JPH10263118A

JPH10263118A - ゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JPH10263118A
Application number: JP9090108A
Authority: JP
Inventors: Sadaki Mori; 貞樹森; Ryuichi Hashimoto; 隆一橋本; Yasuyuki Tokui; 康之徳井; Tadahiko Yoshioka; 忠彦吉岡
Original assignee: Asics Corp
Current assignee: Asics Corp
Priority date: 1997-03-24
Filing date: 1997-03-24
Publication date: 1998-10-06

Abstract

(57)【要約】【課題】反発生を高めることで、飛距離の得られるク
ラブヘッドを提供する。【解決手段】外殻構造のゴルフクラブヘッドに関す
る。打撃時のフェイス部１の撓みまたはフェイス部１の
ゴルフクラブヘッドに対する相対変位が大きくなるよう
に変形助長部を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は中空あるいは芯部に
発泡体等の軟質材を充填した外殻構造を有するゴルフク
ラブヘッド（以下、「クラブヘッド」という）に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、バーシモン等からなる木製のクラ
ブヘッドに加えて、メタル製やＦＲＰ製のクラブヘッド
が用いられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】かかるクラブヘッド
は、外殻構造を有するもので、反発性能が高いが、更な
る高反発化が望まれている。したがって、本発明の目的
は、反発生を高めることで、飛距離の増大を図り得るク
ラブヘッドを提供することである。

【０００４】前記目的を達成するために、本発明は、打
撃時のフェイス部の撓みまたはフェイス部のゴルフクラ
ブヘッドに対する相対変位が大きくなるように変形助長
部を設けたことを特徴とする。

【０００５】本発明によれば、フェイス部の撓みまたは
相対変位が大きくなるので、フェイス部の弾性変形が大
きくなるから、粘弾性体であるボールの変形が小さくな
る。したがって、エネルギーの損失が小さくなるから飛
距離が伸びる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
したがって説明する。図１（ａ）は第１実施形態を示
す。クラブヘッドは、フェイス部１、クラウン部２、ト
ウ部３、ホーゼル部４および図１（ｂ）のソール部５な
どが一体に形成されており、中空の外殻構造を備えてい
る。図１（ａ）のフェイス部１には、トップライン６ま
たはリーディングエッジ７に近接した位置に、前記トッ
プライン６またはリーディングエッジ７に略平行な薄肉
溝１０が設けられている。該薄肉溝１０は、打撃時のフ
ェイス部１の撓みまたはフェイス部１のクラブヘッドに
対する相対変位を大きくする変形助長部を構成してお
り、フェイス部１の他の部分よりも薄肉になっている。
なお、溝の深さは 0.5mm〜 1.5mm、溝の幅は 0.5mm〜３
mm、溝の長さは５mm〜40mm程度が好ましい。

【０００７】また、本実施形態では、図１（ｃ）のよう
に、薄肉溝１０に変えて貫通溝（スリット）１１として
もよい。また、図１（ｃ）のように、該貫通溝１１にク
ラブヘッドの他の部分（ヘッド本体）１３よりも、ヤン
グ率の小さい材料を充填して低弾性率部１４としてもよ
い。つまり、ヤング率の小さい材料で貫通溝１１を閉塞
して低弾性率部１４としてもよい。この場合、ヘッド本
体１３の材料としては、たとえばチタンの他、ステンレ
ス、マグネシウム合金、ＦＲＰなどの種々の材料を用い
ることができる。一方、低弾性率部１４を構成する充填
材としては、アルミ、銅などの金属の他に、ゴムまたは
樹脂などのエラストマーを用いることができる。

【０００８】なお、前記薄肉溝１０、貫通溝１１、低弾
性率部１４は、上下の一方のみとしてもよい。また、図
１（ｃ），（ｄ）の貫通溝１１、低弾性率部１４の好ま
しい幅および長さは、図１（ａ）の薄肉溝１０の場合と
同様である。

【０００９】図１（ｅ）は第２実施形態を示す。図１
（ｅ）において、薄肉溝１０は略上下方向に長くフェイ
ス部１の左右の端部に一対設けられている。本実施形態
においても、薄肉溝１０に代えて、貫通溝１１または低
弾性率部１４としてもよい。また、図１（ａ）と図１
（ｅ）の薄肉溝１０を連ねて四角い枠状の薄肉溝１０
（図１０のCASE31参照) としてもよい。

【００１０】図２は第３実施形態を示す。この第３実施
形態では、図２（ａ）のフェイス部１の肉厚が、中央部
１５から周縁に行くに従って、図１（ｂ）のように、滑
らかに、かつ、徐々に薄くなっている。なお、チタンの
場合、中央部１５を 3.0mm程度の厚さとし、破線で示す
周縁部１６を 2.5mm程度とするのが好ましく、したがっ
て、同一材質の場合、中央部１５の肉厚と周縁部１６の
肉厚の比（最も厚い部分と最も薄い部分の比）は、４：
３ないし８：７、より好ましくは５：４ないし７：６程
度に設定する。

【００１１】以上の第１ないし第３実施形態では、フェ
イス部１の周縁部の剛性が小さいので、打撃時のフェイ
ス部１の撓みや変位が大きくなるから、飛距離が増大す
る可能性がある。

【００１２】図３（ａ），（ｂ）は第４実施形態を示
す。第４実施形態では、クラウン部２に低弾性率部１４
Ａを設けている。該低弾性率部１４Ａは、クラウン部２
におけるトップライン６に平行に形成された溝に、第１
実施形態と同様にヤング率の小さい材料（銅、エラスト
マーなど）が充填されてなる。

【００１３】前記低弾性率部１４Ａは、図３（ｃ）のよ
うに、トップライン６ないしトップライン６の近傍に設
けてもよい。また、前記低弾性率部１４Ａは、図３
（ｄ），（ｅ）のようにＶ字状ないしＵ字状に形成して
もよい。すなわち、低弾性率部１４Ａは、該低弾性率部
１４Ａの両端部１４ａ，１４ｂがトップライン６の長手
方向に離間していればよい。

【００１４】なお、図３（ｄ）のように、低弾性率部１
４Ａの両端部１４ａ，１４ｂに行くに従い、低弾性率部
１４Ａがトップライン６から遠ざかる形状の場合には、
中央の剛性が低下するので、スイートスポットに当たっ
た際に飛距離の増大する効果が大きい。一方、図３
（ｅ）のように、低弾性率部１４Ａの両端部１４ａ，１
４ｂに行くに従い、低弾性率部１４Ａがトップライン６
に近づく形状の場合には、中央の剛性低下が小さく、一
方、両端の剛性低下が大きいので、スイートエリアが広
がる。

【００１５】また、本実施形態においても、低弾性率部
１４Ａに代えて、薄肉溝１０Ａまたは貫通溝１１Ａとし
てもよい。本実施形態において、低弾性率部１４Ａ、薄
肉溝１０Ａおよび貫通溝１１Ａのトップライン方向の長
さＬは、20mm以上とする必要があり、25mm以上とするの
が好ましく、30mm以上とするのが更に好ましい。長さＬ
が短すぎると、フェイス部１の剛性が差程低下しないか
らである。

【００１６】また、トップラインｂと低弾性率部１４Ａ
との間の距離Ｄは、40mm以内とするのが好ましく、30mm
以内とするのが更に好ましい。距離Ｄが40mmを超える
と、フェイス部１の剛性が差程低下しないからである。
また、以上の第１〜第４実施形態等において、薄肉溝１
０，１０Ａ、貫通溝１１，１１Ａおよび低弾性率部１
４，１４Ａの形状は、応力集中を緩和するために、図３
（ｆ）のように、溝等の両端部に溝等の幅Ｗよりも大き
い直径φの円部１００を連設して設けるのが好ましい。

【００１７】図４（ａ）は第５実施形態を示す。第５実
施形態では、クラウン部２に設けた低弾性率部１４Ａが
三角形状に形成されている。該低弾性率部１４Ａは、ト
ップライン６を底辺とする三角形状の貫通孔をクラウン
部２に形成し、該貫通孔にヤング率の小さい材料を充填
して構成されている。なお、底辺の長さＬは、前述の第
４実施形態と同様の長さに設定するのが好ましい。

【００１８】図４（ｂ）は第６実施形態を示す。この実
施形態では、クラウン部２全体が他の部分１，３，４よ
りもヤング率の小さい材料、つまり低弾性率部材で形成
されている。低弾性率部材としては、アルミ、アルミ合
金、銅合金、樹脂、ゴムなどを用いる。

【００１９】以上の第４実施形態ないし第６実施形態で
は、クラウン部２または図３（ｃ）のトップライン６に
低弾性率部１４Ａ等を設けたので、フェイス部１がリー
ディングエッジ７を中心に打撃時に後方に倒れるように
大きく弾性変形するから、飛距離が増大する。

【００２０】図５（ａ）は第７実施形態を示す。この実
施形態では、フェイス部１、クラウン部２およびトウ部
３が集まる頂点部２０を切欠してなる貫通孔１４Ｂを設
けている。また、前記貫通孔１４Ｂに、図５（ｂ）のよ
うに、銅やゴムなどのヤング率の小さい材料を充填して
低弾性率部１４Ｃを形成してもよい。

【００２１】なお、図５（ｃ）のように、前記頂点部２
０の近傍のクラウン部２およびトウ部３に貫通孔もしく
は低弾性率部１４Ｃを形成してもよい。

【００２２】図５（ｄ）は第８実施形態を示す。本実施
形態では、クラウン部２からフェイス部１に連なるアー
ルＲがトップライン６に沿って、ホーゼル部４から離れ
るに従い徐々に大きくなるように形成されている。な
お、トウ部３に近い部分のアールＲは、ホーゼル部４の
近傍のアールＲの 1.1倍〜 1.3倍に設定するのが好まし
い。

【００２３】前記第７実施形態および第８実施形態によ
れば、頂点部２０の剛性が小さいので、トウ部３および
クラウン部２によるフェイス部１の拘束力が小さいか
ら、フェイス部１の打撃時の倒れが大きくなる。したが
って、飛距離が増大する。

【００２４】なお、本発明では、前記図１〜図５の変形
助長部を２つ以上組合せたものとしてもよい。

【００２５】

【実施例】以下、本発明の効果を明瞭にするために、比
較例および実施例を示す。比較例：（株）アシックス製のチタン製のクラブヘッド
を用いた。実施例：同クラブヘッドに図６(1) 〜(9) のような加工
を施した。なお、図６において、貫通スリットとは貫通
溝であり、溝とは薄肉溝のことである。試験方法：２種類の市販のボール（（株）アシックス
製）Ａ，Ｂを用い、該ボールをクラブヘッドに30m/sec
および40m/sec で衝突させ、打ち出し速度を測定した。
測定の結果を図７（ａ），（ｂ）に示す。

【００２６】図７（ａ），（ｂ）の測定結果から分かる
ように、クラウン部またはソール部に貫通溝（貫通スリ
ット）を設けた実施例５，８，９は、大きく飛距離が伸
びることが分かる。

【００２７】つぎに、コンピュータのシュミレーション
による解析結果を示す。解析の対象として、（株）アシ
ックス製のクラブヘッドを採用した。クラブヘッドは等
方性のシェル要素でモデル化し、肉厚は、フェイス部を
3.0mm、その他の部分を 1.5mmとした。クラブヘッドの
物性値は、チタンのヤング率10,000kgf/mm²,密度 4.7g/
cm³を採用した。この原型のクラブヘッド（図８）に対
し、図９〜図１３の網かけ部のヤング率を８／２７に設
定して、変形助長部とした。これらのゴルフクラブをモ
デルとしたシュミレーション結果を図１４に示す。

【００２８】図１４の結果において、ヘッド速度が40m/
sec の場合の打ち出し速度が大きかったモデルCASE21,4
7,52についてヤング率を変化させた解析を行った。この
解析結果を図１５に示す。図１５の結果から、低弾性率
部のヤング率が小さくなるに従って飛距離が増大するこ
とが分かる。したがって、低弾性率部のヤング率は、ク
ラブヘッド本体のヤング率の50％以下とするのが好まし
く、30％以下とするのがより好ましい。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
フェイス部の弾性変形が大きくなるので、粘弾性体であ
るボールの変形が小さくなるから、エネルギーの損失が
小さくなって飛距離が増大する。

【００３０】また、変形助長部をフェイス部以外のクラ
ウン部やトウ部、トップラインに設けた場合は、フェイ
ス部自体の耐久性（強度）が低下するおそれがない。

【００３１】また、変形助長部を低弾性率部とすること
により、スウィング時の空気抵抗となる凹凸がクラブヘ
ッドに形成されないので、ヘッドのスピードが低下する
おそれもない。

【００３２】また、クラウン部やフェイス部を薄肉にし
ても、クラブヘッドには所定以上の強度が必要であるか
ら、差程薄肉にすることができないため、剛性を十分に
小さくすることができないのに対し、低弾性率部を設け
ることにより、クラブヘッドの剛性を著しく小さくする
ことができるので、飛距離を増大させることができる。

【００３３】また、トップラインのアールをホーゼルか
ら遠ざかるに従い大きく設定した場合は、１種類の金属
等でクラブヘッドを構成することができるから、製造性
が良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１および第２実施形態を示すクラブ
ヘッドの斜視図および断面図である。

【図２】第３実施形態を示すクラブヘッドの斜視図およ
び断面図である。

【図３】第４実施形態を示すクラブヘッドの斜視図およ
び断面図である。

【図４】第５および第６実施形態を示すクラブヘッドの
斜視図である。

【図５】第７および第８実施形態を示すクラブヘッドの
斜視図である。

【図６】比較例および実施例に用いたクラブヘッドの平
面図、正面図および底面図である。

【図７】試験結果を示すグラフである。

【図８】シュミレーションに用いた原型のクラブヘッド
を示す斜視図である。

【図９】シュミレーションに用いた低弾性率部の形状を
示すクラブヘッドの斜視図である。

【図１０】シュミレーションに用いた低弾性率部の形状
を示すクラブヘッドの斜視図である。

【図１１】シュミレーションに用いた低弾性率部の形状
を示すクラブヘッドの斜視図である。

【図１２】シュミレーションに用いた低弾性率部の形状
を示すクラブヘッドの斜視図である。

【図１３】シュミレーションに用いた低弾性率部の形状
を示すクラブヘッドの斜視図である。

【図１４】シュミレーションの結果を示す表である。

【図１５】シュミレーションの結果を示す表である。

【符号の説明】１：フェイス部２：クラウン部３：トウ部４：ホーゼル部６：トップライン１０：薄肉溝１１：貫通溝１４，１４Ａ，１４Ｂ，１４Ｃ：低弾性率部

フロントページの続き (72)発明者吉岡忠彦神戸市中央区港島中町７丁目１番１株式会社アシックス内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外殻構造のゴルフクラブヘッドにおい
て、打撃時のフェイス部の撓みまたはフェイス部のゴル
フクラブヘッドに対する相対変位が大きくなるように変
形助長部を設けたゴルフクラブヘッド。
【請求項２】請求項１において、前記変形助長部は、他の部分よりもヤング率の小さい材
料からなる低弾性率部で形成されているゴルフクラブヘ
ッド。
【請求項３】請求項１において、前記変形助長部が、フェイス部の上下の端部に設けた横
方向に長い薄肉溝または貫通溝であるゴルフクラブヘッ
ド。
【請求項４】請求項１において、前記変形助長部が、フェイス部の左右の端部に設けた略
上下方向に長い一対の薄肉溝または貫通溝であるゴルフ
クラブヘッド。
【請求項５】請求項１において、前記変形助長部がクラウン部に設けた薄肉部または貫通
孔であって、該薄肉部または貫通孔はトップラインの長
手方向に２０mm以上の長さを有しているゴルフクラブヘ
ッド。
【請求項６】請求項５において、前記薄肉部または貫通孔が、トップラインに沿って設け
られているゴルフクラブヘッド。
【請求項７】請求項５において、前記薄肉部または貫通孔が、Ｕ字状，Ｖ字状ないしは三
角形状であるゴルフクラブヘッド。
【請求項８】請求項１において、前記変形助長部が、トップラインまたはトップラインの
近傍に、トップラインに沿って設けた薄肉溝または貫通
溝であるゴルフクラブヘッド。
【請求項９】請求項３ないし８のいずれか１項におい
て、前記変形助長部は、前記貫通溝または貫通孔に、他の部
分よりもヤング率の小さい材料が充填されてなる低弾性
率部で形成されているゴルフクラブヘッド。
【請求項１０】請求項１において、前記変形助長部は、フェイス部、クラウン部およびトウ
部が集まる頂点部または該頂点部近傍を切欠した貫通孔
によって形成されているゴルフクラブヘッド。
【請求項１１】請求項１０において、前記変形助長部は、前記貫通孔に、他の部分よりもヤン
グ率の小さい材料を充填してなる低弾性率部で形成され
ているゴルフクラブヘッド。
【請求項１２】請求項１において、前記変形助長部は、クラウン部からフェイス面に連なる
アールが、トップラインに沿ってホーゼルから離れるに
従い徐々に大きくなるように形成されていることで構成
されているゴルフクラブヘッド。
【請求項１３】請求項１において、前記変形助長部は、クラウン部が他の部分よりもヤング
率の小さい材料で形成されてなるゴルフクラブヘッド。
【請求項１４】請求項１において、前記変形助長部は、フェイス部の肉厚が、中央部から周
囲に行くに従い滑らかに薄くなっていることで形成され
ているゴルフクラブヘッド。