JPH11114102A - ゴルフクラブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】打球時において、ヘッド本体に固着されるフェ
ース部がバランス良くたわむようにしたヘッド構造を有
するゴルフクラブを提供すること。 【解決手段】ヘッド本体３にフェース部５を固着したヘ
ッド１を有するゴルフクラブであり、前記フェース部５
は、打球が行われる略中央領域の断面形状が以下のよう
に構成されている。すなわち、フェース面５ａの接線Ｓ
１とクラウン面フェース側の接線Ｓ２とが成す角をα、
フェース面の接線Ｓ１とソール面フェース側の接線Ｓ３
とが成す角をβ、ソール面フェース側の接線Ｓ３におけ
る角度βの補角をγとした場合、前記αとβ、もしくは
前記αとγが略等しくなる形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ゴルフクラブに
関し、特に、ヘッドのフェース部を改良したゴルフクラ
ブに関する。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】従来、ゴルフクラブのヘッ
ドのフェース部は、打球時の衝撃によってたわみが生じ
る部分であるため、破損、磨耗等しやすく、又、長期間
の使用により、クラックが発生進行し、他の部分に対し
て耐久性に劣る欠点がある。このため、フェース部に関
しては、打球時の衝撃に充分耐え得るように、ヘッド本
体とは異なる材料（同一材料でも良い）、例えばステン
レスやチタンのような鍛造金属等によって構成し、これ
をヘッドに固着することが行われている。

【０００３】また、ヘッドのフェース部は、打球時にお
いて、ボール自体を大きく変形させるような構成である
と、飛距離の向上が得られないことが知られている。す
なわち、打球時にフェース部のたわみを抑えてボールを
大きく弾性変形させると、打球時に与えられたエネルギ
ーがそれを元に戻そうとするエネルギーに消費され、結
果として飛距離の向上が得られないのである。

【０００４】このため、ヘッドに固着されるフェース部
は、打球時において、適度にたわみが生じるように構成
されているのが好ましい。また、そのようなたわみにつ
いても、飛距離の向上、方向の安定性、打球感の向上等
を考慮すると、打球が行われる部分において、バランス
良くたわみ、しかもフェース部の強度が低下することが
ないように構成されているのが好ましい。

【０００５】しかし、従来のヘッドは、上記したような
ヘッド本体に別途固着されるフェース部の構造に関し、
バランス良くたわみを生じさせる、ということについて
何等考慮はされていない。

【０００６】この発明は、打球時において、ヘッド本体
に固着されるフェース部がバランス良くたわむようにし
たヘッド構造を有するゴルフクラブを提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、ヘッド本体に固着されるフェース部をク
ラウン部側およびソール部側において、それぞれ打球が
成される中央領域が、打球時にバランス良くたわむこと
ができるような形状に構成することを特徴とする。この
ように、フェース部が打球時にバランス良くたわむこと
により、柔らかい打球感が得られ、ボールの変形を抑え
て飛距離の向上が得られると共に、方向の安定性が図れ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図１（ａ）および（ｂ）は、フェース部が
固着されているウッドタイプのヘッドを示した図であ
る。

【０００９】ヘッド１は、ヘッド本体３と、このヘッド
本体３のフェース面部に、溶接、接着等によって接合さ
れたフェース部５とを備えている。また、ヘッド本体３
は、クラウン部６、ソール部７、バックフェース８、ト
ウ側面９、ヒール側面１０、および図示していないシャ
フトが差し込まれるホーゼル１２を備えており、ヘッド
本体３は、これらの部材を鋳造等によって一体的に成形
するか、もしくは、必要に応じて外殻部材として構成
し、溶接、研磨工程等を経て作製される。

【００１０】上記ヘッド本体３は、例えば、チタン、チ
タン合金、ステンレス、ＦＲＭ等が用いられ、上記フェ
ース部５は、アルミ、アルミ合金、チタン、チタン合
金、ステンレス、軟鉄、マレージング鋼、ＦＲＭ等が用
いられるが、本発明におけるヘッド本体およびフェース
部ついては、これらの材料に限定されることはない。

【００１１】上記フェース部５は、ヘッドの打球が成さ
れる部分、すなわち、フェース部の略中央領域にあるス
ィートスポット付近の縦断面の形状が、図２（ａ）に示
すような形状に構成されている。この場合、フェース部
５は、実際の打球面となるフェース面５ａと、フェース
面５ａからそれぞれヘッド本体３のクラウン部６および
ソール部７に向けて屈曲したクラウン側屈曲延出部５
ｂ、ソール側屈曲延出部５ｃを備えている。

【００１２】フェース部５は、図２（ａ）に示すαと
β、もしくはαとγが略等しい角度となる形状に構成さ
れている。この場合、上記α、β、γは以下のように定
義される。フェース面５ａの接線Ｓ１と、クラウン側屈
曲延出部５ｂの表面におけるフェース側の接線Ｓ２とが
成す角をα、フェース面５ａの接線Ｓ１とソール側屈曲
延出部５ｃの表面におけるフェース側の接線Ｓ３とが成
す角をβ、上記接線Ｓ３における前記角度βの補角をγ
とする。フェース部５の形状を、上記条件が満足される
ように形成し、これをヘッド本体３のクラウン部６およ
びソール部７に接合することで、フェース部５は、打球
時において、バランス良くたわむことができ、飛距離の
向上および柔らかい打球感が得られる。なお、ヘッド本
体３との接合（接合箇所をＰ１，Ｐ２で示す）は、接
着、溶接等によって行うことができ、その接合手段につ
いては限定されることはない。

【００１３】また、フェース部５を、前記クラウン側屈
曲延出部５ｂの長さをｔ1 、その厚さをｄ１とし、前記
ソール側屈曲延出部５ｃの長さをｔ2 、その厚さをｄ2
とした場合、前記ｔ1 とｔ2 及び前記ｄ1 とｄ2 が、そ
れぞれ略等しくなるように構成しても良い。フェース部
５の形状を、上記条件が満足されるように形成すること
で、その上下方向での形状が対称的になり、打球時にお
いて、よりバランス良くたわむことが可能となる。

【００１４】フェース部５の形状を上記したように構成
した場合、その強度が充分に得られるように、クラウン
側屈曲延出部５ｂの厚さｄ１、前記ソール側屈曲延出部
５ｃの厚さｄ2 は、用いられる材料強度に応じて、それ
ぞれ略０．５〜１．２mmの範囲で設定すれば良い。これ
は、各厚さが、上記範囲よりも薄くなると、強度的に充
分ではなく、上記範囲よりも厚くなると、充分なたわみ
効果が発揮できないことによる。しかし、この厚さは、
ステンレスやチタン、チタン合金等の金属を用いた場合
であって、これらより高伸度、高弾力性のある材料であ
れば、さらに厚くしても良い。また、フェース面５ａの
厚さｄ3 は、用いられる材料強度に応じて略１．５〜
２．６mmの範囲で設定すれば良い。

【００１５】また、上記クラウン側屈曲延出部５ｂの長
さｔ1 、前記ソール側屈曲延出部５ｃの長さｔ2 は、従
来の一般的な構造ではヘッド本体に対する接合部分とし
て構成されていたが、上記それぞれの長さを長くするこ
とにより、フェース面５ａにおけるたわみ効果を向上さ
せることができる。具体的には、上記それぞれの長さｔ
1 ，ｔ2 は、７mm以上、好ましくは１０mm以上とするの
が良い。

【００１６】さらに、上記構成において、フェース面５
ａから、各クラウン側屈曲延出部５ｂおよびソール側屈
曲延出部５ｃに至る屈曲部Ｅを、所定のＲをもって滑ら
かに湾曲させるのが良い。このように、両者を所定のＲ
をもって滑らかに湾曲させることで、応力の集中を緩和
し、強度を維持しながら、上記のたわみ効果を発揮させ
ることが可能となる。なお、上記した湾曲は、フェース
部５をＦＲＭで構成した場合、その強化繊維が破損しな
い程度、具体的には１０Ｒ程度以上に構成することがで
き、それ以外の材料の場合、３〜５Ｒ程度以上に構成す
ることが可能である。また、フェース部５をＦＲＭで構
成した場合、上記したようなクラウン側屈曲延出部５ｂ
およびソール側屈曲延出部５ｃをそれぞれ形成し、これ
をヘッド本体に接合するようにしたことで、強化繊維の
露出を防止することができ、フェース部周辺での強度の
向上が図れると共に、外観の向上が図れる。

【００１７】図２（ｂ）乃至図２（ｄ）は、それぞれフ
ェース部の異なる実施の形態の一例を示す図である。上
述したように、フェース部は、打球時においてたわみ効
果が得られるように構成されており、たわみが生じるフ
ェース面５ａを支持するクラウン側屈曲延出部５ｂおよ
びソール側屈曲延出部５ｃを変形することで、より効果
的なたわみを発生させることが可能である。

【００１８】図２（ｂ）に示すフェース部１５は、クラ
ウン側屈曲延出部およびソール側屈曲延出部を、それぞ
れ対称となる波状部１５ｂ，１５ｃに形成したものであ
り、図２（ｃ）に示すフェース部２５は、クラウン側屈
曲延出部およびソール側屈曲延出部に、それぞれ対称と
なる屈曲部２５ｂ，２５ｃを形成したものである。ま
た、図２（ｄ）に示すフェース部３５は、クラウン側屈
曲延出部およびソール側屈曲延出部の適所を肉抜きし
て、部分的に薄肉状にしたものである（それぞれ肉抜き
部を符号３５ｂ，３５ｃで示してある）。これらの実施
の形態によれば、打球時において、各フェース面１５
ａ，２５ａ，３５ａが打球方向に沿って弾性的にたわむ
ことができるため、より柔らかい打球感を得ることがで
きる。

【００１９】図３は、上記したようなフェース部５を作
製する一例を示した図である。図（ａ）に示すように、
板状になった所定の金属材料３０から、プレス加工によ
ってフェース部５を打ち抜き、その後、鍛造等によっ
て、図（ｂ）に示すように、フェース部５の周囲５ｅが
薄肉状になるように成形する。そして、薄肉状になった
周囲５ｅを内側にしぼり加工することで、図（ｃ）に示
すようなフェース部５が作製される。このように作製さ
れたフェース部は、ヘッド本体のクラウン部、ソール
部、トウ側面部、ヒール側面部に対し、すべての方向に
屈曲された構成となっている。

【００２０】フェース部は、図３に示した方法以外に
も、例えば鋳造によって一体的に作製することが可能で
あり、その形状も、打球時において、バランスの良いた
わみ効果が得られるように、種々変形することが可能で
ある。

【００２１】図４乃至図７は、フェース部５の形状につ
いての様々な構成例を示した図である。図４に示す構成
は、フェース部５が、クラウン部６、ソール部およびト
ウ側面９に向けて屈曲形成されたものであり、図５に示
す構成は、フェース部５が、クラウン部６、ソール部お
よびトウ側面９、ヒール側面１０に向けて屈曲形成さ
れ、かつホーゼル１２を一体的に形成したものであり、
図６に示す構成は、フェース部５が、クラウン部６およ
びソール部に向けて屈曲形成されたものである。また、
図７に示す構成は、フェース部５の、クラウン部６およ
びソール部に向けて屈曲形成される部分が、その中央領
域で最大となるように円弧状に形成されたものである。
上記いずれの構成例も、その略中央領域における断面
が、図２に示すような形状に構成されている。

【００２２】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、上記実施の形態に限定されることは無く、例
えば、以下のように構成することが可能である。本発明
は、図２（ａ）に示したように、フェース部５を、角度
αとβ又はαとγが略等しくなるように構成し、及び／
又は、ｔ1 とｔ2 および厚さｄ1 とｄ2が、それぞれ略
等しくなるように構成すれば良い。この場合、フェース
部５は、上記した各値がそれぞれ同一となるのが最も好
ましいが、±２５％程度の差があっても、バランスを取
ることができ、かつ充分なたわみ効果を得ることが可能
である。ただし、５０％又は１００％を越えるとバラン
スを取る上では好ましくない。

【００２３】フェース部５の打球面ｄ3 の肉厚よりも薄
い屈曲延出部を、クラウン側、ソール側、トウ側、ヒー
ル側の４方向に形成するのが好ましいが、このような屈
曲延出部を少なくとも１か所だけ形成しても良い。この
場合、ヒール側は、ネック部（ホーゼル）１２の形状や
厚さによって制限を受ける。

【００２４】前記屈曲延出部の肉厚は、その後部に接合
するヘッド本体３の肉厚より薄く形成することで、たわ
みバランスを向上でき、より一層柔らかい打球感が得ら
れ、さらにヘッドの後方に重量配分しやすくなる。すな
わち、屈曲延出部の肉厚は、フェースの打球面の厚さｄ
3 、上記ヘッド本体厚さより薄く形成することが好まし
い。また、屈曲延出部は、外方に膨出する膨出形状又は
後方に広がるテーパ状に形成することが好ましい。

【００２５】上記したように屈曲延出部は、屈曲延出部
の後部でヘッド本体３（又はソール部）と溶接等により
接合一体化される。この場合、接合位置までの距離（ｔ
1 ，ｔ2 の距離）は、フェース面から７mm以上、好まし
くは１０mm以上であるが、１５〜３５mmの範囲にすると
良い。ただし、アイアンクラブに適用する場合は、前記
より小さい寸法（例えば前記の略１／２〜２／３）でも
良い。

【００２６】また、ヘッド本体３のクラウン部６および
ソール部７の形状を変形したり、材質を変化させること
で、フェース部５に上記クラウン側屈曲延出部５ｂ、ソ
ール側屈曲延出部５ｃを設けない構成にすることも可能
である。なお、上記したようなクラウン側屈曲延出部５
ｂ、ソール側屈曲延出部５ｃは、いずれか一方に形成し
ても、たわみ効果を得ることが可能である。

【００２７】

【発明の効果】本発明の構成によれば、打球時におい
て、ヘッドに固着されたフェース部のフェース面がバラ
ンス良くたわむことができ、柔らかい打球感が得られ、
飛距離の向上が得られると共に、方向の安定性が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、ゴルフクラブのヘッドを上方から見
た斜視図、（ｂ）は、同、ヘッドを下方から見た斜視
図。

【図２】（ａ）は、第１の実施の形態を示す図であり、
図１（ａ）のＡ−Ａ線に沿った断面図、（ｂ）は、第２
の実施の形態を示す図であり、図１（ａ）のＡ−Ａ線に
沿った断面図、（ｃ）は、第３の実施の形態を示す図で
あり、図１（ａ）のＡ−Ａ線に沿った断面図、（ｄ）
は、第４の実施の形態を示す図であり、図１（ａ）のＡ
−Ａ線に沿った断面図。

【図３】（ａ）〜（ｃ）は、それぞれ図２に示すフェー
ス部を作製する方法の一例を経時的に示す図。

【図４】ヘッド本体に固着されるフェース部の構成を示
す図。

【図５】ヘッド本体に固着されるフェース部の別の構成
を示す図。

【図６】ヘッド本体に固着されるフェース部のさらに別
の構成を示す図。

【図７】ヘッド本体に固着されるフェース部のさらに別
の構成を示す図。

【符号の説明】

１ ヘッド ３ ヘッド本体 ５，１５，２５，３５ フェース部 ５ａ，１５ａ，２５ａ，３５ａ フェース面 ５ｂ クラウン側屈曲延出部 ５ｃ ソール側屈曲延出部 ６ クラウン部 ７ ソール部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッド本体にフェース部を固着したヘッ
   ドを有するゴルフクラブであり、前記フェース部は、打
   球が行われる略中央領域の断面形状が以下のように構成
   されていることを特徴とするゴルフクラブ；フェース面
   の接線とクラウン面フェース側の接線とが成す角をα、
   フェース面の接線とソール面フェース側の接線とが成す
   角をβ、ソール面フェース側の接線における前記角度β
   の補角をγとした場合、前記αとβ、もしくは前記αと
   γが略等しくなる形状となっている。
2. 【請求項２】 ヘッド本体にフェース部を固着したヘッ
   ドを有するゴルフクラブであり、前記フェース部は、打
   球が行われる略中央領域の断面形状が以下のように構成
   されていることを特徴とするゴルフクラブ；フェース面
   から前記ヘッド本体のクラウン部の接合部までの長さ
   （クラウン側屈曲延出部の長さ）をｔ1 、フェース面か
   ら前記ヘッド本体のソール部の接合部までの長さ（ソー
   ル側屈曲延出部の長さ）をｔ2 、前記クラウン側屈曲延
   出部の厚さｄ1 、前記ソール側屈曲延出部の厚さをｄ2
   とした場合、前記ｔ1 とｔ2 及び前記ｄ1 とｄ2 が、そ
   れぞれ略等しくなる形状となっている。
3. 【請求項３】 ヘッド本体にフェース部を固着したヘッ
   ドを有するゴルフクラブであり、前記フェース部は、打
   球が行われる略中央領域の断面形状が以下のように構成
   されていることを特徴とするゴルフクラブ；フェース面
   の接線とクラウン面フェース側の接線とが成す角をα、
   フェース面の接線とソール面フェース側の接線とが成す
   角をβ、ソール面フェース側の接線における前記角度β
   の補角をγとし、さらに、フェース面から前記ヘッド本
   体のクラウン部の接合部までの長さ（クラウン側屈曲延
   出部の長さ）をｔ1 、フェース面から前記ヘッド本体の
   ソール部の接合部までの長さ（ソール側屈曲延出部の長
   さ）をｔ2 、前記クラウン側屈曲延出部の厚さｄ1 、前
   記ソール側屈曲延出部の厚さをｄ2 とした場合、 前記αとβ、もしくは前記αとγが略等しく、かつ、前
   記ｔ1 とｔ2 及び前記ｄ1 とｄ2 が、それぞれ略等しく
   なる形状となっている。
4. 【請求項４】 前記クラウン側屈曲延出部およびソール
   側屈曲延出部は、それぞれ対称となる波状部を有するこ
   とを特徴とする、請求項２又は３に記載のゴルフクラ
   ブ。
5. 【請求項５】 前記クラウン側屈曲延出部およびソール
   側屈曲延出部は、それぞれ対称となる屈曲部を有するこ
   とを特徴とする、請求項２又は３に記載のゴルフクラ
   ブ。