JPH11122073A - 弾性表面波素子 - Google Patents

弾性表面波素子

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JPH11122073A
JPH11122073A JP28541797A JP28541797A JPH11122073A JP H11122073 A JPH11122073 A JP H11122073A JP 28541797 A JP28541797 A JP 28541797A JP 28541797 A JP28541797 A JP 28541797A JP H11122073 A JPH11122073 A JP H11122073A
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JP
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acoustic wave
surface acoustic
wave device
amorphous layer
substrate
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JP28541797A
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Kazuhiko Yamanouchi
和彦 山之内
Hiroyuki Odakawa
裕之 小田川
Toshiyuki Kojima
俊之 小島
Hidekazu Hashima
英和 橋間
Akio Konishi
明男 小西
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Nihon Yamamura Glass Co Ltd
Original Assignee
Nihon Yamamura Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ニオブ酸カリウム薄膜を用いた電気機械結合係
数が大きく、フィルター特性の優れた弾性表面波素子を
提供する。 【解決手段】表面にアモルファス層を有する基板上に作
製した(110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウ
ム薄膜を有することを特徴とする弾性表面波素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波素子に
関する。さらに詳しくは、本発明は、電気機械結合係数
が大きく、フィルター特性の優れた、(110)配向ペ
ロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を有する弾性表面
波素子に関する。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波素子に用いられる圧電体材料
としては、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ほ
う酸リチウムなどのバルク単結晶や、酸化亜鉛薄膜など
が知られている。電気信号を櫛形電極などによって励振
し、表面付近を伝搬する波に変換するため、電気機械結
合係数が大きいほど弾性表面波を励振しやすく、また、
広帯域化が可能になることから、電気機械結合係数が大
きい材料が望まれる。現在知られている最も大きな電気
機械結合係数を有する材料はニオブ酸カリウムであり、
その電気機械結合係数は0.53と、従来最も大きな電
気機械結合係数を有すると考えられていたニオブ酸リチ
ウムの値0.055の約10倍であるということが分か
り、ニオブ酸カリウム単結晶(バルク)を用いた弾性表
面波素子が作製されている(日本学術振興会弾性波素子
技術第150委員会第50回研究会資料、27頁、19
96年11月27日、電子情報通信学会総合大会予稿、
283頁、1997年)。しかし、ニオブ酸カリウム単
結晶は、チョクラルスキー法などにより作製されるが、
均一な単結晶の作製が困難で、その結果非常に高価であ
る。また、弾性表面波素子の小型化や、半導体デバイス
との集積化のためには、薄膜化されることが望ましい。
ニオブ酸カリウム薄膜は、スパッタリング法では、KT
aO3、MgAl24、(100)MgOなどの結晶基
板上に作製されている(Appl.Phys.Let
t.、第61巻、373頁、1992年、Appl.P
hys.Lett.、第65巻、1073頁、1994
年)。また、ゾル−ゲル法では、(100)MgO、
(0001)サファイヤなどの結晶基板上に作製されて
いる(J.Am.Ceram.Soc.、第77巻、8
20頁、1994年)。さらに、KNbO3(100)
/SrTiO3(001)/Si(001)層状構造に
ついて、位相速度と電気機械結合係数の理論的な解析が
行われている(Jpn.J.Appl.Phys.、第
36巻、2192頁、1997年)。しかし、ニオブ酸
カリウム薄膜を結晶基板上に作製する場合には、結晶の
特定の面上でしか成長させることができない。また、結
晶基板の特定の面を露出させるために、高精度に微細加
工した面を作製することは容易ではない。さらに、この
ような方法では、パターニングした電極上に作製するこ
とはできない。このため、ニオブ酸カリウム薄膜を種々
の基板上に安定に作製し、それを弾性表面波素子として
利用することが望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ニオブ酸カ
リウム薄膜を用いた電気機械結合係数が大きく、フィル
ター特性の優れた弾性表面波素子を提供することを目的
としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、表面にアモルフ
ァス層を有する基板上に作製された(110)配向ペロ
ブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を用いることによ
り、優れた性能を有する弾性表面波素子を容易に得るこ
とができることを見いだし、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)表面
にアモルファス層を有する基板上に作製した(110)
配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を有するこ
とを特徴とする弾性表面波素子、(2)(110)配向
ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜が、物理蒸着法
(PVD法)により作製されてなる第(1)項に記載の弾
性表面波素子、(3)(110)配向ペロブスカイト型
ニオブ酸カリウム薄膜が、電界印加により分極処理され
てなる第(1)項又は第(2)項に記載の弾性表面波素子、
(4)表面にアモルファス層を有する基板が、結晶、ア
モルファス、又はこれらの複合体上に、アルカリ土類金
属、希土類、Bi、Pb、Nbの内の少なくとも1種の
元素を含むアモルファス層を形成してなる複合基板であ
る第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の弾性表面波
素子、(5)表面にアモルファス層を有する基板が、結
晶、アモルファス又はこれらの複合体上に導電性膜を作
製し、さらにその上にアルカリ土類金属、希土類、B
i、Pb、Nbの内の少なくとも1種の元素を含むアモ
ルファス層を形成してなる複合基板である第(1)項乃至
第(3)項のいずれかに記載の弾性表面波素子、(6)結
晶が、シリコン、チタン酸ストロンチウム、サファイ
ヤ、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、水晶、白
金、ダイヤモンド又は砒化ガリウムである第(4)項又は
第(5)項に記載の弾性表面波素子、(7)アモルファス
が、石英ガラスである第(4)項又は第(5)項に記載の弾
性表面波素子、(8)複合体が、ダイヤモンドコートシ
リコン又はダイヤモンド状炭素膜コートシリコンである
第(4)項又は第(5)項に記載の弾性表面波素子、及び、
(9)アモルファス層が、物理蒸着法(PVD法)、ゾ
ル−ゲル法、化学蒸着法(CVD法)、液相析出法(L
PD法)、施釉法又は溶融ガラスディップ法により形成
されてなる第(4)項乃至第(8)項のいずれかに記載の弾
性表面波素子、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の弾性表面波素子は、表面
にアモルファス層を有する基板上に作製した(110)
配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を有する。
本発明に使用する表面にアモルファス層を有する基板と
しては、単結晶、多結晶、アモルファス、又はこれらの
複合体などの上にアモルファス層を形成した基板、ある
いは、表面のアモルファス層とその支持層が同一であっ
て、アモルファス層と支持層の間に明確な境界のない基
板などを使用することができる。(110)配向ペロブ
スカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を、表面にアモルファ
ス層を有する基板上に作製すると、弾性表面波素子の弾
性表面波の伝搬速度は、基板の弾性表面波の伝搬速度の
影響を受けるため、弾性表面波の伝搬速度の異なる基板
を選択することにより、弾性表面波素子の弾性表面波の
伝搬速度を選択することができる。すなわち、弾性表面
波の周波数帯域通過特性を、基板の選択により変化させ
ることができる。ここで、(110)配向とは、ニオブ
酸カリウムの結晶の(110)面が、基板表面に対して
平行であることを意味する。この場合、軸方向をJCP
DSカードに準じて記述すれば、軸の長さはb軸>a軸
>c軸で、b軸が分極軸となる。本発明においては、表
面にアモルファス層を有する基板を用いるので、単結晶
基板を用いる場合と異なり、基板の使用面を考慮する必
要がないという利点がある。本発明において、(11
0)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜とは、
XRDパターンにおいて、ペロブスカイト型ニオブ酸カ
リウムのピークの中で、(110)面に対応するピーク
強度が最大であるペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄
膜であり、(110)面に対応するピーク強度I(110)
と(111)面に対応するピーク強度I(111)の比I
(110)/I(111)が、10以上であることが好ましい。図
1は、本発明に用いる(110)配向ペロブスカイト型
ニオブ酸カリウム薄膜のXRDパターンの一例である。
【0006】本発明において、表面にアモルファス層を
有する基板上に作製した(110)配向ペロブスカイト
型ニオブ酸カリウム薄膜上に、櫛形電極を設けて、弾性
表面波素子を作製することができる。図2は、本発明の
弾性表面波素子の一態様の斜視図である。支持層1の上
にアモルファス層2が形成された表面にアモルファス層
を有する基板3上に(110)配向ペロブスカイト型ニ
オブ酸カリウム薄膜4が作製され、送信櫛形電極5と受
信櫛形電極6が設けられている。送信櫛形電極より送信
された電気信号は、(110)配向ペロブスカイト型ニ
オブ酸カリウム薄膜において機械信号である弾性表面波
に励振され、さらに、受信櫛形電極により受信されて再
び電気信号に変換される。本発明の弾性表面波素子は、
電気機械結合係数の大きいペロブスカイト型ニオブ酸カ
リウム薄膜を用いているので、電気機械結合性が良好で
あり、優れたフィルター特性を有する。本発明におい
て、(110)ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜
を作製する方法に特に制限はないが、物理蒸着法(PV
D法)により好適に作製することができる。物理蒸着法
としては、例えば、スパッタリング法、分子線エピタキ
シー法、イオンプレーティング法などを挙げることがで
きる。これらの中で、スパッタリング法は、ターゲット
の作製が容易で、経済的に薄膜を作製することができる
ので、特に好適に使用することができる。スパッタリン
グ法によれば、例えば、ニオブ酸カリウム粉末と炭酸カ
リウム粉末を混合して、石英ガラスなどに被着させたタ
ーゲットに、アルゴンガス−酸素ガス混合雰囲気中で、
高周波マグネトロンスパッタリングを行って(110)
配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を作製する
ことができる。
【0007】本発明の弾性表面波素子において、(11
0)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜は、電
界印加により分極処理されたものであることが好まし
い。分極処理の方法には特に制限はなく、例えば、(1
10)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を、
150〜220℃に加熱したシリコーンオイルなどの絶
縁性液体中に浸漬して、直流電界を印加して分極処理
し、電界を印加したまま冷却した後、電界印加を終了す
ることにより、効果的に分極処理を施すことができる。
(110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜
に分極処理を施すことにより、分極の向きを変え、圧電
性を向上させることができる。本発明の弾性表面波素子
においては、表面にアモルファス層を有する基板が、結
晶、アモルファス又はこれらの複合体上に、アルカリ土
類金属、希土類、Bi、Pb、Nbの内の少なくとも1
種の元素を含むアモルファス層を形成してなる複合基板
であることが好ましい。また、本発明の弾性表面波素子
においては、表面にアモルファス層を有する基板が、結
晶、アモルファス又はこれらの複合体上に導電性膜を作
製し、さらにその上にアルカリ土類金属、希土類、B
i、Pb、Nbの内の少なくとも1種の元素を含むアモ
ルファス層を形成してなる複合基板であることがさらに
好ましい。アモルファス層に含まれるアルカリ土類金属
としては、例えば、Ba、Sr、Ca、Mgなどを挙げ
ることができ、アモルファス層に含まれる希土類として
は、例えば、La、Y、Gd、Ybなどを挙げることが
できる。
【0008】本発明において、結晶、アモルファス又は
これらの複合体上に、導電性膜を作製する方法には特に
制限はなく、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法な
どの物理蒸着法や、化学蒸着法、ゾル−ゲル法などによ
って作製することができる。導電性膜の形状には特に制
限はなく、例えば、パターニングのない平面形状とする
ことができ、あるいは、ドライエッチング、ウエットエ
ッチング、リフトオフ法などによって任意のパターニン
グを施した形状とすることができる。パターニングのな
い導電性膜あるいはパターニングを施した導電性膜は、
支持層表面と同じ大きさとすることができ、あるいは、
支持層表面より小さくすることができる。また、アモル
ファス層及び(110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸
カリウム薄膜の大きさは、導電性膜より大きくすること
ができ、導電性膜と同じ大きさとすることができ、ある
いは、導電性膜より小さくすることができる。支持層と
アモルファス層の間に導電性膜を設けることにより、電
界印加による分極処理の際の電極として、あるいは、弾
性表面波送信電極及び受信電極として利用することがで
き、さらに電気的ロスを低減することができる。図3
は、本発明の弾性表面波素子の3種の態様の側面図であ
る。図3(a)は、支持層が表面のアモルファス層と同一
の材質であり、アモルファス層と支持層の明確な境界が
ない基板3上に、(110)配向ペロブスカイト型ニオ
ブ酸カリウム薄膜4が作製され、その上に電極7が設け
られてなるものである。図3(b)は、支持層1とアモル
ファス層2からなる表面にアモルファス層を有する基板
3上に、(110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリ
ウム薄膜4が作製され、その上に電極7が設けられてな
るものである。図3(c)は、支持層1とアモルファス層
2の間に導電性膜8を有する基板3上に、(110)配
向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜4が作製さ
れ、その上に電極7が設けられてなるものである。
【0009】表面にアモルファス層を形成する支持層と
なる結晶としては、例えば、シリコン、チタン酸ストロ
ンチウム、サファイヤ、ニオブ酸リチウム、タンタル酸
リチウム、水晶、白金、ダイヤモンド、砒化ガリウム、
アルミナ、ムライトなどを挙げることができる。これら
の中で、シリコン、チタン酸ストロンチウム、サファイ
ヤ、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、水晶、白
金、ダイヤモン及び砒化ガリウムは、耐熱性に優れ、ア
モルファス層及びニオブ酸カリウム薄膜作製時の加熱に
よる影響を受けるおそれがなく、音速が速く、弾性表面
波素子を高周波帯域で使用することができるので、特に
好適に使用することができる。表面にアモルファス層を
形成する支持層となるアモルファスとしては、例えば、
石英ガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラスなど
を挙げることができる。これらの中で、石英ガラスは、
音速が速く、弾性表面波素子を高周波帯域で使用するこ
とができるので、特に好適に使用することができる。表
面にアモルファス層を形成する支持層となる複合体とし
ては、積層体及び混合焼結体を使用することができ、例
えば、ガラス−セラミック複合体、セラミック−金属複
合体(サーメット)、ダイヤモンドコートシリコン、ダ
イヤモンド状炭素膜コートシリコン、金属電極付き半導
体、透明導電膜付きガラスなどを挙げることができる。
これらの中で、ダイヤモンドコートシリコン及びダイヤ
モンド状炭素膜コートシリコンは、非常に音速が速く、
弾性表面波素子を高周波帯域で使用することができるの
で、特に好適に使用することができる。
【0010】本発明の弾性表面波素子において、支持層
の上に形成するアモルファス層としては、例えば、Si
2−Al23−BaO−B23系アモルファス層、S
iO2−Al23−BaO−CaO系アモルファス層、
SiO2−Al23−BaO−SrO系アモルファス
層、SiO2−Al23−CaO−La23系アモルフ
ァス層、SiO2−Al23−BaO−B23−Bi2
3系アモルファス層、SiO2−Al23−BaO−Pb
O系アモルファス層、SiO2−Al23−BaO−M
gO系アモルファス層、SiO2−Al23−B23
Nb25系アモルファス層、BaO−SiO2系アモル
ファス層、SrO−SiO2系アモルファス層、La2
3−SiO2系アモルファス層、SrO−Al23系アモ
ルファス層、Bi23−SiO2系アモルファス層、Z
rO2−BaO−La23系アモルファス層などを挙げ
ることができる。このようなアモルファス層の上にニオ
ブ酸カリウム薄膜を作製することにより、図1に示すX
RDパターンのように、強く(110)に配向したペロ
ブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を得ることができ
る。本発明において、アモルファス層を形成するすべて
の酸化物のうち、Ba、Sr、Ca、Mgなどのアルカ
リ土類金属、La、Y、Gd、Ybなどの希土類、B
i、Pb、Nbの酸化物が占める割合の合計が0.01
〜70モル%であることが好ましく、1〜50モル%で
あることがより好ましい。この割合は、例えば、SiO
2−Al23−B23−Nb25系アモルファス層につ
いては、Nb2 5/(SiO2+Al23+B23+N
25)として計算されるモル比であり、ZrO2−B
aO−La23系アモルファス層については、(BaO
+La23)/(ZrO2+BaO+La23)として
計算されるモル比である。アモルファス層を形成するす
べての酸化物のうち、Ba、Sr、Ca、Mgなどのア
ルカリ土類金属、La、Y、Gd、Ybなどの希土類、
Bi、Pb、Nbの酸化物の占める割合の合計が、0.
01モル%未満であっても70モル%を超えても、安定
したペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜が得られな
いおそれがある。アモルファス層の各元素の比率を調整
することにより、ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄
膜の(110)配向性を制御することができる。
【0011】本発明において、基板表面のアモルファス
層の膜厚は、0.5nm以上であることが好ましく、1
0nm以上であることがより好ましい。基板表面のアモ
ルファス層の膜厚が0.5nm未満であると、(11
0)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム薄膜を作製
することが困難になるおそれがある。本発明において、
結晶、アモルファス若しくはこれらの複合体からなる支
持層又はさらに導電性膜が形成された支持層の上に、ア
モルファス層を形成する方法に特に制限はなく、例え
ば、物理蒸着法(PVD法)、ゾル−ゲル法、化学蒸着
法(CVD法)、液相析出法(LPD法)、施釉法、溶
融ガラスディップ法などを挙げることができる。物理蒸
着法としては、例えば、真空中での加熱により発生する
蒸気を支持層上に凝縮させる真空蒸着法、ターゲット表
面にイオンで衝撃を与え、はじき出すことにより支持層
上に薄膜を形成するスパッタリング法などを挙げること
ができる。ゾル−ゲル法としては、例えば、金属アルコ
キシドを用いるあるいは用いない方法を挙げることがで
きる。化学蒸着法としては、例えば、プラズマ状態で反
応するプラズマCVD法、高温加熱により反応を行わせ
る熱CVD法などを挙げることができる。液相析出法と
しては、例えば、基板をガラスの構成成分となる化合物
を含む過飽和溶液に接触させ表面に固相を析出させる方
法などを挙げることができる。施釉法は、例えば、粉末
ガラスをビヒクル又は溶媒と混合し、支持層表面に印刷
又は塗布して焼結することにより行うことができる。溶
融ガラスディップ法は、例えば、溶融ガラスに支持層全
体又は支持層表面を浸漬することにより行うことができ
る。さらに、本発明においては、有効元素を含まないア
モルファス層に、物理蒸着法、ゾル−ゲル法、CVD法
などにより、有効元素の酸化物薄膜又は金属薄膜をごく
薄くあるいは非連続的な島状に形成し、熱拡散すること
により有効元素を含む所望の組成のアモルファス層とす
ることもできる。
【0012】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 シリコン上に、SrOとSiO2の混合粉末(モル比
1:10)ターゲットを用いて、アルゴンガス分圧0.
72Pa、酸素分圧0.08Pa、基板温度300℃、
高周波電力50W、成膜時間10分間の条件で、高周波
マグネトロンスパッタリングを行い、表面に厚さ約30
nmのSrO−SiO2系のアモルファス層を有する基
板を得た。この基板上に、KNbO3とK2CO3の混合
粉末(モル比1:1)を石英ガラス上に被着させたター
ゲットを用いて、アルゴンガス分圧0.36Pa、酸素
分圧0.04Pa、基板温度500℃、高周波電力50
W、成膜時間13時間の条件で、高周波スパッタリング
を行い、膜厚約1.1μmの(110)配向ペロブスカ
イト型ニオブ酸カリウム薄膜を作製した。作製した薄膜
のXRDパターンを、図1に示す。XRDパターンよ
り、このニオブ酸カリウム薄膜は、強く(110)配向
していることが分かる。この(110)配向ペロブスカ
イト型ニオブ酸カリウム薄膜の上に、電極ピッチ0.9
375λ、対数30対、伝搬路50λ、開口長18λ
(弾性表面波の波長λ=3.75μm)の図4に示すア
ルミニウム櫛形電極を形成し、弾性表面波素子を作製し
た。この弾性表面波素子についてフィルター特性を測定
したところ、図5に示すように920MHz付近と1.28
GHz付近の2カ所が強く振動した弾性表面波を観測し
た。 実施例2 実施例1と同様の条件で、シリコン上に厚さ約30nm
のSrO−SiO2系のアモルファス層を作製し、その
上に膜厚約1.1μmの(110)配向ペロブスカイト
型ニオブ酸カリウム薄膜を作製した。シリコン下面の自
然酸化膜をフッ酸でエッチングし、その下部全面に銀電
極を形成した。次いで、(110)配向ペロブスカイト
型ニオブ酸カリウム薄膜上に銀電極を作製し、空中放電
及び表面放電を防ぐために180℃のシリコーンオイル
中で電極間に20Vの直流電圧(膜の上面に+極を印
加)を1時間印加し分極処理を行った。シリコーンオイ
ルの温度が約50℃まで下がってから電圧印加をやめ、
銀電極を剥離した。新たに実施例1と同様の電極ピッチ
0.9375λ、対数30対、伝搬路50λ、開口長1
8λ(弾性表面波の波長λ=3.75μm)のアルミニ
ウム櫛形電極を形成し、弾性表面波素子を作製した。こ
の弾性表面波素子のフィルター特性を測定したところ、
図6に示すように920MHz付近が強く振動した弾性表
面波を観測した。 実施例3 実施例1と同様の条件で、シリコン上に厚さ約30nm
のSrO−SiO2系のアモルファス層を作製し、その
上に膜厚約1.1μmの(110)配向ペロブスカイト
型ニオブ酸カリウム薄膜を作製した。シリコン下面の自
然酸化膜をフッ酸でエッチングし、その下部全面に銀電
極を形成した。次いで、(110)配向ペロブスカイト
型ニオブ酸カリウム薄膜上に銀電極を作製し、空中放電
及び表面放電を防ぐために180℃のシリコーンオイル
中で電極間に20Vの直流電圧(膜の上面に−極を印
加)を1時間印加し分極処理を行った。シリコーンオイ
ルの温度が約50℃まで下がってから電圧印加をやめ、
銀電極を剥離した。新たに実施例1と同様の電極ピッチ
0.9375λ、対数30対、伝搬路50λ、開口長1
8λ(弾性表面波の波長λ=3.75μm)のアルミニ
ウム櫛形電極を形成し、弾性表面波素子を作製した。こ
の弾性表面波素子のフィルター特性を測定したところ、
図7に示すように1.28GHz付近がより強く振動した弾
性表面波を観測した。
【0013】
【発明の効果】本発明の弾性表面波素子は、表面にアモ
ルファス膜を有する基板上に(110)配向ペロブスカ
イト型ニオブ酸カリウム薄膜を作製したものであり、シ
リコン単結晶など大量に生産されている安価な支持層を
用いて、弾性表面波素子を製造することができる。ま
た、半導体技術を利用して、集積化した弾性表面波素子
を大量生産することができる。さらに、本発明の弾性表
面波素子は、表面にアモルファス層を有する基板上に作
製した(110)配向したペロブスカイト型ニオブ酸カ
リウム薄膜を用いているので、基板の選択の自由度が大
きく、弾性表面波の伝搬速度を選択することができる。
すなわち、弾性表面波の周波数帯域通過特性を、基板の
選択により容易に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(110)配向ペロブスカイト型ニオ
ブ酸カリウム薄膜のXRDパターンの一例である。
【図2】図2は、本発明の弾性表面波素子の一態様の斜
視図である。
【図3】図3は、本発明の弾性表面波素子の3種の態様
の側面図である。
【図4】図4は、櫛形電極の説明図である。
【図5】図5は、弾性表面波素子のフィルター特性を示
すグラフである。
【図6】図6は、弾性表面波素子のフィルター特性を示
すグラフである。
【図7】図7は、弾性表面波素子のフィルター特性を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 支持層 2 アモルファス層 3 基板 4 (110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウム
薄膜 5 送信櫛形電極 6 受信櫛形電極 7 電極 8 導電性膜
フロントページの続き (72)発明者 小島 俊之 宮城県仙台市太白区八木山弥生町18−10 氏家ハイツ205 (72)発明者 橋間 英和 兵庫県西宮市浜松原町2番21号 山村硝子 株式会社内 (72)発明者 小西 明男 兵庫県西宮市浜松原町2番21号 山村硝子 株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にアモルファス層を有する基板上に作
    製した(110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸カリウ
    ム薄膜を有することを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 【請求項2】(110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸
    カリウム薄膜が、物理蒸着法(PVD法)により作製さ
    れてなる請求項1に記載の弾性表面波素子。
  3. 【請求項3】(110)配向ペロブスカイト型ニオブ酸
    カリウム薄膜が、電界印加により分極処理されてなる請
    求項1又は請求項2に記載の弾性表面波素子。
  4. 【請求項4】表面にアモルファス層を有する基板が、結
    晶、アモルファス、又はこれらの複合体上に、アルカリ
    土類金属、希土類、Bi、Pb、Nbの内の少なくとも
    1種の元素を含むアモルファス層を形成してなる複合基
    板である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の弾性
    表面波素子。
  5. 【請求項5】表面にアモルファス層を有する基板が、結
    晶、アモルファス又はこれらの複合体上に導電性膜を作
    製し、さらにその上にアルカリ土類金属、希土類、B
    i、Pb、Nbの内の少なくとも1種の元素を含むアモ
    ルファス層を形成してなる複合基板である請求項1乃至
    請求項3のいずれかに記載の弾性表面波素子。
  6. 【請求項6】結晶が、シリコン、チタン酸ストロンチウ
    ム、サファイヤ、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウ
    ム、水晶、白金、ダイヤモンド又は砒化ガリウムである
    請求項4又は請求項5に記載の弾性表面波素子。
  7. 【請求項7】アモルファスが、石英ガラスである請求項
    4又は請求項5に記載の弾性表面波素子。
  8. 【請求項8】複合体が、ダイヤモンドコートシリコン又
    はダイヤモンド状炭素膜コートシリコンである請求項4
    又は請求項5に記載の弾性表面波素子。
  9. 【請求項9】アモルファス層が、物理蒸着法(PVD
    法)、ゾル−ゲル法、化学蒸着法(CVD法)、液相析
    出法(LPD法)、施釉法又は溶融ガラスディップ法に
    より形成されてなる請求項4乃至請求項8のいずれかに
    記載の弾性表面波素子。
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