JPH1111760A

JPH1111760A - 写真感光材料搬送用ローラー及びその製造方法

Info

Publication number: JPH1111760A
Application number: JP16543697A
Authority: JP
Inventors: Akihiro Mita; 章博三田; Takashi Kubo; 隆久保; Hideki Matsuzawa; 秀樹松澤; Katsuyoshi Wada; 勝義和田
Original assignee: Fuji Photo Film Co Ltd
Current assignee: Fujifilm Holdings Corp
Priority date: 1997-06-23
Filing date: 1997-06-23
Publication date: 1999-01-19

Abstract

(57)【要約】【課題】製造性や写真感光材料の写真性を損なうこと
なく、耐摩耗性に優れた写真感光材料搬送用ローラーを
提供する。【解決手段】ローラー３０は、金属製の棒材に研削加
工を施して作製されたローラー本体３１の表面に、イオ
ンプレーティング法によりダイヤモンドライクカーボン
（ＤＬＣ）膜３２を形成して構成される。ＤＬＣ膜３２
はダイヤモンドに極めて近い高い硬度をもち、摩擦係数
が非常に低いため、このＤＬＣ膜３２を形成することで
ローラー３０の表面硬度が高くなり、耐摩耗性が向上す
る。また、イオンプレーティング法によれば複雑な形状
をしたローラー本体３１に対しても高硬度のＤＬＣ膜３
２を均一に形成できるので、ローラー本体３１の作製材
料として軟質の金属を用いることが可能となり、複雑な
形状をした部位の成形も容易に行える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、長尺な写真感光材
料を搬送するためのローラー及びその製造方法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】写真感光材料は、写真乳剤を支持体に塗
布または蒸着などの方法によって成膜したもので、用い
る支持体の種類によって、写真フイルム，乾板，印画紙
等に分類される。写真フイルムは、支持体として樹脂フ
イルムを用いたもので、８ｍｍから１０００ｍｍに至る
各種サイズのロールフイルムや、４cm×５cm，キャビ
ネ，Ｂ５，Ａ４，Ｂ４，Ａ３，四つ切等の各種サイズ，
各種類のシートフイルムがある。一般撮影用としては、
パトローネ本体の内部にスプールを回動自在に設け、こ
のスプールに帯状の写真フイルムの末端を固定して巻き
付けた写真フイルムパトローネが最も広く利用されてい
る。

【０００３】図２は、写真フイルムパトローネに用いら
れる写真フイルムの製造装置を示すものである。写真フ
イルム製造装置１０は、フイルム供給部１２，穿孔装置
１３，サイドプリント部１４，切断装置１５から構成さ
れている。樹脂フイルムからなる支持体の一方の面に写
真乳剤を塗布して写真感光層を形成し、所定の幅に裁断
された長尺な写真フイルムシート１１は、写真乳剤の塗
布面を内面側にしてリール１６に巻き付けられてフイル
ム供給部１２に位置決めされる。写真フイルムシート１
１はまず穿孔装置１３に送られ、ここで一方の側縁部に
パーフォレーションが開設される。次に、写真フイルム
シート１１はサイドプリント部１４に送られる。サイド
プリント部１４には、例えば微小なＬＥＤが複数個配列
されてなるプリントヘッド１７が設けられており、この
前面を一定速度で写真フイルムシート１１が通過する間
に、写真フイルムシート１１の両側縁部にフイルムメー
カー名，フイルム枚数，品種名，乳剤番号等を表す情報
記号が潜像として光学的に記録される。この後、写真フ
イルムシート１１は切断装置１５に送られ、ここでカッ
ター１８によって所定の長さおよび形状に切断されて写
真フイルム１９になる。そして、写真フイルム１９は写
真フイルムパトローネの組み立て工程に移送され、パト
ローネ本体内に巻き込まれる。

【０００４】このような写真フイルム製造装置１０内に
は、写真フイルムシート１１を搬送するための多数のロ
ーラー２０が設けられている。図３および図４に示すよ
うに、ローラー２０は、軸部２３の両端部に一対のフラ
ンジ２４ａ，２４ｂを一体に設けた構成となっている。
一対のフランジ２４ａ，２４ｂは、帯状をした写真フイ
ルムシート１１の幅方向への移動を規制するためのもの
で、写真フイルムシート１１の両側縁をフランジ２４
ａ，２４ｂによって挟持することで、写真フイルムシー
ト１１の搬送を安定して行うことができ、穿孔装置１３
およびサイドプリント部１４での写真フイルムシート１
１への穿孔位置および潜像記録位置を常に一定に保つこ
とができる。また、軸部２３は中央部２３ａの太さが細
く形成され、この中央部２３ａに比して太く形成された
支持部２３ｂ，２３ｃで写真フイルムシート１１の両側
縁部を支持するようになっている。これにより、ローラ
ー２０と写真フイルムシート１１との接触面積が小さく
なり、写真フイルムシート１１のフイルム面に損傷を与
える危険性が抑えられる。

【０００５】上記の写真フイルム製造装置１０や、プリ
ンター，現像機等の写真フイルムの各種処理装置で用い
られる搬送用ローラーは、一般に、ステンレススチール
製の棒材に研削加工を施して作製されるか、あるいは金
属製のローラー本体の表面にハードクロムメッキを施し
て構成される。また、搬送中の写真フイルムシートや写
真フイルム等の写真感光材料に損傷を与えることを防ぐ
ために、ローラーの表面に研磨仕上げが施され、写真感
光材料との接触面が平滑化されている。

【０００６】ところで、写真乳剤の塗布面とは異なる面
に磁気材料を塗布して磁気記録層を形成し、この磁気記
録層に磁気情報を記録できるようにした写真フイルムが
知られている。このような写真フイルムで用いる磁気材
料中には、一般に、磁気ヘッドの汚れを落とすための研
磨剤が含まれている。このため、磁気記録層を備える写
真フイルムシートや写真フイルム等の写真感光材料を搬
送するローラーは、磁気記録層中の研磨剤によって表面
が削られて変形してしまい、写真感光材料に圧力カブリ
やスリ傷等が生じるという問題が発生している。また、
ローラーの耐用寿命が短くなるために、頻繁に新しいも
のと交換しなくてはならないので、設備管理費の上昇を
招く。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために、例えば特開平８−２６２６８０号公報に
は、ローラーの作製材料として、酸化ジルコニウム中に
３〜５モル％のイットリアを含有するイットリア合金化
正方晶ジルコニア多結晶等のセラミックスを用いる方法
が記載されている。セラミックスは、従来より用いてい
るステンレススチールやハードクロムメッキに比較して
硬度が高く、耐摩耗性に優れている。ところが一方で、
セラミックスは硬質であるために複雑な形状をした部位
の研削加工が非常に難しく、太さを変化させた軸部２３
の両端部に一対のフランジ２４ａ，２４ｂを一体に設け
るローラー２０のように、複雑な形状をしたものの作製
材料には不向きである。

【０００８】また、イットリアで安定化したジルコニア
は静電気を帯電しやすいため、写真感光材料にカブリが
生じて写真性を損なう原因となる。またさらに、上記セ
ラミックスは重量が重いため、このセラミックス製のロ
ーラーを駆動源を持たないフリーローラーとして用いた
場合には、慣性が大きくなってスリップが生じ、写真感
光材料を傷つけやすいという問題がある。

【０００９】本発明は上記の事情を考慮してなされたも
ので、製造性や写真感光材料の写真性を損なうことな
く、耐摩耗性に優れた写真感光材料搬送用ローラーを提
供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の写真感光材料搬送用ローラーは、金属製の
ローラー本体の表面に、イオンプレーティング法により
ダイヤモンドライクカーボン膜を形成した構成とするも
のである。なお、ローラー本体は、写真感光材料との接
触部に研磨処理を施して表面を平滑化しておくのがよ
い。

【００１１】また、本発明の写真感光材料搬送用ローラ
ーの製造方法は、金属製の棒材に研削加工を施してロー
ラー本体を作製し、このローラー本体の表面に研磨処理
を施して少なくとも写真感光材料との接触面を平滑化し
た後に、イオンプレーティング法によりローラー本体の
表面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成するもので
ある。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の写真感光材料搬
送用ローラーの構成を示すものであり、例えば図２に示
した写真フイルム製造装置１０内で長尺な写真フイルム
シート１１の搬送用として用いられる。ローラー３０
は、金属製のローラー本体３１の表面にダイヤモンドラ
イクカーボン（以下ＤＬＣとする）膜３２を形成した構
成となっている。ローラー本体３１の軸部３３には、両
端部に一対のフランジ３４ａ，３４ｂが一体に設けられ
ており、写真フイルムシート１１の幅方向への移動を規
制している。軸部３３は、中央部３３ａの太さが細く形
成され、この中央部３３ａに比べて太く形成された支持
部３３ｂ，３３ｃで長尺な写真フイルムシート１１の両
側縁部を支持するようになっている。

【００１３】ローラー本体３１は、金属製の棒材に研削
加工を施して作製される。ローラー本体３１の作製材料
としては、複雑な形状をした部位に対しても研削加工が
可能な硬度のものであればいかなるものを用いてもよ
く、例えば、従来より用いているステンレススチールや
アルミニウム等の軟質の金属を用いればよい。

【００１４】ＤＬＣ膜３２はイオンプレーティング法に
より形成され、写真フイルムシート１１と接触する部位
に形成される。イオンプレーティング法は、特殊なイオ
ン源によりベンゼン（Ｃ₆Ｈ₆）をプラズマ中で分解し
て成膜させるもので、複雑形状物に対しても均一で密着
力の強い成膜が可能である。このイオンプレーティング
法により形成されたＤＬＣ膜３２は、ダイヤモンドに極
めて近い高い硬度をもち、耐熱性，耐溶着性，および離
型性に優れている。またＤＬＣ膜３２は、摩擦係数が非
常に低く、鋼，超硬合金，アルミニウム，ガラス，セラ
ミックス等の各摩擦係数に対して０．１〜０．３倍程度
の低い値を示す。したがって、ローラー本体３１の表面
にＤＬＣ膜３２を形成することで、ローラー３０の表面
硬度が高くなり、耐磨耗性が向上する。

【００１５】また、ＤＬＣ膜３２はアモルファス構造で
あるために表面が非常に滑らかで、下地の表面粗さを倣
いやすい。このため、金属製のローラー本体３１の表面
に研磨処理を施して少なくとも写真フイルムシート１１
と接触する支持部３３ｂ，３３ｃの外周面を平滑化し、
この後に、イオンプレーティング法によりＤＬＣ膜３２
を形成すれば、ローラー３０の表面状態がより滑らかに
なる。これによれば、ローラー３０と写真フイルムシー
ト１１との間の滑性が向上し、ローラー３０の摩耗をさ
らに抑えることができる。したがって、写真フイルムシ
ート１１の写真性を損なう圧力カブリやすり傷等の発生
をより確実に防止できる。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明の写真感光材料搬送
用ローラーによれば、金属性のローラー本体の表面に、
高硬度で、摩擦係数の低いダイヤモンドライクカーボン
膜が形成されるので、表面硬度が高くなり、耐磨耗性が
向上する。これにより、写真感光材料中の研磨剤による
摩耗量が減少し、写真感光材料の写真性を損なう圧力カ
ブリやすり傷等の発生が抑えられる。また、搬送用ロー
ラーの耐用寿命が延長され、その交換頻度を低減するこ
とができる。

【００１７】また、イオンプレーティング法によれば、
いかなる形状をした部位に対しても均一で密着力の強い
ダイヤモンドライクカーボン膜を形成することができる
ので、複雑な形状をしたローラーに対しても、その表面
全体に成膜することが可能となる。これにより、ローラ
ー本体の作製材料として研削加工が可能な軟質の金属を
用いることができるようになり、複雑な形状をした部位
の成形も容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の写真感光材料搬送用ローラーの断面図
である。

【図２】写真フイルム製造装置の構成を示す概略図であ
る。

【図３】図２に示したローラーの正面図である。

【図４】図２に示したローラーの斜視図である。

【符号の説明】

１０写真フイルム製造装置１１写真フイルムシート２０，３０ローラー２３，３３軸部２３ｂ，２３ｃ，３３ｂ，３３ｃ支持部２４ａ，２４ｂ，３４ａ，３４ｂフランジ３１ローラー本体３２ＤＬＣ膜

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者和田勝義神奈川県南足柄市中沼210番地富士写真フイルム株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】樹脂フイルム製の支持体の一方の面に写
真乳剤を塗布して写真感光層を形成した長尺な写真感光
材料を、前記写真乳剤の塗布面とは異なる面に圧接して
搬送する写真感光材料搬送用ローラーにおいて、金属製のローラー本体の表面に、イオンプレーティング
法によりダイヤモンドライクカーボン膜を形成してなる
ことを特徴とする写真感光材料搬送用ローラー。
【請求項２】前記ローラー本体は、前記写真感光材料
との接触部の表面が平滑に研磨されていることを特徴と
する請求項１記載の写真感光材料搬送用ローラー。
【請求項３】樹脂フイルム製の支持体の一方の面に写
真乳剤を塗布して写真感光層を形成した長尺な写真感光
材料を、前記写真乳剤の塗布面とは異なる面に圧接して
搬送する写真感光材料搬送用ローラーの製造方法におい
て、金属製の棒材に研削加工を施してローラー本体を作製
し、このローラー本体の表面に研磨処理を施して少なく
とも前記写真感光材料との接触面を平滑化した後に、イ
オンプレーティング法により前記ローラー本体の表面に
ダイヤモンドライクカーボン膜を形成することを特徴と
する写真感光材料搬送用ローラーの製造方法。