JP3462660B2 - 電気アーク炉スラグの粉化防止方法 - Google Patents
電気アーク炉スラグの粉化防止方法Info
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Description
ステンレス鋼溶銑を溶製する際に生成するスラグの粉化
防止に関する。
て各種のスクラップが用いられることが一般であるが、
これに加えて近年では製鋼ダストやスラッジあるいは鉱
石等の酸化物原料も多く使用される。電気アーク炉によ
ってステンレス溶銑を溶製する場合も、製鋼所内副産物
の再資源化と共に有用メタルの回収による原料原単位低
減のため、このような酸化物の使用が行われている。こ
のことは、溶解の際に生成するスラグ量の増加を来し、
溶解のための電力費の上昇を招いたり、スラグの成分調
整を困難にする。また、これらの原料を用いた操業にお
いても、原料溶落ち後、生産性向上や電力費低減のた
め、精錬及び成分・温度調整過程を可能な限り短時間で
終了し、出銑して次工程に搬送することが望まれる。こ
のため、炉内で生成したスラグもしくは酸化物成分には
溶け残って未反応であったり、不均一なままで十分に精
錬反応が行われていない場合がある。これらの精錬過程
においては、原料から混入するSに対処するため、脱硫
作用が重要であるが、このような事情からスラグの脱硫
能を確保するため、過剰のCaOを投入して対処するこ
とが行われている。その結果、スラグの量がますます増
加する上、その塩基度(CaO/SiO2 )は高くなる
傾向にあり、2.5を越えるような高塩基度となること
がしばしばである。また、普通鋼の分野においては、特
に還元性スラグはその冷却時に粉化しやすいことが言わ
れているが、ステンレス鋼の分野においても酸化物原料
の使用が増加するにつれ、有用成分の還元回収のため、
電気炉内の操業末期の雰囲気を還元性に保つことが必要
であり、このような事情からステンレス溶銑スラグは高
塩基度で還元性雰囲気の下で生成され、その粉化現象は
避けられない。このようなスラグは、通常スラグ中にロ
スしたメタルを回収したり、フラックスとして再利用す
るための処理工程に送られる。しかしながら、上記した
ようにこれらのスラグは粉化しやすく、処理中に風化崩
壊して、粉状スラグが多量に発生する。このため、取扱
いが困難であり、スラグ処理場などの作業環境を著しく
悪化させるものであり、粉状であるため道路用バラスや
建設用骨材などにも使えず、再資源化の途もないため、
その量が多いことと相俟つてその後の処分に莫大な費用
を投じている。
の主成分であるCaO及びSiO2が2CaO・SiO2
の結晶の形で存在し、その冷却時の結晶転移の際に大
きな体積変化によって、粉末状態にまで崩壊するためで
あるが、これに対して、ほう酸塩系安定化剤(改質剤)
をスラグに添加して、2CaO・SiO2 結晶構造を相
転移に際して大きな体積変化を伴わない型にして、スラ
グの粉化を防止することが提案されている(川崎製鉄技
報Vol.18、No.1(1986)、p.20−2
4、特開昭64−37444号公報、特開昭63−79
743号公報、特開平1−259114号公報、特開平
3−23243号公報)。しかしながら、高塩基度かつ
還元性のステンレス溶銑スラグに対しては、改質剤のB
2 O3 を多量に添加する必要があり、含B2 O3 は鉱物
資源として高価であるため、その使用量の増加は不経済
である。また、本発明者らは種々研究した結果、高塩基
度かつ還元性のステンレス溶銑スラグに対して、B2 O
3 の添加による粉化防止効果は認められるものの、スラ
グ中への均一な溶解分散作用が厳しく求められ、現実的
には、その添加条件を満たしてその効果を発揮すること
は困難であった。また、このようなスラグについて、塩
基度が高いほど添加による粉化防止効果は低いことが明
らかとなった。一方、このようなスラグの粉化現象は、
前記のようにスラグ中の2CaO・SiO2 結晶による
ものであるから、スラグ組成中のSiO2 成分の添加量
を増してやればよいが、SiO2 の添加により塩基度を
低下させることは、高融点のSiO2 原料の溶解に加熱
エネルギーを必要として不経済であるのみでなく、この
ような塩基度の低下はスラグの脱硫能を低下させること
となり、前記のような精錬条件において、十分な脱硫反
応を行うことは望めない。
問題を解消すべく案出されたものであり、電気アーク炉
におけるスラグの脱硫能を維持すると共に、スラグの粉
化を防止することを目的とする。また、使用するB2 O
3 の添加量を最小限として有効に作用させ、原料単位を
低下させることを目的とする。
方法は、その目的を達成するため、電気アーク炉で溶解
したステンレス鋼用溶銑及びスラグを取鍋に出滓・出銑
する際にスラグを塩基度1.4〜2.2に調整すると共
に、B2O3換算0.45重量%以下の割合で含B2O3物質
をスラグに添加し、スラグの酸化クロム濃度(CR%)
に応じて溶銑のSi濃度[Si]を[Si]=0.02・CR
%〜0.07・CR%の範囲に維持し、スラグから溶銑へ
のクロム回収に伴う溶銑中のSiの酸化によりスラグの
塩基度を低下させながら制御された酸素雰囲気下の取鍋
内でスラグ及び溶銑を攪拌することを特徴とする。
製する際に生成するスラグは、前記したように高塩基
度、還元性であるが、このような高塩基度スラグは脱硫
能は満足できてもそのまま出銑/除滓すると、その冷却
時に前記したような粉化現象が生じ、問題となる。塩基
度の粉化現象に及ぼす影響はこれまで種々研究されてい
るが、一般に塩基度が高くなるにつれて粉化現象が著し
くなる。一方で、塩基度が低下すると、肝心の脱硫能の
低下を来し、溶銑は使用に堪えないものとなる。本発明
者らは、これに対して出銑前の溶銑[Si]とスラグ塩
基度を調整した後、取鍋に出銑し、取鍋中で雰囲気中の
酸素を制御した条件下で浸漬ランスなどによりガス攪拌
を行うことにより、出銑前の上記スラグ塩基度を比較的
低くしても脱硫効果を十分に発揮できることを見い出し
た。
[Si]がスラグ中の酸化クロムを還元し、自らは酸化
されてSiO2 源となることから、最終過程の除滓時に
おけるスラグ塩基度は更に低下することとなる。また、
このことは、前述したようにスラグ塩基度が高い場合に
は粉化防止に十分な効果を発揮できないB2 O3 の安定
剤としての効果を増進することを意味する。したがっ
て、これらの効果が相俟つて、スラグの粉化防止に著し
い効果を発揮する。
酸素濃度が上昇すると攪拌中に[Si]が酸素によって
酸化消費され、スラグ中のCr2 O3 の還元反応に利用
される割合が低くなる。本発明者らの検討結果による
と、雰囲気の酸素濃度と還元反応速度は関連があり、酸
素濃度の上昇で還元反応速度が著しく低下することがわ
かっている。これは、目標還元率を得るためには、長時
間の攪拌が必要になって来ることを意味するが、長時間
の攪拌を行うと、溶銑の大幅な温度低下を来して、その
デメリットが生じてくる。また、酸化雰囲気での長時間
の攪拌によってスラグ中酸化物の還元反応以外に[S
i]が消費損失することは、Siコストの上昇を意味す
る。ここで、溶銑とスラグとを攪拌することによって、
その界面で脱硫反応が起きるが、この反応はスラグ中の
酸化クロムを主とする酸性成分の還元反応と関連して脱
硫反応は進行する。すなわち、反応系の酸素ポテンシャ
ルである酸化クロムを還元し、濃度を低下させることは
脱硫の上で重要である。したがって、先に述べたように
低酸素濃度の雰囲気下で攪拌することが効果的となる。
脱硫能を上げるための手段としては、CaOを増やし
て、塩基度そのものを上げるという方法もあるが、本発
明の目的に反することから、むしろ、塩基度は下げて
も、酸化クロム濃度を低下させた効果を発揮させ、目的
の脱硫を達成しようとする狙いである。クロム酸化物の
還元によるCr回収メリット、及び塩基度低下の粉化低
減効果と、他方、Si消費及び温度低下のデメリットを
総合的に検討して、最大限許容できる攪拌時間で目標の
クロム酸化物の還元を達成するに必要なSi効率(スラ
グ中酸化物の還元に使用されたSi量/総Si消費量)
が算出されるが、雰囲気の酸素濃度とクロム酸化物の還
元(攪拌後のスラグ中酸化クロム濃度)及びSi効率の
関係から、取鍋内の雰囲気中酸素濃度を10VOL.%以下
にすることが望ましい。
は、炭素または黒鉛電極を使用する鉄、鋼あるいは非鉄
金属の溶解用アーク炉でよく、交流、直流あるいは単極
式、多極式の形式を問わない。電気アーク炉においてス
テンレス鋼用溶銑を溶製する際に生成するスラグは、原
料、副原料に前述したように各種のスクラップを始め、
工場内で産出する各種の精錬ダストのような廃棄物をも
含む多種類のものを使用するため、その成分も多様であ
って、CaOを35〜56%、SiO2 を20〜40
%、CaF2 を2.0〜12%含み、その他、MgO、
Al2 O3 、Cr2 O3 、MnOなどを含んでいる。
石、製鋼ダスト、熱延スケール、スラッジなどが挙げら
れる。含クロム酸化物原料は、電気炉操業において通電
開始前や通電中に投入される。本発明においては、この
酸化クロムを[Si]の酸化剤として利用し、塩基度を
低下させると同時に、酸化クロムの還元により、クロム
回収のメリットも期待できる。Si源としては、原料の
スクラップ、フェロアロイ中のSiやSi合金などがあ
るが、調整用としてはフェロシリコンなどの各種Si合
金が適している。本発明では、出銑前のスラグ塩基度及
び溶銑[Si]について調整した後取鍋に出銑し、酸素
濃度を制御した雰囲気中で浸漬ランスによるガス攪拌を
行うことによって、効率的な酸化クロムの還元と同時に
塩基度の低下によるスラグの粉化量の低減が可能にな
る。酸素濃度を制御するために、取鍋には蓋を設置し、
攪拌開始時に、Arなどのシールガスを取鍋内に導入
し、エアーと置換しておいて、ガス攪拌を開始すること
が望ましい。また、シールガスを攪拌中も取鍋内に導入
し続けることによって、一層効率的に酸化クロムの還元
ができる。不活性ガスとしては、例えば窒素、アルゴン
などが使用できる。経済性の面では窒素を使用するとよ
いが、鋼種によっては窒素ピックアップが有害である場
合があり、そのような場合はアルゴンを使用する。ま
た、不活性ガスにH2 、CO2 等の還元性ガスを混合し
てもよい。不活性ガスは、浸漬ランスを用いてメタル浴
中に吹き込む方法が、吹き込む流量、浸漬深さによって
攪拌の強度を自由に設定できるため望ましい。ランスか
ら吹き込むガス流量としては、200〜1500NL/
分、ランスの浸漬深さとしては50〜200cmである
が、スラグ量(スラグ層厚み)、溶銑量、目標[S]な
どによって、最適な条件を設定する。また、ランス形
状、ノズル径、ノズル数を変更することによって、最適
なスラグ/メタル混合状態を得ることができる。その
他、鍋底部に設けたノズルやポーラスプラグからのガス
吹き込みや、機械的攪拌を行ってもよい。
[Si]及びスラグ塩基度の範囲、取鍋内攪拌の条件を
適正化することによってスラグ中の酸化クロムによる溶
銑Siの酸化によって、取鍋からの出銑前の塩基度は更
に低下し、粉化作用が軽減されたスラグとなる。このよ
うなスラグの条件とすることで、これにスラグ改質剤を
少量添加するだけでスラグの粉化防止が可能になる。す
なわち、スラグを塊状化するために、従来用いられてい
るようなB2 O3 を含む改質剤をスラグに添加する。高
価な改質剤を少量で効果的に作用させるためには、添加
方法が重要である。本発明では、出銑/出滓時の取鍋内
に、望ましくは出銑流に乗せて投入することが望まし
い。また、あらかじめ出銑/出滓前の電気炉内のスラグ
に投入してもよい。この時、改質剤をスラグ量に対して
B2 O3換算で、0.45%以下の割合で添加する。従
来、ステンレス鋼の還元性スラグに対しては少なくとも
0.5%以上は必要であったものが、本発明ではB2 O
3添加前後の各種条件を適正化し、出銑前スラグの塩基
度を取鍋攪拌によって更に低下することにより、また、
攪拌によるのスラグ中へのB2 O3 の均一分散により、
従来よりも少量の添加量でスラグの完全な塊状化が可能
になる。
には取鍋攪拌後の除滓時のスラグ鍋に投入する。溶銑が
存在しないため、改質剤の添加後、温度が低下しがちで
改質剤のスラグ中への均一な溶解が困難となる場合があ
る。そのような場合には、スラグ鍋への改質剤の投入と
同時に、速やかに攪拌を行うことが望ましいが、雰囲気
についての格別の制限はないから、攪拌は不活性ガスや
エアー、場合によっては酸素ガスなどを用いて行う。そ
の他適当な材質のパドルにより機械的に攪拌してもよ
い。含B2 O3 改質剤としては、コレマナイト、硼砂等
のB含有鉱物を適度に粉砕し、粒度調整したもの、また
は、これらを適度に選鉱濃縮処理を行ったものなどを用
いてもよい。あるいは、既存の市販品のように、人工的
に物性値を調整したB2 O3 含有スラグを作成し、粒度
調整したものを用いてもよい。また、その投入方法は、
最小単位に袋に梱包して投入するか、または、粉体専用
のシューターを用いて、そのまま粉粒状で投入してもよ
い。あるいは、添加時の均一溶解、攪拌効果を狙って粉
体吹き込み装置を用いて、インジェクションすることも
望ましい。
塩基度を調整した後、取鍋に出銑し、取鍋内の雰囲気酸
素濃度を10VOL.%以下に制御して浸漬ランスによるガ
ス攪拌を行った場合の、これらの出銑前の溶銑[Si]
とスラグ塩基度がスラグの粉化率及び溶銑[S]に及ぼ
す影響を図1、2に示す。 なお、粉化率の定義として
は、スラグ専用の鍋を転倒し、スラグを排出後、任意の
場所数カ所からスラグをサンプリングして、42メッシ
ュの篩を通して篩下の重量割合を粉化率とした。
すように、[Si]が0.02・CR%未満であると、
SiO2 源の不足により、塩基度が十分に低下せずにス
ラグの粉化が低減できない。一方、0.07・CR%を
越えると、SiO2 過剰となり塩基度が低下し過ぎて、
脱硫が不十分となるばかりか攪拌後に、例えば[S]の
目標値の130ppm以上に復硫することもある。した
がって、[Si]はスラグ中酸化クロム濃度に応じて、
上記の最適な範囲内とする。
4〜2.2の範囲とすることが最も効果的である。図2
にスラグ塩基度が粉化率と[S]に及ぼす影響を示した
が、塩基度1.4未満では粉化率は低くなるが、脱硫能
が著しく低下する。逆に塩基度が2.2を越えると、粉
化率が著しく増加し、いずれも望ましくないことが解
る。したがって、出銑/出滓前の溶銑中[Si]濃度
は、スラグ中Cr2 O3 濃度(CR%)に応じて、[S
i]=0.02・CR〜0.07CR%の範囲内とし、
スラグ塩基度(CaO/SiO2 )は1.4〜2.2と
することがステンレス溶銑スラグの脱硫能と粉化防止が
両立する条件であることが解る。ステンレス鋼溶銑を溶
製する場合、クロム源として酸化クロム原料を多量に使
用するほどコスト的に有利となるが、電力費や生産性、
スラグ原単位などの諸条件を考慮すると、最適な範囲が
存在する。出銑前のスラグ中酸化クロム濃度(CR%)
の最適範囲として、5〜20%が望ましく、これを酸化
クロムの使用量の目安とすることができる。以下に具体
的な実施例を示す。
製鋼ダストなどの含クロム酸化物原料を溶解して、ステ
ンレス鋼用溶銑を溶製した。出銑前の塩基度はCaOを
供給して1.4〜2.2の範囲内に調整し、Si源とし
てフェロシリコンを供給し、スラグ中のCr2 O3 濃度
に応じて、[Si]を調整した。例えば、各チャージに
ついて、CH.No.101ではCR%(Cr2 O3 )
=11%であったので、[Si]=0.03・CR(=
0.33%)に、CH.No.102では、CR%(C
r2 O3 )=13%であったので、[Si]=0.03
・CR(=0.39%)とした。メタル成分の調整、確
認後、出銑直前にサンプルを採取して分析した。次に、
専用の取鍋に出銑/出滓し、浸漬ランスによる10分間
のガス攪拌を行った。攪拌開始前に耐熱レンガを内張り
した専用の蓋を取鍋に設置し、蓋に設けた炉内へのガス
導入管を通じて、Arガスをシールガスとして流し込
み、取鍋内の雰囲気の酸素濃度を10VOL.%以下に低下
させてN2 ガスによる攪拌を行った。攪拌終了後、スラ
グ専用の取鍋に出銑し、溶銑は次工程の転炉へと搬送し
た。スラグ冷却後、スラグ処理場にて取鍋を転倒して固
化したスラグの塊状化の状況を確認した。なお、CH.
No.101〜103では、電気炉において、CaOと
同時に改質剤をB2 O3 換算でスラグ量に対して0.4
%添加した。また、CH.No.104〜106では出
銑/出滓中に、改質剤を専用のシューターを用いて取鍋
に連続的に投入した。用いた改質剤は硼砂を処理して製
造した含B2 O3 物質であり、その添加量はB2 O3 換
算でスラグ量に対して0.4%とした。また、CH.N
o.107〜108ではスラグ鍋にあらかじめ改質剤を
入れ置きしておいた。改質剤の添加量は、B2 O3 換算
でスラグ量に対して、0.3〜0.45%である。スラ
グ冷却後、スラグ処理場において取鍋を転倒してスラグ
を排出し、塊状化の状況を観察した。その結果を表1に
示すが、いずれも塊状化しており粉化を完全に防止でき
た。
スクラップ及び製鋼ダストなどのクロム酸化物原料を溶
解して、ステンレス鋼用溶銑を溶製した。スラグ中Cr
2 O3 濃度分析結果に応じて、[Si]をフェロシリコ
ンで調整した。ここで、CH.No.114〜117で
は、[Si]を0.02・CR(%Cr2 O3 )〜0.
07・CR(%Cr2 O3 )の範囲外になるようにし、
CH.No.118〜121では0.05・CR(%C
r2 O3 )程度とした。また、スラグ塩基度はCaOを
供給して調整したが、CH.No.114〜117では
1.8とし、CH.No.118〜121では、意識的
にCaOを過剰及び不足気味に供給して1.4〜2.2
の範囲外とした。メタル成分の調整、確認後、出銑前に
サンプルを採取して分析した。次に、実施例と同様に、
専用の取鍋に出銑/出滓し、浸漬ランスによる10分間
のガス攪拌を行った後、スラグ専用の取鍋に出銑し、溶
銑は次工程の転炉へと搬送した。スラグ冷却後、スラグ
処理場にて取鍋を転倒して固化したスラグの塊状化の状
況を調査した。なお、改質剤は、電気アーク炉において
CaOと同時に、B2 O3 換算でスラグ量に対して0.
4%添加した。結果を表1に示すが、[Si]を0.0
2・CR(%Cr2 O3 )未満としたチャージまたは塩
基度を2.3以上と高くしたチャージでは塊状化はでき
なかった。また、[Si]を0.07・CR(%Cr2
O3 )を越えたチャージ及び塩基度を1.4未満とした
チャージでは塊状化は可能であったが、攪拌後[S]が
目標値まで低下できなかった。
スクラップ及び酸化物原料を溶解して、ステンレス鋼用
溶銑を溶製した。ただし、実施例のような出銑前の塩基
度及び[Si]の調整は行わなかった。次に、粉化防止
のため改質剤を入れ置きした取鍋内に出銑/出滓した
が、用いた改質剤は実施例と同様の含B2 O3 物質であ
り、その添加量は、B2 O3 換算でスラグ量に対して
0.4〜0.7%とした。また、取鍋内での浸漬ランス
によるガス攪拌は行わなかった。スラグは専用の取鍋に
除滓し、冷却後スラグ処理場にて取鍋を転倒してスラグ
を排出し、塊状化の状況を調査した、その結果は表1に
示すように0.45%以下では確実に塊状化することは
できなかった。
ば、電気アーク炉溶銑スラグの脱硫能を低下させること
なく粉化防止してスラグ処理の作業環境を改善し、スラ
グ処理費を低減すると共にその資源化を図ることができ
る。また、クロム酸化物からのクロムの回収及び含B2
O3 改質剤の添加量を少なくすることができる。
[S]の関係
の関係
Claims (1)
- 【請求項1】 電気アーク炉で溶解したステンレス鋼用
溶銑及びスラグを取鍋に出滓 ・ 出銑する際にスラグを塩
基度1.4〜2.2に調整すると共に、B 2 O 3 換算0.4
5重量%以下の割合で含B 2 O 3 物質をスラグに添加し、
スラグの酸化クロム濃度(CR%)に応じて溶銑のSi
濃度[Si]を[Si]=0.02 ・ CR%〜0.07 ・ CR%
の範囲に維持し、スラグから溶銑へのクロム回収に伴う
溶銑中のSiの酸化によりスラグの塩基度を低下させな
がら制御された酸素雰囲気下の取鍋内でスラグ及び溶銑
を攪拌することを特徴とする電気アーク炉スラグの粉化
防止方法。
Priority Applications (1)
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JP09326896A JP3462660B2 (ja) | 1996-03-22 | 1996-03-22 | 電気アーク炉スラグの粉化防止方法 |
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Family Applications (1)
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-
1996
- 1996-03-22 JP JP09326896A patent/JP3462660B2/ja not_active Expired - Fee Related
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