水素を吸収し始め、水素ガス圧力が低下したので、水
素ガスを追加して圧力を40kgf/cm2に保った。
水素の吸収が終了したところで水素ガスを排気し約31
0℃で真空度を10-5Torrまで引き切って水素ガス
を抜き、代わりに窒素ガスを入れ、その窒素ガス圧力を
50kgf/cm2に上げて470℃に上げて窒素を吸
収させた。さらに520℃まで上げて窒化を促進し、こ
の温度で2時間保持して電気炉から高圧容器を出して徐
冷した。高圧容器から合金を取り出しフルイで分級して
150μm以下の窒化物粉末を得た。収率は95%であ
った。残りはほぼα−Feで、これは均質化の熱処理時
に塊の表面部分のSmが飛んで抜けたために残ったFe
がα−Feになったものである。投入時と回収時の重量
の差(増加分)から窒化しないα−Fe分を補正して合
金粉末中の窒素の量はほぼx=3.0であった。すなわ
ちSm2.01(Fe0.995Ti0.005173.0で示される
こととなる。この粉末を気流式ジェットミルで窒素ガス
を搬送ガスとして粉砕し平均粒径1.8μmの微粉末を
得た。
【0053】次にペルヒドロポリシラザンを5重量%溶
解したキシレン溶液を作製した。用いたペルヒドロポリ
シラザンは、低温でセラミックス化を促進するために、
金属としてNi,Pt,PdまたはAlを含むアセチル
アセトナト錯体が付加されたものである。この溶液に上
記の窒化物となった合金の微粉末を投入して攪拌し、一
つは微粉末を溶液が付着したまま回収してろ紙に包み、
遠心分離機の容器に入れて回転させ余分の溶液を分離し
てAサンプルとした。もう一つは着磁されたNd−Fe
−B系焼結磁石を装着した遠心分離機の容器の中に溶液
の付いた微粉末を入れて焼結磁石にろ紙を介して吸着さ
せ遠心分離機を回転させて余分の溶液を分離しBサンプ
ルとした。
【0054】Aサンプルはろ紙で包んで、Bサンプルは
焼結磁石に吸着した状態で真空排気できる恒温容器に入
れ真空排気して約100℃に上げてキシレンを蒸発除去
して乾燥した。室温に冷却後大気中に出して塊状となっ
ている微粉末の凝集体を回収しこれらを解砕して30〜
400μmの塊状凝集体にした。その後大気中で120
℃で2時間処理して、ペルヒドロポリシラザンをアモル
ファスのSiO2に転化した。
【0055】室温に戻してから振動試料磁気測定装置
(VSM)でその磁気特性を測定した。測定サンプルは
磁場中で配向してワックスで固めたものを測定直前に6
T(テスラ)のパルス磁場をかけて着磁してから測定し
た。その結果を図1に示す。
【0056】Bサンプル(曲線2)は磁化が大きいがA
サンプル(曲線1)は磁化が低いことがわかる。そこ
で、Aサンプルについては再度測定サンプルを作製し、
その際に今度は磁場中配向をせずに無磁場でワックス固
定した。VSM測定の結果は前回の結果とほぼ同じ程度
の磁化の大きさであって、凝集体が等方性になっている
ことが判明した。すなわちAサンプルは無磁場で溶媒の
キシレンを蒸発除去したため単磁区粒子である微粉末は
お互いに吸着凝集し、等方的になってアモルファスSi
2で固定されており、そのため解砕された塊状凝集体
は等方性磁石となっていると考えられる。磁化軸との交
点である残留磁化BrはAサンプルは約7kGで、Bサ
ンプルのBrの12.6kGの約半分に近い値でありほ
ぼ等方性であると言える。一方Bサンプルは磁場中で乾
燥したため磁場方向に単磁区粒子である微粉末が配向し
固定されており塊状凝集体は異方性磁石となっている。
【0057】以上の二つのサンプルを大気中120℃で
放置する促進試験を100時間行なった。10時間毎に
一部分採取して、磁場中配向してワックスで固定してか
らVSM測定を行なって経時変化を調べたが磁気特性の
劣化はほとんどなかった。すなわち磁石合金の微粉末は
アモルファスSiO2で覆われて酸化されることが無い
ために磁気特性の劣化が起きないと考えられる。
【0058】比較例として、ジェットミル粉砕したまま
の平均粒径1.8μmの微粉末を大気中120℃で2時
間促進試験をした後のVSM測定による磁気特性を上述
の図1に比較サンプル(曲線3)として追加して記載す
る。この測定サンプルは磁場配向しながらワックス固定
したもので単磁区粒子である微粉末の磁化容易方向の磁
気特性を表している。図1から明らかなようにBサンプ
ルの磁化曲線と比べると磁化が低下し、保磁力(iH
c)も半減に近いほど低下しており酸化が進んだためと
考えられる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
合金粉末の表面を酸化物または酸窒化物からなる無機化
合物により覆うことにより、酸化がし易く経時変化が問
題となっていたR217X系磁石粉末に耐酸化性を付与
することができる。
【0060】また、本発明のR217X系磁石粉末凝集
体は扱い易い従来のボンド磁石用磁石粉末程度の大きさ
として得ることが容易なものである。
【0061】さらに、本発明によれば、合金粉末を、珪
素含有ポリマーを含む溶液に分散させることにより、前
記合金粉末の表面に前記珪素含有ポリマーを付着させる
工程と、前記表面に付着した珪素含有ポリマーを無機珪
素化合物に転換する工程とを含む製造方法とすることに
より、耐酸化性が付与されたR217X系磁石粉末また
はその凝集体を合理的かつ確実に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例において得られた磁石粉末の
磁化4πI−磁場H曲線を示すグラフである。
【図2】 本発明に関するペルヒドロポリシラザンの分
子構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 実施例で作製した等方性磁石塊状凝集体の特性 2 実施例で作製した異方性磁石塊状凝集体の特性 3 比較のため大気中促進試験を実施した磁石粉末の特

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R217X相を主とする合金粉末と、こ
    の合金粉末の表面を覆う酸化物および酸窒化物から選ば
    れるいずれかの無機化合物とからなることを特徴とする
    217X系磁石材料粉末。ただし、Rは、Smを必須
    とする少なくとも1種の希土類元素であり、Tは、Fe
    を必須とする少なくとも1種の金属元素であり、xは、
    2.6〜3.2の範囲にある数値である。
  2. 【請求項2】 無機化合物が無機珪素化合物である請求
    項1に記載のR217X系磁石材料粉末。
  3. 【請求項3】 無機珪素化合物が、Si−O結合からな
    るネットワーク構造およびSi−O結合とSi−N結合
    とからなるネットワーク構造から選ばれるいずれかのネ
    ットワーク構造を有し、合金粉末を覆う前記ネットワー
    ク構造により、前記合金粉末の酸化が抑制されている請
    求項2に記載のR217X系磁石材料粉末。
  4. 【請求項4】 合金粉末の平均粒径が3μm以下である
    請求項1〜3のいずれかに記載のR217X系磁石材料
    粉末。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のR2
    17X系磁石材料粉末が凝集して平均直径が30μm〜
    400μmの凝集塊状をなしていることを特徴とするR
    217X系磁石材料粉末凝集体。
  6. 【請求項6】 磁化容易軸が一定の方向に配向している
    請求項5に記載のR217X系磁石材料粉末凝集体。
  7. 【請求項7】 少なくとも、請求項1〜4に記載のR2
    17X系磁石材料粉末および請求項5〜6に記載のR2
    17X系磁石材料粉末凝集体から選ばれるいずれか一
    つを構成要素とすることを特徴とするボンド磁石。
  8. 【請求項8】 R217X相を主とする合金粉末を、珪
    素含有ポリマーを含む溶液に分散させることにより、前
    記合金粉末の表面に前記珪素含有ポリマーを付着させる
    工程と、前記表面に付着した珪素含有ポリマーを無機珪
    素化合物に転換する工程とを含むことを特徴とするR2
    17X系磁石材料粉末の製造方法。ただし、Rは、S
    mを必須とする少なくとも1種の希土類元素であり、T
    は、Feを必須とする少なくとも1種の金属元素であ
    り、xは、2.6〜3.2の範囲にある数値である。
  9. 【請求項9】 珪素含有ポリマーを無機珪素化合物に転
    換する前に、溶液が付着した合金粉末から余分の溶液を
    分離する請求項8に記載のR217X系磁石材料粉末の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 合金粉末から余分の溶液を分離する手
    段が、遠心分離を含む請求項9に記載のR217X系磁
    石材料粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8〜10のいずれかに記載のR
    217X系磁石材料粉末の製造方法において、R217
    X相を主とする合金粉末の表面に珪素含有ポリマーを
    付着させる工程により、前記合金粉末が塊状に凝集した
    凝集体を得ることを特徴とするR217X系磁石材料粉
    末凝集体の製造方法。
  12. 【請求項12】 合金粉末の表面に珪素含有ポリマーを
    付着させた後であって前記表面に付着した珪素含有ポリ
    マーを無機珪素化合物に転換する前に、外部磁場を作用
    させることにより、磁化容易軸を一定の方向に配向させ
    る請求項11に記載のR217X系磁石材料粉末凝集体
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 磁化容易軸を一定の方向に配向させな
    がら前記余分の溶液を分離する請求項11または12に
    記載のR217X系磁石材料粉末凝集体の製造方法。
  14. 【請求項14】 真空中または不活性雰囲気中におい
    て、前記凝集体から溶液を分離する請求項11〜13の
    いずれかに記載のR217X系磁石材料粉末凝集体の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 珪素含有ポリマーを80〜150℃の
    温度域で無機珪素化合物に転換する請求項11〜14の
    いずれかに記載のR217X系磁石材料粉末凝集体の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 珪素含有ポリマーに酸素原子を導入す
    ることにより、この珪素含有ポリマーを、Si−O結合
    からなるネットワーク構造およびSi−O結合とSi−
    N結合とからなるネットワーク構造から選ばれるいずれ
    かのネットワーク構造を有する無機珪素化合物に転換す
    る請求項11〜15のいずれかに記載のR217X系磁
    石材料粉末凝集体の製造方法。
  17. 【請求項17】 珪素含有ポリマーがポリシラザンであ
    る請求項11〜16のいずれかに記載のR217X系磁
    石材料粉末凝集体の製造方法。
  18. 【請求項18】 珪素含有ポリマーを無機珪素化合物に
    転換した後に、平均直径が30μm〜400μmとなる
    ように粉砕する請求項11〜17のいずれかに記載のR
    217X系磁石材料粉末凝集体の製造方法。
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