JPH11133230A - 偏光子及びその製造方法 - Google Patents

偏光子及びその製造方法

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JPH11133230A
JPH11133230A JP9297573A JP29757397A JPH11133230A JP H11133230 A JPH11133230 A JP H11133230A JP 9297573 A JP9297573 A JP 9297573A JP 29757397 A JP29757397 A JP 29757397A JP H11133230 A JPH11133230 A JP H11133230A
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metal
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transparent dielectric
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徹 深野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属粒子層及び透明誘電体層の積層数が少なく
ても消光比及び挿入損失等の光学的特性に優れ、また安
価に製造可能なものとする。 【解決手段】透明基板1の少なくとも一主面上に、回転
楕円体状を成し光吸収異方性を有する金属粒子2aが分
散された金属粒子層2と透明誘電体層3とを設けてなる
偏光子P1であって、前記金属粒子層2の面内における
金属粒子2aの短軸方向の平均間隔が100nm以上で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信システム、
光記録再生装置、光センサー応用装置等に使用される偏
光子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の偏光子としては以下の(1)〜
(5)のようなものがあった。
【0003】(1)着色剤を溶かし込んだ溶液をセル内
に入れたもの、あるいは透明なプラスチックに着色剤を
混入させたもので、光吸収性に異方性を持たせたもの。
【0004】(2)複屈折性の大きい透明な結晶からな
る基板上に誘電体薄膜を多数積層し、誘電体薄膜による
多層干渉効果により、偏光方向がそれぞれ異なる常光線
か異常光線のいずれかを効率良く吸収又は透過させる、
グラントムソンプリズム等の偏光プリズム。
【0005】(3)複屈折性の大きい透明な結晶からな
る基板表面におけるブリュースター角条件を利用して、
偏光方向が90°異なる偏光成分を分離する偏光ビーム
スプリッター。
【0006】(4)透明なフィルム内で高分子材料を一
定方向に配向させ、高分子の光吸収性の異方性、屈折率
異方性等を利用して特定方向の偏光成分を吸収又は透過
させる偏光フィルム。
【0007】(5)透明なガラスからなる透明固体媒質
中に、回転楕円体状の銀粒子等の金属粒子をその長軸又
は短軸を特定方向に揃えて分散させることにより、光吸
収性に異方性を持たせたもの(特公平2−40619号
公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)
のような着色イオンを利用したものは波長依存性が大き
く、波長毎に最適な光吸収性を示す着色イオンを選択す
る必要があった。また、(2),(3)のように複屈折
性の大きい結晶を利用したものは波長依存性は小さい
が、結晶の加工が困難であり、そのため偏光子の寸法が
制限され小型化し難いという問題点があった。(4)の
ようなフィルム内の高分子の配向を利用したものは特定
方向への均一な配向が難しく、また配向性が良くても複
屈折性の結晶と比較した場合大きな消光比が得難いとい
う問題がある。
【0009】また、(5)の回転楕円体状の金属粒子を
透明固体媒質中に分散させたタイプは、波長依存性が小
さく小型化に適しているが、下記の理由で金属粒子の分
散状態の制御が難しいため、偏光子として必要な挿入損
失の0.3dB以下、更に通信用として十分な挿入損失
0.1dB以下を実現することができなかった。
【0010】そして、(5)の偏光子は以下のような工
程(a)〜(d)で製造される。
【0011】(a)銀及びハロゲン化物(塩化物,臭化
物,ヨウ化物等)よりなるガラス用バッチを溶融してガ
ラス基板等の形状に成型する。
【0012】(b)所定の温度等の条件で熱処理を行い
ガラス中にハロゲン化銀粒子を析出させる。
【0013】(c)ガラス基板を所定の温度に加熱した
状態で張力を加えて延伸し、ハロゲン化銀粒子を伸長さ
せ、かつ張力の方向へ整列させる。
【0014】(d)ガラス基板を所定の温度に加熱した
状態で還元雰囲気中に暴露し、ハロゲン化銀の一部を金
属銀に還元する。
【0015】しかしながら、上記製法では、ハロゲン化
銀から金属銀に還元するために、還元雰囲気中で熱処理
を行っているが、この方法でガラス内の金属銀の量を正
確に制御することは困難であり、そのため所望の安定し
た挿入損失等の光学的特性を得ることができなかった。
また、熱処理時にガラスの厚さ方向に温度分布が生じ易
く、厚さ方向の中心部に金属化しなかったハロゲン化銀
が残留し、これが光の透過率を低下させていた。更に、
ハロゲン化銀粒子は還元される際に、1/3程度の体積
収縮を伴うため、還元後のガラス表面がポーラスにな
り、光の透過率低下やクラックの原因となるなど信頼性
の点で問題があった。
【0016】そこで、ガラス等の基板上に真空蒸着法等
により不連続な島状の金属層と、ガラス等の透明誘電体
層を交互に積層し、加熱延伸によって金属層に光吸収異
方性を付与したものが提案されている(電子情報通信学
会誌 1990年秋季全国大会C−212参照)。この
偏光子では、金属層の各島が金属粒子の役割を果たし、
金属粒子を分散させたのと同様の構成となる。しかしな
がら、上記の製法では、金属層の各島の分散状態の制御
が難しく、通信用に使用するための十分な挿入損失0.
1dB以下を実現するのが困難であるという問題があ
る。
【0017】また、金属粒子の面内における金属粒子の
分布密度(個数密度)、金属粒子の厚さ方向での間隔、
更に延伸後に回転楕円体状になった金属粒子の短軸方向
の間隔が挿入損失に大きな影響を及ぼしていると考えら
れるが、従来このような分布に関し言及した例はなかっ
た。また、従来の延伸方法では、原理的に延伸後の金属
粒子の短軸方向の間隔が狭くなってしまい、その結果挿
入損失が大きくなり実用に供し得ないものであった。
【0018】そして、延伸後の短軸方向の間隔を広げる
方法として、延伸前の金属粒子の個数密度を大きく減少
させることが考えられるが、その場合高消光比を得るに
は金属層及び透明誘電体層の積層数を多くする必要があ
り、その結果挿入損失するとともに作製時間が長くかか
り高コスト化するという問題点があった。
【0019】従って、本発明は上記事情に鑑みて完成さ
れたものであり、その目的は金属層及び透明誘電体層の
積層数が少ないにもかかわらず、消光比及び挿入損失等
の光学的特性に優れ、また安価に製造可能なものとする
ことにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の偏光子は、透明
基板の少なくとも一主面上に、回転楕円体状を成し光吸
収異方性を有する金属粒子が分散された金属粒子層と透
明誘電体層とを設けてなる偏光子であって、前記金属粒
子層の面内における金属粒子の短軸方向の平均間隔が1
00nm以上であることを特徴とし、これにより、挿入
損失等の光学的特性に優れたものとなる。
【0021】また、本発明の偏光子の製造方法は、透明
基板の少なくとも一主面上に、金属粒子層と透明誘電体
層とを交互に積層し、この積層体を加熱するとともに金
属粒子層の面内の特定方向に延伸して、金属粒子を回転
楕円体状に整形する偏光子の製造方法であって、前記積
層体を所定の第1方向に延伸して前記金属粒子を回転楕
円体状となし、次いで熱処理して前記金属粒子を再粒子
化させ、その後前記第1方向にほぼ直交する第2方向に
延伸することを特徴とし、こような構成により、金属粒
子の短軸方向の平均間隔を自在に制御可能であり、また
金属粒子の分布密度を大きくしても前記平均間隔を従来
通りとできる。即ち、従来金属粒子を配置できなかった
長軸方向の隙間に配置可能となり、その結果、挿入損失
を増加させずに、従来と同じ積層数でより高い消光比が
得られる。
【0022】本発明の製造方法において、好ましくは、
前記第1方向への延伸距離をL1 、前記第2方向への延
伸距離をL2 とすると、1≦L1 /L2 ≦3である。
【0023】更に、本発明の偏光子において好ましく
は、前記透明誘電体層の厚さは50nm以上であり、前
記金属粒子の分布密度は5〜33個/μm2 である。
【0024】また、本発明の偏光子を用いた光アイソレ
ータは、ファラデー回転子の光入射側及び/又は光出射
側に、本発明の偏光子を配設して構成され、挿入損失及
び消光比等において優れたものとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の偏光子P1の斜視図を図
1に示す。同図において、1はガラス等の透明材料から
なる透明基板、2は金属粒子2aを分散させた金属粒子
層、3はガラス等の透明材料からなる透明誘電体層、4
は金属粒子層2と透明誘電体層3とが交互に積層されて
成る偏光層である。
【0026】ここで、金属粒子層2は完全に密な層では
なく、全体を積層後に透明誘電体層中に金属粒子が分散
されたような状態となっており、換言すれば金属粒子2
aが面内方向に断続的に形成された層状の部分である。
【0027】前記金属粒子2aは、Cu,Au,Ag,
Pt,Rh,Ir,Fe,Ni,Cr等が好ましく、こ
れらは光吸収性が良好である。そして、これらの金属粒
子層2と透明誘電体層3はスパッタリング法等の薄膜形
成法によって成膜される。また、透明誘電体層3上に更
に誘電体多層干渉膜からなる反射防止膜等を形成しても
よく、更には偏光層4を透明基板1の両面に設けても構
わない。
【0028】本発明において、前記透明基板1は具体的
にはSiO2 ,B2 3 ,Na2 O,K2 O,BaO,
As2 3 等を主成分とするBK7ガラス(ホーヤガラ
ス(株)製商品名)やパイレックスガラス(コーニング
グラスワークス社製商品名)、石英ガラス等が好適であ
る。また、透明誘電体層3は透明基板1と同じ材質のも
のとするのが良く、材質が異なると熱膨張係数の違いか
ら膜応力が発生し、その結果、透明基板1と透明誘電体
層3間で剥離が生じ、金属粒子2aに光吸収異方性を付
与することができなくなる。
【0029】前記金属粒子層2の面内における金属粒子
2aの短軸方向の平均間隔は100nm以上であり、1
00nm未満では金属粒子2aが一つの粒子としてでは
なく、金属粒子2aの大きな集団として光を吸収するよ
うになり、挿入損失が大きくなる。より好ましくは20
0nm以上である。一方、前記平均間隔が500nmよ
りも大きくなると、金属粒子2aの数が少なくなり、消
光比が劣化し易いため、500nm以下が好ましい。
【0030】また、前記金属粒子層2の間隔、即ち一層
の透明誘電体層3の厚さは50nm以上がよく、より好
ましくは100nm以上とするが、これは以下の理由に
よる。尚、前記の厚さは延伸後のものであり、延伸前は
その3倍程度の厚さである。
【0031】金属粒子層2の同一層状部での金属粒子2
aの分布を制御するには、透明誘電体層3の膜厚を厚く
することが必要であるが、厚膜化すると加熱延伸時に、
透明誘電体層3中に含まれるAr等のスパッタガスが膨
張し、積層界面において気泡が発生する。更に延伸を行
うと気泡が引き裂かれ、最外層の透明誘電体層3表面に
亀裂が生じる。従来このような現象に対処するために、
300℃以上ガラス転移点(約580℃)以下の温度範
囲で熱処理を施すことにより脱ガスを行い、亀裂の発生
を抑制していたが、透明誘電体層3の厚さが延伸前に1
50nm以上では脱ガスが不可能であった。
【0032】そこで、スパッタリング装置内で、透明誘
電体層3の成膜毎に熱処理を行うことにより、透明誘電
体層3を延伸前に150nm以上に厚膜化することが可
能となり、延伸前に150nm以上とすると延伸後に5
0nm程度となり、脱ガスが可能なうえ挿入損失が0.
3dB以下、更に厚膜化すると0.1dB以下となるこ
とが判明した。また、本発明の偏光子P1は、上記の通
り、その製造工程で300℃以上ガラス転移点(約58
0℃)以下の温度範囲で脱ガス処理するのが良いが、そ
れは、スパッタガスは300℃付近から放出され始め、
400℃以上で多く放出され、ガラス転移点付近になる
とガラスの粘性が高くなり通気性が悪くなるからであ
る。
【0033】前記透明誘電体層3の厚さの上限は特に限
定するものではないが、あまり厚すぎると加熱による脱
ガス処理に時間がかかることと、挿入損失の改善効果が
頭打ちになることから、好ましくは200nm以下とす
る。
【0034】また、本発明は、金属粒子層2において、
同一の層状に存在する金属粒子2aの分布密度(個数密
度)は3〜37個/μm2 がよく、3個/μm2 未満で
は消光比が劣化し易く、37個/μm2 超では挿入損失
が0.3dBを超え易い。より好ましくは、5〜33個
/μm2 とする。ここで、前記分布密度は、少なくとも
1個の金属粒子2aの長軸を含む平面であって金属粒子
層2に平行な面でもって金属粒子層2を切断し、その面
内の金属粒子2aの個数を計数することにより、測定で
きる。
【0035】更に、回転楕円体状の金属粒子2aのアス
ペクト比(長軸/短軸比)は3〜30がよく、その場合
所望の消光比(光波長1310nm,1550nmで2
0dB以上)が得られ、より好ましくは15〜20とす
る。
【0036】このような本発明の偏光子P1は、図1に
示すように機能する。回転楕円体状の金属粒子2aの長
軸方向を仮にx方向、金属粒子2aの短軸方向を仮にy
方向、光の入射方向をz方向にとり、xyの直交する2
方向に偏光成分を有する入射光L1を偏光子P1に入射
すると、金属粒子2aの長軸方向(x方向)に平行な偏
光を多くしかも長波長帯にて吸収するため、出射光L2
はある波長帯域でy方向に平行な偏光のみとなり、偏光
子として作用する。
【0037】また、本発明の偏光子P1はファラデー回
転子と共に用いて光アイソレータに応用できる。この場
合、Ni−Fe合金等からなる円筒状のホルダ内に、Y
IG(イットリウム鉄ガーネット:3Y2 3 ・5Fe
2 3 )等からなる円板状のファラデー回転子を設置
し、そのファラデー回転子の光入射側及び/又は光出射
側に、本発明の偏光子P1を配置する。前記ホルダ内の
ファラデー回転子の周囲には、その偏光方向を磁場によ
り回転させるための永久磁石、電磁石等が設けられる。
【0038】そして、例えばファラデー回転子の光入射
側及び光出射側に、本発明の偏光子P1を配置した場合
について、その機能を説明する。光入射側の偏光子Aと
光出射側の偏光子Bとでは偏光方向が45°異なるよう
にし、またファラデー回転子による偏光方向の変化の方
向を、偏光子Aの偏光方向Aから偏光子Bの偏光方向B
へ向かって45°変化するように構成すると、光アイソ
レータとなる。
【0039】光アイソレータに入射したランダム偏光の
光は、偏光子Aによって一方向の偏光方向Aの光とな
り、ファラデー回転子によって偏光方向が45°変化
し、偏光方向Bの光となり、その結果偏光子Bをそのま
ま通過し出射する。出射側から戻ってきたランダム偏光
の光は、偏光子Bによって偏光方向Aと偏光方向が45
°異なる偏光方向Bの光となり、更にファラデー回転子
によって偏光方向が45°変化し、偏光方向Aと偏光方
向が90°異なる光となり、偏光子Aを通過することが
できない。従って、光アイソレータとして機能すること
になる。
【0040】このような光アイソレータは、本発明の偏
光子P1が内蔵されているため、挿入損失及び消光比等
の光学的特性において優れたものとなる。
【0041】かくして、本発明は、金属粒子層及び透明
誘電体層の積層数が少なくても、消光比及び挿入損失等
の光学的特性に優れ、また安価に製造可能になるという
作用効果を有する。
【0042】更に、本発明の偏光子P1の製法を下記の
工程(1)〜(8)及び図2により、以下に説明する。
尚、図2は1層の金属粒子層2の平面図である。
【0043】(1)BK7ガラス等の透明基板1を用意
し、その一主面上に島状に金属粒子2aが分布するよう
金属粒子層2をスパッタリング法、多元スパッタリング
法により形成する。このとき、成膜時間は完全な膜がで
きる前に成膜を止めるために約5分程度と短時間に設定
し、透明基板1を約500℃に加熱した状態で成膜する
と、金属粒子2aが島状に分布するものとなり、そして
島状の金属粒子2aの平面形状はほぼ円形である。
【0044】(2)金属粒子層2において金属粒子2a
を所望の大きさに成長させるために、透明基板1をガラ
ス転移点以下の温度で熱処理を行う。
【0045】(3)多元スパッタリング法により、透明
基板1と同じ材質の透明誘電体層3を成膜する。
【0046】(4)300℃〜ガラス転移点以下(58
0℃程度)の温度に加熱し、透明誘電体層3に混入した
Ar等のスパッタガスの脱ガス処理を行う。
【0047】(5)所望の消光比及び挿入損失が得られ
るまで、金属粒子層2と透明誘電体層3の成膜及び
(2),(4)の熱処理を複数回繰返し、透明誘電体層
3を形成する。
【0048】(6)この積層体を加熱した状態で金属粒
子層2の面内の第1方向に延伸して、金属粒子2aを回
転楕円体状に整形する(図2(a)〜(b))。
【0049】(7)積層体を300℃〜ガラス転移点程
度以下(630℃程度)で熱処理して、金属粒子2aを
凝集、再粒子化させほぼ円形に形成する(図2(b)〜
(c))。
【0050】(8)更に、積層体を加熱した状態で前記
第1方向にほぼ直交する第2方向に延伸し、金属粒子2
aを回転楕円体状に整形する(図2(c)〜(d))。
【0051】本発明の上記製造方法において、第1方向
と第2方向は厳密に直交する必要はなく、好ましくはそ
れらのなす角が90°±30°程度の範囲内であれば十
分本発明の効果が得られる。より好ましくは、90°±
10°程度がよい。
【0052】また、第1方向への延伸距離をL1 、第2
方向への延伸距離をL2 とすると、1≦L1 /L2 ≦3
がよい。これは、L1 が金属粒子2aの短軸方向の間隔
を規定するものであることから、L1 /L2 <1の場合
L1 の延伸距離が不十分となり、その結果金属粒子2a
の短軸方向の間隔が狭くなり、挿入損失が増加し易い。
また、L1 /L2 >3の場合、金属粒子2aの短軸方向
の間隔が広がりすぎるため、分布密度が低下し消光比が
劣化し易い。
【0053】上記の延伸工程における加熱温度は、透明
基板1及び透明誘電体層3がガラスの場合、625〜6
30℃程度がよい。
【0054】ここで、光学的特性を向上させて金属粒子
2aの短軸方向の間隔を広げるメカニズムを以下に説明
する。
【0055】従来の製造方法では、延伸を行うと透明基
板1の厚さが約1/3になり、透明基板1幅も約1/3
となる。延伸後の透明基板1の体積は変化しないため、
長さは9倍になる。このとき、延伸後の金属粒子2a
は、その長軸方向の間隔は延伸前の9倍と広がっている
が、短軸方向の間隔は延伸前の1/3となり、そのため
挿入損失が大きくなる。また、短軸方向の間隔を十分な
ものとしようとすると、金属粒子の数を減らす必要があ
り、その場合長軸方向の間隔が広がりすぎ、消光比が低
下する。そして、高消光比にするために積層数を増加さ
せねばならず、作製に時間がかかり高コスト化してい
た。
【0056】そこで、本発明では、第1方向に延伸して
金属粒子2aの長軸方向の間隔を十分に広げ、その後熱
処理して金属粒子2aを凝集、再粒子化して光吸収異方
性を除去し、更に第1方向とほぼ直交する第2方向に延
伸する。その結果、金属粒子2aの絶対的な個数を増加
させ光学的特性を向上させつつ金属粒子2aの短軸方向
の間隔を広げることができる。
【0057】尚、本発明は上記の実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の変更は何等差し支えない。
【0058】
【実施例】本発明の実施例を以下に説明する。
【0059】(実施例1)図1の偏光子P1を以下の工
程(1)〜(8)により作製した。
【0060】(1)透明基板1には76mm×10mm
×1mmのBK7ガラス、成膜装置として多元マグネト
ロンスパッタ装置、スパッタリングガスにはAr、ター
ゲットには金属粒子層2をなすCuと透明誘電体層3を
なすBK7ガラスをそれぞれ使用した。スパッタ条件は
RFパワー20W、スパッタ圧2.0×10-3tor
r、Arガスの流量10ccm、成膜時間約5分とし、
透明基板1を約500℃に加熱した状態で、金属(C
u)粒子層2の厚さが24nmになるように設定しスパ
ッタリングを行った。
【0061】ここで、金属粒子層2の厚さは上記スパッ
タ条件にて別途20分間成膜したものの膜厚を測定し、
その成膜速度を算出し、それを基準にして導きだした。
【0062】(2)Cuからなる金属粒子2aを成長さ
せるために、金属粒子層2の形成直後に500℃、60
分の熱処理を行った。
【0063】(3)金属粒子2aを透明誘電体層3中に
埋め込むために、金属粒子層2上に透明基板1材料と同
じBK7ガラスをスパッタリング法により、300nm
成膜した。
【0064】(4)580℃、1時間の熱処理をし、A
rの脱ガス処理を行った。
【0065】(5)(1)〜(4)の工程を5回繰返
し、金属粒子層2と透明誘電体層3の組を5組積層した
積層体を形成した。
【0066】(6)そして、この積層体を625℃にて
第1方向に45kg/mm2 の応力、延伸距離L1 =5
0mmで延伸を行い、金属粒子2aを回転楕円体状とな
し、延伸後の透明誘電体層3の膜厚は100nmであっ
た。
【0067】そして、この場合、前記第1方向への延伸
距離L1 を50mm,75mm,100mm,125m
m,150mmとした5つのサンプルを作製した。
【0068】(7)これらのサンプルに対し、625℃
で1時間の熱処理を施し、金属粒子を凝集させ、再粒子
化させた。
【0069】(8)さらに、前記第1方向と直交する第
2方向に、625℃,45kg/mm2 の応力で延伸距
離L2 =50mmで延伸を行い、5種の偏光子P1を作
製した。この場合、各偏光子P1の金属粒子2aの分布
密度は15個/μm2 (L1 =50mm),12個/μ
2 (L1 =75mm),9個/μm2 (L1 =100
mm),6個/μm2 (L1 =125mm),3個/μ
2 (L1 =150mm)であった。
【0070】そして、これら5種の偏光子P1につい
て、透過型電子顕微鏡による金属粒子層2の観察及び光
波長1310nmで光学的特性の測定を行い、それぞれ
の金属粒子2aの短軸方向の平均間隔及び挿入損失を、
表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1より、金属粒子2aの短軸方向の平均
間隔が100nmで挿入損失が0.08dB、200n
m以上で0.04dB以下と優れた値を示した。また、
200nmで消光比約20dBであった。
【0073】(実施例2)図1の偏光子P1を以下の工
程(1)〜(8)により作製した。
【0074】(1)透明基板1には76mm×10mm
×1mmのBK7ガラス、成膜装置として多元マグネト
ロンスパッタ装置、スパッタリングガスにはAr、ター
ゲットには金属粒子層2をなすCuと透明誘電体層3を
なすBK7ガラスをそれぞれ使用した。スパッタ条件は
RFパワー20W、スパッタ圧2.0×10-3tor
r、Arガスの流量10ccm、成膜時間約5分とし、
透明基板1を約500℃に加熱した状態で、金属(C
u)粒子層2の厚さが12nmになるように設定しスパ
ッタリングを行った。
【0075】ここで、金属粒子層2の厚さは上記スパッ
タ条件にて別途20分間成膜したものの膜厚を測定し、
その成膜速度を算出し、それを基準にして導きだした。
また、金属粒子層2の成膜量を小さくしたのは、金属粒
子2aの分布密度(個数密度)を増加させるためであ
る。
【0076】(2)Cuからなる金属粒子2aを成長さ
せるために、金属粒子層2の形成直後に500℃、60
分の熱処理を行った。
【0077】(3)金属粒子2aを透明誘電体層3中に
埋め込むために、金属粒子層2上に透明基板1材料と同
じBK7ガラスをスパッタリング法により、300nm
成膜した。
【0078】(4)580℃、1時間の熱処理をし、A
rの脱ガス処理を行った。
【0079】(5)(1)〜(4)の工程を5回繰返
し、金属粒子層2と透明誘電体層3の組を5組積層した
積層体を形成した。
【0080】(6)そして、この積層体を625℃にて
45kg/mm2 の応力で第1方向に延伸を行い、金属
粒子2aを回転楕円体状となし、延伸後の透明誘電体層
3の膜厚は100nmであった。この場合、前記第1方
向への延伸距離L1 は100mmであった。
【0081】(7)625℃で1時間の熱処理を施し、
金属粒子2aを凝集させ、再度粒子化させた。
【0082】(8)さらに、前記第1方向と直交する第
2方向に、625℃,45kg/mm2 の応力で延伸距
離L2 =50mmで延伸を行い、偏光子P1を作製し
た。
【0083】この偏光子P1における金属粒子2aの分
布密度は約30個/μm2 、金属粒子2aの短軸方向の
平均間隔は200nmであり、光波長1310nmでの
消光比は40dB、挿入損失0.04dBであった。
【0084】更に、金属粒子2aの金属としてAu,A
g,Pt,Fe,Ni,Cr,Rh,Irを用いて、上
記と同様にして偏光子P1を作製したが、本実施例と同
様の効果が得られた。
【0085】
【発明の効果】本発明の偏光子は、金属粒子層の面内に
おける金属粒子の短軸方向の平均間隔が100nm以上
であることにより、金属粒子層及び透明誘電体層の積層
数が少なくても消光比及び挿入損失等の光学的特性に優
れ、また安価に製造できるという作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光子P1の基本構成の斜視図であ
る。
【図2】本発明の偏光子P1の製造工程のうち延伸工程
を示すもので、金属粒子層の平面図である。
【符号の説明】
1:透明基板 2:金属粒子層 2a:金属粒子 3:透明誘電体層 4:偏光層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板の少なくとも一主面上に、回転楕
    円体状を成し光吸収異方性を有する金属粒子が分散され
    た金属粒子層と透明誘電体層とを設けてなる偏光子であ
    って、前記金属粒子層の面内における金属粒子の短軸方
    向の平均間隔が100nm以上であることを特徴とする
    偏光子。
  2. 【請求項2】透明基板の少なくとも一主面上に、金属粒
    子層と透明誘電体層とを交互に積層し、この積層体を加
    熱するとともに金属粒子層の面内の特定方向に延伸し
    て、金属粒子を回転楕円体状に整形する偏光子の製造方
    法であって、前記積層体を所定の第1方向に延伸して前
    記金属粒子を回転楕円体状となし、次いで熱処理して前
    記金属粒子を再粒子化させ、その後前記第1方向にほぼ
    直交する第2方向に延伸することを特徴とする偏光子の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記第1方向への延伸距離をL1 、前記第
    2方向への延伸距離をL2 とすると、1≦L1 /L2 ≦
    3である請求項2記載の偏光子の製造方法。
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