JPH11117043A - 圧延方向の磁気特性に優れた電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents

圧延方向の磁気特性に優れた電磁鋼板及びその製造方法

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JPH11117043A
JPH11117043A JP27870197A JP27870197A JPH11117043A JP H11117043 A JPH11117043 A JP H11117043A JP 27870197 A JP27870197 A JP 27870197A JP 27870197 A JP27870197 A JP 27870197A JP H11117043 A JPH11117043 A JP H11117043A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二次再結晶を利用せずにゴス方位に集積した
集合組織を形成し、圧延方向の磁気特性に優れた電磁鋼
板を提供する。 【解決手段】 C:0.005 wt%以下及びP:0.3 〜1.2
wt%を含有する鋼スラブを熱間粗圧延後、圧下率(1パ
ス):30%以上及び圧延終了温度:600 〜800 ℃の条件
下で熱間仕上げ圧延を行い、その後1回又は中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延若しくは温間圧延にて最終板厚
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、交流磁心に用い
られる、圧延方向の磁気特性に優れた電磁鋼板及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】変圧器や電動機の鉄芯材料には、これら
機器の高効率化や小型化をはかるために、磁束密度が高
くかつ鉄損の低いことが要求される。この種の鉄芯材料
に供する電磁鋼板としては、上記の要求を満足する、優
れた特性を有するところから、Siを7wt%以下で含有す
るけい素鋼板が専ら用いられてきた。
【0003】ここで、Siを含有させると鉄損が低減され
る反面、磁束密度は低下する。そして、磁束密度が低い
と励磁電流が大きくなるため、鉄芯の巻線に起因した銅
損が増加することになる。そこで、この銅損の増加を回
避するために、透磁率を極力高くして一定磁界での磁束
密度を高める技術の開発が進められてきた。しかし、材
料固有の飽和磁束密度は上昇しないから、この種の改良
には限界がある。
【0004】一方、Si以外の合金元素については、磁気
特性、機械的特性とくに加工性および合金コストのいず
れかの特性においてSiよりも優れる元素もあるが、総合
的にはSiに勝るものはないというのが一般的見解であっ
た。しかしながら、発明者らがSi以外の合金元素につい
て電磁鋼板への適用を鋭意検討したところ、Fe−P系の
組成によって、電磁鋼板としてけい素鋼を凌駕する特性
が得られることを究明し、先に特開平9−41101 号公報
において提案した。ここに、高い飽和磁束密度を有し、
従来材と対比した場合に、鉄損および磁束密度のいずれ
か一方が同一水準にあるときに残る他方の特性を格段に
向上し得る、新たな電磁鋼組成が確立されたのである。
【0005】さて、電磁鋼板は、使用時における磁化方
向の電磁特性が優れるような集合組織を持つことが望ま
しい。好適な集合組織は、使用形態、すなわち鋼板のい
ずれの方向を磁化方向として使用するかによって異な
り、一部のトランスのように主として圧延方向を磁化す
る場合、とくに圧延方向に<001>軸が揃うような集
合組織が最適である。
【0006】すなわち、集合組織は、板面(圧延面)に
平行な結晶の面及び圧延方向と平行な結晶の軸によって
規定され、現在の方向性電磁鋼板の集合組織は、板面に
平行な面が{110}及び圧延方向と平行な軸が<00
1>である、{110}<001>方位、いわゆるゴス
(Goss)方位となっている。このような結晶方位を優先的
に成長させ、圧延方向に磁気特性を良好にした電磁鋼板
は、いわゆる方向性けい素鋼板として広く製造市販され
ている。このような集合組織を上記Fe−P系の電磁鋼板
においても得ることは、極めて有意義である。
【0007】このような集合組織を得るために、主にけ
い素鋼を対象として種々の方法が提案されている。例え
ば、Fe-Si の基本成分系にCを0.03〜0.10wt%程度、さ
らにインヒビター成分としてMnS やAlN 等を0.01〜0.05
wt%程度添加した素材に複数回の圧延と焼鈍を繰り返し
施し、ゴス方位をもつ結晶粒を優先的に成長、即ち二次
再結晶させる、製造方法が一般的である。
【0008】ここで、インヒビターは、二次再結晶の際
にゴス方位の結晶粒を優先的に成長させるため、その前
段での正常粒の成長を抑制することを目的として添加さ
れるが、製品鋼板中に残存すると磁気特性に悪影響があ
るため、最終的には焼鈍によって除去しなければならな
い。同様に、Cは最終的にゴス方位を発達するのに必須
とされているため鋼中に含有させるが、一方で鉄損を増
大することから、通常は二次再結晶工程の前に脱炭除去
することが必要となる。
【0009】このように従来の製造方法は、磁気特性を
確保するために極めて複雑かつコストのかかる工程を採
用しており、工業上の生産性の観点からは大きな問題を
抱えていた。そこで、インヒビター、さらにはCを添加
することなくゴス方位に強く集積した集合組織が得られ
れば、産業上の意義は絶大であるが、そのような技術は
知られていない。
【0010】ちなみに、方向性電磁鋼板の製造過程にお
いて、熱間圧延後の鋼板の表層近傍には{110}〈0
01〉方位の結晶粒がある程度存在し、その後の冷間圧
延や脱炭焼鈍等の工程でゴス方位の相対的な存在割合は
増加するが、そのままで良好な磁気特性が得られるには
到底至らない。すなわち、二次再結晶前の段階での{1
10}〈001〉方位への集積強度は、集合組織の方位
分布関数から求めたランダム方位の場合との比で、高々
5倍程度であり、しかも板厚全体にわたってではない。
【0011】一方、無方向性電磁鋼板の範疇でも、集合
組織の制御により圧延方向の電磁特性を向上させる試み
がなされてきた。例えば、特開昭54−110121号公報に
は、冷延鋼板を急速昇温してα→γ変態させ、つぎに緩
慢に冷却してγ→α変態させることにより、圧延面内に
{110}面の集積度が上昇する旨が記載されている。
しかしながら、その集積度はランダム方位にくらべて高
々5倍程度であった。
【0012】また、「材料とプロセス」第5巻(1992
年)のp.1921 には、Sbを微量添加することにより、冷
間圧延後の{110}〈001〉方位が増加する旨が記
載されている。ただし、これはもともと僅少であったこ
の方位を高々ランダム方位の場合の存在割合程度に回復
したにすぎず、本来のゴス方位に集積した集合組織には
遠く及ばない。
【0013】さらに、「Energy Efficient Electrical
Steels」TMS-AIME (1980年)のp.193に記載されるAl添
加2回冷延法や、「材料とプロセス」第5巻(1992年)
p.923 に記載される中間焼鈍後にスキンパス圧延を追
加する方法によっても、十分なゴス方位への集積は得ら
れない。しかも、これらの手法はいずれも工程が煩雑に
なり、製造コストの上昇をもたらすという欠点がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、
{110}<001>方位に高度に集積した組織を有す
るFe−P系の電磁鋼板と、{110}<001>方位に
高度に集積した組織を二次再結晶にららずに得ることの
できる電磁鋼板の製造方法とを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】発明者らは、インヒビタ
ーを利用した二次再結晶によらずに{110}<001
>方位に集積した集合組織を得るための手法について、
鋭意研究を行ったところ、熱間仕上げ圧延において、圧
延終了温度と1パスでの圧下率を制御し、通常の工程で
採用されているよりも低温かつ1パスで強圧下する条件
下で熱間仕上げ圧延を行うことによって、熱間圧延後に
{110}<001>方位に集積した集合組織を形成で
きること、さらに、この素材を用いることで、二次再結
晶を利用せずに{110}<001>方位粒を高度に集
積させることが可能であることを見出し、この発明を完
成するに至った。
【0016】すなわち、この発明の要旨構成は以下のと
おりである。 1. C:0.02wt%以下及びP:0.3 〜1.2 wt%を含有す
る組成で、{110}面が板面に平行で<001>軸が
圧延方向に平行の方位を基準方位として、この基準方位
に対する実際の結晶粒の{110}<001>方位のず
れが回転角で±15°以内である、結晶粒が結晶粒全体の
80%以上を占めることを特徴とする圧延方向の磁気特性
に優れた電磁鋼板。
【0017】2. 上記1において、さらにSi:0.05〜3
wt%、Mn:0.1 〜2wt%及びAl:0.1 〜2wt%のうちか
ら選んだ1種または2種以上を含有する組成に成ること
を特徴とする圧延方向の磁気特性に優れた電磁鋼板。
【0018】3. C:0.02 wt %以下及びP:0.3 〜1.
2 wt%を含有する鋼スラブを熱間粗圧延後、圧下率(1
パス):30%以上及び圧延終了温度:600 〜800 ℃の条
件下で熱間仕上げ圧延を行い、その後1回又は中間焼鈍
を挟む2回以上の冷間圧延若しくは温間圧延にて最終板
厚とすることを特徴とする圧延方向の磁気特性に優れた
電磁鋼板の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を完成させるに
至った経緯を説明する。真空小型溶解炉にて、C:0.00
3wt %、P:0.48wt%、Mn:0.14wt%及びAl:0.18wt%
からなる成分の鋼塊50 kg を溶解し、サイジングのため
に熱間粗圧延にて板厚5mmにした。この鋼板を1100℃に
て30分間加熱した後、ロール径700 mmφの圧延機にて、
周速800 m/min.、圧下率(1パス)84%、圧延終了温度
を750 ℃にて熱間仕上げ圧延し、板厚0.8 mmの鋼板を製
造し、この鋼板について、集合組織、磁気特性を調査し
た結果、{110}〈001〉方位への集積強度がラン
ダム組織のそれの22倍と極めて高く、磁気特性もW
15/50 で3.60W/kg、B50で2.07Tと、今までにはない
優れた磁気特性を有する鋼板が得られた。
【0020】以上の実験結果に基づき、さらに詳細な研
究を行った結果、P含有鋼を、通常の工程で採用されて
いるよりも低温かつ1パスで強圧下する条件下で熱間仕
上げ圧延することによって、熱延板の{110}〈00
1〉方位への集積度が顕著に向上すること、さらに、こ
の素材を用いることで、二次再結晶を利用せずに{11
0}<001>方位粒を高度に集積させることが可能で
あることを見出し、この発明を完成するに至ったのであ
る。なお、ここでは、熱間圧延段階での{110}〈0
01〉方位への集積強度が、上述した熱間仕上げ圧延条
件のみに依存し、その他の製造条件にはほとんど依存し
ないことも新たに判明した。
【0021】以下に、この発明の鋼組成、鋼組織及び製
造条件を限定した理由について説明する。 (1) 鋼組成 C:0.02wt%以下 Cは、Fe−P合金において、優れた磁気特性及び加工性
を確保するのに、その含有量を抑制する必要がある。と
くに、Cは結晶粒界に優先して折出し、該粒界へのPの
偏析を阻害するため、Pによるゴス方位の集積効果を弱
めることになる。そこで、Cは、0.02wt%以下に制限し
た。
【0022】P:0.3 〜1.2 wt% Pは、比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果が
あり、とくに比抵抗と磁束密度とをバランス良く向上す
る効果はSiよりも優れているため、この発明には必須の
成分である。また、Pは結晶粒界に偏析し、この粒界か
ら生成し易い{111}方位再結晶粒の生成を抑制する
ことにより、粒内の変形帯からのゴス方位再結晶粒の生
成を促進する。しかし、 0.3wt%未満ではこの効果が十
分に得られず、一方 1.2wt%を超えると、磁束密度及び
加工性の劣化が大きくなる。従って、Pの含有量を0.3
〜1.2 wt%とした。
【0023】また、必要に応じて、さらにSi:0.05〜3
wt%、Mn:0.1 〜2wt%及びAl:0.1 〜2wt%のうちか
ら選んだ1種または2種以上を含有することができる。 Si:0.05〜3wt% Siは、比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果が
あるが、0.05wt%未満ではこの効果が十分に得られず、
一方3wt%を超えると、磁束密度及び加工性が低下す
る。従って、Siの含有量は0.05〜3wtの範囲とした。
【0024】Mn:0.1 〜2wt% Mnは、比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果が
あるが、0.1 wt%未満ではこの効果が十分に得られず、
一方2wt%を超えると、磁束密度及び加工性が低下す
る。従って、Siの含有量は0.1 〜2wtの範囲とした。
【0025】Al:0.1 〜2wt% Alは、比抵抗を増大させ、渦電流損を低減させる効果が
あるが、0.1 wt%未満ではこの効果が十分に得られず、
一方2wt%を超えると、磁束密度及び加工性が低下す
る。従って、Siの含有量は0.1 〜2wtの範囲とした。
【0026】この発明では、上記以外の成分については
特に限定はしないが、用途に応じて既知である種々の成
分を適宜添加することが可能である。例えば、磁気特性
の改善を目的として、Cr,Sn,Be,Ti,V,Zn,Ga,As,Se,M
o,Sb及びW等のフェライト形成元素を添加することがで
きる。これらフェライト形成元素は、鉄の変態温度を上
げて高温でオーステナイト相の析出を制限して、高温で
の粒成長性を改善してヒステリシス損失を抑制し、かつ
電気抵抗を増加させて渦電流損失を抑制する。これらフ
ェライト形成元素の添加量は、その1種または2種以上
を合計で0.01〜5.0 wt%とすることが好ましい。なぜな
ら、添加量が0.01wt%未満では上記の効果が得られず、
一方5.0 wt%をこえると、磁気特性が却って劣化するた
めである。
【0027】(2) 鋼組織 この発明の電磁鋼板は、Fe−P系鋼において、{11
0}面が板面に平行で<001>軸が圧延方向に平行の
方位を基準方位として、この基準方位に対する実際の結
晶粒の{110}<001>方位のずれが回転角で±15
°以内である、結晶粒が結晶粒全体の80%以上を占める
ことが、肝要である。すなわち、基準方位に対する実際
の結晶粒の{110}<001>方位のずれとは、基準
方位の{110}面に対する実際の結晶粒の{110}
面のずれと、基準方位の<001>軸に対する実際の結
晶粒の<001>軸のずれとを意味し、両方のずれを回
転角で±15°以内とする。
【0028】なお、回転角の測定は、圧延方向に垂直な
断面をEBSD(Electron Back Scattering Diffraction)
法を用いて、全厚方向の結晶粒について、それらの面、
方位を解析し、前記方位からのずれが±15°以内である
結晶粒の比率により評価した。
【0029】そして、基準方位に対する実際の結晶粒の
{110}<001>方位のずれが回転角で±15°をこ
えると、磁束密度が極端に劣化し、また前記ずれが回転
角で±15°以内である結晶粒の結晶粒全体に占める比率
が、体積百分率で80%未満である場合にも、磁束密度が
劣化する。
【0030】(3) 製造条件 次に、この発明の製造方法について詳述する。まず、熱
間仕上げ圧延の終了温度を600 〜800 ℃で行うことが、
肝要である。ここで、図1に、真空小型溶解炉にて、
P:0.53wt%、C:0.003 wt%、Mn:0.01wt%及びAl:
0.005wt%からなる成分の鋼塊を、最終1パスの圧下率
を60%、仕上げ板厚を1.0 mmの熱間仕上げ圧延を圧延終
了温度を変えて行った種々の鋼板を製造し、各鋼板の板
厚中心部における{110}〈001〉方位への集積強
度と圧延終了温度との関係を調査した結果について示
す。
【0031】図1から、圧延終了温度は、800 ℃を超え
ると、{110}〈001〉方位の集積が弱くなること
がわかる。一方、圧延終了温度が600 ℃未満であると、
圧延荷重が極端に増し圧延が困難となる。従って、圧延
終了温度を600 〜800 ℃とする。
【0032】また、熱間仕上げ圧延を圧下率(1パ
ス):30%以上で行う必要がある。ここに、図2は、上
記組成の鋼塊を、圧延終了温度700 ℃で最終1パスの圧
下率を10〜80%の範囲で変化させて仕上げ板厚1.0mm の
熱間圧延を行った種々の鋼板を製造し、各鋼板の板厚中
心部における{110}〈001〉方位への集積強度と
最終1パスの圧下率との関係を示したものである。
【0033】図2から、1パスの圧下率が30%未満であ
ると、{110}〈001〉方位の集積が弱くなり、最
終製品での磁気特性が劣化するため、熱間仕上げ圧延で
の圧下率は1パスで30%以上とする。
【0034】この発明は、熱間圧延段階での{110}
〈001〉方位への集積強度が、熱間仕上げ圧延条件の
みに依存し、その他の製造条件にはほとんど依存しない
ことは既に上述した。従って、焼鈍、酸洗、冷間圧延若
しくは温間圧延、及び絶縁皮膜形成条件等については特
に限定せず、通常行われている範囲内で行うことができ
る。
【0035】
【実施例】表1に示す成分組成の鋼を転炉で溶製し、連
続鋳造によりスラブとした。次いで、スラブを1200℃に
加熱し、熱間粗圧延後に、表2に示す条件に従って仕上
げ圧延を行って1mm厚の熱延板を得た。その後、950 ℃
で5分間の焼鈍を施し、酸洗、次いで冷間圧延を施して
0.35mmの板厚に仕上げたのち、950 ℃で2分間の焼鈍を
施した。
【0036】かくして得られた各鋼板について、圧延方
向に垂直の断面から任意に抽出した、総計200 個の結晶
粒の方位を、EBSD(Electron Back Scattering Diffract
ion)にて測定し、基準方位からのずれが±15°以内の結
晶粒の測定した全結晶粒に占める比率を求めた。また、
4端子法による電気抵抗率及び振動試料法による磁束密
度B50(印加磁界50kA/m)と、周波数:50Hz,磁束密
度:1.5 Tにおける鉄損(W15/50 )とを測定した。こ
れらの測定結果を、表2に併記する。さらに、表1に
は、冷間圧延を無欠陥で圧延できた場合を「○」、そし
て冷間圧延時に割れ等の欠陥が発生した場合を「×」と
して、表記した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表2から、基準方位からのずれが±15°以
内の結晶粒が全体の80%以上になると、優れた磁気特性
が得られることがわかる。また、表2における発明例と
従来例または比較例との比較から、この発明に従って製
造条件を規制することによって、基準方位からのずれが
±15°以内の結晶粒の比率が増加することも明らかであ
る。さらに、この発明に従って成分範囲を規制すること
によって、冷間加工性が改善されることも、表2に示す
とおりである。
【0040】
【発明の効果】この発明によれば、高水準の方向性電磁
鋼板をFe−P系の成分において提供することができる。
また、この発明の方法によれば、従来の方向性電磁鋼板
の製造方法で必須であった二次再結晶を、利用すること
なしに結晶粒を(110)<110>方位に集積することができ
る。従って、従来技術では必須の工程であった脱炭焼
鈍、二次再結晶焼鈍及び純化焼鈍の工程を省略できるた
め、大幅なコスト低減、製造時間の短縮及び省エネルギ
ー化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】板厚中心位置における(110)<110>方位への集積
強度と圧延終了温度との関係を示す図である。
【図2】板厚中心位置における(110)<110>方位への集積
強度と1パスでの圧下率との関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.02wt%以下及びP:0.3 〜1.2 wt
    %を含有する組成で、{110}面が板面に平行で<0
    01>軸が圧延方向に平行の方位を基準方位として、こ
    の基準方位に対する実際の結晶粒の{110}<001
    >方位のずれが回転角で±15°以内である、結晶粒が結
    晶粒全体の80%以上を占めることを特徴とする圧延方向
    の磁気特性に優れた電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、さらにSi:0.05〜3
    wt%、Mn:0.1 〜2wt%及びAl:0.1 〜2wt%のうちか
    ら選んだ1種または2種以上を含有する組成に成ること
    を特徴とする圧延方向の磁気特性に優れた電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 C:0.02 wt %以下及びP:0.3 〜1.2
    wt%を含有する鋼スラブを熱間粗圧延後、圧下率(1パ
    ス):30%以上及び圧延終了温度:600 〜800 ℃の条件
    下で熱間仕上げ圧延を行い、その後1回又は中間焼鈍を
    挟む2回以上の冷間圧延若しくは温間圧延にて最終板厚
    とすることを特徴とする圧延方向の磁気特性に優れた電
    磁鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002146493A (ja) * 2000-09-01 2002-05-22 Kawasaki Steel Corp 機械強度特性と磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JP2002146493A (ja) * 2000-09-01 2002-05-22 Kawasaki Steel Corp 機械強度特性と磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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