JP3997764B2 - 交換スプリング磁石及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交換スプリング磁石およびその製造方法に関し、より詳しくは、磁石用合金にDyおよびVをさらに含ませることによって、磁石特性の向上が図られた交換スプリング磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石相(ハード相)と軟磁性相(ソフト相)とがナノサイズで混在する交換スプリング磁石が、新たな磁石材料として注目を集めている。交換スプリング磁石は、高い磁束密度を有するソフト相を含有するため、磁石全体としての磁束密度が向上し、磁石特性の劇的な向上が図れる。交換スプリング磁石の開発は、ハード相をNd−Fe−B系、ソフト相をFeまたはFe−B系とした組成系に関して、開発が進められている。
【0003】
現実の交換スプリング磁石は、希土類元素量が8〜9atom%の範囲で高い磁石特性が発現している。ただし、マイクロマグネティクスシミュレーションからは、より低希土類組成、即ちソフト相の含有量が多い組成とすることによって、さらなる磁石特性向上の可能性が示されている。これは、先に述べたようにソフト相は磁束密度が高いため、ソフト相の含有量を増加させることによって、磁石全体の磁束密度が高くなることを反映した結果である。
【0004】
しかしながら、実際に希土類元素量を減少させ、ソフト相の含有量を増加させた交換スプリング磁石を製造してみると、上述のシミュレーション通りの高い磁石特性を発現させることは困難であることが明らかとなった。その原因は、ソフト相の含有量の増加に伴う磁石の結晶粒径の増大である。即ち、ソフト相を増加させた場合、製造過程で交換スプリング磁石の粒径が増大してしまい、ソフト相とハード相との交換結合力が低下する。このため、シミュレーションよりも保磁力が極端に低下し、交換スプリング磁石の磁石特性低下を招来していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事項に鑑み完成されたものであり、磁石中に含まれるソフト相の含有量を増加させた場合であっても、結晶粒径が微細で、磁束密度および保磁力の双方に関して優れた特性を有する交換スプリング磁石およびその原料となる磁石用合金を提供することを目的とする。
【0006】
また、上記交換スプリング磁石の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、交換スプリング磁石を製造する過程で使用される磁石用合金として、Nd、Fe、Bに加えて、さらにDyおよびVを含む合金を使用することによって、磁束密度および保磁力の双方に関して優れた特性を有する交換スプリング磁石が得られることを見出した。即ち、本発明は、DyおよびVを磁石用合金中に添加することによって、熱処理による結晶化過程においてFeB化合物の析出を促進させることができ、その結果、得られる交換スプリング磁石の結晶粒径を微細にできる点を見出し完成されたものである。本願発明は、具体的には、請求項毎に以下の構成を有する。
【0008】
本発明は、(1)Nd、Dy、Fe、VおよびBの含有量が下記式(1):
【化3】
Figure 0003997764
式中、aは5〜6.5であり、bは0.5〜2.0であり、cは0.5〜3.5であり、dは4〜12である:
で表される磁石用合金から製造され、ソフト相としてα−Fe相のみおよびハード相としてNd Fe 14 B相のみを含有し、希土類元素を5.5〜7atom%含む交換スプリング磁石である。
【0010】
また、本発明は、(Nd、Dy、Fe、VおよびBの含有量が下記式(1):
【化4】
Figure 0003997764
式中、aは5〜6.5であり、bは0.5〜2.0であり、cは0.5〜3.5であり、dは4〜12である。:で表される磁石用合金を用いて、液体急冷法またはメカニカルアロイ法により少なくとも一部がアモルファス状態である合金を作製する工程と、
前記少なくとも一部がアモルファス状態である合金に、Fe B化合物を析出させた後に最終的にα−Fe相およびNd Fe 14 B相が結晶化するように熱処理を施す工程と、
を含む、希土類元素を5.5〜7atom%含む交換スプリング磁石の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、()前記少なくとも一部がアモルファス状態である合金のアモルファス含有量が50〜90質量%であることを特徴とする(2)に記載の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、()前記熱処理の温度が725〜775℃であることを特徴とする()または()に記載の製造方法である。
【0013】
また、本発明は、()前記熱処理の保持時間が0〜10分であることを特徴とする()〜()のいずれか1に記載の製造方法である。
【0014】
また、本発明は、(1)に記載の交換スプリング磁石を用いたモータである。
【0015】
また、本発明は、(1)に記載の交換スプリング磁石を用いたセンサである。
【0016】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明によれば、請求項毎に次のような効果を奏する。
【0017】
請求項1に記載の発明にあっては、交換スプリング磁石を製造するために用いられる合金中に、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)、ホウ素(B)に加えて、さらにジスプロシウム(Dy)およびバナジウム(V)が含まれている。合金中にDyおよびVが含まれている場合、アモルファス状態にある中間材料の熱処理による結晶化過程において、過渡的にFe3B化合物の析出が促進される。析出するFe3B化合物は結晶成長を抑制する作用を有するため、製造される交換スプリング磁石は、結晶粒径の小さな、即ち保磁力の高い交換スプリング磁石となる。ソフト相の含有量を増加させた場合であっても、微細な結晶粒径を有する交換スプリング磁石を得ることができる。従って、ソフト相の含有量を増加させた場合には、磁束密度および保磁力の双方に優れた特性を有する交換スプリング磁石を得ることができる。さらに、合金組成の調節だけで優れた磁石特性の発現を図れるものであり、製造コストを低く抑える効果も有する。
【0018】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の磁石用合金を用いることにより、α−Fe相からなるソフト相、および、Nd2Fe14B相からなるハード相を有する、磁束密度および保磁力の双方に優れた特性を有する交換スプリング磁石を得ることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明にあっては、磁石用合金中にDyおよびVを含ませることによって、アモルファス状態にある合金の熱処理過程(結晶化)において、過渡的にFe3B化合物の析出が促進される。析出するFe3B化合物は結晶成長を抑制する作用を有するため、磁束密度および保磁力の双方に優れた特性を有する交換スプリング磁石を得ることができる。さらに、合金組成の調節だけで優れた磁石特性の発現を図れるものであり、製造コストを低く抑える効果も有する。
【0020】
請求項4に記載の発明にあっては、得られる交換スプリング磁石の磁石特性を高めることができる。即ち、アモルファス含有量が50質量%未満であると、既に結晶質をなしている部分が多いため、製造される交換スプリング磁石の最終的な結晶粒径が増大する恐れがある。一方、アモルファス含有量が90質量%を超えると、結晶成長を阻害するFe3B化合物の成長が不充分なものとなり、製造される交換スプリング磁石の最終的な結晶粒径が増大する恐れがある。熱処理が加えられる合金のアモルファス含有量を50〜90質量%とすることによって、これらの弊害の発生を排除し、得られる交換スプリング磁石の磁石特性を高めることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明にあっては、アモルファス状態を含む合金の熱処理における処理温度を725〜775℃の範囲とすることによって、製造される交換スプリング磁石の磁石特性を高めることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明にあっては、アモルファス状態を含む合金の熱処理における保持時間を0〜10分の範囲とすることによって、優れた磁石特性を有する交換スプリング磁石を得ることができる。
【0023】
請求項7および8に記載の発明にあっては、優れた磁石特性を有する本発明の交換スプリング磁石を、モータまたはセンサに適用することによって、モータまたはセンサの小型軽量化が可能である。例えば、自動車用部品に適用した場合には、車体の軽量化に伴う飛躍的な燃費の向上が可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0025】
本発明の第1は、Nd、FeおよびBに加えて、さらにDyおよびVを含む磁石用合金である。交換スプリング磁石は、一般に、Nd2Fe14B相からなるハード相とα−Fe相からなるソフト相とからなり、ナノメートルオーダの微細な結晶粒径を維持することによって良好な磁石特性が発現する。従って、結晶粒成長の抑制が、磁石特性に大きな影響を及ぼす。本発明では、磁石用合金中に、さらに、DyおよびVを含ませることによって、結晶中成長を抑制するものである。
【0026】
ナノメートルオーダの微細な結晶が混在した交換スプリング磁石は、磁石用合金から液体急冷法やメカニカルアロイ法等によってアモルファス状態の中間体を得て、この中間体に熱処理を施すことによって、製造することができる。本願においては、アモルファス状態の中間体にDyおよびVが含まれるため、熱処理による結晶化過程において、過渡的にFe3B化合物の析出が促進される。このFe3B化合物の作用によって、結晶成長が抑制される。最終的にはα−Fe相とNd2Fe14B相が結晶化するわけであるが、中間的な相としてFe3B相が存在することによって、最終的なα−Fe相とNd2Fe14B相の結晶化の核が複数化し、結果的に結晶粒径の抑制効果が表れると理解できる。
【0027】
磁石用合金中の各元素の含有量は、特に限定されるものではないが、製造される交換スプリング磁石の磁石特性や、形成されるハード相およびソフト相の量を考慮すると、以下の範囲であることが好ましい。元素の含有量は、磁石用合金を調整する際の元素配合量の調整によって制御可能である。
【0028】
Ndの量は、少なすぎると、交換スプリング磁石を製造した際の保磁力が低下する恐れがあるため、5atom%以上が好ましい。ただし、多すぎると、ソフト相の占める割合が少なくなり、交換スプリング磁石を製造した場合の磁石特性が低下する恐れがある。このため、7atom%以下が好ましい。
【0029】
Feの量は、少なすぎるとソフト相の減少により、交換スプリング磁石の磁束密度が低下する恐れがあるため、74.5atom%以上が好ましい。ただし、多すぎると、保磁力が低下する恐れがある。このため、90atom%以下が好ましい。
【0030】
Bの量は、少なすぎると、ハード相量が減少する恐れがあるため、4atom%以上が好ましい。ただし、多すぎると、磁石特性の低下を誘起する他の相ができる恐れがある。このため、12atom%以下が好ましい。
【0031】
Dyの量は、少なすぎると、本発明の結晶粒成長抑制効果が充分に得られない恐れがあるため、0.5atom%以上が好ましい。ただし、多すぎると、磁気特性が逆に低下する原因となりうるため、3.0atom%以下であることが好ましい。
【0032】
Vの量は、少なすぎると、本発明の結晶粒成長抑制効果が充分に得られない恐れがあるため、0.5atom%以上が好ましい。ただし、多すぎると、磁気特性が逆に低下する原因となりうるため、3.5atom%以下であることが好ましい。
【0033】
磁石用合金中のNd、Dy、Fe、VおよびBの含有量についてまとめると、下記式(1)で表される。
【0034】
【化1】
Figure 0003997764
【0035】
(式中、aは5〜6.5であり、bは0.5〜2.0であり、cは0.5〜3.5であり、dは4〜12である。)
磁石用合金中には、Nd、Fe、B、Dy、V以外の元素を本発明の効果が失われない範囲で添加してもよい。例えば、Pr、Tb、Co、Al、Mo、Zr、Ti、Sn、Cu、Ga、Nbなどを磁石特性向上のために合金中に含ませてもよい。なお、本発明に係る磁石用合金は合金材料であるため微量の不純物の混入は止むを得ないが、不純物量は少量であるほど好ましく、1質量%以下であることが好適である。当該磁石用合金から製造される交換スプリング磁石に関しても同様のことが言える。
【0036】
本発明の磁石用合金からは、ソフト相としてα−Fe相、ハード相としてNd2Fe14B相を含有する交換スプリング磁石が製造できる。交換スプリング磁石中に含まれる希土類元素量は、特に限定されるものではない。ただし、希土類元素を減少させてソフト相を増加させた場合であっても、磁束密度および保磁力の双方に優れた特性を有する交換スプリング磁石を製造できる本願の効果を最大限活用する観点からは、交換スプリング磁石用中に含まれる希土類元素量は低いほど好適であるといえ、具体的には5.5〜7atom%であることが好ましい。
【0037】
続いて、本発明に係る交換スプリング磁石の製造方法について説明する。
【0038】
まず、所望の組成になるように各金属元素を調整して配合し、真空中やアルゴン雰囲気下において高周波誘導溶解などの公知手段を適用することによって、磁石用合金を製造する。本発明においては、DyおよびVをNd、Fe、Bと同時に配合することによって、後述する熱処理において、結晶粒成長を抑制可能である。
【0039】
続いて、得られた磁石用合金に液体急冷法やメカニカルアロイ法を施すことによって、少なくとも一部がアモルファス状態である合金を中間体として得る。液体急冷法を用いた場合には、急冷薄帯が得られる。液体急冷法としてはメルトスパン法が挙げられる。液体急冷法は、公知の装置を用いて行うことができ、特別な改良を加えなくともよい。ただし、改良を排除するものではない。作動条件は使用する装置や合金の種類に応じて適宜設定する必要があり一義的に決められないが、特に冷却速度に留意する必要がある。冷却速度が早すぎても遅すぎても、急冷薄帯の均一性が損なわれる等の弊害が生じる。冷却速度は、急冷薄帯の厚さと密接な関連があり、得られる急冷薄帯の厚さが10〜300μm程度になるように調製することが一般的である。メカニカルアロイ法も各種公知の装置を用いることができる。ただし、改良を排除するものではない。作動条件は使用する装置や合金の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0040】
液体急冷法またはメカニカルアロイ法によって調整される合金は、アモルファス含有量が50〜90質量%であることが好ましい。アモルファス含有量が50質量%未満であると、既に結晶質をなしている部分が多いため、製造される交換スプリング磁石の最終的な結晶粒径が増大する恐れがある。一方、アモルファス含有量が90質量%を超えると、結晶成長を阻害するFe3B化合物の成長が不充分なものとなり、製造される交換スプリング磁石の最終的な結晶粒径が増大する恐れがある。アモルファス含有量の調整は、液体急冷法の条件を制御することによって可能である。具体的には、液体急冷時のロール周速度の制御、メカニカルアロイ時の回転数および時間の制御によって調整できる。合金中のアモルファス含有量は、磁化の温度特性を用いて測定することができる。
【0041】
続いて、熱処理によって中間体であるアモルファス状態を含む合金を結晶化させる。熱処理は、処理温度が725〜775℃の範囲であることが好ましい。この範囲であると、製造される交換スプリング磁石の磁石特性の効果的な向上が図れる。なお、処理温度とは、合金の熱処理における最高温度を意味する。また、熱処理における保持時間が0〜10分の範囲であることが好ましい。この範囲であると、優れた磁石特性を有する交換スプリング磁石を得ることができる。なお、保持時間とは、前記熱処理温度での保持時間を意味し、保持時間が0分とは、熱処理温度にまで到達したら、直ちに、降温を開始することを意味する。725〜775℃の範囲で0〜10分間保持させてもよく、このような場合において、保持温度を連続的または段階的に変化させてもよい。熱処理雰囲気は、真空または不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。具体的には、10-3Pa以下の高真空とすることが好ましく、不活性ガスとしては窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
【0042】
結晶化させた合金を所望の形状に成形した後、着磁処理を施すことによって交換スプリング磁石とすることができる。合金を特に加工せずに着磁してもよい。着磁は、静磁場やパルス磁場を用いて行うことができる。量産性を考えると、パルス磁場を用いることが好ましい。
【0043】
結晶化させた合金を所望の形状に成形するにあたっては、各種公知技術を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、リボン状の交換スプリング磁石を粉末として、プラスチックと混ぜて成型することにより、ボンド磁石とすることができる。粉砕は、各種粉砕機を用いることができ、ジョークラッシャー、ブラウンミル、ボールミル、サンドミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミルなどが挙げられる。サブミクロン粉砕の観点からはボールミルが好ましい。これらを組み合わせてもよいことは勿論である。ボールミルは湿式でも乾式でもよいが、磁石粉末の酸化による磁気特性の劣化を防ぐために非酸化性の雰囲気下(アルゴン雰囲気下、窒素雰囲気下など)で行うことが好ましい。湿式ボールミルにはシクロヘキサンなどを用いることができる。また、磁石粉末の凝集を抑制するために分散剤を用いることが好ましい。分散剤は磁場配向にも好適な効果を及ぼしうる。分散剤としては、湿式ではコハク酸を、乾式ではステアリン酸を用いることができる。バルク磁石に加工してもよい。バルク磁石にする場合には、バルク磁石の密度は、エネルギー積を高める観点からは原料である磁石用合金の真密度に近いことが好ましく、具体的には95%以上の真密度を有することが好ましい。交換スプリング磁石の成形に伴って、メッキ等の表面処理を施すこともできる。
【0044】
本発明の交換スプリング磁石は、各種磁石を必要とする装置に適用することができ、例えば、モータ、センサ(磁界センサ、回転センサ、加速度センサ、トルクセンサ)等が挙げられる。これらの装置に適用した場合、製品の小型軽量化が可能である。例えば、自動車用部品に適用した場合には、車体の軽量化に伴う飛躍的な燃費の向上が可能である。また、特に電気自動車やハイブリッド電気自動車の駆動用モータに適用することが効果的である。これまではスペースの確保が困難であった場所にも駆動用モータを搭載することが可能となり、電気自動車やハイブリッド自動車の汎用化に大きな役割を果たすと考えられる。なお、参考までに、図1に、本発明に係る交換スプリング磁石を駆動用モータに応用した例を示す。
【0045】
【実施例】
本発明の効果を、以下の実施例を用いて説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲が以下の実施例に限定されるものでは勿論ない。
【0046】
1.DyおよびVの磁石特性への影響調査
下記表1で示される組成を有する合金を、高周波誘導溶解によって調製した。引続き、単ロール液体急冷法を用いて、急冷薄帯を作製した。この時のロール周速度はVs=55m/sとした。得られた急冷薄帯に、真空中で750℃×2minの熱処理を施し、10Tのパルス着磁により交換スプリング磁石とした。なお、750℃までは25℃/minで昇温させた。得られた交換スプリング磁石の磁気特性をVSM(Vibrating Sample Magnetometer)を用いて測定した。表1に磁気特性を示す。表1から明らかなように、合金組成中にDyおよびVを添加することによって、得られる交換スプリング磁石の保磁力(HcJ)および残留磁束密度(Br)が向上し、最大エネルギー積(BH)maxが向上する様子が確認できた。
【0047】
【表1】
Figure 0003997764
【0048】
なお、熱処理温度の変化に伴うX線回折パターンの変化を観察した。DyおよびVが添加されている場合(実施例1)、ならびに、DyおよびVが添加されていない場合(比較例1)について、それぞれ結果を図2に示す。DyおよびVが添加されている試料におけるX線回折パターンからは、結晶化段階の中間段階(600℃)において、Fe3B相が存在していることが確認された(図中、「×」で示したピーク)。一方、DyおよびVが添加されていない試料におけるX線回折パターンからは、Fe3B相の存在は確認できなかった。
【0049】
また、DyおよびVが添加されている交換スプリング磁石(実施例1)および添加されていない交換スプリング磁石(比較例1)の微細構造をTEMで確認した。結果を図3に示す。図に示されるようにDyおよびVを添加した交換スプリング磁石においては、結晶粒の成長が抑制されていることが確認された。
【0050】
2.熱処理条件と磁石特性との関係調査
Nd5Dy1Fe8626の組成を有する合金を用いて、上記「1.DyおよびVの磁石特性への影響調査」と同様の方法で交換スプリング磁石を調製した。その際、熱処理の温度および保持時間を変化させ、(BH)maxの変化を観察した。結果を図4に示す。熱処理温度が、725〜775℃の範囲で優れた磁石特性を有する磁石が得られた。また、熱処理の保持時間が0〜10minの範囲で優れた磁石特性を有する交換スプリング磁石が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の交換スプリング磁石を駆動用モータに応用した例を示す図である。
【図2】 熱処理温度の変化に伴うX線回折パターンの変化を示す図である。
【図3】 DyおよびVを添加した交換スプリング磁石および添加していない交換スプリング磁石のTEM写真である。
【図4】 熱処理条件と磁石特性との関係調査を示すグラフである。

Claims (7)

  1. Nd、Dy、Fe、VおよびBの含有量が下記式(1):
    Figure 0003997764
    式中、aは5〜6.5であり、bは0.5〜2.0であり、cは0.5〜3.5であり、dは4〜12である:
    で表される磁石用合金から製造され、ソフト相としてα−Fe相のみおよびハード相としてNd Fe 14 B相のみを含有し、希土類元素を5.5〜7atom%含む交換スプリング磁石。
  2. Nd、Dy、Fe、VおよびBの含有量が下記式(1):
    Figure 0003997764
    式中、aは5〜6.5であり、bは0.5〜2.0であり、cは0.5〜3.5であり、dは4〜12である。:
    で表される磁石用合金を用いて、液体急冷法またはメカニカルアロイ法により少なくとも一部がアモルファス状態である合金を作製する工程と、
    前記少なくとも一部がアモルファス状態である合金に、Fe B化合物を析出させた後に最終的にα−Fe相およびNd Fe 14 B相が結晶化するように熱処理を施す工程と、
    を含む、希土類元素を5.5〜7atom%含む交換スプリング磁石の製造方法。
  3. 前記少なくとも一部がアモルファス状態である合金のアモルファス含有量が50〜90質量%であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  4. 前記熱処理の温度が725〜775℃であることを特徴とする請求項またはに記載の製造方法。
  5. 前記熱処理の保持時間が0〜10分であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1に記載の交換スプリング磁石を用いたモータ。
  7. 請求項1に記載の交換スプリング磁石を用いたセンサ。
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