JPH11124350A - 光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents
光学活性アルコールの製造方法Info
- Publication number
- JPH11124350A JPH11124350A JP9288275A JP28827597A JPH11124350A JP H11124350 A JPH11124350 A JP H11124350A JP 9288275 A JP9288275 A JP 9288275A JP 28827597 A JP28827597 A JP 28827597A JP H11124350 A JPH11124350 A JP H11124350A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- reaction
- alcohol
- optically active
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 工業製造において実施可能な濃度条件でかつ
高い反応収率、高い光学収率で光学活性アルコールを製
造する方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I) (式中、R1 ,R2 は、互いに異なって、置換基を有し
ていてもよい芳香族炭化水素基、飽和あるいは不飽和の
脂肪族炭化水素基、環式脂肪族炭化水素基または複素環
基を表す。或いは、R1 とR2 が結合して環を形成して
もよい。)で示されるケトン類を、遷移金属錯体触媒の
存在下、アルコールを水素供与体とする水素移動型不斉
還元反応により還元する際、水素供与体のアルコールか
ら生成するカルボニル化合物を除去しながら反応を行う
ことを特徴とする下記一般式(II) (式中、R1 及びR2 は一般式(I)と同じ意義を有
す。)で示される光学活性アルコールの製造方法。
高い反応収率、高い光学収率で光学活性アルコールを製
造する方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I) (式中、R1 ,R2 は、互いに異なって、置換基を有し
ていてもよい芳香族炭化水素基、飽和あるいは不飽和の
脂肪族炭化水素基、環式脂肪族炭化水素基または複素環
基を表す。或いは、R1 とR2 が結合して環を形成して
もよい。)で示されるケトン類を、遷移金属錯体触媒の
存在下、アルコールを水素供与体とする水素移動型不斉
還元反応により還元する際、水素供与体のアルコールか
ら生成するカルボニル化合物を除去しながら反応を行う
ことを特徴とする下記一般式(II) (式中、R1 及びR2 は一般式(I)と同じ意義を有
す。)で示される光学活性アルコールの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性アルコー
ルの製造方法に関する。更に詳しくは、医薬、農薬の合
成中間体として有用な光学活性α−メチルベンジルアル
コール類の合成に好適な製造方法に関する。
ルの製造方法に関する。更に詳しくは、医薬、農薬の合
成中間体として有用な光学活性α−メチルベンジルアル
コール類の合成に好適な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性アルコールは、医薬、農薬の中
間体として重要な化合物であり、その有効な合成法の一
つとして、ケトンを基質とする不斉還元法が知られてい
る。この様な方法としては、従来より、1)不斉オキサ
アザボロリジンを用いたケトン類の不斉ハイドライド還
元による方法(J.Am.Chem.Soc.198
7,109,p5551)、2)高圧水素によるケトン
類の不斉接触還元による方法(J.Am.Chem.S
oc.1995,117,2675)、3)アルコール
を水素供与体とする水素移動型不斉還元反応による方法
(WO97/20789号公報)等が知られている。
間体として重要な化合物であり、その有効な合成法の一
つとして、ケトンを基質とする不斉還元法が知られてい
る。この様な方法としては、従来より、1)不斉オキサ
アザボロリジンを用いたケトン類の不斉ハイドライド還
元による方法(J.Am.Chem.Soc.198
7,109,p5551)、2)高圧水素によるケトン
類の不斉接触還元による方法(J.Am.Chem.S
oc.1995,117,2675)、3)アルコール
を水素供与体とする水素移動型不斉還元反応による方法
(WO97/20789号公報)等が知られている。
【0003】これらの方法のうち、1)不斉ハイドライ
ド還元による方法は触媒活性が低く、また危険なハイド
ライド試薬を用いている。2)高圧水素を用いる方法は
耐圧装置や特殊材質が必要となり、また水素の爆発危険
性がある。従って、これらの方法はいずれも工業的に採
用し難い。近年開発された3)水素移動型不斉還元反応
(J.Am.Chem.Soc.1995,117,p
7562)は、イソプロパノール等の水素供与性化合物
を水素源とすることから、上記方法に比べ安全で優れた
方法といえる。
ド還元による方法は触媒活性が低く、また危険なハイド
ライド試薬を用いている。2)高圧水素を用いる方法は
耐圧装置や特殊材質が必要となり、また水素の爆発危険
性がある。従って、これらの方法はいずれも工業的に採
用し難い。近年開発された3)水素移動型不斉還元反応
(J.Am.Chem.Soc.1995,117,p
7562)は、イソプロパノール等の水素供与性化合物
を水素源とすることから、上記方法に比べ安全で優れた
方法といえる。
【0004】しかしながら水素移動型不斉還元反応は、
一般に低濃度で行なわれており、例えば前出のJ.A
m.Chem.Soc.1995,117,p7562
においては反応濃度として0.1モル/Lの低濃度で実
施することが転化率を上げるための必要条件として開示
されており、このため製造時の釜効率が著しく低いとい
う欠点を有している。さらにその場合の収率も90%程
度であり、得られた中間体を未精製で他の工程に用いる
場合には未反応の原料ケトンが悪影響を及ぼす場合があ
った。光学収率の点でも改善が必要であり、総じて反応
収率、光学収率に関してもより高い成績が得られる製造
方法が求められていた。
一般に低濃度で行なわれており、例えば前出のJ.A
m.Chem.Soc.1995,117,p7562
においては反応濃度として0.1モル/Lの低濃度で実
施することが転化率を上げるための必要条件として開示
されており、このため製造時の釜効率が著しく低いとい
う欠点を有している。さらにその場合の収率も90%程
度であり、得られた中間体を未精製で他の工程に用いる
場合には未反応の原料ケトンが悪影響を及ぼす場合があ
った。光学収率の点でも改善が必要であり、総じて反応
収率、光学収率に関してもより高い成績が得られる製造
方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情を
鑑みてなされたものであって、工業的製造において実施
可能な濃度条件でかつ高い反応収率、高い光学収率が得
られる光学活性アルコールの製造方法を提供することを
課題とする。
鑑みてなされたものであって、工業的製造において実施
可能な濃度条件でかつ高い反応収率、高い光学収率が得
られる光学活性アルコールの製造方法を提供することを
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、水素移動型不斉還
元反応において水素供与体のアルコールから生成するカ
ルボニル化合物を除去しながら反応を行うことにより、
反応収率のみならず光学純度も向上することを見出し、
本発明を完成させた。すなわち本発明の要旨は、下記一
般式(I)
を解決するために鋭意検討した結果、水素移動型不斉還
元反応において水素供与体のアルコールから生成するカ
ルボニル化合物を除去しながら反応を行うことにより、
反応収率のみならず光学純度も向上することを見出し、
本発明を完成させた。すなわち本発明の要旨は、下記一
般式(I)
【0007】
【化3】
【0008】(式中、R1 ,R2 は、互いに異なって、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、飽和ある
いは不飽和の脂肪族炭化水素基、環式脂肪族炭化水素基
または複素環基を表す。或いは、R1 とR2 が結合して
環を形成してもよい。)で示されるケトン類を、遷移金
属錯体触媒の存在下、アルコールを水素供与体とする水
素移動型不斉還元反応により還元する際、水素供与体の
アルコールから生成するカルボニル化合物を除去しなが
ら反応を行うことを特徴とする下記一般式(II)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、飽和ある
いは不飽和の脂肪族炭化水素基、環式脂肪族炭化水素基
または複素環基を表す。或いは、R1 とR2 が結合して
環を形成してもよい。)で示されるケトン類を、遷移金
属錯体触媒の存在下、アルコールを水素供与体とする水
素移動型不斉還元反応により還元する際、水素供与体の
アルコールから生成するカルボニル化合物を除去しなが
ら反応を行うことを特徴とする下記一般式(II)
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1 及びR2 は一般式(I)と同
じ意義を有す。)で示される光学活性アルコールの製造
方法に存する。
じ意義を有す。)で示される光学活性アルコールの製造
方法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。本発明方法で使用される原料のケトンは前記一般式
(I)で表される。一般式(I)において、R1 ,R2
は、単環または多環の芳香族炭化水素基、直鎖または分
岐のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基等の
脂肪族炭化水素基、窒素、酸素、硫黄等の原子を含有す
る複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有してい
てもよい。但し、R1 とR2 は同じではない。
る。本発明方法で使用される原料のケトンは前記一般式
(I)で表される。一般式(I)において、R1 ,R2
は、単環または多環の芳香族炭化水素基、直鎖または分
岐のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基等の
脂肪族炭化水素基、窒素、酸素、硫黄等の原子を含有す
る複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有してい
てもよい。但し、R1 とR2 は同じではない。
【0012】特に本発明方法の適用性が高いケトンとし
ては、一般式(I)において、R1及びR2 の何れか一
方が、C1 −C4 のアルキル基であり、他方が、XnA
r−基(式中、Arは芳香族炭化水素基又は複素環基を
示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、C1 −C4 のアル
キル基、C1 −C4 のアルコキシ基、C1 −C4 のハロ
アルキル基、C1 −C4 のハロアルコキシ基、C1 −C
4 のアルキルチオ基、C2 −C6 のアルキニルオキシ
基、シアノ基、ニトロ基又はアリール基を表し、nは1
−3の整数を表す。nが2又は3の時、Xは同じでも異
なっていても良く、また隣接する2つのXが一緒になっ
てArと縮合環を形成してもよい。)で表されるケトン
である。具体的にはArで示される芳香族炭化水素基と
してはフェニル基、ナフチル基が、また、複素環基とし
ては、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基等が挙げ
られる。Xで示されるハロゲン原子としては塩素原子、
臭素原子、フッ素原子等;C1 −C4 のアルキル基ある
いはアルコキシ基としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチ
ル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基
及びこれに対応するアルコキシ基等;C1 −C4 のハロ
アルキル基、ハロアルコキシ基としてはクロロメチル
基、トリフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、ペン
タフルオロエチル基等のハロアルキル基及びこれに対応
するアルコキシ基等;C1 −C4 のアルキルチオ基とし
ては前述のアルキル基に対応するアルキルチオ基が例示
される。また、アルキニルオキシ基としてはプロパルギ
ルオキシ基、ブチニルオキシ基等が例示される。
ては、一般式(I)において、R1及びR2 の何れか一
方が、C1 −C4 のアルキル基であり、他方が、XnA
r−基(式中、Arは芳香族炭化水素基又は複素環基を
示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、C1 −C4 のアル
キル基、C1 −C4 のアルコキシ基、C1 −C4 のハロ
アルキル基、C1 −C4 のハロアルコキシ基、C1 −C
4 のアルキルチオ基、C2 −C6 のアルキニルオキシ
基、シアノ基、ニトロ基又はアリール基を表し、nは1
−3の整数を表す。nが2又は3の時、Xは同じでも異
なっていても良く、また隣接する2つのXが一緒になっ
てArと縮合環を形成してもよい。)で表されるケトン
である。具体的にはArで示される芳香族炭化水素基と
してはフェニル基、ナフチル基が、また、複素環基とし
ては、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基等が挙げ
られる。Xで示されるハロゲン原子としては塩素原子、
臭素原子、フッ素原子等;C1 −C4 のアルキル基ある
いはアルコキシ基としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチ
ル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基
及びこれに対応するアルコキシ基等;C1 −C4 のハロ
アルキル基、ハロアルコキシ基としてはクロロメチル
基、トリフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、ペン
タフルオロエチル基等のハロアルキル基及びこれに対応
するアルコキシ基等;C1 −C4 のアルキルチオ基とし
ては前述のアルキル基に対応するアルキルチオ基が例示
される。また、アルキニルオキシ基としてはプロパルギ
ルオキシ基、ブチニルオキシ基等が例示される。
【0013】またXnAr−は、メチレンジオキシフェ
ニル基、エチレンジオキシフェニル基等の隣接する2個
のXが一緒になってArと縮合環を形成する場合もあ
る。本発明の原料として最も好ましい具体例としてはア
セトフェノン、m−クロロアセトフェノン、m−フルオ
ロアセトフェノン、m−トリフルオロメチルアセトフェ
ノン、m−トリフルオロメトキシアセトフェノン、フェ
ニルエチルケトン、フェニルイソプロピルケトン、フェ
ニルn−プロピルケトン、フェニルn−ブチルケトン等
が例示される。
ニル基、エチレンジオキシフェニル基等の隣接する2個
のXが一緒になってArと縮合環を形成する場合もあ
る。本発明の原料として最も好ましい具体例としてはア
セトフェノン、m−クロロアセトフェノン、m−フルオ
ロアセトフェノン、m−トリフルオロメチルアセトフェ
ノン、m−トリフルオロメトキシアセトフェノン、フェ
ニルエチルケトン、フェニルイソプロピルケトン、フェ
ニルn−プロピルケトン、フェニルn−ブチルケトン等
が例示される。
【0014】本発明において水素供与体となるアルコー
ルとしては、特に限定されるものではないが、脂肪族モ
ノアルコールが好ましく、炭素数1〜6の脂肪族モノア
ルコールが更に好ましい。より具体的にはメタノール、
エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1
−ブタノール、2−ブタノール等が例示でき、中でもイ
ソプロパノールが好ましい。水素供与体となるアルコー
ルは過剰量用いることが好ましいが、生成するカルボニ
ル化合物を除去しながら反応を行うことによりその量を
抑制できる。その量比は、通常は原料ケトンに対し1〜
130モル倍、好ましくは4〜20モル倍が例示され
る。水素源となるアルコールそれ自体を反応溶媒として
用いることができ、通常は他の溶媒は必要ない。
ルとしては、特に限定されるものではないが、脂肪族モ
ノアルコールが好ましく、炭素数1〜6の脂肪族モノア
ルコールが更に好ましい。より具体的にはメタノール、
エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1
−ブタノール、2−ブタノール等が例示でき、中でもイ
ソプロパノールが好ましい。水素供与体となるアルコー
ルは過剰量用いることが好ましいが、生成するカルボニ
ル化合物を除去しながら反応を行うことによりその量を
抑制できる。その量比は、通常は原料ケトンに対し1〜
130モル倍、好ましくは4〜20モル倍が例示され
る。水素源となるアルコールそれ自体を反応溶媒として
用いることができ、通常は他の溶媒は必要ない。
【0015】本発明の触媒としては、一般的に知られて
いる水素移動型不斉還元触媒が用いられる。触媒の一般
的な形態としては光学活性な配位子を有する遷移金属化
合物であり、これらの例としては米国特許第40535
21号公報、特開昭62−273989号公報、Tet
rahedron Lett.38,2,p215(1
997)、WO97/20789号公報等に記載される
触媒が例示される。遷移金属としてはルテニウム、ロジ
ウム、イリジウム、サマリウム等が例示できるが、好ま
しくはルテニウムである。配位子としては光学活性ホス
フィン誘導体、光学活性アミン誘導体、光学活性アミノ
ホスフィン誘導体、光学活性アミノアルコール誘導体、
光学活性アミノ酸誘導体等が知られており、なかでも光
学活性ジフェニルジアミン誘導体が優れている。光学活
性ジフェニルジアミン誘導体を配位子として有するルテ
ニウム錯体の典型的な例はWO97/20789号公報
に開示されている。典型的に用いられるルテニウム錯体
および配位子を表−1および表−2に示す。
いる水素移動型不斉還元触媒が用いられる。触媒の一般
的な形態としては光学活性な配位子を有する遷移金属化
合物であり、これらの例としては米国特許第40535
21号公報、特開昭62−273989号公報、Tet
rahedron Lett.38,2,p215(1
997)、WO97/20789号公報等に記載される
触媒が例示される。遷移金属としてはルテニウム、ロジ
ウム、イリジウム、サマリウム等が例示できるが、好ま
しくはルテニウムである。配位子としては光学活性ホス
フィン誘導体、光学活性アミン誘導体、光学活性アミノ
ホスフィン誘導体、光学活性アミノアルコール誘導体、
光学活性アミノ酸誘導体等が知られており、なかでも光
学活性ジフェニルジアミン誘導体が優れている。光学活
性ジフェニルジアミン誘導体を配位子として有するルテ
ニウム錯体の典型的な例はWO97/20789号公報
に開示されている。典型的に用いられるルテニウム錯体
および配位子を表−1および表−2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】反応温度は、触媒によりその最適温度範囲
は異なるため、特に限定されるものではないが、好まし
くは、−20℃〜100℃の範囲で実施する。実用的な
反応速度と高い光学収率を得るためには0℃〜40℃の
範囲で実施することが更に好ましい。本発明方法は、ア
ルコールから生成するカルボニル化合物(アルコールの
脱水素反応により生じるカルボニル化合物であって、イ
ソプロパノールを使用する場合にはアセトンであり、以
下イソプロパノール、アセトンを代表例として説明す
る)を除去しながら反応を行うことを特徴とする。アセ
トンの除去法としては1)常圧もしくは減圧条件下にア
セトンを留去する方法、2)不活性ガスの吹き込みによ
りアセトンを同伴除去する方法、3)多孔性物質等のア
セトン吸着剤を共存さる方法等が挙げられるが、好まし
くは減圧条件下にアセトンを留去する方法が用いられ
る。アセトン除去は反応温度を好適範囲に維持し得る圧
力で行うことが好ましく、具体的には760mmHgか
ら10mmHg、好適には200mmHgから30mm
Hgが例示される。アセトン除去の装置としては反応器
に熱交換器と溶媒回収容器を備えた物などが挙げられ
る。また、必要な理論段数の蒸留塔を備えることにより
留出蒸気中のアセトンとイソプロパノールを分離するこ
とも好ましい構成である。理論段数が低い場合、アセト
ンの留去に伴いイソプロパノールも同伴して除去される
が、必要に応じ除去された量に対応するイソプロパノー
ルを反応系に添加することにより、好適な反応濃度およ
びイソプロパノール/原料モル比を維持することができ
る。アセトンの除去は反応の進行中であるならばいつで
もよく、好ましくは間欠的に複数回行うことで反応収率
及び光学収率が向上するという本発明の効果を大きくす
ることができるが、更には連続的に行う方が、効果がよ
り大きくなるため特に好ましい。
は異なるため、特に限定されるものではないが、好まし
くは、−20℃〜100℃の範囲で実施する。実用的な
反応速度と高い光学収率を得るためには0℃〜40℃の
範囲で実施することが更に好ましい。本発明方法は、ア
ルコールから生成するカルボニル化合物(アルコールの
脱水素反応により生じるカルボニル化合物であって、イ
ソプロパノールを使用する場合にはアセトンであり、以
下イソプロパノール、アセトンを代表例として説明す
る)を除去しながら反応を行うことを特徴とする。アセ
トンの除去法としては1)常圧もしくは減圧条件下にア
セトンを留去する方法、2)不活性ガスの吹き込みによ
りアセトンを同伴除去する方法、3)多孔性物質等のア
セトン吸着剤を共存さる方法等が挙げられるが、好まし
くは減圧条件下にアセトンを留去する方法が用いられ
る。アセトン除去は反応温度を好適範囲に維持し得る圧
力で行うことが好ましく、具体的には760mmHgか
ら10mmHg、好適には200mmHgから30mm
Hgが例示される。アセトン除去の装置としては反応器
に熱交換器と溶媒回収容器を備えた物などが挙げられ
る。また、必要な理論段数の蒸留塔を備えることにより
留出蒸気中のアセトンとイソプロパノールを分離するこ
とも好ましい構成である。理論段数が低い場合、アセト
ンの留去に伴いイソプロパノールも同伴して除去される
が、必要に応じ除去された量に対応するイソプロパノー
ルを反応系に添加することにより、好適な反応濃度およ
びイソプロパノール/原料モル比を維持することができ
る。アセトンの除去は反応の進行中であるならばいつで
もよく、好ましくは間欠的に複数回行うことで反応収率
及び光学収率が向上するという本発明の効果を大きくす
ることができるが、更には連続的に行う方が、効果がよ
り大きくなるため特に好ましい。
【0019】本発明において製造される一般式(II)で
示される光学活性アルコールの具体例としては、光学活
性1−フェニルエタノール、光学活性1−(3−クロロ
フェニル)エタノール、光学活性1−(3−フルオロフ
ェニル)エタノール、光学活性1−(3−トリフルオロ
メチルフェニル)エタノール、光学活性1−フェニルイ
ソプロパノール、光学活性1−フェニルn−プロパノー
ル、光学活性1−フェニルn−ブタノール等が例示され
る。
示される光学活性アルコールの具体例としては、光学活
性1−フェニルエタノール、光学活性1−(3−クロロ
フェニル)エタノール、光学活性1−(3−フルオロフ
ェニル)エタノール、光学活性1−(3−トリフルオロ
メチルフェニル)エタノール、光学活性1−フェニルイ
ソプロパノール、光学活性1−フェニルn−プロパノー
ル、光学活性1−フェニルn−ブタノール等が例示され
る。
【0020】
【実施例】以下、実施例を示し、さらに詳しく本発明に
ついて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、
以下の実施例に制約されるものではない。実施例中、e
eはエナンチオマー過剰率を示す。
ついて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、
以下の実施例に制約されるものではない。実施例中、e
eはエナンチオマー過剰率を示す。
【0021】実施例1 滴下ロート、温度計、上部に溶媒受器のある蒸留塔を取
り付けた25ml三つ口フラスコに[RuCl2 (p−
Cymene)]2 (表−1のM−2)を13.4mg
(21.8μM)、(1R,2R)−N−(p−トルエ
ンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン
を34.0mg(92.8μM)、イソプロパノールを
1.1ml加え、1時間加熱還流した。室温冷却後、m
−トリフルオロメチルアセトフェノン1.75g(9.
3mM)、イソプロパノール16.9mlを加え、さら
に水酸化カリウムの0.1mol/Lイソプロパノール
溶液2.3ml(230μM)を加えた。反応器を恒温
槽に設置し、初期圧力100mmHg、浴温25℃で反
応を開始した。4時間かけて徐々に圧力を40mmHg
に下げ、生成するアセトンを留去した。また途中イソプ
ロパノールを6ml追加した。4.1時間後、常温常圧
にて0.1N塩酸2.3mlを加え反応を停止した。酢
酸エチルにより抽出し高速液体クロマトグラフィーにて
定量したところ、収率99.5%、ee90.3%で
(R)−m−トリフルオロメチル−α−メチルベンジル
アルコールが得られた。尚、反応時間と収率の関係を図
1、反応時間とeeの関係を図2に示した。
り付けた25ml三つ口フラスコに[RuCl2 (p−
Cymene)]2 (表−1のM−2)を13.4mg
(21.8μM)、(1R,2R)−N−(p−トルエ
ンスルホニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン
を34.0mg(92.8μM)、イソプロパノールを
1.1ml加え、1時間加熱還流した。室温冷却後、m
−トリフルオロメチルアセトフェノン1.75g(9.
3mM)、イソプロパノール16.9mlを加え、さら
に水酸化カリウムの0.1mol/Lイソプロパノール
溶液2.3ml(230μM)を加えた。反応器を恒温
槽に設置し、初期圧力100mmHg、浴温25℃で反
応を開始した。4時間かけて徐々に圧力を40mmHg
に下げ、生成するアセトンを留去した。また途中イソプ
ロパノールを6ml追加した。4.1時間後、常温常圧
にて0.1N塩酸2.3mlを加え反応を停止した。酢
酸エチルにより抽出し高速液体クロマトグラフィーにて
定量したところ、収率99.5%、ee90.3%で
(R)−m−トリフルオロメチル−α−メチルベンジル
アルコールが得られた。尚、反応時間と収率の関係を図
1、反応時間とeeの関係を図2に示した。
【0022】比較例1 反応を常圧で行ったほかは実施例1と同様に反応を行っ
たところ、4時間後の収率が92.8%、eeが88.
4%であった。収率及びeeの経時変化を図1および図
2に示す。
たところ、4時間後の収率が92.8%、eeが88.
4%であった。収率及びeeの経時変化を図1および図
2に示す。
【0023】
【発明の効果】実施例及び図1、図2から明らかな様
に、本発明により、水素供与体アルコールから生成する
カルボニル化合物であるアセトンを除去しながら反応を
行なった場合、高い反応収率及び光学収率で光学活性ア
ルコールを得ることができる。
に、本発明により、水素供与体アルコールから生成する
カルボニル化合物であるアセトンを除去しながら反応を
行なった場合、高い反応収率及び光学収率で光学活性ア
ルコールを得ることができる。
【図1】実施例1及び比較例1における、光学活性アル
コールの収率の経時変化を示す図。
コールの収率の経時変化を示す図。
【図2】実施例1及び比較例1における、光学活性アル
コールの光学収率の経時変化を示す図。
コールの光学収率の経時変化を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 33/02 C07C 33/02 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07M 7:00
Claims (4)
- 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1 ,R2 は、互いに異なって、置換基を有し
ていてもよい芳香族炭化水素基、飽和あるいは不飽和の
脂肪族炭化水素基、環式脂肪族炭化水素基または複素環
基を表す。或いは、R1 とR2 が結合して環を形成して
もよい。)で示されるケトン類を、遷移金属錯体触媒の
存在下、アルコールを水素供与体とする水素移動型不斉
還元反応により還元する際、水素供与体のアルコールか
ら生成するカルボニル化合物を除去しながら反応を行う
ことを特徴とする下記一般式(II) 【化2】 (式中、R1 及びR2 は一般式(I)と同じ意義を有
す。)で示される光学活性アルコールの製造方法。 - 【請求項2】 一般式(I)において、R1 及びR2 の
何れか一方が、C1−C4 のアルキル基であり、他方
が、XnAr−基(式中、Arは芳香族炭化水素基又は
複素環基を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、C1 −
C4 のアルキル基、C1 −C4 のアルコキシ基、C1 −
C4 のハロアルキル基、C1 −C4 のハロアルコキシ
基、C1 −C4 のアルキルチオ基、C2 −C6 のアルキ
ニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基又はアリール基を表
し、nは1−3の整数を表す。nが2又は3の時、Xは
同じでも異なっていても良く、また隣接する2つのXが
一緒になってArと縮合環を形成してもよい。)である
ことを特徴とする請求項1記載の光学活性アルコールの
製造方法。 - 【請求項3】 水素供与体アルコールを、一般式(I)
の化合物の1〜130モル倍使用することを特徴とする
請求項1又は2記載の光学活性アルコールの製造方法。 - 【請求項4】 水素供与体アルコールがイソプロパノー
ルであり、水素供与体アルコールから生成するカルボニ
ル化合物がアセトンであることを特徴とする請求項1乃
至3の何れかに記載の光学活性アルコールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9288275A JPH11124350A (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 光学活性アルコールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9288275A JPH11124350A (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 光学活性アルコールの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11124350A true JPH11124350A (ja) | 1999-05-11 |
Family
ID=17728077
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9288275A Pending JPH11124350A (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 光学活性アルコールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11124350A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6504066B1 (en) * | 1999-07-01 | 2003-01-07 | Merck & Co. Inc. | Process for the synthesis of (R)-1-(3,5-bis(trifluoromethyl)-phenyl)ethan-1-ol by asymmetric transfer hydrogenation |
JP2004509087A (ja) * | 2000-09-13 | 2004-03-25 | フイルメニツヒ ソシエテ アノニム | 接触水素化法 |
JP2017524008A (ja) * | 2014-08-12 | 2017-08-24 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | アスタシンからアスタキサンチンを製造する方法 |
-
1997
- 1997-10-21 JP JP9288275A patent/JPH11124350A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6504066B1 (en) * | 1999-07-01 | 2003-01-07 | Merck & Co. Inc. | Process for the synthesis of (R)-1-(3,5-bis(trifluoromethyl)-phenyl)ethan-1-ol by asymmetric transfer hydrogenation |
US6777580B2 (en) * | 1999-07-01 | 2004-08-17 | Merck & Co., Inc. | Process for the synthesis of (R)-1-(3,5-bis(trifluoromethyl)-phenyl)ethan-1-ol by asymmetric transfer hydrogenation |
JP2004509087A (ja) * | 2000-09-13 | 2004-03-25 | フイルメニツヒ ソシエテ アノニム | 接触水素化法 |
JP2017524008A (ja) * | 2014-08-12 | 2017-08-24 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | アスタシンからアスタキサンチンを製造する方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN108698964A (zh) | 制备萜品烯-4-醇的方法 | |
US20100267988A1 (en) | Processes for preparing intermediate compounds useful for the preparation of cinacalcet | |
JP5140673B2 (ja) | イソプレゴールの製造におけるフェノールリガンドの回収 | |
Bauer et al. | α-Hydroxy carboxylic acids as ligands for enantioselective diethylzinc additions to aromatic and aliphatic aldehydes | |
WO2014115801A1 (ja) | α,α-ジフルオロアセトアルデヒドの製造方法 | |
FI107259B (fi) | Enantioselektiivisiä oksatsaborolidiinikatalyyttejä | |
US5442118A (en) | Asymmetric synthesis of (R)- and (S)-arylethanolamines from iminoketones | |
JP4545830B2 (ja) | カルボニル化合物の還元方法 | |
US8637713B2 (en) | Process for preparation of optically active compounds using transfer hydrogenation | |
EP0763005B1 (en) | TETRAHYDROINDENO[1,2-d][1,3,2]OXAZABOROLES AND THEIR USE AS ENANTIOSELECTIVE CATALYSTS | |
JP2007332129A (ja) | 光学活性な4−アミノ−3−置換フェニルブタン酸の製造方法 | |
WO1999036394A1 (en) | Novel process for preparing a ketimine | |
JPH04275258A (ja) | 光学活性1−アリール−アルキルアミン類のラセミ化方法 | |
JPH11124350A (ja) | 光学活性アルコールの製造方法 | |
KR102261108B1 (ko) | 입체 선택성이 우수한 이 작용성 유기 키랄 촉매 화합물, 이의 제조 방법 및 이를 이용한 나이트로 화합물로부터의 비천연 감마-아미노산의 제조 방법 | |
JPH11322649A (ja) | 光学活性アルコールの製造方法 | |
FR2793490A1 (fr) | Procede de preparation du (1r,2s,4r)-(-)-2-[(2'-{n,n- dimethylamino}-ethoxy)]-2-[phenyl]-1,7,7-tri-[methyl]- bicyclo[2.2.1]-heptane et ses sels d'addition d'acide pharmaceutiquement acceptables | |
JP2006028154A (ja) | 光学活性化合物の製造方法 | |
JP5193664B2 (ja) | 不斉触媒マイケル反応生成物の製造方法及び医薬化合物の製造方法。 | |
JP5233299B2 (ja) | 光学活性1−(2−トリフルオロメチルフェニル)エタノールの精製方法 | |
JP4029671B2 (ja) | 光学活性なサルドイミン銅錯体の製造方法 | |
TW201113252A (en) | Process for removing an alkanol impurity from a dialkyl carbonate stream | |
JP5263732B2 (ja) | 光学活性1,2−ジアミン化合物の製造方法及び光学活性触媒 | |
JP4918736B2 (ja) | 新規光学活性ルテニウム錯体、その製法並びにそれを用いた光学活性化合物の製造方法 | |
CN115974856B (zh) | 一种治疗成人t细胞白血病淋巴瘤药物伐美妥司他的制备方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060317 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060627 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061114 |