JPH11114690A - レーザ加工方法 - Google Patents

レーザ加工方法

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JPH11114690A
JPH11114690A JP9291578A JP29157897A JPH11114690A JP H11114690 A JPH11114690 A JP H11114690A JP 9291578 A JP9291578 A JP 9291578A JP 29157897 A JP29157897 A JP 29157897A JP H11114690 A JPH11114690 A JP H11114690A
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laser
resin
laser beam
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irradiation
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JP9291578A
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English (en)
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Yoshinori Ito
美紀 伊東
Akira Goto
顕 後藤
Toshinori Hasegawa
利則 長谷川
Masafumi Takimoto
雅文 瀧本
Masaaki Furukawa
雅朗 古川
Masaki Inaba
正樹 稲葉
Akio Saito
昭男 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ光の照射による樹脂の加工の際に、レ
ーザ光の照射により発生し樹脂に付着する汚染物質を加
工中に除去し、清浄かつ所望の形状のレーザ加工面を得
ることを可能とするレーザ加工方法を提供する。 【解決手段】 エキシマレーザ光Lの照射により樹脂製
の天板35にインク流路溝36等の所定の形状を加工す
るとともに、レーザ加工中に発生する汚染物質(副生成
物)には吸収されるけれども樹脂には吸収されない波長
を有するYAGレーザの基本波または2倍高調波L2
レーザ加工中に同時に照射する。このYAGレーザの基
本波または2倍高調波L2 の照射により、レーザ光Lの
照射により発生して樹脂に付着する汚染物質(副生成
物)をレーザ加工中に除去することができ、清浄かつ所
望の微細な形状を高精度に加工することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂にレーザ光を
照射して加工を行なうアブレーションや成膜あるいはそ
の他の加工の際に、レーザ光の照射により発生して樹脂
に付着する汚染物質(副生成物)を加工中に除去し、清
浄かつ所望の形状のレーザ加工面を得ることを可能とす
るレーザ加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光を照射して樹脂を加工する際
に、樹脂はレーザ光によって分解され、その一部が例え
ばカーボンといった副生成物(汚染物質)となって照射
部の周囲や照射部の一部に堆積し、熱を蓄えることで微
細加工形状を損傷し、さらには剥離した後にゴミとなる
などの問題を引き起こしていた。
【0003】また、この汚染物質は樹脂とは性質が異な
るために、樹脂の分解除去加工に用いたレーザ光を吸収
しない場合があり、汚染物質に覆われた部分は汚染物質
に覆われていない部分に比べてその内側の樹脂のアブレ
ーションが不完全になる。そのために、加工部分のテー
パー角が大きくなる、あるいはレーザ照射領域に突起状
の樹脂が残る、また、レーザ光を重ね打ちした場合に境
目に樹脂が残るなどの問題が生じていた。
【0004】そこで、樹脂等のレーザ加工においては、
レーザ加工中に副生成物(汚染物質)を除去すること、
あるいは副生成物(汚染物質)の付着を防止することが
必要となり、副生成物(汚染物質)の樹脂表面への付着
をレーザ加工中に防止する方法として、 (1)減圧した加工雰囲気内でレーザ加工を行う方法 (2)レーザ加工中にHeガスを吹き付ける方法 などが従来から用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の方法では次のような問題があった。
【0006】上記の(1)の方法においては、所定の加
工雰囲気に保つために、内部を外気から遮断できる真空
容器が必要であり、この真空容器内に被加工部材を入れ
て加工するため、大量生産工程には不向きであった。ま
た、上記の(2)の方法においては、加工雰囲気内の空
気とHeガスとが不均一に混ざるため、屈折率が一様で
なくなり、照射するレーザ光が散乱してしまい、所定の
形状に微細加工することが困難であった。
【0007】また、上記の(1)および(2)の方法は
いずれも、主に、汚染物質の発生量を減少させ、そして
汚染物質の樹脂からの飛散距離を延ばすことにより、樹
脂への付着量を分散させる方法であるため、加工量が増
えたり、レーザ加工に用いるレーザのエネルギー密度等
が増加すると、副生成物(汚染物質)の量も増え、副生
成物(汚染物質)を完全に除去することは困難であっ
た。
【0008】そこで、本発明は、上記従来技術の有する
未解決な課題に鑑みてなされたものであって、樹脂にレ
ーザ光を照射して加工を行なうアブレーションや成膜あ
るいはその他の加工の際に、レーザ光の照射により発生
して樹脂に付着する汚染物質(副生成物)を加工中に除
去し、清浄かつ所望の形状のレーザ加工面を得ることを
可能とするレーザ加工方法を提供することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のレーザ加工方法は、レーザ光の照射により
樹脂を所定の形状に加工するレーザ加工方法において、
レーザ加工中に発生する汚染物質(副生成物)には吸収
されるけれども樹脂には吸収されない波長を有してい
て、前記加工に用いるレーザ光とは異なるレーザ光をレ
ーザ加工中に同時に照射することを特徴とする。
【0010】また、本発明のレーザ加工方法は、エキシ
マレーザ光の照射により樹脂を所定の形状に加工するレ
ーザ加工方法において、レーザ加工中に発生する汚染物
質(副生成物)には吸収されるけれども樹脂には吸収さ
れない波長を有していて、前記加工に用いるエキシマレ
ーザ光とは異なるレーザ光をレーザ加工中に同時に照射
することを特徴とする。
【0011】そして、本発明のレーザ加工方法において
は、レーザ加工中に発生する汚染物質に吸収されるけれ
ども樹脂には吸収されない波長を有するレーザ光は、Y
AGレーザの基本波または2倍高調波であることが好ま
しい。
【0012】
【作用】樹脂にレーザ光を照射して加工を行なうアブレ
ーションや成膜あるいはその他の加工の際に、レーザ加
工中に発生する汚染物質(副生成物)には吸収される
が、樹脂には吸収されない波長を有するYAGレーザの
基本波または2倍高調波をレーザ加工中に同時に照射す
る。このYAGレーザの基本波または2倍高調波の照射
により、前記加工用レーザ光の照射により発生して樹脂
に付着する汚染物質(副生成物)をレーザ加工中に完全
に除去することができ、清浄かつ所望の微細な形状を高
精度に加工することを可能とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0014】図1は、本発明のレーザ加工方法を実施す
るためのレーザ加工装置の一例を示す概略的な構成図で
ある。
【0015】図1において、レーザ加工装置100は、
樹脂等からなるワークWに対してエキシマレーザ光を照
射してワークWを所定形状に加工形成するものであり、
101はエキシマレーザ光を発するレーザ光源としての
エキシマレーザ発振器であり、その出射光軸aと直交し
て水平方向に移動可能なワークステーション103が装
置フレーム104上に設けられている。このワークステ
ーション103には、加工面を上記光軸aと直交するよ
うにしてワークWが治具(図示しない)を介して装着さ
れる。そして、装置フレーム104上において、エキシ
マレーザ発振器101から発振されるレーザ光の光軸a
上に、レーザ光を整形してマスク106に一様に照射さ
せるための光学系105と、加工しようとする溝や孔等
の所定形状に対応してレーザ光透過領域を備えた加工パ
ターンが形成されたマスク106と、このマスク106
を通って出射したマスク像をワークWに投影する投影光
学系107が順次配置されている。
【0016】前記光軸a上に配置された光学系105
は、ビーム整形用光学系およびケラー照明用光学系等で
構成され、この光学系105によってマスク106に形
成された複数のレーザ光透過領域を備えた加工パターン
に対して均等にレーザ光を照射する。そして、投影光学
系107はマスク106の加工パターンの像をワークW
の加工面に結像させる。なお、投影光学系107にはマ
スクの耐久性を考慮して縮小光学系を用いることが好ま
しい。
【0017】また、ワークステーション103上でのワ
ークWの加工位置の測定のために、照明光学系108お
よび110、110ならびに測定系111、111が配
設され、測定系111は、テレビカメラ等をセンサとし
て使用し、これを鏡筒、オートフォーカシング手段を介
して対物レンズに対向させた測定器および光軸a上に配
置される2面のミラーより構成されており、照明光学系
110は測定器に組み込まれている。また、照明光学系
108は、ワークWと投影光学系107との間に配置さ
れ、光軸aと直交する方向から光源より光を照射し、測
定時にのみ、エアシリンダ109により光軸a上に進出
するミラーによって、光を光軸a上に載せ、ワークWに
向けて照射させるものである。
【0018】測定系111、111による測定結果は、
画像処理系116にもたらされ、画像処理系116での
信号処理の結果を制御系117に送る。制御系117
は、その測定結果に基づいて、ワークWの移動距離を算
出し、移動手段118を介してワークステーション10
3におけるステージ移動を行なわせる。
【0019】また、エキシマレーザ発振器101の出力
は、ハーフミラー114を介してパワーセンサ113で
計測され、この出力情報は制御系117にフィードバッ
クされ、インターフェース等を介してエキシマレーザ発
振器101への印加電圧等を変化させて、エキシマレー
ザ発振器101の出力の調整を行なう。
【0020】さらに、本発明のレーザ加工方法を実施す
るために、レーザ加工中に発生する副生成物(汚染物
質)には吸収されるけれどもワークWには吸収されない
波長を有する第2のレーザ光を発する第2のレーザ発振
器120、120を設置する。なお、第2のレーザ発振
器としては、ワークWが樹脂である場合には、レーザ加
工中に発生する副生成物(汚染物質)には吸収されるけ
れども樹脂製のワークWには吸収されない波長を有する
YAGレーザ光を発するYAGレーザ発振器が適してお
り、レーザ光はYAGレーザの基本波、または2倍高調
波が好ましい。これらの第2のレーザ発振器120、1
20は制御系117により制御しうるように結線され
る。そして、第2のレーザ発振器120、120から照
射された第2のレーザ光は、それぞれ光学系121およ
びマスク122を透過して所望のビーム形状に整形さ
れ、さらに投影光学系123によりワークW上のエキシ
マレーザ照射領域およびその周囲に集光されるように構
成されている。
【0021】次に、本発明のレーザ加工方法の第1の実
施例について説明する。
【0022】本実施例においては、被加工部材を液体噴
射記録ヘッドを構成する天板とし、樹脂成形された天板
に対してインク流路溝を加工する態様について説明す
る。液体噴射記録ヘッドを構成する天板は、射出成形等
によって、図3の(a)に示すように、インク流路溝3
6を備えていない形状、すなわち共通液室37となる溝
部のみを備えた形状35aに樹脂成形されており、この
樹脂成形された天板35aに対してレーザ光Lを照射す
ることにより、図3の(b)に示すような複数のインク
流路溝36を加工形成するものである。
【0023】この樹脂成形された天板35aを前述した
レーザ加工装置100のワークステーション103にセ
ットし、図2に示すように、加工するインク流路溝36
に対応するレーザ光透過領域である透明部分31とレー
ザ光非透過領域である非透明部分32とを備えた加工パ
ターンを有するマスク30を介してエキシマレーザ光L
を照射することにより、マスク30の透明部分31を通
過したレーザ光Lにより天板35の加工面を分解除去さ
せて、マスク30の加工パターンに相応したインク流路
溝36を加工する。なお、天板35の材質はポリサルフ
ォンであるが、他の樹脂材料であっても良い。
【0024】そして、エキシマレーザ光Lの照射に際し
て、図1に図示したレーザ加工装置100の制御系11
7によって、レーザ発振器101および光学系装置10
5、107を制御することで、レーザ発振器101から
発せられるエキシマレーザ光Lを加工面でのレーザエネ
ルギー密度を700mJ/cm2 ・puls、レーザの周波
数を100Hzとし、230pulse照射する。
【0025】このエキシマレーザ光Lの照射と同時に、
YAGレーザ発振器120からエキシマレーザ加工面に
YAGレーザの2倍高調波L2 を照射する。YAGレー
ザ発振器120から照射されたYAGレーザ光L2 は、
YAGレーザ用光学系121、YAGレーザ用マスク1
22およびYAGレーザ用投影光学系123を介して、
被加工部材である天板上のエキシマレーザ照射部および
その周辺に集光される。このYAGレーザ光L2 のエネ
ルギー密度を200mJ/cm2 ・puls、周波数を5H
zとし、11pulse照射した(図1および図2参
照)。
【0026】エキシマレーザ光の照射によるレーザ加工
によって生成された副生成物からなる微小破片は、黒色
を帯びているもの、例えばカーボン等、になっているも
のが多く、YAGレーザの2倍高調波(波長532n
m)は、黒色である副生成物つまり汚染物質に吸収さ
れ、汚染物質のみを選択的に除去する。したがって、エ
キシマレーザ光を照射するとともにYAGレーザの2倍
高調波を照射することによって、エキシマレーザ光の照
射による副生成物が加工面に堆積しても、この副生成物
はYAGレーザのエネルギーを吸収し、即座に飛散させ
ることができる。一方、天板の材料である樹脂は半透明
で、YAGレーザ光のほとんどを透過させるためにほと
んど反応が起こらない。
【0027】このように、エキシマレーザ光の照射によ
るレーザ加工中に同時にYAGレーザ光を照射すること
により、被加工部材である樹脂には汚染物質が付着する
ことなく、高精度の微細な加工を行なうことが可能とな
り、図3の(b)に示すようなインク流路溝36を、イ
ンク流路溝の深さdは40μm、インク流路溝幅hは3
4μm、インク流路溝壁の幅hoは8μm、ピッチpは
42.3μmで、336本配列することができた。
【0028】汚染物質を除去するためのYAGレーザの
照射は、なるべく被加工部材に対して直交方向から照射
することが望ましい。しかし、本実施例においては、イ
ンク流路溝の形状の制約上から、図4に示すように傾斜
角θを20°とし、2方向から同時にYAGレーザL2
を照射した。
【0029】この結果、インク流路溝36の側面(テー
パー部になる部分)36aに付着している汚染物質40
も除去することができ、テーパー部36aのテーパー角
度αもYAGレーザL2 を照射しなかった場合に比べて
小さくすることができた。
【0030】このインク流路溝36のテーパー部36a
の角度αについて説明すると、通常、エキシマレーザ光
の照射による樹脂の分解除去と同時に汚染物質が発生
し、その汚染物質の一部がインク流路溝36の側面(テ
ーパー部になる部分)36aにも付着する。その側面3
6aがエキシマレーザ光Lを吸収しない汚染物質40に
覆われることで、インク流路溝36の側面36aのアブ
レーションが不完全となり、テーパー角度αはより大き
くなる。
【0031】しかし、本実施例においては、エキシマレ
ーザ光LとYAGレーザ光L2 を同時に照射することに
より、汚染物質が発生しても即座に飛散させることが可
能となり、エキシマレーザ光の照射領域のアブレーショ
ンを妨げることがない。したがって、テーパー角度αも
小さくすることが可能となった。
【0032】また、通常、エキシマレーザ光の照射によ
り汚染物質が発生し、その汚染物質の一部がエキシマレ
ーザ光の照射領域に付着すると、エキシマレーザ光を吸
収しない汚染物質に覆われた樹脂部分についてはアブレ
ーションが不完全となる。このために、エキシマレーザ
光のみを単独で照射した場合には、図5に示すように、
インク流路溝36内、つまりエキシマレーザ照射領域内
に、突起状の樹脂41が残ってしまうことがある。
【0033】しかし、本実施例においては、エキシマレ
ーザ光LとYAGレーザ光L2 を同時に照射すること
で、汚染物質が発生しても即座に飛散させることが可能
となり、エキシマレーザ光の照射領域のアブレーション
を妨げることがない。したがって、エキシマレーザ光の
みの照射の場合に数箇所観察された突起状の樹脂残り4
1(図5)は、YAGレーザを同時に照射することによ
り発生しなくなった。
【0034】さらに、汚染物質を除去するためのYAG
レーザの照射は、エキシマレーザ加工中に同時に行なう
ことができるために、加工時間も従来と同様のままで、
汚染物質を除去することができ、加工時間の面でも有利
である。
【0035】なお、YAGレーザの照射は、図1に図示
するレーザ加工装置100の制御系117で制御するこ
とができ、エネルギー密度、周波数、pulse数など
のYAGレーザの条件もエキシマレーザの加工条件(エ
ネルギー密度、周波数、pulse数等)や加工形状等
と連動して自由に調整することも可能である。
【0036】また、本実施例では、YAGレーザの2倍
高調波を使用したが、基本波でも同様の効果がある。
【0037】このように、レーザ加工中に同時にYAG
レーザ光を照射することにより、レーザ加工により発生
する樹脂上の汚染物質(副生成物)を完全に除去するこ
とができるとともに、加工部分のテーパー角度を小さく
し、さらに、アブレーションの不完全により発生する突
起状の樹脂残りをなくすこともでき、所望の微細な形状
を高精度に加工することができる。
【0038】次に、本発明のレーザ加工方法の第2の実
施例について説明する。
【0039】本実施例においては、図6に図示するよう
に、被加工部材を樹脂板73として、レーザ光透過領域
である透明部分71とレーザ光非透過領域である非透明
部分72を備えた加工パターンを有する第1のマスク7
0と、レーザ光透過領域である透明部分81とレーザ光
非透過領域である非透明部分82を備えた加工パターン
を有する第2のマスク80を用いて、図6の(c)に示
すような形状に加工しようとするものである。
【0040】そこで、先ず、図6の(a)に示すよう
に、透明部分71と非透明部分72を備えた加工パター
ンを有する第1のマスク70を、レーザ加工装置のエキ
シマレーザ発振器と樹脂板73の間に設置し、さらにY
AGレーザ発振器を設置する。なお、樹脂板73の材質
はポリサルフォンとしたが、他の樹脂材料であっても良
い。
【0041】そして、図1に図示するレーザ加工装置1
00の制御系117によって、レーザ発振器101およ
び光学系装置105、107を制御することで、レーザ
発振器101から発せられるエキシマレーザ光Lを加工
面でのレーザエネルギー密度を700mJ/cm2 ・pu
ls、レーザの周波数を100Hzとし、図6の(a)に
示すように、エキシマレーザ光Lを樹脂板73に200
pulse照射し、図6の(b)に示すように、第1の
マスク70の透明部分71に対応した凹部74を加工形
成する。
【0042】次に、図6の(b)に示すように、同じ樹
脂板73に対して、透明部分81と非透明部分82を備
えた加工パターンを有する第2のマスク80を介して、
同様のエキシマレーザ光Lを200pulse照射し、
図6の(c)に示すように、第2のマスク80の透明部
分81に対応した凹部75および2度のエキシマレーザ
光の照射が重なった部分に深い凹部76を加工形成す
る。
【0043】これらのエキシマレーザ光の照射中に、同
時にYAGレーザの2倍高調波L2を第1の実施例と同
様に照射する。このYAGレーザのエネルギー密度は2
00mJ/cm2 ・puls、周波数を5Hzでそれぞれ1
0pulseづつ照射する。
【0044】すると、汚染物質は、エキシマレーザ光の
照射によって樹脂が分解除去されることで発生しても、
YAGレーザのエネルギーを吸収し、即座に飛散する。
一方、被加工部材である樹脂板はYAGレーザ光のほと
んどを透過させるために反応はほとんど起こらない。
【0045】したがって、樹脂には汚染物質が付着する
ことなく、図6の(c)に示すように、2度のエキシマ
レーザ光の照射が重なった部分に深い凹部76が加工さ
れ、そして照射領域は平坦に加工される。
【0046】ところで、通常、エキシマレーザ光による
樹脂の分解除去と同時に汚染物質が発生し、この汚染物
質78は、図7の(a)に示すように、エキシマレーザ
光Lの照射領域側面やその周辺に付着する。エキシマレ
ーザ光を吸収しない汚染物質に覆われた樹脂部分につい
てはアブレーションが不完全となり、エキシマレーザの
みを単独で照射した場合には、図7の(b)に示すよう
に、2度のエキシマレーザ光の照射が重なった部分に、
細い壁状の樹脂79が残ってしまう。
【0047】しかし、本実施例においては、エキシマレ
ーザ光とYAGレーザ光を同時に照射することで、汚染
物質が発生しても即座に飛散させることが可能となり、
エキシマレーザ光の照射領域のアブレーションを妨げる
ことがない。したがって、エキシマレーザ光のみ照射し
た場合はエキシマレーザ光の照射が重なった部分周辺に
細い壁状の樹脂残りが生じていたけれども、YAGレー
ザを同時に照射することによりこの細い壁状の樹脂残り
はなくなった。
【0048】なお、YAGレーザの照射は、汚染物質の
除去にはなるべく被加工部材に対して直交方向から照射
することが望ましい。しかし、本実施例においても、Y
AGレーザの照射は、図4に図示した実施例と同様に、
その傾斜角θを20°として、2方向から同時にYAG
レーザを照射したが、汚染物質除去の効果は同様にあっ
た。
【0049】また、汚染物質を除去するためのYAGレ
ーザの照射は、エキシマレーザ加工中に同時に行なうこ
とができるために、加工時間も従来と同様のままで、汚
染物質を除去することができ、加工時間の面でも有利で
ある。
【0050】YAGレーザの照射は、図1に図示するレ
ーザ加工装置の制御系で制御することができ、エネルギ
ー密度、周波数、pulse数などのYAGレーザの条
件もエキシマレーザの加工条件(エネルギー密度、周波
数、pulse数等)や加工形状等と連動して自由に調
整することも可能である。
【0051】また、本実施例においても、YAGレーザ
の2倍高調波を使用したが、基本波でも同様の効果があ
る。
【0052】このように、レーザ加工中に同時にYAG
レーザを照射することにより、レーザ加工により発生す
る樹脂上の汚染物質(副生成物)を完全に除去すること
ができ、アブレーションの不完全により発生する細い壁
状の樹脂残りをなくすことができ、所望の微細な形状を
高精度に加工することができる。
【0053】
【発明の効果】本発明は、上述のように構成されている
ので、樹脂にレーザ光を照射して加工を行なうアブレー
ションや成膜あるいはその他の加工の際に、レーザ光の
照射により発生して樹脂に付着する汚染物質(副生成
物)を、レーザ加工中に同時にYAGレーザの2倍高調
波あるいは基本波を樹脂に照射することにより、加工中
に除去することができ、清浄かつ所望の形状のレーザ加
工面を精度良く得ることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ加工方法を実施するためのレー
ザ加工装置の一例を示す概略的な構成図である。
【図2】本発明のレーザ加工方法の第1の実施例におけ
る、被加工部材に対してマスクを介して照射するエキシ
マレーザ光による加工態様および汚染物質を除去するY
AGレーザ光の照射を示す概念図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明のレーザ加工方
法を適用する液体噴射記録ヘッドを構成する天板の溝加
工前および溝加工後の状態をそれぞれ示す模式的な斜視
図である。
【図4】本発明のレーザ加工方法の第1の実施例におい
て、エキシマレーザ光の照射により発生した汚染物質と
YAGレーザ光の照射との関係を示す概念図である。
【図5】エキシマレーザ光の照射により発生した汚染物
質の影響により突起状の樹脂残りが生じた状態を示す模
式図である。
【図6】本発明のレーザ加工方法の第2の実施例におけ
るエキシマレーザ光の照射による樹脂板の加工態様を工
程順に示す概念図である。
【図7】(a)はエキシマレーザ光の照射により樹脂板
の照射領域側面やその周辺に汚染物質が付着した状態を
示す模式図であり、(b)はエキシマレーザ光の2度の
照射が重なった部分に細い壁状の樹脂残りが生じた状態
を示す模式図である。
【符号の説明】
L エキシマレーザ光 L2 YAGレーザ光(第2のレーザ光) 30、70、80 マスク 35 天板(被加工部材) 36 インク流路溝 40、78 汚染物質(副生成物) 41 突起状の樹脂残り 73 樹脂板(被加工部材) 79 細壁状の樹脂残り 101 エキシマレーザ発振器 103 ワークステーション 105 光学系 106 マスク 107 投影光学系 111 測定系 116 画像処理系 117 制御系 120 YAGレーザ発振器(第2のレーザ発振器) 121 YAG用光学系 122 YAG用マスク 123 YAG用投影光学系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧本 雅文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 古川 雅朗 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 稲葉 正樹 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 斎藤 昭男 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光の照射により樹脂を所定の形状
    に加工するレーザ加工方法において、レーザ加工中に発
    生する汚染物質(副生成物)には吸収されるけれども樹
    脂には吸収されない波長を有していて、前記加工に用い
    るレーザ光とは異なるレーザ光をレーザ加工中に同時に
    照射することを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 【請求項2】 エキシマレーザ光の照射により樹脂を所
    定の形状に加工するレーザ加工方法において、レーザ加
    工中に発生する汚染物質(副生成物)には吸収されるけ
    れども樹脂には吸収されない波長を有していて、前記加
    工に用いるエキシマレーザ光とは異なるレーザ光をレー
    ザ加工中に同時に照射することを特徴とするレーザ加工
    方法。
  3. 【請求項3】 レーザ加工中に発生する汚染物質には吸
    収されるけれども樹脂には吸収されない波長を有するレ
    ーザ光が、YAGレーザの基本波または2倍高調波であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ加工
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1279508A1 (en) * 2001-07-27 2003-01-29 Scitex Digital Printing, Inc. Cleaning ink jet print heads
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