JPH11129467A - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド

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JPH11129467A
JPH11129467A JP31651597A JP31651597A JPH11129467A JP H11129467 A JPH11129467 A JP H11129467A JP 31651597 A JP31651597 A JP 31651597A JP 31651597 A JP31651597 A JP 31651597A JP H11129467 A JPH11129467 A JP H11129467A
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祐一 関
Tomoaki Takahashi
智明 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力発生室のコンプライアンスを一定にする
こと。 【解決手段】 流路形成基板5の圧力発生室9に対向す
る領域にノズルプレート7側に空洞を確保する凹部13
を設けて弾性膜部12を形成してコンプライアンスを付
与する。各圧力発生室9の弾性膜部12が大きなコンプ
ライアンスを持つから、弾性板3によるコンプライアン
スが、圧力発生室全体のコンプライアンスに対して相対
的に低下する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、圧電振動子をア
クチュエータとして弾性変形可能な圧力発生室の容積を
膨張、収縮させてノズル開口からインク滴を吐出させる
インクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】記録ヘッドの記録密度の向上を図るため
にノズル開口列のピッチが小さくなる傾向にあり、この
ためシリコン単結晶のウエハーを異方性エッチングし、
これに他の方法で製作されたノズルプレートや弾性板を
接着剤で固定して流路ユニットを構成し、これに圧電振
動子の変位を伝達して圧力発生室に圧力を発生させ、こ
の圧力によりインク滴をノズル開口から吐出させるよう
に構成されている。
【0003】圧力発生室の配列密度が大きくなると、圧
力発生室の幅が極めて小さくなるため、圧力発生室の長
手方向全体を効率的に変形させる必要上、弾性変形可能
な板材に圧力発生室の長手方向に延びる凸部、いわゆる
アイランド部をエッチング等により形成し、このアイラ
ンド部の剛性により圧電振動子の変位を弾性板に伝達し
ている。このため、アイランド部は、圧力発生室の容積
を効率的に変化させるために或程度の剛性を必要とする
ため、通常、不錆鋼等の金属材料により構成されてい
る。
【0004】しかしながら、金属材料のエッチングは、
レジストによりパターニングして等方性エッチングが施
されるため、エッチングに形成される対象物の絶対精度
は、プラスマイナス15μm程度であるため、圧力発生
室のサイズが小さくなるとダイヤフラム部の相対的精度
が低下する。このため、各圧力発生室のコンプライアン
スに大きなばらつきが生じて、これに支配されるヘルム
ホルツ共振周波数が一定せず、インク滴吐出時のメニス
カスの位置がばらつきいて印字品質の低下を招くという
問題がある。本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであって,その目的とするところは圧力発生室のコ
ンプライアンスを可及的に均一化してインク滴吐出特性
を均一にすることができるインクジェット式記録ヘッド
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような問題を解消す
るために本発明においては、リザーバ、インク供給口、
及び圧力発生室を区画する流路形成基板と、該流路形成
基板の一方の面を封止して圧電振動子の変位を受ける弾
性板と、前記圧力発生室に連通するノズル開口を備え、
前記流路形成基板の他方の面を封止するノズルプレート
とからなるインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記
圧力発生室にノズルプレート側を空洞とする弾性膜部を
形成するようにした。
【0006】
【作用】各圧力発生室の弾性膜部が大きなコンプライア
ンスを持つから、弾性板によるコンプライアンスが圧力
発生室全体のコンプライアンスに占める割合が相対的に
低下し、ヘルムホルツ共振周波数の変動率を抑えること
ができる。
【0007】
【発明の実施の態様】そこで以下に本発明の詳細を図示
した実施例に基づいて説明する。図1は、本発明の一実
施例を示すものであって、軸方向に伸縮する圧電振動子
1は、その先端を流路ユニット2を構成する弾性板3に
当接した状態でヘッドホルダ4に固定されている。この
流路ユニット2は、圧電振動子1に当接するアイランド
部3aと、弾性変形可能なダイヤフラム部3bが形成さ
れた弾性板3と、後述する流路形成基板5と、ノズル開
口6を備えたノズルプレート7とを積層して構成されて
いる。
【0008】流路形成基板5は、貫通孔として形成され
るリザーバ8と、圧電振動子側に凹部として形成された
圧力発生室9と、圧力発生室9に連通する凹部として形
成されたインク供給口10と、ノズル開口6に対向する
貫通孔からなるノズル連通孔11と、圧力発生室9に対
向する位置にインク滴吐出時の圧力により弾性変形可能
な弾性膜部12を形成する、ノズルプレート側が開口す
る凹部13を設けて構成されている。
【0009】この実施例において、圧電振動子1が収縮
して圧力発生室9が膨張すると、リザーバ8のインクが
インク供給口10から圧力発生室9に流れ込み圧力発生
室9にインクが供給される。
【0010】圧電振動子1が伸長してアイランド部3a
がノズルプレート側に押圧されると、圧力発生室9の容
積が縮小してインクが加圧され、ノズル開口6からイン
ク滴が吐出する。
【0011】インク滴吐出後、ノズル開口9のメニスカ
スは、圧力発生室9のコンプライアンス等の要因で支配
されるヘルムホルツ共振周波数fにより振動を開始す
る。
【0012】ところで、インクジェット式記録ヘッドの
ヘルムホルツ共振振動の周波数fは、周知のように圧力
発生室9のインクの圧縮性に起因する流体コンプライア
ンスをCi、また圧力発生室9を形成している弾性板
3、ノズルプレート7等の材料自体による剛性コンプラ
イアンスをCv、ノズル開口6のイナータンスをMn、
インク供給口4のイナータンスをMsとすると、 f=1/2π×√{(Mn+Ms)/(Mn×Ms)(Ci+C
v)} により表される。また、メニスカスのコンプライアンス
をCnとすると、メニスカスの固有振動周期Tmは次式
で示される。 Tm=2π×√{(Mn+Ms)Cn} また、圧力発生室9の体積をV、インクの密度をρ、イ
ンク中での音速をcとすると、流体コンプライアンスC
iは次式で示される。 Ci=V/ρc2 さらに圧力発生室9の剛性コンプライアンスCvは、圧
力発生室9に単位圧力を印加したときの圧力発生室2の
静的な変形率に一致する。
【0013】なお、弾性膜部12の変形スパンは、弾性
板3のダイヤフラム部3bの変位スパンに比較して可及
的に大きく構成されるため、弾性膜部12の形成誤差に
起因するコンプライアンスのばらつきは小さく抑えられ
ている。
【0014】いうまでもなく、弾性膜部12によるコン
プライアンスは、弾性板3のダイヤフラム部3bによる
コンプライアンスよりも大きいから、アイランド部3a
の形成誤差による弾性板3のコンプライアンスのばらつ
きが相対的に小さくなり、ヘルムホルツ共振周波数fが
一定となる。
【0015】このため、総ての圧力発生室2のメニスカ
スの振動位相が一致することになり、インク滴のインク
量や飛行速度を一定とすることができる。
【0016】図2は、本発明の他の実施例を示すもので
あって、流路形成基板20は、流路形成基板として必要
な厚みのほぼ1/2程度の厚みの第1部材21と、第2
部材22と、これに弾性膜23を介装し、第2部材22
の凹部24を弾性膜23により封止することで、弾性膜
部25が形成されている。
【0017】図3は、上述の流路形成基板20の一実施
例を示すものであって、第1部材21は、シリコン単結
晶基板を異方性エッチングすることにより、圧力発生室
9及びリザーバ8、及び圧力発生室9とリザーバ8を接
続するインク供給口10の形状を備えた貫通孔26、2
728を形成して構成されている。
【0018】また第2部材22は、シリコン単結晶基板
を異方性エッチングすることにより、ノズル連通孔1
1、凹部24、及びリザーバ8の形状に一致する貫通孔
29、30、31を、さらに、弾性膜23は、ノズル連
通孔11、及びリザーバ8の形状に一致する貫通孔3
2、33を形成して構成されている。
【0019】なお、弾性膜部25は、弾性膜23を介し
て一方の面が圧力発生室9のインクに、他方の面が凹部
24の空気に接しているため、弾性膜23がインクを構
成する溶媒の蒸気や空気に対して透過性を有する場合に
は、凹部24内の圧力が変化し、これに起因して弾性膜
部25のコンプライアンスも変化することになる。この
ため、弾性膜23は、不錆鋼等の耐インク性を備えた金
属や、ポリイミド等の高分子材料に遮気用の金属膜を形
成した材料により構成するのが望ましい。
【0020】この実施例によれば、弾性膜部を第2部材
22に貫通孔30を形成し、この貫通孔30を弾性膜2
3により封止することにより構成できるため、エッチン
グ量の管理が比較的困難なハーフエッチング処理が不要
で、かつエッチング時の膜厚の管理が不要となって、高
い精度がコンプライアンスを付与することができる。
【0021】また、金属等の等方性エッチングに比較し
てエッチング精度が高いシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを使用することができる。
【0022】なお、上述の実施例においては流路形成基
板をシリコン単結晶基板を異方性エッチングして構成し
ているが、感光性ガラスに所要のパターンを露光して、
エッチングしても同等の精度を備えた流路形成基板を構
成することができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
リザーバ、インク供給口、及び圧力発生室を区画する流
路形成基板と、流路形成基板の一方の面を封止して圧電
振動子の変位を受ける弾性板と、圧力発生室に連通する
ノズル開口を備え、流路形成基板の他方の面を封止する
ノズルプレートとからなるインクジェット式記録ヘッド
において、圧力発生室にノズルプレート側を空洞とする
弾性膜部を形成したので、各圧力発生室の弾性膜部が大
きなコンプライアンスを付与でき、弾性板によるコンプ
ライアンスの圧力発生室全体のコンプライアンスに占め
る割合が低下してヘルムホルツ共振周波数の変動率を抑
えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録ヘッドの一実施
例を、圧力発生室の中心線での断面構造を示す図であ
る。
【図2】本発明の他の実施例を、圧力発生室の中心線で
の断面構造を示す図である。
【図3】同上記録ヘッドの流路形成基板の一実施例を示
す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 圧電振動子 2 流路ユニット 3 弾性板 4 ヘッドホルダ 5 流路形成基板 7 ノズルプレート 8 リザーバ 9 圧力発生室 10 インク供給口 11 ノズル連通孔 12 弾性膜部 13 凹部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リザーバ、インク供給口、及び圧力発生
    室を区画する流路形成基板と、該流路形成基板の一方の
    面を封止して圧電振動子の変位を受ける弾性板と、前記
    圧力発生室に連通するノズル開口を備え、前記流路形成
    基板の他方の面を封止するノズルプレートとからなるイ
    ンクジェット式記録ヘッドにおいて、 前記圧力発生室にノズルプレート側を空洞とする弾性膜
    部が形成されているインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記弾性膜部が、前記流路形成基板の前
    記ノズルプレート側に凹部を形成することにより構成さ
    れている請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記流路形成基板が、シリコン単結晶基
    板を異方性エッチングすることにより構成されている請
    求項1に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記流路形成基板が、感光性ガラスをエ
    ッチングして構成されている請求項1に記載のインクジ
    ェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記流路形成基板が、第1部材、第2部
    材、及び弾性膜を積層して構成され、前記弾性膜部が前
    記ノズルプレート側に位置する第2部材に貫通孔を形成
    することにより構成されている請求項1に記載のインク
    ジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 第1部材、及び第2部材が、シリコン単
    結晶基板を異方性エッチングすることにより構成されて
    いる請求項5に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 第1部材、及び第2部材が、感光性ガラ
    スをエッチングすることにより構成されている請求項5
    に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記弾性膜が、金属により構成されてい
    る請求項5に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記弾性膜が、高分子膜と金属薄膜との
    積層により構成されている請求項5に記載のインクジェ
    ット式記録ヘッド。
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JP2009234143A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Brother Ind Ltd 液体移送装置

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JP2009234143A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Brother Ind Ltd 液体移送装置
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