JPH1111982A - 耐熱性熱線遮断ガラス及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性熱線遮断ガラス及びその製造方法

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JPH1111982A
JPH1111982A JP18588397A JP18588397A JPH1111982A JP H1111982 A JPH1111982 A JP H1111982A JP 18588397 A JP18588397 A JP 18588397A JP 18588397 A JP18588397 A JP 18588397A JP H1111982 A JPH1111982 A JP H1111982A
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JP
Japan
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glass
heat
thin film
glass substrate
heat ray
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Application number
JP18588397A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kinoshita
健一 木下
Masaru Takahira
優 高比良
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Narumi China Corp
Original Assignee
Narumi China Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/22Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with other inorganic material
    • C03C17/23Oxides
    • C03C17/245Oxides by deposition from the vapour phase
    • C03C17/2453Coating containing SnO2

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  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 650℃以上の高温下においても優れた熱線
遮断機能を発揮しうる耐熱性熱線遮断ガラス及びその製
造方法を提供すること。 【解決手段】 ガラス基板10の表面に熱線遮断用の薄
膜2を有する熱線遮断ガラス1。ガラス基板10は低熱
膨張性を有すると共にその軟化点が650℃以上であ
り,かつ,薄膜2は650℃以上において形成された酸
化錫系皮膜である。ガラス基板10の熱膨張係数は,−
10〜+15×10−7/℃であることが好ましい。ま
たガラス基板10は,結晶化ガラスまたは石英ガラスで
あることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,高温下においても優れた熱線遮
断性能を発揮し,かつ耐久性に優れる耐熱性熱線遮断ガ
ラスに関する。
【0002】
【従来技術】太陽光からの熱線(赤外線等)を反射する
熱線遮断ガラスは,例えば自動車の車室内の過熱を防止
するガラス等として有効である。従来,熱線遮断ガラス
としては,ソーダガラスや硼珪酸ガラスをガラス基板と
して用い,その表面に熱線遮断用の薄膜を形成したもの
がある。上記薄膜としては,例えば酸化錫系等の金属酸
化物膜が適用される。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の熱
線遮断ガラスにおいては,次の問題がある。即ち,上記
従来の熱線遮断ガラスは,室温に近い環境での使用を目
的として開発されてきたものであり,高温下における使
用に耐えることができない。例えば,セラミック製品の
焼成炉や金属製品の加熱炉等の工業炉においては,炉体
内部の状況を監視するため,覗き窓を設けることが望ま
しい。
【0004】しかしながら,600℃を超える熱処理を
行うような高温処理用の工業炉に上記従来の熱線遮断ガ
ラスを使用した場合には,上記ガラス基板自体が軟化し
てくると共に上記薄膜の熱線遮断効果が大幅に低下す
る。そのため,上記従来の熱線遮断ガラスを高温処理用
工業炉の覗き窓に適用することは困難である。
【0005】また,工業炉の覗き窓に限らず,高温状態
で用いるその他の機器においても熱線遮断ガラスを使用
したい場合がある。しかしながら,従来の熱線遮断ガラ
スは,上記のごとく高温での使用に耐えることができな
いため,これらの機器に適用することができない。その
ため,種々の分野から,高温環境下においても優れた熱
線遮断機能を発揮しうる耐熱性の熱線遮断ガラスの開発
が望まれていた。
【0006】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,650℃以上の高温下においても優れた
熱線遮断機能を発揮しうる耐熱性熱線遮断ガラス及びそ
の製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,ガラス基板の表
面に熱線遮断用の薄膜を有する熱線遮断ガラスにおい
て,上記ガラス基板は低熱膨張性を有すると共にその軟
化点が650℃以上であり,かつ,上記薄膜は650℃
以上において形成された酸化錫系皮膜であることを特徴
とする耐熱性熱線遮断ガラスにある。
【0008】本発明において最も注目すべきことは,上
記特性を有する特定のガラス基板を採用したこと,か
つ,上記薄膜は650℃という高温状態において形成さ
れた酸化錫系皮膜であるということである。
【0009】上記ガラス基板における低熱膨張性とは,
従来の熱線遮断ガラスに用いられていた一般的なガラス
基板よりも熱膨張係数が小さいことを意味する。具体的
には,従来の一般的なガラス基板はソーダガラスや硼珪
酸ガラスからなり,その熱膨張係数は約30×10-7
℃以上である。これに対し,本発明におけるガラス基板
としては,少なくとも30×10−7℃未満の熱膨張係
数を有するガラスを適用する。
【0010】また,上記ガラス基板の軟化点は,上記の
ごとく650℃以上である。軟化点が650℃未満の場
合には,650℃以上における使用が困難であるという
問題がある。なお,軟化点の上限値は高い程良いが,こ
の軟化点はガラスの物性値であるため自ずと限界があ
る。ここで軟化点とは,φ0.55〜φ0.75mm,
長さ235mmのファイバーを上端を支持して吊り下
げ,その上部100mmを5℃/分の速度で温度上昇さ
せた場合に,自重により1mm/分の速度で伸びる温度
をいい,粘性係数がη=107.6 に相当する温度であ
る。
【0011】また,熱線遮断用の薄膜は,上記のごとく
650℃以上において形成された酸化錫系皮膜である。
酸化錫系皮膜自体は,従来より知られたものであり,熱
線遮断効果を発揮するための種々のドーピング剤を加え
たものが知られている。ここで重要な点は,上記薄膜
は,単に従来より知られている皮膜を採用したのではな
く,650℃以上という高温状態において形成したもの
であるということである。
【0012】650℃未満において形成した皮膜では,
その熱線遮断ガラスを例えば650℃以上という高温状
態で使用した場合には熱線遮断効果が大幅に劣化すると
いう問題がある。一方,皮膜形成温度の上限値は,蒸着
時の過度の酸化による表面抵抗率の劣化を防止する理由
により900℃であることが好ましい。
【0013】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明の熱線遮断ガラスは,上記特定のガラス基板に上記特
定の薄膜を設けてなるため,高温下において使用しても
優れた熱線遮断効果及び優れた耐久性(耐熱性)を発揮
する。
【0014】即ち,上記ガラス基板はその軟化点が65
0℃以上である。そのため,650℃以上という高温状
態で使用してもガラス基板が軟化してしまうという不具
合が発生しない。また,上記ガラス基板は低熱膨張性で
ある。そのため,耐熱衝撃性,寸法安定性等に優れ,破
損の防止等を図ることができる。
【0015】また,上記薄膜は650℃以上において形
成された酸化錫系皮膜である。従来の酸化錫系皮膜は約
500℃程度の温度において形成されるものであり,そ
の熱線遮断効果は500℃超えるような高温において大
幅に劣化してしまう。これに対し,本発明における65
0℃以上において形成した酸化錫系皮膜は,後述する実
施形態例にも示すごとく,650度を超えるような非常
に高い温度においても優れた熱線遮断効果を維持するこ
とができる。
【0016】また,薄膜の成分としては,従来と同様の
酸化錫系皮膜を用いることができる。そのため,例えば
酸化インジウム系皮膜や,金属膜と金属酸化物の複合皮
膜のような高価な皮膜を採用する必要がなく,耐熱性熱
線遮断ガラスの低コスト化を図ることができる。
【0017】このように,本発明においては,上記ガラ
ス基板の耐久性の向上及び酸化錫系皮膜の熱線遮断効果
の高温特性の向上の実現によって,650℃以上の高温
下においても優れた熱線遮断機能を発揮しうる耐熱性熱
線遮断ガラスを提供することができる。
【0018】次に,請求項2の発明のように,上記ガラ
ス基板の熱膨張係数は,−10〜+15×10-7/℃で
あることが好ましい。熱膨張係数がこの範囲内にあれ
ば,ガラス基板の耐熱衝撃性,寸法安定性等の特性を非
常に良好に維持することができる。一方,熱膨張係数が
上記範囲を超える場合には,高温時の寸法変化が大きく
なり,適用対象が制限されるという問題がある。
【0019】また,請求項3の発明のように,上記ガラ
ス基板は,結晶化ガラスまたは石英ガラスであることが
好ましい。結晶化ガラス及び石英ガラスは,一般に−1
0〜+15×10-7/℃の範囲内の熱膨張率を有し,か
つ軟化点が900℃以上(石英ガラスは1300℃以
上)である。そのため,上記ガラス基板に求められる特
性を容易に満足することができ,上記作用効果を十分に
発揮することができる。
【0020】また,請求項4の発明のように,上記薄膜
の膜厚は,100〜1000nmであることが好まし
い。100nm未満の場合には,上記薄膜が島状になっ
て連続した均一な薄膜構造にならないため,十分な熱線
遮断効果を発揮し得ない。そのため,より好ましくは3
00nm以上がよい。一方,1000nmを超える場合
には,可視光の透過率が低下するため,例えば覗き窓の
ように前方を透視することを目的とする熱線遮断ガラス
には適用困難となるという問題がある。そのため,より
好ましくは700nm以下がよい。
【0021】また,上記薄膜が熱線遮断効果を発揮する
ためには,薄膜に電気伝導性が必要である。電子のプラ
ズマ振動により熱線が反射されるからである。したがっ
て通常は,導電効果を高めるために上記薄膜にドーピン
グ剤を含有させる。この場合,請求項5の発明のよう
に,上記薄膜は,ドーピング剤としてアンチモンを含有
していることが好ましい。これにより,酸化アンチモン
を有する酸化錫系皮膜が形成され,優れた熱線遮断ガラ
スを確実に発揮させることができる。なお,上記ドーピ
ング剤としては,アンチモンに代えて,フッ素,インジ
ウム等を用いることもできる。
【0022】次に,上記優れた耐熱性熱線遮断ガラスを
製造する方法としては,次の発明がある。即ち,請求項
6の発明のように,低熱膨張性を有すると共に軟化点が
650℃以上のガラス基板を準備し,次いで,該ガラス
基板を650℃以上に加熱すると共に,該ガラス基板上
にスプレー法又はCVD法により酸化錫系の薄膜を形成
することを特徴とする耐熱性熱線遮断ガラスの製造方法
がある。
【0023】本製造方法において注目すべきことは,上
記ガラス基板を650℃以上に加熱した状態で上記薄膜
を形成すること,即ち,薄膜の形成温度を650℃以上
の高温とすることである。なお,低熱膨張性を有すると
共に軟化点が650℃以上のガラス基板は,上記と同様
である。
【0024】また,具体的な薄膜形成方法は,上記スプ
レー法又はCVD法である。スプレー法は,薄膜の原料
となる溶液を高温状態のガラス基板上に噴霧して,ガラ
ス基板上において熱分解酸化反応により薄膜を形成する
という従来より知られた方法である。また,CVD法
(化学蒸着法)は,薄膜の原料を含んだ反応ガスを,高
温状態のガラス基板に接触させ,該ガラス基板上におい
て薄膜を蒸着させる従来より知られた方法である。
【0025】本製造方法においては,上記のごとく,ガ
ラス基板を650℃以上の温度に加熱して酸化錫系皮膜
を形成する。また,その形成方法はスプレー法又はCV
D法であって,特別の工夫を要しない。そのため,前述
した優れた耐熱性熱線遮断ガラスを容易に製造すること
ができる。即ち,本製造方法により得られた耐熱性熱線
遮断ガラスは,650℃以上の高温下においても優れた
熱線遮断機能及び耐久性を発揮する。
【0026】したがって,本発明によれば,650℃以
上の高温下においても優れた熱線遮断機能を発揮しうる
耐熱性熱線遮断ガラスの製造方法を提供することができ
る。
【0027】また,請求項7の発明のように,上記ガラ
ス基板の熱膨張係数は,−10〜+15×10-7/℃で
あることが好ましい。この場合には,上記と同様に耐熱
衝撃性,寸法安定性等に優れた耐熱性熱線遮断ガラスを
容易に製造することができる。
【0028】また,上記ガラス基板は,結晶化ガラスま
たは石英ガラスであることが好ましい。この場合には,
上記と同様にガラス基板に求められる特性を容易に満足
させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる耐熱性熱線遮断ガラス及び
その製造方法につき,図1を用いて説明する。本例の耐
熱性熱線遮断ガラス1は,図1に示すごとく,ガラス基
板10の表面に熱線遮断用の薄膜2を有する。
【0030】ガラス基板10としては,低熱膨張性を有
すると共にその軟化点が650℃以上である透明結晶化
ガラスを用いた。即ち,この透明結晶化ガラスは,軟化
点が900℃以上であり,かつ−10〜+5×10-7
℃の熱膨張係数を有する。また,薄膜2は以下にも示す
ごとく,650℃以上において形成された酸化錫系皮膜
である。
【0031】この耐熱性熱線遮断ガラス1を製造するに
当たっては,上記の透明結晶化ガラスよりなるガラス基
板10を準備すると共に,スプレー用の薬液を作製す
る。スプレー用薬液を作製するに当たっては,まずモル
比[Sb]/[Sn]が0.1〜0.5となるように塩
化第二錫にアンチモンを加えて薬剤を作製した。次いで
この薬剤をアルコールに溶解してスプレー用薬液とし
た。
【0032】次に,薄膜2を形成するに当たっては,ま
ずガラス基板10を800℃に加熱した。そして,その
加熱温度を保持したまま,ガラス基板10上に上記のス
プレー用薬液を均一に散布した。こにれより,散布され
たスプレー用薬液は,800℃に保持されたガラス基板
10上において酸化熱分解反応を起こし,酸化錫系皮膜
よりなる薄膜2が形成された。即ち,得られた薄膜2
は,800℃において形成されたものである。また,薄
膜2は,上記スプレーにより飛散される薬液量を調整す
ることにより,約600nmの膜厚に仕上げた。
【0033】次に,本例の耐熱性熱線遮断ガラス1の作
用効果につき説明する。本例の耐熱性熱線遮断ガラス1
は,ガラス基板10として軟化点が900℃以上の透明
結晶化ガラスを用いているため,少なくとも900℃ま
での高温下においては軟化することなく使用することが
できる。また,透明結晶化ガラスは上記のごとく非常に
低い熱膨張係数を有しているため,高温において使用し
ても寸法変化が少なく,かつ耐熱衝撃性に優れた耐熱性
熱線遮断ガラスを実現することができる。
【0034】また,薄膜2は,上記のごとく800℃と
いう高温において形成されている。そのため,650℃
を超えるような高温下においても優れた熱線遮断効果を
維持することができる。この理由は次のように考えるこ
とができる。即ち,薄膜の形成は上記のごとく酸化熱分
解反応により行われるが,この反応は高温であるほど起
こりやすい。そして,得られる薄膜は,少なくとも酸化
熱分解反応が行われた温度までは安定した皮膜状態を維
持することができると考えられる。
【0035】そのため,従来500℃程度に制限されて
いた薄膜形成温度を800℃という高温に高めることに
より,薄膜の高温下における安定性を大幅に向上させる
ことができる。それ故,800℃において形成した本例
の薄膜2は,650℃を超えるような高温,少なくとも
800℃程度までは十分に安定した熱線遮断機能を発揮
することができる。
【0036】このように,本例の耐熱性熱線遮断ガラス
1は,上記のガラス基板10の耐熱性能と薄膜2の高温
下における熱線遮断効果の発揮によって,高温において
使用される種々の機器等において十分に活用することが
できる。また,本例の耐熱性熱線遮断ガラス1は,透視
可能な透明結晶化ガラスをガラス基板10として用い,
かつ薄膜2の厚みを上記値にすることにより透視性能を
確保している。そのため,例えば650℃を超えるよう
な熱処理を行う工業炉の覗き窓としても有効に利用する
ことができる。
【0037】なお,本例においてはスプレー法により薄
膜2を形成したが,CVD法により行っても同様の効果
を得ることができる。具体的には,まずモル比[Sb]
/[Sn]が0.1〜0.5となるように二塩化ジメチ
ル錫にアンチモンを加えて溶解タンク内で150℃に加
熱して溶解する。そして,溶解タンク上に気化した蒸気
を800℃に加熱したガラス基板10に吹きかける。こ
れにより,ガラス基板10上においては,上記蒸気が酸
化熱分解反応を起こして酸化錫系皮膜として蒸着され
る。
【0038】実施形態例2 次に,本例においては,図2,図3に示すごとく,実施
形態例1により得られた耐熱性熱線遮断ガラス1の熱線
遮断効果を定量的に測定した。具体的には,薄膜形成前
のガラス基板10(透明結晶化ガラス)の赤外線透過率
と,薄膜2を形成した後の耐熱性熱線遮断ガラス1の赤
外線透過率を測定した。なお,本例においては,常温に
おける赤外線透過率を測定した。また,測定装置として
は,日立赤外分光光度計260−30型を用いた。
【0039】測定結果を図2,図3に示す。図2,図3
は,いずれも横軸に赤外線の波長(μm),縦軸に赤外
線の透過率(%)をとった。同図より知られるごとく,
薄膜2の形成前には非常に透過率の高かった2つの赤外
線,2.6μmピークP1及び3.6μmピークP2
は,いずれも約10%以下(P3,P4)にまで抑えら
れた。このことから,実施形態例1により得られた耐熱
性熱線遮断ガラス1は,少なくとも常温においては非常
に優れた熱線遮断効果を発揮することがわかる。
【0040】実施形態例3 次に,本例においては,図4に示すごとく,実施形態例
1により得られた熱線遮断ガラス1(試料E1とする)
の高温における熱線遮断効果を,比較例等と共に定量的
に評価した。比較例としては,薄膜2の形成温度を50
0℃としたものを準備した(これを試料C1とする)。
また,本発明の範囲内である他の例として,薄膜2の形
成温度を650℃としたものも準備した(これを試料E
2とする)。なお,試料E2,C1における薄膜形成温
度以外の製造条件は,実施形態例1と同様にした。
【0041】具体的な評価方法としては,各試料(E
1,E2,C1)に800℃の熱負荷を与え,その熱負
荷時間の経過に対する赤外線反射率の変化を測定するこ
とにより行った。ここにいう赤外線反射率(%)は,実
施形態例2における赤外線透過率(%)を100%から
引いた値であり,実際の測定は実施形態例2と同様に行
った。
【0042】測定結果を図4に示す。同図は,横軸に熱
負荷時間(Hr)を,縦軸に赤外線反射率(%)をとっ
た。そして,各試料E1,E2,C1の測定結果を同図
にプロットした。同図より知られるごとく,薄膜の形成
温度が高いほど測定時間全域にわたって優れた赤外線反
射性能を示した。
【0043】また,試料E1,E2は,いずれも800
℃の熱負荷状態において初期の赤外線反射性能を長期間
維持することができた。このことから,まず,薄膜の形
成温度は,使用環境温度に近いほど薄膜の耐久性向上に
有効であることが分かる。さらに,必ずしも使用環境温
度(800℃)にまで上げなくても,少なくとも650
℃以上の高温で薄膜を形成すれば,実用可能な優れた耐
久性が得られるということもわかった。
【0044】実施形態例4 次に,本例においては,熱線遮断ガラスにおいて従来よ
り評価項目とされている薄膜の表面抵抗値(Ω/□)と
熱線遮断効果との関係を調査した。上記薄膜の表面抵抗
値は,従来よりこの値が小さいほど熱線遮断効果に優れ
ていると考えられていた。そのため,まず本例において
は,薄膜の形成温度と得られた薄膜の表面抵抗値との関
係を測定した。
【0045】具体的には,実施形態例1に示したCVD
法により,ガラス基板を500℃,600℃,800℃
の3種類の条件に加熱して薄膜を形成した。また,その
他の薄膜形成条件は同じ条件とした。そして,得られた
薄膜の表面抵抗値をそれぞれ測定した。また,表面抵抗
値の測定は,四端子法を用いて各条件毎に5回ずつ行っ
た。
【0046】測定結果を図5に示す。同図は横軸に蒸着
温度(℃)を,縦軸に表面抵抗(Ω/□)をとった。同
図より知られるごとく,表面抵抗値は,蒸着温度が高い
ほど低い値となることがわかる。
【0047】次に,本例においては,800℃において
形成(蒸着)した薄膜において,その表面抵抗値と赤外
線反射率の経時的変化を,800℃の熱負荷状態におい
て測定した。測定用の試料としては,上記CVD法にお
けるガス流量等を変化させて膜厚等の異なる3種類の試
料E41,E42,E43を作製した。各試料は,その
表面抵抗値が,試料E41は低抵抗(50Ω/□以
下),試料E42は中抵抗(50〜100Ω/□),試
料E43は高抵抗(200Ω/□以上),となるように
作製したものである。
【0048】各試料の表面抵抗値の測定及び赤外線反射
率の測定は,いずれも上記と同様にして行った。測定結
果を図6,図7に示す。図6は,横軸に熱負荷時間(H
r)を,縦軸に表面抵抗値(Ω/□)をとったものであ
る。また図7は横軸に熱負荷時間(Hr)を,縦軸に赤
外線反射率(%)をとったものである。
【0049】図6より知られるごとく,表面抵抗値は,
初期の値が低いほど最後まで低い値を示すと共に,変化
も少なかった。しかしながら,いずれの試料も時間の経
過と共に表面抵抗値は増加した。特に高抵抗の試料E4
3は,熱負荷時間5時間経過後から急激に表面抵抗値が
増加した。
【0050】一方,図7より知られるごとく,赤外線反
射率は,いずれの試料においてもほとんど経時的変化が
なかった。即ち,上記のごとく表面抵抗値が増加しても
赤外線反射率は低下しなかった。これらの結果は,表面
抵抗値が低いほど熱線遮断効果に優れるという従来の認
識と一見矛盾するようにも思われる。しかしながら,本
例の結果からは,少なくとも,800℃という高温で薄
膜を形成した場合には,それと同等の熱負荷(800
℃)を与えられても,初期の表面抵抗値に見合った熱線
遮断効果を長期間維持することができるということがわ
かる。
【0051】実施形態例5 次に,本例においては,実施形態例1と同様の方法によ
って,ガラス基板10として白色結晶化ガラスを用いた
耐熱性熱線遮断ガラス(試料E5)を作製し,その性能
を評価した。なお,白色結晶化ガラスは,軟化点が12
00℃以上であり,かつ熱膨張係数が+5〜+15×1
-7/℃であるという特徴を有している。そのため,白
色結晶化ガラスは,熱線遮断効果を備えることによっ
て,例えばダストを嫌う電子部品用加熱炉において省エ
ネ効果を備えた内壁として用いることもできる。
【0052】評価項目の1つは,波長が2.6μmと
3.6μmの赤外線反射率の,種々の熱負荷条件におけ
る経時的変化である。熱負荷条件は,200〜800℃
の間において200℃ピッチで設定した。もう1つの評
価項目は,上記と同様の熱負荷条件における表面抵抗値
(Ω/□)の経時的変化である。なお,この場合には,
参考のために実施形態例1における耐熱性熱線遮断ガラ
ス1(試料E1)も一緒に測定した。
【0053】まず,表面抵抗値の測定結果を図8〜図1
1に示す。これらの図は,いずれも横軸に熱負荷時間
(Hr),縦軸に表面抵抗値(Ω/□)をとったもので
ある。また,熱負荷条件は,図8が200℃,図9が4
00℃,図10が600℃,図11が800℃である。
なお,熱負荷800℃においては,試験の便宜上,試料
E5のみ測定した。
【0054】図8〜図10により知られるごとく,熱負
荷条件が600℃以下の場合には,表面抵抗値は非常に
低い値に維持された。これに対し,図11より知られる
ごとく,熱負荷が800℃の場合には,24時間経過後
において急激に表面抵抗値が増加した。
【0055】次に,図12〜図15に赤外線反射率の測
定結果を示す。これらの図は,いずれも横軸に熱負荷時
間(Hr),縦軸に赤外線反射率(%)をとったもので
ある。また,熱負荷条件は,図12が200℃,図13
が400℃,図14が600℃,図15が800℃であ
る。また,各図には,波長2.6μmの場合を符号E5
1,3.6μmの場合を符号E52として示した。
【0056】図12〜図15により知られるごとく,い
ずれの熱負荷条件においても,非常に優れた熱線遮断効
果が長期間維持された。特に,上記のごとく表面抵抗値
が非常に大きく増加した800℃の熱負荷の場合におい
ても,熱線遮断効果はほぼ初期値が長期間維持された。
【0057】これらの結果は,実施形態例4における結
果をさらに裏付けるものである。即ち,800℃という
高温で薄膜を形成した場合には,少なくともその薄膜形
成温度以下の熱負荷を受けても,初期の表面抵抗値に見
合った熱線遮断効果を長期間維持することができるとい
うことが明確となった。
【0058】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,650
℃以上の高温下においても優れた熱線遮断機能を発揮し
うる耐熱性熱線遮断ガラス及びその製造方法を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,耐熱性熱線遮断ガラス
の構造を示す説明図。
【図2】実施形態例2における,薄膜形成前のガラス基
板の赤外線透過率を示す説明図。
【図3】実施形態例2における,耐熱性熱線遮断ガラス
の赤外線透過率を示す説明図。
【図4】実施形態例3における,赤外線反射率の経時変
化を示す説明図。
【図5】実施形態例3における,蒸着温度と表面抵抗値
との関係を示す説明図。
【図6】実施形態例4における,表面抵抗値の経時変化
を示す説明図。
【図7】実施形態例4における,赤外線反射率の経時変
化を示す説明図。
【図8】実施形態例5における,熱負荷200℃の場合
の表面抵抗値の経時変化を示す説明図。
【図9】実施形態例5における,熱負荷400℃の場合
の表面抵抗値の経時変化を示す説明図。
【図10】実施形態例5における,熱負荷600℃の場
合の表面抵抗値の経時変化を示す説明図。
【図11】実施形態例5における,熱負荷800℃の場
合の表面抵抗値の経時変化を示す説明図。
【図12】実施形態例5における,熱負荷200℃の場
合の赤外線反射率の経時変化を示す説明図。
【図13】実施形態例5における,熱負荷400℃の場
合の赤外線反射率の経時変化を示す説明図。
【図14】実施形態例5における,熱負荷600℃の場
合の赤外線反射率の経時変化を示す説明図。
【図15】実施形態例5における,熱負荷800℃の場
合の赤外線反射率の経時変化を示す説明図。
【符号の説明】
1...耐熱性熱線遮断ガラス, 10...ガラス基板, 2...薄膜,

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板の表面に熱線遮断用の薄膜を
    有する熱線遮断ガラスにおいて,上記ガラス基板は低熱
    膨張性を有すると共にその軟化点が650℃以上であ
    り,かつ,上記薄膜は650℃以上において形成された
    酸化錫系皮膜であることを特徴とする耐熱性熱線遮断ガ
    ラス。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記ガラス基板の熱
    膨張係数は,−10〜+15×10-7/℃であることを
    特徴とする耐熱性熱線遮断ガラス。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記ガラス基
    板は,結晶化ガラスまたは石英ガラスであることを特徴
    とする耐熱性熱線遮断ガラス。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
    上記薄膜の膜厚は,100〜1000nmであることを
    特徴とする耐熱性熱線遮断ガラス。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,
    上記薄膜は,ドーピング剤としてアンチモンを含有して
    いることを特徴とする耐熱性熱線遮断ガラス。
  6. 【請求項6】 低熱膨張性を有すると共に軟化点が65
    0℃以上のガラス基板を準備し,次いで,該ガラス基板
    を650℃以上に加熱すると共に,該ガラス基板上にス
    プレー法又はCVD法により酸化錫系の薄膜を形成する
    ことを特徴とする耐熱性熱線遮断ガラスの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において,上記ガラス基板の熱
    膨張係数は,−10〜+15×10-7/℃であることを
    特徴とする耐熱性熱線遮断ガラスの製造方法。
JP18588397A 1997-06-25 1997-06-25 耐熱性熱線遮断ガラス及びその製造方法 Pending JPH1111982A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010280556A (ja) * 2009-03-31 2010-12-16 Schott Ag 赤外線を反射するガラス板又はガラスセラミック板

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