JPH11117882A - 全密閉形ロータリ圧縮機 - Google Patents

全密閉形ロータリ圧縮機

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JPH11117882A
JPH11117882A JP28405897A JP28405897A JPH11117882A JP H11117882 A JPH11117882 A JP H11117882A JP 28405897 A JP28405897 A JP 28405897A JP 28405897 A JP28405897 A JP 28405897A JP H11117882 A JPH11117882 A JP H11117882A
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JP
Japan
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casing
piston
hole
cylinder chamber
rotary piston
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Application number
JP28405897A
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English (en)
Inventor
Akira Otsuki
晃 大月
Akira Murata
章 村田
Masabumi Nakabashi
正文 中橋
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OASAK SHOJI KAISHA Ltd
OSAKA SHOJI KK
Original Assignee
OASAK SHOJI KAISHA Ltd
OSAKA SHOJI KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転ピストンの端面がシリンダ室の内面に摺
動する部分の油切れを防ぐ。 【解決手段】 シリンダ室15の軸線方向両端部を塞ぐ
第1蓋体17,18に、シリンダ室15の圧縮空間側で
回転ピストン30の端面30aに臨む領域に開口する透
孔を形成する。これによってケーシング3内の空間7を
飛散する潤滑油が、前記透孔を介して回転ピストン30
の端面30aと第1蓋体17のシリンダ室15に臨む端
面30aとが潤滑されて、油切れを防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小形冷凍装置に用
いられる全密閉形ロータリ圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭用空調機器に備えられる小形冷凍装
置において、凝縮器によって液化した冷媒は、膨張弁を
介して蒸発器へ導かれ、外部の空気との熱交換によって
気化熱を吸収して気化し、さらに圧縮機へ導かれ断熱圧
縮されて再び凝縮器へ導かれる。このような小形冷凍装
置に備えられる圧縮機として、全密閉形ロータリ圧縮機
が多く使用されている。
【0003】この全密閉形ロータリ圧縮機は、蒸発器に
連通する供給口および凝縮器に連通する吐出口を有する
ケーシングと、ケーシング内に収納される圧縮ポンプ
と、ケーシング内に収納され、圧縮ポンプよりも上方に
配置されるモータとを備える。
【0004】圧縮ポンプは、ポンプ本体と、回転ピスト
ンと、ベーンとを有する。ポンプ本体は、シリンダ室
と、このシリンダ室に前記ケーシングの冷媒ガスの供給
口に連通する給気孔と、圧縮ポンプおよびモータを除く
ケーシング内の空間に連通する排気孔とを有する。
【0005】回転ピストンは、前記シリンダ室に収納さ
れるロータと、このロータに外挿される円環状のピスト
ン本体とを有する。ロータは、ロータの中心軸線から偏
心した鉛直回転軸線を有する回転軸に一体的に形成され
る。ベーンは、ポンプ本体の前記給気孔および排気孔間
に形成されるベーン嵌合溝に嵌合し、先端部が回転ピス
トンの外周面に弾発的に当接する。回転ピストンは、モ
ータによって前記鉛直回転軸線まわりに円運動し、これ
によって回転ピストンの軸線方向両端面が、シリンダ室
の前記両端面に臨む各内面に摺動する。シリンダ室は、
回転ピストンおよびベーンによって、給気孔に連通する
吸引空間と、排気孔に連通する圧縮空間とに仕切られ
る。
【0006】このような全密閉形ロータリ圧縮機におい
て、冷媒ガスは、回転ピストンがモータによって前記鉛
直回転軸線まわりに円運動することによって、前記ケー
シングの供給口からポンプ本体の給気孔を介してシリン
ダ室に吸引される。シリンダ室に吸引された冷媒ガス
は、回転ピストンの円運動によって圧縮されて高圧とな
り、排気孔からケーシング内の空間の下部領域に排気さ
れる。前記下部領域に排気された高圧の冷媒ガスは、ケ
ーシングの空間内を上昇して吐出口から吐出され、凝縮
器へ導かれる。前記ケーシング内に収納されるモータ
は、圧縮ポンプから排気された前記下部領域から上昇す
る高圧の冷媒ガスによって冷却される。
【0007】また回転ピストンとポンプ本体とを潤滑す
るために、ケーシングの底部には、潤滑油を貯留する貯
留槽が設けられ、回転ピストンの前記回転軸の下端部
が、貯留槽内の潤滑油に部分的に浸漬するように配置さ
れる。回転ピストンの回転軸には、その軸線方向に延び
て軸線方向両端面で開口する中央孔が形成され、さらに
回転軸に一体的に形成されるロータには、このロータの
軸線方向中央部付近で、前記中央孔からロータの一半径
線方向に延び、ロータの外周面上でピストン本体の内周
面に臨んで開口する連通孔が形成される。回転軸の前記
中央孔内には、スクリュー状のインペラが前記回転軸線
に同軸に装着される。
【0008】モータによって回転軸が回転駆動される
と、潤滑油はインペラによる吸引力によって吸引され、
中央孔内を上昇する。このようにして中央孔内を上昇す
る潤滑油の一部は、回転軸の上端部の開口からケーシン
グ内の空間の上部領域に吐出され、残部は、前記連通孔
を介してロータの外周面とピストン本体の内周面との間
に導かれる。
【0009】回転軸の上端部の開口から前記上部領域に
吐出される潤滑油は、ケーシング内の空間を飛散して上
部領域から下降し、ケーシングの内周面、モータの駆動
部および圧縮ポンプの外表面上などを伝って前記貯留槽
に回収される。
【0010】前記連通孔を介してロータの内周面とピス
トン本体の外周面との間に導かれた潤滑油は、モータに
よる回転軸の回転駆動によって発生する遠心力と、シリ
ンダ室内の低圧冷媒ガスの圧力およびケーシング内の空
間の高圧冷媒ガスに同圧である連通孔内の圧力間の圧力
差とによって、回転ピストンの軸線方向両端面とシリン
ダ室の前記軸線方向両端面に対向する各内面とのわずか
な隙間に侵入して、回転ピストンの軸線方向両端面、す
なわち回転ピストンの前記シリンダ室の各内面と摺動す
る摺動面を潤滑する。回転ピストンの前記摺動面を潤滑
した潤滑油は、前記遠心力および圧力差によって、吸引
空間または圧縮空間に導かれ、冷媒ガスとともに圧縮さ
れて前記ケーシング内の空間の下部領域に噴出、飛散し
て冷媒ガスと分離され、貯留槽に回収される。このよう
にして回転ピストンの摺動面を潤滑する循環系を構成し
て、回転ピストンおよびシリンダ本体の摩耗の防止とと
もに、シリンダ室内の吸引空間と圧縮空間とのシール、
さらに回転ピストンのシリンダ室の前記各内面との直接
接触による騒音の発生の防止、回転ピストンおよびシリ
ンダ室の各内面の冷却を図っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら全密閉形
ロータリ圧縮機の運転中において、前記回転軸の中央孔
から連通孔に導かれた潤滑油は、主に回転ピストンの前
記摺動面で、前記圧縮空間側の領域よりも低圧である吸
引空間側の領域に導かれるので、回転ピストンの前記摺
動面を全面にわたって均一に潤滑することができなくな
り、前記圧縮空間側の領域で油膜切れが発生する恐れが
ある。
【0012】また全密閉形ロータリ圧縮機の起動時にお
いて、潤滑油がケーシング底部の貯留槽から、中央孔お
よび連通孔を介して回転ピストンの前記シリンダ室との
摺動面まで導かれるまでに時間がかかり、油膜切れのま
ま回転ピストンがシリンダ室の内面に摺動することにな
る。
【0013】このように回転ピストンの前記摺動面で油
膜切れが発生すると、回転ピストンがシリンダ室の各
内面に直接接触することによる騒音の発生防止、回転
ピストンとシリンダ室の各内面との摩耗の防止、シリ
ンダ室の吸引空間と圧縮空間とのシール、回転ピスト
ンおよびシリンダ室の各内面の冷却、を充分に行うこと
ができないという問題を有する。
【0014】本発明の目的は、回転ピストンの摺動面を
全面にわたって確実に潤滑して、回転ピストンとシリン
ダ室の内面とが直接接触することによる騒音の発生を防
止するとともに、回転ピストンの摩耗を阻止し、かつシ
リンダ室内の吸引空間と圧縮空間とのシール性の確保、
および前記回転ピストンとシリンダ本体との冷却を行う
ようにした全密閉形ロータリ圧縮機を提供することであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、冷媒ガスの供給口と吐出口とを有するケーシング
と、ケーシング内に収納されるモータと、ケーシング内
に収納され、モータによって回転駆動されるロータにピ
ストン本体が外挿される回転ピストンと、この回転ピス
トンの外周面に弾発的に当接するベーンとによってシリ
ンダ室に前記供給口に連通する吸引空間と前記吐出口に
連通する圧縮空間とが形成され、ケーシング内に飛散す
る潤滑油によって潤滑する圧縮ポンプとを含み、前記圧
縮ポンプは、シリンダ室が形成されるシリンダ本体と、
モータの出力軸が挿通する第1ボス部と、第1ボス部の
軸線方向一端部に一体的に形成される第1フランジ部と
を有し、シリンダ室をシリンダ本体の軸線方向一端部側
から塞ぐ第1蓋体と、モータの出力軸が挿通する第2ボ
ス部と、第2ボス部の軸線方向一端部に一体的に形成さ
れる第2フランジ部とを有し、シリンダ室をシリンダ本
体の軸線方向他端部側から塞ぐ第2蓋体とを含み、第1
および第2蓋体のうち少なくともいずれか一方には、前
記圧縮空間側で回転ピストンに臨む予め定める領域で開
口する透孔が形成されることを特徴とする全密閉形ロー
タリ圧縮機である。
【0016】本発明に従えば、ケーシング内に収納され
る圧縮ポンプのシリンダ本体に形成されるシリンダ室
は、第1および第2蓋体によってシリンダ本体の軸線方
向両端部側から塞がれる。シリンダ室内には、回転ピス
トンが、第1および第2蓋体を挿通する出力軸によって
回転駆動可能に配置され、またベーンが、回転ピストン
の外周面に弾発的に当接した状態で配置される。これら
回転ピストンとベーンとによって、シリンダ室には前記
供給口に連通する吸引空間と、前記吐出口に連通する圧
縮空間とが形成される。第1および第2蓋体のうち少な
くともいずれか一方には、回転ピストンに臨む領域で開
口する透孔が形成される。
【0017】このような構成において、回転ピストンが
モータによって回転駆動されると、冷媒ガスが供給口か
らシリンダ室の吸引空間に導かれ、圧縮されて、ケーシ
ング内の前記圧縮ポンプおよびモータを除く空間を介し
て吐出口から吐出される。また回転ピストンがモータに
よって回転駆動されている状態では、ケーシング内の前
記空間に潤滑油が飛散し、この潤滑油の一部は、回転ピ
ストンの前記第1および第2蓋体と摺動する端面の圧縮
空間側の領域に、透孔を介して導かれる。
【0018】このように本発明の構成では、前記透孔
が、回転ピストンの前記端面の圧縮空間側に臨む領域に
開口して形成されるので、回転ピストンの前記モータに
よる遠心力と、シリンダ室内の圧縮空間および吸引空間
の圧力差とを利用して、回転ピストンの前記端面の全面
にわたって潤滑油を供給することができる。これによっ
て回転ピストンの摺動による騒音の発生量を減少させる
とともに、回転ピストンおよびシリンダ室の摩耗を防
ぎ、シリンダ室の吸引空間と圧縮空間とのシールを確実
にして、さらに前記回転ピストンの摺動面を充分に冷却
することができる。
【0019】また回転ピストンの回転駆動が停止された
ときは、ケーシング内の前記空間を飛散していた潤滑油
の一部が、前記一方または両方の蓋体の透孔に導かれて
貯留され、再び回転ピストンが回転駆動を開始すると、
前記透孔内に貯留された潤滑油は回転ピストンの回転駆
動に伴って、前記回転ピストンの摺動面に導かれるの
で、起動時においても上述した効果を迅速に達成するこ
とができる。
【0020】請求項2記載の本発明は、請求項1記載の
発明の構成において、第2蓋体は、圧縮空間内で圧縮さ
れた冷媒ガスが流出するガス流出孔を有し、このガス流
出孔は、冷媒ガスの噴出によって発生する音が最小とな
る断面形状を有することを特徴とする請求項1記載の全
密閉形ロータリ圧縮機である。
【0021】本発明に従えば、第2蓋体には、シリンダ
室の圧縮空間内で圧縮された冷媒ガスをケーシング内の
空間に流出するためのガス流出孔が形成される。このガ
ス流出孔の断面形状、すなわち軸直角断面の形状および
大きさは、たとえば形状を円筒形、高さを一定としたと
き、内径は、冷媒ガスが噴出するときに発生する音が最
小となるように選ばれる。前記内径は、冷媒ガスの種
類、圧力、および流速などの各種の条件によって任意に
異なる値に選ばれるけれども、たとえば所定の形状に対
して、冷媒ガスの噴出音が最小となる大きさを実験によ
って決定することができる。これによって冷媒ガスの噴
出音が最小となるので、前記冷媒ガスの噴出音である振
動が、ケーシング内の空間の冷媒ガスを介してケーシン
グに伝達されて騒音が発生するということが防がれる。
【0022】請求項3記載の本発明は、請求項2記載の
発明の構成において、シリンダ本体には、前記ガス流出
孔に連通し、ベーンが嵌まり込むベーン嵌合溝に回転ピ
ストンの回転方向上流側で近接し、圧縮空間内で圧縮さ
れた冷媒ガスが噴出するガス噴出孔が形成されることを
特徴とする。
【0023】本発明に従えば、シリンダ本体には、前記
ガス流出孔に連通するガス噴出孔が形成される。このガ
ス噴出孔は、シリンダ本体の前記ベーンが嵌合するベー
ン嵌合溝に、回転ピストンの回転方向上流側で近接して
形成されるので、ガス噴出孔が前記ベーン嵌合溝孔に近
接して形成されない構成と比較して、一定の噴出圧力を
確保するとして、回転ピストンの1回転当たりの押しの
け量を多くすることができる。したがって予め定める噴
出圧力および噴出流量を噴出する圧縮ポンプを構成する
場合に、本発明の構成では、前記予め定める噴出圧力お
よび噴出流量を、ガス噴出孔が前記ベーン嵌合溝に近接
して形成されない構成と比較して、少ない回転数で得る
ことができる。したがって回転ピストンの必要回転数を
減少させて、回転ピストンの回転による騒音の発生量を
減少させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある全密閉形ロータリ圧縮機1および全密閉形ロータリ
圧縮機1に接続されるアキュームレータ2を示す断面図
である。全密閉形ロータリ圧縮機1は、小形冷凍装置に
備えられる圧縮機であり、基本的には、鋼製のケーシン
グ3と、ケーシング3内に収納され、鉛直方向に延びる
回転軸4を有する圧縮ポンプ5と、ケーシング3内の前
記圧縮ポンプ5よりも上方の領域に収納され、圧縮ポン
プ5の回転軸4を回転駆動するモータ6とを含み、モー
タ6によって圧縮ポンプ5の回転軸4を回転駆動させる
ことによって、蒸発器において気化した冷媒ガスを、ア
キュームレータ2を介して圧縮ポンプ5のシリンダ室1
5内に吸引して圧縮し、ケーシング3内の前記圧縮ポン
プ5およびモータ6を除く空間7の下部領域に噴出し、
前記空間7の上部領域に上昇させて、吐出口から蒸発器
へ吐出するように構成される。
【0025】ケーシング3は、円筒状の形状を有し、冷
媒ガスの供給口8が形成されるケーシング本体9と、冷
媒ガスの吐出口10が形成され、ケーシング本体9の上
端部を気密に塞ぐ上蓋11と、ケーシング本体9の下端
部を気密に塞ぐ下蓋12とから成る。ケーシング3は、
下蓋12が略円錐台状の形状を有し、その頭部がブラケ
ット13に嵌合して固定され、このブラケット13を介
してボルトおよびナットなどの手段によって小形冷凍装
置の枠体14に固定される。
【0026】圧縮ポンプ5は、シリンダ室15が形成さ
れるシリンダ本体16と、シリンダ室15をシリンダ本
体16の軸線方向一端部側(図1では上側)から塞ぐ第
1蓋体17と、シリンダ室15をシリンダ本体16の軸
線方向他端側(図1では下側)から塞ぐ第2蓋体18と
を備える。
【0027】モータ6は、たとえば誘導電動機によって
実現される。このモータ6は、回転軸4の上端部に固定
される回転子19と、前記ケーシング本体9の内面に固
定される固定子20とから成り、外部電源に前記上蓋1
1に設けられるターミナル21を介して電気的に接続さ
れる。固定子20の外周部には、ケーシング本体9に固
定された状態で周方向に間隔をあけてケーシング本体9
の内周面よりも半径方向内方に退避して形成される隙間
が複数設けられる。この隙間によって、前記圧縮ポンプ
5から噴出した冷媒ガスが前記ケーシング3内の空間の
下部領域から上部領域へ上昇することを許容し、このケ
ーシング3内の空間7を上昇する冷媒ガスによってモー
タ6は冷却される。
【0028】アキュームレータ2は、図示しない蒸発器
と全密閉形ロータリ圧縮機1とを接続する吸込み蒸気配
管22a,22b間に配設され、前記ケーシング本体9
の外周面に溶接される取付台23に、防振ゴム24によ
って固定される。このアキュームレータ2は、蒸発器か
ら供給される吸込みガスの中に冷媒液(液滴)が混入し
たとき、冷媒液と蒸気とに分離して、蒸気だけを吸込
み、蒸気配管22bから供給口8へ供給するように構成
される。
【0029】吸込み蒸気配管22aの先端部および吐出
口10には、キャップ25,26がそれぞれ取付けられ
る。各キャップ25,26は、吸込み蒸気配管22aの
先端部および吐出口10が嵌合する筒状の嵌合凹所を有
し、この嵌合した状態でピン27,28が圧入されるこ
とによって内側部分が膨らんでアキュームレータ2およ
びケーシング3内の空間7と、外部空間とが気密に塞が
れる。
【0030】これら吸込み蒸気配管22aの先端部およ
び吐出口10に、蒸発器および凝縮器を接合するときに
は、前記ピン27,28を取外し、ピン孔を貫通させて
接続管の内側面をキャップ25,26の外周面に嵌め込
む。これによって接続部のゴムが圧縮されて密着しシー
ルされる。
【0031】図2は、図1の切断面線II−IIから見
た拡大断面図である。なお、図2では、アキュームレー
タ2、ブラケット13およびインペラ108を省略して
示す。圧縮ポンプ5のシリンダ室15には、回転ピスト
ン30が収納される。回転ピストン30は、回転軸4の
鉛直回転軸線から偏心した中心軸線を有し、回転軸4に
一体的に形成されるロータ31と、ロータ31に外挿さ
れる円環状のピストン本体32とから成る。この回転ピ
ストン30の外周面には、ベーン33の先端部がコイル
ばね34のばね力によって弾発的に当接する。
【0032】モータ6によって回転軸4が前記鉛直回転
軸線まわりに矢符A方向に回転駆動されると、回転ピス
トン30が前記鉛直回転軸線まわりに矢符A方向に円運
動し、ベーン33は前記円運動に同期して往復運動す
る。回転ピストン30およびベーン33は、第1および
第2蓋体17,18の各内面との間に0.1mm程度の
わずかな隙間をあけて収納され、これらベーン33と回
転ピストン30とによってシリンダ室15は、吸引空間
35と圧縮空間36とに仕切られる。
【0033】図3はシリンダ本体16を示す底面図であ
り、図4は図3の切断面線IV−IVから見た断面図で
ある。なお、図3は図1の下方から見た図である。シリ
ンダ本体16は、シリンダ室15を規定する円筒形状の
シリンダ部41と、シリンダ部41の外周面から、後述
する予め定める領域でシリンダ部41の半径方向外方へ
突出する第1および第2フランジ片42,43とから成
る。シリンダ部41および第1フランジ片42は、前記
ベーン33が嵌合するベーン嵌合溝44と、ベーン33
を回転ピストン30の外周面に弾発的に当接するための
コイルばね34を収納するばね収納孔45を有する。ま
たベーン嵌合溝44よりも前記矢符A方向下流側には、
給気孔46が形成される。給気孔46は、第1フランジ
片42の外周面で開口する開口部を有し、この開口部
は、前記供給口8を介して吸込み蒸気配管22bの一端
部が連結する。
【0034】ベーン嵌合溝44は、大略的にU状に形成
され、シリンダ部41の周方向にベーン33の厚みより
もわずかに大きな間隔ΔTを有する。このベーン嵌合溝
44の底部56は、前記間隔ΔTよりも大きく、かつば
ね収納孔45よりも小さな直径の半円弧状に湾曲して形
成される。このようにベーン嵌合溝44の底部56はベ
ーン33の厚みよりも大きな直径を成して湾曲して形成
されるので、回転ピストン30の回転駆動に伴ってベー
ン33が往復移動する際に、ベーン33の底部が前記底
面56に当接したとしても、ベーン33の底部を噛込ま
ず、容易に離脱させることができる。
【0035】シリンダ部41は、シリンダ部41の厚み
方向に貫通する複数のねじ孔49〜53およびガス孔5
4,55を有する。第1〜第5ねじ孔49〜53は、シ
リンダ部41の周方向に相互に間隔をあけて形成され、
各内面にはねじ溝が刻設される。第1および第2ガス孔
54,55は、シリンダ部41の前記第1〜第5ねじ孔
49〜53とは異なる領域で、シリンダ部41の中心軸
線に関して相互に対向した位置に、シリンダ部41の厚
み方向に貫通して形成される。
【0036】第1フランジ片42は、ベーン嵌合溝4
4、ばね収納孔45および給気孔46とは異なる領域
で、第1フランジ片42の厚み方向に貫通する第1貫通
孔57が形成される。また第2フランジ片43には、そ
の厚み方向に貫通する第2貫通孔58が形成される。さ
らに第1および第2フランジ片42,43の周方向端面
と、シリンダ部41の外周面の外部に露出する部分とに
よって、溝59,60が規定される。これらの第1およ
び第2貫通孔57,58および溝59,60によって、
図1に示されるようにシリンダ本体16をケーシング3
の内面に固定した状態で、ケーシング3内の空間のシリ
ンダ本体16よりも上部の領域と下部の領域とが連通す
る。
【0037】図5は図3のセクションVを拡大して示す
底面図であり、図6は図5の切断面線VI−VIから見
た断面図である。シリンダ部41の前記ベーン嵌合溝4
4に矢符A方向上流側に近接した位置には、ガス噴出孔
61が形成される。このガス噴出孔61は、軸直角断面
形状が半円弧状であり、このガス噴出孔61の前記矢符
A方向下流側端部62は、ベーン嵌合溝44の前記矢符
A方向上流側端部に連なる。
【0038】このようにガス噴出孔61は、前記ベーン
嵌合溝44に回転ピストン30の回転方向上流側に近接
して形成されるので、ガス噴出孔61が前記ベーン嵌合
溝44に近接して形成されない構成と比較して、一定の
ガス噴出圧力を確保するとして、回転ピストン30の1
回転当たりの押しのけ量を多くすることができる。した
がって予め定めるガス噴出圧力および予め定めるガス噴
出流量を前記ガス噴出孔61から噴出するときに、本実
施形態の構成では、前記予め定めるガス噴出圧力および
ガス噴出流量を、回転ピストン30の少ない回転数で得
ることができる。したがって、予め定める前記圧力およ
び流量を得るために必要な回転ピストン30の回転数を
減少させて、回転ピストン30の回転による騒音の発生
量を減少させることができる。
【0039】図7は第1蓋体17を示す平面図であり、
図8は図7の切断面線VIII−VIIIから見た断面
図であり、図9は第1蓋体17の底面図である。第1蓋
体17は、前記回転軸4の上端部を軸支する第1ボス部
65と、第1ボス部65の軸線方向一端部に一体的に形
成される第1フランジ部66とを有する。第1ボス部6
5および第1フランジ部66とが連なる部分には、前記
第1ボス部65の軸線方向一端部から他端部になるにつ
れて、中心軸線67に近接する方向に傾斜するテーパ面
68が形成される。
【0040】第1フランジ部66は、複数の第1〜第5
ボルト挿通孔69〜73と、第1および第2ガス孔7
4,75とを有する。第1フランジ部66の外径は、シ
リンダ本体16のシリンダ部41の外径とほぼ同じ大き
さであり、第1〜第5ボルト挿通孔69〜73は、前記
シリンダ部41の第1〜第5ねじ孔49〜53に対応し
た位置に配設される。第1蓋体17は、第1〜第5ボル
ト挿通孔69〜73にボルトを挿通させ、シリンダ部4
1の第1〜第5ねじ孔49〜53に螺着させてシリンダ
部41の一端面に取付けられる。
【0041】第1ボス部65は、前記回転軸4が摺接す
る軸受面76と、この軸受面76よりも第1ボス部65
の半径方向内方に退避して形成される油溝77とを有す
る。油溝77は、軸受面76の前記軸線方向全長にわた
って延び、第1ボス部65の軸線方向一端部から他端部
側になるに連れて、矢符A方向下流側に傾斜して形成さ
れる。
【0042】図10は、図8のセクションXを示す拡大
断面図である。なお、図10では油溝77を省略して示
す。図1、図2および図7〜図9をも参照して、第1蓋
体17には、透孔79が形成される。
【0043】この透孔79の軸線方向一端部は、第1蓋
体17の内面80の前記回転ピストン30の上端面30
aに臨む領域であって、かつ前記圧縮空間36側の領域
で開口し、また透孔79の軸線方向他端部は、前記テー
パ面68よりも退避して形成される円筒状の溝81の底
面82で開口する。この透孔79は、前記中心軸線67
および透孔79の軸線を含む一仮想平面において、第1
蓋体17の内面80から前記底面82に向かうに連れ
て、前記中心軸線67から遠ざかる方向に角度θ1を成
して傾斜して形成される。
【0044】図11は第2蓋体18を示す底面図であ
り、図12は図11の切断面線XII−XIIから見た
断面図である。第2蓋体18は、前記回転軸4の下端部
を軸支する第2ボス部83と、第2ボス部83の軸線方
向一端部に一体的に形成される第2フランジ部84とを
有する。
【0045】第2フランジ部84は、ガス流出孔85と
吐出し弁装着溝86と、第1〜第5ボルト挿通孔89〜
93と、第1および第2ガス孔94,95とを有する。
ガス流出孔85は、第2蓋体18の内面97と吐出し弁
装着溝86の弁座96とを貫通する円筒状の形状を有
し、図1に示すように第2蓋体18がシリンダ本体16
に取付けられた状態で、前記ガス噴出孔61に連通する
ように形成される。吐出し弁装着溝86には、図示しな
い吐出し弁が装着される。この吐出し弁は、弁板の一端
部を固定し、他端部を弁座96に当接させて、ガス流出
孔85をシールし、噴出圧力がかかれば自動的に一方方
向に開いて圧縮された冷媒ガスの通過を許容するように
構成される。
【0046】第1〜第5ボルト挿通孔89〜93ならび
に第1および第2ガス孔94,95は、シリンダ部41
の第1〜第5ねじ孔49〜53ならびに第1および第2
ガス孔54,55に対応するようにそれぞれ配設され
る。第2蓋体18は、第1〜第5ボルト挿通孔89〜9
3を挿通するボルトによってシリンダ本体16の下端面
に取付けられる。
【0047】第2ボス部83は、回転軸4の下端部に摺
接する軸受面98と、軸受面98よりも第2蓋体18の
半径方向内方に退避して形成される油溝99とを有す
る。油溝99は第2蓋体18の軸線に沿う方向に延び、
第2ボス部83の軸線方向全長にわたって形成される。
【0048】再び図1を参照して、第2蓋体18には、
第2ボス部83の外周面および第2フランジ部84の外
表面を覆うカバー100が取付けられる。カバー100
は鋼製であり、第1、第3および第4ボルト挿通孔8
9,91,92を挿通するボルトによって第2蓋体18
に固定される。
【0049】このように構成されるシリンダ本体16な
らびに第1および第2蓋体17,18において、前記圧
縮空間36で圧縮された冷媒ガスは、ガス噴出孔61を
介してガス流出孔85、第2蓋体18およびカバー10
0によって規定される空間100a内に噴出する。前記
ガス流出孔85の内径D1は、この冷媒ガスが噴出する
ときに発生する音が最小となるように選ばれる。この内
径D1は、冷媒ガスの種類、噴出圧力および流速などの
各種の条件によって任意に異なる値に選ばれるけれど
も、実験によって決定することができる。冷媒ガスの種
類をR22、冷媒ガスの流速を100〜110m/s、
ガス流出孔85の軸直角断面の形状を円筒形状とし、冷
媒ガスの噴出圧力を18〜20kg/cm2 としたと
き、本発明者らは実験によって前記内径D1が10mm
のとき前記噴出音が最小となることを確認している。
【0050】一般的に冷媒ガスが相対的に静止している
冷媒ガス中に流れ込んで混合されると、この混合液で
は、速度勾配が発生し、渦が生じる。この渦は、発生お
よび消滅を繰返して、でたらめな状態で運動する。これ
によってカバー100を介して、ケーシング3内の空間
に充満する冷媒ガスおよびハウジング3が振動して広い
範囲の周波数、可聴域ではほぼ全域の周波数にわたって
騒音が発生することになる。本実施形態では、このよう
な渦の発生を抑えるために、ガス流出孔85の内径D1
を、前記渦が発生しないような大きさに選んで、前記騒
音を防ぐことができる。
【0051】空間100a内に噴出した冷媒ガスは、シ
リンダ本体16ならびに第1および第2蓋体17,18
に形成される第1および第2ガス孔54,55;74,
75;94,95を通過して前記ハウジング3内の空間
の圧縮ポンプ5よりも上部の領域に導かれる。このよう
にシリンダ室15内で圧縮された冷媒ガスをシリンダ室
15よりも下方の空間100aに導き、さらにシリンダ
室15よりも上方の前記上部の領域に導くことによっ
て、圧縮ポンプ5を冷媒ガスおよび油分によって好適に
冷却することができる。
【0052】図13は回転軸4およびロータ31を示す
正面図であり、図14は図13の切断面線XIV−XI
Vから見た断面図である。回転軸4はその軸線方向全長
にわたって延び、軸線方向両端面101,102でそれ
ぞれ開口する中央孔103と、軸線方向中間部付近で、
前記中央孔103からロータ31の一半径線方向に延
び、ロータ31の外周面104上で開口する連通孔10
5とを有する。中央孔103は、回転軸4の下端面であ
る一端面101において直径D2を有し、前記軸線方向
一端側から他端側になるに連れて段階的に縮径して、前
記軸線方向他端部では、前記直径D2よりも小さな直径
D3を有する。中央孔103の前記他端面102側の開
口106は、前記軸線方向一端部側から他端部側になる
に連れて前記軸線から離反する方向に傾斜するテーパ面
106aを有する。
【0053】連通孔105は、ロータ31の外周面10
4で略楕円形状の開口107を有する。開口107は、
前記楕円の長軸がロータ31の軸線方向に沿う方向に配
置される。
【0054】また中央孔103の前記軸線方向一端部の
開口109付近には、図1に示されるようにスクリュー
状のインペラ108が前記軸線と同軸に位置決めして固
定される。
【0055】図15はケーシング本体9の正面図であ
り、図16は図15の切断面線XVI−XVIから見た
断面図である。ケーシング本体9には、シリンダ本体1
6の第1および第2フランジ片42,43の外周面が配
置されるべき領域に、前記供給口8からケーシング本体
9の周方向に予め定める間隔をあけて、第1〜第3溶接
孔111〜113が、ケーシング本体9の厚み方向に貫
通して形成される。
【0056】第1〜第3溶接孔111〜113は、図1
6の紙面の上方から見て、反時計まわり方向を正とする
と、ケーシング本体9の中心軸線および供給口8の中心
軸線を含む一仮想平面から角度θ2,θ3およびθ4を
成して傾斜した各軸線をそれぞれ有する。角度θ2は、
たとえば43°程度に選ばれ、角度θ3は170°程度
に選ばれ、角度θ4は297°程度に選ばれる。
【0057】このようなケーシング本体9に圧縮ポンプ
5を装着するときは、ケーシング本体9に圧縮ポンプ5
が挿入された状態で、第1および第2溶接孔111,1
12がシリンダ本体16の第1フランジ片42の外周面
に臨むように、かつ第3溶接孔113が前記第2フラン
ジ片43の外周面に臨むように配置され、この状態で各
溶接孔111〜113を介して、ケーシング本体9とシ
リンダ本体16とを3点同時に溶接して固定する。この
ようにして固定された状態では、回転ピストン33が4
000rpm程度で回転した際に、ケーシング3の振動
が最も小さくなることが本発明者らの実験によって確認
されている。
【0058】再び図1を参照して、ケーシング3の下蓋
12によって、潤滑油を貯留する貯留槽が形成される。
この貯留槽に貯留される潤滑油は、モータ6によって回
転軸4が回転駆動されると、回転軸4の一端面101に
開口する中央孔103の開口109からインペラ108
による吸引力によって吸引され、中央孔103内を上昇
する。このようにして中央孔103内を上昇する潤滑油
の一部は、回転軸4の前記開口106から噴出し、残部
は上述した従来技術と同様に挿通孔105を介してロー
タ31の外周面104とピストン本体32の内周面との
間に導かれる。
【0059】ロータ31の外周面104とピストン本体
32の内周面との間に導かれた潤滑油の一部は、ピスト
ン本体32と第1または第2蓋体17,18との間のわ
ずかな隙間で、主に吸引空間36間の領域に導かれ、ま
た残部は第1および第2ボス部65,83の各油溝7
7,99へ導かれて、回転軸4の回転駆動に伴って各軸
受面76,98を潤滑する。第1ボス部65の油溝77
に導かれた潤滑油は、上部開口から流出して第1ボス部
65の外周面を伝い、その一部は透孔79に導かれる。
第1ボス部65の油溝77は、上述したように中心軸線
67に対し角度θ1を成して回転軸4の回転方向A下流
側に傾斜して形成されるので、中心軸線67に対して傾
斜しない構成と比較して、潤滑油を下部から上部へ円滑
に導くことができる。
【0060】前記開口106から噴出した潤滑油は、モ
ータ6の回転子19の上端部に設けられるオイルセパレ
ータ110によって、主にモータ6の回転子19と固定
子20との間の隙間に導かれ、下降する。前記開口部1
06はテーパ面106aが形成されるので、開口部10
6から噴出する油を前記鉛直回転軸線に対して傾斜した
方向へまき散らすことができる。これによって潤滑油を
一部に備わって噴出させることなく、モータ6の回転子
19と固定子20との隙間にモータ6の周方向全長にわ
たって潤滑油を導くことができる。また前記中央孔10
3は、軸線方向一端部から他端部、すなわち軸線方向上
端部側から下端部側になるに連れてその内径が小さくな
るように形成されるので、潤滑油を下部から上部へ円滑
に導くことができる。
【0061】ケーシング3内の空間7に飛散した潤滑油
は、回転子19と固定子20との間を通過した潤滑油お
よび油溝77から第1ボス部65の外周面に導かれた潤
滑油も含めて、さらに下方の圧縮ポンプ5へ導かれる。
これらの潤滑油はその大部分が、前記第1および第2貫
通孔57,58ならびに各溝59,60を介して貯留槽
へ導かれ、残部が透孔79を介して回転ピストン30の
上端面30aに導かれる。
【0062】図17は回転ピストン30が前記鉛直回転
軸線を中心に1回転するときの第1蓋体17と回転ピス
トン30との間の潤滑油の流れを説明するための模式図
であり、図17(1)は回転ピストン30が予め定める
位置に達したときの状態を示す図であり、図17(2)
は回転ピストン30が予め定める位置から90度だけ角
変位した位置に達したときの状態を示す図であり、図1
7(3)は回転ピストン30が予め定める位置から18
0度だけ角変位した位置に達したときの状態を示す図で
あり、図17(4)は回転ピストン30が予め定める位
置から270度だけ角変位した位置に達したときの状態
を示す図である。なお、図17では、上述した従来技術
において回転ピストンの上下端面および第1蓋体の内面
で潤滑油が不足する領域を斜線を付して示す。
【0063】モータ6によって回転ピストン30が矢符
A方向に回転駆動される。回転ピストン30の外周面と
シリンダ室15の内周面とが接触しないとき、すなわち
回転ピストン30の外周面がベーン33の先端にだけ接
触しているときの回転ピストン30の位置を「予め定め
る位置」とする。
【0064】図17(1)に示すように回転ピストン3
0が予め定める位置に達したときには、シリンダ室15
内は供給圧の冷媒ガスによって満たされる。
【0065】図17(2)に示されるように、回転ピス
トン30が予め定める位置から90度だけ角変位された
状態では、シリンダ室15の圧縮空間36内の冷媒ガス
の圧力は、前記供給圧よりも増加しており、中央孔10
3および連通孔105を介して、回転ピストン30の上
下端面30a,30bならびに第1および第2蓋体1
7,18の各内面80,97間の隙間に導かれる潤滑油
は、主に吸引空間35側の領域に供給され、圧縮空間3
6側の領域には、主に前記透孔79を通過した潤滑油が
供給される。
【0066】図17(3)に示されるように回転ピスト
ン30が180度だけ角変位した状態では、圧縮空間3
6内の冷媒ガスの圧力はさらに増加し、次に図17
(4)に示されるように回転ピストン30はさらに矢符
A方向に角変位した状態では、圧縮空間36内の圧力は
さらに大となる。このような状態であっても透孔79を
介して供給される潤滑油によって、回転ピストン30の
前記上端面30aの圧縮空間36側の領域に導くことが
できる。
【0067】これによって回転ピストン30の上端面3
0aと第1蓋体17の内面80との直接接触による騒音
の発生量を減少させ、回転ピストン30および第1蓋体
17の耐摩耗性の向上、冷却および吸引空間35と圧縮
空間36とのシールを確実にすることができる。また回
転軸4およびロータ31が停止している状態では、ケー
シング3の空間7を飛散する潤滑油の一部が、透孔79
内に導かれて貯留される。再び回転ピストン30が回転
駆動を開始すると、前記透孔79内に貯留されていた潤
滑油が回転ピストン30の回転に伴って、回転ピストン
30と第1蓋体17との隙間に導かれ、起動時において
も前記回転ピストン30の回転駆動を円滑に行い、上述
した効果を迅速に達成することができる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、ケーシング内に収納さ
れる圧縮ポンプのシリンダ本体に形成されるシリンダ室
は、第1および第2蓋体によってシリンダ本体の軸線方
向両端部側から塞がれる。シリンダ室内には、回転ピス
トンが、第1および第2蓋体を挿通する出力軸によって
回転駆動可能に配置され、またベーンが、回転ピストン
の外周面に弾発的に当接した状態で配置される。これら
回転ピストンとベーンとによって、シリンダ室には前記
供給口に連通する吸引空間と、前記吐出口に連通する圧
縮空間とが形成される。第1および第2蓋体のうち少な
くともいずれか一方には、回転ピストンに臨む領域で開
口する透孔が形成される。
【0069】このような構成において、回転ピストンが
モータによって回転駆動されると、冷媒ガスが供給口か
らシリンダ室の吸引空間に導かれ、圧縮されて、ケーシ
ング内の前記圧縮ポンプおよびモータを除く空間を介し
て吐出口から吐出される。また回転ピストンがモータに
よって回転駆動されている状態では、ケーシング内の前
記空間に潤滑油が飛散し、この潤滑油の一部は、回転ピ
ストンの前記第1および第2蓋体と摺動する端面の圧縮
空間側の領域に、透孔を介して導かれる。
【0070】このように本発明の構成では、前記透孔
が、回転ピストンの前記端面の圧縮空間側に臨む領域に
開口して形成されるので、回転ピストンの前記モータに
よる遠心力と、シリンダ室内の圧縮空間および吸引空間
の圧力差とを利用して、回転ピストンの前記端面の全面
にわたって潤滑油を供給することができる。これによっ
て回転ピストンの摺動による騒音の発生量を減少させる
とともに、回転ピストンおよびシリンダ室の摩耗を防
ぎ、シリンダ室の吸引空間と圧縮空間とのシールを確実
にして、さらに前記回転ピストンの摺動面を充分に冷却
することができる。
【0071】また回転ピストンの回転駆動が停止された
ときは、ケーシング内の前記空間を飛散していた潤滑油
の一部が、前記一方または両方の蓋体の透孔に導かれて
貯留され、再び回転ピストンが回転駆動を開始すると、
前記透孔内に貯留された潤滑油は回転ピストンの回転駆
動に伴って、前記回転ピストンの摺動面に導かれるの
で、起動時においても上述した効果を迅速に達成するこ
とができる。
【0072】また本発明によれば、第2蓋体には、シリ
ンダ室の圧縮空間内で圧縮された冷媒ガスをケーシング
内の空間に流出するためのガス流出孔が形成される。こ
のガス流出孔の断面形状、すなわち軸直角断面の形状お
よび大きさは、たとえば形状を円筒形、高さを一定とし
たとき、内径は、冷媒ガスが噴出するときに発生する音
が最小となるように選ばれる。前記内径は、冷媒ガスの
種類、圧力、および流速などの各種の条件によって任意
に異なる値に選ばれるけれども、たとえば所定の形状に
対して、冷媒ガスの噴出音が最小となる大きさを実験に
よって決定することができる。これによって冷媒ガスの
噴出音が最小となるので、前記冷媒ガスの噴出音である
振動が、ケーシング内の空間の冷媒ガスを介してケーシ
ングに伝達されて騒音が発生するということが防がれ
る。
【0073】また本発明によれば、シリンダ本体には、
前記ガス流出孔に連通するガス噴出孔が形成される。こ
のガス噴出孔は、シリンダ本体の前記ベーンが嵌合する
ベーン嵌合溝に、回転ピストンの回転方向上流側で近接
して形成されるので、ガス噴出孔が前記ベーン嵌合溝孔
に近接して形成されない構成と比較して、一定の噴出圧
力を確保するとして、回転ピストンの1回転当たりの押
しのけ量を多くすることができる。したがって予め定め
る噴出圧力および噴出流量を噴出する圧縮ポンプを構成
する場合に、本発明の構成では、前記予め定める噴出圧
力および噴出流量を、ガス噴出孔が前記ベーン嵌合溝に
近接して形成されない構成と比較して、少ない回転数で
得ることができる。したがって回転ピストンの必要回転
数を減少させて、回転ピストンの回転による騒音の発生
量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である全密閉型ロータリ
圧縮機およびこの全密閉型ロータリ圧縮機1に接続され
るアキュームレータ2を示す断面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た断面図であ
る。
【図3】シリンダ本体16を示す平面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た断面図であ
る。
【図5】図3のセクションVを示す拡大断面図である。
【図6】図5の切断面線VI−VIから見た断面図であ
る。
【図7】第1蓋体17を示す平面図である。
【図8】図7の切断面線VIII−VIIIから見た断
面図である。
【図9】第1蓋体17の底面図である。
【図10】図8のセクションXを示す拡大断面図であ
る。
【図11】第2蓋体18を示す底面図である。
【図12】図11の切断面線XII−XIIから見た断
面図である。
【図13】回転軸4およびロータ31を示す正面図であ
る。
【図14】図13の切断面線XIV−XIVから見た断
面図である。
【図15】ケーシング本体9の正面図である。
【図16】図15の切断面線XVI−XVIから見た断
面図である。
【図17】回転ピストン30が鉛直回転軸線中心に1回
転する時の第1蓋体17と回転ピストン30との間の潤
滑油の流れを説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 全密閉型ロータリ圧縮機 3 ケーシング 4 回転軸 5 圧縮ポンプ 6 モータ 7 空間 8 供給口 10 吐出口 15 シリンダ室 16 シリンダ本体 17 第1蓋体 18 第2蓋体 30 回転ピストン 31 ロータ 32 ピストン本体 33 ベーン 34 コイルばね 35 吸引空間 36 圧縮空間 44 ベーン嵌合溝 61 ガス噴出孔 65 第1ボス部 66 第2フランジ部 79 透孔 80 内面 83 第2ボス部 84 第2フランジ部 85 ガス流出孔 103 中央孔 105 連通孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒ガスの供給口と吐出口とを有するケ
    ーシングと、 ケーシング内に収納されるモータと、 ケーシング内に収納され、モータによって回転駆動され
    るロータにピストン本体が外挿される回転ピストンと、
    この回転ピストンの外周面に弾発的に当接するベーンと
    によってシリンダ室に前記供給口に連通する吸引空間と
    前記吐出口に連通する圧縮空間とが形成され、ケーシン
    グ内に飛散する潤滑油によって潤滑する圧縮ポンプとを
    含み、 前記圧縮ポンプは、 シリンダ室が形成されるシリンダ本体と、 モータの出力軸が挿通する第1ボス部と、第1ボス部の
    軸線方向一端部に一体的に形成される第1フランジ部と
    を有し、シリンダ室をシリンダ本体の軸線方向一端部側
    から塞ぐ第1蓋体と、 モータの出力軸が挿通する第2ボス部と、第2ボス部の
    軸線方向一端部に一体的に形成される第2フランジ部と
    を有し、シリンダ室をシリンダ本体の軸線方向他端部側
    から塞ぐ第2蓋体とを含み、 第1および第2蓋体のうち少なくともいずれか一方に
    は、前記圧縮空間側で回転ピストンに臨む領域で開口す
    る透孔が形成されることを特徴とする全密閉形ロータリ
    圧縮機。
  2. 【請求項2】 第2蓋体は、圧縮空間内で圧縮された冷
    媒ガスが流出するガス流出孔を有し、このガス流出孔
    は、冷媒ガスの噴出によって発生する音が最小となるよ
    うな断面形状を有することを特徴とする請求項1記載の
    全密閉形ロータリ圧縮機。
  3. 【請求項3】 シリンダ本体には、前記ガス流出孔に連
    通し、ベーンが嵌まり込むベーン嵌合溝に回転ピストン
    の回転方向上流側で近接し、圧縮空間内で圧縮された冷
    媒ガスが噴出するガス噴出孔が形成されることを特徴と
    する請求項2記載の全密閉形ロータリ圧縮機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100354529C (zh) * 2002-08-29 2007-12-12 艾拉斯科普库空气动力股份有限公司 用于流体喷射压缩机装置的入口件
US8801397B2 (en) 2009-10-14 2014-08-12 Panasonic Corporation Compressor

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CN100354529C (zh) * 2002-08-29 2007-12-12 艾拉斯科普库空气动力股份有限公司 用于流体喷射压缩机装置的入口件
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