JPH08295537A - ガラス複合材料、ガラス複合材料の前駆体、含窒素複合材料、発光素子、電子写真感光体、非線形光学素子およびレーザー素子 - Google Patents

ガラス複合材料、ガラス複合材料の前駆体、含窒素複合材料、発光素子、電子写真感光体、非線形光学素子およびレーザー素子

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JPH08295537A
JPH08295537A JP7261008A JP26100895A JPH08295537A JP H08295537 A JPH08295537 A JP H08295537A JP 7261008 A JP7261008 A JP 7261008A JP 26100895 A JP26100895 A JP 26100895A JP H08295537 A JPH08295537 A JP H08295537A
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俊郎 平岡
Kou Jiyurian
ジュリアン・コウ
Yoshihiko Nakano
義彦 中野
Shinji Murai
伸次 村井
Shuji Hayase
修二 早瀬
Kenji Todori
顕司 都鳥
Yutaka Majima
豊 真島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス成分にポリシラン、ポリゲルマン、ポ
リスタナンなどのポリマーが高い架橋密度で稠密な三次
元ネットワークを形成した状態で固定され、耐久性が高
く、しかもこれらのポリマーが本質的に有している光学
的、電気的な性質を十分に発現でき、しかも均一な薄膜
などの成形体を容易に作製することが可能なガラス複合
材料を提供する。 【解決手段】 ポリシラン類のポリマー鎖と、金属原子
が酸素原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸
化物の網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸
化物の網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に
架橋されており、電圧/膜厚比を106 V/cmに設定
して円平板電極法で測定された体積抵抗率が3×106
Ω・cm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリシランに代表さ
れるポリマー鎖を含有し様々な光学的・電気的特性を発
現する複合材料、このような複合材料の前駆体、ならび
にこの複合材料を応用した発光素子、電子写真感光体、
非線形光学素子およびレーザー素子などのデバイスに関
する。
【0002】
【従来の技術】ポリシラン、ポリゲルマンやポリスタナ
ンなどのポリマーは、主鎖のσ共役効果に起因する様々
の特有な光学的または電気的な性質を有し、光電子デバ
イス材料として注目されている。しかしながら、こうし
たポリマー主鎖のSi−Si、Ge−GeやSn−Sn
といった結合は化学的に変性しやすく、また紫外線の照
射によって比較的容易に酸化されてしまうため、耐久性
が弱い。また、これらのポリマーは機械的強度も低いこ
とが多く、デバイス材料として用いる際に大きな問題と
なっている。
【0003】こうした耐久性の低さを改善するため、例
えば特開平4−363327号公報などには、ポリシラ
ンなどのポリマー側鎖に導入した極性基どうしを反応さ
せて架橋させることにより三次元化する方法が開示され
ている。このように架橋によって三次元化すると、機械
的強度が増大するとともに、ポリマー主鎖が三次元ネッ
トワーク中で固定されるため主鎖切断が起こりにくくな
り、化学的、熱的または光学的な耐久性が向上する。し
かしながらこれまで、こうした架橋体の架橋密度は十分
高くないために、ポリマー主鎖の三次元ネットワーク中
での固定が十分ではなく、耐久性の向上は満足できるも
のではなかった。
【0004】ポリシランなどの耐久性を向上させるため
には、架橋体の架橋密度を高めて稠密な三次元ネットワ
ークを形成させることが有効である。こうした三次元ネ
ットワークを形成する物質としては、例えばガラスがよ
く知られており、ガラスの三次元ネットワーク中にポリ
シランなどのポリマーを化学的な結合を通じて固定する
ことができれば、ポリマーの耐久性の大幅な向上が期待
される。この際、こうした特性の向上には、ポリマーが
ガラスマトリックス中に十分相溶し、相分離しないこと
が重要である。
【0005】従来、例えば特開平1−183420号公
報には、ガラス中にポリシランやポリゲルマンを混合し
た例が開示されている。このガラス材料は、ガラスゾル
液に、非極性のポリシランやポリゲルマンの粉体を混合
したり、非極性のポリシランやポリゲルマンと極性のポ
リシロキサンとのブロック共重合体を混合して調製され
たものである。しかし、前者のように粉体を混合する場
合には当然相分離を起こし、後者のようにブロック共重
合体を使用した場合でもガラスマトリックスが極性であ
るのに対して共重合体のポリシラン部分が非極性である
ためにやはり相分離を起こすため、三次元ネットワーク
中への固定効果が弱い。
【0006】また、USP5130397や特開平5−
105766号公報には、ポリシランなどのポリマーと
ケイ酸ガラスとの共重合体が開示されている。しかし、
これらはいずれも主にポリマー主鎖の両端部のみでガラ
スマトリックスに結合しているにすぎず、またポリマー
自体が非極性であるためやはりガラスマトリックスへの
ポリマーの固定効果が弱く、特性の向上が十分とはいえ
なかった。
【0007】また、シロキセン化合物はケイ素連鎖がシ
ロキサン結合で相互に架橋された構造を有するといわれ
ている。しかし、このシロキセン化合物は溶液などに溶
解することができないため、例えば薄膜などに成形して
素子に応用することができない。シロキセン化合物を加
圧プレスすることによって錠剤に成形した例はあるが、
このような錠剤は本質的に粉末を単に押し固めただけの
ものであるため、不均一で脆く実用的でない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにポリシ
ラン、ポリゲルマン、ポリスタナンなどのポリマーは化
学的、光学的な耐久性が低く、またこれらのポリマーを
ガラス中に分散させた材料においてもポリマーが非極性
なためガラス中で相分離を起こし、耐久性の向上が十分
ではなかった。
【0009】本発明の目的は、ポリシラン、ポリゲルマ
ン、ポリスタナンなどのポリマーが高い架橋密度で稠密
な三次元ネットワークを形成した状態で固定され、耐久
性が高く、これらのポリマーが本質的に有している光学
的、電気的な性質を十分に発現でき、しかも均一な薄膜
などの成形体を容易に作製することが可能な複合材料を
提供することにある。本発明の他の目的は上述した複合
材料を容易に製造できる前駆体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は上述した複合材料を構成要素
として含む発光素子、電子写真感光体、非線形光学素子
およびレーザー素子などのデバイスを提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のガラス複合材料
は、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリスタナンなら
びにこれらの共重合体から選択されるポリマー鎖と、金
属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結合してなる
金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記
金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリックスで化
学的に架橋されており、電圧/膜厚比を106 V/cm
に設定して円平板電極法(JIS C2151)で測定
された体積抵抗率が3×106 Ω・cm以下であること
を特徴とするものである。
【0011】本発明の他のガラス複合材料は、ポリシラ
ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属原子が酸素
原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸化物の
網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の
網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に3箇所
以上架橋されて硬化しており、かつ220〜1200n
mの波長範囲の光に対してコヒーレンスを保持する成形
体であることを特徴とするものである。
【0012】本発明のさらに他のガラス複合材料は、ポ
リシラン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこ
れらの共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属原子
が酸素原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸
化物の網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸
化物の網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に
3箇所以上架橋されて硬化しており、かつCu管球をX
線源とするX線回折により2θ=27〜30、46〜4
9、55〜58°の範囲にピークが観測されるシリコン
結晶に起因するシグナルの面積が全シグナルの合計面積
の1%以下であることを特徴とするものである。
【0013】これらのガラス複合材料に関しては、鉛筆
引っかき試験法(JIS K5401)による表面硬度
が3B以上であることが好ましい。
【0014】本発明のガラス複合材料では、ポリシラ
ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
共重合体から選択されるポリマー鎖が、このポリマー鎖
を構成する一置換あるいは二置換のSi、Geあるいは
Sn原子上にて、金属酸化物の網状構造からなるガラス
マトリックスで化学的に架橋されている。ここで、ガラ
スマトリックスとの架橋点となるSi、GeあるいはS
n原子は、主鎖上にあるものに限らず、例えば分枝鎖上
にある場合も含む。
【0015】本発明のガラス複合材料は、(A)ポリシ
ラン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれら
の共重合体から選択されるポリマー鎖が、ポリマー側鎖
に導入された極性基を介して、金属酸化物からなるガラ
スマトリックスと化学的に架橋した構造のものでもよい
し、(B)ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリスタナ
ンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマー鎖
が、ポリマー鎖に直接結合した酸素原子によって互いに
架橋し、この酸素原子を介してのケイ素原子、ゲルマニ
ウム原子またはスズ原子間の結合がガラスマトリックス
を形成している構造のものでもよい。
【0016】本発明のポリマー組成物は上述したガラス
複合材料の前駆体であり、側鎖に水酸基、アルコキシル
基、アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、カルボニル
基、カルボキシル基、アミド基、イミド基、ウレタン
基、ニトロ基、チオール基、チオエーテル基、チオエス
テル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホキシ
基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基か
らなる群より選択される少なくとも1種の極性基が導入
された、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリスタナン
ならびにこれらの共重合体から選択されるポリマーと、
金属酸化物、金属アルコキシド、金属水酸化物、金属キ
レート化合物、金属カルボン酸塩、金属ハロゲン化物お
よび金属水素化物からなる群より選択される少なくとも
1種とを含有することを特徴とするものである。
【0017】本発明の他のポリマー組成物は、下記一般
式(I)または(II)
【0018】
【化4】 (上記式中、MはSi、GeおよびSnから選択される
少なくとも1種の原子、R1 およびR2 は水素原子また
は置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基および
アラルキル基から選択され、同種でも異種でもよく、R
1 およびR2 の炭素数は1〜15である。)で表される
繰返し単位を有するポリマーと、金属酸化物、金属アル
コキシド、金属水酸化物、金属キレート化合物、金属カ
ルボン酸塩、金属ハロゲン化物および金属水素化物から
なる群より選択される少なくとも1種とを含有すること
を特徴とするものである。
【0019】本発明のポリマー化合物は上述したガラス
複合材料の前駆体であり、下記一般式(I)または(I
I)
【0020】
【化5】 (上記式中、MはSi、GeおよびSnから選択される
少なくとも1種の原子、R1 およびR2 は水素原子また
は置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基および
アラルキル基から選択され、同種でも異種でもよく、R
1 およびR2 の炭素数は1〜15である。)で表される
繰返し単位を有することを特徴とするものである。な
お、上述したように、このポリマー化合物は、金属酸化
物、金属アルコキシド、金属水酸化物、金属キレート化
合物、金属カルボン酸塩、金属ハロゲン化物あるいは金
属水素化物と併せて前駆体組成物として用いることも可
能である。
【0021】上記一般式(I)または(II)で表され
る繰返し単位を有するポリマーは、下記一般式(II
I)または(IV)
【0022】
【化6】 (上記式中、MはSi、GeおよびSnから選択される
少なくとも1種の原子、R11、R12、R13およびR15
水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基、アリ
ール基およびアラルキル基から選択され、同種でも異種
でもよく、R14は置換または非置換のアルキル基、アリ
ール基およびアラルキル基から選択され、R11〜R15
炭素数は1〜15である。)で表される繰返し単位を有
するものであることが特に望ましい。
【0023】本発明の含窒素複合材料は、ポリシラン、
ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの共重
合体から選択されるポリマー鎖と、有機または無機マト
リックスとを有し、前記ポリマー鎖がポリマー主鎖上の
Si、GeまたはSnに直接結合した窒素原子を介し
て、前記有機または無機マトリックスで化学的に架橋さ
れていることを特徴とするものである。
【0024】本発明の含窒素複合材料としては、より具
体的には、(C)ポリシラン、ポリゲルマン、ポリスタ
ナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマー
鎖と、例えばアニリン樹脂、ポリアニリンもしくはポリ
ピロールまたはこれらの混合物もしくは共重合体からな
る有機マトリックスとを有し、ポリマー主鎖上のSi、
GeまたはSn原子と有機マトリックス中の窒素原子と
が直接結合を形成して架橋した構造でもよいし、(D)
ポリシラン、ポリゲルマン、ポリスタナンならびにこれ
らの共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属−窒素
−金属結合を含有し網状構造をなす無機マトリックスと
を有し、ポリマー主鎖上のSi、GeまたはSn原子と
無機マトリックス中の窒素原子とが直接結合を形成して
架橋した構造でもよいし、(E)ポリシラン、ポリゲル
マン、ポリスタナンならびにこれらの共重合体から選択
されるポリマー鎖が、ポリマー鎖上のSi、Geまたは
Sn原子に直接結合した窒素原子を介して相互に化学的
に架橋して、M−N−M(MはSi、GeまたはSn原
子)結合を含有する無機マトリックスを形成した構造で
もよい。
【0025】本発明の発光素子は、1対の電極間に発光
層を有する発光素子において、前記発光層が、ポリシラ
ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属原子が酸素
原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸化物の
網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の
網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に3箇所
以上架橋されており、M原子(ただし、MはSi、Ge
およびSnから選択される少なくとも1種)の4本の結
合手が全てM−M結合を形成するM原子がM原子組成比
で10%未満であるガラス複合材料を主体とすることを
特徴とするものである。
【0026】本発明の他の発光素子は、1対の電極間に
発光層および電荷輸送層を有する発光素子において、前
記電荷輸送層が、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリ
スタナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリ
マー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と
結合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリ
マー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマト
リックスで化学的に3箇所以上架橋されてなるガラス複
合材料を主体とすることを特徴とするものである。
【0027】これらの発光素子においては、ガラス複合
材料が、原子組成比で0.1%以上のC原子を含有する
ものであることが好ましい。
【0028】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
上に、電荷発生層と電荷輸送層とを有する電子写真感光
体において、前記電荷輸送層が、ポリシラン、ポリゲル
マンおよびポリスタナンならびにこれらの共重合体から
選択されるポリマー鎖と、金属原子が酸素原子を介して
他の金属原子と結合してなる金属酸化物の網状構造とを
有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の網状構造から
なるガラスマトリックスで化学的に3箇所以上架橋され
てなるガラス複合材料を主体とすることを特徴とするも
のである。
【0029】本発明の非線形光学素子は、非線形光学現
象発生部と光導波部とを有する非線形光学素子におい
て、少なくとも前記非線形光学現象発生部が、ポリシラ
ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属原子が酸素
原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸化物の
網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の
網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に3箇所
以上架橋されており、かつCu管球をX線源とするX線
回折により2θ=20〜60°の範囲にピークが観測さ
れるシリコン結晶、ゲルマニウム結晶およびスズ結晶に
起因するシグナルの面積が全シグナルの合計面積の1%
以下であるガラス複合材料を主体とすることを特徴とす
るものである。
【0030】本発明のレーザー素子は、レーザー媒質
と、このレーザー媒質を介して対向配置された1対のミ
ラーからなる共振器と、前記レーザー媒質を励起するた
めの励起手段とを有するレーザー素子において、前記レ
ーザー媒質が、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリス
タナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマ
ー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結
合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマ
ー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリ
ックスで化学的に3箇所以上架橋されており、かつCu
管球をX線源とするX線回折により2θ=20〜60°
の範囲にピークが観測されるシリコン結晶、ゲルマニウ
ム結晶およびスズ結晶に起因するシグナルの面積が全シ
グナルの合計面積の1%以下であるガラス複合材料を主
体とすることを特徴とするものである。
【0031】なおこれらの光電子デバイスにおいては、
上述したような体積抵抗率、コヒーレンスおよびシリコ
ン結晶、ゲルマニウム結晶またはスズ結晶のピーク比を
満足することが望ましいが、これらをすべて満足する必
要があるわけではなく、例えば電子写真感光体における
電荷輸送層では体積抵抗率が3×106 Ω・cmを超え
ても、実用上何ら差し支えない。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。なお以下の説明では簡略化のために、ポリシラ
ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
共重合体を、ポリシラン類と総称する場合がある。
【0033】本発明のガラス複合材料は、ポリシラン、
ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの共重
合体から選択されるポリマー鎖が、金属−酸素−金属の
結合を有し網状構造をなすガラスマトリックスで架橋さ
れたものである。上述したように、このガラス複合材料
は、(A)ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリスタナ
ンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマー鎖
が、ポリマー側鎖に導入された極性基を介して、金属酸
化物からなるガラスマトリックスと化学的に架橋した構
造のものでもよいし、(B)ポリシラン、ポリゲルマン
およびポリスタナンならびにこれらの共重合体から選択
されるポリマー鎖が、ポリマー鎖に直接結合した酸素原
子によって互いに架橋し、この酸素原子を介してのケイ
素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子間の結合がガ
ラスマトリックスを形成している構造のものでもよい。
【0034】まず、上記(A)の構造を有するガラス複
合材料について説明する。この構造を有するガラス複合
材料は、例えば側鎖に水酸基、アルコキシル基、アミノ
基、アンモニウム基、イミノ基、カルボニル基、カルボ
キシル基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ニトロ
基、チオール基、チオエーテル基、チオエステル基、カ
ルバメート基、スルホニル基、スルホキシ基、フルオロ
基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基からなる群より選択
される少なくとも1種の極性基が導入されたポリシラ
ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
共重合体から選択されるポリマーと、金属アルコキシド
などの金属酸化物ゾル形成物質とを含有する前駆体組成
物を用い、ゾル−ゲル法などにより製造される。
【0035】原料の一成分であるポリシラン類は、側鎖
に上述した極性基を有するものであれば、どのようなも
のであってもよい。したがって、ポリマー主鎖がポリシ
ラン、ポリゲルマンまたはポリスタナンの単独重合体か
らなるものでもよいし、これらの共重合体からなるもの
でもよい。また、ポリマー主鎖がこれらのポリマーとこ
れら以外のポリマー例えばポリシロキサン(シリコー
ン)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルなどとの
ブロック共重合体からなるものでもよい。またポリマー
鎖の形態は、一次元鎖、分岐鎖、ラダー状、三次元鎖の
いずれでもよい。ただし、三次元鎖はポリシラン類の主
鎖がそれ自体でからまった状態であるので、架橋が十分
に行なわれにくい可能性があるため、三次元鎖以外の形
態であることが好ましい。重合度についても特に限定さ
れないが、主鎖におけるSi、Ge,Snなどの原子の
連鎖個数nが6〜100000であることが好ましく、
さらには10〜10000であることがより好ましい。
この理由は、nが小さすぎるとポリシラン類本来の機能
発現が妨げられ、逆にnが大きすぎると溶媒に対する溶
解性が低下してガラス複合材料の調製が困難になるから
である。
【0036】また、ポリシラン類として環状構造を主鎖
構造に持つ環状ポリシラン類を用いることもできる。特
に5員環や6員環の環状ポリシラン類は結合角などの関
係から環状構造自体が安定である。こうした安定な環状
構造体が更に架橋によって強化されることによって、従
来にない耐久性を有するポリシラン類が得られる。更に
こうした比較的小員環の環状化合物や例えばオクタシラ
キュバン類のような直方体状の環状構造を有するポリシ
ラン類が相互に金属酸化物の網目構造で架橋されると、
環のひずみにより金属酸化物中に非常に微細なエネルギ
ー準位の異なる0次元的なポリシラン類が分散された構
造体となる。こうした構造体は量子細点(quantu
m dot)を形成し、これに起因する非線形光学効果
などの様々な特異な量子効果を示し、非常に有効であ
る。このような環状または直方体状のポリシラン類を用
いる場合には、必ずしも上述した連鎖個数nの範囲に限
定されるものではない。
【0037】ポリシラン類の側鎖に導入される極性基と
しては、より具体的には以下のようなものが挙げられ
る。
【0038】
【化7】 (上記置換基中のRは置換または非置換のアルキル基、
アリール基、アラルキル基およびシリル基から選択さ
れ、同種でも異種でもよい。) また、これらの極性基を有するポリシラン類としてはよ
り具体的には以下のようなものが挙げられる。
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】 ただし、ポリマー鎖のガラスマトリックスへの固定効果
をより強力にするためには、反応に寄与する官能基がポ
リマー鎖に直接結合しているものが望ましい。特に、ア
ルコキシル基、チオエーテル基、アミノ基、カルボキシ
ル基、スルホキシル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ
基、ヨード基などは、Si、Ge、SnなどのM原子に
直接結合することによって脱離能が高まり、金属酸化物
マトリックスとポリシラン類との共有結合を容易に生成
することになる。なかでも、アルコキシル基、チオエー
テル基、アミノ基などは、反応後の副生成物として酸な
どが生じず、後処理の容易なため有用である。また、官
能基がアルキル基などのスペーサーを介してポリマー鎖
に結合している場合でも、スペーサーはなるべく短いも
のか、剛直なものであることが望ましい。また、全ポリ
マー側鎖における官能基の導入率も特に限定されない
が、十分な固定効果を得るためには、官能基の導入率が
5%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましく
は50%以上、最も好ましくは90%以上であるものが
よい。
【0045】原料の他の成分である金属酸化物ゾル形成
物質としては、金属酸化物、金属アルコキシド、金属水
酸化物、金属キレート化合物、金属カルボン酸塩、金属
ハロゲン化物、金属水素化物、硝酸塩や硫酸塩等の無機
塩等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよい
し、適宜混合してもよい。
【0046】金属アルコキシドとしては、Ge,Sn,
Pb,Al,Ga,As,Sb,Bi,Ti,Zr,
V,Nb,Ta,Na,K,Li,Ca,Mg,Ba,
Srなどのアルコキシドが挙げられる。具体的には以下
のようなものが挙げられる。LiOCH3 ,NaOCH
3 ,Cu(OCH3 2 ,Ca(OCH3 2 ,Sr
(OC2 5 2 ,Ba(OC2 5 2 ,Zn(OC
2 5 2 ,B(OCH33 ,Al(i−OC
3 7 3 ,Ga(OC2 5 3 ,Y(OC4 9
3,Si(OC2 5 4 ,Ge(OC2 5 4 ,P
b(OC4 9 4 ,P(OCH3 3 ,Sb(OC2
5 3 ,VO(OC2 5 3 ,Ta(OC3 7
5 ,W(OC2 5 6 ,La(OC3 7 3 ,Nd
(OC2 5 3 ,Si(OCH3 4 ,Si(OC2
5 4 ,Si(i−OC3 7 4 ,Si(t−OC
4 9 4 ,Ti(OCH3 4 ,Ti(OC2 5
4 ,Ti(i−OC3 7 4 ,Ti(OC
4 9 4 ,Zr(OCH3 4 ,Zr(OC25
4 ,Zr(OC3 7 4 ,Zr(OC4 9 4 ,A
l(OCH3 3,Al(OC2 5 3 ,Al(i−
OC3 7 3 ,Al(OC4 9 3 ,La[Al
(iso−OC3 7 4 3 ,Mg[Al(iso−
OC3 7 4 2 ,Mg[Al(sec−OC
4 9 4 2 ,Ni(iso−OC3 74 2
(C3 7 O)2 Zr[Al(OC3 7 4 2 ,B
a[Zr2 (OC2 5 9 2 などである。これらは
必要に応じて適宜混合して用いられる。なお、ポリマー
鎖とガラスマトリックスとを互いに化学的に架橋させる
ためには、2価以上の金属原子のアルコキシドなどが配
合されることが好ましい。
【0047】なお、アルコキシル基のほかに、アルキル
基やアリール基などの置換基を有するアルコキシドを用
いてもよい。具体的には以下のようなものが挙げられ
る。ジエトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシ
ラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニ
ルシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリ
エトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリブ
チルチンエトキサイド、トリブチルチンメトキサイド、
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジイソプロポ
キシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリフェ
ニルエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどであ
る。
【0048】また、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、
金属水素化物としては上記金属のそれぞれの化合物が挙
げられ、非置換であってもアルキル基やアリール基など
の置換基を有するものであってもよい。また例えばメチ
ルジクロロシランのようなハロゲン化物であり、かつ水
素化物であるようなものでもよい。具体的には以下のよ
うなものが挙げられる。ジメチルジヒドロキシシラン、
ジエチルジヒドロキシシラン、ジフェニルジヒドロキシ
シラン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノー
ル、トリフェニルシラノール、テトラクロロシラン、メ
チルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェ
ニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフ
ェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラ
ン、フェニルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、
テトラクロロチタン、トリクロロアルミニウム、カルシ
ウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドラ
イド、リチウムアルミニウムハイドライド、リチウムボ
ロハイドライド、リチウムトリ−tert−ブトキシア
ルミノハイドライド、リチウムトリ−sec−ブチルボ
ロハイドライド、マンガニーズ(II)ボレート、ポタ
シウムボロハイドライド、ソジウムビフルオライド、ソ
ジウムボロハイドライド、ソジウムジヒドロ−ビス(2
−メトキシエトキシ)アルミネート、ソジウムテトラヒ
ドロボレート、チタニウムハイドライド、トリブチルチ
ンハイドライド、ジルコニウムハイドライド、シラン、
メチルシラン、エチルシラン、イソプロピルシラン、フ
ェニルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジフ
ェニルシランなどである。なおここでは、ハロゲン化物
として塩化物を例示したが、対応する臭化物、ヨウ化物
なども良好に適用できる。
【0049】金属キレート化合物としては上記金属のア
セチルアセトナート等の1,3−ジカルボニル化合物を
配位子に有するものなどが用いられ、具体的には以下の
ようなものが挙げられる。トリス(アセチルアセトナ
ト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセタト)ア
ルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニ
ウム、インジウムアセチルアセトネート、亜鉛アセチル
アセトネート、銅アセチルアセトネート、白金アセチル
アセトネートなどである。
【0050】金属カルボン酸塩としては例えば酢酸塩な
どが用いられ、具体的には以下のようなものが挙げられ
る。酢酸バリウム、酢酸銅(II)、酢酸リチウム、酢
酸マグネシウム、酢酸鉛、シュウ酸バリウム、シュウ酸
カルシウム、シュウ酸銅(II)、シュウ酸マグネシウ
ム、シュウ酸スズ(II)、シュウ酸イットリウム、ス
テアリル酸イットリウムなどである。
【0051】金属無機塩としては、硝酸塩、オキシ塩化
物などが用いられ、具体的には例えば以下のようなもの
が挙げられる。硝酸イットリウム、硝酸ニッケル、オキ
シ塩化ジルコニウム、オキシ塩化アルミニウムなどであ
る。
【0052】また、ガラスマトリックス形成材料とし
て、金属アルコキシドなどに加えて、ほう砂などのほう
酸塩やリン酸塩などの酸化物塩;造膜補助剤などとして
エポキシ樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂、ポリビニル
ピロリドン、ナイロン樹脂といった有機ポリマーなどを
添加してもよい。さらに本発明では、ペルヒドロポリシ
ラザンのようなポリシラザン類を用いることで、ケイ素
酸化物を形成することもできる。
【0053】上記の組成物中におけるポリシラン類の配
合量は特に限定されないが、一般的には重量組成比で
0.1〜80%程度に設定される。この理由は、ポリシ
ラン類の配合量が少なすぎるとガラス複合材料全体とし
て見た場合、ポリシラン類に特有の機能が発現されにく
くなり、逆にポリシラン類の配合量が多すぎるとガラス
マトリックス部分が少ないために十分なポリマーの固定
効果が得られず、また酸素ガスなどに対するガスシール
ド効果が低くなるため、含有するポリシラン類の耐久性
が低下してしまうからである。より好ましいポリシラン
類の配合量は5〜70%、さらには30〜60%であ
る。ただし、ここで上記一般式(I)または(II)で
表される繰り返し単位を有するポリマーなどが用いられ
た場合は、この前駆体ポリマー自体が酸素原子を介して
架橋することでガラスマトリックスが形成されるので、
ポリシラン類の配合量が上述したような範囲内に設定さ
れなくても構わない。
【0054】本発明に係る(A)の構造のガラス複合材
料は主にゾル−ゲル法によって製造される。通常、まず
アルコールや水−アルコール混合液などの溶媒にポリシ
ラン類および金属アルコキシドを溶解させた溶液を調製
し、加熱または触媒の作用により金属アルコキシドを加
水分解してゾル液を形成する。このゾル液をガラス板な
どの基板に塗布したり、注型した後、ゲル化乾燥して所
望のガラス複合材料を得る。なお、金属アルコキシドの
溶液からゾル液を調製した後、ポリシラン類を加えて、
さらに上記と同様にしてゲル化してもよい。また、ガラ
ス板などの基板上にポリシラン類の薄膜を成膜し、これ
を金属アルコキシドを加水分解するなどして調製したゾ
ル液に浸漬した後、加熱乾燥などの処理により硬化させ
てもよい。さらには、単にポリシラン類と金属アルコキ
シドなどを混合し、これを成形した後、加熱などの処理
によりゲル化しても構わない。
【0055】上記の触媒としては、アンモニア水、トリ
アルキルアミン、エタノールアミンなどのアミン;水酸
化ナトリウムなどのアルカリ;塩酸、硝酸、リン酸など
の無機酸や、酢酸、シュウ酸などのカルボン酸に代表さ
れる有機酸;光酸発生剤;熱酸発生剤が挙げられる。ま
た、これらのアミン、アルカリ、酸のほかに、無水トリ
メリット酸などの酸無水物、酢酸ナトリウム、オクチル
酸亜鉛などのカルボン酸金属塩;過塩素酸アンモニウ
ム、過塩素酸マグネシウムなどの過塩素酸金属塩;アル
ミニウムアセチルアセトナト、ジルコニウムアセチルア
セトナトなどの金属キレート化合物;テトラブチルチタ
ネート、ジブチル錫ジラウレートなどの有機金属化合
物;塩化アルミニウム、塩化鉄(II)、塩化亜鉛(I
I)などの塩化物を用いてもよい。なおこのとき、アル
ミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ボロンなどのア
ルコキシドは、ガラスマトリックス形成材料として働く
ほかに、触媒としての作用も併せ持ち、非常に有用であ
る。また、溶媒としては、水、アルコールの他に、ホル
ムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トリエ
タノールアミン等の有機溶媒を用いてもよい。
【0056】また、既述した金属アルコキシド以外の金
属水酸化物、金属キレート化合物、金属カルボン酸塩、
金属ハロゲン化物、金属無機塩、金属水素化物などを用
いた場合も、金属アルコキシドと同等かあるいは類似の
ゾル−ゲル法などの溶液法や熱分解法などによってやは
り金属酸化物マトリックスを形成することができる。ま
たポリ(ジターシャリブトキシシロキサン)のようなシ
リコーン樹脂を、金属アルコキシドとして用いてもよ
い。さらに以上のような金属アルコキシドなどを用いた
ゾル−ゲル法のほかに、ペルヒドロポリシラザンのよう
なポリシラザン類とポリシラン類との混合物をそのま
ま、または触媒などの添加物を加えた後に、主に空気中
で加熱することによって本発明のガラス複合材料を製造
することができる。
【0057】本発明に係る(A)の構造のガラス複合材
料においては、金属酸化物からなるガラスマトリックス
にポリシラン類の側鎖に導入された極性基が共有結合、
イオン結合、配位結合、水素結合、疎水性相互作用など
により化学的に結合して、ポリシラン類のポリマー鎖が
固定され、さらにガラスマトリックスのガスバリヤ効果
によって酸化などが起こりにくくなるため、ポリマー単
独の場合と比べて、ポリマー鎖の分解や熱的な変質が抑
制され、耐熱性、耐光性が大きく向上するとともに、そ
の機械的強度も増大する。
【0058】次に、上記(B)の構造を有するガラス複
合材料は、側鎖として水酸基、アルコキシル基、アセト
キシ基などのエステル基、トリフルオロメタンスルホシ
キ基などのスルホン酸エステル基など、架橋可能な基が
ポリシラン類の主鎖に直接結合した前駆体ポリマーから
合成される。
【0059】例えば水酸基あるいはアルコキシル基を有
するものとしては下記一般式(I)または(II)
【0060】
【化14】 (上記式中、MはSi、GeおよびSnから選択される
少なくとも1種の原子、R1 およびR2 は水素原子また
は置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基および
アラルキル基から選択され、同種でも異種でもよい。な
お、R1 およびR2 の炭素数は1〜15である。)で表
される繰返し単位を有する前駆体ポリマーを用い、側鎖
の水酸基あるいはアルコキシル基どうしを脱溶媒縮合さ
せることにより製造される。一般式(I)または(I
I)で表されるオルガノシラン、オルガノゲルマンまた
はオルガノスタナンの単独重合体または共重合体は、ケ
イ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子に酸素原子
が直接結合した水酸基あるいは置換または非置換のアル
コキシル基を有し、ケイ素原子、ゲルマニウム原子また
はスズ原子と水酸基あるいはアルコキシル基との数量比
が一般式(I)では1:2、一般式(II)では1:1
である反復単位を有するものである。具体的には例えば
以下のようなものが挙げられる。
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】 一般式(I)または(II)で表される繰返し単位を有
する前駆体ポリマーは、例えば以下のような方法により
製造することができる。なお、ここでは前駆体ポリマー
の代表としてポリシラン前駆体ポリマーの製造方法を説
明する。(a)例えば、下記一般式(S1)または(S
2)で表されるジクロロシランを金属ナトリウムや金属
リチウムなどとトルエンやエーテルなどの溶媒中で反応
させ、ジクロロシランを脱塩縮合させることによって合
成することができる。(b)また、K.Matyjaz
ewskiら,J.Organomet.Chem.,
340,1988,7に報告されているように、下記一
般式(PS1)〜(PS5)で表されるポリ(ジアリー
ルシラン)に塩化メチレンなどの溶媒中でトリフルオロ
メタンスルホン酸などの酸を作用させた後、所望の置換
基部位を有するアルコールを反応させることにより合成
することもできる。またこの際アルコールの代わりに例
えばカルボン酸やカルボン酸塩を作用することによって
エステル基を有するポリシラン類も合成することができ
る。
【0063】
【化17】 また側鎖にアルコキシル基を有するポリシランは上記の
方法の他に、(c)K.Matyjazewski,M
acromol.Chem.,Macromol.Sy
mp.,42/43,269−280,1991に報告
されているように、アルコキシル基で置換されたSi,
GeまたはSnの四員環などを開環重合させる方法、
(d)アルコキシル基で置換された上記金属M原子のハ
ロゲン化物を用いて電解重合する方法、(e)壁田ら,
Chem.Lett.,835,1994に報告されて
いるように、金属Mのアルコキシ化物を塩基などの触媒
を用いて不均化反応によって重合する方法、(f)Yu
−Ling Hsiaoら,J.Am.Chem.So
c.,1994,116,9779−9780に報告さ
れているように、ポリ(フェニルヒドロシリレン)など
のM−H結合を有する樹脂にAIBN(アゾビスイソブ
チロニトリル)の作用下にアルデヒドやケトンのような
カルボニル化合物を反応させる方法、などにより合成す
ることもできる。
【0064】なお、上記(A)の構造を有するガラス複
合材料の原料であるポリシラン類のうちでも、側鎖の一
部にポリマー鎖に酸素原子が直接結合した状態で水酸基
(−OH)および/またはアルコキシル基(−OR)が
導入されたものを用いると、一般式(I)または(I
I)で表されるものと同様に上記(B)の構造を有する
ガラス複合材料を製造することができる。
【0065】一般式(I)または(II)で表されるポ
リシラン類に関しても、上述した側鎖に極性基を有する
ポリシラン類と同様に、主鎖が上記のポリマーとこれら
以外のポリマー例えばポリシロキサン(シリコーン)、
ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルなどとのブロッ
ク共重合体からなるものでもよい。またポリマー鎖の形
態も、一次元鎖、分岐鎖、ラダー状、二次元シート状
鎖、三次元鎖、または5員環、6員環などの環状、もし
くはオクタシラキュバンなどの直方体状のいずれでもよ
い。重合度についても特に限定されないが、主鎖におけ
るSi、Ge,Snなどの原子の連鎖個数nがやはり6
〜100000であることが好ましく、より好ましくは
nが10〜10000、さらには20〜5000であ
る。
【0066】一般式(I)または(II)で表されるポ
リシラン類は、ポリマー側鎖の水酸基、アルコキシル基
の縮合反応により分子間または分子内で架橋されて、ケ
イ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子と酸素原子
との結合を有する金属酸化物からなるガラス成分を形成
することができるので、上記(A)の構造のガラス複合
材料を製造する場合のように金属アルコキシドなどのガ
ラスマトリックス形成材料を用いる必要はない。すなわ
ち、本発明に係る(B)の構造のガラス複合材料は、一
般式(I)または(II)で表されるポリシラン類を薄
膜などに成形した後、加熱または酸性もしくは塩基性の
触媒の作用により、側鎖のアルコキシル基どうしを脱溶
媒縮合させてガラス化することにより製造できる。なお
ここでの触媒としては、ゾル−ゲル法によって(A)の
構造のガラス複合材料を製造する場合と同様のものが用
いられ得る。
【0067】この場合、前駆体のポリシラン類として、
上記一般式(I)または(II)で示されるもののうち
でも、特に上記一般式(III)または(IV)で示さ
れるポリシラン類を用いることによって、より良好に本
発明に係る(B)の構造のガラス複合材料を合成するこ
とができる。この理由を以下に説明する。すなわち、一
般式(I)または(II)で表される繰り返し単位を有
するポリシラン類のうち、特にメトキシ基やエトキシ基
などのアルコキシル基を有するものは、立体障害が小さ
いなどの理由から、比較的加水分解の反応性が高い場合
が多く、容易に架橋反応を起こさせることができる。し
かしその反面、これらのポリシラン類は貯蔵安定性に劣
り、取り扱いが難しい。これに対して一般式(III)
または(IV)で示されるポリシラン類は、アルコキシ
ル基の部分がターシャリブチルもしくはイソプロピルま
たはこれらの誘導体構造を有し、立体障害が大きく加水
分解しにくいため、貯蔵安定性に非常に優れている。し
かも、これらのポリシラン類に酸触媒などを作用させる
と、容易に酸素−炭素間結合が開裂し、ターシャリブチ
ルもしくはイソプロピルまたはこれらの誘導体の残基が
脱離して水酸基が生成し、この水酸基が直ちに他の水酸
基と脱水縮合してガラス化する。このためこれらのポリ
シラン類は、貯蔵安定性に優れていると同時に、いった
ん活性化されると容易にガラス化するという、潜在性前
駆体ポリマーとしての働きを有しており、たいへん有用
である。これらのポリシラン類も、上述した方法によっ
て合成することができる。一般式(III)または(I
V)で示されるポリシラン類の具体例を以下に示す。
【0068】
【化18】
【0069】
【化19】
【0070】
【化20】 本発明に係る(B)の構造のガラス複合材料では、ポリ
シラン類の主鎖がガラス成分を構成する酸素原子をスペ
ーサとして直接かつ極めて高密度に結合しているので、
大きな耐久性の向上が期待される。また、このガラス複
合材料は前駆体ポリマーのみを用いて製造できるため、
成形性が良好であり、かつポリシラン類の主鎖の含有率
が高く機能発現の点でも有利になる。
【0071】さらに、(B)の構造を有するガラス複合
材料を製造するには、CVD法を用いてもよい。すなわ
ち、CVD炉内にシリコンや石英ガラスなどの基板を設
置し、シラン系ガスを希釈して供給し、これを分解させ
ることにより基板上にポリシラン膜を形成する。ポリシ
ラン膜を形成中または形成した後に、酸素含有ガスを流
し、ポリシラン膜中の活性水素を水酸基で置換する。こ
のポリシラン膜を加熱し、ポリシランのポリマー鎖どう
しを酸素原子を介して架橋させることにより(B)の構
造を有するガラス複合材料を合成することができる。
【0072】この方法において、シラン系ガスとして
は、シラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テト
ラクロロシラン、ジシラン、トリシランおよびテトラシ
ランならびにこれらの混合ガスが挙げられる。シラン系
ガスを希釈するガスとしては、水素、アルゴン、ヘリウ
ム、窒素などが挙げられる。酸素含有ガスとしては、酸
素を含むH2 O、不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウ
ムなど)、水素ガス、もしくは空気、またはこれらの混
合ガスが挙げられる。酸素含有ガス中の酸素の含有量は
30%以下であることが好ましい。また、架橋時の加熱
温度は、ポリシランに導入された2つの水酸基が脱水反
応を起こしてSi−O−Si結合を形成することが可能
な温度例えば60℃以上で、ポリシランのポリマー鎖が
分解しない温度以下に設定される。
【0073】このようにCVD法によりガラス複合材料
(酸素架橋ポリシラン)を合成するプロセスは、半導体
製造プロセスに組み込むことができる。したがって、酸
素架橋ポリシランの発光機能を利用した光学デバイスと
半導体デバイスとを集積して光−電子集積回路を形成す
ることができる。また、CVD法を用いれば、液相合成
の場合と比較して大量生産によるコスト低減に有利であ
り、不純物の混入の問題が少ない点でも優れている。
【0074】以上において説明した本発明に係る(A)
および(B)の構造を有するガラス複合材料の効果をま
とめて説明する。本発明のガラス複合材料では、ポリマ
ー鎖の架橋部位はその周囲のガラスマトリックスにより
堅固に保持されているため、ポリマー鎖の一部が光など
のエネルギーによって切断されたとしても再び結合する
ことが可能である。このようにポリシラン類のポリマー
鎖の固定効果が高められているため、耐光分解性、耐熱
分解性、耐化学的分解性が高い。また、特にポリシラン
類の主鎖どうしがM−O−M結合を形成して架橋してい
る場合には、酸素原子の橋渡しによってポリシラン類の
主鎖の共役が架橋体全体に広がる。このため、電気的に
はキャリヤー移動度が向上して電気伝導度が良好とな
り、光学的には光発光(PL)および電界発光(EL)
の強度が高く、ポリマー主鎖におけるSi、Ge、Sn
の連鎖個数や架橋度に応じて発光波長がシフトするなど
の効果も得られる。また、本発明のガラス複合材料では
ポリシラン類の含有率が高い場合でも、ポリシラン類の
ポリマー鎖の固定効果が高いことから、上記のような電
気的・光学的特性の発現に有利になる。一方、例えば従
来知られているポリシラン類をケイ酸ガラス中に混合・
複合化させたポリシラン−ガラス複合材料では、絶縁体
であるケイ酸ガラスマトリックスの割合が非常に多く、
ポリシラン主鎖の架橋も十分ではないため、本発明のガ
ラス複合材料のような効果を得ることはできない。
【0075】本発明のガラス複合材料において、上記の
効果を得るためには、ポリマー鎖が金属酸化物の網状構
造からなるガラスマトリックスで化学的に3箇所以上架
橋されていることが好ましい。上述したように、前駆体
ポリマー鎖上における架橋点が3箇所以上であれば、ポ
リシラン類のポリマー鎖とガラスマトリックスとの相分
離を防止できる。また、ポリマー鎖の固定効果をより高
めるためには、架橋点は5箇所以上、さらには10箇所
以上であることが好ましい。ただし、架橋度に関して
は、架橋度が低く溶媒に極めて溶解しやすい状態から、
溶媒への溶解性を保持しているが架橋度が非常に高く高
硬度で十分な機械的強度を有し成形体として用いること
ができる状態まで、用途に応じて広い範囲にわたって選
択することができる。そして、こうした架橋体は成形後
に、さらに架橋度を高めることによって溶媒に不溶な、
すなわち耐溶媒性に優れた成形体にすることも可能であ
る。なおこのようなポリマー鎖上の架橋点の個数は、前
駆体ポリマーにおける官能基の反応率を算出することで
容易に分析され得る。
【0076】次に、本発明に係るガラス複合材料が耐久
性を高めながら、優れた光学的・電気的特性を発現する
うえで満たすべき物性について、特に従来知られている
シロキセン材料と比較しながら、各種素子への応用を考
慮に入れて説明する。
【0077】従来知られているシロキセン化合物はケイ
素の連鎖が酸素原子によって架橋された構造を有してい
るとされているが、溶媒に不溶であるため、粉末を加圧
成形してペレットに成形した例があるにすぎない。この
ようなペレットは本質的に粉末が固まっただけのもので
あり、多数の粒界が存在する。このように多数の粒界が
存在すると電気伝導度が著しく低下する。また、シロキ
セン化合物のペレットは光学的に無視できない大きさの
粒界が存在するため、この材料中を通過する光は散乱さ
れやすく、特定波長の光に対してコヒーレンスを保持で
きない。また、シロキセン化合物はシリコン微結晶を含
み、架橋されたポリシラン類のポリマー鎖とシリコン微
結晶ではそれぞれの励起エネルギーが異なるため、シリ
コン微結晶によるエネルギー準位が形成される。この結
果、シロキセン化合物をレーザー媒質のようなPL材料
として用いた場合には、シリコン微結晶が無発光準位を
形成したり所望の波長とは波長の異なる蛍光を発光する
ため、PL効率を低下させる原因となる。同様に、EL
材料として用いた場合には、シリコン微結晶が無発光準
位を形成したり、キャリヤーをトラップしてキャリヤー
の輸送効率を低下させるため、EL効率を低下させる原
因となる。さらに、4本の結合手が全てSi−Si結合
を形成している結晶性の高いSi原子は、ホール・電子
対発光に対する非発光中心として作用するため、EL効
率を低下させる原因となる。また、非線形光学材料とし
て用いる場合は、シリコン微結晶が励起光を吸収して光
波長変換効率が低下する傾向がある。
【0078】これに対して本発明のガラス複合材料にお
いては、例えばシロキセン化合物に含まれるシリコン微
結晶など、電気的・光学的特性の発現を阻害する要因と
なるがものがほとんど存在しない点で優れている。以
下、このような阻害要因に関連する、体積抵抗率、コヒ
ーレンス、シリコン微結晶、ゲルマニウム微結晶および
スズ微結晶の含有率あるいは4本の結合手が全てM−M
結合を形成しているM原子の含有率などの個々の物性に
ついてさらに詳細に説明する。
【0079】(体積抵抗率)本発明のガラス複合材料
は、ポリシラン類のポリマー鎖の共役が広がっているう
えに均一で粒界がほとんど存在しないため、高い電気伝
導度を有する。このことはJIS C2151記載の円
平板電極法に準じて測定される体積抵抗率が低いことで
示される。円平板電極法の測定に供する試料の膜厚は、
0.02〜0.1μm、さらに0.05〜0.1μmと
することが好ましい。また、印加電圧を試料の膜厚に応
じて、1V以上、好ましくは2V以上、さらに好ましく
は5V以上、最も好ましくは10V以上として電圧/膜
厚比すなわち電界強度を106 V/cmに設定する。電
極の大きさは基本的にはJIS C2151の記載に従
うが、試料片の形状、大きさに応じて電極の大きさを多
少変更する場合がある。電極の材質に関しては、正極と
してITOなど、負極として金、銅、アルミニウムなど
を用いる。すなわち、負極が正極よりも仕事関数が小さ
い組み合わせを用いることが好ましく、正極としてIT
O、負極としてアルミニウムの組み合わせが最も好まし
い。本発明のガラス複合材料は、これらの条件での測定
により3×106 Ω・cm以下の体積抵抗率を有する。
体積抵抗率は1.5×106 Ω・cm以下、さらに8×
105 Ω・cm以下、さらに6×105 Ω・cm以下、
さらに4×105 Ω・cm以下であることが好ましい。
【0080】(コヒーレンス)本発明のガラス複合材料
中は散乱の原因となる光の波長以上の粒径を有する粒子
や粒界がなく光学的に均一であるため、300〜800
nmの波長範囲の光に対してコヒーレンスを保持する。
ポリシラン類の吸収、発光などの光学的特性を考慮する
と、コヒーレンスを保持する波長範囲は280〜900
nm、さらには220〜1200nmであることが好ま
しい。この条件は、光学的な応用全般にわたって重要に
なる。
【0081】コヒーレンスの保持は、ヘイズ率で20%
以下であることによって達成される。この値は好ましく
は10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好まし
くは3%以下であることが望まれる。ヘイズ率は、試料
が薄膜の場合にはその表面に垂直に光を入射させたとき
の値、それ以外の成形体の場合には例えばEL発光にお
ける出射光などのように、成形体を素子として利用した
際に成形体から出射または成形体に入射する光軸に平行
な光線を入射させたときの値で評価される。
【0082】(シリコン微結晶などの含有率)上述した
ようにシロキセン化合物はシリコン微結晶を含有するた
め、Cu管球をX線源とするX線回折により例えば2θ
=28.4、47.3、56.1°付近にシリコン微結
晶に起因するシグナルが観測される。またゲルマニウム
結晶やスズ結晶では、その結晶形によっても異なるが、
Cu管球をX線源とするX線回折により、例えばそれぞ
れ2θ=27.3、45.3、53.7°および2θ=
23.7、34.2、46.4°付近にシグナルが観測
される。これに対して本発明のガラス複合材料はシリコ
ン微結晶やゲルマニウム結晶、スズ結晶をほとんど含有
せず、Cu管球をX線源とするX線回折により2θ=2
0〜60°の範囲にピークが観測されるシリコン結晶、
ゲルマニウム結晶およびスズ結晶に起因するシグナルの
面積が全シグナルの合計面積の1%以下である。例え
ば、ポリシランとガラスマトリックスとを互いに化学的
に架橋させてなるガラス複合材料では、X線回折におい
て2θ=27〜30、46〜49、55〜58°の範囲
にピークが観測されるシリコン微結晶に起因するシグナ
ルの面積が全シグナルの合計面積の1%以下となる。シ
リコン微結晶、ゲルマニウム微結晶およびスズ微結晶に
起因するシグナルの面積は、全シグナルの面積の0.1
%以下、さらに0.01%以下であることが好ましい。
ただしここでの全シグナルの面積は、2θ=20〜60
°の範囲におけるシグナルの合計面積ではなく、2θが
0°を超える全範囲における全シグナルの合計面積とす
る。この条件は、非線形光学素子、レーザー素子などへ
の応用において、光波長変換効率、PL効率などを向上
させるうえで特に重要になる。
【0083】さらに本発明のガラス複合材料において
は、シリコン微結晶、ゲルマニウム微結晶、スズ微結晶
の含有量を抑えたうえで、4本の結合手が全てM−M結
合を形成している結晶性の高いM原子の含有率が原子組
成比で10%未満に設定されることが好ましい。このよ
うなM原子は、XPS、固体NMRなどの測定により定
量することができる。この条件は、特にEL素子への応
用においてEL効率を向上させるうえで重要になる。
【0084】また、本発明のガラス複合材料を各種素子
に応用することを考慮した場合、硬化物さらには薄膜な
どの所定形状の成形体として素子に組み込む必要があ
る。このため、十分な硬度を有し、かつ成膜する際に実
用的な溶媒可溶性を有することが好ましい。これらの性
質に関連して、表面硬度およびC原子含有率について説
明する。
【0085】(表面硬度)本発明のガラス複合材料を硬
化物として用いる場合、その表面硬度は鉛筆引っかき試
験法(JIS K5401)で3B以上であることが好
ましい。表面硬度はB以上、さらに1H以上、さらに2
H以上、さらに4H以上、さらに6H以上であることが
好ましい。これらの条件を満たすためには、ポリマー側
鎖における架橋可能な官能基の20%以上の部位で架橋
していることが要求される。架橋部位は架橋可能な官能
基の30%以上、さらに50%以上、さらに80%以
上、さらに90%以上であることが好ましい。本発明で
は、このようにポリマー側鎖における官能基の反応率を
高め、架橋密度を増大させることで、特に耐久性の優れ
たガラス複合材料を得ることができる。
【0086】なおこうした官能基の反応率は、二次イオ
ン質量分析法、NMR、IR、XPSなどによって定量
することが可能である。さらに架橋反応の際には、水や
アルコールの脱離に起因して重量の減少が生じるので、
熱重量分析法(TG)などによっても官能基の反応率は
算出され得る。
【0087】(C原子含有率)本発明のガラス複合材料
は、その成膜性や成形体の可撓性を向上させる観点か
ら、原子組成比で0.1%以上のC原子を含有している
ことが好ましい。成膜性のみを考慮すれば、C原子含有
率が高いほど溶媒に溶解しやすいので、C原子の含有率
は1%以上、さらには10%以上であることがより好ま
しい。
【0088】次に、本発明の含窒素複合材料について説
明する。本発明の含窒素複合材料は、ポリシラン、ポリ
ゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの共重合体
から選択されるポリマー鎖と、無機または有機マトリッ
クスとを有し、ポリマー鎖と無機または有機マトリック
スとがポリマー主鎖上のSi、GeまたはSn原子に直
接結合した窒素原子を介して相互に化学的に架橋されて
いるものである。
【0089】より具体的には、本発明の含窒素複合材料
は、(C)ポリシラン、ポリゲルマン、ポリスタナンな
らびにこれらの共重合体から選択されるポリマー鎖と、
例えばアニリン樹脂、ポリアニリンもしくはポリピロー
ルまたはこれらの混合物もしくは共重合体などの有機マ
トリックスとを有し、ポリマー主鎖上のSi、Geまた
はSn原子と有機マトリックス中の窒素原子とが直接結
合を形成して架橋した構造でもよいし、(D)ポリシラ
ン、ポリゲルマン、ポリスタナンならびにこれらの共重
合体から選択されるポリマー鎖と、金属−窒素−金属結
合を含有し網状構造をなす無機マトリックスとを有し、
ポリマー主鎖上のSi、GeまたはSn原子と無機マト
リックス中の窒素原子とが直接結合を形成して架橋した
構造でもよいし、(E)ポリシラン、ポリゲルマン、ポ
リスタナンならびにこれらの共重合体から選択されるポ
リマー鎖が、ポリマー鎖上のSi、GeまたはSn原子
に直接結合した窒素原子によって互いに架橋し、この窒
素原子を介してのケイ素原子、ゲルマニウム原子または
スズ原子間の結合が無機マトリックスを形成した構造で
もよい。
【0090】上記(C)の構造を有する含窒素複合材料
について説明する。この構造を有する含窒素複合材料に
用いられるポリシラン類は、上述した(B)の構造を有
するガラス複合材料に関連して説明したポリシラン類と
同様あるいは類似のものである。すなわち、側鎖に水酸
基、アルコキシル基やアミノ基などの脱離反応を起こす
極性基が導入されたポリシラン、ポリゲルマン、および
ポリスタナンならびにこれらの共重合体から選択される
ポリマーが用いられる。
【0091】なお、アミノ基が導入されたポリシラン類
は、例えば芳香族基で置換されたポリシラン類に塩化メ
チレンなどの溶媒中で塩酸、トリフルオロメタンスルホ
ン酸などの酸を作用させた後、アンモニアやアミンを反
応させることによって合成することができる。また、吉
田ら(吉田、坂本、櫻井;日本化学会第65春季年会予
稿集3F332(1993)のマスクドジシレンを経由
する方法によって合成することもできる。
【0092】ポリマーの主鎖の化学構造、形態などに関
しても上述したのと同様である。また、重合度について
も特に限定されないが、主鎖におけるSi、Ge,Sn
などの原子の連鎖個数nが4〜100000であること
が好ましく、より好ましくはnが10〜10000、さ
らには30〜1000である。この場合、nが大きすぎ
ると溶媒に対する溶解性が低下するだけでなく、ポリア
ニリンやポリピロールなどとの相溶性が悪くなり、架橋
体の調製が困難になる。
【0093】(C)の構造を有する含窒素複合材料の原
料の他の成分であるアニリン樹脂、ポリアニリン、ポリ
ピロールとしては、それぞれ主鎖中の窒素原子のうち少
なくとも一部の窒素原子が活性水素を有するものであれ
ばよい。したがって、主鎖がアニリン樹脂、ポリアニリ
ン、ポリピロールの単独重合体からなるものでもよい
し、これらの共重合体からなるものでもよい。また、主
鎖がこれらのポリマーと、これら以外のポリマー例えば
ポリシロキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリエステル、ポリエーテル、ビニル樹脂、アクリ
ル系樹脂、ポリチオフェンなどとのブロック共重合体か
らなるものでもよい。また、ポリマー鎖の形態は、一次
元鎖、分岐鎖、二次元鎖、三次元鎖、環状のいずれでも
よいが、好ましくは三次元鎖以外がよい。この理由は、
三次元鎖はポリアニリン、ポリピロールなどの主鎖がそ
れ自体でからまった状態であるので、ポリシラン類との
架橋が十分に行なわれにくいためである。重合度につい
ても特に限定されないが、それぞれアニリン、ピロール
などの繰り返し単位の連鎖個数nが4〜10000であ
ることが好ましく、さらには20〜1000、より好ま
しくは300〜1000であることが好ましい。この理
由は、nが小さすぎると、ポリアニリン、ポリピロール
類本来の機能発現が妨げられるとともに、架橋によりポ
リシラン鎖を有機マトリックスへ固定する効果が小さく
なり、逆にnが大きすぎると溶媒に対する溶解性が低下
したり、ポリシラン類との相溶性が悪くなり、架橋体の
調製が困難になるからである。
【0094】上述した官能基を有するポリシラン類とポ
リアニリンなどをそのまままたは溶液の状態で混合する
と、ポリアニリンなどに含まれるN原子が、ポリシラン
類のSi、Ge、Sn原子(M原子)を求核攻撃し、官
能基が脱離してN−M結合が形成される。また、ポリシ
ラン類の官能基のうちN原子と反応しなかった余剰の官
能基例えばアルコキシル基は、加水分解などにより相互
に架橋してM−O−M結合を形成する。このようにして
ポリシラン類とポリアニリンなどとが化学的に結合する
か、またはポリシラン類どうしで化学的に結合し、網状
の架橋構造が形成される。
【0095】側鎖に官能基を有するポリシラン類に対す
る有機マトリックス材料の配合量は特に限定されない
が、一般的には重量組成比で5〜5000%、好ましく
は50〜2000%、さらには100〜500%である
ことが望まれる。これは有機マトリックス材料の量があ
まりに少ないとポリシラン類の主鎖を固定する効果が十
分でなく、逆に多すぎると複合材料全体としてポリシラ
ン類の機能発現が小さくなってしまうからである。
【0096】このようにして得られる(C)の構造を有
する窒素架橋ポリシラン類では、ポリシラン類の分解が
起こりにくくなり、耐光性などが向上する。また、ポリ
シラン類およびポリアニリンなどからなる有機マトリッ
クスは、いずれも電荷輸送性ポリマーであるため、これ
らポリマーの相互作用によって電荷輸送性などが向上す
る。しかも、ポリシラン類の主鎖にN原子が直接結合す
ることによって電子状態が変化するため、PL、EL特
性が発現し、非線形光学特性が向上する。
【0097】また、これらの機能を向上させるために、
各種の電子供与性物質や電子授与性物質を添加(ドーピ
ング)してもよい。具体的には、例えばよう素、第二塩
化鉄、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、p−トル
エンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸などの酸などが挙げられる。これらは単独
でまたは2種以上混合して用いられる。
【0098】なお、有機マトリックスを有する含窒素複
合材料は、アミノ基が導入されたポリシラン類と、以下
に挙げる樹脂の少なくとも一部分にアミノ基と反応し得
る官能基が導入されたものとを反応させることによって
も合成することができる。ここでの樹脂としては、具体
的には、例えばフェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン
・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、アクロレイ
ン系樹脂、マレイミド樹脂、トリアジン系樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリパラキシ
レン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、メタクリル
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹
脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリ
ビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ
アミド、ポリジエン、ポリウレタン、ポリフェニレン、
ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、シリコーン樹
脂、ゴム、セルロース、タンパク質、ポリアセチレン、
ポリ(パラフェニレンスルフィド)、ポリチオフェン、
ポリシロールなどである。これらは単独でまたは2種以
上混合して用いられる。また以上のような高分子化合物
以外にもてい分子のアミン化合物を用いてもよく、例え
ばキシリレンジアミン、2,6−ジアミノナフタレンな
どが挙げられる。
【0099】次に、(D)の構造を有する含窒素複合材
料について説明する。この構造を有する含窒素複合材料
は、上述した(B)の構造を有するガラス複合材料に関
連して説明したポリシラン類と同様あるいは類似のもの
と、窒素原子上に活性水素を有し金属−窒素−金属結合
を含有する無機マトリックスとなる化合物、例えばポリ
シラザンゾルなどとを混合して反応させることによって
合成される。なお、(D)の構造を有する含窒素複合材
料では、網状構造をなす無機マトリックスには金属−窒
素−金属結合だけでなく、金属−酸素−金属結合が含ま
れていてもよい。
【0100】ポリシラザンゾルは、例えばW.S.Co
blenzら(MaterialsScience R
esearch,Vol.17,ed.by R.F.
Davis,H.Palmour and R.L.P
orter,PlnumsPress,New Yor
k(1984)p.271−285)の方法のように、
所定の金属ハロゲン化物、金属アルコキシド、金属カル
ボン酸塩などをアンモニア分解またはアミン分解して重
合することによって調製される。
【0101】側鎖に官能基を有するポリシラン類に対す
る無機マトリックス材料の配合量は特に限定されない
が、一般的には重量組成比で5〜5000%、好ましく
は50〜2000%、さらには100〜500%である
ことが望まれる。これは無機マトリックス材料の配合量
があまり少ないとポリシラン類の主鎖を固定する効果が
十分でなく、逆に多すぎると複合材料全体としてポリシ
ラン類の機能発現が小さくなってしまうからである。
【0102】このようにして得られる(D)の構造を有
する窒素架橋ポリシラン類では、ポリシラン類の分解が
起こりにくくなり、耐光性などが向上する。しかも、ポ
リシラン類の主鎖にN原子が直接結合することによって
電子状態が変化するため、PL、EL特性が発現し、非
線形光学特性が向上する。
【0103】なお、(D)の構造を有する含窒素複合材
料では、無機マトリックスを構成する金属窒化物として
例えばSi,Al,Ti,B,Zr,V,W,Hf,T
a,U,Th,Be,Nb,Cr,Mo,Laなどの窒
化物を用いてもよい。また、これらの金属窒化物ととも
に金属酸化物として例えばSi,Ge,Sn,Pb,A
l,Ga,As,Sb,Bi,Ti,Zr,V,Nb,
Ta,Na,K,Li,Ca,Mg,Ba,Srなどの
酸化物を併用してもよい。
【0104】また、無機マトリックスを有する含窒素複
合材料は、アミノ基が導入されたポリシラン類と、無機
高分子、金属酸化物ゲルなどを反応させて得ることもで
きる。金属酸化物ゲルとしてはシリカゲル、アルミナ、
酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化
スズなどが挙げられる。なお同時に、各種セラミック
ス、粘土などの微粒子を分散させてもよく、具体的には
セラミックスとして炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アル
ミニウム、窒化チタン、カルシウムシリサイド、シロキ
センなど、粘土としてモンモリロナイト、サポナイト、
雲母などが挙げられる。
【0105】さらに、(C)および(D)の構造を併せ
持つように、マトリックス材料として有機および無機マ
トリックス材料を用い、ポリシラン類を両方のマトリッ
クスで架橋してもよい。
【0106】次に、(E)の構造を有する含窒素複合材
料について説明する。この構造を有する含窒素複合材料
は、既述した置換ポリシラン類の側鎖に導入された官能
基をアンモニアまたはメチルアミン、エチルアミン、2
−アミノエタノール、アニリンなどの有機アミンで分解
した後、好ましくは無水条件下、加熱または触媒を作用
させるなどして硬化させることによって合成される。こ
の構造では、ポリシラン類どうしが窒素原子を介して架
橋し、その結果として形成されるM−N−M(MはS
i、GeまたはSn原子)結合が無機マトリックスを構
成する。
【0107】この(E)の構造の含窒素複合材料では、
ポリシラン類の主鎖が窒素原子を橋かけ構造として直接
かつ極めて高密度に結合しているので、大きな耐久性の
向上が期待される。また、この含窒素複合材料は前駆体
ポリマーのみから合成することができるので、ポリシラ
ン類の主鎖の含有率が高く、機能発現の点でも有利にな
る。
【0108】以上のようにポリシラン類の主鎖が窒素原
子を介して架橋された構造を有する本発明の含窒素複合
材料は、上述したガラス複合材料と同様な効果を得るこ
とができる。しかも、例えば(C)、(E)のような構
造を有する含窒素複合材料においては、ポリシラン主鎖
の電子的共役が窒素原子を介して他のポリシラン主鎖に
まで広がるため、キャリヤー輸送能、発光、非線形光学
特性などを示す。この場合、窒素原子は酸素原子と比較
して電子の広がりも大きいため、共役効果が強められる
ことが期待される。特に、ポリシラン類の主鎖に直接結
合した窒素原子どうしがアゾ結合を形成した場合には、
共役効果がより強められることが期待され非常に有用で
ある。さらに、(E)の構造を有する窒素架橋ポリシラ
ン類では窒素原子の3本の結合手を有効に利用できるた
め、ポリシラン類の主鎖が結合手が2本である酸素原子
を介して架橋された酸素架橋ポリシラン類と比較してよ
り強固な架橋構造が形成できる。なお、本発明の含窒素
複合材料が優れた光学的・電気的特性を発現するうえで
満たすべき望ましい物性についても、上述したガラス複
合材料の場合と同様である。
【0109】次に、本発明の複合材料(ガラス複合材料
および含窒素複合材料)を用いた応用例として、1つの
成形体中で異なる機能を発現させるためのパターニング
や、発光素子、電子写真感光体、非線形光学素子、およ
びレーザー素子といった光電子デバイスへの適用につい
て説明する。なお、以下においてはガラス複合材料(酸
素架橋ポリシラン類)を代表として説明するが、含窒素
複合材料(窒素架橋ポリシラン類)も同様に適用できる
ことは勿論である。
【0110】(パターニング)本発明に係るガラス複合
材料の前駆体に用いられるポリシラン類は、適当な反応
によりポリシラン類のポリマー鎖とガラスマトリックス
とが架橋したガラス複合材料にすれば、上述した種々の
電気的・化学的特性を発現させることができる。一方、
前駆体のポリシラン類を酸化すると、ポリマー鎖が切断
されて金属酸化物となる部位が多数発生するため、この
ような材料は上記ガラス複合材料とは異なる特性を有す
る。したがって、1つの成形体中において上記の2つの
反応を起こさせれば、2つの異なる特性を有する領域を
形成することができる。
【0111】例えば、前駆体のポリシラン類の溶液を調
製して適当な基板上に塗布して成膜し、まず所定のマス
クを介して一部の領域を選択的にポリシラン類の吸収波
長領域またはそれよりも短波長の光で露光した後、加熱
するという方法により所望のパターンを有する成形体を
得ることができる。すなわち、露光部では光酸化により
ポリマー鎖が切断されて金属酸化物が多く発生し、その
後の加熱ではポリシラン類を含有しないか、あるいはそ
の含有量が少量であるガラス体を形成するのに対し、未
露光部では加熱による架橋反応の進行によりガラス複合
材料が生成する。
【0112】光学的な特性に着目すれば、未露光部は紫
外線吸収能(紫外線遮蔽能)、蛍光発光などの機能を発
現するのに対し、露光部はこれらの機能を発現しない。
したがって、紫外線遮蔽能を利用して耐紫外線ハードコ
ーティングなど、蛍光性を利用して透明バーコード、視
野角選択性コーティング、ホローウインドー膜などに応
用することができる。また、未露光部と露光部とでは屈
折率が異なるので、光導波路や、ホログラムなどの光記
憶部位などとして利用することもできる。光導波路に関
しては、ガラス複合材料からなる未露光部がコアであっ
てもクラッドであってもよく、形状も特に限定されな
い。電気的な特性に着目すれば、未露光部は低抵抗、露
光部は高抵抗であるので、例えば所定パターンの電極が
形成されたプリント基板とその上に実装される電子部品
とを電気的に接続させる場合にポリシラン類の薄膜を用
いることができる。
【0113】(発光素子)近年では、有機化合物を用い
て低電圧で高輝度が得られる電界発光(EL)素子の研
究が盛んであるが、これらは著しく耐久性が低く、良好
な輝度を得るためには全層について蒸着プロセスを採用
する必要がありコストが上昇するという問題がある。特
開平3−126787号公報にはポリシランを使用した
EL素子が開示されているが、従来用いられているポリ
シランは上述したような様々な問題を有する。Phy
s.Rev.B49(1994)14732などには結
晶シリコンを陽極化成することにより得られる多孔質ポ
リシランが可視のEL発光を発生することが開示されて
いるが、多孔質ポリシランはシリコン基板をエッチング
することにより作製されるため、堆積法や塗布法では成
膜できない。Phys.Rev.Lett.69(19
92)2531には、シロキセンが蛍光またはりん光を
示すことが開示されているが、上述したようにシロキセ
ンは溶媒に不溶であるため、堆積法や塗布法では成膜で
きない。さらに、これら多孔質ポリシランやシロキセン
はSi結晶を含有するため、Si結晶が無発光準位を形
成してEL効率を低下させるという問題がある。
【0114】これに対して本発明のガラス複合材料は、
機械的強度の高い膜に成膜でき、耐光性などに優れ、し
かもシリコン微結晶、ゲルマニウム微結晶、スズ微結晶
の含有量が抑えられ、上述したようにポリシラン類が本
来有する特性を生かすことができるので、EL素子の構
成要素として用いることができる。
【0115】本発明の発光素子は、1対の電極間に発光
層を有する発光素子において、前記発光層が、ポリシラ
ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属原子が酸素
原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸化物の
網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の
網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に3箇所
以上架橋されており、M原子(ただし、MはSi、Ge
およびSnから選択される少なくとも1種)の4本の結
合手が全てM−M結合を形成するM原子(無発光中心と
して作用する)がM原子組成比で10%未満であるガラ
ス複合材料を主体とすることを特徴とするものである。
【0116】本発明の他の発光素子は、1対の電極間に
発光層および電荷輸送層を有する発光素子において、前
記電荷輸送層が、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリ
スタナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリ
マー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と
結合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリ
マー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマト
リックスで化学的に3箇所以上架橋されてなるガラス複
合材料を主体とすることを特徴とするものである。
【0117】本発明に係るEL素子の例を図1および図
2を参照して説明する。図1のEL素子は、基板11上
にホール注入電極12、本発明に係るガラス複合材料か
らなる発光層13、および電子注入電極14が順次形成
されたものである。この発光層3は電荷輸送層(ホール
輸送層および電子輸送層)としての機能を兼ねる。図2
のEL素子は、基板21上にホール注入電極22、本発
明に係るガラス複合材料からなるホール輸送層23、発
光層24および電子注入電極25が順次形成されたもの
である。なお、EL素子の構造は図1および図2に示し
たものに限らず、発光層と電子輸送層との2層構造で
も、ホール輸送層、発光層および電子輸送層の3層構造
でもよく、さらに多層の構造でもよい。
【0118】本発明のEL素子において、ガラス複合材
料からなる発光層および/または電荷輸送層以外の層を
構成する材料としては、各種の有機化合物を用いること
ができる。ホール輸送層に用いられ得る有機化合物とし
ては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、
イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピ
ラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミ
ン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン
誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘
導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチル
ベン誘導体などが挙げられる。発光層に用いられ得る有
機化合物としては、Alq3 などが挙げられる。電子輸
送層に用いられ得る有機化合物としては、フルオレン、
アントラキノン、ペリレン、アントロンなどの多環芳香
族化合物が挙げられる。これらの有機化合物は、本発明
に係るガラス複合材料からなる発光層および/または電
荷輸送層と積層してもよいし、ガラス複合材料と混合し
て所定の機能を有する層を形成してもよい。いずれの層
も1〜300nm、好ましくは5〜150nmの厚さに
成膜される。
【0119】ガラス複合材料からなる層は、その前駆体
を任意の塗布法により成膜した後、ゲル化することによ
り形成できる。また、ゲル化したガラス複合材料は溶媒
に溶解しにくくなるため、その上に塗布法により他の層
を形成する場合に任意の溶媒を用いることができる。
【0120】基板としては、ガラス、セラミックス、硬
質プラスチックなどの種々の材質のものを用いることが
できるが、透明のものが好ましい。ホール注入電極の材
料としてはITO,SnO2 ,In2 3 などの金属酸
化物、電子注入電極の材料としてはAu,Ag,Cu,
Al,In,Ni,Mg,Ca,Sn,Pb,Mnなど
の金属またはこれらの金属を含有する合金が用いられ
る。これらの電極の少なくとも一方は透明または半透明
であることが好ましい。
【0121】本発明のEL素子は、通常3〜50V程度
の直流電圧で駆動でき、0.1〜5000mA/cm2
程度の電流が流れ、1〜10000cd/m2 程度の発
光輝度が得られる。なお、ガラス複合材料を発光層とし
て用いる場合、そのポリマー主鎖におけるSi、Ge、
Snの連鎖個数や架橋度に応じて発光エネルギーが変化
するため、ある程度発光波長を調整することができる。
ここでポリマー主鎖におけるSi、Ge、Snの連鎖個
数や架橋度を変化させるには、例えば前駆体の膜を露光
した後、架橋する方法を用いることができる。この際、
上述したようにパターニングを行うことにより、多色発
光のEL素子を実現できる。
【0122】(電子写真感光体)近年、電子写真感光体
としては、電荷発生層と電荷輸送層とを有するものが提
案されている。この電荷輸送層としてはバインダーポリ
マーに有機低分子化合物からなる電荷輸送物質を分散さ
せたものが知られているが、バインダーポリマーによっ
て電荷輸送能が低下し、耐久性にも乏しい。また、例え
ば特開平3−293361号公報には、ポリシランブロ
ックコポリマーを用いた電子写真感光体が開示されてい
るが、このような従来のポリシランではやはり上述した
ように耐久性などに問題がある。
【0123】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
上に、電荷発生層と電荷輸送層とを有する電子写真感光
体において、前記電荷輸送層が、ポリシラン、ポリゲル
マンおよびポリスタナンならびにこれらの共重合体から
選択されるポリマー鎖と、金属原子が酸素原子を介して
他の金属原子と結合してなる金属酸化物の網状構造とを
有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の網状構造から
なるガラスマトリックスで化学的に3箇所以上架橋され
てなるガラス複合材料を主体とすることを特徴とするも
のであり、耐久性に優れ、ポリシラン類が本来的に有す
る電荷輸送能を発現することができる。
【0124】本発明に係る電子写真感光体の例を図3お
よび図4を参照して説明する。図3の電子写真感光体
は、導電性支持体31上に電荷発生層32および本発明
に係るガラス複合材料からなる電荷輸送層33を順次形
成したものである。図4の電子写真感光体は、導電性支
持体41上に本発明に係るガラス複合材料からなる電荷
輸送層42および電荷発生層43を順次形成したもので
ある。
【0125】電荷発生層に含まれる電荷発生物質として
は、Se、SeTe、SeAsなどの無機電荷発生物質
や、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニ
ン系顔料、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノ
ン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ
顔料、キナクリドン系顔料、キノシアニンなどの有機電
荷発生物質が用いられ得る。これらは通常バインダーポ
リマー中に分散された状態で電荷発生層として成膜され
る。
【0126】導電性支持体としては、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、チタン、ニッ
ケル、インジウム、金、白金などが用いられる。また、
これらの金属を真空蒸着により被覆した樹脂などを用い
ることもできる。
【0127】(非線形光学素子)本発明の非線形光学素
子は、非線形光学現象発生部と光導波部とを有する非線
形光学素子において、少なくとも前記非線形光学現象発
生部が、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリスタナン
ならびにこれらの共重合体から選択されるポリマー鎖
と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結合し
てなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマー鎖
が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリック
スで化学的に3箇所以上架橋されており、かつCu管球
をX線源とするX線回折により2θ=20〜60°の範
囲にピークが観測されるシリコン結晶、ゲルマニウム結
晶およびスズ結晶に起因するシグナルの面積が全シグナ
ルの合計面積の1%以下であるガラス複合材料を主体と
することを特徴とするものである。
【0128】本発明に係る非線形光学素子の例を図5お
よび図6を参照して説明する。図5の非線形光学素子
は、基板51上にガラス複合材料がエッチングにより図
示するようなパターンに形成されている。その中央部は
3次の非線形現象発生部52となっており、この中央部
に対してレーザー光の入射側に2分岐の導波路53、5
4、出射側に3分岐の導波路55、56、57が形成さ
れた形状を有する。シグナル光を単独で導波路53から
入射すると、直進して導波路55から出射する。制御光
を単独で導波路54から入射すると、直進して導波路5
6から出射する。そして、シグナル光を導波路53か
ら、制御光を単独で導波路54から同時に入射すると、
3次の非線形現象発生部52で回折が生じ、導波路57
から回折光が出射する。図6の非線形光学素子は、基板
61上にガラス複合材料からなる2次の非線形現象発生
部62が直線状のパターンに形成されたものである。こ
の2次の非線形現象発生部62に光を通過させると、第
2高調波が矢印で示す方向に発生する。
【0129】(レーザー素子)近年、小型レーザーとし
て半導体レーザーが盛んに研究されているが、発振波長
は450nmが限度であり、それ以下の波長での発振は
実現していない。
【0130】これに対してポリシランの発光波長は30
0〜400nm、ポリゲルマンの発光波長は350〜4
50nm、ポリスタナンの発光波長は400〜500n
mであるので、波長の点からは優れたレーザー媒質とな
り得る。本発明のガラス複合材料はこれらのポリシラン
類の発光波長を有効に生かすことができるので、レーザ
ー素子としての応用が期待できる。
【0131】本発明のレーザー素子は、レーザー媒質
と、このレーザー媒質を介して対向配置された1対のミ
ラーからなる共振器と、前記レーザー媒質を励起するた
めの励起手段とを有するレーザー素子において、前記レ
ーザー媒質が、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリス
タナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマ
ー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結
合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマ
ー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリ
ックスで化学的に3箇所以上架橋されており、かつCu
管球をX線源とするX線回折により2θ=20〜60°
の範囲にピークが観測されるシリコン結晶、ゲルマニウ
ム結晶およびスズ結晶に起因するシグナルの面積が全シ
グナルの合計面積の1%以下であるガラス複合材料を主
体とすることを特徴とするものである。
【0132】本発明に係るレーザー素子の例を図7を参
照して説明する。図7のレーザー素子は、ガラス複合材
料からなるレーザー媒質71の両端に1対の共振器ミラ
ー72、73を設け、レーザー媒質71の両面には励起
手段としての1対の励起用電極74、75が設けられて
いる。このレーザー媒質71を励起すると矢印の方向に
レーザー光が発生する。
【0133】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0134】実施例1 下記化学式で示される繰返し単位を有する分子量420
000のポリシラン(E1)70mgおよびテトラエト
キシシラン(TEOS)70mgをエタノール2.5m
lに溶解した。この溶液を室温で撹拌しながら、28%
アンモニア水0.5mlとエタノール5mlとの混合溶
液を加え、室温で12時間撹拌した。次に、全液量が1
ml程度になるまで溶媒を除去して濃縮し塗布液を調製
した。その後、この塗布液を石英基板上に回転塗布し
た。基板上の塗布液を室温で約1時間風乾した後、40
℃で5時間乾燥してゲル化し、無色透明の膜(実施例
1)を得た。
【0135】
【化21】 得られた膜の可視・紫外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、315nm付近にポリシラン(E1)のケイ素鎖に
起因する吸収が観測され、ポリシラン(E1)がゲル化
反応条件下でも分解していないことがわかった。また、
この膜の赤外吸収スペクトルをKBr法によって測定し
たところ、1100cm-1付近にSi−O−Si結合に
起因する吸収が観測され、ケイ酸ガラス構造が形成され
ていることが確認された。これらの結果から、得られた
膜はケイ酸ガラス中にポリシラン(E1)が含有されて
いるガラス複合膜であることがわかった。
【0136】さらに、このガラス複合膜の硬度を鉛筆引
っかき試験(JIS−K5400準拠)により評価し
た。その結果、このガラス複合膜は硬度Bを示し、十分
な機械的強度を有することがわかった。
【0137】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cmを超えていた。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。一方、比較のために、ポリシラ
ン(E1)のエタノール溶液を調製し、上記と同様に石
英基板上に回転塗布し、乾燥して膜を形成した。この回
転塗布膜は指先で押すと指紋が付くほど軟らかく、その
機械的強度は不十分であった。
【0138】実施例2 ポリシラン(E1)6.7mg、ポリビニルピロリドン
(PVP)70mgおよびテトラエトキシシラン(TE
OS)70mgをエタノール2.5mlに溶解した。こ
の溶液を室温で撹拌しながら、28%アンモニア水0.
5mlとエタノール5mlとの混合溶液を加え、室温で
12時間撹拌した。次に、全液量が1ml程度になるま
で溶媒を除去して濃縮し塗布液を調製した。その後、こ
の塗布液を石英基板上に回転塗布した。基板上の塗布液
を室温で約1時間風乾した後、40℃で5時間乾燥して
ゲル化し、無色透明の膜(実施例2)を得た。
【0139】この膜について、実施例1と同様に、可視
・紫外吸収スペクトルおよび赤外吸収スペクトルの測定
を行ったところ、この膜はPVPとケイ酸ガラスとから
なる媒質中にポリシラン(E1)が含有されているガラ
ス複合膜であることがわかった。
【0140】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cmを超えていた。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。 実施例3 下記化学式で示される繰返し単位を有する分子量700
0のポリシラン(E2)70mgおよびテトラエトキシ
シラン(TEOS)70mgをエタノール2.5mlに
溶解した。この溶液を室温で撹拌しながら、28%アン
モニア水0.5mlとエタノール5mlとの混合溶液を
加え、室温で12時間撹拌した。次に、全液量が1ml
程度になるまで溶媒を除去して濃縮し塗布液を調製し
た。その後、この塗布液を石英基板上に回転塗布した。
基板上の塗布液を室温で約1時間風乾した後、40℃で
5時間乾燥してゲル化し、膜厚0.2μmの無色透明の
膜(実施例3)を得た。
【0141】
【化22】 得られた膜の可視・紫外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、305nm付近にポリシラン(E2)のケイ素鎖に
起因する吸収が観測された。また、この膜の赤外吸収ス
ペクトルをKBr法によって測定したところ、ケイ酸ガ
ラス構造が形成されていることが確認された。これらの
結果から、得られた膜はケイ酸ガラス中にポリシラン
(E2)が含有されたガラス複合膜であることがわかっ
た。
【0142】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cmを超えていた。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。さらに、得られたガラス複合膜
について以下のようにして耐光性を評価した。すなわ
ち、ガラス複合膜を劣化させるために、低圧水銀灯から
波長254nmの紫外線を7mW/cm2 の条件で所定
時間照射した。そして、紫外線照射前後の可視・紫外吸
収スペクトルを比較することにより、耐光性を評価し
た。その結果、実施例3の膜では、30分間の紫外線照
射後でも、305nm付近の吸収ピーク強度が、紫外線
照射前のそれと比較して72%であり、ポリシラン鎖は
それほど光分解していないことが確認された。一方、比
較のために、ポリシラン(E2)のエタノール溶液を調
製し、上記と同様に石英基板上に回転塗布し、乾燥して
膜(比較例3)を形成した。この膜について、上記と全
く同じ条件で、紫外線を照射したときの耐光性を評価し
た。なお、波長254nmの紫外線の吸収量が、膜厚
0.2μmのガラス複合膜と同一になるように、比較例
3の回転塗布膜の膜厚は0.16μmとした。その結
果、比較例3の回転塗布膜では、紫外線の照射によって
ケイ素鎖に起因する310nm付近の吸収がほぼ消失し
た。以上のように、実施例3のガラス複合膜は、未処理
のポリシラン(E2)からなる比較例3の回転塗布膜と
比較して、光照射に対して非常に優れた耐久性を有する
ことがわかった。
【0143】実施例4 ポリシラン(E2)のTHF溶液を調製し、この溶液を
石英基板上に回転塗布した。基板上の塗布液を室温で約
1時間風乾した後、150℃で1時間加熱処理して無色
透明の膜を得た。
【0144】得られた膜の可視・紫外吸収スペクトルを
測定したところ、302nm付近にポリシラン(E2)
のケイ素鎖に起因する吸収が観測された。また、この膜
の赤外吸収スペクトルをKBr法によって測定したとこ
ろ、ポリシラン(E2)と比較して1020cm-1付近
の吸収が増大しており、新たにSi−O−Si結合が生
じたことが確認された。さらに、膜はTHFに難溶とな
り、かつ膜質も硬化した。これらの結果は、隣接するポ
リシラン鎖どうしが側鎖のエトキシ基に由来する酸素原
子を介して架橋することにより生じたケイ酸ガラス類似
構造部分とポリシラン鎖とを含むガラス複合膜が形成さ
れていることを示唆するものである。このように、原料
としてポリシラン(E2)のみを用いてもポリシラン鎖
を含むガラス複合膜を形成できる。このガラス複合膜の
硬度を鉛筆引っかき試験(JIS−K5400準拠)に
より評価したところ、硬度Bを示した。
【0145】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。さらに、得られたガラス複合膜
について、実施例3と同一の条件で所定時間紫外線を照
射し、紫外線照射前後の可視・紫外吸収スペクトルを比
較することにより、耐光性を評価した。その結果、実施
例4の膜は、30分間の紫外線照射後でも、302nm
付近の吸収ピーク強度が紫外線照射前のそれと比較して
70%以上であり、ポリシラン鎖はそれほど光分解して
いないことが確認された。一方、比較のために、ポリシ
ラン(E2)のエタノール溶液を上記と同様に石英基板
上に回転塗布し乾燥して膜(比較例4)を形成し、上記
と同様に耐光性を評価した。その結果、比較例4の回転
塗布膜では、紫外線を5分間照射しただけで、ケイ素鎖
に起因する310nm付近の吸収がほぼ消失した。この
ように、実施例4のガラス複合膜は、未処理のポリシラ
ン(E2)からなる比較例4の回転塗布膜と比較して、
耐光性が大きく向上していることがわかった。
【0146】同様に、比較のためにポリ(フェニルメチ
ルシリレン)(重量平均分子量4000)およびポリ
(ジブチルシリレン)(重量平均分子量10000)を
それぞれ用い、比較例4と同様にして回転塗布膜(比較
例4’および4”)を形成し、上記と全く同じ条件で耐
光性を比較した。その結果、比較例4’および4”の回
転塗布膜でも、紫外線を5分間照射しただけで、ケイ素
鎖に起因する310nm付近の吸収がほぼ消失した。こ
のように、実施例4のガラス複合膜は、従来知られてい
るポリシランからなる回転塗布膜と比較しても、耐光性
が大きく向上していることがわかった。
【0147】次に、テトラエトキシシラン1g、エタノ
ール1.5g、水2gおよび塩酸0.1gの混合溶液を
室温で1.5時間撹拌した後、水3gおよびアセトニト
リル0.5gを加えて撹拌した。この混合溶液に、上記
のガラス複合膜が形成された基板を10分間浸漬した。
その後、基板を取り出し、ガラス複合膜の表面を軽く水
洗し、100℃で40分間加熱乾燥した。この浸漬処理
後の膜の硬度を鉛筆引っかき試験で評価したところ、硬
度3Hを示した。上述したように浸漬処理前の膜の硬度
はBであったことから、浸漬処理によって膜の硬度が増
したことがわかる。これは、浸漬処理によって膜中にS
iO2 ゾルが浸透してポリシランと相互に架橋し、膜中
のケイ酸ガラス構造が強化されたことによるものと考え
られる。 実施例5 下記化学式で示される繰り返し単位を有する重量平均分
子量8000のポリシラン(E3)のTHF溶液を調製
し、この溶液を石英基板上に回転塗布した。基板上の塗
布液を室温で約1時間風乾した後、160℃で5分間加
熱乾燥し、さらに室温で一昼夜放置して硬化させ、無色
透明の硬化膜(実施例5)を得た。得られた硬化膜の可
視・紫外吸収スペクトルを測定したところ、280−3
10nmの領域にポリシランのケイ素鎖に起因する吸収
が観測された。また、赤外吸収スペクトル測定からケイ
酸ガラス類似構造が形成されていることがわかった。
【0148】
【化23】 得られたガラス複合膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JI
S−K5400準拠)で評価したところ硬度2Hを示
し、良好な機械的強度を有することがわかった。また、
得られたガラス複合膜について実施例3と同様にして紫
外線照射に対する耐光性を調べた。その結果、実施例5
のガラス複合膜は、30分間の紫外線照射後でも、28
0−310nmの領域における吸収ピーク強度が、紫外
線照射前のそれと比較して80%以上であり、ポリシラ
ン鎖はそれほど光分解していないことが確認された。一
方、加熱による硬化処理を行っていないポリシラン(E
3)の回転塗布膜について同様に耐光性を評価したとこ
ろ、5分間の紫外線照射でケイ素鎖の吸収がほぼ消失し
た。このように、硬化処理によって得られたガラス複合
膜は優れた耐光性を有することがわかった。
【0149】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。またポリシラン(E3)の代わ
りにポリシラン(E3)と同じ繰り返し単位を有するポ
リシラン(E3’)(重量平均分子量42000)を用
いたところ、硬度3Hで、未硬化のものと比較して耐光
性が同様に向上した。
【0150】次に、ポリシラン(E3)に酸触媒として
0.5重量%のシュウ酸を加え、この混合物をTHFに
溶解し、この溶液を石英基板上に回転塗布した。基板上
の塗布液を室温で1時間風乾した後、120℃で10分
間加熱乾燥し、さらに室温で一昼夜放置して、無色透明
の硬化膜(実施例5’)を得た。実施例5’の硬化膜の
硬度を鉛筆引っかき試験(JIS−K5400準拠)で
評価したところ、硬度3Hであった。このように酸触媒
を用いてポリシランを硬化させた場合には、ポリシラン
のみを硬化させた場合よりも、硬化条件がおだやかであ
り、しかもより強靱な硬化膜を形成できる。また、実施
例5’の硬化膜について可視・紫外吸収スペクトルを測
定した結果、ケイ素鎖に起因する吸収ピークはそれほど
弱くなっておらず、硬化反応の際に副反応として起こる
ポリシラン主鎖の分解が抑制されていることもわかっ
た。これは、酸触媒であるシュウ酸がポリシラン側鎖の
アルコキシル基や水酸基の脱離を促進して架橋度を向上
させる作用を有し、したがって副反応であるポリシラン
鎖の開裂を防ぐためであると考えられる。
【0151】次いで、ポリシラン(E3)に20重量%
のアルミニウムトリイソプロポキシドを加え、この混合
物をTHFに溶解し、この溶液を石英基板上に回転塗布
した。基板上の塗布液を室温で1時間風乾した後、12
0℃で30分間加熱処理し、さらに室温で一昼夜放置し
て、無色透明の硬化膜(実施例5”)を得た。実施例
5”の硬化膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS−K5
400準拠)で評価したところ、硬度5Hであった。こ
のようにアルミニウムアルコキシドを用いてポリシラン
を硬化させた場合には、ポリシランのみを硬化させた場
合よりも、硬化条件がおだやかであり、しかも非常に強
靱な硬化膜を形成できる。このように膜の表面硬度が向
上した理由は、アルミニウムアルコキシド自体が架橋剤
として作用して架橋度を向上させるとともに、アルミナ
類似の骨格を形成するためであると考えられる。また、
実施例5”の硬化膜について可視・紫外吸収スペクトル
を測定した結果、ケイ素鎖に起因する吸収ピークはそれ
ほど弱くなっておらず、硬化反応の際に副反応として起
こるポリシラン主鎖の分解が抑制されていることもわか
った。これは、アルミニウムアルコキシドがルイス酸で
あり、シュウ酸のような酸触媒と同様に、ポリシラン側
鎖のアルコキシル基や水酸基の脱離を促進して架橋度を
向上させる作用を有し、したがって副反応であるポリシ
ラン鎖の開裂を防ぐためであると考えられる。
【0152】なお、アルミニウムアルコキシドの代わり
に、チタンテトラエトキシドまたはチンテトラブトキシ
ドを用いた場合にも、アルミニウムアルコキシドの場合
と同様の結果が得られた。またやはりポリシラン(E
3)と200重量%のペルヒドロポリシラザンを混合
し、トルエン溶液となし、石英基板上に回転塗布した。
120℃で2時間、空気中で加熱し、無色透明のポリシ
ラン−シリカ複合硬化膜を得た。体積抵抗率は3×10
6 Ω・cm以上であった。300〜800nmのヘイズ
率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶
に起因するピークは観測されなかった。NMR、IR、
TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率か
ら、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上であるこ
とが明らかであった。
【0153】実施例6 1リットルの3口フラスコに金属ナトリウム25.2
g、トルエン160mlおよびヘプタン35mlを入
れ、還流管と滴下ロートを装着し、アルゴン雰囲気中で
60℃に保持した。この混合物にジターシャリブトキシ
ジクロロシラン117gのトルエン溶液30mlを1時
間かけて滴下した後、60℃で3時間撹拌した。次に、
トリメチルシリルクロリド5mlを滴下して、さらに3
0分間撹拌した。さらに、2リットルのトルエンを加え
て撹拌した。その後、ガラスフィルターを用いて加圧ろ
過した。得られたろ液から溶媒を留去することにより、
約100mlの液量とした。これを2リットルのメタノ
ール中に撹拌しながら注ぎこみ、ポリマーを再沈させ
た。つづいて、沈殿をろ過した後、真空乾燥して、下記
化学式で示される繰返し単位を有するポリシラン(E
4)を得た(収量1.1g、平均分子量2700)。
【0154】得られたポリシランのIRおよびNMRス
ペクトルの結果を以下に示す。
【0155】IR(KBr,cm-1):815(m),
1022(m),1045(s),1100(m),1
185(s),1363(m),2975(m)。
【0156】1H−NMR(270MHz,C
6 6 ):δ1.27(s)。
【0157】
【化24】 このポリシラン(E4)のトルエン溶液を石英基板上に
回転塗布して膜を形成した。この膜を、開放容器に入れ
た6Nの塩酸水溶液とともにデシケータ中に封入し、室
温で2日間放置し、塩酸蒸気にさらした。さらに、膜を
塩酸蒸気雰囲気下のまま150℃で4時間加熱した。
【0158】この膜(実施例6)の赤外吸収スペクトル
を測定したところ、実施例4と同様に1020cm-1
近の吸収の増大が観測され、新たにSi−O−Si結合
が生じたことが確認された。一方、t−ブチル基に起因
する吸収は消失した。このときNMR、IR、TGで算
出された前駆体ポリマーのアルコキシル基の反応率は約
40%であった。また、鉛筆引っかき試験(JIS K
5400準拠)で評価したところ硬度6Hを示し、膜質
の硬化が認められた。これらのことから、酸触媒存在
下、加熱したことによってポリシラン(E4)のt−ブ
チル基が分解して、生じたシラノール基が相互に縮合
し、実施例4と同様のケイ酸ガラス類似構造が生成した
と考えられる。
【0159】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。つづいて、得られた膜について
実施例3と同様にして紫外線照射に対する耐光性を評価
した。その結果、実施例6の膜は、30分間の紫外線照
射後でも、ポリシラン(E4)のケイ素鎖に起因する3
15nm付近の吸収ピーク強度が、紫外線照射前のそれ
と比較して85%であり、ポリシラン鎖はそれほど光分
解していないことが確認された。一方、比較のために、
ポリシラン(E4)のトルエン溶液を調製し、上記と同
様に石英基板上に回転塗布し、乾燥して膜(比較例6)
を形成した。この膜について、上記と同様に紫外線照射
に対する耐光性を評価した。その結果、比較例6の膜で
は、紫外線の照射によってケイ素鎖に起因する吸収がほ
ぼ消失した。以上のように、ポリシラン(E4)の縮合
反応により得られた実施例6の膜は、未処理のポリシラ
ン(E4)からなる比較例6の膜と比較して、耐光性が
大きく向上することがわかった。
【0160】実施例7 1リットルの3口フラスコに金属ナトリウム25.2
g、トルエン160mlおよびヘプタン35mlを入
れ、還流管と滴下ロートを装着し、アルゴン雰囲気中で
60℃に保持した。この混合物にターシャリブトキシメ
チルジクロロシラン80gをトルエン溶液30mlを1
時間かけて滴下した後、60℃で3日間撹拌した。次
に、トリメチルシリルクロリド5mlを滴下して、さら
に30分間撹拌した。さらに、2リットルのトルエンを
加えて撹拌した。その後、ガラスフィルターを用いて加
圧ろ過した。得られたろ液から溶媒を留去することによ
り、約100mlの液量とした。これを2リットルのメ
タノール中に撹拌しながら注ぎこみ、ポリマーを再沈さ
せた。つづいて、沈殿をろ過した後、真空乾燥して、下
記化学式で示される繰り返し単位を有するポリシラン
(E5)を得た(収量5.2g、平均分子量300
0)。
【0161】得られたポリシランのIRおよびNMRス
ペクトルの結果を以下に示す。
【0162】IR(KBr、cm-1):810(m),
1010(s),1030(s),1185(s),1
234(s),1360(s),2965(s)。
【0163】1H−NMR(270MHz,C
6 6 ):δ0.5−0.8,0.8−1.5。
【0164】
【化25】 得られたポリシラン(E5)を用い、実施例6と同様な
方法により石英基板上に膜を形成し硬化処理したとこ
ろ、無色透明の硬化膜が得られた。この硬化膜はガラス
複合材料であることがわかった。得られた膜の表面硬度
は鉛筆引っかき試験(JIS−K5400準拠)で硬度
4Hと十分な膜硬度を有していた。
【0165】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。また、紫外線に対する耐光性試
験を行ったところ、この膜は30分間の紫外線照射後で
も、ポリシラン(E5)のケイ素鎖に起因する吸収ピー
ク強度が、紫外線照射前のそれと比較して73%であっ
た。一方、比較のために、未処理のポリシラン(E5)
からなる回転塗布膜について上記と同様に紫外線照射に
対する耐光性を評価したところ、紫外線の照射によって
ケイ素鎖に起因する吸収がほぼ消失した。このように、
ポリシラン(E5)の縮合反応により得られた硬化膜は
耐光性に優れていた。
【0166】実施例8 アルゴンガス雰囲気中で200mlのナスフラスコにポ
リ(フェニルメチルシリレン)0.71gの塩化メチレ
ン溶液10mlを入れ、これを撹拌しながら、トリフル
オロメタンスルホン酸0.47mlを加え、室温で2.
5時間撹拌した。この溶液にターシャリブチルアルコー
ル3.5mlとトリエチルアミン2mlとの混合溶液を
加え、室温で1.5時間撹拌した後、溶媒を留去した。
溶媒留去後の残渣をエーテルで抽出した。抽出液を水で
洗い、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。その後、
溶媒を留去し、真空乾燥して、下記化学式で示される繰
り返し単位を有するポリシラン(E6)を得た(収量
0.58g、重量平均分子量2400、ターシャリブト
キシ基の導入率79%)。
【0167】得られたポリシランのIRおよびNMRス
ペクトルの結果を以下に示す。
【0168】IR(KBr、cm-1):630(w),
690(m),750(s),1010(s),103
0(s),1180(s),1240(s),1360
(m),1380(w),2960(s)。
【0169】1H−NMR(270MHz,C
6 6 ):δ0.5−0.8,0.8−1.4,7.0
−7.7。
【0170】また、ターシャリブチルアルコールの代わ
りにメチルアルコール1.5mlを用いた他は上記と同
様にして下記化学式で示される繰り返し単位を有するポ
リシラン(E7)を得た(収量0.41g、重量平均分
子量2800、メトキシ基の導入率80%)。
【0171】
【化26】 これらのポリシランについて、以下のような条件下での
構造変化を赤外線吸収スペクトルの観測から評価した。
ポリシラン(E7)は室温において1日でオイル状から
ゴム状へと変化した。この現象は、架橋縮合反応によっ
てガラス化が起こったことによるものである。これに対
して、ポリシラン(E6)は室温において1か月放置し
た後にもガラス化は進行しなかった。また、ポリシラン
(E6)に10重量%のシュウ酸を加えて120℃で3
時間加熱したところ、ガラス化が進行してガラス複合膜
が形成された。これらの結果から、ターシャリブトキシ
基を有するポリシラン(E6)は、メトキシ基を有する
ポリシラン(E7)と比較して安定性に優れている(ポ
ットライフが長い)うえに、いったん酸触媒を作用させ
ると速やかに硬化することがわかった。
【0172】実施例9 出発原料のポリシランとしてポリ(ジフェニルシリレ
ン)とポリ(フェニルメチルシリレン)との1:1の共
重合体を用いた以外は、実施例8と同様な方法により、
下記化学式に示すようにターシャリブトキシ基が導入さ
れた2つの繰り返し単位を有するポリシラン共重合体
(E8)を得た(収量0.43g、重量平均分子量22
00、ターシャリブトキシ基の導入率83%)。
【0173】得られたポリシランのIRおよびNMRス
ペクトルの結果を以下に示す。
【0174】IR(KBr、cm-1):635(w),
690(m),745(s),1010(s),103
0(s),1180(s),1240(s),1355
(m),1380(w),2960(s)。
【0175】1H−NMR(270MHz,C
6 6 ):δ0.5−0.8,0.8−1.4,7.0
−7.7。
【0176】
【化27】 得られたポリシラン(E8)を用い、実施例6と同様な
方法により石英基板上に膜を形成し硬化処理したとこ
ろ、無色透明のガラス複合膜が得られた。得られた膜の
表面硬度は鉛筆硬度で3Hであった。
【0177】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。実施例6と同じ条件で耐光性を
調べたところ、30分間の紫外線照射後でも、ポリシラ
ン(E8)のケイ素鎖に起因する吸収ピーク強度が、紫
外線照射前のそれと比較して87%であった。
【0178】実施例10 ポリシランの代わりに下記化学式で示される繰り返し単
位を有する分子量2100のポリゲルマン(E9)を用
いた以外は実施例4と同様な方法により、加熱による硬
化反応を行い、ポリゲルマン鎖を含有するガラス複合膜
を作製した。この膜は溶媒として用いたTHFに不溶に
なって硬化した。その表面硬度は鉛筆硬度で1Hであ
り、従来のポリゲルマンと比較して優れていた。
【0179】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Ge微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。また、実施例6と同様にして耐
光性を評価したところ、ポリゲルマン(E9)の硬化に
より得られたガラス複合膜は、未処理のポリゲルマン
(E9)に比較して、同程度の光分解が生じるまでの時
間が約2倍であり、耐光性に優れていた。
【0180】
【化28】 実施例11 ポリシランの代わりに下記化学式で示される繰り返し単
位を有する分子量2000のポリスタナン(E10)を
用いた以外は実施例4と同様な方法により、加熱による
硬化反応を行い、ポリスタナン鎖を含有するガラス複合
膜を作製した。この膜は溶媒として用いたTHFに不溶
になって硬化した。その外観は、透明均一であった。そ
の表面硬度は鉛筆硬度で1Hであり、従来のポリスタナ
ンと比較して優れていた。
【0181】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Sn微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。
【0182】
【化29】 実施例12 ポリ(フェニルメチルシリレン)の代わりに、ウルツ法
により合成したフェニルメチルジクロロシランとジブチ
ルジクロロゲルマンとの1:1共重合体を用いた以外
は、実施例8と同様な方法により、下記化学式に示すよ
うにターシャリブトキシ基が導入された2つの繰り返し
単位を有するポリ(シラン−ゲルマン)共重合体(E1
1)を得た(重量平均分子量2000、ターシャリブト
キシ基の導入率62%)。
【0183】得られたポリ(シラン−ゲルマン)共重合
体のIRおよびNMRスペクトルの結果を以下に示す。
【0184】IR(KBr、cm-1):680(m),
700(m),734(w),840(w),1000
(s),1080(s),1180(m),1245
(m),1355(w),1460(m),2850
(s),2920(s),2950(m)。
【0185】1H−NMR(270MHz,C
6 6 ):δ0.5−0.8,0.5−1.0,1.0
−1.6,7.0−7.7。
【0186】
【化30】 実施例8と同様に、ポリシラン(E6)に10重量%の
シュウ酸を加えて120℃で3時間加熱したところ、ガ
ラス化が進行して透明均一なガラス複合膜が形成され
た。このガラス複合膜の表面硬度は鉛筆硬度で1Hであ
った。
【0187】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si、G
e微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0188】実施例13 下記化学式(E12)で示される環状ポリシランのテト
ラヒドロフラン溶液をガラス基板上に塗布した後、室温
で乾燥した。その後、160℃で10分間加熱し、無色
透明の環状ポリシラン架橋膜を得た。この膜の表面硬度
は鉛筆硬度で1Hであった。
【0189】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。
【0190】
【化31】 実施例14 下記化学式(E13)で示される環状ポリシランのテト
ラヒドロフラン溶液をガラス基板上に塗布した後、室温
で乾燥した。その後、160℃で10分間加熱し、無色
透明の環状ポリシラン架橋膜を得た。この膜の表面硬度
は鉛筆硬度で5Hであった。
【0191】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。
【0192】
【化32】 実施例15 1リットルの3口フラスコに金属リチウム8gおよびジ
エチルエーテル150mlを入れ、還流管と滴下ロート
を装着し、アルゴン雰囲気中で30℃に保持した。この
混合物にジターシャリブトキシジクロロシラン110g
のジエチルエーテル溶液30mlを1時間かけて滴下し
た後、30℃で撹拌した。その後、ガラスフィルターを
用いて加圧ろ過した。得られたろ液から溶媒を留去し
た。溶媒留去後の残渣を液体カラムクロマトグラフィー
で精製して、下記化学式で示される環状ポリシラン(E
14)を得た(収量0.5g)。
【0193】得られたポリシランのIRおよびNMRス
ペクトルの結果を以下に示す。
【0194】IR(KBr、cm-1):700(m),
800(s),1040(s),1185(m),12
40(w),1255(s),1360(s),138
5(w),1460(m),2850(m),2925
(s),2975(s)。
【0195】1H−NMR(270MHz,アセト
ン):δ=1.14。
【0196】13C−NMR(270MHz,CDC
3 ):δ=32。
【0197】
【化33】 このポリシラン(E14)および0.1重量%のp−ト
ルエンスルホン酸を溶解したトルエン溶液をガラス基板
上に塗布後、120℃で30分間加熱して、無色透明の
環状ポリシラン架橋膜を得た。この膜の表面硬度は鉛筆
硬度で2Hであった。
【0198】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。 実施例16 実施例15で用いた環状ポリシラン(E14)50重量
部、下記化学式で示される重量平均分子量12000の
ポリ(ジターシャリブトキシシロキサン)50重量部お
よびp−トルエンスルホン酸0.001重量部を溶解し
たトルエン溶液をガラス基板上に塗布後、実施例15と
同様の加熱処理を行い、無色透明のポリシラン架橋膜を
得た。この膜の表面硬度は鉛筆硬度で3Hであった。
【0199】また、その他の測定結果は以下の通りであ
った。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×1
6 Ω・cm以下であった。300〜800nmのヘイ
ズ率は5%以下であった。X線回折によれば、Si微結
晶に起因するピークは観測されなかった。NMR、I
R、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率
から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上である
ことが明らかであった。
【0200】
【化34】 実施例17 実施例8において示した、置換基としてメトキシ基およ
びメチル基を有するポリシラン(E7、重量平均分子量
4000)のTHF溶液を石英基板上に回転塗布した
後、室温で真空乾燥し、厚さ0.8μmの膜を形成し
た。この膜の上に所定形状のマスクを重ね、このマスク
を通して低圧水銀灯から0.24J/cm2の条件で紫
外線を照射し、露光を行った。このようにして露光部の
ポリシランを光酸化させて金属酸化物を生成させた。そ
の後、この膜を160℃で30分間熱風乾燥し、架橋反
応を起こさせることにより、パターニング膜(実施例1
7)を形成した。得られたパターニング膜について屈折
率を測定したところ、露光部では1.41、未露光部で
は1.58であった。このように、1つの膜内において
屈折率の異なる部位を作り込むことができた。
【0201】未露光部についての各種測定結果は以下の
通りであった。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)
は3×106 Ω・cm以下であった。300〜800n
mのヘイズ率は5%以下であった。X線回折によれば、
Si微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0202】一方、比較のために、重量平均分子量20
0000のポリ(フェニルヘキシルシリレン)のトルエ
ン溶液を石英基板上に回転塗布した後、80℃に加熱し
て真空乾燥し、厚さ0.8μmの膜を形成した。この膜
に対して上記と全く同様にして露光を行うことによりパ
ターニング膜(比較例17)を形成した。
【0203】次に、実施例17および比較例17のパタ
ーニング膜について以下のようにして耐光性を評価し
た。各パターニング膜と蛍光物質を塗布した蛍光板とを
重ね、パターニング膜から10cm離れた位置に紫外線
源として10Wの低圧水銀灯を配置した。低圧水銀灯か
らパターニング膜に紫外線を照射して、蛍光板からの可
視発光を観測した。この場合、パターニング膜の未露光
部ではポリシランが残存していれば紫外線が吸収される
のに対し、露光部では紫外線が透過する。したがって、
パターニング膜のパターンに対応する蛍光板からの発光
パターンを目視で確認できる。しかし、未露光部のポリ
シランが紫外線照射により損傷を受け、紫外線を十分に
吸収しなくなると、蛍光板からの発光パターンは認めら
れなくなる。
【0204】この試験の結果、実施例17のパターニン
グ膜については照射5時間後でも発光パターンが確認で
きたのに対して、比較例17のパターニング膜について
は照射4分後に発光パターンが確認できなくなった。こ
のことから、実施例17のパターニング膜は、比較例1
7のものに比べて、非常に優れた耐光性を持つことがわ
かった。
【0205】また、表面硬度は実施例17で2H、比較
例17で2Bであり、硬度の点でも実施例17の方が優
れていた。
【0206】実施例18 露光後の加熱条件を80℃、10分間とした以外は実施
例17と同様にしてポリシラン(E7)のパターニング
膜を形成した。また、テトラエトキシシラン30gおよ
びエタノール60gおよび水溶液12mlに塩酸0.1
mlを加え、室温で3時間撹拌してSiO2 ゾルを調製
した。このSiO2 ゾルに、上記パターニング膜を室温
で10分間浸漬した。その後、パターニング膜を取り出
し、純水で軽く洗浄した後、120℃で20分間熱風加
熱乾燥した。このパターニング膜について、実施例17
と同様に蛍光板を用いてその発光パターンを観察したと
ころ、照射5時間後でも発光パターンが確認できた。ま
た、このパターニング膜の表面硬度を測定したところ鉛
筆硬度で6Hであり、SiO2 ゾルを含浸させていない
実施例17のものに比べて表面硬度が向上した。
【0207】未露光部についての各種測定結果は以下の
通りであった。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)
は3×106 Ω・cm以下であった。300〜800n
mのヘイズ率は5%以下であった。X線回折によれば、
Si微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0208】実施例19 実施例17と同様に、ポリシラン(E7)のTHF溶液
を石英基板上に回転塗布した後、室温で真空乾燥し、厚
さ1.5μmのポリシラン膜を形成した。この膜の上に
所定の光導波路の形状を有するマスクを重ね、このマス
クを通して低圧水銀灯から0.24J/cm2 の条件で
紫外線を照射し、露光を行った。その後、この膜を16
0℃で30分間熱風乾燥し、未露光部において架橋反応
を起こさせることにより、パターニング膜を形成した。
得られたパターニング膜について屈折率を測定したとこ
ろ、露光部では1.41、未露光部では1.58であっ
た。このパターニング膜について、光源としてNd3+
YAGレーザーの第2高調波で励起した色素レーザー
(波長:560nm)を用い、光導波路としての動作試
験を行ったところ、良好に動作した。
【0209】未露光部についての各種測定結果は以下の
通りであった。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)
は3×106 Ω・cm以下であった。300〜800n
mのヘイズ率は5%以下であった。X線回折によれば、
Si微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0210】実施例20 実施例1と同様に、分子量420000のポリシラン
(E1)70mgおよびテトラエトキシシラン(TEO
S)70mgをエタノール2.5mlに溶解した。この
溶液を室温で撹拌しながら、28%アンモニア水0.5
mlとエタノール5mlとの混合溶液を加え、室温で1
2時間撹拌した。次に、全液量が1ml程度になるまで
溶媒を除去して濃縮し塗布液を調製した。その後、この
塗布液を石英基板上に回転塗布した。基板上の塗布液を
室温で約1時間風乾して膜を形成した後、パターニング
した。このパターニング膜について、実施例17と同様
に蛍光板を用いてその発光パターンを観察したところ、
照射5時間後でも発光パターンが確認できた。
【0211】未露光部についての各種測定結果は以下の
通りであった。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)
は3×106 Ω・cmを超えていた。300〜800n
mのヘイズ率は5%以下であった。X線回折によれば、
Si微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0212】実施例21 図8に示すようにガラス基板の全面に金電極81を形成
した。次に、置換基としてメトキシ基とメチル基とを有
するポリシラン(E7)のTHF溶液を調製し、この溶
液を金電極81上に塗布して膜(図示せず)を形成し
た。次いで、図8のA領域に低圧水銀灯から5J/cm
2 の条件で紫外線を照射して、この領域の膜を露光し
た。さらに、120℃で700秒間加熱して膜をゲル化
させた。その後、露光部(A領域)および未露光部にそ
れぞれ金電極82、82を真空蒸着した。この試料につ
いて、上下の金電極81−金電極82間に20Vの電圧
を印加して抵抗率を測定したところ、未露光部では1×
105 Ω・cm、露光部では1×1010Ω・cmであっ
た。
【0213】未露光部についての各種測定結果は以下の
通りであった。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)
は3×106 Ω・cm以下であった。300〜800n
mのヘイズ率は5%以下であった。X線回折によれば、
Si微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0214】実施例22 プリント基板の配線を接続するためにガラス複合材料を
用いた例を図9および図10(a)〜(d)を参照して
説明する。まず、プリント基板91上に銅電極92を形
成した(図9および図10(a))。次に、ポリシラン
(E7)のTHF溶液を調製し、この溶液をプリント基
板91の全面に塗布して膜93を形成した(図10
(b))。次いで、膜93の上に所定のパターンを有す
るマスク94を配置し、露光用光源95からマスク94
を通して銅電極92の領域以外の領域に紫外線を照射し
た(図10(c))。さらに、膜93の上にリード96
が形成された電子部品97を、リード96を銅電極92
に対して位置合わせして圧着させた。その後、120℃
で700秒間加熱して膜93をゲル化させた。この結
果、未露光部は低抵抗膜93’、露光部は高抵抗膜9
3”となる。一方、リード96と銅電極92との間およ
びその他の領域の電子部品97とプリント基板91との
間が低抵抗膜93’、高抵抗膜93”で相互に接続され
た。
【0215】得られたプリント配線基板について、銅電
極92と電子部品97のリード96との間の低抵抗膜9
3’(電気的接合面積4mm2 )の抵抗を測定したとこ
ろ、3Ωであった。また、電子部品97をプリント基板
からはがしたところ、接着力は1kg重/cm2 であっ
た。
【0216】未露光部についての各種測定結果は以下の
通りであった。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)
は3×106 Ω・cm以下であった。300〜800n
mのヘイズ率は5%以下であった。X線回折によれば、
Si微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0217】実施例23(EL素子) 本実施例においては、ポリシランとして、メトキシ基お
よびメチル基を有するポリシラン(E7、再掲)、下記
化学式で示されるポリシラン(E15)、またはポリ
(フェニルメチルシリレン)(X、比較例)を用いて、
図1に示す発光素子を作製した。
【0218】
【化35】 (実施例23−1):ガラス基板11上にホール注入電
極12としてITO電極を形成したものを、沸騰したイ
ソプロピルアルコール中に入れて1分間超音波洗浄を行
った。次に、このガラス基板/ITO電極上にポリシラ
ン(E7)のTHF溶液を100nmの厚さに塗布し、
窒素雰囲気下において120℃で500秒間加熱してポ
リシラン(E7)をゲル化させ、ガラス複合膜を形成し
た。このガラス複合膜は、発光層13として機能すると
ともに、ホール輸送層および電子輸送層としても機能す
る。このガラス複合膜上に原子比でMg:Al=10:
1のMg・Al合金を700nmの厚さに蒸着し、電子
注入電極14を形成した。このようにして、電界発光素
子(EL素子)を作製した。
【0219】なお、発光層13を構成するガラス複合膜
について、KBr法によって赤外吸収スペクトルを測定
したところ、1000〜1100cm-1にSi−O−S
i結合に起因する吸収が観測された。このガラス複合膜
について、NMR、IR、TGで算出された前駆体ポリ
マーのアルコキシル基の反応率から、ポリマー鎖上にお
ける架橋点が3箇所以上であることが明らかであった。
また、このガラス複合膜の組成比を2次イオン質量分析
法により測定したところ、C原子が原子組成比で5%含
まれていることが確認された。さらに4本の結合手が全
てSi−Si結合を形成するSi原子をXPSで定量し
たところ、このようなSi原子組成比は0.1%以下で
あることがわかった。
【0220】(実施例23−2〜23−5):発光層の
形成工程を以下のように変更した以外は実施例23−1
と同様にしてEL素子を作製した。すなわち、発光層形
成時に、120℃で500秒の加熱処理によりポリシラ
ン(E7)をゲル化させてガラス複合膜を形成した後、
さらに低圧水銀灯から10、50、250または250
0mJ/cm2 の露光量で紫外線を照射した。
【0221】(実施例23−6):ポリシラン(E7)
の代わりに、ポリシラン(E15)を用いた以外は実施
例23−1と同様にしてEL素子を作製した。
【0222】(実施例23−7〜23−9):発光層の
形成工程を以下のように変更した以外は実施例23−6
と同様にしてEL素子を作製した。すなわち、発光層形
成時の加熱温度を160℃に設定し、加熱時間を30、
300または3000秒としてポリシラン(E7)をゲ
ル化させてガラス複合膜を形成した。
【0223】(比較例23):ポリシラン(E7)の代
わりに、ポリ(フェニルメチルシリレン)(X)を用い
た以外は実施例23−1と同様にしてEL素子を作製し
た。以上のようにして作製された各EL素子について、
ITO電極が+10Vとなるように直流電圧を印加し、
EL特性を評価した。具体的には、発光中心エネルギー
(発光波長に対応する)、ならびに初期および100時
間後の輝度を測定した。各実施例の処理条件およびEL
特性をまとめて下記表1に示す。
【0224】表1の結果について考察する。まず、実施
例23−1〜23−5に着目すると、紫外線露光量と発
光中心エネルギーとの間には以下のような関係があるこ
とがわかる。すなわち、発光中心エネルギーは露光量の
増加とともに、最初減少し(実施例23−2、23−
3)、その後増加し(実施例23−4)、その後EL発
光が観測されなくなっている(実施例23−5)。この
現象に関しては、露光量が50mJ/cm2 までならば
架橋度が高くなることに伴ってポリシラン鎖と酸素原子
との間の共役効果が広がって発光中心エネルギーを低下
させるが、露光量がさらに増加するとポリシラン鎖の分
解の進行により上記と逆の影響が生じていると解釈でき
る。また、実施例23−6と実施例23−1との比較か
ら、ポリシランとポリゲルマンとの共重合体では発光中
心エネルギーが低下することがわかる。さらに、実施例
23−7〜23−9の比較から、160℃における架橋
時の加熱時間が長くなると、発光中心エネルギーが増加
していることがわかる。これは、160℃では加熱時間
が長くなるにつれて、ポリシラン鎖の分解が進行するた
めであると考えられる。
【0225】
【表1】 実施例24(EL素子) 図11(a)に示すように、ガラス基板11上にホール
注入電極12としてITO電極を形成した後、平行な2
本のストライプ状にパターニングした。このガラス基板
/ITO電極を、沸騰したイソプロピルアルコール中に
入れて1分間超音波洗浄を行った。次に、このガラス基
板/ITO電極上にポリシラン(E7)のTHF溶液を
100nmの厚さに塗布した。つづいて、図11(b)
に示すように、ポリシラン膜の4隅のうちB、C、Dの
領域に、低圧水銀灯から所定形状のマスクを通して、そ
れぞれ10、50または2500mJ/cm2 の露光量
で紫外線を照射した(A領域に相当する部分には紫外線
を照射していない)。その後、120℃で500秒間加
熱してポリシラン(E7)をゲル化させ、発光層13と
なるガラス複合膜を形成した。さらに、図11(c)に
示すように、ガラス複合膜上に原子比でMg・Al合金
を700nmの厚さに蒸着した。これを上記ITO電極
とパターンと直交する平行な2本のストライプ状にパタ
ーニングし、電子注入電極14を形成した。このように
してEL素子を作製した。
【0226】このEL素子のA〜Dの各領域に10Vの
直流電圧を印加してEL特性を調べた。その結果、A領
域では青色発光、B領域では緑色発光、C領域では赤色
発光が観測され、D領域では発光は観測されなかった。
したがって、各電極を適当に選択することにより、A〜
Cの各領域における発光を同時にまたは独立して制御す
ることができる。
【0227】実施例25(EL素子) 本実施例においては、ポリシラン類として下記化学式で
示されるポリシラン(E16)、ポリゲルマン(E1
6’)、ポリスタナン(E16”)、ポリシラン(E
7、再掲)、ポリゲルマン(E7’)またはポリスタナ
ン(E7”)を用い、また必要に応じて下記化学式で示
されるAlq3 を用いて、図1または図2に示す発光素
子を作製した。
【0228】
【化36】
【0229】
【化37】 (実施例25−1):ガラス基板11上にホール注入電
極12としてITO電極を形成したものを、沸騰したイ
ソプロピルアルコール中に入れて1分間超音波洗浄を行
った。次に、このガラス基板/ITO電極上にポリシラ
ン(E16)のTHF溶液を100nmの厚さに塗布
し、窒素雰囲気下において160℃で10分間加熱して
ポリシラン(E16)をゲル化させ、ガラス複合膜を形
成した。このガラス複合膜は、発光層13として機能す
るとともに、ホール輸送層および電子輸送層としても機
能する。このガラス複合膜上に原子比でMg:Al=1
0:1のMg・Al合金を700nmの厚さに蒸着し、
電子注入電極14を形成した。このようにして、図1に
示すEL素子を作製した。
【0230】なお、ここで得られたガラス複合膜につい
て、NMR、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの
アルコキシル基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
4本の結合手が全てSi−Si結合を形成するSi原子
をXPSで定量したところ、このようなSi原子組成比
は0.2%以下であることがわかった。
【0231】(実施例25−2〜25−6):ポリシラ
ン(E16)の代わりに、ポリゲルマン(E16’)、
ポリスタナン(E16”)、ポリシラン(E7)、ポリ
ゲルマン(E7’)、ポリスタナン(E7”)をそれぞ
れ用いた以外は実施例25−1と同様にして図1に示す
EL素子を作製した。
【0232】(実施例25−7):ガラス基板21上に
ホール注入電極22としてITO電極を形成したもの
を、沸騰したイソプロピルアルコール中に入れて1分間
超音波洗浄を行った。次に、このガラス基板/ITO電
極上にポリシラン(E16)のTHF溶液を100nm
の厚さに塗布し、窒素雰囲気下において160℃で10
分間加熱してポリシラン(E16)をゲル化させ、ガラ
ス複合膜を形成した。このガラス複合膜は、ホール輸送
層23として機能する。このガラス複合膜上にAlq3
を7×10-7torrの真空下において0.1nm/s
ecの成膜速度で50nmの厚さに真空蒸着した。この
Alq3 層は発光層24として機能するとともに、電子
輸送層としても機能する。さらに、このAlq3 層上
に、原子比でMg:Al=10:1のMg・Al合金を
700nmの厚さに蒸着し、電子注入電極25を形成し
た。このようにして、図2に示すEL素子を作製した。
【0233】なお、ここで得られたガラス複合膜につい
て、NMR、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの
アルコキシル基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。
【0234】(実施例25−8〜25−12):ポリシ
ラン(E16)の代わりに、ポリゲルマン(E1
6’)、ポリスタナン(E16”)、ポリシラン(E
7)、ポリゲルマン(E7’)、ポリスタナン(E
7”)をそれぞれ用いた以外は実施例25−7と同様に
して図2に示すEL素子を作製した。
【0235】(実施例25−13):ガラス基板11上
にホール注入電極12としてITO電極を形成したもの
を、沸騰したイソプロピルアルコール中に入れて1分間
超音波洗浄を行った。次に、このガラス基板/ITO電
極上にポリシラン(E16)1wt%、Alq3 0.7
wt%およびジブチルエーテル98.3wt%からなる
溶液を100nmの厚さに塗布し、窒素雰囲気下におい
て160℃で10分間加熱してポリシラン(E16)を
ゲル化させ、Alq3 を含有するガラス複合膜を形成し
た。このAlq3 混合ガラス複合膜は、発光層13とし
て機能するとともに、ホール輸送層および電子輸送層と
しても機能する。このガラス複合膜上に原子比でMg:
Al=10:1のMg・Al合金を700nmの厚さに
蒸着し、電子注入電極14を形成した。このようにし
て、図1に示すEL素子を作製した。
【0236】(実施例25−14〜25−18):ポリ
シラン(E16)の代わりに、ポリゲルマン(E1
6’)、ポリスタナン(E16”)、ポリシラン(E
7)、ポリゲルマン(E7’)、ポリスタナン(E
7”)をそれぞれ用いた以外は実施例25−13と同様
にして図1に示すEL素子を作製した。
【0237】以上のようにして作製された各EL素子に
ついて、ITO電極が+10Vとなるように直流電圧を
印加し、EL特性を評価した。具体的には、初期および
100時間後の輝度を測定した。各実施例の構成および
EL特性をまとめて下記表2に示す。
【0238】表2から、ポリシラン類とともにAlq3
を併用した実施例25−7〜25−18のEL素子では
輝度が向上していることがわかる。また、Alq3 混合
ガラス複合膜を有する実施例25−13〜25−18の
EL素子は耐久性に非常に優れていることがわかる。
【0239】
【表2】 実施例26(電子写真感光体) 本実施例においては、ポリシラン類として実施例25で
用いたポリシラン(E16)、ポリゲルマン(E1
6’)、ポリスタナン(E16”)、ポリシラン(E
7)、ポリゲルマン(E7’)またはポリスタナン(E
7”)を用い、電荷発生物質として亜鉛フタロシアニン
(ZnPc)または下記化学式で示されるジブロモアン
トアントロン(DBAA)を用いて、図3または図4に
示す電子写真感光体を作製した。
【0240】
【化38】 (実施例26−1):アルミニウム基板31を用意し
た。また、電荷発生物質としての亜鉛フタロシアニン
(ZnPc)10重量部、ポリビニルブチラール5重量
部およびメチルエチルケトン85重量部を混合し、サン
ドミルで十分に分散させて電荷発生層に用いる組成物を
調製した。この組成物を上記アルミニウム基板31上に
バーコーターにより塗布した後、加熱して乾燥し、膜厚
0.3μmの電荷発生層32を形成した。また、ポリシ
ラン(E16)20重量部をジエチルエーテル80重量
部に溶解した溶液を調製した。この溶液を上記電荷発生
層32上にバーコーターにより塗布した後、160℃で
15分間加熱してゲル化させ、膜厚12μmのガラス複
合膜からなる電荷輸送層33を形成した。このようにし
て、図3に示す電子写真感光体を作製した。
【0241】なお、ここで得られたガラス複合膜につい
て、NMR、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの
アルコキシル基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。
【0242】(実施例26−2〜26−6):ポリシラ
ン(E16)の代わりに、ポリゲルマン(E16’)、
ポリスタナン(E16”)、ポリシラン(E7)、ポリ
ゲルマン(E7’)、ポリスタナン(E7”)をそれぞ
れ用いた以外は実施例26−1と同様にして図3に示す
電子写真感光体を作製した。
【0243】(実施例26−7):アルミニウム基板4
1を用意した。また、ポリシラン(E16)20重量部
をジエチルエーテル80重量部に溶解した溶液を調製し
た。この溶液を上記アルミニウム基板41上にバーコー
ターにより塗布した後、160℃で15分間加熱してゲ
ル化させ、膜厚12μmのガラス複合膜からなる電荷輸
送層42を形成した。また、電荷発生物質としてのジブ
ロモアントアントロン(DBAA)5重量部、ポリシラ
ン(E16)10重量部およびジエチルエーテル85重
量部を混合し、ボールミルで十分に分散させて電荷発生
層に用いる組成物を調製した。この組成物を上記電荷輸
送層42上にワイヤーバーにより塗布した後、160℃
で10分間加熱して硬化させ、膜厚0.3μmの電荷発
生層43を形成した。このようにして、図4に示す電子
写真感光体を作製した。
【0244】得られた各電子写真感光体について以下の
ようにして特性を評価した。すなわち、各電子写真感光
体を静電複写紙試験装置(川口電気製、Model S
Pー428)を用い、スタティック方式でコロナ帯電
し、暗所で1秒間保持した後、照度2.5ルクスで露光
した。なお、コロナ帯電時の印加電圧は実施例26−1
〜26−6では−5kV、実施例26−7では+5kV
とした。この試験により、帯電特性として表面電位(V
0 )および1秒間暗減衰させたときの表面電位(V1
を1/2に減衰させるのに必要な露光量(E1/2 )を測
定した。また、各電子写真感光体を照度20ルクス・秒
という強露光後の残留電位(Vr )を測定した。さら
に、各電子写真感光体をPPC複写機(東芝製、Leo
dry9240)の感光ドラム用シリンダに貼り付け
て、1500枚の複写を行なった後、上記静電複写紙試
験装置により残留電位(Vr ’)を測定した。これらの
結果を下記表3に示す。
【0245】
【表3】 実施例27(非線形光学素子) 実施例1で用いたポリシラン(E1)80mgとテトラ
エトキシシラン(TEOS)80mgのエタノール溶液
3.3mlを30℃で撹拌しながら、30%アンモニア
水0.5mlとエタノール5mlとの混合溶液を加え、
室温で12時間撹拌した。この溶液を1cm×1cm×
3cmの石英ガラスセルに入れ、真空乾燥後、120℃
で30分間加熱してガラス複合材料を得た。
【0246】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは観測
されなかった。
【0247】得られた石英ガラスセル中のガラス複合材
料を位相共役波が発生する配置とし、QスイッチYAG
レーザーの第3高調波(波長355nm)を500kW
/cm2 のピークパワー、繰り返し周波数10Hz、半
値全幅10nsecで照射し、3次の非線形光学定数を
測定した。その結果、χ(3) =3×10-9(esu)と
いう値が得られた。また、200時間経過後において
も、吸収係数およびχ(3) は2%しか減少しなかった。
この劣化の程度は、非線形光学材料としてポリジヘキシ
ルシランの場合と比較して1/40以下であった。
【0248】実施例28(非線形光学素子) 実施例6で用いた、置換基としてターシャリブトキシ基
を有するポリシラン(E4)をプレスしてフィルムを形
成した。このフィルムを開放容器に入れた6Nの塩酸水
溶液とともにデシケータ中に封入し、室温で2日間放置
し、塩酸蒸気にさらした。さらに、フィルムを塩酸蒸気
雰囲気下のまま150℃で4時間加熱した。このフィル
ムの赤外吸収スペクトルを測定したところ、1020c
-1付近の吸収の増大が観測され、新たにSi−O−S
i結合が生じたことが確認された。一方、t−ブチル基
に起因する吸収は消失した。また、膜質の硬化が認めら
れた。これらのことから、酸触媒の存在下で加熱したこ
とによってポリシラン(E4)のt−ブチル基が分解し
て、生じたシラノール基が相互に縮合し、ケイ酸ガラス
類似構造が生成したと考えられる。
【0249】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは観測
されなかった。また、遠赤外IRスペクトルではSi−
Siの吸収が観測され、IRスペクトルではSi−O−
Siに起因する吸収が観測された。
【0250】得られたガラス複合材料を位相共役波が発
生する配置とし、QスイッチYAGレーザーの第3高調
波(波長355nm)を500kW/cm2 のピークパ
ワーで照射し、3次の非線形光学定数を測定した。その
結果、χ(3) =3×10-9(esu)という値が得られ
た。また、20000回発振した後においても、吸収係
数およびχ(3) は2%しか減少しなかった。この劣化の
程度は、非線形光学材料としてポリジヘキシルシランを
用いた場合と比較して1/40以下であった。 実施例29(非線形光学素子) ポリシラン(E1)の代わりに下記化学式で示されるポ
リゲルマン(E17)を用いた以外は実施例27と同様
にしてガラス複合材料を得た。
【0251】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Ge微結晶に起因するピークは観測
されなかった。
【0252】
【化39】 得られたガラス複合材料を位相共役波が発生する配置と
し、QスイッチYAGレーザーの第3高調波(波長35
5nm)を500kW/cm2 のピークパワーで照射
し、3次の非線形光学定数を測定した。その結果、χ
(3) =3×10-9(esu)という値が得られた。ま
た、20000回発振した後においても、吸収係数およ
びχ(3) は25%しか減少しなかった。この劣化の程度
は、架橋処理を施していないポリゲルマンの場合と比較
して1/3以下であった。
【0253】実施例30(非線形光学素子) ポリシラン(E1)の代わりに下記化学式で示されるポ
リシラン共重合体(E18)を用いた以外は実施例27
と同様にしてガラス複合材料を得た。
【0254】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは観測
されなかった。
【0255】
【化40】 得られたガラス複合材料について、モードロックTi:
サファイアレーザーの第2高調波(波長400nm)を
パルス幅100フェムト秒(100×10-15秒)、繰
り返し周波数82MHzで照射してフォトンエコー実験
を行った。その結果、フォトンエコーの記憶時間が80
0ピコ秒(800×10-12 秒)であることがわかっ
た。
【0256】実施例31(非線形光学素子) ポリシラン(E1)80mgとテトラエトキシシラン
(TEOS)80mgのエタノール溶液3.3mlを3
0℃で撹拌しながら、30%アンモニア水0.5mlと
エタノール5mlとの混合溶液を加え、室温で12時間
撹拌した。この溶液を濃縮した後、ガラス基板上に回転
塗布した。これを乾燥後、100℃で40分間加熱して
ゲル化し、無色透明の膜を得た。
【0257】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは観測
されなかった。
【0258】この膜をレジストをマスクとして4%フッ
酸水溶液でエッチングすることにより、図5に示すよう
な形状の導波路型光スイッチング素子を作製した。な
お、導波路の幅は100μmとした。
【0259】導波路57の外側にフォトダイオードを設
置し、導波路57からの出力をモニターしながら以下の
ような実験を行った。まず、導波路53からQスイッチ
YAGレーザーの第3高調波(波長355nm)を50
0kW/cm2 のピークパワーで入射した場合、導波路
57からの出力は観測できなかった。次に、導波路53
および導波路54から同時にそれぞれQスイッチYAG
レーザーの第3高調波(波長355nm)を500kW
/cm2 のピークパワーで入射した場合、3次の非線形
現象発生部52において回折が生じたため、導波路57
から回折光を観測することができた。
【0260】実施例32(レーザー素子) 下記化学式で示されるポリシラン共重合体(E19)8
0mgとテトラエトキシシラン(TEOS)80mgの
エタノール溶液3.3mlを30℃で撹拌しながら、3
0%アンモニア水0.5mlとエタノール5mlとの混
合溶液を加え、室温で12時間撹拌した。この溶液を1
cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに入れ、真空乾
燥により溶媒を除去してガラス複合材料を得た。このガ
ラス複合材料の吸収ピーク波長は331nm、半値全幅
は100nm程度、発光ピーク波長は373nm、半値
全幅は40nm程度であった。
【0261】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは観測
されなかった。
【0262】
【化41】 図12に示すように、得られた石英ガラスセル中のガラ
ス複合材料をレーザー媒質71として用い、これをミラ
ー72(反射率100%)およびミラー73(反射率4
0%)からなる共振器中に設置し、これらのミラー7
2、73と直交するように1対の電極(図示せず)を設
けた。このレーザー媒質71に、QスイッチNd3+:Y
AGレーザーの第4高調波(波長266nm)をシリン
ドリカルレンズ76で集光して照射した。この励起レー
ザー光のピークパワーは1kW/cm2 、繰り返し周波
数は5kHz、パルス幅は200nsecであった。そ
の結果、波長358nmのレーザー発振が観測された。
レーザー発振は光の指向性および励起強度と発振強度と
の非線形関係から確認した。発振レーザー光のピークパ
ワーは5W/cm2 であった。また、20000回発振
した後にもピークパワーは5%しか劣化しなかった。こ
の劣化の程度は、レーザー媒質としてポリジヘキシルシ
ランを用いた場合と比較して1/18以下であった。
【0263】次に、以下のようにして図13に示すよう
な小型レーザーを作製した。まず、上記石英セルを割っ
て、レーザー媒質であるガラス複合材料を取り出し、対
向する2表面にそれぞれ共振器を構成するミラー72、
73となる金を蒸着した。このとき、一方のミラー72
の反射率が95%、他方のミラー73の反射率が60%
となるように調整した。このミラー付きレーザー媒質に
対して1対の電極(図示せず)を設け、励起光源として
の1200W高圧キセノンランプ77、プリズム78、
空間フィルター79、およびシリンドリカルレンズ76
とともにパッケージングした。これらの光学系は、光源
からの光をプリズム78および空間フィルター79で分
光することにより、波長350nmの光をカットしたピ
ーク波長250nmの励起光をレーザー媒質71に照射
するように配置した。また、このパッケージの大きさは
20cm×8cm×5cmであった。このような小型レ
ーザーで波長358nm、パワー30mWのレーザー光
を得ることができた。
【0264】実施例33(レーザー素子) 実施例6で用いた、置換基としてターシャリブトキシ基
を有するポリシラン(E4)をプレスしてフィルムを形
成した。このフィルムを開放容器に入れた6Nの塩酸水
溶液とともにデシケータ中に封入し、室温で2日間放置
し、塩酸蒸気にさらした。さらに、フィルムを塩酸蒸気
雰囲気下のまま150℃で4時間加熱した。このフィル
ムの赤外吸収スペクトルを測定したところ、1020c
-1付近の吸収の増大が観測され、新たにSi−O−S
i結合が生じたことが確認された。一方、t−ブチル基
に起因する吸収は消失した。また、膜質の硬化が認めら
れた。これらのことから、酸触媒の存在下で加熱したこ
とによってポリシラン(E4)のt−ブチル基が分解し
て、生じたシラノール基が相互に縮合し、ケイ酸ガラス
類似構造が生成したと考えられる。このガラス複合材料
の吸収ピーク波長は315nm付近、半値全幅は100
nm程度、発光ピーク波長は360nm付近、半値全幅
は40nm程度であった。
【0265】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは観測
されなかった。また、遠赤外IRスペクトルではSi−
Siの吸収が観測され、IRスペクトルではSi−O−
Siに起因する吸収が観測された。
【0266】得られたガラス複合材料をレーザー媒質と
して用い、図12に示す配置でレーザー発振を試みた。
励起光としてはTi:サファイアレーザーの第4高調波
(波長266nm)を用いた。励起光のピークパワーは
50kW/cm2 、繰り返し周波数は80MHz、パル
ス幅は100fsecであった。レーザー発振は光の指
向性および励起強度と発振強度との非線形関係から確認
した。発振レーザー光のピークパワーは100W/cm
2 であった。また、20時間発振した後にもピークパワ
ーは7%しか劣化しなかった。この劣化の程度は、レー
ザー媒質としてポリジヘキシルシランを用いた場合と比
較して1/12以下であった。
【0267】実施例34(レーザー素子) 下記化学式で示されるポリゲルマン(E20)を用い、
実施例32と同様にしてガラス複合材料を調製した。こ
のガラス複合材料の吸収ピーク波長は334nm、半値
全幅は90nm程度、発光ピーク波長は375nm、半
値全幅は40nm程度であった。
【0268】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Ge微結晶に起因するピークは観測
されなかった。
【0269】このガラス複合材料をレーザー媒質として
用い、図12に示す配置でレーザー発振を試みた。励起
光としてはNd3+:YAGレーザーの第3高調波(波長
355nm)を用いた。励起光のピークパワーは5kW
/cm2 、繰り返し周波数は5kHz、パルス幅は20
0nsecであった。発振レーザー光のピークパワーは
30W/cm2 であった。また、20000回発振した
後にもピークパワーは15%しか劣化しなかった。この
劣化の程度は、レーザー媒質として未架橋のポリゲルマ
ンを用いた場合と比較して1/6以下であった。
【0270】
【化42】 実施例35(レーザー素子) ポリシラン共重合体(E19)のトルエン溶液を1cm
×1cm×5cmの石英ガラスセルに入れ、真空乾燥し
た。この石英ガラスセルを37%ホルマリン水溶液およ
び6規定塩酸水溶液とともにデシケータ中に入れ、2週
間放置した。その後、再び24時間真空乾燥してポリシ
ランを架橋させた。次いで、テトラエトキシシラン1
g、エタノール1.5g、水2gおよび塩酸0.1gの
混合溶液を室温で1.5時間撹拌した後、水3gおよび
アセトニトリル0.5gを加えて撹拌した浸漬液に10
分間浸漬した。浸漬後、軽く水洗し、100℃で40分
間加熱乾燥した。
【0271】NMR、IR、TGで算出された前駆体ポ
リマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上における架
橋点が3箇所以上であることが明らかであった。また、
X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは観測
されなかった。
【0272】このガラス複合材料をレーザー媒質として
用い、図12に示す配置でレーザー発振を試みた。励起
光としてはNd3+:YAGレーザーの第4高調波(波長
266nm)を用いた。励起光のピークパワーは1kW
/cm2 、繰り返し周波数は5kHz、パルス幅は20
0nsecであった。その結果、波長358nmのレー
ザー発振が観測された。レーザー発振は光の指向性およ
び励起強度と発振強度との非線形関係から確認した。発
振レーザー光のピークパワーは5W/cm2 であった。
また、20000回発振した後にもピークパワーは40
%しか劣化しなかった。この劣化の程度は、レーザー媒
質としてポリジヘキシルシランを用いた場合と比較して
1/2以下であった。
【0273】実施例36 プラズマCVD反応炉の試料台にKBr基板を載せ、基
板温度を−100℃に保持した。この反応炉内に2%の
シランガスを含有する水素ガスを流して全ガス圧0.3
torrを設定し、RFパワー密度0.2W/cm2
プラズマを発生させ、基板上に膜厚0.5μmの薄膜を
堆積した。この薄膜のIRスペクトルを測定したとこ
ろ、2160cm-2近傍にSi−Si結合に起因する吸
収が観測され、この薄膜がポリシランであることが確認
できた。
【0274】上記と同様にKBr基板上にポリシラン膜
を形成した後、そのまま反応炉中に1%の酸素を含有す
るアルゴンガスを30分間流し、さらに60℃に加熱し
た。IRスペクトルを測定したところ、1100cm-2
近傍にSi−O−Si結合に起因する吸収が観測され
た。このことから、KBr基板上に酸素架橋したポリシ
ラン複合材料が形成されていることが確認できた。この
ガラス複合膜の表面硬度は鉛筆硬度で1Hであった。ま
た、その他の測定結果は以下の通りであった。体積抵抗
率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω・cm以
下であった。300〜800nmのヘイズ率は5%以下
であった。X線回折によれば、Si微結晶に起因するピ
ークは観測されなかった。NMR、IR、TGで算出さ
れた前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖
上における架橋点は3箇所以上であることが明らかであ
った。
【0275】次に、石英基板の上に、上記と同様な方法
で、プラズマCVDによる厚さ0.1μmのポリシラン
薄膜の形成、酸素希釈ガスによる水酸基置換、および加
熱による架橋を繰り返して行い、最終的に厚さ2μmの
ポリシラン複合材料の薄膜を形成した。このポリシラン
複合材料については、吸収スペクトルでは360nmに
ピークが観測され、発光スペクトルでは370nmにピ
ークが観測された。また、室温での発光効率は19%と
十分高いものであった。
【0276】このポリシラン複合材料の耐光性を評価し
たところ、355nmのQスイッチYAGレーザーの第
三高調波(平均パワー密度1W/cm2 、繰り返し1k
Hz、ピークパワー3.3kHz、半値全幅300ns
ec)を5時間照射した後の発光量は3%低下しただけ
であった。
【0277】実施例37 図14に示すような発光素子とトランジスタとを有する
集積回路を作製した。この素子は、発光材料であるポリ
シラン複合材料の両端にそれぞれ電極となるMOSトラ
ンジスタの拡散層を接続した構造を有する。
【0278】まず、p型シリコン基板101の発光部と
なる領域を選択的にエッチングしてトレンチを形成す
る。このトレンチの底部にミラーとして機能するAl層
102をスパッタリングにより形成する。このAl層1
02上に酸化膜103を堆積する。この酸化膜103上
に、実施例36と同様な方法、すなわちプラズマCVD
によるポリシラン薄膜の形成、酸素希釈ガスによる水酸
基置換、および加熱による架橋を行い、発光層となる厚
さ500nmの酸素架橋したポリシラン複合膜104を
形成する。
【0279】次に、一方の電極が形成される領域を選択
的にエッチングしてトレンチを形成し、その底部に酸化
膜103を堆積する。トレンチ内にポリシリコンを堆積
した後、アニールして単結晶化する。このポリシリコン
に砒素をイオン注入し、アニールしてさらに単結晶化を
進めてn+ 型拡散層105を形成する。同様に、他方の
電極が形成される領域を選択的にエッチングしてトレン
チを形成し、その底部に酸化膜103を堆積する。トレ
ンチ内にポリシリコンを堆積した後、アニールして単結
晶化する。このポリシリコンにホウ素をイオン注入し、
アニールしてさらに単結晶化を進めてp+ 型拡散層10
6を形成する。これらの2つの電極は共振器を形成しな
いように非平行に形成されている。
【0280】さらに、n型ウェル領域107、n+ 型拡
散層108、p+ 型拡散層109、ゲート絶縁膜11
0、ゲート電極111、112を順次形成して、素子を
作製した。
【0281】2つのMOSトランジスタをオンにして、
それぞれn+ 型拡散層105に+12V、p+ 型拡散層
106に−12Vの電圧を印加した。この結果、発光素
子から370nmの発光が生じた。
【0282】実施例38 アルゴン雰囲気中でポリ(フェニルヘキシルシリレン)
(重量平均分子量Mw=100万)1gの塩化メチレン
溶液20mlにトリフルオロメタンスルホン酸0.5m
lを加え、室温で1時間撹拌した。この溶液にエタノー
ル5mlとトリエチルアミン1.5mlとの混合溶液を
加え、さらに室温で1時間撹拌した。その後、溶媒を除
去し、30分間真空乾燥した。残渣をジエチルエーテル
に溶解し、このエーテル溶液を水洗した後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥した。その後、溶媒を除去し、真空乾燥
して、既述の化学式(E2)で表される繰り返し単位を
有するポリシラン(フェニル基:エトキシ基=2:8)
を淡黄色油状物質として得た(収量0.5g、重量平均
分子量Mw=4000)。
【0283】ポリシランとしてポリ(フェニルメチルシ
リレン)(重量平均分子量Mw=20000)を用い、
エタノールの代わりにメタノールを用いた以外は、上記
と同様な合成法により、既述の化学式(E7)で表され
る繰り返し単位を有するポリシラン(フェニル基:メト
キシ基=2:8)を淡黄色油状物質として得た(収量
0.4g、重量平均分子量Mw=2700)。
【0284】次いで、下記化学式で示される繰り返し単
位を有するアニリン樹脂(AR)0.3gのN−メチル
ピロリジノン(NMP)溶液10mlと、上記で合成し
たポリシラン(E2)1gのNMP溶液10mlとを混
合し、室温ですばやく撹拌した後、基板上に塗布し、真
空乾燥して溶媒を除去した。さらに、アルゴン気流下に
おいて、120℃で1時間加熱乾燥して黄色透明な膜を
形成した。
【0285】
【化43】 得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、320nm付近にポリシラン主鎖に起因する吸収が
観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを測定したと
ころ、900〜1100cm-1付近に窒素−ケイ素結合
およびシロキサン結合に起因する吸収が観測された。こ
の膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ素結合の存
在が確認された。これらの結果から、得られた膜はポリ
シランのSi主鎖が窒素原子を介して有機マトリックス
であるアニリン樹脂と架橋したポリシラン複合体膜であ
ることがわかった。
【0286】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度Bであっ
た。また、その他の測定結果は以下の通りであった。体
積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω・
cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は5
%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶に起因
するピークは観測されなかった。NMR、IR、TGで
算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポリ
マー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明ら
かであった。
【0287】さらに、この膜の耐光性を評価するため
に、低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を
照射し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定
した。比較のために一般的なポリシランである重量平均
分子量Mw=10000のポリ(フェニルヘキシルシリ
レン)についても同様の測定を行った。その結果、本実
施例で得られた膜の半減期は、ポリ(フェニルヘキシル
シリレン)のそれの10倍以上であり、このポリシラン
複合体膜が耐光性に優れていることがわかった。さら
に、ポリシラン(E2)の代わりに、ポリシラン(E
7)を用いた場合にも同様の結果が得られた。
【0288】実施例39 アニリン樹脂(AR)のNMP溶液およびポリシラン
(E2)のNMP溶液に加えて、さらにアルミニウムイ
ソプロポキシド0.1gのNMP溶液を混合した以外
は、実施例38と同様にしてポリシラン複合体膜を作製
した。
【0289】得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測
定したところ、320nm付近にポリシラン主鎖に起因
する吸収が観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを
測定したところ、900〜1100cm-1付近に窒素−
ケイ素結合およびシロキサン結合に起因する吸収が観測
された。この膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ
素結合の存在が確認された。これらの結果から、得られ
た膜はポリシランのSi主鎖が窒素原子を介して有機マ
トリックスであるアニリン樹脂と架橋したポリシラン複
合体膜であることがわかった。
【0290】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度Hであっ
た。このように実施例38の膜よりも硬度が向上してい
るのは、金属アルコキシドであるアルミニウムイソプロ
ポキシドの添加による効果である。なお、こうした効果
は、チタンイソプロポキシドまたはインジウムイソプロ
ポキシドを用いた場合にも同様に認められた。また、そ
の他の測定結果は以下の通りであった。体積抵抗率(J
IS−C2151準拠)は3×106 Ω・cm以下であ
った。300〜800nmのヘイズ率は5%以下であっ
た。X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは
観測されなかった。NMR、IR、TGで算出された前
駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上にお
ける架橋点は3箇所以上であることが明らかであった。
【0291】また、この膜の耐光性を評価するために、
低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を照射
し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定し
た。その結果、本実施例で得られた膜の半減期は、ポリ
(フェニルヘキシルシリレン)のそれの10倍以上であ
り、このポリシラン複合体膜が耐光性に優れていること
がわかった。
【0292】さらに、ポリシラン(E2)の代わりに、
ポリシラン(E7)を用いた場合にも同様の結果が得ら
れた。
【0293】実施例40 アニリン樹脂(AR)の代わりに、下記化学式で示され
る繰り返し単位を有する重量平均分子量Mw=1200
0のポリアニリン(PAn)を用いた以外は実施例38
と同様にしてポリシラン複合体膜を作製した。
【0294】
【化44】 得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、320nm付近にポリシラン主鎖に起因する吸収が
観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを測定したと
ころ、900〜1100cm-1付近に窒素−ケイ素結合
およびシロキサン結合に起因する吸収が観測された。こ
の膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ素結合の存
在が確認された。これらの結果から、得られた膜はポリ
シランのSi主鎖が窒素原子を介して有機マトリックス
であるポリアニリンと架橋したポリシラン複合体膜であ
ることがわかった。
【0295】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度Bであっ
た。また、その他の測定結果は以下の通りであった。体
積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω・
cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は5
%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶に起因
するピークは観測されなかった。NMR、IR、TGで
算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポリ
マー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明ら
かであった。
【0296】また、この膜の耐光性を評価するために、
低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を照射
し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定し
た。その結果、本実施例で得られた膜の半減期は、ポリ
(フェニルヘキシルシリレン)のそれの10倍以上であ
り、このポリシラン複合体膜が耐光性に優れていること
がわかった。
【0297】さらに、ポリシラン(E2)の代わりに、
ポリシラン(E7)を用いた場合にも同様の結果が得ら
れた。
【0298】実施例41 ポリアニリン(PAn)のNMP溶液およびポリシラン
(E2)のNMP溶液に加えて、さらにアルミニウムイ
ソプロポキシド0.1gのNMP溶液を混合した以外は
実施例40と同様にして複合体膜を作製した。
【0299】得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測
定したところ、320nm付近にポリシラン主鎖に起因
する吸収が観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを
測定したところ、900〜1100cm-1付近に窒素−
ケイ素結合およびシロキサン結合に起因する吸収が観測
された。この膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ
素結合の存在が確認された。これらの結果から、得られ
た膜はポリシランのSi主鎖が窒素原子を介して有機マ
トリックスであるポリアニリンと架橋したポリシラン複
合体膜であることがわかった。
【0300】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度Hであっ
た。このように実施例40の膜よりも硬度が向上してい
るのは、金属アルコキシドであるアルミニウムイソプロ
ポキシドの添加による効果である。なお、こうした効果
は、チタンイソプロポキシドまたはインジウムイソプロ
ポキシドを用いた場合にも同様に認められた。また、そ
の他の測定結果は以下の通りであった。体積抵抗率(J
IS−C2151準拠)は3×106 Ω・cm以下であ
った。300〜800nmのヘイズ率は5%以下であっ
た。X線回折によれば、Si微結晶に起因するピークは
観測されなかった。NMR、IR、TGで算出された前
駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポリマー鎖上にお
ける架橋点は3箇所以上であることが明らかであった。
【0301】また、この膜の耐光性を評価するために、
低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を照射
し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定し
た。その結果、本実施例で得られた膜の半減期は、ポリ
(フェニルヘキシルシリレン)のそれの10倍以上であ
り、このポリシラン複合体膜が耐光性に優れていること
がわかった。
【0302】さらに、ポリシラン(E2)の代わりに、
ポリシラン(E7)を用いた場合にも同様の結果が得ら
れた。
【0303】実施例42 アニリン樹脂(AR)の代わりに、下記化学式で示され
る繰り返し単位を有する重量平均分子量Mw=2000
のポリピロール(PPr)を用いた以外は実施例38と
同様にしてポリシラン複合体膜を作製した。
【0304】
【化45】 得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、320nm付近にポリシラン主鎖に起因する吸収が
観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを測定したと
ころ、900〜1100cm-1付近に窒素−ケイ素結合
およびシロキサン結合に起因する吸収が観測された。こ
の膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ素結合の存
在が確認された。これらの結果から、得られた膜はポリ
シランのSi主鎖が窒素原子を介して有機マトリックス
であるポリピロールと架橋したポリシラン複合体膜であ
ることがわかった。
【0305】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度Bであっ
た。また、その他の測定結果は以下の通りであった。体
積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω・
cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は5
%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶に起因
するピークは観測されなかった。NMR、IR、TGで
算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポリ
マー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明ら
かであった。
【0306】また、この膜の耐光性を評価するために、
低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を照射
し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定し
た。その結果、本実施例で得られた膜の半減期は、ポリ
(フェニルヘキシルシリレン)のそれの10倍以上であ
り、このポリシラン複合体膜が耐光性に優れていること
がわかった。
【0307】さらに、ポリシラン(E2)の代わりに、
ポリシラン(E7)を用いた場合にも同様の結果が得ら
れた。
【0308】実施例43 アニリン樹脂(AR)のNMP溶液の代わりに既述の
W.S.Coblenzらの方法により合成したポリシ
ラザンゾルを溶媒置換によりNMP溶液としたものを用
い、加熱条件を150℃、2時間とした以外は実施例3
8と同様にしてポリシラン複合体膜を作製した。
【0309】得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測
定したところ、320nm付近にポリシラン主鎖に起因
する吸収が観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを
測定したところ、900〜1100cm-1付近に窒素−
ケイ素結合およびシロキサン結合に起因する吸収が観測
された。この膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ
素結合の存在が確認された。これらの結果から、得られ
た膜はポリシランのSi主鎖が窒素原子を介して無機マ
トリックスであるポリシラザンゲルまたは窒化ケイ素と
架橋したポリシラン複合体膜であることがわかった。
【0310】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度Hであっ
た。また、その他の測定結果は以下の通りであった。体
積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω・
cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は5
%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶に起因
するピークは観測されなかった。NMR、IR、TGで
算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポリ
マー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明ら
かであった。
【0311】また、この膜の耐光性を評価するために、
低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を照射
し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定し
た。その結果、本実施例で得られた膜の半減期は、ポリ
(フェニルヘキシルシリレン)のそれの10倍以上であ
り、このポリシラン複合体膜が耐光性に優れていること
がわかった。
【0312】さらに、ポリシラン(E2)の代わりに、
ポリシラン(E7)を用いた場合にも同様の結果が得ら
れた。
【0313】実施例44 アルゴン雰囲気中、ドライアイス−エタノール浴の温度
で、ポリシラン(E2)1gのジエチルエーテル溶液1
00mlを撹拌しながら、乾燥アンモニア1gを吹き込
んだ。30分撹拌した後、余剰ガスをリークしながら室
温まで昇温し、30分間撹拌した。その後、溶媒を除去
して真空乾燥した。残渣を基板に塗布し、アルゴン気流
下において120℃で2時間加熱乾燥した。
【0314】得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測
定したところ、330nm付近にポリシラン主鎖に起因
する吸収が観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを
測定したところ、900〜1100cm-1付近に窒素−
ケイ素結合およびシロキサン結合に起因する吸収が観測
された。この膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ
素結合の存在が確認された。これらの結果から、得られ
た膜はポリシランのSi主鎖どうしが窒素原子を介して
相互に架橋したポリシラン複合体膜であることがわかっ
た。
【0315】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度5Hであ
った。また、その他の測定結果は以下の通りであった。
体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω
・cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は
5%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶に起
因するピークは観測されなかった。NMR、IR、TG
で算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポ
リマー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明
らかであった。
【0316】また、この膜の耐光性を評価するために、
低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を照射
し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定し
た。その結果、本実施例で得られた膜の半減期は、ポリ
(フェニルヘキシルシリレン)のそれの10倍以上であ
り、このポリシラン複合体膜が耐光性に優れていること
がわかった。
【0317】また、この膜の体積抵抗率(JIS−C2
151準拠)は6×105 Ω・cm以下であった。
【0318】さらに、ポリシラン(E2)の代わりに、
ポリシラン(E7)を用いても同様の結果が得られた。
【0319】実施例45 アルゴン雰囲気中で、ポリシラン(E2)1gのテトラ
ヒドロフラン(THF)溶液50mlを撹拌しながら、
ブチルアミン0.5gのTHF溶液50mlを加えた。
すばやく撹拌した後、反応溶液を基板に塗布し、アルゴ
ン気流下、室温で30分間放置した後、120℃で2時
間加熱乾燥した。
【0320】得られた膜の可視紫外吸収スペクトルを測
定したところ、330nm付近にポリシラン主鎖に起因
する吸収が観測された。この膜の赤外吸収スペクトルを
測定したところ、900〜1100cm-1付近に窒素−
ケイ素結合およびシロキサン結合に起因する吸収が観測
された。この膜の29Si固体NMR測定から窒素−ケイ
素結合の存在が確認された。これらの結果から、得られ
た膜はポリシランのSi主鎖どうしが窒素原子を介して
相互に架橋したポリシラン複合体膜であることがわかっ
た。
【0321】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度4Hであ
った。また、その他の測定結果は以下の通りであった。
体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω
・cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は
5%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶に起
因するピークは観測されなかった。NMR、IR、TG
で算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポ
リマー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明
らかであった。
【0322】また、この膜の耐光性を評価するために、
低圧水銀灯を光源として波長320nmの紫外線を照射
し、その吸収量が半分になる時間(半減期)を測定し
た。その結果、本実施例で得られた膜の半減期は、ポリ
(フェニルヘキシルシリレン)のそれの10倍以上であ
り、このポリシラン複合体膜が耐光性に優れていること
がわかった。
【0323】また、この膜の体積抵抗率(JIS−C2
151準拠)は6×105 Ω・cm以下であった。
【0324】さらに、ポリシラン(E2)の代わりに、
ポリシラン(E7)を用いても同様の結果が得られた。
【0325】実施例46 ポリシラン(E2)の代わりに既述の化学式(E13)
で示されるオクタメトキシテトラシクロシランを用いた
以外は実施例45と同様にしてポリシラン複合体膜を得
た。
【0326】この膜の29Si固体NMR測定からケイ素
−ケイ素結合および窒素−ケイ素結合の存在が確認され
た。この結果から、得られた膜はポリシランのSi主鎖
どうしが窒素原子を介して相互に架橋したポリシラン複
合体膜であることがわかった。
【0327】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度4Hであ
った。また、その他の測定結果は以下の通りであった。
体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω
・cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は
5%以下であった。X線回折によれば、Si微結晶に起
因するピークは観測されなかった。NMR、IR、TG
で算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポ
リマー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明
らかであった。
【0328】実施例47 ポリシラン(E2)の代わりに既述の化学式(E9)で
示される繰り返し単位を有する重量平均分子量Mw=4
100のポリゲルマンを用いた以外は実施例45と同様
にしてポリゲルマン複合体膜を得た。
【0329】得られた膜のNMR測定から、Ge−Ge
結合および窒素−Ge結合の存在が確認された。この結
果から、得られた膜はポリゲルマンのGe主鎖どうしが
窒素原子を介して相互に架橋したポリゲルマン複合体膜
であることがわかった。
【0330】この膜の硬度を鉛筆引っかき試験(JIS
−K5400準拠)により評価したところ硬度2Hであ
った。また、その他の測定結果は以下の通りであった。
体積抵抗率(JIS−C2151準拠)は3×106 Ω
・cm以下であった。300〜800nmのヘイズ率は
5%以下であった。X線回折によれば、Ge微結晶に起
因するピークは観測されなかった。NMR、IR、TG
で算出された前駆体ポリマーの官能基の反応率から、ポ
リマー鎖上における架橋点は3箇所以上であることが明
らかであった。
【0331】実施例48 ポリシラン(E2)の代わりに既述の化学式(E10)
で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量Mw=
2000のポリスタナンを用いた以外は実施例45と同
様にしてポリスタナン複合体膜を得た。
【0332】得られた複合膜のNMR測定から、Sn−
Sn結合および窒素−Sn結合の存在が確認された。こ
の結果から、得られた膜はポリスタナンのSn主鎖どう
しが窒素原子を介して相互に架橋したポリスタナン複合
体膜であることがわかった。この膜の硬度を鉛筆引っか
き試験(JIS−K5400準拠)により評価したとこ
ろ硬度3Hであった。また、その他の測定結果は以下の
通りであった。体積抵抗率(JIS−C2151準拠)
は3×106 Ω・cm以下であった。300〜800n
mのヘイズ率は5%以下であった。X線回折によれば、
Sn微結晶に起因するピークは観測されなかった。NM
R、IR、TGで算出された前駆体ポリマーの官能基の
反応率から、ポリマー鎖上における架橋点は3箇所以上
であることが明らかであった。
【0333】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、無
機マトリックスや有機マトリックスにポリシラン、ポリ
ゲルマン、ポリスタナンなどのポリマーが高い架橋密度
で稠密な三次元ネットワークを形成した状態で固定さ
れ、耐久性が高く、これらのポリマーが本質的に有して
いる光学的、電気的な性質を十分に発現でき、しかも均
一な薄膜などの成形体を容易に作製することが可能なガ
ラス複合材料を提供できる。さらに、このようなガラス
複合材料を構成要素として含み、優れた特性を発現する
発光素子、電子写真感光体、非線形光学素子、およびレ
ーザー素子を提供でき、その工業的価値は非常に大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るEL素子の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係るEL素子の他の例を示す断面図。
【図3】本発明に係る電子写真感光体の一例を示す断面
図。
【図4】本発明に係る電子写真感光体の他の例を示す断
面図。
【図5】本発明に係る非線形光学素子の一例を示す平面
図。
【図6】本発明に係る非線形光学素子の他の例を示す平
面図。
【図7】本発明に係るレーザー素子の一例を示す断面
図。
【図8】本発明の実施例21におけるパターニングされ
たガラス複合材料を介して形成された電極を示す平面
図。
【図9】本発明の実施例22におけるプリント基板の平
面図。
【図10】本発明の実施例22においてプリント基板上
に電子部品を実装する方法を工程順に示す断面図。
【図11】本発明の実施例24におけるEL素子の平面
図。
【図12】本発明の実施例32におけるレーザー素子の
構成図。
【図13】本発明の実施例32における他のレーザー素
子の構成図。
【図14】本発明の実施例37において製造された発光
素子とMOSトランジスタとの集積回路を示す断面図。
【符号の説明】
11…基板、12…ホール注入電極、13…発光層、1
4…電子注入電極、21…基板、22…ホール注入電
極、23…ホール輸送層、24…発光層、25…電子注
入電極、31…導電性支持体、32…電荷発生層、33
…電荷輸送層、41…導電性支持体、42…電荷輸送
層、43…電荷発生層、51…基板、52…3次の非線
形現象発生部、53、54…入射側の導波路、55、5
6、57…出射側の導波路、61…基板、62…2次の
非線形現象発生部、71…レーザー媒質、72、73…
共振器ミラー、74、75…励起用電極、76…シリン
ドリカルレンズ、77…高圧キセノンランプ、78…分
光用プリズム、79…分光用空間フィルター、81、8
2…金電極、91…プリント基板、92…銅電極、93
…膜、93’…低抵抗膜、93”…高抵抗膜、94…マ
スク、95…露光用光源、96…リード、97…電子部
品、101…p型シリコン基板、102…Al層、10
3…酸化膜、104…ポリシラン複合膜、105…n+
型拡散層、106…p+ 型拡散層、107…n型ウェル
領域、108…n+ 型拡散層、109…p+ 型拡散層、
110…ゲート絶縁膜、111、112…ゲート電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/04 G03G 5/04 H01S 3/17 H01S 3/17 // C08L 83/00 LRM C08L 83/00 LRM (72)発明者 村井 伸次 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 早瀬 修二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 都鳥 顕司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 真島 豊 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリス
    タナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマ
    ー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結
    合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマ
    ー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリ
    ックスで化学的に架橋されており、電圧/膜厚比を10
    6 V/cmに設定して円平板電極法で測定された体積抵
    抗率が3×106 Ω・cm以下であることを特徴とする
    ガラス複合材料。
  2. 【請求項2】 ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリス
    タナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマ
    ー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結
    合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマ
    ー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリ
    ックスで化学的に3箇所以上架橋されて硬化しており、
    かつ300〜800nmの波長範囲の光に対してコヒー
    レンスを保持する成形体であることを特徴とするガラス
    複合材料。
  3. 【請求項3】 ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリス
    タナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマ
    ー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結
    合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマ
    ー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリ
    ックスで化学的に3箇所以上架橋されて硬化しており、
    かつCu管球をX線源とするX線回折により2θ=20
    〜60°の範囲にピークが観測されるシリコン結晶、ゲ
    ルマニウム結晶およびスズ結晶に起因するシグナルの面
    積が全シグナルの合計面積の1%以下であることを特徴
    とするガラス複合材料。
  4. 【請求項4】 鉛筆引っかき試験法による表面硬度が3
    B以上であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか
    記載のガラス複合材料。
  5. 【請求項5】 側鎖に水酸基、アルコキシル基、アミノ
    基、アンモニウム基、イミノ基、カルボニル基、カルボ
    キシル基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ニトロ
    基、チオール基、チオエーテル基、チオエステル基、カ
    ルバメート基、スルホニル基、スルホキシ基、フルオロ
    基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基からなる群より
    選択される少なくとも1種の極性基が導入された、ポリ
    シラン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれ
    らの共重合体から選択されるポリマーと、金属酸化物、
    金属アルコキシド、金属水酸化物、金属キレート化合
    物、金属カルボン酸塩、金属ハロゲン化物および金属水
    素化物からなる群より選択される少なくとも1種とを含
    有してなり、請求項1乃至3いずれか記載のガラス複合
    材料の前駆体であることを特徴とするポリマー組成物。
  6. 【請求項6】 下記一般式(I)または(II) 【化1】 (上記式中、MはSi、GeおよびSnから選択される
    少なくとも1種の原子、R1 およびR2 は水素原子また
    は置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基および
    アラルキル基から選択され、同種でも異種でもよく、R
    1 およびR2 の炭素数は1〜15である。)で表される
    繰返し単位を有するポリマーと、金属酸化物、金属アル
    コキシド、金属水酸化物、金属キレート化合物、金属カ
    ルボン酸塩、金属ハロゲン化物および金属水素化物から
    なる群より選択される少なくとも1種とを含有すること
    を特徴とするポリマー組成物。
  7. 【請求項7】 下記一般式(I)または(II) 【化2】 (上記式中、MはSi、GeおよびSnから選択される
    少なくとも1種の原子、R1 およびR2 は水素原子また
    は置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基および
    アラルキル基から選択され、同種でも異種でもよく、R
    1 およびR2 の炭素数は1〜15である。)で表される
    繰返し単位を有し、請求項1乃至3いずれか記載のガラ
    ス複合材料の前駆体であることを特徴とするポリマー化
    合物。
  8. 【請求項8】 下記一般式(III)または(IV) 【化3】 (上記式中、MはSi、GeおよびSnから選択される
    少なくとも1種の原子、R11、R12、R13およびR15
    水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基、アリ
    ール基およびアラルキル基から選択され、同種でも異種
    でもよく、R14は置換または非置換のアルキル基、アリ
    ール基およびアラルキル基から選択され、R11〜R15
    炭素数は1〜15である。)で表される繰返し単位を有
    することを特徴とするポリマー化合物。
  9. 【請求項9】 ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリス
    タナンならびにこれらの共重合体から選択されるポリマ
    ー鎖と、有機または無機マトリックスとを有し、前記ポ
    リマー鎖がポリマー主鎖上のSi、GeまたはSnに直
    接結合した窒素原子を介して、前記有機または無機マト
    リックスで化学的に架橋されていることを特徴とする含
    窒素複合材料。
  10. 【請求項10】 1対の電極間に発光層を有する発光素
    子において、前記発光層が、ポリシラン、ポリゲルマン
    およびポリスタナンならびにこれらの共重合体から選択
    されるポリマー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の
    金属原子と結合してなる金属酸化物の網状構造とを有
    し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の網状構造からな
    るガラスマトリックスで化学的に3箇所以上架橋されて
    おり、M原子(ただし、MはSi、GeおよびSnから
    選択される少なくとも1種)の4本の結合手が全てM−
    M結合を形成するM原子がM原子組成比で10%未満で
    あるガラス複合材料を主体とすることを特徴とする発光
    素子。
  11. 【請求項11】 1対の電極間に発光層および電荷輸送
    層を有する発光素子において、前記電荷輸送層が、ポリ
    シラン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれ
    らの共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属原子が
    酸素原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸化
    物の網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化
    物の網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に3
    箇所以上架橋されてなるガラス複合材料を主体とするこ
    とを特徴とする発光素子。
  12. 【請求項12】 前記ガラス複合材料が、原子組成比で
    0.1%以上のC原子を含有することを特徴とする請求
    項10または11記載の発光素子。
  13. 【請求項13】 導電性支持体上に、電荷発生層と電荷
    輸送層とを有する電子写真感光体において、前記電荷輸
    送層が、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポリスタナン
    ならびにこれらの共重合体から選択されるポリマー鎖
    と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子と結合し
    てなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポリマー鎖
    が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマトリック
    スで化学的に3箇所以上架橋されてなるガラス複合材料
    を主体とすることを特徴とする電子写真感光体。
  14. 【請求項14】 非線形光学現象発生部と光導波部とを
    有する非線形光学素子において、少なくとも前記非線形
    光学現象発生部が、ポリシラン、ポリゲルマンおよびポ
    リスタナンならびにこれらの共重合体から選択されるポ
    リマー鎖と、金属原子が酸素原子を介して他の金属原子
    と結合してなる金属酸化物の網状構造とを有し、前記ポ
    リマー鎖が前記金属酸化物の網状構造からなるガラスマ
    トリックスで化学的に3箇所以上架橋されており、かつ
    Cu管球をX線源とするX線回折により2θ=20〜6
    0°の範囲にピークが観測されるシリコン結晶、ゲルマ
    ニウム結晶およびスズ結晶に起因するシグナルの面積が
    全シグナルの合計面積の1%以下であるガラス複合材料
    を主体とすることを特徴とする非線形光学素子。
  15. 【請求項15】 レーザー媒質と、このレーザー媒質を
    介して対向配置された1対のミラーからなる共振器と、
    前記レーザー媒質を励起するための励起手段とを有する
    レーザー素子において、前記レーザー媒質が、ポリシラ
    ン、ポリゲルマンおよびポリスタナンならびにこれらの
    共重合体から選択されるポリマー鎖と、金属原子が酸素
    原子を介して他の金属原子と結合してなる金属酸化物の
    網状構造とを有し、前記ポリマー鎖が前記金属酸化物の
    網状構造からなるガラスマトリックスで化学的に3箇所
    以上架橋されており、かつCu管球をX線源とするX線
    回折により2θ=20〜60°の範囲にピークが観測さ
    れるシリコン結晶、ゲルマニウム結晶およびスズ結晶に
    起因するシグナルの面積が全シグナルの合計面積の1%
    以下であるガラス複合材料を主体とすることを特徴とす
    るレーザー素子。
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