JPH11131127A - 電気炉スラグによる精練方法 - Google Patents
電気炉スラグによる精練方法Info
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- JPH11131127A JPH11131127A JP9290688A JP29068897A JPH11131127A JP H11131127 A JPH11131127 A JP H11131127A JP 9290688 A JP9290688 A JP 9290688A JP 29068897 A JP29068897 A JP 29068897A JP H11131127 A JPH11131127 A JP H11131127A
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 電気アーク炉において酸化クロムの還元,脱
硫等に有効なスラグの精錬能を維持しつつ、スラグ発生
量が少なくなるように可能な限り造滓材の添加量を節減
する。 【構成】 ステンレス鋼用の電気アーク炉に溶解原料及
び造滓剤を添加して溶融スラグを生成させ、ステンレス
鋼用溶銑を溶解する際、CaF2 の一部代替物質として
含B2 O3 物質を添加すると共に、スラグ予想量から必
要とされるCaF 2 の添加量を式(1)に従って削減す
る。含B2 O3 物質としては、コレマナイト,ウレキサ
イト,カーン石,硼砂,B2 O3 含有スラグ等が使用さ
れる。 0.5×WC ×WB ≦CaF2 削減量≦WC ×WB ・・
・・(1) ただし、 WC :含B2 O3 物質を添加しない時のスラ
グに対するCaF2 割合量(重量%) WB :スラグに対するB2 O3 の割合量(重量%)
硫等に有効なスラグの精錬能を維持しつつ、スラグ発生
量が少なくなるように可能な限り造滓材の添加量を節減
する。 【構成】 ステンレス鋼用の電気アーク炉に溶解原料及
び造滓剤を添加して溶融スラグを生成させ、ステンレス
鋼用溶銑を溶解する際、CaF2 の一部代替物質として
含B2 O3 物質を添加すると共に、スラグ予想量から必
要とされるCaF 2 の添加量を式(1)に従って削減す
る。含B2 O3 物質としては、コレマナイト,ウレキサ
イト,カーン石,硼砂,B2 O3 含有スラグ等が使用さ
れる。 0.5×WC ×WB ≦CaF2 削減量≦WC ×WB ・・
・・(1) ただし、 WC :含B2 O3 物質を添加しない時のスラ
グに対するCaF2 割合量(重量%) WB :スラグに対するB2 O3 の割合量(重量%)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼用溶銑を
溶製する電気アーク炉で生成するスラグを溶銑の精錬に
利用するステンレス鋼溶銑の精錬方法に関する。
溶製する電気アーク炉で生成するスラグを溶銑の精錬に
利用するステンレス鋼溶銑の精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気アーク炉を用いたステンレス鋼用溶
銑の溶製では、原料として各種スクラップが一般に用い
られている。そして、原料溶落ち後、溶製工程における
生産性向上,電力原単位の低減等を図るため、可能な限
り短時間で成分及び温度を調整し、出銑して次工程に搬
送している。そのため、炉内で生成した酸化物等のスラ
グが未反応で溶け残りや不均一等があると、精錬反応が
十分に進行しないことがある。ところで、近年では資源
の有効利用の観点から製鋼副産物等の酸化物原料を利用
した電気炉精錬が一部で実施されている。しかし、副産
物や酸化物原料の使用割合が増加するに従って、溶け残
りや不均一等の問題が一層顕在化する。
銑の溶製では、原料として各種スクラップが一般に用い
られている。そして、原料溶落ち後、溶製工程における
生産性向上,電力原単位の低減等を図るため、可能な限
り短時間で成分及び温度を調整し、出銑して次工程に搬
送している。そのため、炉内で生成した酸化物等のスラ
グが未反応で溶け残りや不均一等があると、精錬反応が
十分に進行しないことがある。ところで、近年では資源
の有効利用の観点から製鋼副産物等の酸化物原料を利用
した電気炉精錬が一部で実施されている。しかし、副産
物や酸化物原料の使用割合が増加するに従って、溶け残
りや不均一等の問題が一層顕在化する。
【0003】なかでも、スラグ中の酸化クロムは、スラ
グの組成条件によっては溶け難くなり、十分に還元され
ないまま系外に排出され易い。その結果、資源としての
クロムを損失していることになる。損失されたクロム
は、場合によっては選鉱等、スラグの再処理に多大の費
用をかけて回収される。また、副産物等を多量使用する
と、ステンレス鋼に混入するSの割合が必然的に多くな
る。そのため、過剰のCaOを投入し、溶解後の還元/
精錬期で脱硫反応を促進させることにより低S化してい
ることが現状である。しかし、CaOの過剰投入は、ス
ラグの塩基度(CaO/SiO2 )を高くし、スラグの
流動性を低下させる原因になる。
グの組成条件によっては溶け難くなり、十分に還元され
ないまま系外に排出され易い。その結果、資源としての
クロムを損失していることになる。損失されたクロム
は、場合によっては選鉱等、スラグの再処理に多大の費
用をかけて回収される。また、副産物等を多量使用する
と、ステンレス鋼に混入するSの割合が必然的に多くな
る。そのため、過剰のCaOを投入し、溶解後の還元/
精錬期で脱硫反応を促進させることにより低S化してい
ることが現状である。しかし、CaOの過剰投入は、ス
ラグの塩基度(CaO/SiO2 )を高くし、スラグの
流動性を低下させる原因になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】スラグの流動性は、ス
ラグの融点を下げるCaF2 を添加することにより確保
される。この方法では、原料溶落ち後、スラグ量又はC
aO投入量に応じてCaF2 を添加し、スラグを十分に
溶融状態にした上で出銑・出滓している。CaF 2 は、
たとえばスラグ量の10〜20%に当る量が添加されて
いる。しかし、スラグ量を増加させた精錬であるため、
本来メタル分溶解のために電力が投入される電気炉の電
力消費量をますます増加させることになる。また、同時
に発生するスラグの廃棄物としての処理費用を増加させ
ることにもなる。他方、酸化クロムの回収方法として
は、電気炉からの排滓前に1〜30重量%のアルミ灰及
び1〜20重量%のシリカ系物質を添加し、金属アルミ
により酸化クロムを還元回収することが特開平8−26
791号公報で紹介されている。しかし、還元された金
属クロムの回収に、スラグ処理工程で破砕磁選が余儀な
くされる。しかも、アルミ灰は、副産物とはいえど高価
なものであって、スラグ量の増加と相俟つて総合的にみ
て製造コストの上昇が避けられない。
ラグの融点を下げるCaF2 を添加することにより確保
される。この方法では、原料溶落ち後、スラグ量又はC
aO投入量に応じてCaF2 を添加し、スラグを十分に
溶融状態にした上で出銑・出滓している。CaF 2 は、
たとえばスラグ量の10〜20%に当る量が添加されて
いる。しかし、スラグ量を増加させた精錬であるため、
本来メタル分溶解のために電力が投入される電気炉の電
力消費量をますます増加させることになる。また、同時
に発生するスラグの廃棄物としての処理費用を増加させ
ることにもなる。他方、酸化クロムの回収方法として
は、電気炉からの排滓前に1〜30重量%のアルミ灰及
び1〜20重量%のシリカ系物質を添加し、金属アルミ
により酸化クロムを還元回収することが特開平8−26
791号公報で紹介されている。しかし、還元された金
属クロムの回収に、スラグ処理工程で破砕磁選が余儀な
くされる。しかも、アルミ灰は、副産物とはいえど高価
なものであって、スラグ量の増加と相俟つて総合的にみ
て製造コストの上昇が避けられない。
【0005】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、CaF2 の代替物質として含B2
O3 物質を使用することにより、電気アーク炉において
酸化クロムの還元,脱硫等に有効なスラグの精錬能を維
持しつつ、スラグ発生量が少なくなるように可能な限り
造滓材の添加量を節減することを目的とする。
出されたものであり、CaF2 の代替物質として含B2
O3 物質を使用することにより、電気アーク炉において
酸化クロムの還元,脱硫等に有効なスラグの精錬能を維
持しつつ、スラグ発生量が少なくなるように可能な限り
造滓材の添加量を節減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の精錬方法は、そ
の目的を達成するため、ステンレス鋼用の電気アーク炉
に溶解原料及び造滓剤を添加して溶融スラグを生成さ
せ、ステンレス鋼用溶銑を溶解する際、CaF2 の一部
代替物質として含B2 O3 物質を添加すると共に、スラ
グ予想量から必要とされるCaF2 の添加量を式(1)
に従って削減することを特徴とする。含B2 O3 物質と
しては、コレマナイト,ウレキサイト,カーン石,硼
砂,B2 O3 含有スラグ等が使用される。 0.5×WC ×WB ≦CaF2 削減量≦WC ×WB ・・・・(1) ただし、 WC :含B2 O3 物質を添加しない時のスラ
グに対するCaF2 割合量(重量%) WB :スラグに対するB2 O3 の割合量(重量%)
の目的を達成するため、ステンレス鋼用の電気アーク炉
に溶解原料及び造滓剤を添加して溶融スラグを生成さ
せ、ステンレス鋼用溶銑を溶解する際、CaF2 の一部
代替物質として含B2 O3 物質を添加すると共に、スラ
グ予想量から必要とされるCaF2 の添加量を式(1)
に従って削減することを特徴とする。含B2 O3 物質と
しては、コレマナイト,ウレキサイト,カーン石,硼
砂,B2 O3 含有スラグ等が使用される。 0.5×WC ×WB ≦CaF2 削減量≦WC ×WB ・・・・(1) ただし、 WC :含B2 O3 物質を添加しない時のスラ
グに対するCaF2 割合量(重量%) WB :スラグに対するB2 O3 の割合量(重量%)
【0007】
【実施の形態】電気アーク炉では、炭素又は黒鉛電極か
ら被加熱物に直接的に発生するアーク又は電極間に発生
するアークによって被加熱物が加熱・溶解する。本発明
で使用される電気アーク炉は、鉄,鋼,非鉄金属等の溶
解に使用されているアーク炉であり、交流式,直流式、
或いは単極式,多極式の何れをも使用できる。ステンレ
ス鋼を溶製する電気アーク炉では、各種の原料や副産物
が溶解されるため、生成するスラグは多成分系である。
スラグ成分の主なものとしてはCaO,SiO2 ,Ca
F2 等があり、その他にMgO,Al2 O3 ,Cr2 O
3 ,MnO等が含まれている。スラグ中の酸化クロム源
は、クロム鉱石,製鋼ダスト,熱延スケール,スラッジ
等の含クロム酸化物原料であり、電気炉操業において通
電開始前や通電中に投入される。
ら被加熱物に直接的に発生するアーク又は電極間に発生
するアークによって被加熱物が加熱・溶解する。本発明
で使用される電気アーク炉は、鉄,鋼,非鉄金属等の溶
解に使用されているアーク炉であり、交流式,直流式、
或いは単極式,多極式の何れをも使用できる。ステンレ
ス鋼を溶製する電気アーク炉では、各種の原料や副産物
が溶解されるため、生成するスラグは多成分系である。
スラグ成分の主なものとしてはCaO,SiO2 ,Ca
F2 等があり、その他にMgO,Al2 O3 ,Cr2 O
3 ,MnO等が含まれている。スラグ中の酸化クロム源
は、クロム鉱石,製鋼ダスト,熱延スケール,スラッジ
等の含クロム酸化物原料であり、電気炉操業において通
電開始前や通電中に投入される。
【0008】本発明に従った精錬法では、原料溶落ち後
のスラグ中酸化クロム濃度は通常数%になる。この酸化
クロムは、主として溶銑中のSiにより還元される。溶
銑Si源としては、原料のスクラップ,フェロアロイ中
のSi,Si合金等がある。場合によっては、酸化クロ
ムの還元に必要なSi量を確保するため、フェロシリコ
ン等の各種Si合金を添加することもある。スラグ中酸
化クロムを溶銑中Siで還元するためには、スラグとメ
タルとを十分に接触させ、クロムの還元反応を促進させ
ることが必要である。この点、電気炉に付設された各種
撹拌設備によってスラグ及びメタルを撹拌することが好
ましい。たとえば、電磁撹拌,ガスインジェクション等
が採用される。また、炉外の取鍋段階での撹拌も有効で
ある。
のスラグ中酸化クロム濃度は通常数%になる。この酸化
クロムは、主として溶銑中のSiにより還元される。溶
銑Si源としては、原料のスクラップ,フェロアロイ中
のSi,Si合金等がある。場合によっては、酸化クロ
ムの還元に必要なSi量を確保するため、フェロシリコ
ン等の各種Si合金を添加することもある。スラグ中酸
化クロムを溶銑中Siで還元するためには、スラグとメ
タルとを十分に接触させ、クロムの還元反応を促進させ
ることが必要である。この点、電気炉に付設された各種
撹拌設備によってスラグ及びメタルを撹拌することが好
ましい。たとえば、電磁撹拌,ガスインジェクション等
が採用される。また、炉外の取鍋段階での撹拌も有効で
ある。
【0009】メタル及びスラグを十分に撹拌しても、ス
ラグに流動性がないと期待する還元反応が進行しない。
すなわち、還元及び脱硫反応はスラグ/メタル間の界面
反応であり、反応効率を上げるためにはスラグの表面積
を大きくすることが重要である。具体的には、スラグの
流動性を向上させメタルとの界面積を大きくすることに
より、還元及び脱硫反応を促進させることが可能とな
る。スラグの流動性は、一般的に融点降下剤として働く
CaF2 の添加によって向上する。CaF2 添加による
十分な効果を得るためには、スラグ量の8〜25重量
%,望ましくは10〜20重量%に当るCaF2 の添加
量が妥当とされている。このCaF2 の添加量は、電気
炉に原料として装入した酸化物のうち難還元性の酸化
物,スクラップや合金等のメタル原料中の酸化性元素及
びCaO量等のスラグ成分となることが予想される酸化
物の総重量の計算値によって求められるスラグ予想量か
ら定められる。しかし、CaF2 の添加は、前述したよ
うにスラグ量の増加を招き、電気アーク炉の電力消費量
を増加させる原因となる。
ラグに流動性がないと期待する還元反応が進行しない。
すなわち、還元及び脱硫反応はスラグ/メタル間の界面
反応であり、反応効率を上げるためにはスラグの表面積
を大きくすることが重要である。具体的には、スラグの
流動性を向上させメタルとの界面積を大きくすることに
より、還元及び脱硫反応を促進させることが可能とな
る。スラグの流動性は、一般的に融点降下剤として働く
CaF2 の添加によって向上する。CaF2 添加による
十分な効果を得るためには、スラグ量の8〜25重量
%,望ましくは10〜20重量%に当るCaF2 の添加
量が妥当とされている。このCaF2 の添加量は、電気
炉に原料として装入した酸化物のうち難還元性の酸化
物,スクラップや合金等のメタル原料中の酸化性元素及
びCaO量等のスラグ成分となることが予想される酸化
物の総重量の計算値によって求められるスラグ予想量か
ら定められる。しかし、CaF2 の添加は、前述したよ
うにスラグ量の増加を招き、電気アーク炉の電力消費量
を増加させる原因となる。
【0010】そこで、本発明においては、CaF2 の添
加量を削減し、スラグ発生量及びその処理コストを低減
するために、CaF2 の代替物質として含B2 O3 物質
を用いている。含B2 O3 物質の添加量を多くするほど
CaF2 の添加量が削減できるが、B2 O3 の影響によ
って耐火物の溶損も大きくなる。したがって、B2 O 3
の最適添加量は、そのときの含B2 O3 物質,CaF
2 ,耐火物等のコスト,スラグ処理コスト等を勘案して
定められる。なお、前掲した式(1)における割合量W
C ,WB は、積極的に添加するCaF2 ,B2 O3 以外
に、すでに他の原料からスラグ中に混入する量も考慮に
入れた値であるが、以下の説明ではCaF2 及びB2 O
3 の添加量で説明する。含B2 O3 物質としては、コレ
マナイト,硼砂等のB含有物質を選鉱濃縮処理したもの
等が使用される。或いは、既存の市販品のように、人工
的に物性値を調整したB2 O3 含有スラグを作製し整粒
したものを使用することもできる。なかでも、原鉱石中
にNa2 Oを含むウレキサイト,カーン石等の含B2 O
3 物質は、Na2 Oが含B2 O3 物質の融点を下げ、添
加時にスラグ中へ迅速に溶解されることから好適な含B
2 O3 物質である。
加量を削減し、スラグ発生量及びその処理コストを低減
するために、CaF2 の代替物質として含B2 O3 物質
を用いている。含B2 O3 物質の添加量を多くするほど
CaF2 の添加量が削減できるが、B2 O3 の影響によ
って耐火物の溶損も大きくなる。したがって、B2 O 3
の最適添加量は、そのときの含B2 O3 物質,CaF
2 ,耐火物等のコスト,スラグ処理コスト等を勘案して
定められる。なお、前掲した式(1)における割合量W
C ,WB は、積極的に添加するCaF2 ,B2 O3 以外
に、すでに他の原料からスラグ中に混入する量も考慮に
入れた値であるが、以下の説明ではCaF2 及びB2 O
3 の添加量で説明する。含B2 O3 物質としては、コレ
マナイト,硼砂等のB含有物質を選鉱濃縮処理したもの
等が使用される。或いは、既存の市販品のように、人工
的に物性値を調整したB2 O3 含有スラグを作製し整粒
したものを使用することもできる。なかでも、原鉱石中
にNa2 Oを含むウレキサイト,カーン石等の含B2 O
3 物質は、Na2 Oが含B2 O3 物質の融点を下げ、添
加時にスラグ中へ迅速に溶解されることから好適な含B
2 O3 物質である。
【0011】含B2 O3 物質の投入には、最小単位に袋
に梱包して投入する方法,粉体専用シュータを用いて粉
粒状のままで添加する方法等が採用される。或いは、添
加時の均一溶解や撹拌効果を狙って、粉体吹込み装置を
用いたインジェクションも好ましい投入方法である。含
B2 O3 物質の添加量は、耐火物の溶損に及ぼす影響等
を種々検討した結果、0.5重量%以下にする必要があ
る。この値を上限とし、B2 O3 の添加量に応じてCa
F2 削減量を式(1)に従って定めることにより、精錬
上の悪影響をもたらすことなくCaF2 の添加量が削減
される。なお、0.5重量%以下のB 2 O3 添加量で
は、製品中へのBのピックアップは、品質に影響を及ぼ
さないレベル、すなわち僅か数ppm以下に過ぎない。 0.5×WC ×WB ≦CaF2 削減量≦WC ×WB ・・・・(1) ただし、 WC :B2 O3 を添加しない時のスラグに対
するCaF2 添加量(重量%) WB :スラグに対するB2 O3 の添加量(重量%)
に梱包して投入する方法,粉体専用シュータを用いて粉
粒状のままで添加する方法等が採用される。或いは、添
加時の均一溶解や撹拌効果を狙って、粉体吹込み装置を
用いたインジェクションも好ましい投入方法である。含
B2 O3 物質の添加量は、耐火物の溶損に及ぼす影響等
を種々検討した結果、0.5重量%以下にする必要があ
る。この値を上限とし、B2 O3 の添加量に応じてCa
F2 削減量を式(1)に従って定めることにより、精錬
上の悪影響をもたらすことなくCaF2 の添加量が削減
される。なお、0.5重量%以下のB 2 O3 添加量で
は、製品中へのBのピックアップは、品質に影響を及ぼ
さないレベル、すなわち僅か数ppm以下に過ぎない。 0.5×WC ×WB ≦CaF2 削減量≦WC ×WB ・・・・(1) ただし、 WC :B2 O3 を添加しない時のスラグに対
するCaF2 添加量(重量%) WB :スラグに対するB2 O3 の添加量(重量%)
【0012】B2 O3 がスラグの改質に有効であること
は従来から知られているが、B2 O 3 の精錬能について
はこれまでの文献で報告されていない。本発明者等は、
スラグの改質を狙って調査・研究する過程で、スラグ改
質剤として用いたB2 O3 がCaF2 と同様に精錬反応
を促進させる作用があることを見い出した。B2 O3が
精錬反応に有効な理由は、CaF2 のようにスラグの融
点を降下させるためか、或いはその他の理由によるもの
か明らかでないが、極微量のB2 O3 添加でスラグ改質
に有効な作用が現れ、CaF2 に比較して少量で精錬に
効果があることが判った。
は従来から知られているが、B2 O 3 の精錬能について
はこれまでの文献で報告されていない。本発明者等は、
スラグの改質を狙って調査・研究する過程で、スラグ改
質剤として用いたB2 O3 がCaF2 と同様に精錬反応
を促進させる作用があることを見い出した。B2 O3が
精錬反応に有効な理由は、CaF2 のようにスラグの融
点を降下させるためか、或いはその他の理由によるもの
か明らかでないが、極微量のB2 O3 添加でスラグ改質
に有効な作用が現れ、CaF2 に比較して少量で精錬に
効果があることが判った。
【0013】反面、B2 O3 は、コストが高いばかりで
なく、少量でも耐火物に大きな悪影響を及ぼす。そこ
で、耐火物に悪影響を及ぼさない上限0.5重量%以下
の添加量でB2 O3 を添加するとき、CaF2 の添加量
が削減でき、スラグ量を増加させることなく精錬反応が
促進されることを解明した。このように、B2 O3 添加
量を0.5重量%以下に維持し、且つB2 O3 添加量に
応じて本来の電気炉スラグの還元,脱硫作用を損なうこ
となくCaF2 添加量が削減される。また、適正範囲で
B2 O3 を添加するとスラグが塊成化し易くなり、粉状
のために処理が困難であったり、スラグの用途範囲を狭
めていた欠点が軽減される。具体的には、従来、製鋼ス
ラグの利用可能な分は道路路盤材等として消費されてい
るものの、利用できない分については埋立て等の廃棄処
分に付されている。この点、B2 O3 添加したスラグ
は、塊成化し易いことから廃棄処分される割合が減少
し、各種分野で有効利用される割合が高くなる。
なく、少量でも耐火物に大きな悪影響を及ぼす。そこ
で、耐火物に悪影響を及ぼさない上限0.5重量%以下
の添加量でB2 O3 を添加するとき、CaF2 の添加量
が削減でき、スラグ量を増加させることなく精錬反応が
促進されることを解明した。このように、B2 O3 添加
量を0.5重量%以下に維持し、且つB2 O3 添加量に
応じて本来の電気炉スラグの還元,脱硫作用を損なうこ
となくCaF2 添加量が削減される。また、適正範囲で
B2 O3 を添加するとスラグが塊成化し易くなり、粉状
のために処理が困難であったり、スラグの用途範囲を狭
めていた欠点が軽減される。具体的には、従来、製鋼ス
ラグの利用可能な分は道路路盤材等として消費されてい
るものの、利用できない分については埋立て等の廃棄処
分に付されている。この点、B2 O3 添加したスラグ
は、塊成化し易いことから廃棄処分される割合が減少
し、各種分野で有効利用される割合が高くなる。
【0014】
実施例1:(CaF2 削減に及ぼすB2 O3 添加の影響
についての基礎調査) 500kg規模のラボ実験により、酸化クロムの還元,
脱硫及び耐火物溶損に及ぼすCaF2 添加量の影響を調
査した。酸化クロムの還元は、出銑後のスラグ中酸化ク
ロム濃度を指標として評価した。また、出銑後の溶銑中
S濃度への影響を脱硫の指標として評価した。図1の調
査結果にみられるように、CaF2 添加量を8〜25重
量%にするとき、スラグ中酸化クロム濃度が安定して4
重量%以下に維持され、結果として脱硫反応も安定化
し、Sレベルが低い溶鋼が得られている。しかし、25
重量%を超えるCaF2 添加量では、増量に見合った脱
硫反応の促進がみられず、耐火物の溶損が著しくなって
いる。逆に8重量%未満のCaF2 添加量では、スラグ
の流動性が悪化し、スラグ中酸化クロムの十分な還元が
進行しなかった。
についての基礎調査) 500kg規模のラボ実験により、酸化クロムの還元,
脱硫及び耐火物溶損に及ぼすCaF2 添加量の影響を調
査した。酸化クロムの還元は、出銑後のスラグ中酸化ク
ロム濃度を指標として評価した。また、出銑後の溶銑中
S濃度への影響を脱硫の指標として評価した。図1の調
査結果にみられるように、CaF2 添加量を8〜25重
量%にするとき、スラグ中酸化クロム濃度が安定して4
重量%以下に維持され、結果として脱硫反応も安定化
し、Sレベルが低い溶鋼が得られている。しかし、25
重量%を超えるCaF2 添加量では、増量に見合った脱
硫反応の促進がみられず、耐火物の溶損が著しくなって
いる。逆に8重量%未満のCaF2 添加量では、スラグ
の流動性が悪化し、スラグ中酸化クロムの十分な還元が
進行しなかった。
【0015】そこで、同様なラボ実験によりCaF2 の
削減に及ぼすB2 O3 添加の影響を調査した。CaF2
の添加量Wc を8〜25重量%の範囲とし、各添加量W
c においてB2 O3 の添加量WB を変化させた。そし
て、CaF2 削減量=0.5×WC ×WB 〜WC ×WB
としたときの結果を調査した。なお、耐火物への影響
は、B2 O3 無添加の場合と比較した耐火物溶損速度比
で評価した。CaF2 添加量Wc を8重量%に設定した
ケースでは、図2にみられるようにB2 O3 添加量WB
が増加するほど、CaF2 削減量=0.5×WC ×WB
〜W C ×WB に従ってCaF2 添加量Wc が削減できる
ことが判る。WB =0.5重量%まではCaF2 を削減
しても、酸化クロムの還元及び脱硫反応にほとんど影響
を及ぼしていない。しかし、0.5重量%を超える多量
のB2 O3 を添加すると、耐火物の溶損が著しくなって
いる。
削減に及ぼすB2 O3 添加の影響を調査した。CaF2
の添加量Wc を8〜25重量%の範囲とし、各添加量W
c においてB2 O3 の添加量WB を変化させた。そし
て、CaF2 削減量=0.5×WC ×WB 〜WC ×WB
としたときの結果を調査した。なお、耐火物への影響
は、B2 O3 無添加の場合と比較した耐火物溶損速度比
で評価した。CaF2 添加量Wc を8重量%に設定した
ケースでは、図2にみられるようにB2 O3 添加量WB
が増加するほど、CaF2 削減量=0.5×WC ×WB
〜W C ×WB に従ってCaF2 添加量Wc が削減できる
ことが判る。WB =0.5重量%まではCaF2 を削減
しても、酸化クロムの還元及び脱硫反応にほとんど影響
を及ぼしていない。しかし、0.5重量%を超える多量
のB2 O3 を添加すると、耐火物の溶損が著しくなって
いる。
【0016】CaF2 添加量Wc を15重量%及び25
重量%に設定したケースについて、図3及び図4にそれ
ぞれ示す。これらのケースでは、B2 O3 添加量WB が
0.5重量%を超えても酸化クロムの還元及び脱硫反応
に若干の改善がみられたが、何れも耐火物の溶損が著し
く大きくなった。更に、各CaF2 添加量においてB2
O3 添加によるCaF2 の削減量についてみると、何れ
の場合においてもCaF2 削減量を0.5×WC ×WB
〜WC ×WB の範囲に設定するとき、耐火物の溶損が著
しく増加することなく、酸化クロムの還元及び溶銑脱硫
が効果的に進行していることが判る。すなわち、B2 O
3添加量がWB ≦0.5重量%の範囲では、耐火物が著
しく溶損されず、(Cr2O3 )及び[S]の上昇もな
かった。
重量%に設定したケースについて、図3及び図4にそれ
ぞれ示す。これらのケースでは、B2 O3 添加量WB が
0.5重量%を超えても酸化クロムの還元及び脱硫反応
に若干の改善がみられたが、何れも耐火物の溶損が著し
く大きくなった。更に、各CaF2 添加量においてB2
O3 添加によるCaF2 の削減量についてみると、何れ
の場合においてもCaF2 削減量を0.5×WC ×WB
〜WC ×WB の範囲に設定するとき、耐火物の溶損が著
しく増加することなく、酸化クロムの還元及び溶銑脱硫
が効果的に進行していることが判る。すなわち、B2 O
3添加量がWB ≦0.5重量%の範囲では、耐火物が著
しく溶損されず、(Cr2O3 )及び[S]の上昇もな
かった。
【0017】他方、CaF2 の削減量が0.5×WC ×
WB を下回ると、耐火物が著しく溶損された。これは、
含B2 O3 物質の添加に加えCaF2 の削減量が少ない
ことから、耐火物を溶損するスラグの作用が大きく働い
た結果と考えられる。逆にCaF2 の削減量がWC ×W
B を超えると、(Cr2 O3 )及び[S]が上昇する傾
向がみられた。これは、CaF2 削減量を補償するだけ
のスラグ改質剤である含B2 O3 物質が不足し、酸化ク
ロムの還元及び溶銑の脱硫が十分に進行しなかった結果
と考えられる。図2〜4では、CaF2 添加量レベルで
3ケースの例を示した。しかし、実際にCaF2 添加量
8〜25重量%の範囲で調査した結果、何れのケースで
も同様な傾向が見い出された。このような調査結果に基
づき、CaF2 添加量WC =8〜25重量%の範囲でB
2 O3 添加量及びCaF2 削減量の最適範囲を図5に示
した。図5から、B2 O3 添加量WB が過剰な場合には
コストデメリットが大きくなり、CaF2 削減量が多す
ぎると酸化クロムの還元及び溶銑の脱硫に悪影響が現
れ、CaF2 削減量が少ないと耐火物溶損に悪影響が現
れることが判る。
WB を下回ると、耐火物が著しく溶損された。これは、
含B2 O3 物質の添加に加えCaF2 の削減量が少ない
ことから、耐火物を溶損するスラグの作用が大きく働い
た結果と考えられる。逆にCaF2 の削減量がWC ×W
B を超えると、(Cr2 O3 )及び[S]が上昇する傾
向がみられた。これは、CaF2 削減量を補償するだけ
のスラグ改質剤である含B2 O3 物質が不足し、酸化ク
ロムの還元及び溶銑の脱硫が十分に進行しなかった結果
と考えられる。図2〜4では、CaF2 添加量レベルで
3ケースの例を示した。しかし、実際にCaF2 添加量
8〜25重量%の範囲で調査した結果、何れのケースで
も同様な傾向が見い出された。このような調査結果に基
づき、CaF2 添加量WC =8〜25重量%の範囲でB
2 O3 添加量及びCaF2 削減量の最適範囲を図5に示
した。図5から、B2 O3 添加量WB が過剰な場合には
コストデメリットが大きくなり、CaF2 削減量が多す
ぎると酸化クロムの還元及び溶銑の脱硫に悪影響が現
れ、CaF2 削減量が少ないと耐火物溶損に悪影響が現
れることが判る。
【0018】実施例2:(実機テスト) 40トン電気アーク炉に各種スクラップ,製鋼ダスト等
の含Cr酸化物原料を装入し溶解した。溶落ち後、スラ
グ予想量に対して本来ならCaF2 を9重量%(WC =
9.0)添加するところ、B2 O3 を添加量(WB )0
〜0.5重量%の範囲で添加し、CaF2 削減量=0.
5×WC ×WB 〜WC ×WB の式に従ってCaF2 の添
加量を削減した(チャージNo.101〜104)。な
お、含B2O3 物質としては、表1に示す成分を含む硼
砂(硼酸塩鉱物)を加工して調製した改質剤を用いた。
の含Cr酸化物原料を装入し溶解した。溶落ち後、スラ
グ予想量に対して本来ならCaF2 を9重量%(WC =
9.0)添加するところ、B2 O3 を添加量(WB )0
〜0.5重量%の範囲で添加し、CaF2 削減量=0.
5×WC ×WB 〜WC ×WB の式に従ってCaF2 の添
加量を削減した(チャージNo.101〜104)。な
お、含B2O3 物質としては、表1に示す成分を含む硼
砂(硼酸塩鉱物)を加工して調製した改質剤を用いた。
【0019】
【0020】また、同じ電気アーク炉において、スラグ
予想量に対して本来ならCaF2 を18重量%(WC =
18.0)及び23重量%(WC =23.0)添加する
ところ、B2 O3 を0〜0.5重量%の範囲で添加し、
CaF2 削減量=0.5×W C ×WB 〜WC ×WB の式
に従ってCaF2 の添加量を削減した(チャージNo.1
05〜108及びチャージNo.109〜112)。スラ
グが十分な溶融状態になった段階で、専用の取鍋に出銑
・出滓し、メタル及びスラグサンプルを採取し分析し
た。このような方法によって電気炉で溶解した結果及び
そのときのCaF2 削減量を表2に示す。表2には、C
aF2 を削減しない場合に比較して出銑後の(%Cr2
O3 )及び[%S]に悪影響がないことが示されてお
り、少ないCaF2 量でも酸化クロムの還元及び溶銑の
脱硫が進行していることが判る。また、排滓されたスラ
グが粉化する割合も少なくなっていた。
予想量に対して本来ならCaF2 を18重量%(WC =
18.0)及び23重量%(WC =23.0)添加する
ところ、B2 O3 を0〜0.5重量%の範囲で添加し、
CaF2 削減量=0.5×W C ×WB 〜WC ×WB の式
に従ってCaF2 の添加量を削減した(チャージNo.1
05〜108及びチャージNo.109〜112)。スラ
グが十分な溶融状態になった段階で、専用の取鍋に出銑
・出滓し、メタル及びスラグサンプルを採取し分析し
た。このような方法によって電気炉で溶解した結果及び
そのときのCaF2 削減量を表2に示す。表2には、C
aF2 を削減しない場合に比較して出銑後の(%Cr2
O3 )及び[%S]に悪影響がないことが示されてお
り、少ないCaF2 量でも酸化クロムの還元及び溶銑の
脱硫が進行していることが判る。また、排滓されたスラ
グが粉化する割合も少なくなっていた。
【0021】
【0022】比較例1:(B2 O3 の無添加又は過剰添
加及びCaF2 の過剰添加の影響) 実施例2と同様に40トン電気アーク炉を用い、各種ス
クラップ,製鋼ダスト等の含Cr酸化物原料を装入し溶
解した。先ず、溶落ち後、スラグ予想量に対して本来な
ら8重量%以上のCaF2 を添加するところ、5重量%
だけCaF2 を添加した。このとき、B2 O3 は添加し
なかった。(チャージNo.201〜203) 次いで、スラグ予想量に対して本来なら9.0〜23.
0重量%のCaF2 を添加するところ、0.5重量%を
超える量のB2 O3 を添加し、CaF2 削減量=0.5
×WC ×WB 〜WC ×WB の式に従ってCaF2 の添加
量を削減した(チャージNo.204〜209)。
加及びCaF2 の過剰添加の影響) 実施例2と同様に40トン電気アーク炉を用い、各種ス
クラップ,製鋼ダスト等の含Cr酸化物原料を装入し溶
解した。先ず、溶落ち後、スラグ予想量に対して本来な
ら8重量%以上のCaF2 を添加するところ、5重量%
だけCaF2 を添加した。このとき、B2 O3 は添加し
なかった。(チャージNo.201〜203) 次いで、スラグ予想量に対して本来なら9.0〜23.
0重量%のCaF2 を添加するところ、0.5重量%を
超える量のB2 O3 を添加し、CaF2 削減量=0.5
×WC ×WB 〜WC ×WB の式に従ってCaF2 の添加
量を削減した(チャージNo.204〜209)。
【0023】また、B2 O3 を添加することなく、スラ
グ予想量に対して本来なら25重量%までのCaF2 を
添加するところ、28重量%のCaF2 を添加した(チ
ャージNo.210,211)。スラグが十分な溶融状態
になった段階で、専用の取鍋に出銑・出滓し、メタル及
びスラグサンプルを採取し分析した。このような方法に
よって電気炉で溶解した結果及びそのときのCaF2 削
減量を表3に示す。表3から明らかなように、CaF2
量が不足するチャージNo.201〜203では、(%C
r2 O3 )が十分に低下せず、酸化クロムの還元が十分
でなかったことが判る。また、溶銑脱硫にも悪影響がみ
られ、[%S]が高めになっていた。その結果、後工程
で再度メタル中のCr濃度を調整し、また脱硫のために
CaOを添加する必要が生じ、製造コストの上昇を来し
た。
グ予想量に対して本来なら25重量%までのCaF2 を
添加するところ、28重量%のCaF2 を添加した(チ
ャージNo.210,211)。スラグが十分な溶融状態
になった段階で、専用の取鍋に出銑・出滓し、メタル及
びスラグサンプルを採取し分析した。このような方法に
よって電気炉で溶解した結果及びそのときのCaF2 削
減量を表3に示す。表3から明らかなように、CaF2
量が不足するチャージNo.201〜203では、(%C
r2 O3 )が十分に低下せず、酸化クロムの還元が十分
でなかったことが判る。また、溶銑脱硫にも悪影響がみ
られ、[%S]が高めになっていた。その結果、後工程
で再度メタル中のCr濃度を調整し、また脱硫のために
CaOを添加する必要が生じ、製造コストの上昇を来し
た。
【0024】過剰量のB2 O3 を添加したチャージNo.
204〜209では、CaF2 添加量が本発明で規定し
た範囲にあり、B2 O3 の添加量が0.7〜0.8重量
%とあるものの、(%Cr2 O3 )及び[%S]に特に
著しい改善効果が見られなかった。また、過剰量のB2
O3 添加で電気炉耐火物の溶損が大きくなることがラボ
実験で確認されているため、それ以上の添加は行わなか
った。過剰量のCaF2 を添加したチャージNo.21
0,211では、CaF2 添加量の増加に見合った(%
Cr2 O3 )及び[%S]の改善がみられず、CaF2
を多量に消費することから経済的にも不利であった。ま
た、この添加量では電気炉耐火物の溶損が大きくなるこ
とをラボ実験で確認しているので、実機テストでは2チ
ャージで中止した。
204〜209では、CaF2 添加量が本発明で規定し
た範囲にあり、B2 O3 の添加量が0.7〜0.8重量
%とあるものの、(%Cr2 O3 )及び[%S]に特に
著しい改善効果が見られなかった。また、過剰量のB2
O3 添加で電気炉耐火物の溶損が大きくなることがラボ
実験で確認されているため、それ以上の添加は行わなか
った。過剰量のCaF2 を添加したチャージNo.21
0,211では、CaF2 添加量の増加に見合った(%
Cr2 O3 )及び[%S]の改善がみられず、CaF2
を多量に消費することから経済的にも不利であった。ま
た、この添加量では電気炉耐火物の溶損が大きくなるこ
とをラボ実験で確認しているので、実機テストでは2チ
ャージで中止した。
【0025】
【0026】比較例2:(CaF2 削減量の定量的評
価) 実施例2と同様に40トン電気アーク炉を用い、各種ス
クラップ,製鋼ダスト等の含Cr酸化物原料を装入し溶
解した。装入原料が溶け落ちた後、スラグ予想量に対し
て9.0〜23.0重量%のCaF2 を添加し(WC =
9.0〜23.0)、0.5重量%以下の添加量WB で
B2 O3 を添加した。ただし、CaF2削減量は、0.
5×WC ×WB 未満又はWC ×WB を超える量に設定し
た。スラグが十分に溶融状態になった段階で、専用の取
鍋に出銑・出滓し。メタル及びスラグサンプルを採取し
分析した。分析結果を表4に示す。比較例2では、Ca
F2 添加量WC が9.0〜23.0重量%,B2 O3 添
加量WB が0.3〜0.4とそれぞれ本発明で規定した
範囲にある。しかし、チャージNo.212,214で
は、CaF2 削減量が0.5×WC ×WB を下回り、こ
の条件では耐火物溶損が大きくなることが予想されるた
め2チャージで中止した。また、CaF2 削減量がWC
×WB を超えるチャージNo.213,215では、(%
Cr2 O3 )及び[%S]の改善がみられず、酸化クロ
ムの還元及び溶銑の脱硫が不十分であった。
価) 実施例2と同様に40トン電気アーク炉を用い、各種ス
クラップ,製鋼ダスト等の含Cr酸化物原料を装入し溶
解した。装入原料が溶け落ちた後、スラグ予想量に対し
て9.0〜23.0重量%のCaF2 を添加し(WC =
9.0〜23.0)、0.5重量%以下の添加量WB で
B2 O3 を添加した。ただし、CaF2削減量は、0.
5×WC ×WB 未満又はWC ×WB を超える量に設定し
た。スラグが十分に溶融状態になった段階で、専用の取
鍋に出銑・出滓し。メタル及びスラグサンプルを採取し
分析した。分析結果を表4に示す。比較例2では、Ca
F2 添加量WC が9.0〜23.0重量%,B2 O3 添
加量WB が0.3〜0.4とそれぞれ本発明で規定した
範囲にある。しかし、チャージNo.212,214で
は、CaF2 削減量が0.5×WC ×WB を下回り、こ
の条件では耐火物溶損が大きくなることが予想されるた
め2チャージで中止した。また、CaF2 削減量がWC
×WB を超えるチャージNo.213,215では、(%
Cr2 O3 )及び[%S]の改善がみられず、酸化クロ
ムの還元及び溶銑の脱硫が不十分であった。
【0027】
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、CaF2 の代替物質としてB2 O 3 を使用すること
により、電気炉操業で従来から使用されてきた造滓剤の
使用量を低減できるため、製鋼副産物又は廃棄物として
発生していたスラグの量を減らすことができる。また、
B2 O3 添加によってスラグの改質もある程度図られる
ため、路盤材等としての用途も広がる。
は、CaF2 の代替物質としてB2 O 3 を使用すること
により、電気炉操業で従来から使用されてきた造滓剤の
使用量を低減できるため、製鋼副産物又は廃棄物として
発生していたスラグの量を減らすことができる。また、
B2 O3 添加によってスラグの改質もある程度図られる
ため、路盤材等としての用途も広がる。
【図1】 出銑後の(%Cr2 O3 ),[%S]及び耐
火物の溶損に及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラ
フ
火物の溶損に及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラ
フ
【図2】 CaF2 の添加量が8重量%のケースで、出
銑後の(%Cr2 O 3 ),[%S]及び耐火物の溶損に
及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラフ
銑後の(%Cr2 O 3 ),[%S]及び耐火物の溶損に
及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラフ
【図3】 CaF2 の添加量が15重量%のケースで、
出銑後の(%Cr2O3 ),[%S]及び耐火物の溶損
に及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラフ
出銑後の(%Cr2O3 ),[%S]及び耐火物の溶損
に及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラフ
【図4】 CaF2 の添加量が25重量%のケースで、
出銑後の(%Cr2O3 ),[%S]及び耐火物の溶損
に及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラフ
出銑後の(%Cr2O3 ),[%S]及び耐火物の溶損
に及ぼすCaF2 添加量の影響を表したグラフ
【図5】 B2 O3 添加量及びCaF2 削減量の最適範
囲を表すグラフ
囲を表すグラフ
Claims (2)
- 【請求項1】 ステンレス鋼用の電気アーク炉に溶解原
料及び造滓剤を添加して溶融スラグを生成させ、ステン
レス鋼用溶銑を溶解する際、CaF2 の一部代替物質と
して含B2 O3 物質を添加すると共に、スラグ予想量か
ら必要とされるCaF2 の添加量を式(1)に従って削
減することを特徴とする電気炉スラグによる精錬方法。 0.5×WC ×WB ≦CaF2 削減量≦WC ×WB ・・・・(1) ただし、 WC :含B2 O3 物質を添加しない時のスラ
グに対するCaF2 割合量(重量%) WB :スラグに対するB2 O3 の割合量(重量%) - 【請求項2】 含B2 O3 物質としてコレマナイト,ウ
レキサイト,カーン石,硼砂,B2 O3 含有スラグの1
種又は2種以上を添加する請求項1記載の電気炉スラグ
による精錬方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9290688A JPH11131127A (ja) | 1997-10-23 | 1997-10-23 | 電気炉スラグによる精練方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9290688A JPH11131127A (ja) | 1997-10-23 | 1997-10-23 | 電気炉スラグによる精練方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11131127A true JPH11131127A (ja) | 1999-05-18 |
Family
ID=17759225
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9290688A Withdrawn JPH11131127A (ja) | 1997-10-23 | 1997-10-23 | 電気炉スラグによる精練方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11131127A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100995391B1 (ko) | 2008-03-12 | 2010-11-19 | 오미혜 | 제철용 첨가제 조성물 |
JP2011084777A (ja) * | 2009-10-15 | 2011-04-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 電気炉を用いて行う製鋼精錬方法 |
-
1997
- 1997-10-23 JP JP9290688A patent/JPH11131127A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100995391B1 (ko) | 2008-03-12 | 2010-11-19 | 오미혜 | 제철용 첨가제 조성물 |
JP2011084777A (ja) * | 2009-10-15 | 2011-04-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 電気炉を用いて行う製鋼精錬方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050104 |