JPH1111998A - 速硬性リン酸カルシウムセメント及びその製造方法 - Google Patents

速硬性リン酸カルシウムセメント及びその製造方法

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JPH1111998A
JPH1111998A JP9182979A JP18297997A JPH1111998A JP H1111998 A JPH1111998 A JP H1111998A JP 9182979 A JP9182979 A JP 9182979A JP 18297997 A JP18297997 A JP 18297997A JP H1111998 A JPH1111998 A JP H1111998A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 混練に用いる水に酸を添加することなく、水
のみによって混練しても、速やかに硬化し、且つ濡れ圧
縮強度の大きいリン酸カルシウムセメント及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】 加熱、乾燥したリン酸一水素カルシウム
二水和物を、遠心式ボールミルによってジルコニア製の
球石とともに所要時間攪拌し、非晶質化の処理を施し
た。このリン酸一水素カルシウム粉末と等モル量のリン
酸四カルシウム粉末とを混合して速硬性のリン酸カルシ
ウムセメントを得る。このセメント100重量部に対し
て20〜30重量部の純水を添加し、混練し、硬化させ
てリン酸カルシウムセメント硬化体を得る。尚、リン酸
一水素カルシウムの非晶質化の処理は、メカノケミカル
の手法によって容易に行うことができ、また、必ずしも
予め行う必要はなく、リン酸四カルシウムとの混合の過
程において処理してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医科用或いは歯科
用の速硬性リン酸カルシウムセメント及びその製造方法
に関する。本発明の速硬性リン酸カルシウムセメント
は、その主成分として結晶性の低い(非晶質性の高い)
特定のリン酸水素カルシウム粉末を使用することによ
り、水を添加して混練した場合に、速やかに硬化し得
る。また、本発明の速硬性リン酸カルシウムセメント
は、湿潤環境における圧縮強度、即ち、濡れ圧縮強度及
び生体活性等に優れ、人工骨、人工関節及び人工歯根等
を形成するための原料として用いることができる。
【0002】
【従来の技術】生体に用いられる医療用セメントとして
は、現在までに各種の組成のものが数多く提案されてい
る。特に、リン酸カルシウム系の生体用セメントでは、
このセメントが硬化とともに生体活性な水酸アパタイト
に転化するため、生体親和性に優れた硬化体を得ること
ができる。
【0003】このリン酸カルシウム系の生体用セメント
としては、リン酸四カルシウムが使用されることが多
い。例えば、米国特許明細書第4612053号にも、
リン酸四カルシウムを主成分とするリン酸カルシウムセ
メントが開示されている。しかし、このセメントは硬化
に比較的長時間を要するため、実用上は問題がある。そ
して、硬化に要する時間を短縮するため、クエン酸、リ
ンゴ酸、乳酸等の有機酸或いは無機酸などを添加した酸
性の水溶液によってセメントを混練する方法が多数提案
されている(特開昭59−88351号公報、特開昭6
2−83348号公報、特開昭63−295863号公
報など)。
【0004】しかし、硬化液に酸を添加し、混練したも
のを生体内に補填した場合、酸による生体刺激が強く、
補填部の周囲に炎症反応等を起こすことがあり、好まし
くない。また、特開平2−48479号公報、特表平8
−510713号公報等には、使用するリン酸四カルシ
ウムのカルシウムとリンとの比が過大にならないように
して、酸化カルシウムの副生を抑えることにより、硬化
に要する時間を短縮する方法が提案されている。しか
し、リン酸四カルシウムは、通常、1450℃以上の高
温において焼成し、調製する必要があり、焼成中にリン
が気化してしまうためカルシウムとリンとの比を調整す
ることは非常に困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決するものであり、特定の非晶質性の高いリン酸水
素カルシウム粉末をセメントの主成分として使用するこ
とにより、実用上、十分に短い時間で硬化し得る速硬性
のリン酸カルシウムセメントを提供することを目的とす
る。また、本発明は、このようなセメントを、メカノケ
ミカルの手法によって容易に調製し得る製造方法を提供
することを目的とする。本発明の速硬性リン酸カルシウ
ムセメントでは、従来より多数提案されているように、
水に酸を添加しpHを低くする必要がないため、炎症反
応等の問題を起こすこともない。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1発明の速硬性リン酸
カルシウムセメントは、(1) リン酸水素カルシウム粉
末、又は(2) リン酸水素カルシウム粉末及びリン酸四カ
ルシウム粉末を主成分とするリン酸カルシウムセメント
において、上記リン酸水素カルシウム粉末の少なくとも
一部は非晶質化の処理を施されたものであることを特徴
とする。
【0007】また、第2発明の速硬性リン酸カルシウム
セメントは、リン酸水素カルシウム粉末及びリン酸四カ
ルシウム粉末を主成分とするリン酸カルシウムセメント
において、下記の式(1)によって表されるリン酸四カ
ルシウムのX線回折強度に対するリン酸水素カルシウム
のX線回折強度の比(IDCPA)が37以下であることを
特徴とする。 IDCPA=I(26.4°)/ [I(26.4°)+{I(29.2°)+I(29.8°) }/ 2] (1) 〔但し、I(26.4°) は2θ=26.4°における上記リ
ン酸水素カルシウムのX線回折強度であり、I(29.2°)
とI(29.8°) とは、それぞれ2θ=29.2°及び2
9.8°における上記リン酸四カルシウムのX線回折強
度である。〕
【0008】更に、第3発明の速硬性リン酸カルシウム
セメントの製造方法は、リン酸水素カルシウム粉末及び
他のリン酸カルシウム粉末を主成分として使用し、リン
酸カルシウムセメントを製造する方法において、上記リ
ン酸水素カルシウム粉末に非晶質化の処理を施した後、
このリン酸水素カルシウムと上記他のリン酸カルシウム
粉末とを混合することを特徴とする。
【0009】また、第4発明の速硬性リン酸カルシウム
セメントの製造方法は、リン酸水素カルシウム粉末及び
他のリン酸カルシウム粉末を主成分として使用し、リン
酸カルシウムセメントを製造する方法において、上記リ
ン酸水素カルシウム粉末を上記他のリン酸カルシウム粉
末と混合する過程において、上記リン酸水素カルシウム
粉末に非晶質化の処理を施すことを特徴とする。
【0010】第1発明の速硬性リン酸カルシウムセメン
トは、非晶質化された上記「リン酸水素カルシウム粉
末」を主成分とする。また、このリン酸水素カルシウム
粉末と、上記「リン酸四カルシウム粉末」とを主成分と
する。これら2種類の粉末を併用すれば、水によって混
練した場合に、より速やかに硬化する。これらを併用す
る場合、その量比は特に限定されないが、モル比で8/
2〜2/8、特に6/4〜4/6、更には等量程度を使
用することが好ましい。尚、第1及び第2発明における
「主成分」とは、セメントの全量を100重量%とした
場合に、上記の2種類の合計量が60重量%以上、特に
好ましくは80重量%以上であることを意味する。主成
分以外の粉末としては、α−リン酸三カルシウム、β−
リン酸三カルシウム等の粉末を使用することができる。
また、第1発明において、リン酸水素カルシウムとして
は、リン酸一水素カルシウムの他にリン酸二水素カルシ
ウムも同様に使用することができる。
【0011】上記の非晶質化された特定のリン酸水素カ
ルシウム粉末は、リン酸水素カルシウム二水和物或いは
無水物等として市販されているものに、「非晶質化の処
理」を施すことにより調製することができる。また、無
水物を120℃程度の温度で加熱し、脱水したものに非
晶質化の処理を施してもよい。リン酸水素カルシウム
は、所謂、メカノケミカル法によって容易に非晶質化す
ることができる。このメカノケミカル法では、リン酸水
素カルシウム粉末に、圧縮、剪断、摩擦、延伸等の手段
によって機械的エネルギーを加えることにより、その物
理化学的性質の変化、本発明では、非晶質化がもたらさ
れるものである。非晶質化の具体的な手法としては、遠
心ミル、遊星ミル、ライカイ機等による攪拌、混合が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】この非晶質化の処理を施されたリン酸水素
カルシウム粉末は、その少なくとも一部或いはすべてが
非晶質性となり、結晶性の高いリン酸水素カルシウム粉
末に比べて水に溶け易くなる。そのため、この非晶質化
された特定のリン酸水素カルシウム粉末を主成分として
含むリン酸カルシウムセメントを水によって混練した場
合、より速やかに水に溶解してリン酸イオン、カルシウ
ムイオンが生成し、セメントの硬化が促進される。リン
酸水素カルシウムの非晶質化の程度はX線回折によって
評価することができる。第2発明のようにリン酸水素カ
ルシウム粉末とリン酸四カルシウム粉末とを主成分とし
て用いた場合、その非晶質化の程度は式(1) によって表
される。第2発明の速硬性リン酸カルシウムセメント
は、この「IDCPA」が「37以下」であり、特に35以
下、更には32以下とすることが好ましい。また、I
DCPAが25以下の非晶質化がより進んだリン酸水素カル
シウムとすることもできる。
【0013】リン酸四カルシウム粉末も、その製法につ
いては特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム粉末
とリン酸水素カルシウム粉末との等モル混合物を所定形
状に成形した後、1450〜1550℃の温度範囲で焼
成し、これを平均粒径が約100μm程度の粉末とした
ものなどを使用することができる。
【0014】第3及び第4発明において、上記「他のリ
ン酸カルシウム粉末」としては、リン酸水素カルシウム
以外のリン酸カルシウム、例えば、リン酸四カルシウ
ム、α−リン酸三カルシウム及びβ−リン酸三カルシウ
ム等の粉末が挙げられる。また、水酸アパタイトの粉末
を併用することもできる。これらのリン酸カルシウム粉
末は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用して
もよい。また、本発明の速硬性リン酸カルシウムセメン
トには、硫酸バリウム及び次炭酸ビスマス等のX線造影
剤を配合することができる。更に、より硬化時間を短縮
するために、水酸アパタイト及びフッ化物等を種結晶と
して添加することもできる。
【0015】本発明では、セメントと水とを混練する際
に酸を併用し、混練、硬化時のpHを炎症反応を起こす
ほどに低くする必要はなく、水のみによって混練して
も、実用上、十分に短かい時間で硬化させることができ
る。そのため、硬化過程において補填部周縁が炎症反応
等を起こすことがない。また、生成する硬化体が生体組
織に悪影響を及ぼすこともない。更に、本発明のセメン
トは、濡れ圧縮強度が大きく、操作性にも優れ、混練時
に容易に所定の形態を付与することができる。尚、この
形態の付与とは、初期形状の付与及び補填後などにおけ
る形状の修正、調整を併せ意味する。
【0016】混練物の粘度は、セメントと水との量比に
よって調整することができる。このセメントと水との量
比は、セメント100重量部に対して水を15〜40重
量部とすることが好ましい。この量比は、、特に15〜
35重量部、更には20〜30重量部とすることがより
好ましい。水の量比が低すぎる場合は、混練時の粘度が
高くなりすぎて所定の形態を付与することが難しくな
る。また、水の量比が高くなりすぎると、混練時の粘度
が低くなって取り扱い易くはなるが、体液等との接触に
よってセメントが分散し、成形体が崩壊し易くなること
がある。尚、この水の量比を高くして混練物の粘度を適
度に下げることにより、骨欠損部或いは骨折部等への注
射器による補填が可能となり、それによって患者への負
担を軽減することもできる。
【0017】更に、本発明の速硬性リン酸カルシウムセ
メントは、水によって混練した後、これのみを生体内に
補填して人工骨、人工歯根等の用途に用いることができ
るが、セメントと水とを混練する際に、骨形成因子、抗
ガン剤及び抗生物質等を添加し、薬物徐放のための担体
として利用することもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の具体的な実施例を
示す。 実施例1 リン酸一水素カルシウム二水和物を120℃において1
0時間加熱し、乾燥して結晶性の高い無水のリン酸水素
カルシウム粉末(試料a)を得た。その後、この試料a
を遠心式ボールミル(フリッチェ社製、型式「P−6
型」)によってジルコニア製の球石とともに2時間攪拌
し、非晶質化の処理を施して試料bを得た。この試料a
と試料bとのX線回折パターンを確認したところ、図1
に示すように試料bでは2θ=26.4°の(020)
面の回折強度が大きく低下しており、非晶質化されてい
ることが確認された(図1参照)。尚、この試料aと試
料bとを、それぞれ1g、100mlの純水に入れ、2
4時間後のpHを測定したところ、試料aでは7.1で
あったのに対して試料bでは6.7であり、非晶質化に
ともない水溶性が向上していることが裏付けられた。
【0019】実施例2 実施例1において得られた試料bの非晶質化されたリン
酸一水素カルシウム粉末と、等モル量のリン酸四カルシ
ウム粉末とを、ガラスバイアル瓶に入れ、均一に分散さ
れるまで混合してセメント(試料A)を調製した。この
試料AのX線回折パターンを確認したところ、後記の比
較例1の試料Dの場合に比べて、2θ=26.4°の
(020)面の回折ピークはブロードであり、また、回
折強度が低下しており、相当に非晶質化されていること
が確認された(図2参照)。この試料A10gに純水
2.5gを添加して混合し、混練した後、JIS T
6602に準じて硬化時間及び濡れ圧縮強度を測定し
た。尚、X線回折によって硬化体には水酸アパタイトが
生成、析出していることが確認された(図3参照)。
【0020】実施例3 実施例1において得られた試料aの非晶質化されていな
いリン酸一水素カルシウム粉末と、等モル量のリン酸四
カルシウム粉末とを、ライカイ機によって30分混合し
てセメント(試料B)を調製した。この試料BのX線回
折パターンを確認したところ、2θ=26.4°の(0
20)面の回折強度が低下しており、非晶質化されてい
ることが確認された(図2参照)。この試料B10gに
純水2.5gを添加して混合し、混練した後、JIS
T 6602に準じて硬化時間及び濡れ圧縮強度を測定
した。尚、X線回折によって硬化体には水酸アパタイト
が生成、析出していることが確認された(図3参照)。
【0021】実施例4 ライカイ機による混合時間を2時間とした他は実施例3
と同様にしてセメント(試料C)を調製した。この試料
CのX線回折パターンを確認したところ、2θ=26.
4°の(020)面の回折ピークはブロードであり、実
施例2の場合よりもさらに回折強度が低下しており、非
晶質化が一段と進んでいることが確認された(図2参
照)。この試料C10gに純水2.5gを添加して混合
し、混練した後、JIS T 6602に準じて硬化時
間及び濡れ圧縮強度を測定した。尚、X線回折によって
硬化体には水酸アパタイトが生成、析出していることが
確認された(図3参照)。
【0022】比較例1 実施例1において得られた試料aの非晶質化されていな
いリン酸一水素カルシウム粉末と、等モル量のリン酸四
カルシウム粉末とを、ガラスバイアル瓶に入れ、均一に
分散されるまで混合してセメント(試料D)を調製し
た。この試料DのX線回折パターンを確認したところ、
2θ=26.4°の(020)面の回折ピークはシャー
プであり、回折強度も大きく、結晶性の高いものである
ことが分かった(図2参照)。この試料D10gに純水
2.5gを添加して混合し、混練した後、JIS T
6602に準じて硬化時間及び濡れ圧縮強度を測定し
た。また、尚、X線回折によって硬化体における水酸ア
パタイトの回折ピークを確認したが、生成、析出は各実
施例に比べて少なかった(図3参照)。
【0023】実施例5 実施例2〜4と比較例1の試料A、B、C及びDのX線
回折パターンより、リン酸四カルシウムに対するリン酸
一水素カルシウムの回折強度の比を前記の式(1)によ
って求めた。また、試料A、B、C及びDの硬化体のX
線回折パターンより、リン酸四カルシウムに対する水酸
アパタイトの回折強度の比を下記の式(2)によって求
めた。 IHAP =I(25.9°)/ [I(25.9°)+{I(29.2°)+I(29.8°) }/ 2] (2) 〔但し、I(25.9°) は2θ=25.9°における水酸ア
パタイトのX線回折強度であり、I(29.2°) とI(29.8
°) とは、それぞれ2θ=29.2°及び29.8°に
おけるリン酸四カルシウムのX線回折強度である。〕
【0024】試料A〜Dの硬化時間及び濡れ圧縮強度並
びに実施例5におけるIDCPA及びIHAP の結果を併せて
表1に示す。尚、X線回折の条件は下記の通りである。 電圧;40kV 電流;100mA ターゲット;銅、Kα 走査速度;10°/分
【0025】
【表1】
【0026】表1の結果によれば、本発明の範囲に含ま
れる試料A〜Cでは、硬化時間は12分以下と非常に短
く、速硬性のリン酸カルシウムセメントが得られている
ことが分かる。また、濡れ圧縮強度も48MPa以上で
優れた性能のセメントであることが分かる。更に、リン
酸一水素カルシウムは十分に非晶質性であり、水酸アパ
タイトへの転化も効率的に進んでいることが分かる。
尚、予め非晶質化したリン酸水素カルシウム粉末を使用
して得られた試料A(IDCPA=22)に比べて、混合過
程において非晶質化を行った試料B(IDCPA=31)で
は、リン酸水素カルシウムの結晶性がやや高く、水酸ア
パタイトへの転化率も少し低い。しかし、試料C(I
DCPA=20)の結果によって明らかな通り、混合過程の
時間を長くすれば、予め非晶質化した試料Aの場合を上
回る優れた性能のリン酸カルシウムセメントが得られる
ことが分かる。
【0027】
【発明の効果】第1及び第2発明によれば、水のみによ
って混練することにより、速やかに硬化し、優れた濡れ
圧縮強度を有する速硬性リン酸カルシウムセメントを得
ることができる。このセメントでは、水を添加し、混練
する際に、この水に酸を加える必要はなく、pHを特に
低くする必要がない。そのため、硬化反応の過程におい
て炎症反応等、生体への悪影響のないリン酸カルシウム
セメントを得ることができる。また、第3及び第4発明
によれば、第1及び第2発明のリン酸カルシウムセメン
トを、攪拌、混合等、メカノケミカルの手法によって容
易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非晶質化の処理を施したリン酸一水素カルシウ
ム粉末と、処理を施していないリン酸一水素カルシウム
粉末のX線回折のチャートである。
【図2】試料A〜Dのリン酸カルシウムセメントのX線
回折のチャートである。
【図3】試料A〜Dのリン酸カルシウムセメントを水と
混練して得られた硬化体のX線回折のチャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) リン酸水素カルシウム粉末、又は
    (2) リン酸水素カルシウム粉末及びリン酸四カルシウム
    粉末を主成分とするリン酸カルシウムセメントにおい
    て、上記リン酸水素カルシウム粉末は非晶質化の処理を
    施されたものであることを特徴とする速硬性リン酸カル
    シウムセメント。
  2. 【請求項2】 リン酸水素カルシウム粉末及びリン酸四
    カルシウム粉末を主成分とするリン酸カルシウムセメン
    トにおいて、下記の式(1)によって表されるリン酸四
    カルシウムのX線回折強度に対するリン酸水素カルシウ
    ムのX線回折強度の比(IDCPA)が37以下であること
    を特徴とする速硬性リン酸カルシウムセメント。 IDCPA=I(26.4°)/ [I(26.4°)+{I(29.2°)+I(29.8°) }/ 2] (1) 〔但し、I(26.4°) は2θ=26.4°における上記リ
    ン酸水素カルシウムのX線回折強度であり、I(29.2°)
    とI(29.8°) とは、それぞれ2θ=29.2°及び2
    9.8°における上記リン酸四カルシウムのX線回折強
    度である。〕
  3. 【請求項3】 リン酸水素カルシウム粉末及び他のリン
    酸カルシウム粉末を主成分として使用し、リン酸カルシ
    ウムセメントを製造する方法において、上記リン酸水素
    カルシウム粉末に非晶質化の処理を施した後、このリン
    酸水素カルシウムと上記他のリン酸カルシウム粉末とを
    混合することを特徴とする速硬性リン酸カルシウムセメ
    ントの製造方法。
  4. 【請求項4】 リン酸水素カルシウム粉末及び他のリン
    酸カルシウム粉末を主成分として使用し、リン酸カルシ
    ウムセメントを製造する方法において、上記リン酸水素
    カルシウム粉末を上記他のリン酸カルシウム粉末と混合
    する過程において、上記リン酸水素カルシウム粉末に非
    晶質化の処理を施すことを特徴とする速硬性リン酸カル
    シウムセメントの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004059380A1 (ja) * 2002-12-25 2004-07-15 Nikon Corporation ブレ補正カメラシステム

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WO2004059380A1 (ja) * 2002-12-25 2004-07-15 Nikon Corporation ブレ補正カメラシステム

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