JPH11111285A - 2次電池用電極の製造方法及び2次電池用電極並びに2次電池 - Google Patents

2次電池用電極の製造方法及び2次電池用電極並びに2次電池

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JPH11111285A
JPH11111285A JP9265758A JP26575897A JPH11111285A JP H11111285 A JPH11111285 A JP H11111285A JP 9265758 A JP9265758 A JP 9265758A JP 26575897 A JP26575897 A JP 26575897A JP H11111285 A JPH11111285 A JP H11111285A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電位変動が小さく高容量の2次電池を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 本発明は、易黒鉛系炭素材料と難黒鉛系
炭素材料とを混合する混合行程と、このように混合され
た易黒鉛系炭素材料と難黒鉛系炭素材料とを相溶化する
相溶化行程と、このように相溶化された炭素材料を焼成
する焼成行程と、このように焼成行程で得た非晶質炭素
材料を用いて2次電池用電極を形成する形成行程とを有
する2次電池用電極の製造方法、この製造方法による2
次電池用電極、及びこの2次電池用電極を用いた2次電
池である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次電池用電極の
製造方法及び2次電池用電極並びに2次電池に関し、特
にリチウムイオン等のイオンの出入りが可能な2次電池
用電極を提供する2次電池用電極の製造方法及びそれに
よる2次電池用電極、並びに2次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小型、軽量及び高エネルギ−密度
を特徴とする2次電池の開発がさかんになってきてい
る。
【0003】そして、この小型2次電池として、Ni−
Cd、Ni−H、リチウムイオンの3タイプが実用化さ
れてきている。
【0004】さらに、とりわけ負極活物質としてアルカ
リ金属、中でもリチウムを使用したリチウムイオン電池
が、そのエネルギー密度が高く、小型化、軽量化が可能
となる点で、特に注目されている。
【0005】ここで、負極活物質としてリチウムを用
い、負極にリチウム金属を組み合わせる構成をとると、
充電時にリチウムがデンドライト状に析出することに起
因する内部短絡や充放電の効率の著しい低下の現象が生
じる場合がある。
【0006】一方で、電極としては、炭素材料が用いる
ことが有用であることが公知であり、実際に負極として
提案されているものもある。
【0007】そして、この場合には、リチウムイオンを
電気化学的にインターカレーション、デインターカレ−
ションを出来る機能を有する炭素材料を用いることによ
り、このような析出現象からの回避は可能である。
【0008】とはいえ、炭素材料を用いることで解決し
なければならない課題もいくつか存在し、例えば、充放
電容量の大きさ、充電と放電の容量ロスや電解液の劣化
による電池特性の低下等が挙げられる。
【0009】この充放電容量の大きさは、黒鉛構造では
理論的には372mAh/g程度といわれているが、黒
鉛構造自体にも種々の形状があり、球状、ファイバー
状、鱗片状などが知られており、実用容量としては、2
80から330mAh/gといわれている。
【0010】この容量としては、大きければ大きい方が
電池としては、よいわけであるから、さらなる高容量化
が要望される。
【0011】また、2次電池であるから、高繰り返し安
定性、さらに機器の用いられる環境に耐えられる耐環境
性などの高信頼性化も要望されることななる。
【0012】そこで、充放電容量の大きい負極材料とし
て、非晶質炭素材料が提案されてきている。
【0013】しかし、非晶質炭素材料の場合には、黒鉛
系炭素材料と比較して、初期充電量は高いものが得られ
るが、放電ロスが大きく、放電量に対す電位変動も大き
いことなどが知られている。
【0014】このため、このような諸課題の解決を目的
とした多くの炭素材料が提案されてきている。
【0015】具体的には、構造的な面に起因して特性に
違いがでるものとして、出発原料、焼成条件、結晶性、
さらに結晶性においては、結晶の面間隔の違い、分子構
造の違い、結晶子の大きさなどが挙げられ、これらを規
定した炭素材料が提案されてきている。
【0016】又、炭素材料は、粉末をシート状にして用
いられるので、粒径の大きさと分布、密度、H原子とC
原子の比率、細孔の大きさと比表面積の最適範囲などに
ついても提案がなされてきている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれにせ
よ、このような炭素材料のうち、単位重量あるいは単位
体積当りの放電容量が大きい電極材料、特にリチウムイ
オン2次電池に用いられる負極材料は実現されていない
のが現状であり、2次電池に用いた場合に、その電位変
動を抑えつつ高容量化が達成され得るものは提供され得
てはいない。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明は、易黒鉛系炭素材料と難黒鉛系炭素材料とを混
合する混合行程と、前記混合された易黒鉛系炭素材料と
難黒鉛系炭素材料とを相溶化する相溶化行程と、前記相
溶化された炭素材料を焼成する焼成行程と、前記焼成行
程で得た非晶質炭素材料を用いて2次電池用電極を形成
する形成行程とを有する2次電池用電極の製造方法、こ
の製造方法による2次電池用電極、及びこの2次電池用
電極を用いた2次電池である。
【0019】かかる構成により、単位重量あるいは単位
体積当りの放電容量が大きい電極材料を実現し、2次電
池に用いた場合に、その電位変動を抑えつつ高容量化が
達成されるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の本発明は、易黒
鉛系炭素材料と難黒鉛系炭素材料とを混合する混合行程
と、前記混合された易黒鉛系炭素材料と難黒鉛系炭素材
料とを相溶化する相溶化行程と、前記相溶化された炭素
材料を焼成する焼成行程と、前記焼成行程で得た非晶質
炭素材料を用いて2次電池用電極を形成する形成行程と
を有する2次電池用電極の製造方法である。
【0021】かかる構成により作製された2次電池用電
極は、易黒鉛系材料と難黒鉛系材料とが複合化され、そ
の層構造、細孔、表面構造などの状態が制御し得て、2
次電池に用いた場合、その電位変動を抑えつつ高容量化
が達成される。
【0022】ここで、請求項2記載のように、混合行程
では、易黒鉛系炭素材料と難黒鉛系炭素材料とを前記易
黒鉛系炭素材料が50重量%以下の比率となるように混
合することが、2次電池に用いた場合、その電位変動を
抑えつつ高容量化を達成する上で好適である。
【0023】そして、請求項3記載のように、相溶化行
程は、易黒鉛系炭素材料と難黒鉛系炭素材料とを熱溶融
状態で混合する行程であることが、相溶状態を確実に実
現する上で好ましい。
【0024】また、請求項4記載のように、焼成行程
は、相溶化された炭素材料を800℃以上1500℃以
下の温度範囲で焼成することが好ましい。
【0025】800℃以上1500℃以下の温度範囲で
焼成すれば、炭素化が確実に発生し、かつその層構造、
細孔、表面構造などの状態が確実に発生するためであ
る。
【0026】そして、請求項5記載のように、さらに、
相溶化行程後で焼成行程前に、400℃以上800℃の
範囲で焼成する仮焼成行程を有することも、その熱分解
反応により、層構造、細孔、表面構造などの状態を確実
に呈する上で好適である。
【0027】そして、請求項6記載のように、さらに、
仮焼成行程後、炭素材料を粉砕処理により粉末化する行
程を有することも、実際に電極として用いるときには粉
体状で用いられることを考慮すると、望ましい細孔や構
造欠陥などをもたらすためには、好ましい。
【0028】また、請求項7記載のように、易黒鉛系炭
素材料は、ピッチ系材料であることが、細孔などの制御
に適して好ましく、請求項8記載のように、難黒鉛系炭
素材料は、フェノール樹脂であることが同様に好まし
く、請求項9記載のように、フェノール樹脂としてオル
ト結合の比率の高い樹脂を用いることが、相溶化する上
でより好ましい。
【0029】また、請求項10記載のように、混合行程
では、金属及び/または金属を含む化合物が添加される
構成も採り得て、炭素材料を焼成する過程で炭素構造に
影響を及ぼすことができる。
【0030】より具体的には、請求項11記載のよう
に、金属及び/または金属を含む化合物の添加量は、添
加される炭素材料に対して0.5重量%以上5重量%以
下の範囲であることが炭素構造に影響を与える効果上好
ましい。
【0031】一方、請求項12記載の本発明は、請求項
1から11のいずれかに記載の2次電池用電極の製造方
法により得られ、非晶質炭素材料が0.5nmから10
nmの範囲内の細孔を有する2次電池用電極である。
【0032】かかる構成により、その層構造、細孔、表
面構造などの状態が制御されており、2次電池に用いた
場合に、その電位変動を抑えつつ高容量化が達成され
る。
【0033】また、請求項13記載のように、請求項1
から11のいずれかに記載の2次電池用電極の製造方法
により得られ、非晶質炭素材料のBET法での比表面積
が1m/g2から20m/g2である2次電池用電極であ
る。
【0034】かかる構成によっても、その層構造、細
孔、表面構造などの状態が制御されており、2次電池に
用いた場合に、その電位変動を抑えつつ高容量化が達成
される。
【0035】また、請求項14記載のように、請求項1
から11のいずれかに記載の2次電池用電極の製造方法
により得られ、非晶質炭素材料のCO2ガスで測定した
比表面積が100m/g2以上である2次電池用電極で
ある。
【0036】かかる構成によっても、その層構造、細
孔、表面構造などの状態が制御されており、2次電池に
用いた場合に、その電位変動を抑えつつ高容量化が達成
される。
【0037】ここで、かかる2次電池用電極は、好適に
は、請求項15記載のように、アルカリ金属イオンを出
入り可能なものであって、より具体的には、請求項16
記載のように、アルカリ金属はリチウムであることが好
適である。
【0038】さらに、請求項17記載の本発明は、請求
項12から16のいずれかに記載の2次電池用電極であ
る一方の電極と、他方の電極と、前記一方の電極と他方
の電極の間に配された電解質とを有する2次電池であ
り、電位変動を抑えつつ高容量化が達成される。
【0039】また、請求項18記載の本発明は、請求項
16記載の2次電池用電極である負極と、正極と、前記
負極と正極の間に配されたリチウム化合物を含む電解質
とを有する2次電池であり、電位変動を抑えつつ高容量
化が達成される。
【0040】さて、より詳細に以上の構成について説明
を加えていくと、本発明者の検討によれば、負極に用い
られる炭素材料は、構造、出発原料や製造工程により電
池特性が大きく異なる。
【0041】例えば、これまでに炭素材料の規定とし
て、構造面からはX線回折法による平均格子定数、ラマ
ンスペクトル測定の1580cm-1と1360cm-1
強度比など、物性面からは、密度、粉末粒径、比表面積
など、化学的構造面からは、炭素/水素の原子比など、
で規定された炭素材料が提案されている。
【0042】より具体的には、炭素材料の電池容量に影
響する因子としては、結晶構造に起因するものが主要な
ものと考えられ、結晶性については、結晶性の高い黒鉛
構造を有する炭素材料よりも、非晶質系炭素材料の方
が、充放電容量の高いものが得られる結果が得られる傾
向にある。
【0043】また、電池の充電機構としてはまだ明確に
なっていない点も多いが、NMR解析等によるリチウム
イオン等のイオンの存在状態についての検討が多くなさ
れてきている。
【0044】例えば、2000℃以上の焼成で作製され
る黒鉛系炭素材料についての充放電機構は、比較的明ら
かであり、黒鉛の層間へのリチウムイオン等のイオンの
出入り(吸蔵・放出)によるものと考えられている。
【0045】一方で、2000℃以下での焼成で作製さ
れる非晶性の構造を有する炭素については、充電時にお
けるリチウムイオンの存在状態ははっきりしていない
が、一般には、いくつかのモデルが提案されている。
【0046】例えば、黒鉛系と同様に、不規則にだが存
在する層構造の層内、細孔や層の構造欠陥内にクラスタ
ー状態で閉じ込められているとか、層の表面に吸着状態
で存在するなど、出入りについては種々考えられている
現状である。
【0047】ここで、非晶質系炭素材料を用いた場合に
ついて、放電特性について検討すると、放電曲線のパタ
ーンとしては2タイプが挙げられる。
【0048】その一つは、単位重量当たりなどの放電容
量は大きいが、容量に対する電位変動が大きいもの、ま
たその一方は、容量に対して比較的小さな電位変動の領
域を有するが、容量自体はいまだ小さいというものであ
る。
【0049】一般に、非晶質系炭素材料は、真密度が黒
鉛系と比較して小さくなるので、単位体積当たり容量の
比較になると不利であり、黒鉛系と非晶質系とでは、粉
末にして印刷後の状態で比較すると、20%から50%
ほど黒鉛系がかさ密度が大きいため、非晶質系で容量の
優位性を出すためには、50%以上単位重量当たりの容
量を大きくしなければならないことになる。
【0050】しかし、このような非晶質系のタイプにつ
いても、非晶質系である故に、リチウムイオンの貯蔵サ
イトが明確ではないが、層構造、細孔、表面構造などが
影響すると考えられるから、これらの状態を制御して例
えば単位重量に対して高容量化を図ることは可能と考え
られ、このように高容量化が実現できれば、電位変動の
小さい特性を生かし2次電池を実現でき得ることとな
る。
【0051】ここで一般に、非晶質系の炭素材料の出発
原料としては、易黒鉛系材料と難黒鉛系材料とがあり、
易黒鉛系材料としては、ピッチ系材料が用いられるが、
この材料単独では、電位変動を抑えつつ高容量化を図る
ことは困難である。
【0052】そのため、ピッチ系材料を不融化処理した
ものがあるが、不融化処理は化学的処理などで行うため
に再現性などには課題がある。
【0053】一方で、難黒鉛系材料の典型的な原料樹脂
としては、フェノール樹脂が知られており、適当な熱処
理を行うと電位変動は抑えられるが、高容量化は困難で
ある。
【0054】そこで、本発明は、層構造、細孔、表面構
造などの状態が、易黒鉛系材料と難黒鉛系材料を複合化
した構成で制御し得て、電位変動を抑えつつ高容量化が
実現し得るという新規な知見に基づいて、なされたもの
である。
【0055】より具体的には、易黒鉛系材料と難黒鉛系
材料の複合化した状態としては、部分的にでも分子オー
ダーでお互いに相溶している領域が形成されることが必
要である。
【0056】よって、かかる出発原料は、一般に溶剤に
対して溶解性の悪いものが多いため、2種の原料のうち
の少なくとも一つは、熱的に溶融するものであることが
望ましく、この熱溶融状態において混合すれば、確実に
相溶した状態を生成し複合化をすることができる。
【0057】さらに、かかる複合化した状態の炭素材料
の粉末の構造や性質を分析したところ、特に炭素粉末の
表面構造、内部の細孔、あるいは構造欠陥に違いがある
ことも確認された。
【0058】具体的には、フェノール樹脂系とピッチ系
原料とが複合化されることにより、層構造が、それぞれ
単独に成長し、特に表面においては、その面に平行な形
で形成されていき、内部には、層構造の乱れがあり、細
孔や構造欠陥が存在している。この表面の層構造や内部
の細孔などには、適当な大きさの範囲があって、0.5
nmから10nmの大きさが有効である。
【0059】かかる範囲の炭素材料の粉末の表面構造、
細孔、構造欠陥の形成状態に影響を与える因子として
は、出発原料の構造に加え、焼成条件もきわめて大き
い。
【0060】具体的には、焼成条件として、800℃以
上1500℃以下の範囲で焼成することが好ましい。と
いうのは、それ以下の温度であると炭素化がなされない
し、それ以上であると、細孔や構造欠陥部がかえって減
少してしまうためである。
【0061】さらに、原料を熱処理をして炭素化をして
いく過程で分解ガスが発生し、その発生の仕方によって
様々なの大きさの細孔や構造欠陥が形成されることをも
併せて考慮すると、熱分解反応が起こり始めて、分解ガ
スが多く発生する400℃以上800℃以下の温度範囲
の熱処理条件の最適化が重要となり、主として昇温速度
の最適化が重要となる。
【0062】具体的には、昇温速度が10℃/min以
上であると、発泡性の炭素材料が得らるが、細孔分布と
しては、2nm以上のものに偏ってしまうため、昇温速
度としては、10℃/min以下にすることが好まし
い。
【0063】また、実際に電極として用いるときには粉
体状で用いられ、粉体の粒子の大きさや分布が電池特性
に影響を与えるため、望ましい細孔や構造欠陥をもたら
すためには、このような400℃から800℃で熱処理
後、粉砕処理を行って800℃以上1500℃以下の範
囲で焼成することが好ましい。
【0064】なお、0.5nmから10nmの範囲の大
きさである細孔分布の測定には、CO2ガスの吸着法が
有効であり、この細孔の量を推定するのには比表面積の
測定によるのが実用的である。比表面積の測定には、N
2ガスを用いたBET方式も用いたが、CO2ガスでの測
定が、電池の容量と比表面積の関係に相関関係があるこ
とが判明したため、双方の測定によった。
【0065】具体的には、比表面積の大きさとしては、
2ガスによる測定で1m2/gから20m2/gの範囲
が好ましく、CO2ガスによる測定ではその比表面積は
できる限り大きい方がよく、例えば100m2/g以上
が好ましい。
【0066】しかし、もちろん表面構造によっては、粉
末の内部の方の細孔は正確に評価できない場合もあり、
つまり、電子顕微鏡などにより直接観察して細孔状態を
確認せねばならない場合もあり、直接観察も併用した。
【0067】以下、本発明の各実施の形態につき、より
詳細に説明をする。 (実施の形態1)本実施の形態では、電極材料として等
方性ピッチとハイオルト型フェノール樹脂とを用いて複
合化した。
【0068】この複合化は、等方性ピッチとハイオルト
型フェノール樹脂とを200℃雰囲気下で混合処理する
ことで行った。
【0069】次に、混合処理した炭素材料を、N2ガス
雰囲気中で500℃まで、5℃/minの昇温速度で焼
成を行った。
【0070】引き続き、室温にもどして、粉砕処理を行
った。その後、N2ガス雰囲気中で1100℃まで、2
℃/minの昇温速度で焼成し、引き続きその温度で維
持して1時間の焼成をおこなった。
【0071】そして、このようにして得た電極材料を粉
砕し、ポリフッ化ビニリデンを結着材として用いて、銅
箔上にシート状に成型し電極を形成した。
【0072】ここで、粒度分布測定をレーザ回折法によ
り行いながら、粉砕後の粒径を、その平均粒径が10μ
mになるように調整した。
【0073】本実施の形態では、このようにして得た電
極を負極として適用したコイン型の電池を作製した。
【0074】具体的には、対極としてはLi箔を用い、
電解液には、基本組成とし、溶媒をエチレンカーボネー
トとジエチレンカーボネートの混合溶媒、電解質はLi
PF 6を用いた。
【0075】そして、このような構成の電池の充放電容
量について、2サイクル目のもので評価を行った。
【0076】この場合、充電量の測定は、所定の定電流
と定電圧10mV印加を行って十分に充電反応が行える
条件とし、放電量の測定は、定電流0.2mA/cm2
で行った。
【0077】以下の(表1)に、複合比につき、フェノ
ール樹脂に対して等方性ピッチの原料比を0、5、1
0、25、50、75及び100wt%であるような7
種類の炭素材料を用意し、各々10個の電池を作製した
場合の充放電容量の平均値を、試料1〜7として示す。
【0078】
【表1】
【0079】(実施の形態2)本実施の形態では、電極
材料として、硬化材を加えたノボラック型フェノール樹
脂100に対して、等方性ピッチを0、10、20、4
0、50、75、及び100wt%の原料比で混合され
たものを用いたこと以外、実施の形態1と同様に各々1
0個の電池を作製し、それらの充放電容量の平均値を、
以下の(表2)に試料8〜14として示す。
【0080】
【表2】
【0081】以上の実施の形態1及び2の結果から理解
できるように、易黒鉛化材料である等方性ピッチと難黒
鉛化材料であるフェノール樹脂とを相溶化した非晶質炭
素材料を用いた電池の充電容量は、黒鉛化した炭素材料
を用いた理論値である372mAh/gに比較して高容
量であり、その放電容量も充電容量に対して減少量が低
いことも分かる。
【0082】さらに、等方性ピッチの混合比を50%以
下にすると約550mAh/g以上もの充電容量が得ら
れ、より好ましいことも分かる。
【0083】また、電位変動についても、0.5Vの電
位変動時に実用上十分な容量が得られ、電位変動が小さ
いことも確認された。
【0084】以上の傾向は、入手可能な易黒鉛化材料と
難黒鉛化材料とを用いて確認したところ同様であった。
【0085】また、熱分解の領域である400℃以上8
00℃以下の温度範囲、炭素化の領域である800℃以
上1500℃以下の温度範囲で昇温速度や維持時間など
を種々組合わせて確認したところ、このような傾向は同
様であった。
【0086】(実施の形態3)本実施の形態では、電極
材料として、アルカリ金属を含んだ例として、NaOH
がフェノール樹脂に対して0、0.5、1、2、3、5
及び7wt%添加され、等方性ピッチが、このフェノー
ル樹脂に対して20wt%混合されたものを用いたこと
以外、実施の形態1と同様に各々10個の電池を作製
し、それらの充放電容量の平均値を、以下の(表3)に
試料15〜21として示す。
【0087】
【表3】
【0088】(実施の形態4)本実施の形態では、電極
材料として、アルカリ金属を含んだ例として、Ni金属
粉末が等方性ピッチに対して0、0.5、1、3、5及
び7wt%混合され、この等方性ピッチが、フェノール
樹脂に対して10wt%混合されたものを用いたこと以
外、実施の形態1と同様に各々10個の電池を作製し、
それらの充放電容量の平均値を、以下の(表4)に試料
22〜27として示す。
【0089】
【表4】
【0090】以上の実施の形態3及び4の結果から理解
できるように、易黒鉛化材料である等方性ピッチと難黒
鉛化材料であるフェノール樹脂とを相溶化した非晶質炭
素材料の、等方性ピッチまたはフェノール樹脂にアルカ
リ金属やその化合物を添加した電池の充電容量は、黒鉛
化した炭素材料を用いた理論値である372mAh/g
に比較して高容量であり、その放電容量も充電容量に対
して減少量が低いことも分かる。
【0091】さらに、充放電容量のかねあいからいう
と、アルカリ金属やその化合物の添加量は、添加される
等方性ピッチまたはフェノール樹脂に対して0.5wt
%以上5wt%以下にすると、より好ましいことも分か
る。
【0092】また、電位変動についても、0.5Vの電
位変動時に実用上十分な容量が得られ、電位変動が小さ
いことも確認された。
【0093】以上の傾向は、入手可能な易黒鉛化材料と
難黒鉛化材料とを用いてその混合比を実施の形態1や2
と同様にして確認したところ同様であった。
【0094】また、熱分解の領域である400℃以上8
00℃以下の温度範囲、炭素化の領域である800℃以
上1500℃以下の温度範囲で昇温速度や維持時間など
を種々組合わせて確認したところ、このような傾向は同
様であった。
【0095】なお、以上の各実施の形態では、コイン型
のリチウム2次電池に代表して説明したが、提供される
炭素電極は、アルカリ金属イオンを出入りできるもので
あるから、もちろんこれらの態様に限定されるものでは
ない。
【0096】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、易黒鉛
系炭素材料と難黒鉛系炭素材料とを混合し相溶化して焼
成して得た非晶質炭素材料を用いて2次電池用電極を形
成し、かかる構成により、単位重量あるいは単位体積当
りの放電容量が大きい電極を提供し、電位変動が小さく
高容量である2次電池を実現することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二梃木 克洋 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番1 号 松下技研株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 易黒鉛系炭素材料と難黒鉛系炭素材料と
    を混合する混合行程と、前記混合された易黒鉛系炭素材
    料と難黒鉛系炭素材料とを相溶化する相溶化行程と、前
    記相溶化された炭素材料を焼成する焼成行程と、前記焼
    成行程で得た非晶質炭素材料を用いて2次電池用電極を
    形成する形成行程とを有する2次電池用電極の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 混合行程では、易黒鉛系炭素材料と難黒
    鉛系炭素材料とを前記易黒鉛系炭素材料が50重量%以
    下の比率となるように混合する請求項1記載の2次電池
    用電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 相溶化行程は、易黒鉛系炭素材料と難黒
    鉛系炭素材料とを熱溶融状態で混合する行程である請求
    項1または2記載の2次電池用電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼成行程は、相溶化された炭素材料を8
    00℃以上1500℃以下の温度範囲で焼成する請求項
    1から3のいずれかに記載の2次電池用電極の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 さらに、相溶化行程後で焼成行程前に、
    400℃以上800℃の範囲で焼成する仮焼成行程を有
    する請求項1から4のいずれかに記載の2次電池用電極
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 さらに、仮焼成行程後、炭素材料を粉砕
    処理により粉末化する行程を有する請求項5記載の2次
    電池用電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 易黒鉛系炭素材料は、ピッチ系材料であ
    る請求項1から6のいずれかに記載の2次電池用電極の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 難黒鉛系炭素材料は、フェノール樹脂で
    ある請求項1から7のいずれかに記載の2次電池用電極
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 フェノール樹脂としてオルト結合の比率
    の高い樹脂を用いる請求項8記載の2次電池用電極の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 混合行程では、金属及び/または金属
    を含む化合物が添加される請求項1から9のいずれかに
    記載の2次電池用電極の製造方法。
  11. 【請求項11】 金属及び/または金属を含む化合物の
    添加量は、添加される炭素材料に対して0.5重量%以
    上5重量%以下の範囲である請求項10記載の2次電池
    用電極の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1から11のいずれかに記載の
    2次電池用電極の製造方法により得られ、非晶質炭素材
    料が0.5nmから10nmの範囲内の細孔を有する2
    次電池用電極。
  13. 【請求項13】 請求項1から11のいずれかに記載の
    2次電池用電極の製造方法により得られ、非晶質炭素材
    料のBET法での比表面積が1m/g2以上20m/g2
    以下である2次電池用電極。
  14. 【請求項14】 請求項1から11のいずれかに記載の
    2次電池用電極の製造方法により得られ、非晶質炭素材
    料のCO2ガスで測定した比表面積が100m/g2以上
    である2次電池用電極。
  15. 【請求項15】 アルカリ金属イオンを出入り可能な請
    求項12から14のいずれかに記載の2次電池用電極。
  16. 【請求項16】 アルカリ金属はリチウムである請求項
    15記載の2次電池用電極。
  17. 【請求項17】 請求項12から16のいずれかに記載
    の2次電池用電極である一方の電極と、他方の電極と、
    前記一方の電極と他方の電極の間に配された電解質とを
    有する2次電池。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の2次電池用電極であ
    る負極と、正極と、前記負極と正極の間に配されたリチ
    ウム化合物を含む電解質とを有する2次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008097894A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Gs Yuasa Corporation:Kk 非水電解質二次電池
KR101223710B1 (ko) 2010-06-21 2013-01-18 지에스칼텍스 주식회사 전해액 함침성이 우수한 이차전지용 음극 및 이를 포함하는 이차전지
JP2013534024A (ja) * 2010-06-18 2013-08-29 深▲せん▼市貝特瑞新能源材料股▲ふん▼有限公司 リチウムイオン電池の複合硬質炭素負極材料及びその製造方法
JP2013218856A (ja) * 2012-04-06 2013-10-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd 負極用材料、負極およびリチウムイオン二次電池

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