JPH11116373A - 低転位密度の化合物半導体単結晶及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents

低転位密度の化合物半導体単結晶及びその製造方法並びに製造装置

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JPH11116373A
JPH11116373A JP28858497A JP28858497A JPH11116373A JP H11116373 A JPH11116373 A JP H11116373A JP 28858497 A JP28858497 A JP 28858497A JP 28858497 A JP28858497 A JP 28858497A JP H11116373 A JPH11116373 A JP H11116373A
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single crystal
compound semiconductor
dislocation density
semiconductor single
crystal
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JP28858497A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Okada
広 岡田
Takeo Kawanaka
岳穂 川中
Seiichiro Omoto
誠一郎 大元
Yoshihiko Sakashita
由彦 坂下
Kazuhiro Uehara
一浩 上原
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも高い輝度の可視発光ダイオードを
得ることを可能にする化合物半導体単結晶基板を得るこ
とができる化合物半導体単結晶及びその製造方法並びに
製造装置を提供する。 【解決手段】 全体の90%以上の面積部が 500cm-2以下
の転位密度であることを特徴とする低転位密度の化合物
半導体単結晶、原料融液に与えられる温度勾配が上方の
7℃/cm以下である温度勾配の小さい領域と該上方の温
度勾配の2〜4倍の温度勾配にされた下方の温度勾配の
大きい領域とからなり、結晶が成長する範囲において前
記2つの領域の境界部を有することを特徴とする低転位
密度の化合物半導体単結晶の製造方法、かかる温度勾配
にする化合物半導体単結晶の製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低転位密度の化合物
半導体単結晶及びその製造方法並びに製造装置に関し、
特には、可視発光ダイオード(以下、LED という)の基
板に用いて好適な低転位密度のGaP 半導体単結晶等の化
合物半導体単結晶及びその製造方法並びに製造装置に関
する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、SiC 材料を用いた青色LED では高
輝度が得られないため、その用途が限定されていた。近
年、新しく2cd〔cd:カンデラ(光度の単位)〕以上の
輝度を有するGaN 系青色LED が開発され、既存の赤・緑
のLED とあわせて光の3原色が得られることとなり、大
型の高輝度フルカラーディスプレイ等への応用が可能と
なった。しかしながら、これら赤、緑、青色LED の輝度
を比較した場合、屋外用フルカラーディスプレイの製造
においては、赤色LED でGaAlAs系ダブルヘテロ構造によ
る5Cdの超高輝度化が既に達成されているのに対して、
相対的に緑色LEDが輝度不足であるという問題が顕在化
してきた。
【0003】緑色LED 用材料としては、従来よりGaP が
広く使用されてきたが、最近、青色LED に次いで5Cd程
度の超高輝度化を有するGaInN 系LED が開発された。
又、更にMOCVD 法(有機金属化学的気相成長法)による
InGaAlP 系高輝度緑色LED も開発されている。これに対
し、GaP-LED は、輝度が最大0.2Cd 程度であり、輝度で
はGaInN-LED やInGaAlP-LED に比べて大きく劣ってい
る。しかしながら、GaInN-LED やInGaAlP-LED では、い
ずれも高価な有機金属を気相エピタキシャル成長用原料
として使用するのが特徴であり、これに対して GaP緑色
LED では、主として製造コストの低い液相エピタキシャ
ル成長法を用いることができるため、安価なLED を供給
し得るという利点がある。大量の数のLED ランプを商業
的に製造可能な価格で提供するためには、低コストな G
aP緑色LED の高輝度化が極めて重要である。
【0004】そもそも、緑色GaP-LED は、励起子系の再
結合による発光機構が支配的であるため、その発光効率
は、デバイスの活性層となるエピタキシャル成長結晶中
の転位等の構造欠陥及び不純物濃度に大きく影響を受け
る。即ち、転位や不純物原子により励起子が散乱され、
その寿命が短くなる。又、 GaP結晶中の原子空孔等の点
欠陥や、酸素、遷移金属元素等の如く半導体のエネルギ
ギャップ中にいわゆる深い準位をつくる欠陥、不純物が
あると、励起子はそのエネルギを非発光的に失い、発光
効率の低下を招く。文献(別府達郎、応用物理第47巻第
1号(1978)P64-72)には、 GaP緑色LED におけるエピタ
キシャル成長層(以下、エピ層という)中の転位密度
(8×104 〜2×106 cm-2の範囲)と発光効率との関係
が報告されている。しかしながら、発光効率は上記転位
密度の下限値(8×104 cm-2)付近で飽和する傾向が同
時に見てとれ、転位密度がさらに減少した場合の効果は
不明である。
【0005】一般に、エピ層中の転位密度は、基板単結
晶の転位密度が重要な因子となることが、知られてい
る。これは、エピ層が成長するときに、基板単結晶の転
位による基板表面の原子配列の乱れをそのまま引きつい
でしまうからである。従って、GaP エピ層の結晶性向上
には、基板の GaP単結晶の転位密度を低減させることが
不可欠となる。
【0006】GaP 単結晶基板の転位密度は、通常、いわ
ゆるRCエッチング液(HF:4ml, H2O:8ml,HNO3:6ml, AgNO
3:10mg, 温度:65 ℃)でエッチングした面のエッチピッ
ト密度によって評価される。エッチピットには、転位に
起因するDピット、析出物に起因するSピットととも
に、成因は不明であるがおそらく微小転位によると思わ
れる錐状のCSピットがあり、特公昭60-28800号公報で
は、エピ層中の転位密度はGaP 基板中のDピットととも
にCSピットの密度に依存し、両者の和とエピ層中の転
位密度とが対応することが記載されており、この和が 1
04cm-2台のものが必要であるとしている。例えば、たま
たま得られたDピット密度が 102cm-2台のウエハを基板
として使用した場合でもエピ層中の転位密度は 106cm-2
台になってしまうことがあり、その原因はCSピット密
度が減少しておらず、 106cm-2台であることが原因とさ
れている。
【0007】現在のGaP 単結晶の製造方法は液体封止引
き上げ法(LEC法)によっているが、この方法では結晶成
長時の熱応力が大きく、結晶中への転位の導入が避け難
い。文献(「無転位GaP 単結晶の育成」渡部、材料科
学、Vol.21, No.5、1985年、P285)には、改良型の LEC
法により、GaP ウエハの小面積部の転位密度を減少させ
た研究内容が報告されているが、GaP ウエハ全体を低転
位密度としなければ、工業的な使用に耐えないものと思
われる。更に、近年、米国Bell研究所において、高圧下
での垂直ブリッジマン法(VB法)により、GaP の低転位
密度化を試みた研究内容が報告されているが、ウエハ中
央部の88%の面積部で転位密度:100cm-2以下のウエハが
示されているものの、やはり、ウエハ全面で均一な低転
位密度にはなっていない。又、インゴット全体での低転
位密度のウエハの歩留まりも不明である。又、エッチピ
ットの種類の詳細な評価や、得られたウエハを基板とし
て用いた場合のエピ層の結晶性、LED の性能等のデータ
は見当たらない。
【0008】一方、結晶中の不純物の低減に関連する技
術としては、特公昭60-28800号公報において、LEC 法に
よるGaP 単結晶成長法においてGaP 単結晶の高温強度の
向上により転位導入或いは増殖を抑える方法が開示され
ている。即ち、単結晶の高温強度を低下させている原因
と思われる不純物の酸化物又は酸素と点状欠陥との複合
体等を、ボロン、シリコン等の如き強還元性不純物を1
×1017cm-3以上添加して、取り除くという方法が記載さ
れている。又、特公昭59-12640号公報には、LEC 法によ
るGaP 単結晶の製造方法において、ボロン同等又はそ
れ以上の還元性を有する強還元性不純物を単結晶中に1
×10-16 cm-3以上となるようにドープすることによりGa
P 単結晶の高温強度を増加させ、5×104 cm-2以下の転
位密度をもつGaP 単結晶の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法により、 102cm-2台の低転
位密度の単結晶を安定的に作製することは、極めて困難
であり達成されていない。
【0009】又、特開平5-37018 号公報には、輝度低下
のない緑色発光素子用 GaP基板として、シリコン濃度:
1×1017cm-3以下及び/又は酸素濃度:7×1016cm-3
下であることを特徴とするものが開示されており、この
濃度以上では基板の中にSiO2の析出が起こっており、エ
ピタキシャル成長過程において欠陥を増加させ、輝度低
下が生じると記載されている。しかしながら、かかる基
板を得るための製造方法については、LEC 法によると記
載されているに過ぎず、詳細は不明である。又、基板の
転位密度との関連についても全く記載されていない。
【0010】このように、8×104 〜2×106 cm-2の如
き105 cm-2程度の比較的高い転位密度領域でのLED の輝
度向上に及ぼす低転位密度化の効果は知られているが、
104cm-2程度以下の低転位密度、例えば102 cm-2台の低
転位密度のGaP-LED における輝度に及ぼす転位密度の影
響を評価するに必要な高品質のGaP 結晶基板が開発され
ておらず、ましてや102 cm-2台及びそれ以下の低転位密
度領域のGaP 基板を用いた場合のLED の輝度に及ぼす転
位密度の影響は全く不明であり、又、102 cm-2台及びそ
れ以下の低転位密度の基板における不純物が該基板を用
いて得られる発光素子の性能に及ぼす影響についても知
られていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に着目してなされたものであって、104 cm-2程度以
下の如き低転位密度の化合物半導体単結晶よりなる基板
を用いて得られるLED の輝度に及ぼす基板の転位密度及
び不純物の影響を明らかにし、LED の輝度を従来よりも
向上するのに必要な化合物半導体単結晶基板での転位密
度及び不純物の量を把握し、それにより、かかる従来よ
りも高い輝度のLED を得ることを可能にする化合物半導
体単結晶基板を得ることができる化合物半導体単結晶及
びその製造方法並びに製造装置を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る化合物半導体単結晶及びその製造方
法並びに製造装置は、請求項1〜6記載の化合物半導体
単結晶、請求項7〜18記載の化合物半導体単結晶の製造
方法、請求項19〜22記載の化合物半導体単結晶の製造装
置としており、それは次のような構成としたものであ
る。即ち、請求項1記載の化合物半導体単結晶は、全体
の90%以上の面積部が、500 cm-2以下の転位密度である
ことを特徴とする低転位密度の化合物半導体単結晶であ
る(第1発明)。
【0013】請求項2記載の化合物半導体単結晶は、全
体の95%以上の面積部が、 100cm-2以下の転位密度であ
ることを特徴とする低転位密度の化合物半導体単結晶で
ある(第2発明)。
【0014】請求項3記載の化合物半導体単結晶は、酸
素濃度が5×1016cm-3以下であると共にボロン濃度が5
×1016cm-3以下である請求項1又は2記載の低転位密度
の化合物半導体単結晶である(第3発明)。請求項4記
載の化合物半導体単結晶は、強還元性の不純物元素の濃
度:3×1016cm-3以下の化合物原料を用い、B2O3を液体
封止材とする垂直ブリッジマン法又は垂直温度勾配法に
より成長してなる請求項3記載の低転位密度の化合物半
導体単結晶である(第4発明)。請求項5記載の化合物
半導体単結晶は、強還元性の不純物元素が、シリコン及
び炭素である請求項4記載の低転位密度の化合物半導体
単結晶である(第5発明)。
【0015】請求項6記載の化合物半導体単結晶は、化
合物半導体単結晶が、GaP 半導体単結晶である請求項
1、2、3、4又は5記載の低転位密度の化合物半導体
単結晶である(第6発明)。
【0016】請求項7記載の化合物半導体単結晶の製造
方法は、原料の融液に温度勾配を与え、結晶を下方から
上方に向かって固化させて単結晶を得る垂直ブリッジマ
ン法又は垂直温度勾配法による低転位密度の化合物半導
体単結晶の製造方法であって、前記融液に与えられる温
度勾配が、上方の7℃/cm以下である温度勾配の小さい
領域と該上方の温度勾配の2〜4倍の温度勾配にされた
下方の温度勾配の大きい領域とからなり、結晶が成長す
る範囲において前記2つの領域の境界部を有することを
特徴とする低転位密度の化合物半導体単結晶の製造方法
である(第7発明)。
【0017】請求項8記載の化合物半導体単結晶の製造
方法は、前記境界部が種結晶の上端から直胴部との間の
増径部に配置される請求項7記載の低転位密度の化合物
半導体単結晶の製造方法である(第8発明)。
【0018】請求項9記載の化合物半導体単結晶の製造
方法は、前記原料を入れるるつぼとして増径部をもつ形
状を有するるつぼを用い、このるつぼを支持する構造物
として増径部をもつ形状を有する構造物を用いる請求項
7又は8記載の低転位密度の化合物半導体単結晶の製造
方法である(第9発明)。請求項10記載の化合物半導体
単結晶の製造方法は、前記構造物がるつぼの直胴部側面
を覆う直胴部を有し、該直胴部と前記増径部とが一体と
なった形状を有する請求項9記載の低転位密度の化合物
半導体単結晶の製造方法である(第10発明)。請求項11
記載の化合物半導体単結晶の製造方法は、前記構造物の
増径部の構成材質と直胴部の構成材質が異なり、かつ、
この構造物の上方の構成材の熱伝導率が下方の構成材の
熱伝導率よりも大きい請求項9又は10記載の低転位密度
の化合物半導体単結晶の製造方法である(第11発明)。
請求項12記載の化合物半導体単結晶の製造方法は、前記
構造物の上方の構成材質と下方の構成材質が異なり、か
つ、この上方の構成材の熱反射率が下方の構成材の熱反
射率よりも小さい請求項9又は10記載の低転位密度の化
合物半導体単結晶の製造方法である(第12発明)。請求
項13記載の化合物半導体単結晶の製造方法は、前記構造
物の増径部での角度が30〜70°である請求項9、10、11
又は12記載の低転位密度の化合物半導体単結晶の製造方
法である(第13発明)。請求項14記載の化合物半導体単
結晶の製造方法は、前記構造物が、逆円錐形状の支持部
及び円柱によって構成された支持体によって支持される
請求項9、10、11、12又は13記載の低転位密度の化合物
半導体単結晶の製造方法である(第14発明)。請求項15
記載の化合物半導体単結晶の製造方法は、前記構造物の
増径部に結晶成長径軸方向と垂直な面に熱遮蔽板を設け
る請求項9、10、11、12、13又は14記載の低転位密度の
化合物半導体単結晶の製造方法である(第15発明)。請
求項16記載の化合物半導体単結晶の製造方法は、前記構
造物がモリブデン、タングステン等の高融点金属、カー
ボン、窒化けい素、窒化アルミニウム、アルミナ、窒素
ホウ素等のセラミックスの1種以上からなる請求項9、
10、11、12、13、14又は15記載の低転位密度の化合物半
導体単結晶の製造方法である(第16発明)。請求項17記
載の化合物半導体単結晶の製造方法は、前記原料の加熱
炉として、前記構造物の増径部に対応する位置に断熱材
が配置されたヒータ構造を有する炉を用いる請求項9、
10、11、12、13、14、15又は16記載の低転位密度の化合
物半導体単結晶の製造方法である(第17発明)。請求項
18記載の化合物半導体単結晶の製造方法は、前記種結晶
の上端から直胴部との間の増径部においては上に凸の固
液界面形状が形成され、前記直胴部においては水平な固
液界面形状が形成される請求項9、10、11、12、13、1
4、15、16又は17記載の低転位密度の化合物半導体単結
晶の製造方法である(第18発明)。
【0019】請求項19記載の化合物半導体単結晶の製造
装置は、下部に下方から上方に向けて直径が大きくなる
増径部を有する形状の原料容器と、該容器を保持するた
めの構造物と、該容器内の原料を加熱する加熱手段とを
有する化合物半導体単結晶の製造装置であって、前記構
造物が前記容器と相似形の増径部を有し、前記容器の外
側面を覆って設けられていることを特徴とする低転位密
度の化合物半導体単結晶の製造装置である(第19発
明)。
【0020】請求項20記載の化合物半導体単結晶の製造
装置は、上部に増径部を有する筒状の支持体によって前
記構造物の増径部を支えることによって、前記構造物が
支持されている請求項19記載の低転位密度の化合物半導
体単結晶の製造装置である(第20発明)。請求項21記載
の化合物半導体単結晶の製造装置は、前記構造物を支持
する支持体が、モリブデン、タングステン等の高融点金
属、カーボン、窒化アルミニウム等のセラミックスの1
種以上からなる請求項19又は20記載の低転位密度の化合
物半導体単結晶の製造装置である(第21発明)。請求項
22記載の化合物半導体単結晶の製造装置は、前記構造物
の増径部と前記加熱手段との間に断熱材が配置されてい
る請求項19、20又は21記載の低転位密度の化合物半導体
単結晶の製造装置である(第22発明)。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は例えば次のようにして実
施する。上部が円筒状であり、その下部に下方から上方
に向けて直径が大きくなる増径部を有する形状の原料容
器(セラミックス製ルツボ等)の外側面を、該容器と相
似形の増径部を有する高融点金属等よりなる構造物によ
り覆い、該構造物の増径部を支持体(高融点金属製筒状
体等)によって支えることによって該構造物を支持し、
該構造物及び該支持体の外側に加熱手段(ヒータ等)を
設ける。そうすると、本発明に係る化合物半導体単結晶
の製造装置の一例に相当するものが得られる。
【0022】かかる化合物半導体単結晶の製造装置によ
れば、原料容器内の原料融液に温度勾配を与え、結晶を
下方から上方に向かって固化させて単結晶を得る垂直ブ
リッジマン法(VB法)又は垂直温度勾配法(VGF法)によ
る化合物半導体単結晶の製造を行うに際し、前記融液の
温度勾配が上方領域と下方領域とでは異なり、上方領域
と下方領域の境界部が結晶成長の範囲に存在し、上方領
域において7℃/cm以下の低温度勾配域が実現され、こ
の下方の領域で上方領域の温度勾配の2〜4倍と急激に
大きくなるようにすることができ、かかる温度勾配を維
持した状態で下方から上方に向かって固化させ、結晶を
成長させることができる。このような化合物半導体単結
晶の製造の方法は、本発明に係る化合物半導体単結晶の
製造方法の一例に相当する。
【0023】上記の如き化合物半導体単結晶の製造方法
によれば、下方から上方に向かって固液界面が次第に上
昇して固化が進行し結晶が成長する際に、下部の種結晶
の上端から上部の直胴部との間の増径部での固化進行時
においては上に凸の固液界面形状が形成され、前記直胴
部での固化進行時においては水平な固液界面形状が形成
されるようにし得る。そのため、全体的に転位密度が 5
00cm-2以下の如く低く、しかも双晶化や多結晶化の発生
が極めて少ない化合物半導体単結晶のインゴットを製造
し得る。このような化合物半導体単結晶インゴットから
は、前記の如く転位密度が低い化合物半導体単結晶基板
を非常に高い歩留まりで採取し得る。
【0024】このような化合物半導体単結晶の中、基板
の全体の90%以上の面積部において転位密度が 500cm-2
以下である化合物半導体単結晶基板、或いは、かかる化
合物半導体単結晶基板が得られる化合物半導体単結晶イ
ンゴットは、本発明に係る化合物半導体単結晶の一例に
相当する。上記転位密度: 500cm-2以下の化合物半導体
単結晶基板によれば、従来よりも高い輝度を有するLED
を得ることが可能となる。
【0025】かかる本発明の実施の形態からもわかる如
く、本発明によれば、従来よりも高い輝度のLED を得る
ことを可能にする化合物半導体単結晶基板を得ることが
できる。この詳細を以下に説明する。
【0026】本発明者らはLED の高輝度化等に関して鋭
意研究を重ね、その結果、次のような知見を得た。即
ち、LED の基板として転位密度:500cm-2以下の化合物半
導体単結晶基板を用いると、該基板の上に形成されるエ
ピ層での転位密度が500cm -2程度以下となり、そのため
従来のものよりも輝度の高いLED が得られる。特に、緑
色LED の基板として転位密度:500cm-2以下の化合物半導
体単結晶基板を用いると、極めて輝度の高い緑色LED が
得られる。このとき、化合物半導体単結晶基板における
転位密度:500cm-2以下の領域部の合計面積が全体(基板
面積)の90%以上であると、従来よりも製品(LED )歩
留まりが高く、例えば従来の2割増し程度の製品歩留ま
りの向上が達成される。従って、基板面積の90%以上の
面積部において転位密度が 500cm-2以下である化合物半
導体単結晶基板によれば、従来よりも高い輝度のLED を
高歩留まりで得ることが可能であり、かかる化合物半導
体単結晶基板は全体の90%以上の面積部が 500cm-2以下
の転位密度である低転位密度の化合物半導体単結晶から
得られる。即ち、全体の90%以上の面積部が 500cm-2
下の転位密度である低転位密度の化合物半導体単結晶に
よれば、従来よりも高い輝度のLED を高歩留まりで得る
ことを可能にする化合物半導体単結晶基板を得ることが
できる。
【0027】第1発明(請求項1記載の化合物半導体単
結晶)は、かかる知見に基づき完成されたものであり、
それは全体の90%以上の面積部が 500cm-2以下の転位密
度であることを特徴とする低転位密度の化合物半導体単
結晶である。この化合物半導体単結晶によれば、前記知
見からして、従来よりも高い輝度のLED を高歩留まりで
得ることを可能にする化合物半導体単結晶基板を得るこ
とができることがわかる。
【0028】更に、全体の95%以上の面積部が 100cm-2
以下の転位密度である低転位密度の化合物半導体単結晶
によれば、より高い輝度のLED を得ることを可能にし、
しかも製品(LED )歩留まりをより向上することを可能
にする化合物半導体単結晶基板を得ることができる(第
2発明)。
【0029】ところで、純緑色LED は、GaP 半導体単結
晶基板上に主として液相エピタキシャル成長法により薄
膜単結晶を成長させることにより作製される。このよう
に化合物半導体単結晶基板上に液相エピタキシャル成長
法により薄膜単結晶を成長させる場合、この成長に先立
ち基板結晶の表面が一部溶解され、そのため、この溶液
中に基板結晶中の不純物が溶け込み、エピ成長層内に混
入することが避けられない。又、気相エピタキシャル成
長法による場合には、上記の如き基板の再融解はない
が、やはり基板加熱中にエピ層への不純物の拡散が起こ
りやすい。このようなエピ層中の不純物元素はLED の発
光効率を著しく低下させ、ひいては輝度を低下させる。
従って、基板結晶内の不純物濃度はできる限り低減して
おくことが望ましい。
【0030】又、基板結晶内の不純物の中には、析出を
起こしてエピ層形成の際にエピ層中に転位等の構造欠陥
を導入させ、LED の輝度を低下させるものがある。かか
る析出は基板結晶中の転位に沿った応力場において起こ
り易い。従って、かかる不純物と転位とが出会う頻度を
低下させ、それによりLED の輝度低下を抑制することが
望ましい。
【0031】上記の点より、基板結晶中の不純物濃度は
5×1016cm-3以下にしておくことが望ましい。かかる不
純物濃度の場合、同時に転位密度が 500cm-2以下である
ときには実質的には殆ど不純物の析出が認められず、更
に転位密度が 100cm-2以下であるときにはほぼ完全に析
出が抑制される。
【0032】特に、基板の化合物半導体単結晶中の不純
物として酸素及びボロンはLED の性能を低下させるの
で、それらの濃度はできる限り低減しておくことが望ま
しい。このとき、酸素はGaP 等の化合物半導体単結晶中
で深い準位を形成し、発光効率を低下させる不純物であ
るが、それを防止するために酸素濃度を5×1016cm-3
下にしておくことが望ましい。ボロンの作用はよくわか
らないが、GaP 単結晶基板等の化合物半導体単結晶基板
の光透過率を低下させ、LED での純緑色発光の取り出し
効率を低下させる。これを防止するためにボロン濃度は
5×1016cm-3以下にしておくことが望ましい(第3発
明)。
【0033】前記基板の化合物半導体単結晶としては、
強還元性の不純物元素の濃度:3×1016cm-3以下の化合
物原料を用い、B2O3を液体封止材とする垂直ブリッジマ
ン法又は垂直温度勾配法により成長してなる化合物半導
体単結晶を用いることが望ましい(第4発明)。それ
は、上記不純物元素濃度が3×1016cm-3超の原料を用い
た場合には単結晶成長の際に融液中のシリコンがB2O3
体封止材と反応して、下記(1) 式のように融液中にボロ
ンを混入させ、その結果、得られる基板中のボロン濃度
が増加し、基板の光透過性を損ねるが、これに対し、上
記不純物元素濃度が3×1016cm-3以下の原料を用いた場
合には上記の如き反応、基板中のボロン濃度の増加を確
実に抑制し得るからである。
【0034】 3Si+2B2O3=SiO2+4B(融液) ----- (1)式
【0035】ここで、生成する量のSiO2はGaP 等の化合
物半導体単結晶中に混入することはなく、B2O3液体封止
材中に殆ど溶解する。従来、GaP 多結晶原料合成におい
ては石英やグラファイトるつぼ等の部材が使用されてお
り、これに起因する1017cm-3台の濃度のシリコンや炭素
の混入が避けられない。
【0036】炭素は、結晶成長中にB2O3中に含まれる微
量の水分と反応して、下記 (2)式のように系内から除去
されるが、水分量が炭素濃度を下回ると、Cが系内に残
り、その結果、下記 (3)式によりB2O3を還元して、融液
中にボロンを混入させる原因となる。これを防止するた
めには GaP原料中の炭素濃度は3×1016cm-3以下に抑え
るのが好ましい(第5発明)。そのためには、多結晶原
料合成にあたっては、グラファイトるつぼに代わり、P
BNるつぼ(熱分解窒化ホウ素るつぼ)の使用が適して
いる。又、かかるPBNるつぼの使用に加え、石英部材
の温度上昇を抑えるか、或いは石英部材を使用しない方
法により、多結晶GaP 等の多結晶原料中のシリコン濃度
を3×1016cm-3以下に抑えたものを得、これを原料とし
て使用すると、得られる単結晶中のボロン濃度の増加を
確実に抑制し得、単結晶基板中のボロン濃度を5×1016
cm-3以下に低減させることができる(第5発明)。
【0037】C+H2O =CO+H2 ----- (2)式 3C+B2O3=3CO+2B(融液) ----- (3)式
【0038】以上の作用効果は、前記化合物半導体単結
晶がGaP 半導体単結晶である場合に特に有効的である。
それは、前述の如く、各種LED ( 赤、緑、青色LED )の
中、GaP 緑色LED は比較的低コストで得られるが、輝度
が劣っており、その高輝度化が最も重要とされているか
らである(第6発明)。
【0039】第7発明(請求項7記載の化合物半導体単
結晶の製造方法)によれば、下方から上方に向かって固
液界面が次第に上昇して固化が進行し結晶が成長する際
に、下部の種結晶の上端から上部の直胴部との間の増径
部での固化進行時においては上に凸の固液界面形状が形
成され、前記直胴部での固化進行時においては水平な固
液界面形状が形成されるようにし得、そのため、ウエハ
に供せられる直胴部における熱応力が低減されて全体的
に転位密度が 500cm-2以下の如く低く、しかも双晶や多
結晶が極めて少ない化合物半導体単結晶のインゴットを
製造し得る。これは、従来の化合物半導体単結晶の製造
方法では得られなかった作用効果である。この詳細を以
下説明する。
【0040】近年、高品質の化合物半導体単結晶成長法
として報告例のみられる縦型ブリッジマン法や縦型温度
勾配凝固法といわれる容器成長法においては、従来のLE
C 法と呼ばれる引き上げ法とは異なり、るつぼ内で融液
を固化させるので、結晶の直径制御を行う必要がない。
このため、低温度勾配下での単結晶の育成が可能であ
り、熱歪が低減され、転位等の欠陥密度の低い高品質の
単結晶が製造できるという利点を有する。しかしなが
ら、この方法では融液及び結晶が直接容器壁と接触する
ので、多結晶化したり、双晶の発生確率が増えるという
問題点がある。そこで、容器と融液との間に容器及び融
液のいずれとも反応しないガラス状の液体層を確実に形
成させる手段を用いることにより、単結晶化の歩留まり
の向上をはかっている(特開昭63-79792号公報等)。
【0041】一方、多結晶化や双晶の発生の抑制、転位
密度の低減等、単結晶化の高品質化や歩留まり向上に関
しては、固液界面形状を制御することが有用な方法とし
て特開平5-194073号公報や特開平5-24965 号公報に示さ
れている。ここでは、冷却機構を設けたり、るつぼ形状
や結晶の支持構造を工夫することによって結晶の中央部
から積極的に抜熱を行い、固液界面形状の制御をはかっ
ている。又、マルチゾーンファーネスを用い、温度勾配
の制御性を高めることによって固液界面形状を精密に制
御することを試みている(Material Science and Engin
eering A173(1993)67 )。
【0042】又、J. of Crystal Growth 74(1986)491に
は、装置、成長系を適切に設計することにより水平〜少
し凸の固液界面形状をもつ高品質化合物半導体単結晶を
得ることが報告されている。
【0043】ところで、結晶がるつぼ壁近傍から多結晶
化する場合にはるつぼ壁付近の固液界面形状が局所的に
急激に変化し、その部分に熱応力が集中して転位が増大
し、転位の集積から、多結晶化をもたらすことが一般に
説明されている。特に、固液界面形状が下に凸の場合に
は発生した転位が結晶の内部に向かって集まるため、多
結晶化を生じやすい条件となる。
【0044】多結晶化にともなって発生する双晶はファ
セット成長との関連によって説明されている。ファセッ
ト面では双晶の発生確率が高く、特に、成長環境と融液
との境界部分では自由エネルギーが最小となるため、フ
ァセット成長が結晶の表面に現れるとき等には特に双晶
の発生確率は増大する。更に、このとき、温度勾配が小
さく過冷却層の厚みが大きい場合や、成長界面付近での
温度変動が大きい場合等も双晶の発生確率を高くする要
因となる。又、結晶増径部ではファセット成長しやすい
面方位が現れることの他、成長界面が下に凸の場合等に
はファセットが結晶表面に大きく現れ、極めて双晶が発
生しやすい状況となる。
【0045】これら多結晶化や双晶等の発生を抑制する
ためには、例えば、固液界面形状を理想的には平坦にし
て、るつぼ壁近傍で歪をもたらさないようにすることの
他、固液界面形状を上に凸にすることによって発生した
転位を結晶の外に逃がしたり、ファセットが結晶端に生
じないようにすることによって回避することが可能とな
る。
【0046】しかし、前述の特開昭63-79792号公報に記
載の技術において仮にガラスの緩衝層を設けても固液界
面形状を完全に制御するにはいたらず、又、るつぼ内面
の凹凸の状態によっては、ある確率で多結晶化や双晶を
生じるなど、本質的な解決の方法とはならない。
【0047】前記特開平5-194073号公報や特開平5-2496
5 号公報に示される例においては、結晶中央部からの抜
熱を行い、積極的に固液界面形状を制御して多結晶化や
双晶の発生を抑制することを目的としている。しかし、
実際には、成長容器あるいは成長容器の支持構造物の熱
伝導により、成長容器あるいは成長容器の支持構造物の
抜熱を生じさせる。このため、結晶中央部付近を冷却さ
せる構成をとっても結局は容器の温度を下げる結果とな
ってしまい、容器壁付近での局所的な固液界面形状の変
化は制御し得ない。この課題を解決するためには融液及
び結晶に効果的に径方向の温度勾配を与えることによっ
て、るつぼ壁近傍の細部までにわたって精密に制御する
対策を講じることが必要であるが、上記従来技術におい
ては対策が充分にはとられていない。更に、上記従来技
術においては、冷却構造を設けるために装置構造が複雑
かつ高価になることは避けられず、又、高圧容器内に冷
却水を流す場合等には安全上の充分な対策も必要とな
り、単結晶のコストアップを招くことは必至である。
【0048】以上の課題を解決した例としては、Materi
al Science and Engineering A173(1993)67 での報告例
や、J. of Crystal Growth 74(1986)491での報告例等が
あげられる。
【0049】しかし、前者の報告例では、特殊な構造の
炉による固液界面形状の制御例を示しているが、装置の
構造が複雑であると共に装置が高価であり、又、数10ゾ
ーンからなるヒータを独立に制御しており、これは工業
的に再現性のある安定操業に問題があり、そもそも低コ
ストの単結晶成長技術であるべき垂直温度勾配凝固法の
装置として適さない。
【0050】後者の報告例(J. of Crystal Growth 74
(1986)491)では、こうした問題はなく、比較的高品質
の単結晶が得られている。但し、単結晶の無転位化は実
現されていない。これは次のような無転位化の育成条件
が得られていないためであると考えられる。
【0051】即ち、単結晶の無転位化を実現するために
は、結晶に与えられる熱歪ができるだけ小さくなるよう
に温度分布を与えなければならず、理想的には固液界面
形状は水平であることが望ましい。後者の報告例におい
ては、この条件が得られていないことは、その結果より
明らかである。ところで、多結晶化や双晶化を抑制する
ためには、結晶増径部においては固液界面形状が上に凸
になるようにしてファセットが結晶表面に生じること、
るつぼ壁付近での急激な固液界面形状変化を抑制するこ
とが必要であるが、固液界面形状が上に凸である条件は
熱応力低減という無転位化の条件とは相反する。このた
め、双晶や多結晶の発生確率の高い増径部では上に凸の
固液界面を有し、ウエーハに供せられる結晶直胴部にお
いては固液界面形状を平坦に近くなるようにして結晶に
かかる熱応力を低減する等の対策を講じ、きめ細かく育
成条件を制御することが必要となる。このためには、成
長系に与える温度勾配を詳細に規定すると共に、支持構
造物の形状、材質を特定することにより、目的とする温
度分布を再現性良く得なければならない。更に、できる
だけ装置構造を簡単にするためには、成長に合わせて変
化する温度分布に対して、成長系の構造や温度勾配に変
化を与えるのではなく、予め決定された温度勾配や最適
に設計された成長系により、必要な固液界面形状の制御
が行えることが必要である。
【0052】本発明者らは、上記事情に着目し、化合物
半導体単結晶の製造方法に関して鋭意研究を重ね、その
結果、次のような知見を得た。即ち、垂直ブリッジマン
法又は垂直温度勾配法により下方から上方に向かって化
合物半導体単結晶を成長させて化合物半導体単結晶を得
るに際し、成長系に与えられる成長軸方向の温度勾配
が、上方の温度勾配の小さい領域とこの下方の温度勾配
の大きい領域の2つの領域に分かれ、これらの2つの領
域が接する境界部を有する温度勾配とすることにより、
固液界面形状が上に凸或いは水平になるように制御し得
る。
【0053】このとき、上方領域での温度勾配が7℃/
cm以下になり、下方領域での温度勾配が上方領域での温
度勾配の2〜4倍になるようにし、かかる温度勾配を維
持した状態で下方から上方に向かって固化を進行させ、
単結晶を成長させるようにすると、下方領域では固液界
面形状が上に凸になり、そして上方領域では固液界面形
状が水平になるようにし得る。その結果、転位密度が極
めて低く、双晶や多結晶化の発生が極めて少ない化合
物半導体単結晶インゴットを成長させることができ、ひ
いては、全体的に転位密度が 500cm-2以下の如く低い化
合物半導体単結晶基板を高歩留まりで得ることができ
る。
【0054】また、かかる温度勾配にすると共に、温度
勾配の境界部(上方領域と下方領域とが接する個所で温
度勾配が変化する個所)を成長系の増径部付近に位置さ
せるようにし、かかる状態で固化を進行させると、従来
法では特に双晶の発生しやすい個所である増径部におい
て成長界面が上に凸の形状であることにより、ファセッ
ト成長が結晶表面に現れることが抑制される。又、この
増径部では温度勾配が上方領域での温度勾配の2〜4倍
であって大きいため、過冷却層の厚みが薄くなり、双晶
の発生確率が極めて低くなる。一方、直胴部において
は、温度勾配が7℃/cm以下であって小さいので、固液
界面形状がほぼ水平になり、そのため、熱応力を殆ど与
えない結晶の育成が可能となり、転位密度の大幅な低減
及び単結晶の均質化の点でさらに大きな改良が得られ
る。従って、前記変曲点を成長系の増径部以外の個所に
位置させた場合よりも、全体的に転位密度が例えば 100
cm-2以下の如く低く、しかも双晶化や多結晶化の発生が
極めて少ない化合物半導体単結晶のインゴットを得るこ
とができる。
【0055】ここで、成長系における温度分布の測定例
として、るつぼ内にGaAs融液を形成した状態でのるつぼ
中心軸の温度勾配の測定結果、及び、るつぼ内温度分布
のシミュレーション結果を図1に示す。この図1に示さ
れるデータは定性的には次のように説明される。結晶の
増径部において温度分布の境界部が与えられる場合、境
界部から上方に比べて下方の方が熱を奪う効果が大きく
なる。ここで、境界部の下方の温度勾配の大きい部分で
は結晶の径が小さくなってゆき、結晶の外周近傍よりも
中心部付近の温度が低くなり、結晶には径方向に温度が
低くなる温度勾配がつくため、固液界面形状が上に凸と
なる。
【0056】更には、前記上方領域での温度勾配を7℃
/cm以下にすることによって、固液界面形状を水平に制
御し得るために必要な低温度勾配条件とすることが可能
となる。この場合には、化合物半導体単結晶の無転位化
をはかるために熱歪を低減するには充分な条件となる。
又、この条件では融液の対流は比較的抑制されるため、
成長系に与える温度変動が小さくなり、双晶抑制の効果
をより確実なものとすることができる。
【0057】又、下方領域での温度勾配を上方領域での
温度勾配の2〜4倍にすると共に特に10℃/cm以上にす
ることによって、種付け位置の精密な制御が充分とな
り、生産上必要な5〜10mm/hr 程度の成長速度を得るこ
とが可能となる他、双晶発生確率を低減するために必要
な充分に薄い過冷却層の厚みに制御することが可能とな
る。
【0058】第7発明(請求項7記載の化合物半導体単
結晶の製造方法)は、かかる知見に基づき完成されたも
のであり、それは、原料の融液に温度勾配を与え、結晶
を下方から上方に向かって固化させて単結晶を得る垂直
ブリッジマン法又は垂直温度勾配法による低転位密度の
化合物半導体単結晶の製造方法であって、前記融液に与
えられる温度勾配が、上方の7℃/cm以下である温度勾
配の小さい領域と該上方の温度勾配の2〜4倍の温度勾
配にされた下方の温度勾配の大きい領域とからなり、結
晶が成長する範囲において前記2つの領域の境界部を有
することを特徴とする低転位密度の化合物半導体単結晶
の製造方法である。この製造方法によれば、前記知見か
らして、下方から上方に向かって固液界面が次第に上昇
して固化が進行し結晶が成長する際に、下部の種結晶の
上端から上部の直胴部との間の増径部での固化進行時に
おいては上に凸の固液界面形状が形成され、前記直胴部
での固化進行時においては水平な固液界面形状が形成さ
れるようにし得、そのため、全体的に転位密度が 500cm
-2以下の如く低く、しかも双晶化や多結晶化の発生が極
めて少ない化合物半導体単結晶のインゴットを製造し得
る。
【0059】かかる化合物半導体単結晶インゴットから
は、前記の如く転位密度が低い化合物半導体単結晶基板
を歩留まりよく採取し得る。即ち、従来よりも高い輝度
のLED を高歩留まりで得ることを可能にする化合物半導
体単結晶基板を得ることができる。
【0060】前記境界部が種結晶の上端から直胴部との
間の増径部に配置されるようにすることが望ましい(第
8発明)。そうすると、前述の如く、境界部を成長系の
増径部以外の個所に位置させた場合よりも、全体的に転
位密度が例えば 100cm-2以下の如く低く、しかも双晶や
多結晶が極めて少ない化合物半導体単結晶のインゴット
を得ることができるようになるからである。
【0061】前記の如き境界部を有する温度勾配を簡単
な成長系の構造で与えるためには、前記原料を入れるる
つぼとして増径部をもつ形状を有するるつぼを用い、こ
のるつぼを支持する構造物として増径部をもつ形状を有
する構造物を用いる構成を採用すればよい(第9発
明)。かかる構成の一例を図2に示す。この図2に示す
構成によれば前記の如き境界部を有する温度勾配を与え
得る。これは、定性的には次のように説明される。即
ち、化合物半導体単結晶の融液を形成するような高温に
おいては成長系への入熱は輻射が支配的である。ここ
で、支持構造物の増径部では垂直に熱を受けないこと、
及び、下方にゆくほど熱を受ける面積が小さくなり、結
果として下方ほど流入する熱が小さくなる。よって、増
径部付近での局所的な断熱効果を生じるために、この付
近で温度勾配に境界部が実現される。
【0062】更に、前記構造物がるつぼの直胴部側面を
覆う直胴部を有し、該直胴部と前記増径部とが一体とな
った形状を有するようにすることが望ましい(第10発
明)。そうすると、直胴部における均熱化がはかられ、
上方の温度勾配を小さくすることが容易に実現されるよ
うになるからである。かかる構成の一例を図3に示す。
【0063】前記構造物の増径部の構成材質と直胴部の
構成材質が異なり、かつ、この構造物の上方の構成材の
熱伝導率が下方の構成材の熱伝導率よりも大きい場合、
第10発明の場合と同様のことが実現される(第11発
明)。又、上方の構成材の熱反射率が下方の構成材の熱
反射率よりも小さい場合も、第10発明の場合と同様のこ
とが実現される(第12発明)。ここで、熱反射率とは、
熱に対する反射率のことである。
【0064】前記の如き変曲点をもつ温度分布を得るた
めに、前記構造物の増径部での角度については30〜70°
とすることが望ましい(第13発明)。増径部での角度が
70°超と大きいときは断熱効果が顕著に得られるもの
の、急激な結晶径の増加に対する成長速度の精密な制御
が困難になる他、境界部をもつ温度分布の影響が直胴部
にまで及び、結晶直胴部の品質を低下させる範囲が拡が
るからである。又、角度が30°未満と小さい場合にはウ
エハーに供せられる部分以外の質量が増える他、上記断
熱を促進する効果が低減することがあるからである。
尚、上記増径部での角度とは、垂直軸に対する角度、即
ち、構造物あるいはるつぼの中心軸に対してなす角度の
ことである。
【0065】ところで、境界部付近での温度変化を鋭角
的なものとすることにより、局所的に必要な範囲のみ固
液界面形状を上に凸にし、それによって、ウエハーに供
せられる部分への影響をさらに少なくし得る。そのため
には、前記構造物が、逆円錐形状の支持部及び円柱によ
って構成された支持体によって支持されるようにすれば
よく(第14発明)、或いは、前記構造物の増径部に結晶
成長径軸方向と垂直な面に熱遮蔽板を設けるようにすれ
ばよい(第15発明)。即ち、このように増径部の上方と
下方とを分離するシールド構造を併用するのがよい。か
かる構成の例を図4及び図5に示す。これらの図に示す
構成によれば、シールドの上部及び下部では結晶に与え
られる熱量にもともと差をつけておくことができるた
め、変曲点付近での温度変化をさらに急激にすることが
可能となる。
【0066】この効果と同様の効果は、増径部の中央付
近に反射板を用いることによっても得られる。また、前
記原料の加熱炉として、前記構造物の増径部に対応する
位置に断熱材が配置されたヒータ構造を有する炉を用い
ることによっても、同様の効果が得られる(第17発
明)。かかる構成の一例を図6に示す。
【0067】いずれの場合(第14発明、第15発明、第17
発明)にも、固液成長界面が上に凸になるのは結晶の増
径部に限定され、直胴部に入ったところではほぼ水平の
固液成長界面形状が得られる。
【0068】前記の如く、前記種結晶の上端から直胴部
との間の増径部においては上に凸の固液界面形状が形成
され、前記直胴部においては水平な固液界面形状が形成
されるようにすることができ、そのようにすることが望
ましい(第18発明)。そうすると、より確実に、全体的
に転位密度が 500cm-2以下の如く低く、しかも双晶や多
結晶が極めて少ない化合物半導体単結晶のインゴットを
製造し得るようになるからである。
【0069】垂直ブリッジマン法(VB法)においてはル
ツボを成長系ごと下降させる構成であるから、予め最適
設計された成長系を用い、この成長系に与えられる温度
勾配に変化がなければ、増径部付近では固液界面形状が
上に凸に制御され、結晶の直胴部ではその影響を受けて
僅かに上に凸乃至は水平の固液界面形状が得られること
は、単結晶育成時全体にわたって変化がない。又、増径
部以降は温度勾配が小さくなるものの、結晶からの抜熱
は系全体の熱環境で決定されるため、成長速度は実用上
充分な速度が得られる。図7に成長系に与えられる温度
勾配、ルツボに与えられる温度勾配の成長状態にともな
う変化の例を示す。
【0070】一方、前記第17発明の場合の如く断熱材が
配置されている場合には、成長系に与えられる温度勾配
は一定でない。従って、この場合には結晶の下降にとも
なって与えられる温度勾配も変化してゆく。しかしなが
ら、このときには成長に従ってヒータ温度を変化させる
ことによって、上記の安定した温度分布の制御は可能で
ある。又、本発明に係る化合物半導体単結晶の製造方法
は、垂直温度勾配凝固法によって行っても実現される。
【0071】前記構造物としては高温で経時変化せず、
又、互いに反応しない材料(材質)であることが望まれ
る。かかる材料としては、モリブデン、タングステン等
の高融点金属、カーボン、窒化けい素、窒化アルミニウ
ム、アルミナ、窒素ホウ素等のセラミックスの1種以上
を挙げることができる(第16発明)。
【0072】第19発明(請求項19記載の化合物半導体単
結晶の製造装置)によれば、原料容器内の原料融液に温
度勾配を与え、結晶を下方から上方に向かって固化させ
て単結晶を得るVB法又はVGF 法による化合物半導体単結
晶の製造を行うに際し、前記融液の温度勾配が上方領域
と下方領域とでは異なり、上方領域と下方領域の接続部
に境界部を有し、上方領域において7℃/cm以下と小さ
く、この下方の領域で上方領域の温度勾配の2〜4倍と
急激に大きくなるようにすることができ、かかる温度勾
配を維持した状態で下方から上方に向かって固化させ、
結晶を成長させることができる。即ち、本発明に係る化
合物半導体単結晶の製造方法を確実に行うことができ
る。その結果、全体的に転位密度が低く、しかも双晶や
多結晶が極めて少ない化合物半導体単結晶のインゴット
を製造し得る。これは従来の化合物半導体単結晶の製造
装置では得られなかった作用効果である。この詳細を以
下説明する。
【0073】本発明に係る製造装置においては、原料容
器が下部に下方から上方に向けて直径が大きくなる増径
部を有する形状であり、この原料容器を保持するための
構造物が該容器と相似形の増径部を有し、該容器の外側
面を覆って設けられているので、増径部での温度勾配を
大きくし得ると共に、直胴部での温度勾配を極めて小さ
くし得る。そのため、前記の如き境界部をもつ温度勾配
に制御することが可能となる。従って、本発明に係る化
合物半導体単結晶の製造方法を確実に行うことができ、
その結果、全体的に転位密度が低く、しかも双晶や多結
晶が極めて少ない化合物半導体単結晶のインゴットを製
造し得る。
【0074】上部に増径部を有する筒状の支持体によっ
て前記構造物の増径部を支えることによって、前記構造
物が支持されていることが望ましい(第20発明)。そう
すると、第14発明の場合と同様の作用効果を奏すること
ができるからである。
【0075】前記構造物の増径部と前記加熱手段との間
に断熱材が配置されていることが望ましい(第22発
明)。第17発明の場合と同様の作用効果が得られるから
である。
【0076】前記構造物を支持する支持体としては高温
で経時変化しない材料(材質)であることが望まれる。
かかる材料としては、モリブデン、タングステン等の高
融点金属、カーボン、窒化アルミニウム等のセラミック
スの1種以上を挙げることができる(第21発明)。
【0077】尚、本発明に係る製造装置(第19発明)に
おいては、原料容器が下部に下方から上方に向けて直径
が大きくなる増径部を有する形状であるので、この原料
容器の下部に種結晶を置き、その上方の大径の増径部、
更に大径の直胴部で単結晶を成長させることができ、そ
のため、種結晶は成長させる単結晶よりも直径が小さ
く、極めて小径である。従って、種付け(原料融液を種
結晶と接触させること)を確実に且つ容易に行うことが
でき、又、種結晶にかかるコストも小さく、単結晶製造
コストの低減がはかれるという作用効果も奏し得る。
【0078】
【実施例】
(実施例1)実施例1に係る化合物半導体単結晶の製造
装置を図8に示す。この装置は、液体封止式垂直ブリッ
ジマン法(LE-VB法) によるGaP 単結晶の製造用のもので
あり、高圧式(最高仕様:100 気圧)である。容器、上
蓋、下蓋(図示していない)よりなる密閉容器内に、原
料融液を収納する容器(ルツボ)1がホットゾーン内に
設置され、受け台7上に設置されている。受け台7はル
ツボ軸(図示していない)上に固定され、密閉容器内を
垂直方向に可動なように取り付けられている。ルツボ1
内には種結晶5bが直胴部1a、増径部1bの下方の細径部1c
内に設置され、その上に原料多結晶、液体封止材を挿入
する。
【0079】このとき、種付けを確実かつ容易に行うた
めには、増径部1bより下方の温度勾配を大きくした方が
よい。これは、種結晶を一部融解させて(メルトバック
を行って)種付けを行うときに、温度勾配の大きい方が
固液界面の位置を制御し易いためである。具体的に例に
より説明すると、例えば、温度勾配が2℃/cm の場合
と、20℃/cm の場合とでは、同じような温度変動が±0.
5 ℃あった場合でも、固液界面の変動は温度勾配2℃/c
m の場合で±0.25cm、温度勾配20℃/cm の場合で±0.02
5cm となり、温度勾配が大きい方が温度変動の影響を小
さくし得、大きく温度がふらついても、種結晶を全て融
解させてしまうことがない。
【0080】又、実際に育成させる結晶を高品質にする
ためには、熱応力を如何に小さくするかが重要であり、
できるだけ温度勾配を小さくする(均熱にする)方が望
ましい。
【0081】これらの条件を図8の右側に温度分布とし
て示す。かかる温度分布を得るために、ホットゾーン6
はルツボ1とほぼ同じ形状にしてある。即ち、ルツボ直
胴部1a部のホットゾーン6は同径に、ルツボ増径部1bは
同じような角度をもった円錐形状としている。このよう
な構造とすることにより、直胴部ではホットゾーン6の
熱伝導により均熱化され温度勾配がつき難くなり、増径
部では直胴部に比べてヒータ8a等からの熱輻射を受け難
くなり、直胴部に比べて温度勾配を大きくすることが可
能となる。更に、それは受け台7の設置により熱輻射の
カット及び受け台7からの熱伝導による下方への熱の逃
げ量の増加によりさらに温度勾配を大きくすることが可
能となる。又、図に示す如くヒータ8a、8b間に断熱材9
を設置すると更に大きな温度勾配を得ることが可能とな
る。
【0082】前述の如く、直胴部の温度勾配を小さくす
るため、又、増径部からの熱の逃げを大きくし、該増径
部の温度勾配を大きくするためには、熱伝導率が大き
く、且つ、使用温度域で充分な強度を有する材料を選ぶ
必要がある。即ち、金属系材料、特に高融点金属(モリ
ブデン、タングステン等)や貴金属(白金、ロジウム
等)やカーボン、セラミックス(特に熱伝導率の高い窒
化アルミ等)を使用するのがよい。
【0083】上記装置を用いて GaP単結晶の製造を下記
の如くして行った。p-BN製のルツボ1内に (100)方位の
GaP種結晶を挿入し、その上に GaP多結晶原料:700g 及
び液体封止材としてB2O3:200g を挿入した。その後、ル
ツボ1にp-BN製の蓋2をし、モリブデン製ホットゾーン
6内に設置した。このホットゾーン6はルツボ1とほぼ
同じような形状をしており、直胴部、増径部、細径部よ
りなる。このホットゾーン6を受け台7上に設置し、装
置内に挿入した。
【0084】次に、真空引き、アルゴンガスによる容器
内のガス置換を行った後、アルゴンガスを約40気圧導入
し、所定の温度となるようにヒータ8a、8bにパワーを導
入した。そして、温度が安定した後、ルツボ軸を上方へ
移動させ、種結晶の上部を一部融解させ種付けをした。
種付け後、ルツボを下方へ3mm/hr で移動させ、結晶育
成作業を行った、育成終了後、アルゴンガスを放出し、
育成した結晶を取り出し、液体封止材(B2O3)の除去を行
った。
【0085】取り出された結晶は、種結晶のほぼ中央付
近で種付けが行われており、結晶全体にわたり (100)方
向に成長した単結晶であり、転位密度も50〜 450(平均
300)cm-2と低くて高品質であった。
【0086】尚、図8において、付番の3は液体封止
材、4は原料融液、5aは成長した単結晶を示すものであ
る。
【0087】(実施例2)実施例2に係る化合物半導体
単結晶の製造装置及びこの装置を垂直温度勾配方に適用
した状況を図9に示す。この装置は、図8に示した実施
例1に係る装置とほぼ構成が同じであるが、受け台7は
装置下部に固定されたルツボ軸に設置されるため、実施
例1に係る装置と異なり下方への移動はできない。従っ
て、結晶の育成はルツボの下方への移動により行うので
はなく、ヒータ8a、8b、8c、8dのパワーを変化させ、徐
々にルツボ1の下方から温度を下げていくことにより育
成する。
【0088】図9の中の右側の図に温度分布を示す。種
付けは実施例1の場合と同様の方法により行うが、育成
はヒータ8a、8b、8c、8dのパワーを図9の実線から点線
となるように変化させて行う。
【0089】このようにルツボ1を下方へ移動させて結
晶を育成するか、ヒータ・パワーを変化させ(ルツボ内
の温度を変化させ)結晶を育成するか、という点が異な
るのみである。
【0090】(実施例3)実施例3に係る化合物半導体
単結晶(GaAs単結晶)の製造方法を実施するために用い
た装置を図10に示す。この図10を用いて実施例3を以下
説明する。直径3インチの熱分解窒化ホウ素ルツボ11中
に (100)方位の種結晶12、GaAs多結晶ブロック13:3000
g 、液体封止材(B2O3)14:40g を充填した。ここで、原
料多結晶ブロック13としては、予め合成時にドーパント
としてシリコンを1.0 ×1019/cm3分散させ、ルツボ形状
に沿う形状のルツボを用いて成形されているものを用い
た。種結晶としてはシリコン濃度が1×1018/cm3であり
且つ無転位である結晶を用い、これにより種付け付近か
らの伝搬転位を抑制する対策をとった。又、B2O3として
は増径部の形状に沿う形に成形したものを用い、原料の
下部に充填し、融液が形成された状態でB2O3が融液の周
囲を完全にとりまくための工夫を行った。
【0091】次に、封管時に石英製封管容器15内部の空
間を融点近傍でのGaAsのひ素の解離圧である約1気圧で
満たすべき重量(質量)の金属ひ素16を、封管容器内部
に添加した。本実施例において、この金属ひ素の重量は
計算により求められ、それは約0.75g であった。
【0092】次に、溶接によって封管し、増径部は窒化
ホウ素製のホットゾーン17を用い、直胴部はモリブデン
製のホットゾーン18を用いて、3ゾーンからなる常圧垂
直ブリッジマン炉にセットした。尚、原料を充填しない
状態でルツボ及びホットゾーンをセットしてルツボ内部
の温度勾配を測定した結果、直胴部付近では2℃/cm、
増径部付近で6℃/cm であった。又、このとき種結晶装
着部の中央部でGaAsの融点である1238℃になる位置を求
めておいた。
【0093】次に、成長系を所定位置にセットし、炉を
設定温度まで昇温し、2時間の安定化時間を経た後、成
長系全体を5mm/hr で下方に120mm 移動した後、成長系
の移動を止め、ヒータを当初は100 ℃/hr で5時間、そ
の後は200 ℃/hr で降温させた。
【0094】しかる後、封管容器からルツボごと結晶を
取り出し、温メタノール浴中にて結晶の周囲に取り巻い
ているB2O3を溶解した後、結晶を取り出した。
【0095】上記結晶を鏡面ウエーハに加工し、溶融KO
H によってエッチングした結果、エッチピットは全く観
察されなかった。又、上記結晶から得られた別のウエー
ハを硫酸:過酸化水素水:水=2:2:1の混合溶液に
よって鏡面エッチングした後、X線トポグラフによって
撮影したところ、転位を示すコントラストは観察されな
かった。
【0096】また、ホール測定を行った。その結果を図
11に示す。直胴部のフロント側からテイル側にかけて導
電性はn型であり、キャリア濃度は1.0 ×1018〜 2.5×
1018cm-3であった。ここで、この値はシリコンの偏析か
ら計算される値に従っていないが、これはB2O3中の水分
と融液中のドーパントとの反応が生じ、融液中のドーパ
ントが時間経過とともに減ってゆくためであると考えら
れる。又、ウエーハ面内のホール測定結果は図11からわ
かる如く2%以下であり、結晶の高い均一性も示され
る。
【0097】上記と同じ方法によって得られたGaAs単結
晶を縦割りにして鏡面研磨し、フォトエッチングを行っ
て固液界面形状を測定した結果を図12に示す。増径部で
は上に凸の成長界面が観察され、結晶肩部に向かって水
平に近づいてゆく様子が観察された。結晶直胴部におい
ては成長界面は全く観察されなかった。これは、温度変
動による不純物の濃度の相違によって感応するフォトエ
ッチングによって検出されなかったためであると考えら
れ、直胴部では安定した育成が行われたことを示す。
【0098】前記ルツボ11を15回繰り返し使用したとこ
ろ、双晶の発生や多結晶化は起こらず、100%の歩留まり
で単結晶が得られた。
【0099】(実施例4)実施例4に係る化合物半導体
単結晶(GaP 単結晶)の製造方法を実施するために用い
た装置を図13に示す。直径2インチの熱分解窒化ホウ素
ルツボ11中に (111)方位の種結晶12、GaP 多結晶ブロッ
ク13:1800g 、水分量:200ppmのB2O3(50g)14 、ドーパ
ント19としてGa2S3:約0.1gを充填した。ここで、原料多
結晶ブロックとしては、高圧の直接合成によって得られ
た低炭素濃度のものを用いた。この多結晶原料中の炭素
濃度はSIMS分析(二次イオン質量分析法)により5.0 ×
1015cm-3以下であることが確認されている。又、ルツボ
11の直径より少し小さい形状に成形されているため、ル
ツボへの充填率が高められている。ドーパントは図13に
示される如く多結晶原料ブロック中に穴を開けた中に添
加した。種結晶としては本発明に係る方法により育成し
た結晶より切り出した無転位のものを用い、(111)P面を
成長方向にして装着した。B2O3としては増径部の形状に
沿う形に成形したものを用い、原料の下部に充填した。
【0100】上記充填後のものを、熱遮蔽傘を有する形
状のモリブデン製のルツボ受け16、モリブデン製のケー
ス17からなるホットゾーンと共に4ゾーンからなる高圧
垂直ブリッジマン炉にセットした。尚、原料を充填しな
い状態でルツボ及びホットゾーンをセットしてルツボ内
部の温度勾配を測定した結果、直胴部付近では4℃/c
m、増径部付近で12℃/cmであった。
【0101】次に、成長系を所定位置にセットし、室温
で高圧容器内部に40atm のアルゴンを充填し、炉を所定
温度まで昇温し、2時間の安定化時間を経た後、成長系
全体を10mm/hr で下方に200mm 移動した後、成長系の移
動を止め、ヒータを当初は50℃/hr で6時間、その後は
200 ℃/hr で降温し、600 ℃になったところでヒータを
切り、炉冷した。
【0102】しかる後、ルツボごと結晶を取り出し、温
メタノール浴中にて結晶の周囲に取り巻いているB2O3
溶解した後、結晶を取り出した。
【0103】このようにして得られた結晶のフロント、
ミドル、テイルよりウエーハを切り出し、鏡面に加工
し、塩酸:硝酸=1:1の混酸によってエッチングした
後、X線トポグラフによって撮影したところ、転位を示
すコントラストは観察不能であった(観察されなかっ
た)。又、ふっ酸:過酸化水素水:硫酸=2:1:1か
らなる混合溶液によってエッチングした結果、転位ピッ
トはフロントで数10個であり、ミドルでは観察されず、
テイルではまばらに数10個程度観察された。
【0104】又、ホール測定を行った結果、結晶のフロ
ント、ミドル、テイルにおいて導電性はn型であり、キ
ャリア濃度はそれぞれ順に4.0 ×1017cm-3、6.0 ×1017
cm-3、8.0 ×1017cm-3であった。
【0105】前記ルツボを10回繰り返し使用したとこ
ろ、100%の歩留まりで単結晶が得られた。
【0106】(実施例5)実施例5に係るGaP 単結晶の
製造方法を実施するために用いた装置を図14に示す。直
径2インチの熱分解窒化ホウ素ルツボ11中に (100)方位
の種結晶12、GaP多結晶ブロック13:1800g 、水分量:2
00ppmのB2O3(200g)14、ドーパント19としてGa2S3:約0.0
8g を充填した。ここで、原料多結晶ブロックとして
は、ボート法によって得られたものを用いた。ドーパン
トは図14に示される如く多結晶原料ブロック中に穴を開
けた中に添加した。種結晶としては本発明に係る方法に
より育成した結晶より切り出した無転位のものを用い
た。B2O3は図14に示される如く原料下部及び上部に、砕
いたものを原料とともに充填した。
【0107】上記充填後のものを、モリブデン製の熱遮
蔽板20及びケース17からなるホットゾーンと共に2ゾー
ンからなる高圧垂直ブリッジマン炉にセットした。ここ
で、上下ヒータ間には断熱材が配置され、結晶の増径部
及び熱遮蔽板20を同位置に配置した。尚、原料を充填し
ない状態でルツボ及びホットゾーンをセットしてルツボ
内部の温度勾配を測定した結果、直胴部付近では5℃/c
m 、増径部付近で10℃/cm であった。
【0108】次に、成長系を所定位置にセットし、室温
で高圧容器内部に40atm のアルゴン及び窒素からなる混
合気体を充填し、炉を設定温度まで昇温し、2時間の安
定化時間を経た後、上部ヒータの温度を5℃/hr で、下
部ヒータの温度を8℃/hr で下げることにより結晶を育
成した。尚、予め測定した温度分布によれば、温度勾配
の境界部の位置が変化しないことが確認されている。ヒ
ータの温度をそれぞれ50℃、80℃下げたところで、当初
は50℃/hr で6時間、その後は200 ℃/hr で降温し、60
0 ℃になったところでヒータを切り、炉冷した。
【0109】しかる後、ルツボごと結晶を取り出し、温
メタノール浴中にて結晶の周囲に取り巻いているB2O3
溶解した後、結晶を取り出した。
【0110】このようにして得られた結晶を鏡面ウエー
ハに加工し、結晶のフロント、ミドル、テイルからそれ
ぞれウエーハを切り出し、エッチングした後、X線トポ
グラフによって撮影したところ、転位を示すコントラス
トは観察不能であった(観察されなかった)。又、ふっ
酸:過酸化水素水:硫酸=2:1:1からなる混合溶液
によってエッチングした結果、転位ピットはフロント、
ミドル、テイルでウエーハ全体で100 個以下であった。
【0111】又、ホール測定を行った結果、結晶のフロ
ント、ミドル、テイルにおいて導電性はn型であり、キ
ャリア濃度はそれぞれ順に5.0 ×1017cm-3、7.0 ×1017
cm-3、1.0 ×1018cm -3 であった。
【0112】(比較例1)ルツボ受けとして図15に示す
形状のカーボン製ルツボ受けを用いた。そして、実施例
3において用いたものと同様に準備された原料等の充填
された封管容器を上記ルツボ受けにセットした。尚、こ
のときのルツボ内部の温度勾配を、原料を充填しない状
態でルツボ及びホットゾーンをセットして測定した結
果、成長系全体にわたって約4℃/cm であった。
【0113】次に、成長系を所定位置にセットし、実施
例3と同様の育成条件によって単結晶を育成した。そし
て、結晶を取り出した。
【0114】このようにして得られた結晶を鏡面ウエー
ハに加工し、溶融KOH によってエッチングした結果、エ
ッチピット密度はフロント側で平均100 個/cm2以下、ミ
ドルで平均460 個/cm2、テイルで平均580 個/cm2であっ
た。
【0115】上記の如き単結晶育成を3回連続して試行
したが、最初の2回目は肩部付近より双晶が入り、3回
目は増径部において複数個所より双晶が導入され、双晶
がぶつかった以降は多結晶化していた。
【0116】(比較例2)ルツボ受けとして図15に示す
形状のカーボン製ルツボ受けを用い、実施例4の場合と
同様に成長系を準備し、これを上記ルツボ受けにセット
した。そして、実施例4の場合と同様の条件にて単結晶
育成を行った。3回連続して双晶が導入された結晶が得
られた。
【0117】(実施例6)前記実施例に係る化合物半導
体単結晶の製造方法等の製造方法により、本発明の実施
例及び比較例に係るGaP 単結晶(インゴット)を得、該
単結晶よりGaP 基板を製作し、該GaP 基板を用いてLED
を作製した。そして、該GaP 基板についての転位密度の
測定や、該LED についてのエピ層中の転位密度の測定を
行った。また、pn接合からの純緑色発光強度をフォトル
ミネッセンス法により評価した。
【0118】上記測定の結果、得られたGaP 基板につい
ての転位密度とエピ層中の転位密度との関係を図16に示
す。図16からわかる如く、GaP 基板の転位密度が低くな
るにともなってエピ層中の転位密度が低くなり、特にGa
P 基板の転位密度が500 cm-2以下になると、エピ層中の
転位密度が急激に低くなる。この転位密度:500cm-2以下
のGaP 基板は、本発明の実施例に係るGaP 単結晶から得
られたものである。従って、本発明の実施例に係るGaP
単結晶によれば、低転位密度のGaP 基板が得られ、ひい
てはエピ層中の転位密度が低いLED が得られる。
【0119】発光強度の測定の結果、上記の如くエピ層
中の転位密度が低いLED は高い輝度を有することが確認
された。従って、本発明の実施例に係るGaP 単結晶によ
れば、高い輝度のLED が得られることが確認された。
【0120】尚、上記本発明の実施例に係る結晶中の不
純物濃度については、酸素が5.4 ×1016cm-3、ボロンが
5.2 ×1016cm-3である。エピ層はエピタキシャル法によ
り成長したn型層である。ドーパントとしてはテルルを
使用した。キャリア濃度は2×1017cm -3 である。
【0121】(実施例7)実施例6の場合と同様の方法
により、転位密度:500 cm-2以下のGaP 基板上にn型層
を成長させた後、さらにZn添加p型層を成長させて得ら
れたエピ成長基板について、発光強度を測定した。又、
該エピ成長基板にArイオンレーザによる488nm 光を照射
励起し、555nm の純緑色の発光スペクトル強度を常温で
測定した。
【0122】上記測定の結果、得られた発光強度に関す
るデータを図17に示す。この図17は、基板結晶中の不純
物濃度を変化させた場合の発光強度を示すものであり、
LEC結晶における発光強度と比較して、基板内平均で2
倍以上の強度が得られた場合に○、それ以下の場合には
×で示した。尚、LEC 結晶における酸素濃度は1.2 ×10
18cm-3、ボロン濃度は2.3 ×1017cm-3であった。
【0123】図17からわかる如く、GaP 基板中の酸素濃
度:5×1016cm-3以下、且つ、ボロン濃度:5×1016cm
-3以下の場合に2倍以上の発光強度が得られ、これら不
純物濃度の低減による顕著な輝度向上効果が確認され
た。
【0124】LEC 基板の2倍以上の発光強度が得られた
基板に関して更に転位密度との関係を詳細に検討した。
その結果、転位密度が500 cm-2以下の基板で、その基板
面積の90%以上を占めている場合は、それ未満の基板を
使用した場合と比較して、発光強度に関し、LEC 基板の
2倍を超える部分がほぼ20%増えることがわかった。
【0125】又、転位密度が100 cm-2以下の部分が、基
板面積の95%以上を占める低転位密度の基板では、この
改善効果(平均500 cm-2以下で、<500 cm-2部分が<90
%の基板との比較)が30%であり、低転位密度基板の特
徴が強調されることがわかった。
【0126】(比較例3)転位密度:750 cm-2のGaP 基
板を使用して、実施例7の場合と同様の方法により、55
5nm におけるフォトルミネッセンス強度を評価した。こ
の場合、基板面積の76%の部分で比較材のLEC 基板に比
べて2倍以上の強度を示したが、残る24%の部分では、
LEC 基板と同等(約1倍)からLEC 基板の1.8 倍程度の
発光強度を示した。
【0127】
【発明の効果】本発明に係る低転位密度の化合物半導体
単結晶によれば、従来よりも高い輝度及び発光効率の可
視発光ダイオードを高歩留まりで得ることを可能にする
化合物半導体単結晶基板を得ることができるようにな
る。即ち、従来よりも高い輝度及び発光効率の可視発光
ダイオードを高歩留まりで得ることができるようにな
る。
【0128】本発明に係る低転位密度の化合物半導体単
結晶の製造方法によれば、前記本発明に係る低転位密度
の化合物半導体単結晶の如く、全体的に転位密度が低
く、しかも双晶や多結晶が極めて少ない化合物半導体単
結晶を製造し得る。従って、従来よりも高い輝度及び発
光効率で、しかも高品質である可視発光ダイオードを高
歩留まりで得ることが可能な化合物半導体単結晶基板を
得ることができるようになる。
【0129】本発明に係る低転位密度の化合物半導体単
結晶の製造装置によれば、本発明に係る低転位密度の化
合物半導体単結晶の製造方法を確実に行うことができ、
その結果、全体的に転位密度が低く、しかも双晶や多結
晶が極めて少ない化合物半導体単結晶を製造し得るよう
になる。又、種付けを確実に且つ容易に行うことがで
き、そのため製造コストの低減がはかれるようにもな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る化合物半導体単結晶の製造の際
の単結晶の成長系におけるるつぼ中心軸の温度勾配の測
定結果及びるつぼ内温度分布のシミュレーション結果の
一例を示す図である。
【図2】 本発明に係る変曲点を有する温度勾配を与え
るための増径部をもつ形状のるつぼ及びるつぼ支持構造
物を有する化合物半導体単結晶製造装置の要部を示す側
断面図である。
【図3】 本発明に係る直胴部での均熱化をはかるため
のるつぼ及びるつぼ支持構造物を有する化合物半導体単
結晶製造装置の要部を示す側断面図である。
【図4】 本発明に係る変曲点付近での温度変化を鋭角
的なものとするためのるつぼ及びるつぼ支持構造物を有
する化合物半導体単結晶製造装置の要部を示す側断面図
である。
【図5】 本発明に係る変曲点付近での温度変化を鋭角
的なものとするためのるつぼ及びるつぼ支持構造物並び
に熱しゃ閉板を有する化合物半導体単結晶製造装置の要
部を示す側断面図である。
【図6】 本発明に係る変曲点付近での温度変化を鋭角
的なものとするための化合物半導体単結晶製造装置の要
部を示す側断面図である。
【図7】 単結晶の成長系に与えられる温度勾配及びル
ツボに与えられる温度勾配の成長状態にともなう変化の
例を示す図である。
【図8】 本発明の実施例1に係る化合物半導体単結晶
の製造装置の概要を示す側断面図である。
【図9】 本発明の実施例2に係る化合物半導体単結晶
の製造装置の概要を示す側断面図である。
【図10】 本発明の実施例3に係る化合物半導体単結
晶の製造方法を実施するために用いた装置の概要を示す
側断面図である。
【図11】 本発明の実施例3に係る単結晶の成長軸方
向のキャリア濃度及びウエーハ面内でのキャリア濃度を
示す図である。
【図12】 本発明の実施例3に係る単結晶成長系の固
液界面形状の測定結果を示す図である。
【図13】 本発明の実施例4に係る化合物半導体単結
晶の製造方法を実施するために用いた装置の概要を示す
側断面図である。
【図14】 本発明の実施例5に係る化合物半導体単結
晶の製造方法を実施するために用いた装置の概要を示す
側断面図である。
【図15】 比較例1に係るカーボン製ルツボ支持構造
物により支持されたルツボを示す側断面図である。
【図16】 本発明の実施例6に係るGaP 基板中の転位
密度とエピ層中の転位密度との関係を示す図である。
【図17】 本発明の実施例7に係るGaP 基板中の酸素
濃度及びボロン濃度と該基板を用いて得られた発光ダイ
オードの発光強度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1--- ルツボ、1a--直胴部、1b--増径部、1c--細径部、
2--蓋、3--液体封止材、4--原料融液、5a--成長単結
晶、5b--種結晶、6--ホットゾーン、7--受け台、8a,
8b,8c,8d--ヒータ、9--断熱材、11--熱分解窒化ホウ
素ルツボ、12--種結晶、13--GaAs多結晶ブロック、14--
B2O3、15--石英製封管容器、16--金属ひ素、17--ホット
ゾーン、18--ホットゾーン、19--ドーパント、20--熱遮
蔽板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂下 由彦 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 (72)発明者 上原 一浩 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全体の90%以上の面積部が、 500cm-2
    下の転位密度であることを特徴とする低転位密度の化合
    物半導体単結晶。
  2. 【請求項2】 全体の95%以上の面積部が、 100cm-2
    下の転位密度であることを特徴とする低転位密度の化合
    物半導体単結晶。
  3. 【請求項3】 酸素濃度が5×1016cm-3以下であると共
    にボロン濃度が5×1016cm-3以下である請求項1又は2
    記載の低転位密度の化合物半導体単結晶。
  4. 【請求項4】 強還元性の不純物元素の濃度:3×1016
    cm-3以下の化合物原料を用い、B2O3を液体封止材とする
    垂直ブリッジマン法又は垂直温度勾配法により成長して
    なる請求項3記載の低転位密度の化合物半導体単結晶。
  5. 【請求項5】 強還元性の不純物元素が、シリコン及び
    炭素である請求項4記載の低転位密度の化合物半導体単
    結晶。
  6. 【請求項6】 化合物半導体単結晶が、GaP 半導体単結
    晶である請求項1、2、3、4又は5記載の低転位密度
    の化合物半導体単結晶。
  7. 【請求項7】 原料の融液に温度勾配を与え、結晶を下
    方から上方に向かって固化させて単結晶を得る垂直ブリ
    ッジマン法又は垂直温度勾配法による低転位密度の化合
    物半導体単結晶の製造方法であって、前記融液に与えら
    れる温度勾配が、上方の7℃/cm以下である温度勾配の
    小さい領域と該上方の温度勾配の2〜4倍の温度勾配に
    された下方の温度勾配の大きい領域とからなり、結晶が
    成長する範囲において前記2つの領域の境界部を有する
    ことを特徴とする低転位密度の化合物半導体単結晶の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記境界部が種結晶の上端から直胴部と
    の間の増径部に配置される請求項7記載の低転位密度の
    化合物半導体単結晶の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記原料を入れるるつぼとして増径部を
    もつ形状を有するるつぼを用い、このるつぼを支持する
    構造物として増径部をもつ形状を有する構造物を用いる
    請求項7又は8記載の低転位密度の化合物半導体単結晶
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記構造物がるつぼの直胴部側面を覆
    う直胴部を有し、該直胴部と前記増径部とが一体となっ
    た形状を有する請求項9記載の低転位密度の化合物半導
    体単結晶の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記構造物の増径部の構成材質と直胴
    部の構成材質が異なり、かつ、この構造物の上方の構成
    材の熱伝導率が下方の構成材の熱伝導率よりも大きい請
    求項9又は10記載の低転位密度の化合物半導体単結晶
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記構造物の上方の構成材質と下方の
    構成材質が異なり、かつ、この上方の構成材の熱反射率
    が下方の構成材の熱反射率よりも小さい請求項9又は1
    0記載の低転位密度の化合物半導体単結晶の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記構造物の増径部での角度が30〜70
    °である請求項9、10、11又は12記載の低転位密
    度の化合物半導体単結晶の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記構造物が、逆円錐形状の支持部及
    び円柱によって構成された支持体によって支持される請
    求項9、10、11、12又は13記載の低転位密度の
    化合物半導体単結晶の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記構造物の増径部に結晶成長径軸方
    向と垂直な面に熱遮蔽板を設ける請求項9、10、1
    1、12、13又は14記載の低転位密度の化合物半導
    体単結晶の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記構造物がモリブデン、タングステ
    ン等の高融点金属、カーボン、窒化けい素、窒化アルミ
    ニウム、アルミナ、窒素ホウ素等のセラミックスの1種
    以上からなる請求項9、10、11、12、13、14
    又は15記載の低転位密度の化合物半導体単結晶の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 前記原料の加熱炉として、前記構造物
    の増径部に対応する位置に断熱材が配置されたヒータ構
    造を有する炉を用いる請求項9、10、11、12、1
    3、14、15又は16記載の低転位密度の化合物半導
    体単結晶の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記種結晶の上端から直胴部との間の
    増径部においては上に凸の固液界面形状が形成され、前
    記直胴部においては水平な固液界面形状が形成される請
    求項9、10、11、12、13、14、15、16又
    は17記載の低転位密度の化合物半導体単結晶の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 下部に下方から上方に向けて直径が大
    きくなる増径部を有する形状の原料容器と、該容器を保
    持するための構造物と、該容器内の原料を加熱する加熱
    手段とを有する化合物半導体単結晶の製造装置であっ
    て、前記構造物が前記容器と相似形の増径部を有し、前
    記容器の外側面を覆って設けられていることを特徴とす
    る低転位密度の化合物半導体単結晶の製造装置。
  20. 【請求項20】 上部に増径部を有する筒状の支持体に
    よって前記構造物の増径部を支えることによって、前記
    構造物が支持されている請求項19記載の低転位密度の
    化合物半導体単結晶の製造装置。
  21. 【請求項21】 前記構造物を支持する支持体が、モリ
    ブデン、タングステン等の高融点金属、カーボン、窒化
    アルミニウム等のセラミックスの1種以上からなる請求
    項19又は20記載の低転位密度の化合物半導体単結晶
    の製造装置。
  22. 【請求項22】 前記構造物の増径部と前記加熱手段と
    の間に断熱材が配置されている請求項19、20又は2
    1記載の低転位密度の化合物半導体単結晶の製造装置。
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