JPH11115438A - 車両用減衰力制御装置 - Google Patents

車両用減衰力制御装置

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JPH11115438A
JPH11115438A JP28091897A JP28091897A JPH11115438A JP H11115438 A JPH11115438 A JP H11115438A JP 28091897 A JP28091897 A JP 28091897A JP 28091897 A JP28091897 A JP 28091897A JP H11115438 A JPH11115438 A JP H11115438A
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和也 佐々木
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茂輝 池田
Satoshi Suzuki
聡 鈴木
Yoshiyuki Hashimoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ショックアブソーバの減衰力特性を変更する
と、全速度域で特性が変化してしまうため、走行状態に
応じた最適な減衰力が設定できない場合があった。 【解決手段】 S106、S108では、車両の状態量
を示す信号の中で位相が比較的進んだ車輪速度をもとに
車両の旋回方向を判断し、S116、S122で、旋回
外輪側の減衰力を低下させ、旋回外輪側の減衰力を増加
させる。これにより、旋回時に車高が下がり車両の操縦
性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のばね上部材
とばね下部材との間に配設される液圧緩衝装置(ショッ
クアブソーバ)の減衰力を制御する車両用減衰力制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の減衰力制御装置の一例が、例えば
特開平5−294122号に開示されている。この減衰
力制御装置は、いわゆるスカイフック制御理論を採用し
て液圧緩衝装置の減衰力を制御しており、車両のばね上
部材とばね下部材との相対速度とばね上部材の上下方向
の速度とにもとづいて減衰力を制御しており、これによ
り、路面からの上下入力にもとづくばね上部材の上下振
動の抑制効果を高めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に行われている減
衰力制御では、ピストンロッドの変位速度Vと減衰力F
との関係が、図16に示すような特性を有する液圧緩衝
装置が用いられており、減衰力特性を変化させるには、
アクチュエータを駆動して、アクチュエータ内の油路の
開度を機械的に変化させることで実施している。
【0004】ところが、減衰力特性をs1からs2へ、
或いはs2からs1へ切り換えると、変位速度Vの全速
度域で減衰力の設定が変化してしまうため、アクチュエ
ータの応答性に起因して、走行状態に応じた最適な減衰
力が設定できず、車両の乗心地や操縦性の低下を引き起
こす場合があった。
【0005】そこで本発明はこのような課題を解決すべ
くなされたものであり、その目的は、液圧緩衝装置の減
衰力を変化させる際の応答性を向上させることで、車両
の乗心地や操縦安定性を向上させ得る車両用減衰力制御
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる車両用
減衰力制御装置は、左右の車輪に対応してそれぞれ配設
され、車両のばね上部材とばね下部材との間に生じる振
動を所定の減衰力で減衰させると共に、ばね上部材とば
ね下部材との相対速度が低速の領域で減衰力可変機能を
有する液圧緩衝手段と、左右の車輪の車輪速度を検出す
る車輪速度検出手段と、車輪速度検出手段の検出結果を
もとに車両の旋回方向を判断し、旋回内輪側となる液圧
緩衝手段の減衰力と旋回外輪側となる液圧緩衝手段の減
衰力とをそれぞれ制御する制御手段とを備えて構成す
る。
【0007】車輪速度を示す信号は、車両の状態量を示
す信号の中で位相が比較的進んだ信号であり、制御手段
において車輪速度検出手段の検出結果をもとに減衰力制
御を実施することにより、減衰力制御の応答性が向上す
る。
【0008】また、旋回時には、旋回外輪側の車輪速度
が旋回内外輪側の車輪速度に比べて速まる。さらに、旋
回時には、荷重移動によって旋回内輪側と旋回外輪側で
液圧緩衝手段に作用する力が異なる。そこで、制御手段
において、左右の車輪速度をもとに旋回方向を判断し、
判断した旋回方向に応じて各液圧緩衝手段の減衰力を個
々に制御することで、旋回内輪側と旋回外輪側の減衰力
をそれぞれ最適に制御し得る。
【0009】請求項2にかかる車両用減衰力制御装置、
左右の車輪に対応してそれぞれ配設され、車両のばね下
部材とばね上部材との間に生じる振動を所定の減衰力で
減衰させると共に、ばね上部材とばね下部材との相対速
度が低速の領域で減衰力可変機能を有する液圧緩衝手段
と、左右の液圧緩衝手段に対応してそれぞれ配設され、
この液圧緩衝手段を構成するピストンによって区画され
た第1室と第2室との差圧を検出する差圧検出手段と、
左右の差圧検出手段の検出結果をもとに車両の旋回方向
を判断し、旋回内輪側となる液圧緩衝手段の減衰力と旋
回外輪側となる液圧緩衝手段の減衰力とをそれぞれ制御
する制御手段とを備えて構成する。
【0010】液圧緩衝手段に作用する力が変化すると、
その変化は第1室と第2室との差圧の変化として瞬時に
現れる。このため、制御手段において、左右の差圧検出
手段の検出結果をもとに減衰力制御を実施することによ
り、減衰力制御の応答性がより向上する。
【0011】また、旋回時には、旋回内輪側と旋回外輪
側で液圧緩衝手段に作用する力が異なるため、旋回時に
は、左右の差圧検出手段で検出される差圧の符号が異な
り、符号の状態により旋回方向も判断できる。そこで、
制御手段では、左右の差圧検出手段の検出結果をもとに
車両の旋回方向を判断すると共に、判断した旋回方向に
応じて、各液圧緩衝手段の減衰力を個々に制御すること
で、旋回内輪側と旋回外輪側の減衰力をそれぞれ最適に
制御し得る。
【0012】請求項3にかかる車両用減衰力制御装置
は、請求項1又は2の制御手段において、旋回内輪側と
なる液圧緩衝手段の減衰力を増加させ、旋回外輪側とな
る液圧緩衝手段の減衰力を低下させるように減衰力を制
御する。
【0013】一般に、旋回時には、車両の重心高がより
低い方が車両の操縦性に有利である。そこで、制御手段
において、車体を引き下げる働きを持つ旋回内輪側の減
衰力を増加させ、車体を持ち上げる働きを持つ旋回外輪
の減衰力を低下させることで、旋回時に車両の重心高が
下がり、これにより旋回時の操縦性を向上させる。
【0014】請求項4にかかる車両用減衰力制御装置
は、左右の車輪に対応してそれぞれ配設され、車両のば
ね上部材とばね下部材との間に生じる振動を所定の減衰
力で減衰させる液圧緩衝手段と、左右の液圧緩衝手段に
対応してそれぞれ配設され、この液圧緩衝手段を構成す
るピストンによって区画された第1室と第2室との差圧
を検出する差圧検出手段と、左右の差圧検出手段の検出
結果をもとに車両の直進状態を判断し、検出された両差
圧のうち差圧が大きい側となる液圧緩衝手段の減衰力を
増加させる第1制御手段と、第1制御手段による減衰力
制御の前後で、左右の前記差圧検出手段で検出される両
差圧の大小関係が反転した場合に、少なくとも第1制御
手段で増加させた液圧緩衝手段の減衰力を低下させる第
2制御手段とを備えて構成する。
【0015】車両が平坦な路面を走行している状況で
は、通常、左右の差圧検出手段の検出結果は略一致す
る。この状況で例えば片輪が石に乗り上げた場合など、
一方の液圧緩衝手段に何らかの力が作用した場合には、
作用した側の差圧検出手段の検出結果(絶対値)が増大
する。そこで、第1制御手段によって、直進走行時に差
圧が大となる側の液圧緩衝手段の減衰力を増加させるこ
とで、車体をフラットに維持して、直進走行時の乗心地
を向上させる。
【0016】また、第1制御手段の制御の前後で左右の
差圧検出手段で検出される差圧の大小関係が反転した場
合に、第2制御手段により、第1制御手段で増加させた
減衰力を低下させることにより、減衰力が所定の範囲内
に維持され、これにより一定の乗心地感が維持される。
【0017】請求項5にかかる車両用減衰力制御装置
は、左右の車輪に対応してそれぞれ配設され、車両のば
ね上部材とばね下部材との間に生じる振動を所定の減衰
力で減衰させると共に、ばね上部材とばね下部材との相
対速度が低速の領域で減衰力可変機能を有する液圧緩衝
手段と、左右の車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出
手段と、左右の液圧緩衝手段に対応してそれぞれ配設さ
れ、この液圧緩衝手段を構成するピストンによって区画
された第1室と第2室との差圧を検出する差圧検出手段
と、左右の車輪速度検出手段の検出結果をもとに車両の
旋回方向を判断すると共に、左右の差圧検出手段で検出
される差圧が、判断された旋回方向に応じて生じるべき
差圧の範囲外の場合に、左右の液圧緩衝手段の減衰力を
ともに増加させる制御手段とを備えて構成する。
【0018】車両の旋回中に、例えば横風などの外乱が
作用して、車体がロール方向に振動した場合には、左右
の差圧検出手段で検出される各差圧が、旋回方向に応じ
て通常生じるべき差圧の範囲外となる状態が発生する。
そこで、このような場合、制御手段によって、左右の液
圧緩衝手段の減衰力をともに増加させて、旋回中に発生
した車体のロール方向の振動を制振する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態につ
き、添付図面を参照して説明する。
【0020】図1に第1の実施形態にかかる減衰力制御
装置を搭載した車両を概略的に示す。車体200の左右
には、サスペンションアーム211,212を介して、
それぞれ左右の車輪L、Rが連結されている。また、車
体200と左右のサスペンションアーム211,212
との間には、コイルスプリング10cを備えたショック
アブソーバ10を配設しており、このショックアブソー
バ10によって、車体200に発生する上下方向の振動
を減衰させている。
【0021】左右のショックアブソーバ10は、後に説
明するように、それぞれアクチュエータ2L、2Rを備
えており、このアクチュエータ2L、2Rを駆動制御す
ることで、発生させる減衰力を調整し得る機構となって
いる。また、車輪L、Rに対して、車輪速度を検出する
ため車輪速度センサ221,222が設けられている。
【0022】図2に示すように、電子制御装置(以下
「ECU」と称す。)230には、車輪速度センサ22
1,222の検出結果が与えられ、ECU230では、
この検出結果をもとに後述する演算処理を実行し、この
演算結果をもとに、アクチュエータ2L、2Rの駆動制
御を実施している。このようにECU230では、車両
の状態量を示す信号のうちで位相が比較的進んだ車輪速
度を示す信号をもとに減衰力制御を実施することで、減
衰力制御の応答性を向上させている。
【0023】ここで、ショックアブソーバ10について
説明する。 図3に示すように、ショックアブソーバ10
は、ピストンロッド16と外筒18とを備えている。外
筒18の外周にはガイド10aが固定され、ピストンロ
ッドの上端部分にはブラケット10bが掛止されてい
る。また、ガイド10aとブラケット10bの間には、
前出のコイルスプリング10cが配設されており、この
コイルスプリング10cにより車体が弾力的に支えられ
ている。
【0024】外筒18の内部には、内筒20が外筒18
と同軸に配設されている。外筒18と内筒20との間に
は、環状室21が形成されている。外筒18の上端に
は、ロッドガイド22が嵌挿されている。ロッドガイド
22は大径部22aと小径部22bとを有する円柱状の
剛性部材である。小径部22bの外周面は内筒20の内
周面と係合し、大径部22aの外周面は外筒18の内周
面と係合している。ロッドガイド22には、その中央部
に貫通穴が設けられている。貫通穴には、ピストンロッ
ド16が液密かつ摺動可能に挿通されている。また、外
筒18の上端には、キャップ24が、その中央をピスト
ンロッド16が貫通するように固定されている。
【0025】ピストンロッド16は、その下端部分を小
径とした円柱状の部材である。ピストンロッド16はそ
の小径部が内筒20の内部に収容されるように配置され
ている。ピストンロッド16には、内筒20の内部に収
容される位置に、リバウンドストッパ26及ぴリバウン
ドストッパプレート28が装着されている。
【0026】リバウンドストッパプレート28は環状の
剛性部材であり、ピストンロッド16の外周に固定され
ている。また、リバウンドストッパ26は弾性を有する
環状部材であり、リバウンドストッパプレート28の上
部に装着されている。ピストンロッド16が上方へ所定
距離変位すると、リバウンドストッパ26がロッドガイ
ド22と当接し、ピストンロッド16の更なる変位が規
制される。
【0027】ピストンロッド16の下端部分には、サブ
ピストン30及びメインピストン32が固定され、上側
からサブピストン30、メインピストン32の順で取り
付けられている。内筒20の内部空間は、サブピストン
30及びメインピストン32により、サブピストン30
より上方の上室34と、サブピストン30とメインピス
トン32との間の中室36と、メインピストン32より
下方の下室38とに区画されている。
【0028】サブピストン30及びメインピストン32
は、それぞれ上室34と中室36との間及び中室36と
下室38との間での流体の流通を許容するオリフィス及
び弁機構を備えており、ピストンロッド16の進退動に
応じて減衰力を発生させる。これらサブピストン30及
びメインピストン32の構成の詳細については後述す
る。
【0029】ピストンロッド16の内部には、その軸方
向に貫通する通路40が設けられている。通路40は、
大径部40aと、大径部40aの下方へ延びる小径部4
0bとを備えている。通路40の大径部40aと小径部
40bとの境界部分は、段差40cが形成されている。
この通路40の大径部40aには、調整ロッド42が挿
入されている。
【0030】外筒18の下端には、べースバルブ41が
固定されている。べ一スバルブ41は、下室38と環状
室21との流体の流通を許容するように構成されてい
る。外筒18の内部には、作動流体が、内筒20の内部
空間を充満すると共に、環状室21を所定の高さまで満
たすように収容されている。
【0031】調整ロッド42の上端は、ピストンロッド
16の上部へ達しており、車体200に取り付けられた
アクチュエータ2L、2Rと係合している。アクチュエ
ータ2L、2Rは、駆動源として、例えばステッピング
モータを備えており、ECU230からの信号に応じて
調整ロッド42を回転させる。
【0032】次に、図4を参照して、サブピストン3
0、メインピストン32、及びその周辺部分の構成につ
いて説明する。図4は、サブピストン30、メインピス
トン32、及びその周辺部分の拡大図である。なお、図
4の左半分には、上室34側から下室38側への流体の
流通を許容する構成部分を示し、また、図4の右半分に
は下室38側から上室34側への流体の流通を許容する
構成部分を示す。
【0033】図4に示すように、調整ロッド42は、減
衰力可変機構の一つであり、通路40の大径部40aの
内径よりも小さな外径を有する小径部42aと、小径部
42aの下端部分に形成された円錐部42bとを備えて
いる。調整ロッド42は、円錐部42bの先端が通路4
0の小径部40bへ進入するように配置されている。円
錐部42bの外周面と、通路40の段差40cとの間に
はクリアランスCが形成されている。
【0034】調整ロッド42の外周の小径部42aより
上方の部位にはOリング43が装着されている。Oリン
グ43により、調整ロッド42の小径部42aの外周と
通路40の大径部40aの内周との間に、環状の連通空
間44が画成されている。この連通空間44は、クリア
ランスCを介して、通路40の小径部40bの内部空間
と連通している。
【0035】ピストンロッド16には、その径方向に延
びて、上室34と連通空間44とを連通する連通路46
が設けられている。更に、ピストンロッド16には、そ
の径方向に延びて、通路40の小径部40bの内部空間
と中室36とを連通する連通路47が設けられている。
【0036】調整ロッド42は、図示しないネジ部にお
いて、通路40の大径部4Oaと螺合しており、その上
端部がアクチュエータ2L、2Rと係合している。この
ため、アクチュエータ2により調整ロッド42を回転操
作し、これにより調整ロッド42の開度位置(上下位
置)を変化させることで、クリアランスCを調整するこ
とができる。
【0037】ピストンロッド16の小径部分の外周に
は、大径部16a側(図4では上側)から順に、ストッ
パプレート48、リーフシート49、リーフバルブ5
0、サブピストン30、リーフバルブ54、及びリーフ
シート56が嵌着されている。
【0038】リーフバルブ50、54は、薄板材より構
成された低い曲げ剛性を有する部材である。サブピスト
ン30の上端面及び下端面には、それぞれ、環状溝58
及び60が設けられている。リーフバルブ50及び54
は、それぞれ、環状溝58及び60を閉塞するように配
設されている。また、サブピストン30には、環状溝5
8の内部空間と中室36とを連通する貫通通路62、及
び、環状溝60の内部空間と上室34とを連通する貫通
通路64が設けられている。
【0039】リーフバルブ50は、中室36の液圧が上
室34の液圧に比して所定の開弁圧P1だけ高圧となっ
た場合に撓み変形することで開弁し、中室36から上室
34へ向かう作動流体の流れを許容する。また、リーフ
バルブ54は、上室34の液圧が中室36の液圧に比し
て所定の開弁圧P2だけ高圧となった場合に撓み変形す
ることで開弁し、上室34から中室36へ向かう作動流
体の流れを許容する。
【0040】サブピストン30の外周には、ピストンリ
ング66が装着されている。ピストンリング66により
サブピストン30と内筒20との間のシール性が確保さ
れている。ピストンロッド16の外周のリーフシート5
6の更に下方には、上側から順に、通路部材68、リー
フシート70、スペーサ72、スプリングシート74、
及びスペーサ76が嵌着されている。
【0041】通路部材68は、その径方向を貫通し、調
整ロッド42の連通路47と連通する連通路77を備え
ている。また、スペーサ76の外周には、スプリングシ
ート78が軸方向に摺動可能に嵌着されている。スプリ
ングシート74とスプリングシート78との間には、ス
プリング80が配設されている。
【0042】ピストンロッド16の外周のスペーサ76
の更に下方には、上側から順に、リーフバルブ82、メ
インピストン32、及び、リーフバルブ86が嵌着され
ている。メインピストン32の上端面には、複数のシー
ト面92が設けられている。また、メインピストン32
の下端面には、複数のシート面94が、シート面92に
対応しない位置に設けられている。リーフバルブ82及
び86は複数枚の薄板材を重ねてなる部材であり、それ
ぞれシート面92及び94の頂面に当接するように配設
されている。また、メインピストン32の外周にはピス
トンリング95が装着されている。ピストンリング95
により、メインピストン32と内筒20との間のシール
性が確保されている。
【0043】メインピストン32には、また、その軸方
向を貫通する貫通通路96及び98が設けられている。
貫通通路96は、その上端部においてシート面92の間
の凹部に開口し、その下端部においてシート面94の頂
面に開口するように構成されている。また、貫通通路9
8は、その上端部においてシート面92の頂面に開口
し、その下端部においてシート面94の間の凹部に開口
するように構成されている。
【0044】リーフバルブ82を構成する最もメインピ
ストン32側の薄板材には、リーフバルブ82がシート
面92に当接した状態で、貫通通路98と中室36とを
連通させる第1オリフィス(図示せず)が形成されてい
る。
【0045】ピストンロッド16の外周のリーフバルブ
86の更に下方には、スペーサ99が嵌着されている。
また、ピストンロッド16の下端部にはネジ部16cが
形成されており、このネジ部16cにはスプリングシー
ト100が螺着されている。スペーサ99の外周にはス
プリングシート102が軸方向に摺動可能に嵌着されて
いる。スプリングシート102とスプリングシート10
0との間にはスプリング104が配設されている。
【0046】ピストンロッド16の小径部分の下端に
は、通路40を塞ぐスクリュー105が装着されてい
る。このため、通路40と下室38との連通は遮断さ
れ、通路40は上室34及び中室36とのみ連通してい
る。
【0047】ピストンロッド16の下部の小径部分の外
周に配設された部材は、スプリングシート100によ
り、大径部16aと小径部分との境界の段差面に向けて
押圧されることで、ピストンロッド16に一体に固定さ
れている。
【0048】リーフバルブ82及び86は、それぞれ、
スプリング80及び104の付勢力により、メインピス
トン32のシート面92及び94の頂面に向けて押圧さ
れている。リーフバルブ82は、下室38の液圧が中室
36の液圧に比して所定の開弁圧P3以上の高圧になる
と、スプリング80の付勢力に抗して上向きに撓み変形
することで開弁し、下室38から中室36へ向かう作動
流体の流れを許容する。また、リーフバルブ86は、中
室36の液圧が下室38の液圧に比して所定の開弁圧P
4以上の高圧になると、スプリング104の付勢力に抗
して下向きに撓み変形することで開弁し、中室36から
下室38へ向かう作動流体の流れを許容する。
【0049】本実施形態において、リーフバルブ50及
び54が低剛性の薄板部材より構成されていることで、
これらの開弁圧P1、P2は非常に小さな値に設定され
ている。一方、リーフバルブ82、86がそれぞれスプ
リング80、104により押圧されていることで、これ
らの開弁圧P3及びP4は比較的大きな値に設定されて
いる。
【0050】次に、ショックアブソーバ10の動作につ
いて説明する。図5はショックアブソーバ10により実
現される減衰力特性を示す。図5において、横軸はピス
トンロッド16の変位速度Vを示し、また、縦軸は、シ
ョックアブソーバ10が発生する減衰力Fを示してい
る。なお、図5において、ピストンロッド16が内筒2
0から退出する方向、すなわち、伸長方向に変位する場
合の減衰力Fを正として示している。
【0051】ピストンロッド16が伸長方向に変位する
と、上室34の容積が減少すると共に、下室38の容積
は増加する。これらの容積変化を補償するために、作動
流体が上室34から中室36を経て下室38へ流入す
る。更に、ピストンロッド16が内筒20から退出する
ことで、内筒20の容積が増加する。この内筒20の容
積の増加を補償するため、作動流体が環状室21からべ
一スバルブ41を介して下室38へ流入する。
【0052】ピストンロッド16の変位速度Vが十分に
低速である場合、上室34と中室36との間の差圧、及
び、中室36と下室38との間の差圧は小さく、リーフ
バルブ54、及び、リーフバルブ86は何れも閉弁状態
に保持される。このため、上室34内の作動流体は、ピ
ストンロッド16の連通路46、連通空間44、クリア
ランスC、通路40の小径部40b、連通路47、及
び、通路部材68の連通路77からなる流路(以下、バ
イパス通路と称す)を通って、中室36へ流入する。ま
た、中室36内の作動流体は、メインピストン32の貫
通通路96及びリーフバルブ86がシート面94に当接
した状態で、貫通通路96と下室38とを連通させる第
2オリフィスを通って下室38へ流入する。
【0053】この場合、作動流体がバイパス通路及び第
2オリフィスを経由して流通する際に、流通抵抗に伴う
減衰力が発生する。ショックアブソーバ10が発揮する
減衰力Fは、作動流体が上室34から中室36へ流通す
る際の流通抵抗R1に応じて発生する減衰力Faと、作
動流体が中室36から下室38へ流通する際の流通抵抗
R2に応じて発生する減衰力Fbとの和となる。このた
め。図5に符号A1で示すように、減衰力Fは変位速度
Vの増加に伴って大きな勾配で立ち上がる。
【0054】作動流体が上室34から中室36へ流通す
る際の流通抵抗R1が増加すると、上室34と中室36
との間の差圧が上昇する。また、作動流体が中室36か
ら下室38へ流通する際の流通抵抗R2が増加すると、
中室36と下室38との間の差圧が上昇する。そして、
上室34と中室36との間の差圧がリーフバルブ54の
開弁圧P2に達するまで、変位速度Vが上昇すると、リ
ーフバルブ54が開弁する。以下、リーフバルブ54が
開弁する際のピストンロッド16の変位速度V及びショ
ックアブソーバ10が発生する減衰力Fを、それぞれ第
1開弁速度V1及び第1開弁減衰力F1と称する。上述
の如く、第1開弁減衰力F1が非常に小さな値、例え
ば、3〜5kgfとなるように、リーフバルブ54の開
弁圧P2を十分に小さく設定している。このようにリー
フバルブ54の開弁圧P2が設定された場合、第1開弁
速度V1は0.05m/s以下の非常に低い速度とな
る。
【0055】リーフバルブ54が開弁すると、上室34
から中室36への流体の移動は、バイパス通路と共に貫
通通路64を介して行なわれるようになる。このため、
作動流体が上室34から中室36へ向けて流通する際の
流通抵抗R1が減少する。そして、流通抵抗R1が減少
することで、図5に符号A2を付して示すように、変位
速度Vが第1開弁速度V1を上回った領域では、減衰力
Fの増加勾配が減少する。
【0056】変位速度Vが更に増加し、中室36と下室
38との間の差圧がリーブバルブ86の開弁圧P4に達
すると、リーフバルブ86が開弁する。以下、リーフバ
ルブ86が開弁する際の変位速度V及び減衰力Fを、そ
れぞれ第2開弁速度V2及び第2開弁減衰力F2と称す
る。本実施形態では第2開弁減衰力F2が例えば50k
gf程度になるように、リーフバルブ86の開弁圧P4
を設定している。この場合、第2開弁速度V2は0.2
m/s程度の値となる。
【0057】リーフバルブ86が開弁すると、中室36
から下室38へ至る流路の流路面積が増大することで、
作動流体が中室36から下室38へ向けて流通する際の
流通抵抗R2は小さくなる。このため、図5に符号A3
で示すように、変位速度Vが第2開弁速度V2を上回っ
た領域では、減衰力Fの増加勾配は更に減少する。
【0058】一方、ピストンロッド16が内筒20へ進
入する方向、すなわち、収縮方向に変位する場合には、
上室34の容積が増加すると共に、下室38の容積は減
少する。これらの容積変化を補償するために、作動流体
が、下室38から、中室36を経て、上室34へ流入す
る。また、ピストンロッド16が内筒20へ進入するこ
とで、内筒20の容積が減少する。かかる内筒20の容
積減少を補償するため、作動流体が下室38からベース
バルブ41を介して環状室21へ流出する。
【0059】本実施形態において、リーフバルブ50の
開弁圧P1は、リーフバルブ54の開弁圧P2とほぼ一
致するように設けられている。このため、変位速度Vが
第1開弁速度V1にほぼ等しいv1に達し、減衰力Fが
第1開弁減衰力F1にほぼ等しいf1となった時点で、
リーフバルブ50が開弁する。また、リーフバルブ82
の開弁圧P3は、リーフバルブ86の開弁圧P4に比し
て若干小さくなるように設けられている。このため、変
位速度Vが第2開弁速度V2より小さいv2(例えば
0.15m/s程度)に達し、減衰力Fが第2開弁減衰
力F2より小さいf2(例えば30kgf程度)となっ
た時点で、リーフバルブ82が開弁する。なお、以下、
リーフバルブ5O及び82が開弁する際のピストンロッ
ド16の変位速度であるv1及びv2も、それぞれ第1
開弁速度及び第2開弁速度と称し、また、リーフバルブ
50及び82が開弁する際の減衰力Fであるf1及びf
2も、それぞれ第1開弁減衰力及び第2開弁減衰力と称
する。
【0060】従って、ピストンロッド16が収縮方向に
変位する場合においても、ピストンロッド16が伸長方
向へ変位する場合と同様に、ピストンロッド16の変位
速度Vが第1開弁速度v1に達するまでは、図5に符号
B1を付して示すように、減衰力Fは比較的大きな勾配
で立ち上がる。そして、変位速度Vが第1開弁速度v1
に達すると、リーフバルブ50が開弁することで、図5
に符号B2を付して示すように、減衰力Fの増加勾配は
減少する。更に、変位速度Vが第2開弁速度v2に達す
ると、リーフバルブ82が開弁することで、図5に符号
B3を付して示すように、減衰力Fの増加勾配は更に減
少する。
【0061】このようにショックアブソーバ10によれ
ば、ピストンロッド16の変位速度Vが、低速域(第1
開弁速度V1、v1以下の領域)から、高速域(第1開
弁速度V1、v1を超える領域)へと遷移するのに応じ
て、順次、減衰力Fの増加勾配が減少するような減衰力
特性が実現される。
【0062】ところで、バイパス通路の開度は、クリア
ランスCの大きさに応じて変化する。バイパス通路の開
度が大きいほど、作動流体がバイパス通路を流通する際
の流通抵抗は小さくなる。バイパス通路を流通する際の
流通抵抗が小さくなると、一定の変位速度Vに対して生
ずる上室34と中室36と間の差圧が小さくなり、減衰
力Fが小さくなる。すなわち、図5に符号a1、b1を
付して破線で示すように、減衰力特性の勾配は小さいも
のとなる。
【0063】従って、クリアランスCを調整すること
で、ピストンロッド16の変位速度Vが第1開弁速度V
1、v1よりも大きい領域、すなわち、高速域における
減衰力特性をほぼ一定に維持しつつ、第1開弁速度V
1、v1以下における減衰力特性を変化させることがで
きる。上述の如く、第1開弁速度V1、v1は0.05
m/s以下の低い値に設けられている。従って、本実施
形態に係るショックアブソーバ10によれば、クリアラ
ンスCを変化させることによって、高速域における減衰
力特性に影響を与えることなく、0.05m/s以下の
低速域におけるショックアブソーバ10の減衰力特性の
みを調整することができる。また、アクチュエータ2
L、2Rの駆動を制御してクリアランスCを段階的に変
化させることにより、ピストンロッド16の低速域にお
いてショックアブソーバ10の減衰力特性の勾配を段階
的に可変することも可能となる。
【0064】本実施形態に係るショックアブソーバ10
を用いて行なった実験によれば、低速域における減衰力
特性に依存して、車両の乗り心地及び操縦安定性が大き
く変化することがわかっている。例えば、クリアランス
Cを減少させて低速域における減衰力特性の勾配を増加
させると、旋回走行時のステアリングの保舵力が大きく
なることで、ステアリングの手応え感が増加する。ま
た、低速域における減衰力特性の変化に対して、旋回走
行時の車両のローリング速度、及び、操舵時における車
両のヨーイング変化の応答性は敏感に変化する。従っ
て、本実施形態に係るショックアブソーバ10によれ
ば、クリアランスCを調整し、低速域における減衰力特
性を変化させることで、より最適な乗り心地及び操縦安
定性を得ることができる。以下に説明する各実施形態で
は、ECU230において、主にこの低速域における減
衰力特性を制御する。
【0065】次に、ECU230において実施される、
ショックアブソーバ10の減衰力変更制御(減衰力変更
ルーチン)について、図6のフローチャートをもとに説
明する。
【0066】図6に示すルーチンは、図示しないイグニ
ションスイッチがオンされてからオフされるまでの間に
繰り返し実施される。
【0067】まず、S102で制御ステップ数Lstep、
Rstepが読み込まれるが、この制御ステップ数Lstep、
Rstepについては後のS110で説明する。
【0068】続くS104では、車両の状態量を示す信
号の中で位相が比較的進んだ信号となる、車輪速度セン
サ221,222の検出信号を読み込み、この検出信号
をもとに、左前輪の車輪速度VLと、右前輪の車輪速度
VRを演算する。
【0069】続くS106、S108では、S104で
演算された左前輪の車輪速度VLと右前輪の車輪速度VR
との差をもとに、車両の旋回判定を実施する。すなわ
ち、旋回時には、旋回外輪側の車輪速度が旋回内輪の車
輪速度より大となるため、S106でVL−VRが旋回判
定速度C_Vより大であれば車両は右旋回中であり(S
106で「Yes」)、S108でVL−VRが旋回判定
速度−C_Vより小であれば車両は左旋回中である(S
108で「Yes」)と判断する。
【0070】S106,S108のいずれもNoと判断
された場合には、車両は直進状態と判断され、S110
に進んで、通常のスカイフック制御が実施される。
【0071】このS110では、各種センサの検出値よ
り、ばね上部材の上下方向速度Zdと、ばね上部材とば
ね下部材の間の上下方向の相対速度Ydとを、左輪側と
右輪側に対してそれぞれに演算する。そして、この演算
結果にもとづく速度比Zd/Ydに応じ、目標となる制
御ステップ数を、左輪側及び右輪側のショックアブソー
バ10に対してそれぞれLstep、Rstepとして設定す
る。この制御ステップ数は、左右のショックアブソーバ
10におけるアクチュエータ2L、2Rの駆動源となる
ステッピングモータの停止位置をどの位置にするかを設
定するものであり、この制御ステップ数がショックアブ
ソーバ10内における調整ロッド42の上下位置に対応
している。そして、その制御ステップ数が大きいほど調
整ロッド42によって形成される油路のクリアランスC
が小さくなって減衰力が増加し(減衰力がハード側へ推
移)、制御ステップ数が小さいほど油路のクリアランス
Cが大きくなって減衰力が低下(減衰力がソフト側へ推
移)する機構となっている。
【0072】車両が旋回中の場合には、前回のルーチン
で設定された、左右のショックアブソーバ10制御ステ
ップ数に対し、旋回内輪側の制御ステップ数を増加さ
せ、旋回外輪側の制御ステップ数を減少させる制御を実
施する。ここで制御ステップを増減変更する際には、予
め規定された増加用のマップと減少用のマップ(図7
(a)、(b))が用いられ、いずれも、|VL−VR|
の値に応じた増加ステップ数CUP、減少ステップ数C
DWNが設定されている。
【0073】具体的には、車両が右旋回時には、S11
2に進み、まず、旋回外輪となる左輪側には図7(b)
の減少マップが選択され、旋回内輪となる右輪側には図
7(a)の増加マップが選択される。続くS114で
は、左輪側には、減少マップより、|VL−VR|の値を
もとに減少ステップ数CDWNがマップ検索され、右輪
側には、増加マップより、|VL−VR|の値をもとに増
加ステップ数CUPがマップ検索される。そして、続く
S116では、S110で左輪側に設定されたLstepに
負の値となるCDWNを加算した値が、新たにLstepと
して設定されると共に、S110で右輪側に設定された
Rstepに正の値となるCUPを加算した値が、新たにR
stepとして設定される。
【0074】また、車両が左旋回時には、S118に進
み、まず、旋回内輪となる左輪側には図7(a)の増加
マップが選択され、旋回外輪となる右輪側には図7
(b)の減少マップが選択される。続くS120では、
左輪側には、選択された増加マップより、|VL−VR|
の値をもとに増加ステップ数CUPがマップ検索され、
右輪側には、選択された減少マップより、|VL−VR|
の値をもとに減少ステップ数CDWNがマップ検索され
る。そして、続くS122では、S110で左輪側に設
定されたLstepに正の値となるCUPを加算した値が、
新たにLstepとして設定されると共に、S110で右輪
側に設定されたRstepに負の値となるCDWNを加算し
た値が、新たにRstepとして設定される。
【0075】ECU230では、この減衰力変更ルーチ
ンを経て設定された制御ステップ数Lstep、Rstepをも
とに、左右のショックアブソーバ10のアクチュエータ
2L、2Rの駆動制御を行って、左右のショックアブソ
ーバ10で発生させる減衰力の制御を行っている。
【0076】このように、車両の旋回時に、減衰力変更
制御を実施することで、車体を引き下げるように作用す
る旋回内輪側の減衰力が増加され、車体を持ち上げるよ
うに作用する旋回外輪側の減衰力が減少されることとな
り、走行車両には、車両の重心高が下がるように作用す
る。このため、旋回時に車体の重心高が下がり、旋回時
の操縦性を向上させることができる。
【0077】次に第2の実施形態について説明する。
【0078】図8に第2の実施形態にかかる減衰力制御
装置を搭載した車両を概略的に示す。図中、図1と同一
の構成要素には同一の参照符号を付して示す。この実施
形態では、左輪側のショックアブソーバ10に対し、上
室34と下室38の圧力を検出する圧力センサ241,
242をそれぞれ配設し、右輪側のショックアブソーバ
10に対し、上室34と下室38の圧力を検出する圧力
センサ243、244をそれぞれ配設している。
【0079】図9に示すように、ECU230には、各
圧力センサ241〜244の検出結果が与えられ、この
検出結果をもとに後述する演算処理を実行し、この演算
結果をもとアクチュエータ2L、2Rの駆動制御を実施
している。各ショックアブソーバ10に作用する力が変
化すると、直ちに上室34,下室38内の圧力変化とし
て現れるため、このようにECU230において、各圧
力センサ241〜244の検出結果をもとに減衰力変更
制御を実施することで、減衰力制御の応答性をより向上
させている。
【0080】ここで、ECU230において実施され
る、ショックアブソーバ10の減衰力変更制御(減衰力
変更ルーチン)について、図10のフローチャートをも
とに説明する。
【0081】図10に示すルーチンは、図示しないイグ
ニションスイッチがオンされてからオフされるまでの間
に繰り返し実施される。
【0082】まず、S202で前回のルーチンにおいて
設定された制御ステップ数Lstep、Rstepが読み込まれ
る。
【0083】続くS204では、左輪側のショックアブ
ソーバ10に設けられた圧力センサ241,242の検
出結果PL1、PL2より、差圧EL=PL1−PL2を演
算する。
【0084】続くS206では、右輪側のショックアブ
ソーバ10に設けられた圧力センサ243,244の検
出結果PR1、PR2より、差圧ER=PR1−PR2を演
算する。
【0085】ここで、車両が平坦な路面を直進している
状況では、左右のショックアブソーバ10が互いに同方
向に上下にストロークし、この場合には、両差圧EL、
ERの符号は同符号となる。これに対し、車両が旋回状
態では、左右のショックアブソーバ10が互いに逆方向
に上下にストロークし、この場合には、両差圧EL、E
Rの符号は異符号となる。
【0086】そこで続くS208では、S204,S2
06で演算したEL、ERをもとに、EL*ERを演算
し、この演算結果が不感帯を示す制御定数C_1以上か
を判断する。この制御定数C_1は、両差圧EL、ER
が異符号の場合であっても、差圧の差が小さい場合に
は、車両が直進しているものと判断するために設定され
る定数であり、例えば負の比較的小さな値が設定され
る。
【0087】EL*ERの演算結果が、制御定数C_1
以上の場合には(S208で「Yes」)、車両が直進
状態とみなし、制御定数C_1未満の場合には、車両が
旋回状態とみなして以下の制御処理を実行する。
【0088】S208で車両が直進状態とみなされた場
合には、S210に進み、|EL|<|ER|であるか
を判断する。|ER|が大の場合には(S210で「Y
es」)、右側の車輪Rが、例えば路面の凸部などの乗
り上げるなどの状況が想定され、この場合には、S21
2に進み、右輪側の制御ステップ数を1step増加させて
右輪側のショックアブソーバ10の減衰力を1step増加
させる。
【0089】続くS214、S216では再び差圧E
L、ERを演算し、続くS218において|EL|≧|
ER|であるか、すなわち右輪側の減衰力を増加させた
後、S210で比較した差圧の大小関係が反転したかを
判断する。なお、この場合、両差圧の絶対値|EL|、
|ER|が等しい状態も大小関係が反転したものとして
判断する。
【0090】その結果、|EL|<|ER|の場合、す
なわち差圧の大小関係がS210の状態から反転してい
ない場合には(S218で「No」)、S218で|E
L|≧|ER|と判断されるまで、S212以下の処理
が繰り返し実施される。
【0091】これに対し、S210で「No」と判断さ
れた場合には、|EL|が大の場合であり、この場合に
は左側の車輪Lが、例えば路面の凸部などの乗り上げる
などの状況が想定される。そこで、S212〜S218
と同様な処理を、S220〜S226において左輪側の
ショックアブソーバ10に対して実施する。
【0092】S218又はS226で「Yes」と判断
された場合には、S228に進み、このときの設定され
ている制御ステップ数Lstep、Rstepを、それぞれ1st
ep低下させて、増加させた減衰力を増加前の状態に戻す
処理がなされる。なお、このS228では、増加させた
側の制御ステップ数のみを1step減少させる処理とする
こともできる。
【0093】このように車両が直進状態の際にS210
〜S228の処理を実施することで、車体200を常に
フラットに維持するように制御され、これにより乗心地
を向上させることができる。
【0094】これに対し、S208で車両が旋回状態と
判断された場合には、S230に進む。車両の旋回時に
は、旋回外輪側に加わる荷重が増加し、旋回内輪側に加
わる荷重が減少するように作用する。このため、PL1
がPL2に比べて大であり(EL>0)、かつ、PL2が
PL1に比べて大の場合(ER<0)には、車両は左旋
回の状態である。
【0095】そこで、S230で「Yes」と判断され
た場合には、車両は左旋回の状態であり、この場合に
は、S232に進んで、旋回内輪となる左輪側のショッ
クアブソーバ10の制御ステップ数Lstepを1step増加
させて、新たな制御ステップ数Lstepとして設定する。
また、続くS234では、旋回外輪となる右輪側のショ
ックアブソーバ10の制御ステップ数Rstepから1step
減少させたステップ数がNominal値(予めチューニング
によって得られた減衰力の中央値)以上かが判断され
る。そして、Nominal値以上の場合には(S234で
「Yes」)、S236に進んで制御ステップ数Rstep
から1step減少させた値を新たな制御ステップ数Rstep
として設定する。S234で「No」の場合には、S2
38に進んで、Nominal値を新たな制御ステップ数Rste
pとして設定する。これにより、減少させる制御ステッ
プ数Rstepの下限値がNominal値となる。
【0096】一方、車両が右旋回の場合には、S230
で「No」と判断され、S240〜S246において、
旋回内輪となる右輪側のショックアブソーバ10の制御
ステップ数Rstepを1step増加させ、旋回外輪となる左
輪側のショックアブソーバ10の制御ステップ数Lstep
から1step減少させるなどの処理が、S232〜S23
8と同様に実施される。
【0097】車両旋回時にこのような減衰力変更制御を
実施することで、車体200を引き下げる働きを持つ旋
回内輪側の減衰力が増加し、車体200を持ち上げる働
きを持つ旋回外輪側の減衰力が低下することで、旋回時
に車両の重心高が下がり、旋回時の操縦性を向上させる
ことができる。
【0098】なお、S210以下で実施する直進走行時
の減衰力変更制御は、ショックアブソーバ10を構成す
るピストンロッド16の変位速度Vが低速域に限定する
ものではなく、全速度域に亘り同様な制御を実施するこ
とも可能である。
【0099】次に第3の実施形態について説明する。
【0100】図11に第3の実施形態にかかる減衰力制
御装置を搭載した車両を概略的に示す。図中、図1及び
図8と同一の構成要素には同一の参照符号を付して示
す。この実施形態では、左輪側のショックアブソーバ1
0に対し、上室34と下室38の圧力を検出する圧力セ
ンサ241,242をそれぞれ配設し、右輪側のショッ
クアブソーバ10に対し、上室34と下室38の圧力を
検出する圧力センサ243、244をそれぞれ配設して
いる。また、車輪L、Rに対して、車輪速度を検出する
ため車輪速度センサ221,222が設けられてい
る。、図12に示すように、ECU230には、車輪速
度センサ221,222の検出結果と各圧力センサ24
1〜244の検出結果の双方が与えられ、ECU230
では、これらの検出結果をもとに後述する演算処理を実
行し、この演算結果をもとに、アクチュエータ2L、2
Rの駆動制御を実施している。このようにECU230
では、車両の状態量を示す信号として位相が比較的進ん
だ車輪速度を示す信号と、変化の状態が直ちに現れるシ
ョックアブソーバ10内の圧力を示す信号とをもとに減
衰力制御を実施することで、減衰力制御の応答性を向上
させている。
【0101】ここで、ECU230において実施され
る、ショックアブソーバ10の減衰力変更制御(減衰力
変更ルーチン)について、図13のフローチャートをも
とに説明する。
【0102】図13に示すルーチンは、図示しないイグ
ニションスイッチがオンされてからオフされるまでの間
に繰り返し実施される。
【0103】まず、S302では前回のルーチンにおい
て設定された制御ステップ数Lstepold、Rstep oldが
読み込まれる。
【0104】続くS304では、左輪側のショックアブ
ソーバ10に設けられた圧力センサ241,242の検
出結果PL1、PL2より、差圧EL=PL1−PL2を演
算し、演算結果を記憶する。
【0105】続く306では、右輪側のショックアブソ
ーバ10に設けられた圧力センサ243,244の検出
結果PR1、PR2より、差圧ER=PR1−PR2を演算
し、演算結果を記憶する。
【0106】続くS308では、左右の車輪速度センサ
221,222の検出信号をもとに、左前輪の車輪速度
VLと右前輪の車輪速度VRを演算すると共に、左右の車
輪速度の差をEV=VL−VRとして演算する。
【0107】続くS310では、S304,S306の
演算結果をもとに、SP=EL*ERを演算し、演算結果
を記憶する。
【0108】続くS312では、左右の車輪速度の差E
Vをもとに、車両の走行状態を判断する。すなわち、車
両が直進状態の場合には左右の車輪速度の差が十分に小
さく、旋回状態の場合には左右の車輪速度の差が大とな
る。このためS312では、左右の車輪速度の差の絶対
値|EV|が制御定数C_EV1以上かが判断され、判
断結果が「Yes」の場合に車両が旋回状態であり、
「No」の場合には車両が直進状態とみなして以下の制
御を実施する。まず、車両が旋回状態の場合に実行する
制御処理について説明する。この場合、S314に進
み、EV<0かが判断され、判断結果が「Yes」の場
合には、車輪Rの車輪速度が大であるため車両は左旋回
中であり、「No」の場合には、車輪Lの車輪速度が大
であるため車両は右旋回中である。
【0109】S314で「Yes」の場合(左旋回中)
にはS316に進み、「No」の場合にはS324に進
み、次の判断処理を実行する。
【0110】車両の旋回時には、旋回外輪側に加わる荷
重が増加し、旋回内輪側に加わる荷重が減少するので、
差圧EL、ERのうち、旋回内輪側で通常生じるべき差圧
の範囲は所定の正の値以上となり、旋回外輪側で通常生
じるべき差圧の範囲は所定の差圧は負の値以下となる。
一方、横風などの外乱の作用により車体200がロール
した場合、その影響は、車体200からの荷重を受ける
左右のショックアブソーバ10内の差圧EL、ERの変化
として現れる。
【0111】そこで、S316又はS324では、差圧
EL、ERの値が、旋回方向に応じて通常生じるべき差圧
の範囲内か否かを判断する。なお、図中、CUは所定の
正の値をとる制御定数であり、CDは所定の負の値をと
る制御定数である。
【0112】そこでS316において、差圧EL、ER
が、左旋回時に通常生じるべき差圧の範囲内にあると判
断された場合には(S316で「Yes」)、S318
に進み、旋回内輪となる左輪側に図7(a)の増加マッ
プが選択され、旋回外輪となる右輪側には図7(b)の
減少マップが選択される。
【0113】続くS320では、左輪側には、選択され
た増加マップより、|VL−VR|の値をもとに増加ステ
ップ数CUPがマップ検索され、右輪側には、減少マッ
プより、|VL−VR|の値をもとに減少ステップ数CD
WNがマップ検索される。
【0114】続くS322では、S302で読み込まれ
た前回の制御ステップ数Lstep oldに正の値となるCU
Pを加算した値が、新たにLstepとして設定されると共
に、S302で読み込まれた前回の制御ステップ数Rst
ep oldに負の値となるCDWNを加算した値が、新たに
Rstepとして設定される。
【0115】また、S324において、差圧EL、ER
が、右旋回時に通常生じるべき差圧の範囲内にあると判
断された場合には(S324で「Yes」)、S326
に進み、旋回外輪となる左輪側に図7(b)の減少マッ
プが選択され、旋回内輪となる右輪側には図7(a)の
増加マップが選択される。
【0116】続くS328では、左輪側には、選択され
た減少マップより、|VL−VR|の値をもとに減少ステ
ップ数CDWNがマップ検索され、右輪側には、選択さ
れた増加マップより、|VL−VR|の値をもとに増加ス
テップ数CUPがマップ検索される。
【0117】続くS330では、S302で読み込まれ
た前回の制御ステップ数Lstep oldに負の値となるCD
WNを加算した値が、新たにLstepとして設定されると
共に、S302で読み込まれた前回の制御ステップ数R
step oldに正の値となるCUPを加算した値が、新たに
Rstepとして設定される。
【0118】これに対し、S316又はS324で「N
o」と判断された場合、すなわち、差圧EL、ERの値
が、旋回方向に応じて通常生じるべき差圧の範囲外の場
合には、前述した横風などの外乱の影響で旋回中に車体
200がロール方向に振動している状態であり、このよ
うな場合には、S332に進み、左右の制御ステップ数
Lstep old、Rstep oldをそれぞれi1ステップ増加さ
せる。これにより、左右のショックアブソーバ10で発
生する減衰力が増加して、車体200のロール方向の揺
れを制振させることができる。
【0119】次に、車両が直進状態の場合に実行する制
御処理について説明する。この場合、S312で「N
o」と判断され、図13に(*1)〜(*2)として示
す処理に移る。この間の処理を図14に示す。
【0120】まず、S334に進み、SP=EL*ERが
所定の負の値をとる制御定数C_SP1以下であるかが
判断される。ここで「Yes」と判断される場合には、
左右の差圧EL、ERの符号が異なる場合であり、車体2
00がロールしている等の状態が想定される。このよう
な場合には、S336に進み、左右の制御ステップ数L
step old、Rstep oldをそれぞれi2ステップ増加させ
る。これにより、左右のショックアブソーバ10で発生
する減衰力を増加させ、車体200のロール方向の揺れ
を制振させる。
【0121】一方、S334で「No」と判断された場
合には、SP=EL*ERが所定の正の値をとる制御定数
C_SP2以上であるかが判断される。ここで「Ye
s」と判断される場合には、左右の差圧EL、ERの符号
が同一で、かつ、少なくとも一方のショックアブソーバ
10には、平坦な路面を走行中に生じる差圧よりも大き
な差圧が発生している状態である。例えば、片方の車輪
が石に乗り上げた場合が想定される。
【0122】このような場合には、S340に進み、左
右いずれの差圧(絶対値)が大であるかを判断する。左
輪側の差圧が大の場合には(S340で「Yes」)、
S342に進み、左輪側の制御ステップ数をi3ステッ
プ増加させ、右輪側の差圧が大の場合には(S340で
「No」)、S344に進み、右輪側の制御ステップ数
をi3ステップ増加させる。
【0123】このように、差圧が大である側のショック
アブソーバ10の減衰力を増加させることで、車体20
0をフラットに維持することができる。
【0124】また、S338で「No」と判断された場
合には、左右の差圧EL、ERの大きさが、平坦な路面を
走行中に生じる通常の差圧の範囲内であり、この場合に
は、左右の制御ステップ数Lstep old、Rstep oldをと
もに、Nominal値に設定する。
【0125】このような各減衰力変更制御を実行した
後、再び、図13に戻り、図中(*3)で示す制御処理
に移行する。この(*3)で示す制御処理を図15に示
す。
【0126】まず、S348において、前述のようにし
て制御ステップ数を変更した後、再び圧力センサ24
1,242の検出結果PL1、PL2より、差圧EL=P
L1−PL2を演算し、この演算結果を記憶する。また、
続く350でも同様に、圧力センサ243,244の検
出結果PR1、PR2より、差圧ER=PR1−PR2を演
算し、この演算結果を記憶する。
【0127】続くS352では、差圧ELの絶対値が所
定の制御定数C_Pmより大であるかが判断される。
「Yes」の場合にはそのままS356に進むが、「N
o」の場合には、S354に進み、今回のルーチンで設
定した制御ステップ数Lstepを、前回のルーチンで設定
した変更前の制御ステップ数Lstep oldに戻す処理を行
い、この後、S356に進む。
【0128】続くS356では、差圧ERの絶対値が所
定の制御定数C_Pmより大であるかが判断される。
「Yes」の場合にはそのままS360に進むが、「N
o」の場合には、S358に進み、今回のルーチンで設
定した制御ステップ数Rstepを、前回のルーチンで設定
した変更前の制御ステップ数Rstep oldに戻す処理を行
い、この後、S360に進む。
【0129】S360及びS362では、このようにし
て設定された制御ステップ数Lstep、Rstepをそれぞれ
今回のルーチンで設定した制御ステップ数Lstep old、
Rstep oldとして記憶し、このルーチンを終了する。そ
して、次回のルーチンでは、制御ステップ数Lstep ol
d、Rstep oldをもとに、減衰力変更制御が実行され
る。
【0130】このような減衰力制御を実施することで、
旋回走行時には車両の重心高が下がり、旋回時の操縦性
を向上させることができる。また、横風などの外乱によ
り、旋回中に車体200がロール方向に振動した場合に
も、ロール方向の揺れを制振することができ、乗心地を
向上させることができる。さらに、直進走行時には、わ
ずかなロール方向の揺れや路面から受けるわずかな力の
変化にも対応して、車体を常時フラットに維持すること
ができ、乗心地をより一層向上させることができる。
【0131】以上説明した第3の実施形態では、旋回判
定のための代表値として車輪速度を用いたが、この他、
旋回判定には、ヨーレイト、ステアリング角度或いは横
加速度を用いることもできる。
【0132】また、ショックアブソーバ10の状態を検
知するため、ショックアブソーバ10の上室34と下室
38の圧力を代表値として用いたが、この他にも、ピス
トンロッド16のストローク位置を用いることも可能で
ある。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように各請求項にかかる車
両用減衰力制御装置によれば、車両の状態量を示す信号
の中で位相が比較的進んだ車輪速度や液圧緩衝手段にお
ける第1室と第2室との差圧にもとづいて減衰力制御を
実施するので、減衰力制御の応答性を向上させることが
できる。
【0134】特に、請求項1にかかる車両用減衰力制御
装置では、車輪速度検出手段で検出された左右の差圧を
もとに、旋回方向を判断することができると共に、左右
の各液圧緩衝手段の減衰力を制御手段によって個々に制
御することで、旋回内輪側と旋回外輪側の減衰力をそれ
ぞれ最適に制御することができる。
【0135】また、請求項2にかかる車両用減衰力制御
装置では、差圧検出手段で検出された左右の差圧をもと
に旋回方向を判断することができると共に、制御手段に
よって、判断された旋回方向に応じて左右の各液圧緩衝
手段の減衰力を個々に制御することで、旋回内輪側と旋
回外輪側の減衰力をそれぞれ最適に制御することができ
る。
【0136】また、請求項3にかかる車両用減衰力制御
装置では、請求項1又は2の制御手段によって、旋回内
輪側の減衰力を増加させ、旋回外輪側の減衰力を低下さ
せるので、旋回時に車両の重心高が下がり、この作用に
より旋回時における車両の操縦性を向上させることが可
能となる。
【0137】また、請求項4にかかる車両用減衰力制御
装置では、第1制御手段によって、車両直進時に差圧が
大となる側の液圧緩衝手段の減衰力を増加させること
で、車体をフラットに維持でき、直進走行時の乗心地を
向上させることができる。また、第2制御手段により、
第1制御手段で増加させた減衰力を低下させることによ
り、減衰力を所定の範囲内に維持でき、これにより一定
の乗心地感を維持することが可能となる。
【0138】また、請求項5にかかる車両用減衰力制御
装置では、旋回中の外乱の影響で車体がロールした際
に、制御手段によって、左右の液圧緩衝手段の減衰力を
ともに増加させることで、旋回中に発生した車体のロー
ル方向の揺れを制振することができ、旋回中の乗心地を
向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかる減衰力制御装置を搭載
した車両を概略的に示す正面図である。
【図2】減衰力変更制御における入出力の対象と、制御
演算を行うECUとを示すブロック図である。
【図3】各実施形態で用いられるショックアブソーバの
縦断面図である。
【図4】ショックアブソーバの要部を示す拡大断面図で
ある。
【図5】ピストンロッドの変位速度Vと発生する減衰力
Fとの関係を示すグラフである。
【図6】第1の実施形態にかかる減衰力変更制御を示す
フローチャートである。
【図7】(a)は減衰力変更制御に用いられる増加マッ
プであり、(b)は減少マップである。
【図8】第2の実施形態にかかる減衰力制御装置を搭載
した車両を概略的に示す正面図である。
【図9】減衰力変更制御における入出力の対象と、制御
演算を行うECUとを示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態にかかる減衰力変更制御を示
すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態にかかる減衰力制御装置を搭
載した車両を概略的に示す正面図である。
【図12】減衰力変更制御における入出力の対象と、制
御演算を行うECUとを示すブロック図である。
【図13】第2の実施形態にかかる減衰力変更制御を示
すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態にかかる減衰力変更制御を示
すフローチャートである。
【図15】第2の実施形態にかかる減衰力変更制御を示
すフローチャートである。
【図16】従来の減衰力制御で実施される、ピストンロ
ッドの変位速度Vと減衰力Fとの関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 2L、2R…アクチュエータ、10…ショックアブソー
バ、34…上室、38…下室、200…車体、211,
212…サスペンションアーム、221,222…車輪
速度センサ、230…電子制御装置、241,242,
243,244…圧力センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 茂輝 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 鈴木 聡 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 橋本 佳幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右の車輪に対応してそれぞれ配設さ
    れ、車両のばね上部材とばね下部材との間に生じる振動
    を所定の減衰力で減衰させると共に、前記ばね上部材と
    ばね下部材との相対速度が低速の領域で減衰力可変機能
    を有する液圧緩衝手段と、 左右の車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、 前記車輪速度検出手段の検出結果をもとに車両の旋回方
    向を判断し、旋回内輪側となる前記液圧緩衝手段の減衰
    力と旋回外輪側となる前記液圧緩衝手段の減衰力とをそ
    れぞれ制御する制御手段とを備える車両用減衰力制御装
    置。
  2. 【請求項2】 左右の車輪に対応してそれぞれ配設さ
    れ、車両のばね上部材とばね下部材との間に生じる振動
    を所定の減衰力で減衰させると共に、前記ばね上部材と
    ばね下部材との相対速度が低速の領域で減衰力可変機能
    を有する液圧緩衝手段と、 左右の前記液圧緩衝手段に対応してそれぞれ配設され、
    この液圧緩衝手段を構成するピストンによって区画され
    た第1室と第2室との差圧を検出する差圧検出手段と、 左右の前記差圧検出手段の検出結果をもとに車両の旋回
    方向を判断し、旋回内輪側となる前記液圧緩衝手段の減
    衰力と旋回外輪側となる前記液圧緩衝手段の減衰力とを
    それぞれ制御する制御手段とを備える車両用減衰力制御
    装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段では、旋回内輪側となる前
    記液圧緩衝手段の減衰力を増加させ、旋回外輪側となる
    前記液圧緩衝手段の減衰力を低下させる請求項1又は2
    記載の車両用減衰力制御装置。
  4. 【請求項4】 左右の車輪に対応してそれぞれ配設さ
    れ、車両のばね上部材とばね下部材との間に生じる振動
    を所定の減衰力で減衰させる液圧緩衝手段と、 左右の前記液圧緩衝手段に対応してそれぞれ配設され、
    この液圧緩衝手段を構成するピストンによって区画され
    た第1室と第2室との差圧を検出する差圧検出手段と、 左右の前記差圧検出手段の検出結果をもとに車両の直進
    状態を判断し、検出された両差圧のうち差圧が大きい側
    となる前記液圧緩衝手段の減衰力を増加させる第1制御
    手段と、 前記第1制御手段による減衰力制御の前後で、左右の前
    記差圧検出手段で検出される両差圧の大小関係が反転し
    た場合に、少なくとも前記第1制御手段で増加させた液
    圧緩衝手段の減衰力を低下させる第2制御手段とを備え
    る車両用減衰力制御装置。
  5. 【請求項5】 左右の車輪に対応してそれぞれ配設さ
    れ、車両のばね上部材とばね下部材との間に生じる振動
    を所定の減衰力で減衰させると共に、前記ばね上部材と
    ばね下部材との相対速度が低速の領域で減衰力可変機能
    を有する液圧緩衝手段と、 左右の車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、 左右の前記液圧緩衝手段に対応してそれぞれ配設され、
    この液圧緩衝手段を構成するピストンによって区画され
    た第1室と第2室との差圧を検出する差圧検出手段と、 左右の前記車輪速度検出手段の検出結果をもとに車両の
    旋回方向を判断すると共に、左右の前記差圧検出手段で
    検出される差圧が、判断された旋回方向に応じて生じる
    べき差圧の範囲外の場合に、左右の前記液圧緩衝手段の
    減衰力をともに増加させる制御手段とを備える車両用減
    衰力制御装置。
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