JPH111326A - 無機ガラスの製造方法及び無機ガラス - Google Patents

無機ガラスの製造方法及び無機ガラス

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JPH111326A
JPH111326A JP15365497A JP15365497A JPH111326A JP H111326 A JPH111326 A JP H111326A JP 15365497 A JP15365497 A JP 15365497A JP 15365497 A JP15365497 A JP 15365497A JP H111326 A JPH111326 A JP H111326A
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inorganic glass
metal element
producing
ligand
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JP15365497A
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Manabu Kawa
学 加和
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C1/00Ingredients generally applicable to manufacture of glasses, glazes, or vitreous enamels
    • C03C1/006Ingredients generally applicable to manufacture of glasses, glazes, or vitreous enamels to produce glass through wet route

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属元素が非凝集状態で無機ガラスマトリッ
クス中に分散されている、無機ガラスの製造方法、及び
この方法を用いてなる無機ガラスの提供。 【解決手段】 本発明の1つの要旨は、金属元素と、超
分岐分子構造含有配位子を含む金属錯体を用いることを
特徴とする、ゾル−ゲル法による無機ガラスの製造方法
に存する。又、本発明のいま一つの要旨は、このゾル−
ゲル法により得られる無機ガラスであって、金属元素が
非凝集原子又は非凝集陽イオンの状態で無機ガラスマト
リックスに分散しており、無機ガラス中の全陽イオン性
元素に対する該分散金属元素の含量が0.01〜10モ
ル%である無機ガラスに存する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属元素が従来に
ない非凝集状態で無機ガラスマトリックスに分散してい
る無機ガラスの製造方法及び無機ガラスに存する。本発
明の無機ガラスは、該金属元素が蛍光能を有する場合、
かかる非凝集状態での分散に起因する極めて低減された
濃度消光を有する高輝度蛍光材料となり、例えば光通信
技術における光増幅器、波長変換器、レーザー発生部
材、Faraday回転を利用した可視光用アイソレー
タ等、インターフェロメータ等の光学計測器材料、また
該金属元素の添加による屈折率上昇を利用した光導波
路、あるいは光情報記録の高密度化を目的としたアップ
コンバージョンレーザー材料、分散された該金属元素の
光吸収によるホールバーニング現象を利用した光情報記
録材料等として利用される。
【0002】
【従来の技術】金属元素は、光エネルギーの吸収による
励起とその放出による蛍光現象、電子線照射によるエッ
クス線の発生、磁性、各種触媒作用、酸化還元作用等の
様々な機能を有しているが、これらの機能を実用に供す
るためには、その状態の制御(例えば、酸化数、配位子
等の外界の環境、個々の原子の分散状態等)、或いは特
定の製品形態とするための成形加工性の付与が必要であ
る。このために通常とられるのは、金属元素をマトリッ
クス物質中に分散させる手法である。
【0003】金属元素の電磁的機能、例えば光吸収能、
蛍光能、マトリックス中を通過する光の速度を変化させ
る性質(即ち屈折率の変化)等を利用する場合を例にと
ると、用いられるマトリックス物質は所望の電磁波波長
領域で十分透明であることが通常必要である。例えば、
可視〜赤外光領域周辺の波長を利用する技術において
は、シリカガラス等の無機ガラスが従来重要なマトリッ
クス物質であった。これは、無機ガラスの持つ広い波長
領域での優れた光線透過率のみならず、耐熱性、耐薬品
性、耐水性、表面硬度、耐摩耗性、低い線膨張係数等の
特性によるものである。
【0004】金属元素、特に蛍光を有するランタノイド
元素を無機マトリックス中に分散する技術として、融点
以上の温度で溶融混合する方法、酸等に原料を溶解して
おきそれらを混合した後に中和して沈殿を作るいわゆる
共沈法、原料粉末を目的組成に混合した後に高温で加熱
することによりイオンを相互拡散する固相反応法、気相
の該元素を注入する方法、高速に加速した該元素を打ち
込む方法、該元素のアルコキシド等を無機マトリックス
の前駆体となるアルコキシド等と共に加水分解縮合する
いわゆるゾル−ゲル法等が従来行われてきた。これらの
方法で、数重量%程度の濃度まで該元素を無機マトリッ
クス中に混合することができる場合もあるが、一般に該
元素の無機マトリックスへの溶解度が低いこと、或いは
該元素近傍の化学構造の制御が困難であることから、凝
集状態(クラスター)を形成し易い欠点があった。特
に、該元素の蛍光を利用する場合には、かかるクラスタ
ー内での励起エネルギー授受に起因する濃度消光によ
り、添加濃度をある程度以上とすると却って蛍光強度が
低下する欠点があった。
【0005】ランタノイド等の蛍光発生能を有する元素
の無機マトリックスへの応用例としては、例えば、光通
信技術における光増幅器用材料として、エルビウム等の
陽イオンを添加した無機ガラスが利用されつつある(木
村ら;Optronics,1990年11号,47〜
53頁、William J.Miniscalco;
J.Lightwave Technology,9
巻,234頁(1991)、田部;稀土類,23巻,6
7頁(1993)、及び成書としてEmmanuel
Desurvive;Erbium−Doped Fi
ber Amplifiers:Principles
and Applications,John Wi
ley & Sons,New York(1994)
等参照)。これは、エルビウムのf軌道電子の可視〜近
赤外領域の光(例えば、波長980nm)による励起
と、約1500nmの波長の蛍光発生現象を応用したも
のである。しかし、無機ガラスをマトリックスとした場
合には、エルビウム陽イオンの溶解度が比較的低いた
め、たかだか数百ppmの添加でも、エルビウム陽イオ
ンの会合によるクラスター形成が起こる。この結果、濃
度消光が顕著となるため、これ以上添加しても逆に蛍光
発生効率の減少、即ち、光増幅機能の頭打ち現象が見ら
れるという欠点があった。
【0006】こうした欠点を改善する目的で、例えば星
野ら;1991年度電子情報通信学会予稿集4−232
等には、金属アルコキシドとランタノイドの塩化物を原
料とし、均質な溶液中での加水分解縮合反応により、高
濃度且つ均一に希土類元素を含む石英膜を得る方法が開
示されている。しかし、かかる方法ではクラッキングや
基板からの石英膜の剥離が生ずるため、基板に厚い石英
膜を成形するのは困難となり、成形加工上の問題が生ず
る。またランタノイド元素の分散状態は確率論に支配さ
れ凝集構造を制御するものではなかった。
【0007】他方、有機高分子材料へのランタノイド陽
イオンの添加も検討されている。例えば、Okamot
o,Y.et al;Macromolecules,
14巻,17頁(1981)や、Heats,J.et
al編;“Metal Containing Po
lymeric Systems”,PlenumPr
ess,New York(1985)、更にYosh
iyuki Okamoto;高分子学会予稿集,19
94年43巻(1),29頁等には、アクリル酸、メタ
クリル酸、スチレンカルボン酸、及びスチレンスルホン
酸等の重合性有機酸のランタノイド塩を合成し、かかる
ランタノイド陽イオン担持モノマーを重合又は共重合さ
せ、該陽イオン濃度を10重量%程度まで高める方法が
報告されている。また、特開平5−86189号公報に
は、有機基を有するクロロシラン類と希土類元素の塩化
物を原料として得られる、ランタノイドが高分子鎖中に
取り込まれたポリシロキサンが開示されている。更に、
特開平5−88026号公報には、ランタノイドのアセ
チルアセトン錯体のような有機溶媒への溶解性や耐酸化
性に優れた錯体を、ポリアクリレートやポリシロキサン
中に含む材料が開示されている。
【0008】これらの方法は、確かに有機高分子材料中
の金属陽イオンの濃度を高めるのに有効であり、見かけ
上良好な透明性を有する材料を与えるが、該陽イオンの
近傍の構造が精密に制御されているわけではなく、たと
え見掛上の透明性が達成されても光の波長よりも小さい
構造レベルでの該陽イオンの会合は依然として起こり得
るため、濃度消光の問題は完全には解決されていなかっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、金属
元素とマトリックス材料との複合化において、該元素を
高濃度で且つ均一に分散させる方法については従来から
いろいろな提案がなされているが、該元素の凝集による
クラスターの形成、引いては濃度消光の問題を満足に解
決する手法は未だ見出されていない。本発明は、金属元
素を非凝集かつ高濃度で無機ガラスマトリックス中に分
散させた無機ガラスの製造方法、及びこの方法により得
られる無機ガラスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、特に金属陽イオン錯体について鋭意系
統的な検討を行った結果、超分岐分子構造を有する錯体
配位子が、その空間排除効果(空間を占有する効果)に
より錯体中心の金属陽イオンどうしを互いに凝集し難く
することを見いだし、これをいわゆるゾル−ゲル法によ
る無機ガラス製造反応に共存させ、次いで濃縮・焼成工
程を経ることで、金属元素が非凝集かつ高濃度で無機ガ
ラスマトリックス中に分散した無機ガラスが得られるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち本発明の1つの要旨は、金属元素と、
超分岐分子構造含有配位子を含む金属錯体を用いること
を特徴とする、ゾル−ゲル法による無機ガラスの製造方
法に存する。又、本発明のいま一つの要旨は、このゾル
−ゲル法により得られる無機ガラスであって、金属元素
が非凝集原子又は非凝集陽イオンの状態で無機ガラスマ
トリックスに分散しており、無機ガラス中の全陽イオン
性元素に対する該分散金属元素の含量が0.01〜10
モル%である無機ガラスに存する。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(金属元素)本発明の無機ガラスは、金属元素を非凝集
原子又は非凝集陽イオンの状態で含有する。本発明にお
ける金属元素とは、周期律表において、水素、ホウ素、
炭素、窒素、及びリンを除く、1A(アルカリ金属)、
2A(アルカリ土類金属)、3A、4A、5A、6A、
7A、8、1B、2B(以上遷移元素)、3B、4B、
及び5Bの各族に属する元素であり、また、ここで言う
非凝集状態とは、該金属元素が無機ガラスマトリックス
中で単独の原子状態、あるいは単独の陽イオン状態で互
いに接触せずに存在する状態を言う。該状態は、例えば
透過型電子顕微鏡観察により確認される。
【0013】上記金属元素は、本発明の無機ガラスに通
常陽イオンとして取り込まれる。かかる陽イオンとして
は、Li+ ,Na+ ,K+ ,Rb+ ,Cs+ ,Fr+
のアルカリ金属陽イオン、Be2+,Mg2+,Ca2+,S
2+,Ba2+,Ra2+等のアルカリ土類金属陽イオン、
Sc3+,Y3+等のスカンジウム族陽イオン、Ti2+,T
3+,Ti4+,Zr+ ,Zr2+,Zr3+,Zr4+,Hf
+ ,Hf2+,Hf3+,Hf4+等のチタン族陽イオン、V
+ ,V2+,V3+,V4+,V5+,Nb+ ,Nb2+,N
3+,Nb4+,Nb5+,Ta+ ,Ta2+,Ta3+,Ta
4+,Ta5+等のバナジウム族陽イオン、Cr+ ,C
2+,Cr3+,Cr4+,Cr5+,Cr6+,Mo+,Mo
2+,Mo3+,Mo4+,Mo5+,Mo6+,W+ ,W2+,W
3+,W4+,W5+,W6+,等のクロム族陽イオン、M
+ ,Mn2+,Mn3+,Mn4+,Mn5+,Mn 6+,Mn
7+,Tc+ ,Tc2+,Tc3+,Tc4+,Tc5+,T
6+,Tc7+,Re + ,Re2+,Re3+,Re4+,Re
5+,Re6+,Re7+等のマンガン族陽イオン、Fe+
Fe2+,Fe3+,Fe4+,Fe6+,Ru+ ,Ru2+,R
3+,Ru4+,Ru5+,Ru6+,Ru7+,Ru8+,Os
+ ,Os2+,Os3+,Os4+,Os5+,Os6+,O
7+,Os8+等の鉄族陽イオン、Co+ ,Co2+,Co
3+,Co4+,Co5+,Rh+ ,Rh2+,Rh3+,R
4+,Rh5+,Rh6+,Ir+ ,Ir2+,Ir3+,Ir
4+,Ir5+,Ir6+等のコバルト族陽イオン、Ni+
Ni2+,Ni3+,Ni4+,Pd+ ,Pd2+,Pd3+,P
4+,Pt2+,Pt3+,Pt4+,Pt5+,Pt6+等のニ
ッケル族陽イオン、Cu+ ,Cu2+,Cu3+,Cu4+
Ag+ ,Ag2+,Ag3+,Au+ ,Au2+,Au3+,A
5+,Au7+等の銅族陽イオン、Zn2+,Cd+ ,Cd
2+,Hg+ ,Hg2+等の亜鉛族陽イオン、La2+,La
3+,Ce2+,Ce3+,Ce4+,Pr2+,Pr3+,P
4+,Nd2+,Nd3+,Nd4+,Pm2+,Pm3+,Sm
2+,Sm3+,Eu2+,Eu3+,Gd2+,Gd3+,T
2+,Tb3+,Tb4+,Dy2+,Dy3+,Dy4+,Ho
2+,Ho3+,Er2+,Er3+,Tm2+,Tm3+,Y
2+,Yb3+,Lu2+,Lu3+等のランタノイド陽イオ
ン、Ac3+,Th4+,Pa3+,Pa4+,Pa5+,U3+
4+,U5+,U6+,Np3+,Np4+,Np5+,Np6+
Pu3+,Pu4+,Pu5+,Pu6+,Am2+,Am3+,A
4+,Am5+,Am6+,Cm3+,Cm4+,Bk3+,Bk
4+,Cf2+,Cf3+,Cf4+,Es2+,Es3+,F
2+,Fm3+,Md2+,Md3+,No2+,No3+等のア
クチノイド陽イオン、Al3+,Ga2+,Ga3+,I
+ ,In2+,In3+,Tl+ ,Tl2+,Tl3+等の3
B族陽イオン、Si2+,Si4+,Ge2+,Ge4+,Sn
2+,Sn4+,Pb2+,Pb4+等の4B族陽イオン、As
3+,As 5+,Sb+ ,Sb3+,Sb5+,Bi+ ,B
3+,Bi5+等の5B族陽イオン等が挙げられる。これ
らのうち、Pr3+,Nd3+,Sm3+,Eu3+,Tb3+
Dy3+,Ho3+,Er3+,Tm3+,Yb3+等の3価ラン
タノイド陽イオンは、可視〜近赤外領域、長い寿命、狭
い波長幅等の特徴を持つ蛍光を発する点で有用であり、
中でもPr3+,Nd3+,Dy3+,Er3+等は光増幅器、
レーザー発生部材、波長変換器、インターフェロメータ
等の材料に、Ho3+,Er3+,Tm3+等はアップコンバ
ージョンレーザー材料に、Eu2+やTb3+等はFara
day回転を利用した可視光用アイソレータに、P
3+,Sm2+,Eu3+等はホールバーニング現象を利用
した光情報記録材料にそれぞれ有用であり、一方P
2+,Pt3+,Au + ,Au2+,Au3+,Pb2+,Pb
4+,Bi3+等の原子番号の高い陽イオンは屈折率上昇及
び放射線吸収能の点で有用である。該金属元素は、本発
明の無機ガラス中に陽イオンとして存在していても、あ
るいは還元されて0価の原子として存在していてもよ
い。
【0014】(無機ガラス)本発明の無機ガラスの構成
成分である無機ガラスマトリックスとは、モノマー単位
の主鎖構造に炭素原子を含有しない非晶性物質であり、
この限りにおいて特に制限はない。ここで言う非晶性と
は、マトリックスを構成するモノマー単位を除く特定の
繰り返し単位構造を有さない連続構造のことである。か
かる無機ガラスマトリックスの組成単位としては、酸化
リチウム(Li2 O)、酸化ナトリウム(Na2 O)、
酸化カリウム(K2 O)、酸化ルビジウム(Rb
2 O)、酸化セシウム(Cs2 O)等のアルカリ金属酸
化物、酸化ホウ素(B2 3 )、酸化アルミニウム(A
2 3 )、酸化珪素(SiO2 )、酸化リン(P2
5 )、酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、
酸化ガリウム(Ga2 3 )、酸化ゲルマニウム(Ge
2 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化カドミウ
ム(CdO)、酸化テルル(TeO2 )、酸化バリウム
(BaO)、酸化タングステン(WO3 )、酸化タンタ
ル(Ta2 5 )、酸化鉛(PbO)、酸化ビスマス
(Bi2 3 )等の2価ないし6価元素の酸化物、フッ
化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、
フッ化カリウム(KF)、フッ化ルビジウム(Rb
F)、フッ化セシウム(CsF)等のアルカリ金属フッ
化物、フッ化ベリリウム(BeF2 )、フッ化マグネウ
ム(MgF2 )、フッ化アルミニウム(AlF3 )、フ
ッ化カルシウム(CaF2 )、フッ化スカンジウム(S
cF3 )、フッ化マンガン(MnF2 )、フッ化鉄(F
eF2 、FeF3 )フッ化コバルト(CoF2 )、フッ
化ニッケル(NiF2 )、フッ化亜鉛(ZnF2 )、フ
ッ化ガリウム(GaF3 )、フッ化ストロンチウム(S
rF2 )、フッ化イットリウム(YF3 )、フッ化ジル
コニウム(ZrF4 )、フッ化カドミウム(Cd
2)、フッ化インジウム(InF3 )、フッ化バリウ
ム(BaF2 )、フッ化ランタン(LaF3 )、フッ化
ネオジム(NdF3 )、フッ化イッテルビウム(YbF
3 )、フッ化鉛(PbF2 )、フッ化トリウム(ThF
4 )等の2価ないし4価元素のフッ化物、ガリウム(G
a)、ゲルマニウム(Ge)等の4B族元素、リン
(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)等の5B族
元素、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)等
の6B族元素等が挙げられる。これらの任意の組み合わ
せの混合物により非常に幅広い無機ガラスが知られてい
るが、光学用途に用いられる代表的な無機ガラスとして
は、例えば、MacFarlane,D.R.;Cer
amics International,22巻,5
35頁(1996)に記載されているように、Si
2 、GeO2 、TeO2 −BaO−ZnO、TeO2
−WO3 −Ta2 5 、TeO2 −WO3 −Bi
2 3 、TeO2 −BaO−PbO、CaO−Al2
3 、CaO−Al2 3 −BaO、CaO−Al2 3
−Na2 O、CaO−Al2 3 −K2 O、CaO−A
23 −SiO2 、PbO−Bi2 3 −BaO、P
bO−Bi2 3 −ZnO、PbO−Bi2 3 、Pb
O−Bi2 3 −BaO−ZnO、PbO−Bi2 3
−CdO−Al2 3 、PbO−Bi2 3 −Ge
2 、PbO−Bi2 3−GeO2 −Tl2 O、Ba
O−PbO−Bi2 3 、BaO−PbO−Bi23
−ZnO、Bi2 3 −Ga2 3 −PbO、Bi2
3 −Ga2 3 −CdO、Bi2 3 −Ga2 3
(Pb,Cd)O等の酸化物ガラス系、ZrF 4 −Ba
2 、ZrF4 −ThF4 、ZrF4 −BaF2 −Na
F、ZrF4 −BaF2 −ThF4 、ZrF4 −BaF
2 −LaF3 、ZrF4 −BaF2 −MFn −AlF3
(但しここでMFn はLiF、NaF、CaF2 、YF
3 、GaF3 、LaF3 、NdF3 、ThF4 等を表
す)、ZrF4 −BaF2 −LaF 3 −AlF3 −Na
F(通称ZBLAN)等のフッ化ジルコニウムガラス
系、AlF3 −PbF2 −SrF2 −MgF2 、AlF
3 −BaF2 −YF3 −ThF 4 、AlF3 −YF3
BaF2 −CaF2 、AlF3 −CdF2 −LiF−P
bF2 等のフッ化アルミニウムガラス系、PbF2 −M
2 −XF3 、AF−MF2 −XF3 (但しここでAは
アルカリ金属、MとXは独立に鉄、コバルト、ニッケル
等の遷移金属をそれぞれ表す)、InF3 −BaF2
YF3 等のトリフルオライドガラス系、ZnF2 、Sr
2 、MnF2 、CaF2 、BaF2 等をベースとした
2価金属フッ化物ガラス系、As−S、Ge−S、Ge
−P−S、As−Se、As−Ge−Se、Ge−S
e、Ge−As−Se、La−Ga−Ge−Se、Ge
−Sb−Se、Ge−Se−Te、As−Ge−Se−
Te、As−Se−Te等のカルコゲナイドガラス系、
TeCl4 、TeBr4 、TeI4 等のカルコハライド
ガラス系、窒化ホウ素ガラス等が挙げられる。
【0015】(組成)本発明の無機ガラス中の全陽イオ
ン性元素に対する該分散金属元素の含量は0.01〜1
0モル%である。ここで言う陽イオン性元素とは、前記
で定義した本発明における金属元素、及び上記無機ガラ
スの構成元素のうち酸素とハロゲン以外の元素を意味す
る。該成物中の全陽イオン性元素に対する該分散金属元
素の含量は、蛍光エックス線分析等の各種発光分析、あ
るいは無機ガラス組成物を強アルカリ水等の適当な液体
に溶解しての元素分析等の任意の元素分析で決定され
る。該分散金属元素の含量が0.01モル%に満たない
と、蛍光能や屈折率上昇等の光学特性が低下し、逆に1
0モル%を超えると組成物中での該分散金属元素の分散
均質性が損なわれる場合がある。従ってこの量を好まし
くは0.03〜8モル%、より好ましくは0.05〜6
モル%、更に好ましくは0.10〜5モル%、最も好ま
しくは0.10〜4%程度とする。
【0016】(無機ガラスの製造方法)本発明の無機ガ
ラスの製造方法はゾル−ゲル法によるものであり、詳し
くは、ゾル−ゲル法において、超分岐分子構造含有配位
子を使用した金属陽イオン錯体の添加により上記分散金
属元素を導入する方法である。例えば具体的には、金
属陽イオンと超分岐分子構造含有配位子を含む錯体を、
無機ガラス原料溶液に混合する工程、該無機ガラス原
料の加水分解縮合反応工程、溶媒除去工程、及び、
焼成工程の4工程を含む方法である。上記のゾル−ゲル
法を利用した製造方法例の第1工程は、該錯体とゾル−
ゲル法における無機ガラス原料との混合工程である。該
無機ガラス原料は、加水分解反応と縮合反応により酸素
原子や窒素原子を介した前記の各種無機ガラス構造を生
成する化合物である。具体的には一般式(1)で示され
る金属アルコキシド、一般式(2)で示される金属ハロ
ゲン化物等が代表的である挙げられる。
【0017】
【化1】 M(OR)m n (1) MXm n (2)
【0018】(但し、上記一般式(1)、(2)で、M
は金属原子を表し、Rは1種又はそれ以上のアルキル基
又はアリール基を表し、Oは酸素原子を表し、Zは水素
原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ
基、アリールオキシ基のいずれかを独立に表し、Xはハ
ロゲン原子を表し、m+nは金属原子Mの原子価数を表
し、m及びnは整数である。)
【0019】一般式(1)で示される化合物を示すと、
例えば珪素化合物としてテトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン(通称TEOS)、テトラ−n−プロピ
ルオキシシラン、テトライソプロピルオキシシラン、テ
トラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン
類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリ−n−プロピルオキシシラン、エチル
トリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラ
ン等のモノアルキルトリアルコキシシラン類、フェニル
トリエトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、4
−クロロフェニルトリエトキシシラン、4−シアノフェ
ニルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリエト
キシシラン、4−ニトロフェニルトリエトキシシラン、
4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−ヒドロキ
シフェニルトリエトキシシラン等のモノアリールトリア
ルコキシシラン類、フェノキシトリエトキシシラン、ナ
フチルオキシトリエトキシシラン、4−クロロフェニル
オキシトリエトキシシラン、4−シアノフェニルトリオ
キシエトキシシラン、4−アミノフェニルオキシトリエ
トキシシラン、4−ニトロフェニルオキシトリエトキシ
シラン、4−メチルフェニルオキシトリエトキシシラ
ン、4−ヒドロキシフェニルオキシトリエトキシシラン
等のモノアリールオキシトリアルコキシシラン類、モノ
ヒドロキシトリメトキシシラン、モノヒドロキシトリエ
トキシシラン、モノヒドロキシトリ−n−プロピルオキ
シシラン等のモノヒドロキシトリアルコキシシラン類、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジ−n−プロピルオキシシラン、メチル
(エチル)ジエトキシシラン、メチル(シクロヘキシ
ル)ジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラ
ン類、メチル(フェニル)ジエトキシシラン等のモノア
ルキルモノアリールジアルコキシシラン類、ジフェニル
ジエトキシシラン等のジアリールジアルコキシシラン
類、ジフェノキシジエトキシシラン等のジアリールオキ
シジアルコキシシラン類、メチル(フェノキシ)ジエト
キシシラン等のモノアルキルモノアリールオキシジアル
コキシシラン類、フェニル(フェノキシ)ジエトキシシ
ラン等のモノアリールモノアリールオキシジアルコキシ
シラン類、ジヒドロキシジメトキシシラン、ジヒドロキ
シジエトキシシラン、ジヒドロキシジ−n−プロピルオ
キシシラン等のジヒドロキシジアルコキシシラン類、メ
チル(ヒドロキシ)ジメトキシシラン等のモノアルキル
モノヒドロキシジアルコキシシラン類、フェニル(ヒド
ロキシ)ジメトキシシラン等のモノアリールモノヒドロ
キシジアルコキシシラン類、トリメチルメトキシシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロ
ピルオキシシラン、ジメチル(エチル)エトキシシラ
ン、ジメチル(シクロヘキシル)エトキシシラン等のト
リアルキルモノアルコキシシラン類、ジメチル(フェニ
ル)エトキシシラン等のジアルキルモノアリールモノア
ルコキシシラン類、メチル(ジフェニル)エトキシシラ
ン等のモノアルキルジアリールモノアルコキシシラン
類、トリフェノキシエトキシシラン等のトリアリールオ
キシモノアルコキシシラン類、メチル(ジフェノキシ)
エトキシシラン等のモノアルキルジアリールオキシモノ
アルコキシシラン類、フェニル(ジフェノキシ)エトキ
シシラン等のモノアリールジアリールオキシモノアルコ
キシシラン類、ジメチル(フェノキシ)エトキシシラン
等のジアルキルモノアリールオキシモノアルコキシシラ
ン類、ジフェニル(フェノキシ)エトキシシラン等のジ
アリールモノアリールオキシモノアルコキシシラン類、
メチル(フェニル)(フェノキシ)エトキシシラン等の
モノアルキルモノアリールモノアリールオキシモノアル
コキシシラン類、トリヒドロキシメトキシシラン、トリ
ヒドロキシエトキシシラン、トリヒドロキシ−n−プロ
ピルオキシシラン等のトリヒドロキシモノアルコキシシ
ラン類、及びテトラメトキシシランの2〜5量体等の上
記化合物のオリゴマー等が挙げられる。
【0020】一般式(2)で示される化合物の具体例を
珪素化合物として例示すると、テトラクロロシラン、テ
トラブロモシラン、テトラヨードシラン、トリクロロブ
ロモシラン、ジクロロジブロモシラン等のテトラハロゲ
ノシラン類、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロ
ブロモシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のモ
ノアルキルトリハロゲノシラン類、フェニルトリクロロ
シラン、ナフチルトリクロロシラン、4−クロロフェニ
ルトリクロロシラン、フェニルジクロロブロモシラン等
のモノアリールトリハロゲノシラン類、フェノキシトリ
クロロシラン、フェノキシジクロロブロモシラン等のモ
ノアリールオキシトリハロゲノシラン類、メトキシトリ
クロロシラン、エトキシトリクロロシラン等のモノアル
コキシトリハロゲノシラン類、ジメチルジクロロシラ
ン、メチル(エチル)ジクロロシラン、メチル(シクロ
ヘキシル)ジクロロシラン等のジアルキルジハロゲノシ
ラン類、メチル(フェニル)ジクロロシラン等のモノア
ルキルモノアリールジハロゲノシラン類、ジフェニルジ
クロロシラン等のジアリールジハロゲノシラン類、ジフ
ェノキシジクロロシラン等のジアリールオキシジハロゲ
ノシラン類、メチル(フェノキシ)ジクロロシラン等の
モノアルキルモノアリールオキシジハロゲノシラン類、
フェニル(フェノキシ)ジクロロシラン等のモノアリー
ルモノアリールオキシジハロゲノシラン類、ジエトキシ
ジクロロシラン等のジアルコキシジハロゲノシラン類、
メチル(エトキシ)ジクロロシラン等のモノアルキルモ
ノアルコキシジクロロシラン類、フェニル(エトキシ)
ジクロロシラン等のモノアリールモノエトキシジクロロ
シラン類、トリメチルクロロシラン、ジメチル(エチ
ル)クロロシラン、ジメチル(シクロヘキシル)クロロ
シラン等のトリアルキルモノハロゲノシラン類、ジメチ
ル(フェニル)クロロシラン等のジアルキルモノアリー
ルモノハロゲノシラン類、メチル(ジフェニル)クロロ
シラン等のモノアルキルジアリールモノハロゲノシラン
類、トリフェノキシクロロシラン等のトリアリールオキ
シモノハロゲノシラン類、メチル(ジフェノキシ)クロ
ロシラン等のモノアルキルジアリールオキシモノハロゲ
ノシラン類、フェニル(ジフェノキシ)クロロシラン等
のモノアリールジアリールオキシモノハロゲノシラン
類、ジメチル(フェノキシ)クロロシラン等のジアルキ
ルモノアリールオキシモノハロゲノシラン類、ジフェニ
ル(フェノキシ)クロロシラン等のジアリールモノアリ
ールオキシモノハロゲノシラン類、メチル(フェニル)
(フェノキシ)クロロシラン等のモノアルキルモノアリ
ールモノアリールオキシモノハロゲノシラン類、トリエ
トキシクロロシラン等のトリエトキシモノハロゲノシラ
ン類、及びテトラクロロシランの2〜5量体等の上記化
合物のオリゴマー等が挙げられる。
【0021】更に、一般式(1)又は一般式(2)で表
される無機ガラス原料として、ジエトキシベリリウム、
ジクロロベリリウム、トリエトキシホウ素、トリクロロ
ホウ素、ジエトキシマグネシウム、ジクロロマグネシウ
ム、トリエトキシアルミニウム、トリクロロアルミニウ
ム、トリエトキシリン、トリクロロリン、ペンタエトキ
シリン、ペンタクロロリン、ジエトキシカルシウム、ジ
クロロカルシウム、トリエトキシスカンジウム、トリク
ロロスカンジウム、テトラエトキシチタン、テトラクロ
ロチタン、ジエトキシマンガン、ジクロロマンガン、ジ
エトキシ鉄、ジクロロ鉄、トリエトキシ鉄、トリクロロ
鉄、ジエトキシコバルト、ジクロロコバルト、ジエトキ
シニッケル、ジクロロニッケル、ジエトキシ亜鉛、ジク
ロロ亜鉛、トリエトキシガリウム、トリクロロガリウ
ム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラクロロゲルマ
ニウム、ジエトキシストロンチウム、ジクロロストロン
チウム、トリエトキシイットリウム、トリクロロイット
リウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラクロロジ
ルコニウム、ジエトキシカドミウム、ジクロロカドミウ
ム、トリエトキシインジウム、トリクロロインジウム、
テトラエトキシテルル、テトラクロロテルル、ジエトキ
シバリウム、ジクロロバリウム、トリエトキシランタ
ン、トリクロロランタン、トリエトキシネオジム、トリ
クロロネオジム、トリエトキシイッテルビウム、トリク
ロロイッテルビウム、ヘキサエトキシタングステン、ヘ
キサクロロタングステン、ペンタエトキシタンタル、ペ
ンタクロロタンタル、ジエトキシ鉛、ジクロロ鉛、トリ
エトキシビスマス、トリクロロビスマス、テトラエトキ
シトリウム、テトラクロロトリウム等の、珪素以外の前
記無機ガラスを構成する各種陽イオン性元素の相当する
アルコキシド類及びハロゲン化物類を同様に例示でき
る。また、ヘキサメチルジシラザン等、珪素に代表され
る前記無機ガラスを構成する各種陽イオン性元素が窒素
原子と結合した化合物も使用できる。
【0022】これら例示された無機ガラス原料の中で
も、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の
テトラアルコキシシラン類、トリエトキシアルミニウム
等のトリアルコキシアルミニウム類、テトラエトキシチ
タン等のテトラアルコキシチタン類、テトラクロロシラ
ン等のテトラハロゲノシラン類、トリクロロアルミニウ
ム等のトリハロゲノアルミニウム類、テトラクロロチタ
ン等のテトラハロゲノチタン類等が好適に使用され、更
に好適にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン等のテトラアルコキシシラン類、トリエトキシアルミ
ニウム等のトリアルコキシアルミニウム類、テトラクロ
ロシラン等のテトラハロゲノシラン類が、最も好適には
テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類が
使用される。なお、これら例示された無機ガラス原料の
うち任意の複数を任意の組成で併用しても良い。
【0023】上記の無機ガラス原料は、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチ
ルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、アセトニトリル等の水溶性溶剤又はその水溶液中
に溶解され、ここに金属陽イオンと超分岐分子構造を含
有する配位子とを構成成分とする錯体を混合する。かか
る錯体については後述する。これらの水溶性溶剤は後の
工程で除去するので、メタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テト
ラヒドロフラン等の比較的沸点の低いものが好適であ
り、原料溶解性の点でメタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類
が更に好ましく、最も好ましいのはエタノールである。
【0024】上記のゾル−ゲル法を利用した製造方法例
の第2工程は、該無機ガラス原料の加水分解縮合反応工
程であり、通常酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻
酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸等)又は塩
基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミ
ン類、3級アミン類、ピリジン等の含窒素芳香族化合
物、塩基性イオン交換樹脂、水酸化ナトリウム等の水酸
化物、炭酸カリウム等の炭酸塩、酢酸ナトリウム等のカ
ルボン酸塩、各種ルイス塩基等)存在下で加水分解及び
縮合反応を進行させて行う。水の含有量、反応温度、反
応時間は適宜設定すればよい。
【0025】該製造方法例の第3工程は溶媒除去工程で
ある。かかる溶媒除去は、上記の加水分解及び縮合反応
の進行度によらず任意の段階で行って構わない。これ
は、例えば反応溶液の塗布による最終組成物の成形を行
う場合、該溶液の粘度や濃度により最適の溶媒除去のタ
イミングを任意に選択するためである。また該溶媒除去
工程は、任意の温度、圧力、時間で行って構わず、濃縮
度も任意に設定して良い。
【0026】該製造方法例の第4工程は焼成工程であ
る。この工程は、前の濃縮工程で得た残渣中の有機成分
(例えば溶剤、金属陽イオン錯体の配位子、無機ガラス
原料中の有機成分等)を焼失せしめることを目的とす
る。通常、最終生成物の組成物の透明性、均質性、化学
的安定性等の理由で、該組成物中の炭素含量をゼロとす
るのが理想的であるが、最終用途の要求する透明性、均
質性、化学的安定性等の性質を満たす限りにおいて該焼
成工程の条件(温度、時間、圧力、成型品の形態や厚み
等)を制御して該炭素含量を制御しても構わない。ま
た、過酷な焼成条件下では、非凝集原子又は非凝集陽イ
オンの状態で無機ガラスマトリックスに分散した金属元
素が該マトリックスの流動等により再凝集して本発明の
効果を得られない場合があるので、通常焼成温度は15
00℃以下、焼成時間は48時間以内とし、好ましくは
1200℃以下、焼成時間は36時間以内、より好まし
くは1000℃以下、焼成時間は24時間以内、最も好
ましくは900℃以下、焼成時間は24時間以内とす
る。
【0027】(超分岐分子構造含有配位子、及びこれを
構成成分とする錯体)上記のゾル−ゲル法を利用する本
発明の無機ガラスの製造方法において、金属元素は、金
属陽イオンと超分岐分子構造含有配位子を含む錯体とし
て導入される。かかる錯体において、金属陽イオンと該
配位子の両成分は、通常クーロン力又は配位結合により
構成される。また、該錯体は、水又はアルコール類への
溶解性、あるいはかかる溶媒中で沈殿性の凝集を起こさ
ない親水性を有するのが望ましい。これは、ゾル−ゲル
法の反応が通常かかる溶媒中で行われるので、生成する
無機ガラス組成物における金属元素の分散性を良くする
のに有利であるためである。かかる溶解性又は親水性の
付与手段については後述する。
【0028】該錯体を構成する金属陽イオンの具体例
は、前述例示に準ずる。該配位子に含有される超分岐
(Hyperbranch)分子構造とは樹枝状分岐分
子構造であり、例えば、Hawker,C.J.et
al;J.Chem.Soc.,Chem.Commu
n.,1990年,1010頁、Tomalia,D.
A.et al;Angew.Chem.Int.E
d.Engl.,29巻,138頁(1990)、Ha
wker,C.J.et al;J.Am.Chem.
Soc.,112巻,7638頁(1990)、Fre
chet,J.M.J.;Science,263巻,
1710頁(1994)、あるいは柿本雅明;化学,5
0巻,608頁(1995)等の文献に詳述されている
デンドリマーに代表される概念であるが、本発明におい
ては分子量に制限はない。本発明における超分岐分子構
造をより厳密に定義すれば、分岐の開始点(以下、フォ
ーカルポイント[Focal point]と称す)が
特定でき、該フォーカルポイントから分子末端に向かっ
て分子鎖をたどった場合にフォーカルポイント以外の分
岐点を最低1 つ通過する分子末端が最低1つ存在する分
子構造を示す。また、本発明におけるフォーカルポイン
トとは、錯体中の配位子の任意の分子末端から分子鎖を
逆行して最も近い錯形成官能基に至る最短経路中の最後
の分岐点を示す。
【0029】かかる配位子中の錯形成官能基とは、錯体
中の金属陽イオンとクーロン力又は配位結合により相互
作用を有する官能基である。かかる官能基としては、一
般式3の共鳴構造式で示されるβ−ジケトネート基や、
カルボキシル基、スルホニル基、
【0030】
【化2】
【0031】(但しR’は水素原子、アルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトリル基、ニ
トロ基のいずれかを表す) リン酸基、亜リン酸基、次亜リン酸基、チオ酸基(−C
OSH)、ジチオ酸基(−CSSH)、キサントゲン酸
基、硝酸基等の酸性基、アルコール性水酸基、フェノー
ル性水酸基等の水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、
3級アミノ基、ニトロ基、ニトリル基(シアノ基)、イ
ソニトリル基等の窒素含有官能基、ピロール環、ピリジ
ン環、チオフェン環、チアゾール環等の含窒素又は含硫
黄芳香環、メルカプト基(チオール基)、ジスルフィド
基、スルフィド基、イソチオシアネート基、チオカルバ
メート基等の硫黄含有官能基、ホスフィン基等の3価リ
ン原子官能基、セレノール基、ジセレニド基、セレニド
基等のセレン含有官能基、上記酸性基がプロトンを失っ
て生じる陰イオン基(カルボキシレート基、スルホネー
ト基、ホスホネート基、キサンテート基等)、上記水酸
基がプロトンを失って生じる陰イオン基(アルコラート
基、フェノラート基等)等を例示できる。このうち、錯
形成能力及び安全性の面から好適なのは、β−ジケトネ
ート基、カルボキシル基、スルホニル基、リン酸基、キ
サントゲン酸基等の酸性基、及びこれら酸性基がプロト
ンを失って生じる陰イオン基(それぞれカルボキシレー
ト基、スルホネート基、ホスホネート基、キサンテート
基)、エーテル結合やカルボニル基等の含酸素官能基、
1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、ニトリル
基等の窒素含有官能基、メルカプト基、ジスルフィド
基、スルフィド基、チオカルバメート基等の硫黄含有官
能基、フェノール性水酸基、フェノラート基等であり、
中でもβ−ジケトネート基、カルボキシル基、スルホニ
ル基等の酸性基、及びこれら酸性基がプロトンを失って
生じる陰イオン基(それぞれカルボキシレート基、スル
ホネート基)、エーテル結合やカルボニル基等の含酸素
官能基、3級アミノ基、ニトリル基等の窒素含有官能
基、メルカプト基、ジスルフィド基、スルフィド基、チ
オカルバメート基等の硫黄含有官能基、フェノール性水
酸基等がより好ましく、β−ジケトネート基、メルカプ
ト基、ジスルフィド基、スルフィド基、チオカルバメー
ト基等の硫黄含有官能基、3級アミノ基等の窒素含有官
能基等が更に好ましく、β−ジケトネート基が最も好ま
しい。
【0032】上記の例示された錯形成官能基は、1つの
配位子中に任意の数、任意の組み合わせで存在してもよ
く、一連の該官能基群が金属陽イオンの配位座を効率よ
く占める意図で配置され優れた錯体安定性を示す場合が
しばしばある。但し、金属陽イオンへの配位効率の点か
ら、1つの配位子中に存在する該官能基の数は、1以上
30以下とするのが適当で、好ましくは1以上20以
下、更に好ましくは1以上15以下、最も好ましくは1
以上10以下とする。また、隣接する該官能基は、0以
上10以下の直列結合した原子で隔てられているのが望
ましく、この直列結合した原子の数はより好ましくは0
以上7以下、更に好ましくは0以上5以下、最も好まし
くは0以上3以下とする。本発明で用いる錯体に使用で
きる優れた錯体安定性を示す一連の該官能基群の構造例
としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、
18−クラウン−6等のクラウンエーテル類及びこれら
のクラウンエーテル環の一部が開裂した鎖状ポリエーテ
ル類、シクロデキストリン等のオリゴ糖類、エチレンジ
アミン4酢酸(通称EDTA)、ジエチレントリアミン
5酢酸(通称DTPA)、あるいは1,4,7,10−
トリ(アセティックアシッド)テトラアザシクロドデカ
ン(通称DOTA)等のポリアミノカルボン酸類、ポル
フィリン環、プロトポルフィリン環、エチオポルフィリ
ン環、メソポルフィリン環等のポルフィリン類に代表さ
れるポリ含窒素芳香環類等が挙げられる。
【0033】本発明の錯体の構成成分である配位子は、
水又はアルコール類への溶解性、あるいはかかる溶媒中
で沈殿性の凝集を起こさない親水性を有することが望ま
しい。該錯体がかかる溶解性や親水性を有さない場合で
も使用可能であるが、生成する無機ガラスにおける金属
元素の分散性を悪化させることがあるので好ましくな
い。
【0034】該配位子にかかる溶解性や親水性を賦与す
る方法としては、配位子の超分岐分子構造の末端に活性
水素原子含有官能基、又はポリアルキレンオキシド基を
導入する方法が好適に用いられる。これは、かかる末端
が該錯体の表面に存在するためである。上記の活性水素
原子含有官能基としては、水酸基、メルカプト基、アミ
ノ基、ヒドラジド基、カルボキシル基、スルホン酸基、
アミド基、カーバメート基、尿素基、チオ酸基、ジチオ
酸基等が例示できるが、水酸基、アミノ基、及び尿素基
が中でも好適である。ポリアルキレンオキシド基の好適
な例としては、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレ
ンオキシド基、ポリブチレンオキシド基、ポリペンチレ
ンオキシド基、ポリヘキシレンオキシド基、ポリイソプ
ロピレンオキシド基、ポリイソブチレンオキシド基、ポ
リシクロペンチレンオキシド基、ポリシクロヘキシレン
オキシド基等の繰り返し単位の炭素数が6以下のアルキ
レン基を有するモノマー単位構造が挙げられ、これらの
モノマー単位構造は2種以上が共重合されていても構わ
ない。これらのうち好ましいのは、水酸基、尿素基、及
びポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド
基、ポリブチレンオキシド基等の繰り返し単位の炭素数
が4以下のポリアルキレンオキシド基であり、最も好ま
しいのは水酸基、及びポリエチレンオキシド基である。
また、カルボニル基、エステル基、ニトリル基、ニトロ
基、アルデヒド基等の活性水素原子を有さない官能基も
親水性賦与に有効である。本発明の錯体の親水性や水溶
性を損なわない限りにおいて、その構成成分として、上
記の官能基2種以上を1分子内に有する配位子を用いて
も良く、また異なる種類の配位子を混合して用いても良
い。
【0035】該配位子に該溶解性や親水性を賦与するも
う1つの方法として、配位子中の超分岐分子構造に、酸
素、窒素、硫黄、及びリンからなる群から任意に選ばれ
る元素を含有せしめ、超分岐分子構造自身に該溶解性や
親水性を賦与する方法が挙げられる。かかる構造の具体
例としては、シロキサン結合、シラザン結合、チタノキ
サン結合、アルミノキサン結合、エーテル結合、カルボ
ニル基、エステル結合、カーボネート結合、フラン環等
の酸素含有構造、アミド結合、ウレタン結合、尿素結
合、2級または3級アミン構造等の非芳香族窒素含有構
造、ピロール環、ピリジン環、キノリン環、ピリミジン
環、プリン環、イミダゾール環、イミダゾリジン環、ト
リアゾール環等の含窒素芳香環、スルフィド結合、ジス
ルフィド結合、チオカルボニル基、チオエステル結合、
チオカーボネート結合、チオウレタン結合、チオ尿素結
合等の非芳香族硫黄含有構造、チアゾール環、チオフェ
ン環、チオナフテン環等の含硫黄芳香環、リン酸エステ
ル、亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、2級又は
3級ホスフィン、ホスフィンオキシド等のリン含有構造
等が挙げられる。このうち、シロキサン結合、シラザン
結合、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合等の
酸素含有構造、アミド結合、3級アミン構造等の非芳香
族窒素含有構造、ピリジン環等の含窒素芳香環、スルフ
ィド結合等の非芳香族硫黄含有構造、3級ホスフィン、
ホスフィンオキシド等のリン含有構造等が好適で、中で
もシロキサン結合、エーテル結合、エステル結合等の酸
素含有構造、アミド結合、3級アミン構造等の非芳香族
窒素含有構造が最も好適である。
【0036】超分岐分子構造としては300以上50,
000以下の分子量を有する高分子構造を用いると、金
属陽イオンを遮蔽する効果の点で非常に好ましい場合が
ある。該分子量の範囲が300に満たないとかかる高分
子を用いる効果が低く、逆に50000を超えると錯体
が大きくなりすぎて、金属元素の添加量に制約が生ずる
ことがある。従って該分子量の範囲は、好ましくは30
0以上40000以下、より好ましくは400以上3
0,000以下、更に好ましくは450以上20,00
0以下、最も好ましくは500以上10,000以下と
する。また、かかる高分子量の超分岐分子構造を用いる
場合、その分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィ(GPC)法で測定される数平均分子量Mn
(GPC) と重量平均分子量Mw(GPC) とが1.0≦Mw
(GPC) /Mn(GPC) ≦15なる関係を満たすことが望ま
しい。上記のMw(GPC) /Mn(GPC) の値が15を超え
ると、錯体の空間的広がりのばらつきが大きくなりす
ぎ、遮蔽効果が損なわれる場合がある。従って、Mw
(GPC) /Mn(GPC) の値は小さければ小さいほど望まし
いと言えるが、より好ましくは1.0以上12以下、更
に好ましくは1.0以上9以下、最も好ましくは1.0
以上5以下とする。デンドリマーの場合、その分子量分
布をMw(GPC) /Mn(GPC) の値で1.0とすることが
可能であるので非常に好適である。
【0037】超分岐分子構造は、特に高分子量となった
場合に可能な限り高度の分岐を有することが望ましい。
これは、同一モノマー(繰り返し単位)構造で同一の分
子量を有する分子の場合、分岐点数が多ければ多いほ
ど、空間排除効果の高い立体配座をとり易いためと考え
られる。言い換えれば、分岐のない線状高分子に近づく
につれて、空間排除効果の高い糸毬状に凝集した立体配
座から高分子鎖が伸びきった同効果の低い立体配座まで
変化しうるようになり、結果として空間排除効果の低い
状態をとる確率が高くなるということである。高分子の
分岐度を定量する手段としては、例えば希薄溶液中での
極限粘度と絶対分子量との関係の測定、或いは核磁気共
鳴(NMR)スペクトルにおける分岐単位構造と非分岐
単位構造のそれぞれに帰属されるシグナルの積分値を利
用する方法等が挙げられるが、本発明において超分岐分
子構造の分子量が2,000を超える場合の好ましい分
岐度の条件として、例えば、マススペクトル法又は光散
乱法で測定される重量平均分子量MwとGPC法で測定
される重量平均分子量Mw(GPC) とが、Mw/Mw(G
PC) >1なる関係を満たすことが挙げられる。
【0038】MwがMw(GPC) よりも大きくなる例は、
Hawker,C.J.et al;J.Am.Che
m.Soc.,112巻,7638頁(1990)やU
hrich,K.E.et al;Macromole
cules,25巻,4583頁(1992)等に報告
されており、これは、マススペクトル法又は光散乱法で
測定されるような絶対分子量(即ち、Mw)が同一で
も、分岐度が高まるにつれて、良溶媒中で観測される高
分子鎖の空間的広がり(即ち、Mw(GPC) )は小さくな
ってゆくものと定性的には解釈されている。なお、上記
のマススペクトルの手法には分子ピークを与える限りに
おいて制限はなく、例えば分子量1000以上程度の比
較的高分子量の分子や不安定な分子に対して好適に用い
られるMatrix assisted laser
desorption ionization(MAL
DI)マススペクトルやElectrosprayマス
スペクトル等の新しい手法の適用が好ましい場合もあ
る。また、本発明の記述における全てのGPC測定は、
超分岐分子構造の良溶媒中で行われる必要がある。Mw
/Mw(GPC) の値は、上記分子量の範囲においては通常
高々3程度となるが、特に制限はない。該錯体中の配位
子には上記超分岐分子構造を含有する配位子を最低1つ
含む必要がある。製造される無機ガラス組成物中の金属
元素の非凝集性を損なわない限りにおいて任意の配位子
を併用してもよい。
【0039】(錯体の製造方法)本発明における錯体
は、金属陽イオンと配位子中の錯形成官能基との間のク
ーロン力(イオン結合)又は配位結合によりなる。イオ
ン結合の生成は陰イオンの交換反応により可能である。
より具体的には、金属陽イオンの蟻酸、酢酸、シュウ
酸、プロピオン酸等のカルボン酸との塩、あるいは塩化
物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンとの塩等と、
配位子あるいは配位子の塩(例えばナトリウム塩、カリ
ウム塩、アンモニウム塩等)とを混合して行われる。
【0040】上記錯体において、金属陽イオンの正電荷
を中和する対陰イオンは全て超分岐分子構造を含有する
配位子となっていることが望ましい。何故ならば、比較
的小さな陰イオン、例えばフッ化物イオン、塩化物イオ
ン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イ
オン、硫酸イオン、硝酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオ
ン、シュウ酸イオン等の一般的に広く用いられる陰イオ
ンの残留は、遮蔽効果や自由回転抑制効果を低下させる
ためである。従って、上述の陰イオン交換反応により本
発明における錯体を製造する場合、金属陽イオンと配位
子の当量関係を正確に制御することが望まれる。但し、
金属陽イオンに対し過剰当量の配位子を作用させても生
成物には所望の錯体が含まれているので本発明の方法に
より得られる無機ガラスにおいて、効果が得られる場合
もある。
【0041】本発明の無機ガラスは、分散している金属
元素が蛍光能を有する場合、非凝集状態で分散した該金
属元素に起因する極めて低減された濃度消光を有する高
輝度蛍光材料となるので、光通信技術における光増幅
器、波長変換器、レーザー発生部材等の光学部材材料、
インターフェロメータ等の光学計測器材料として利用さ
れる。また、該金属元素の磁性に起因するFarada
y回転を利用した光アイソレータ、該金属元素の添加に
よる屈折率上昇を利用した光導波路、あるいは光情報記
録の高密度化を目的としたアップコンバージョンレーザ
ー材料、分散された該金属元素の光吸収によるホールバ
ーニング現象を利用した光情報記録材料等の光学部材材
料として利用される。
【0042】これら光学部材の製造方法は例えば、ゾル
−ゲル法を利用する無機ガラスの製造方法において、反
応溶液の塗布、焼成工程での成形、無機ガラスを溶融状
態で押出しやプルトルージョン法等によりファイバー状
に成形する方法等がある。なお、これら任意の成型方法
において、本発明の効果を著しく損なわない限りにおい
て、安定剤、光吸収剤等の任意の添加剤を混合しても構
わない。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施
例に限定されるものではない。 [β−ジケトン基を有するフォーカルポイント構成単位
の合成]Newkome,G.R.,et al;Ma
cromolecules,24巻,1443頁(19
91)に記載の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとジ
シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いるアミ
ド化反応に準拠して、2,2−ビス(ヒドロキシメチ
ル)プロピオン酸の2つの水酸基をイソプロピリデンケ
タール基で保護した化合物と、4’−アミノアセトフェ
ノンとをテトラヒドロフラン(THF)中で縮合して、
N−(4’−アセチルフェニル)−2,2−ビス(ヒド
ロキシメチル)プロピオンアミドの2つの水酸基をイソ
プロピリデンケタール基で保護した化合物を得た。この
アミドをシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、
ナトリウムメトキシド存在下THF中でエチルヘプタフ
ルオロブチレートと反応させ、次いで塩酸酸性としてイ
ソプロピリデンケタール基を除去して、アルドール縮合
生成物であるN−{4’−(3”−ヘプタフルオロプロ
ピル−1”,3”−プロパンジオニル)フェニル}−
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオンアミドを
得た。こうして得た生成物中の2つの水酸基に、上記文
献記載の手順に準拠しアクリロニトリル各1分子を付加
させ、次いで末端のニトリル基を上記文献記載の方法で
カルボキシル基に変換して、2つの末端カルボキシル基
とβ−ジケトン基を有するフォーカルポイント構成単位
(以下β−DKFと略)を合成した。
【0044】[配位子の合成]上記Newkome著の
文献に記載の方法に準拠して、トリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタンとアクリロニトリルを原料としてトリ
ス{(2−シアノエチル)オキシメチル}アミノメタン
(以下TCNと略)を合成した。更に上記アミド合成反
応に準拠してTCNをβ−DKFと反応させ、β−ジケ
トン基をフォーカルポイントに有するデンドリマー骨格
(以下、「β−DKF−CN6 」と略記する。)を合成
した。
【0045】[金属陽イオン錯体の合成]上記β−DK
F−CN6 をメタノール水溶液に溶解し、強塩基性イオ
ン交換樹脂で処理して、相当するβ−ジケトネート陰イ
オンに変換し、ランタノイド(III) の塩化物(水和物)
を加熱して得た無水塩(1/3倍モル)を加え、β−ジ
ケトネート基を有する親水性デンドリマーを配位子とす
る3価ランタノイド陽イオン(以下Ln3+と略)錯体
(以下Ln−Dと略)の水溶液を得た。そして、イオン
交換樹脂を濾別し水溶液を濃縮して錯体を単離した。元
素分析、及び熱重量分析の結果より、錯体中のランタノ
イドの含有量は、いずれも理論値の0.5重量%以内で
一致した。
【0046】[実施例1〜11]錯体Ln−Dとテトラ
エトキシシラン(TEOS)を表1記載の各重量比で配
合し、0.5重量%の濃塩酸を含む80%エタノール水
溶液中に溶解(30重量%濃度)し、50℃で8時間時
間加熱し、次いで溶媒を大気圧次いで真空中で留去し
た。得られた残渣を、空気中、550℃で3時間焼成し
て有機成分を焼失せしめてランタノイド−シリカガラス
複合体を得た。なお、表1にTEOSが完全にSiO2
に変換されデンドリマー由来の有機成分も完全に焼失し
た場合の、各実施例の複合体中の理論ランタノイド含有
量(組成物中の全陽イオン性元素、即ち珪素とランタノ
イドの和に対するモル%)も記載した。
【0047】[比較例1]実施例でLn−Dの代わりに
酢酸ユウロピウム(III) の無水塩を使用し、該無水塩/
TEOS=0.5/99.5(重量比)で配合して同様
の実験を行った。
【0048】[評価] 溶媒留去直前の上記反応溶液を市販の銅メッシュ上に
塗布して溶媒を留去し、上記の焼成を行った。日立製作
所(株)製透過型電子顕微鏡H−9000NA(加速電
圧300kV)を用いて、このサンプル中のランタノイ
ドの分散状態を観察した。結果は表1に記した。 表1の実施例7と比較例(共にユウロピウム系組成物
であり、ユウロピウムの理論含有量は同じ)の焼成工程
でプレス成形を並行して行い、各無機ガラスを厚さ10
0μmのフィルム状に賦形した。これらのフィルム状組
成物に462nmの可視光を同一の強度及び角度で照射
し、615nmのユウロピウムに起因する蛍光強度を比
較したところ、実施例7の組成物は比較例の組成物の約
7倍の強度の蛍光を発した。
【0049】
【表1】 表1 実験番号 Ln 3+ Ln-D/TEOS (仕込み) 理論Ln含有量 分散状態 [重量比] [重量%] 実施例1 Er3+ 0.1/99.9 0.035 凝集なし 〃 2 〃 8/92 3.0 同上 〃 3 〃 23/77 9.5 同上 〃 4 Pr3+ 8/92 2.5 同上 〃 5 Nd3+ 8/92 2.6 同上 〃 6 Sm3+ 8/92 2.7 同上 〃 7 Eu3+ 8/92 2.7 同上 〃 8 Tb3+ 8/92 2.8 同上 〃 9 Dy3+ 8/92 2.9 同上 〃 10 Ho3+ 8/92 2.9 同上 〃 11 Tm3+ 8/92 3.0 同上比較例 Eu3+ 0.5a)/99.5 2.7 凝集多い a) :酢酸ユウロピウムの無水塩としての重量比。
【0050】
【発明の効果】本発明の無機ガラスは、非凝集状態の金
属元素を幅広い組成範囲で含有し、次のような特徴を有
するのでその工業的利用価値は極めて大である。 (1)分散している金属元素が蛍光能を有する場合、上
記実施例7と比較例の蛍光強度の比較で明らかなよう
に、非凝集状態で分散した該金属元素に起因する極めて
低減された濃度消光を有する高輝度蛍光材料となるの
で、光通信技術における光増幅器、波長変換器、レーザ
ー発生部材等の光学部材材料として極めて有用である。 (2)該金属元素の磁性に起因するFaraday回転
を利用した光アイソレータ、該金属元素の添加による屈
折率上昇を利用した光導波路、あるいは光情報記録の高
密度化を目的としたアップコンバージョンレーザー材
料、分散された該金属元素の光吸収によるホールバーニ
ング現象を利用した光情報記録材料等の光学部材材料と
して利用される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属元素と、超分岐分子構造含有配位子
    を含む金属錯体を用いることを特徴とする、ゾル−ゲル
    法による無機ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 超分岐分子構造含有配位子が、酸素原子
    を含有し且つ分子量が300〜50000であることを
    特徴とする請求項1に記載の無機ガラスの製造方法。
  3. 【請求項3】 配位子の錯形成官能基としてβ−ジケト
    ネート基を含有することを特徴とする請求項1又は2に
    記載の無機ガラスの製造方法。
  4. 【請求項4】 金属元素が蛍光能を有することを特徴と
    する請求項1乃至3に記載の無機ガラスの製造方法。
  5. 【請求項5】 金属元素が遷移金属元素であることを特
    徴とする請求項4に記載の無機ガラスの製造方法。
  6. 【請求項6】 金属元素がランタノイド元素であること
    を特徴とする請求項5に記載の無機ガラスの製造方法。
  7. 【請求項7】 金属元素が、プラセオジム、ネオジム、
    サマリウム、ユウロピウム、テルビウム、ジスプロシウ
    ム、ホルミウム、エルビウム、及びツリウムからなる群
    より任意に選ばれる元素であることを特徴とする請求項
    6に記載の無機ガラスの製造方法。
  8. 【請求項8】 金属元素が非凝集原子又は非凝集陽イオ
    ンの状態で無機ガラスマトリックスに分散しており、無
    機ガラス中の全陽イオン性元素に対する該分散金属元素
    の含量が0.01〜10モル%である、請求項1乃至7
    のいずれかの方法により製造された無機ガラス。
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