JPH1110783A - 防曇性フィルム - Google Patents

防曇性フィルム

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JPH1110783A
JPH1110783A JP9170325A JP17032597A JPH1110783A JP H1110783 A JPH1110783 A JP H1110783A JP 9170325 A JP9170325 A JP 9170325A JP 17032597 A JP17032597 A JP 17032597A JP H1110783 A JPH1110783 A JP H1110783A
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Japan
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layer
weight
film
thermoplastic resin
film according
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JP9170325A
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English (en)
Inventor
Mitsuko Nakanishi
美都子 中西
Toshiya Kuroda
俊也 黒田
Taiichi Sakatani
泰一 阪谷
Tsutomu Fujita
藤田  勉
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Sumika Plastech Co Ltd
Original Assignee
Sumika Plastech Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間、特に夏期を超えても防曇効果を持続
し、かつ耐傷付性にも優れた、農業用フィルムに好適な
防曇性フィルムを提供すること。 【解決手段】熱可塑性樹脂基材フィルムの少なくとも片
面側に多糖類層(A層)および無機コロイド粒子層(B
層)を有し、かつ少なくとも該面側の最表層がA層から
なることを特徴とする防曇性フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農業用フィルムとし
て用いられる防曇性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、農業用のハウスやトンネルなどに
用いられる農業用フィルムには熱可塑性樹脂フィルムが
用いられている。しかしながら使用環境によっては、ハ
ウス等に展張した農業用フィルムの表面温度が水蒸気の
露点以下になると、結露を生じてフィルムの表面が曇
り、このため太陽光の透過率が低下して作物の生育が遅
れたり、付着した水滴が作物上に落下して病気が発生す
るなどの問題があった。また、ハウス等内で作業する人
に対しても衣服が濡れてしまうといった不快感を与えて
いた。この対策として、あらかじめ農業用フィルム中に
界面活性剤を添加しておき、そのブリードによってフィ
ルムに防曇性を付与する方法、または防曇性被膜をフィ
ルム上にコーティング等により設けて防曇性を付与する
方法等が一般に講じられている。
【0003】しかしながら、界面活性剤を添加する方法
では、フィルム使用開始時のいわゆる初期防曇効果には
優れるものの、フィルムの表面へブリードした界面活性
剤が付着水によって洗い流されるため、防曇効果の持続
性に問題があった。特に、夏期などにフィルムが高温多
湿下に暴露されると、フィルム中の界面活性剤のブリー
ドが促進されて必要以上の界面活性剤がブリードし、そ
れが付着水によって洗い流されるため、夏場を超えて使
用すると、フィルムの防曇効果の持続期間が本来期待さ
れる期間よりも短くなるという問題があった。防曇効果
の持続性を改良する目的で、例えば、特開昭51−61
93、51−81877、53−39347、57−1
19974、59−15473、60−96682、6
2−27146、62−283135、63−1329
89、63−150369号公報などには、防曇性被膜
をフィルムにコーティング等により設けることが記載さ
れている。しかしながら、これらの方法では、被膜と基
材フィルムの接着力が未だ十分でないため、コーティン
グ後のフィルムをハウス等に展張する際や使用中に、被
膜が剥がれ落ちてしまうという問題があった。また、該
被膜は傷つきやすいため、展張する際に被膜が剥がれ落
ちないまでも傷つきにより白化し、そのためフィルムの
透明性が低下し、太陽光の透過率が減少するという問題
もあった。さらに従来の防曇性被膜は夏期等の高温多湿
条件下で使用すると、変質して防曇効果が低下するとい
う問題もあった。したがって、防曇性被膜をフィルムに
コーティングする方法でも、長期にわたる防曇性効果の
持続という点では未だ十分でなく、さらに被膜の耐傷付
性の改良も望まれていた。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長期間、特
に夏期を超えても防曇効果を持続し、かつ耐傷付性にも
優れた、農業用フィルムに好適な防曇性フィルムを提供
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至っ
た。すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂基材フィルムの
少なくとも片面側に多糖類層(以下、A層と称する場合
もある)および無機コロイド粒子層(以下、B層と称す
る場合もある)を有し、かつ少なくとも該面側の最表層
はA層からなることを特徴とする防曇性フィルムを提供
するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、B層とは無機コロイド粒子を主成分と
する層である。ここで無機コロイド粒子とは、分散媒中
でコロイド状に分散しうる粒子状の無機化合物のことで
ある。かかる無機コロイド粒子としては、金属コロイド
粒子、酸化物コロイド粒子、水酸化物コロイド粒子、炭
酸塩コロイド粒子、硫酸塩コロイド粒子などが挙げられ
る。金属コロイド粒子としては、金、パラジウム、白
金、銀、イオウなどのコロイド粒子が例示され、酸化物
コロイド粒子、水酸化物コロイド粒子、炭酸塩コロイド
粒子、硫酸塩コロイド粒子としては、それぞれ珪素、ア
ルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウ
ム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、セリウム、
ニッケル、スズなどの金属の酸化物コロイド粒子、水酸
化物コロイド粒子、炭酸塩コロイド粒子、硫酸塩コロイ
ド粒子が例示される。これら酸化物コロイド粒子、水酸
化物コロイド粒子、炭酸塩コロイド粒子、硫酸塩コロイ
ド粒子のうち、酸化物コロイド粒子または水酸化物コロ
イド粒子が好ましく、特に、アルミニウムまたは珪素の
酸化物コロイド粒子または水酸化物コロイド粒子がより
好ましい。これら無機コロイド粒子は2種以上の混合物
でもよい。
【0006】無機コロイド粒子の大きさとしては通常、
3〜200nmのものが用いられ、得られる防曇性フィ
ルムの透明性の観点から、可視光線の波長より微細な粒
子径分布をもつものが好ましく、5〜200nmの範囲
の粒子径をもつコロイド粒子がより好ましい。このよう
な無機コロイド粒子は、例えば、Gypsum & Lime(No.2
11,P46(1987))に記載の方法により製造することができ
る。
【0007】本発明において、B層の厚みは、防曇性、
透明性などの観点から重量厚みが0.01〜10g/m
2であることが好ましい。B層の厚みが薄すぎると、A
層等との接着強度が不十分であり、厚すぎると得られる
防曇性フィルムの透明性が悪化する。重量厚みは、0.
02〜2g/m2がより好ましく、0.05〜0.5g
/m2がさらに好ましい。
【0008】またB層には、無機コロイド粒子以外に、
B層中の無機コロイド粒子同士の相互作用をより強める
目的で、例えば各種界面活性剤、有機系電解質、各種バ
インダー等を含有させることができ、また後述する無機
コロイド粒子の分散液にチキソトロピー性を付与する目
的で、該分散液に添加した各種粘土系鉱物などが含有し
ていてもよい。界面活性剤としては、従来より公知の各
種界面活性剤が使用でき、例えば、アニオン性界面活性
剤としては、カプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウ
ム、デカン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ミリ
スチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン
酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ベヘン酸カリウムなどの炭素数6以上24以下のア
ルキル鎖を有するカルボン酸の金属塩またはアンモニウ
ム塩、オクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホ
ン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムなどの炭
素数6以上24以下のアルキル鎖を有するスルホン酸の
金属塩またはアンモニウム塩、炭素数6以上24以下の
アルキル鎖を有するリン酸エステルの金属塩またはアン
モニウム塩、炭素数6以上24以下のアルキル鎖を有す
るホウ酸エステルの金属塩またはアンモニウム塩等の炭
化水素系アニオン性界面活性剤、パーフルオロデカン酸
ナトリウム、パーフルオロオクチルスルホン酸ナトリウ
ムなどのフッ素系アニオン性界面活性剤、ポリジメチル
シロキサン基とアルキレンオキシド付加物の縮合体、ポ
リジメチルシロキサン基とカルボン酸金属塩など陰イオ
ン性基を有するシリコン系アニオン性界面活性剤などが
あげられ、特に、炭素数6以上10以下のアルキル鎖を
有するカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。カチオ
ン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチ
ルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニ
ウム、臭化−N−オクタデシルピリジニウム、臭化セチ
ルトリエチルホスホニウムなどがあげられる。非イオン
性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノステア
レート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノ
ベヘネートなどのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性
剤、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミ
テート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンジ
ステアレート、トリグリセリンモノステアレートなどの
グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリエチレン
グリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコール
モノステアレートなどのポリエチレングリコール系界面
活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加
物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステ
ル、パーフルオロデカン酸のジグリセリンエステルなど
のフッ素系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。その
他、従来公知の両性界面活性剤も使用することができ
る。界面活性剤を使用する場合、その使用量は、無機コ
ロイド粒子100重量部に対して0.5重量部以下であ
り、0.1重量部以下が好ましい。また、使用量が少な
すぎると所望の効果が小さすぎる場合があるので、通
常、0.001重量部以上であり、0.01重量部以上が
好ましい。
【0009】有機系電解質としては、例えば、p−トル
エンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ブチルスルホン酸カリウム、フェニルホスフィン
酸ナトリウム、ジエチルリン酸ナトリウムなどが挙げら
れ、特に、ベンゼンスルホン酸誘導体が好ましい。有機
系電解質を使用する場合、その使用量は、無機コロイド
粒子100重量部に対し、通常、0.1重量部以下であ
り、0.05重量部以下が好ましい。また、使用量が少
なすぎると、所望の効果が小さすぎる場合があるので、
通常、0.0001重量部以上であり、0.001重量部
以上が好ましい。
【0010】バインダーとしては、例えば熱可塑性樹脂
などを挙げることができる。かかる熱可塑性樹脂として
は、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポ
リエチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、スチロール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、不飽和ポリ
エステル系樹脂等が挙げられるが、特にアクリル系樹脂
が好適である。これら樹脂は架橋構造であってもよく、
後述するような添加剤を含んでいてもよい。また、これ
ら熱可塑性樹脂が、例えば水等の媒体中に粒子状に分散
したエマルジョン状態のものや溶解したものは、これら
樹脂が無機コロイド粒子とより相互作用しやすいという
観点から、好適に使用できる。前者の例としては、アク
リル系樹脂の水性エマルジョンやポリウレタン系樹脂の
水性エマルジョンが挙げられ、後者の例としては、ポリ
−2−ヒドロキシエチルメタクリレート水溶液などが挙
げられる。
【0011】各種粘土系鉱物としては、シリカの4面体
層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属
にした8面体層を有する2層構造よりなるタイプと、ア
ルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8面体層
を両側から挟んだ3層構造よりなるタイプに分類され
る。前者としてはカオリナイト族、アンチゴライト族等
を挙げることができ、後者としては層間カチオンの数に
よってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族
等を挙げることができる。これら各種粘土系鉱物の中で
は、後述する分散媒中で層状に膨潤しチキソトロピー性
を発揮する無機層状化合物類が好ましいく、特にその水
分散液がチキソトロピックな粘性をもつことを特徴とす
るスメクタイト族、バーミキュライト族が好ましい。
【0012】本発明において、A層とは多糖類を主成分
とする層であり、多糖類はその水酸基の一つまたは全部
が他の置換基で置き換えられていてもよい。他の置換基
としては、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、チオー
ル基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アン
モニウム基、ホスホニウム基等が例示できる。アルコキ
シ基はさらに水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、リン酸基、アンモニウム基、ホ
スホニウム基等の置換基を有していてもよく、またカル
ボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アンモニウム
基、ホスホニウム基はそのエステルまたは塩の形であっ
てもよい。多糖類が有する水酸基がこれら他の置換基で
置き換えられている割合は、例えば、核磁気共鳴(NM
R)の手法(1H−NMR、13C−NMR等)によっ
て、好適に測定することができる。
【0013】多糖類としては、セルロース、アミロペク
チン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キト
サン、セルロースエーテル類、セルロースエステル類等
が例示でき、さらに、セルロースエーテル類として、メ
チルセルロース、エチルセルロース、シアノエチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、
ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース塩などが、セルロースエステ
ル類として、硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セ
ルロース、酢酸セルロースケン化物、アミロースなどが
例示できる。また、「機能性セルロースの開発(株式会
社シーエムシー 1985年発行)」等に記載の多糖類
も例示できる。これら多糖類の中でも水溶性または水分
散性のものが好ましい。また、これら多糖類の水酸基の
一部または全部が他の置換基で置換されている場合、そ
の置換割合、例えばメトキシ基置換度をDS(DS:セ
ルロースのグルコース環単位中の水酸基がメトキシ基で
置換された個数の平均値)、ヒドロキシアルコキシル基
置換度をMS(MS:セルロースのグルコース環単位当
中の水酸基がヒドロキシアルコキシル基で置換された個
数の平均値)としたとき、DSで1.2〜2またはMS
で0.1〜2.5が好ましい。メトキシ基とヒドロキシ
アルコキシル基の両者を有する多糖類の場合、DSで
1.2〜2、MSで0.1〜0.4のものが好ましい。
このような水酸基の一部または全部が他の置換基で置換
された多糖類の具体例としては、水溶性セルロースエー
テルを例にとれば、メチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。多糖
類の分子量は、通常、20℃、2%水溶液の値で2〜1
00000cPsである。A層をコーティングによって
形成する場合、均一なコーティング溶液が得られるとい
う観点から低粘度(低分子量)の多糖類が好ましく、ま
た、得られるA層の耐傷付性や防曇効果の持続性の観点
から、高粘度(高分子量)の多糖類が好ましい。後述す
る耐湿熱防曇性の観点からは、DSが1.6〜2.0の
セルロースエーテル、特にメチルセルロースが好ましく
用いられる。
【0014】また、A層は、多糖類以外に防腐剤や、B
層と同様な各種界面活性剤、有機系電解質、各種バイン
ダーなどを含むことができる。
【0015】A層の厚みは、得られる防曇性フィルムの
防曇性、耐傷性の観点から、重量厚みで0.01g/m
2以上が好ましく、0.02g/m2以上がより好まし
く、0.05g/m2が特に好ましい。またブロッキン
グ性の観点から、10g/m2以下が好ましく、2g/
2以下がより好ましく、0.5g/m2以下が特に好ま
しい。
【0016】本発明において、A層の厚み(d1)とB
層の厚み(d2)の比(d2/d1)は、通常、0.1〜
10の範囲である。A層とB層との接着強度およびA層
の耐ブロッキング性の観点から、d2/d1は0.3以上
が好ましく、0.5以上がより好ましい。また得られる
防曇性フィルムの透明性や耐傷性の観点から、d2/d1
は5以下が好ましく、3以下がさらに好ましい。
【0017】本発明において、熱可塑性樹脂基材フィル
ムに用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン
系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−メチルメタクリ
レート共重合体、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素系樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリ
レートなどのアクリル系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げ
られる。上記ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレ
フィンの単独または共重合体、α−オレフィンを主成分
とするα−オレフィンと異種単量体との共重合体であ
り、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合
体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エ
チレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−
1共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、
さらに異種単量体が極性ビニルモノマーである、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合体、アイ
オノマー樹脂などをあげることができる。用いる熱可塑
性樹脂は1種でも、数種の樹脂をブレンドしたものでも
よい。これらの樹脂のなかでは、密度が0.935g/
cm3以下の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレ
フィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以
下のエチレン−酢酸ビニル共重合体などが透明性や柔軟
性に優れ、かつ安価なフィルムが得られる点で好まし
い。エチレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィ
ンとしては、例えば炭素数3〜18のものが例示でき、
好ましくは炭素数4〜12のものであり、具体例として
は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−
デセン、1−ドデセンなどをあげることができる。これ
らは、一種を単独で用いてもよく、又は二種以上を併用
してもよい。α−オレフィンの含有量は、通常2〜25
重量%、好ましくは4〜18重量%である。熱可塑性樹
脂フィルムの厚みは、力学的強度や透明性、柔軟性など
目的に応じて適宜選択できるが、通常10〜400μ
m、好ましくは、30〜300μmである。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂基材フィルムは、そ
の層構成について特に限定はなく、単層フィルムでも2
層以上、例えば、2種3層、3種3層、3種5層、4種
5層および5種5層等の構成を有する多層フィルムでも
よい。なお、多層フィルムの場合、通常、ハウス等の農
業用施設に展帳した際、施設の外側に面する層を外層、
ハウスの内側に面する層を内層と称し、外層と内層の間
の層を中間層(2層以上である場合もありうる)と称す
る場合がある。熱可塑性樹脂基材フィルムが多層フィル
ムの場合、透明性、柔軟性および経済性の観点から、各
層の少なくとも1層は、上述したような密度が0.93
5g/cm3以下の低密度ポリエチレン、エチレン−α
−オレフィン共重合体または酢酸ビニル含有量が30重
量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層で
あることが好ましい。この場合は、該層の厚みは熱可塑
性樹脂基材フィルムの全厚みの5%以上であることが好
ましく、10%以上であることがより好ましい。各層の
樹脂および添加剤の配合は異なっていてもよく、外層に
は防塵処理が、内層には防曇、防霧処理がそれぞれ強化
されていてもよい。なお、防塵性とハウスバンド等の摩
擦に対する強度の観点から、下記のような特性を有する
エチレン−α−オレフィン共重合体を外層に使用するの
が好ましい。
【0019】メルトフローレートとしては、加工性の観
点から0.1g/10分以上が好ましく、0.3g/1
0分以上がより好ましい。また得られるフィルムの強度
の観点から50g/10分以下が好ましく、20g/1
0分以下がより好ましい。また、密度としては得られる
フィルムの抗ブロッキング性の観点から0.880g/
cm3以上が好ましく、0.900g/cm3以上がより
好ましい。また得られるフィルムの強度及び透明性の観
点から、0.940g/cm3以下が好ましく、0.9
38g/cm3以下がより好ましい。またGPCで求め
た分子量分布(Mw/Mn)は加工性と強度の観点から1.
5〜4が好ましく、2〜3がより好ましい。
【0020】さらに、得られるフィルムの強度、開口性
および防塵性の観点から下記式(1)で定義された組成
分布変動係数Cxが0.5以下が好ましく、0.2〜
0.4を有するエチレン−α−オレフィン共重合体を外
層として用いる方が好ましい。 Cx=σ/SCBave. (1) (ただし、σは下記の温度上昇カラム分別法により、各
溶出温度における溶出量とその溶出成分の分岐度から求
めた組成分布の標準偏差を表わし、SCBave.は下記方
法により求められる炭素数1000個当たりの短鎖分岐
の平均値をあらわす) σおよびSCBave.の具体的な求め方は、以下のとおり
である。SCBave.は、通常、ポリエチレン等の短鎖分
岐の測定で行われているように、エチレン−α−オレフ
ィン共重合体をFT−IRで測定することにより求める
ことができる。ここで短鎖分岐とは、通常、短素数1か
ら4を有する分岐のことである。また、σは、温度上昇
カラム分別法の定法に従って、エチレン−α−オレフィ
ン共重合体を所定の温度に加熱した溶媒に溶解してカラ
ムオーブン中のカラムにいれ、一旦、オーブンの温度を
さげ、続いて、所定の温度まで上昇させ、その温度で溶
出した溶出成分の相対濃度と分岐度をカラムに接続した
FT−IRで測定する。引き続き、温度を段階的に上昇
させ、最終温度(溶解した共重合体がすべて溶出する温
度)まで上昇させる。得られた各溶出成分の相対濃度と
分岐度を統計処理し、分岐度から求めた組成分布の標準
偏差σを求めることができる。
【0021】フィルム強度、開口性および防塵性の観点
から、例えば、特開平08−276542に記載されて
いるような、GPC−IRにより求めた高分子量側の分
岐数の平均値が低分子量側の分岐数の平均値以上である
エチレン−α−オレフィン共重合体を外層として用いる
こともできる。
【0022】上記特性を有するエチレン−α−オレフィ
ンを得る方法としては、たとえば次の方法を上げること
ができる。すなわち、エチレンと炭素数3〜18のα−
オレフィンをパラジウム、ニッケルなどの遷移金属錯体
触媒やメタロセン系触媒などの均一系触媒を使用して、
溶媒の存在下又は不存在下、気−固、液−固又は均一液
層下で重合する。重合温度は通常30℃〜300℃であ
り、重合圧力は常圧〜3000kg/cm2である。例
えば、特開平6−9724号公報、特開平6−1361
95号公報、特開平6−136196号公報、特開平6
−207057号公報等に記載されているメタロセン触
媒成分を含む、いわゆるメタロセン系オレフィン重合用
触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜18のα−
オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.940
g/cm3以下となるように共重合させることによって
製造することができる。
【0023】また熱可塑性樹脂基材フィルムが3層以上
を有する多層フィルムの場合、外層と内層の厚みの合計
は、通常、全フィルム厚みの10〜90%である。フィ
ルムの成形性の点から20〜80%が好ましく、透明
性、フィルム強度などの点から30〜70%がより好ま
しい。また、後述するような保温剤としての無機化合物
等が中間層に多く含まれている場合には、10〜40%
が好ましく、15〜30%がより好ましい。なお、外層
と内層の厚みは同一でなくてもよい。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂基材フィルムを得る
方法としては、通常の成形方法、例えば、インフレーシ
ョン成形法、Tダイ成形法などが挙げられる。多層の場
合は、目的に応じていろいろな組合せで成形して用いる
ことができる。
【0025】一般に熱可塑性樹脂フィルムの表面張力は
低い場合が多いため、例えばB層を熱可塑性樹脂基材フ
ィルムに積層する場合には、熱可塑性樹脂基材フィルム
の表面を表面処理し、表面張力を高めておくことが好ま
しい。B層を後述するコーティングによって積層する場
合には、無機コロイド粒子分散液と熱可塑性樹脂基材フ
ィルムのコーティング面とのぬれ性をよくしてはじきに
よる欠陥を無くし、乾燥後の各層の接着強度も高くなる
という観点から、表面張力が36dyne/cm以上であるこ
とが好ましい。表面張力の上限は特には制限されないが
通常、60dyne/cm程度であり、好ましくは40〜50
dyne/cmである。表面処理をする方法としては、コロナ
処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、UV処
理、EB(電子線照射)処理など、一般的に行なわれて
いる方法ならばいずれでもよく、処理後の表面張力が、
所望の値となるような条件で実施すればよい。一般に表
面処理の効果は時間が経つとともに低下するので、表面
処理後はできるだけ速やかにコーティング等により積層
することが望ましい。従って、処理部と例えばコーティ
ング部はインラインで連続であることが好ましい。
【0026】また、表面処理をして表面張力を高める方
法以外に、ぬれ性をよくする目的で、熱可塑性樹脂基材
フィルムの表面に予め各種アンカーコート剤をコーティ
ングした後、B層をコーティング等によって積層しても
よい。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂基材フィルムを形成
するための熱可塑性樹脂基材は、保温性を付与するため
の種々の無機化合物や有機化合物などを含有していても
よい。無機化合物としては、リチウムアルミニウム複合
水酸化物、ハイドロタルサイト類化合物などの複合水酸
化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミ
ニウム、酸化珪素、酸化チタンなどの金属の酸化物、水
酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩類、硫酸カリウム、
硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸ア
ルミニウムなどの硫酸塩類、燐酸リチウム、燐酸ナトリ
ウム、燐酸カリウム、燐酸カルシウムなどの燐酸塩類、
硅酸マグネシウム、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウ
ム、硅酸チタンなどの硅酸塩類、アルミン酸ナトリウ
ム、アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウムなどの
アルミン酸塩類、アルミノ硅酸ナトリウム、アルミノ硅
酸カリウム、アルミノ硅酸カルシウムなどのアルミノ硅
酸塩類、カオリン、クレー、タルクなどの粘土鉱物、そ
の他の複合酸化物などがあげられ、有機化合物としては
ポリアセタール、ポリビニルアルコールおよびその誘導
体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの有機化
合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種類以
上を併用してもかまわない。
【0028】ハイドロタルサイト類化合物としては、天
然ハイドロタルサイトMg0.75Al 0.25(OH)2(C
30.125・0.5H2O、合成ハイドロタルサイト(商品
名:DHT−4A 協和化学工業製 Mg0.69Al0.31
(OH)2(CO30.15・0.54H2O)のような、下記
式(I)で示される化合物、 M2+ 1-xAlx(OH)2(A1 n-x/n・mH2O (I) (式中、M2+は、マグネシウム、カルシウムおよび亜鉛
よりなる群から選ばれた2価金属イオンを示し、xおよ
びmは、0<x<0.5、0≦m≦2を満足し、A1 n-
はn価のアニオンを示すが、n価のアニオンしては特に
限定されず、例えばCl-、Br-、I-、NO3 -、Cl
4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 3-、HB
4 3-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)6 4-
CH3COO -、C64(OH)COO-、(CO
O)2 2-、テレフタル酸イオン、ナフタレンスルホン酸
イオン等のアニオンや、特開平8−217912に記載
のポリ珪酸イオンやポリ燐酸イオン等が挙げられる。)
が挙げられる。
【0029】リチウムアルミニウム複合水酸化物として
は、例えば、特開平5−179052公報に記載の下記
一般式(II)で示される化合物 Li+(Al3+2(OH-6・(A2 n-1/n・mH2O (II) (式中、mは0 ≦m≦3の範囲であり、A2 n-で示さ
れるn価のアニオンとしては特に限定はされないが、例
えば、前記と同様なアニオンが挙げられる。)が挙げら
れる。
【0030】その他の複合水酸化物としては、例えば、
アルカリ土類金属、遷移金属、ZnおよびSiからなる
群のなかから選ばれた少なくとも一種の元素と、Liお
よびAlを含有し、かつ水酸基を有する化合物が例示で
きる。アルカリ土類金属の中では、マグネシウム、カル
シウムが好ましい。また、遷移金属の中では、2価また
は3価の、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンが好まし
く、中でも鉄がより好ましい。該複合水酸化物中のAl
とLiの組成比(Al/Li)はモル比で、通常、1.
5/1〜2.5/1であり、好ましくは1.8/1〜
2.5/1である。また、アルカリ土類金属、遷移金
属、ZnおよびSiからなる群のなかから選ばれた
(各)元素のモル比(a)は、Li元素1モルに対し
て、通常、0<a<1.5であり、好ましくは0.1≦
a≦1.4、さらに好ましくは0.2≦a≦1.2であ
る。複合水酸化物は、通常、カチオン性の部分とアニオ
ン性の部分がイオン結合したものである。カチオン性の
部分には、少なくとも、Li及びAlが含まれる。アニオン
性の部分を構成する元素または化合物としては、例え
ば、ピロケイ酸イオン、シクロケイ酸イオン、イソケイ
酸イオン、フィロケイ酸イオン、テクトケイ酸イオン等
のポリケイ酸イオン、炭酸イオン、ハロゲン化イオン、
硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオ
ン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオ
ン、アルミン酸イオン、ケイ酸イオン、過塩素酸イオ
ン、ホウ酸イオン等の無機酸イオン、Fe(C
N)6 3-、Fe(CN)6 4-等のアニオン性遷移金属錯
体、酢酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオン、テレフ
タル酸イオン、アルキルスルホン酸イオン等の有機酸イ
オンなどが挙げられる。これら化合物のなかでも、炭
酸、ハロゲン、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ケイ酸、ポ
リケイ酸、過塩素酸等のイオンが好ましく、炭酸、ポリ
リン酸、ケイ酸、ポリケイ酸等のイオンがより好まし
い。これらの複合水酸化物の具体例としては、Al、Li、
Mgを含有し、かつAl/Li/Mg= 約2.3/1/0.28(モル比)
である複合水酸化物(例えば商品名LMA 、富士化学工
業製)や、Al、Li、Siを含有し、かつAl/Li/Si= 約2/1
/1.2 (モル比)である複合水酸化物(例えば商品名フ
ジレインLS、富士化学工業製)が挙げられる。
【0031】上記複合水酸化物の平均粒子径は、通常、
5μm以下、好ましくは0.05〜3μm、更に好まし
くは、0.1〜1μmである。また、BET法により測
定した比表面積は1〜30m2/g、好ましくは2〜2
0m2/gである。本発明のポリオレフィン系樹脂組成
物を、透明性が要求される用途に使用する場合は、該複
合水酸化物の屈折率は、使用するポリオレフィン系樹脂
に近いことが好ましい。通常は、JIS K0062記
載の方法で測定した複合水酸化物の屈折率が、1.47
〜1.55であり、好ましくは1.48〜1.54、よ
り好ましくは1.49〜1.53である。なお、これら
複合水酸化物は結晶水を含有していてもよい。保温性付
与に無機化合物が用いられる場合には、無機化合物の中
では、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニ
ウム複合水酸化物などの複合水酸化物、アルミノ珪酸塩
類等が好ましい。またフィルム中での分散性を向上させ
るため高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等によ
り無機化合物の表面処理を施してもよい。これら無機化
合物を配合する場合、その含有量は、保温性、耐候性、
透明性などの観点から、熱可塑性樹脂100重量部に対
して通常、0.03〜25重量部、好ましくは1〜15
重量部である。
【0032】また、基材熱可塑性樹脂中には、フィルム
の耐候性を向上させる目的で市販の光安定剤を添加して
もよく、光安定剤の中ではヒンダードアミン系化合物が
好ましい。ヒンダードアミン系化合物としては例えば、
特開平8−73667に記載の構造式のものが挙がれら
れ、具体例としては、商品名チヌビン622−LD、キ
マソーブ944−LD、ホスタビンN30,VP Sa
nduvor PR−31,チヌビン123や、特開昭
63−286448号記載のヒンダードアミン系化合物
含有安定化剤(商品名 TINUVIN 492、TINUVIN 4
94、チバガイギー社製)を例示することができる。ま
たこれらのヒンダードアミン系化合物は単独で用いても
2種類以上を併用してもよい。ヒンダードアミン系化合
物を使用する場合、その含量は、耐候性改良効果とブル
ーミングを抑制する点で、基材熱可塑性樹脂中に通常、
0.02〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%、さ
らに好ましくは0.5〜2重量%である。
【0033】また同様の目的で紫外線吸収剤を添加する
ことができる。かかる紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン
系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫
外線吸収剤等の市販の紫外線吸収剤が挙げられる。ま
た、これらの紫外線吸収剤は単独で用いても2種類以上
を併用してもよい。紫外線吸収剤を使用する場合、その
含量は、耐候性改良効果とブルーミング抑制の観点か
ら、基材熱可塑性樹脂中に通常、0.01〜3重量%、
好ましくは0.05〜1重量%の範囲である。
【0034】また、フィルムの初期防曇効果を向上させ
るために、さらに基材熱可塑性樹脂中に防曇剤を添加し
てもよい。防曇剤を配合する場合、防曇剤の含量は、通
常、0.1〜4重量%、好ましくは、0.5〜3重量
%、さらに好ましくは、1.5〜3重量%、特に好まし
くは2.2〜2.8重量%である。かかる防曇剤として
は、常温で固体状である非イオン性界面活性剤、例え
ば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパル
ミテート、ソルビタンモノベヘネートなどのソルビタン
脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリンモノラウレー
ト、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステ
アレート、ジグリセリンジステアレート、トリグリセリ
ンモノステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステル系
界面活性剤、ポリエチレングリコールモノパルミテー
ト、ポリエチレングリコールモノステアレートなどのポ
リエチレングリコール系界面活性剤、アルキルフェノー
ルのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリ
ン縮合物と有機酸とのエステルなどが挙げられる。ま
た、熱可塑性樹脂基材フィルムに常温で液状の防曇剤を
含有させると、フィルム保管時および展張時に光線透過
性が損われる現象を回避することができることから、こ
れら常温で液状の防曇剤を用いてもよい。かかる常温で
液状の防曇剤としては、例えば、グリセリンモノオレエ
ート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンセス
キオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、ヘキ
サグリセリンモノオレエート、テトラグリセリントリオ
レエート、ヘキサグリセリンペンタオレエート、テトラ
グリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウ
レート等のグリセリン系脂肪酸エステルが、また、ソル
ビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート、ソル
ビタンモノラウレートなどのソルビタン脂肪酸エステル
が挙げられる。常温で液状の防曇剤を配合する場合、そ
の含量は、基材熱可塑性樹脂中に通常、0.2〜3重量
%、好ましくは0.5〜2重量%の範囲である。
【0035】また、防霧性を付与する目的で、熱可塑性
樹脂基材フィルムには防霧剤を含有させてもよい。かか
る防霧剤としては、パーフルオロアルキル基、ω−ヒド
ロフルオロアルキル基等を有するフッ素化合物(特にフ
ッ素系界面活性剤)、アルキルシロキサン基を有するシ
リコン系化合物(特にシリコン系界面活性剤)等が挙げ
られる。フッ素系界面活性剤の具体例としてはユニダイ
ンDS−403、DS−406、DS−401(いずれ
もダイキン工業製)が挙げられる。防霧剤の含有量は、
通常、熱可塑性樹脂基材フィルム中、0.001〜1重
量%、好ましくは0.01〜0.3重量%である。
【0036】熱可塑性樹脂基材フィルムには、必要に応
じて、上記以外の一般に使用されている各種安定剤(例
えばニッケル化合物等の光安定剤、酸化防止剤等)、帯
電防止剤、滑剤、顔料、難燃剤等の添加剤を添加するこ
とができる(「ポリマー添加剤の分離・分析技術および
別冊」(田中ら、日本科学情報(株)出版、1987
年)、「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧」
(後藤ら、(株)化学工業出版、1970年)参照)。
また、各添加剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を
併用することもできる。
【0037】次に、本発明の防曇性フィルムの製造法に
ついて述べる。本発明の防曇性フィルムの製造法は、各
層を熱可塑性樹脂基材フィルムに積層させることができ
る方法であればよく、例えば、従来から用いられている
ラミネート法、コーティング等の方法が挙げられる(参
考文献:「コーティング方式」原崎勇次著、1979
年、槙書店発行)。
【0038】コーティングとは、例えば無機コロイド粒
子を分散媒中に分散させた分散液、または多糖類を溶媒
に溶解した多糖類溶液をコーティング液として塗布後、
乾燥して分散媒または溶媒を除去し、層を形成させる方
法である。コーティングには、例えば、グラビア方式、
ディッピング方式、スプレー方式などのコーティング方
式が挙げられる。コーティングする場合には、製造効率
の観点から、チューブ状のフィルム基材を用いて、これ
にコートすることが好ましい。無機コロイド粒子の分散
液に用いられる分散媒としては、例えば水、メチルアル
コール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール、エチレングリコール、キシ
レンなどおよびこれらの混合液が挙げられ、水、アルコ
ールなどの極性溶媒が好ましく、環境問題や設備の点で
水が特に好ましい。多糖類を溶解する溶媒としては、例
えば、水、メチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなど
およびこれらの混合液が挙げられ、環境問題、設備等の
点で、水が特に好ましい。B層をコーティングにより形
成する場合には、無機コロイド粒子分散液中の無機コロ
イド粒子の濃度、および塗布する分散液の単位面積当た
りの量を調節することにより、乾燥後の重量厚みが、例
えば0.01〜10g/m2などの所望の厚みとなるよ
うにすることができる。分散液の量はコーティングする
面積に応じて適宜設定されるが、少なくとも、均一にコ
ーティングできる量が必要である。
【0039】また、無機コロイド粒子分散液には、コー
ティング性(例えば、分散液のはじき、ムラ等)を改良
したり、分散液にチキソトロピー性を付与する目的で、
上述したような各種界面活性剤、有機系電解質、各種粘
土系鉱物を添加することも可能である。粘土系鉱物を添
加する場合、その添加量は、通常、分散媒100重量部
に対して、0.005〜3重量部、0.01〜0.5重
量部が好ましく、0.01〜0.2重量部がより好まし
い。
【0040】A層をコーティングにより形成する場合に
は、多糖類溶液中の多糖類の濃度、および塗布する多糖
類溶液の単位面積当たりの量を調節することにより、所
望の重量厚みとすることができる。多糖類溶液の量はコ
ーティングする面積に応じて適宜設定されるが、少なく
とも、均一にコーティングできる量が必要である。多糖
類溶液中には、コーティング性を改良させるために、界
面活性剤を添加してもよい。また、A層の強度を高めた
り、ブロッキングを防止する目的でシリカなどの無機化
合物を添加してもよい。
【0041】コーティング後は、速やかに乾燥し、各層
の形成を促進することが好ましい。乾燥が十分でない状
態で巻き取り等により製造した防曇性フィルムを重ねる
と、防曇性フィルムの使用時に、A層やB層の剥離がお
こり好ましくない。
【0042】本発明の防曇性フィルムは、熱可塑性樹脂
基材フィルムの少なくとも同じ面側にA層とB層を有
し、かつ少なくとも該面側の最表層がA層であればよ
く、A層とB層の間、およびA層と、またはB層と熱可
塑性樹脂基材フィルムとの間に他の層(例えば、アンカ
ーコート層、接着層等)が存在していてもよい。また、
A層を2以上有していてもよいし、B層を2以上有して
いてもよい。初期防曇効果と防曇効果の持続性の観点か
ら、最表層であるA層は直接B層に積層されている方が
好ましく、またB層は直接熱可塑性樹脂基材フィルムに
積層されている方が好ましい。
【0043】本発明の防曇性フィルムを農業用フィルム
として使用する場合、ハウス内への光を効率よく取り込
むために、透明性がよい方が好ましい。透明性の尺度と
しては、一般に、フィルムの全光線透過率およびヘイズ
値(拡散光率)が用いられ、全光線透過率が高く、ヘイ
ズ値が小さい方がフィルムの透明性がよい。従って、本
発明の防曇性フィルムを農業用ハウスとして使用する場
合は、全光線透過率が80%以上、好ましくは、90%
以上、また、ヘイズ値は40%以下、好ましくは、25
%以下のものを使用することが好ましい。また、保温性
の観点から、後述する保温性指数が70%以上の防曇性
フィルムが作物の生育性の観点から好ましく、72%以
上のものがより好ましく、74%以上のものが特に好ま
しい。
【0044】
【発明の効果】本発明の防曇性フィルムは、最表層にA
層を有することにより、B層が剥がれ落ちることが少な
く、また熱可塑性樹脂基材フィルムとB層の接着が吸水
等による膨潤などの影響も受けることなく長期に安定し
たものとなり、防曇効果が持続する。また、摩擦に強い
耐傷性を付与することができ、傷による白化のために透
明性が低下することも少ない。さらにA層の吸水ぬれに
より、優れた初期防曇効果が発揮される。加えて、最表
層であるA層を直接B層上に積層すれば、B層が下地に
なってアンカー効果を発揮するため、A層の剥離を抑え
ることができ、耐久性がさらに向上することが期待でき
る。A層が付着水とともに一部が流去することがあって
も、下地に残ったB層の極性と粗面効果によるぬれ性に
より防曇効果が持続される。また、本発明の防曇性フィ
ルムは、高温多湿の環境下においても防曇効果が低下す
ることの少ない、優れた耐熱防曇性と耐湿熱防曇性をも
発揮する。本発明の防曇性フィルムは、例えば、農業用
フィルムとして用いた時、A層を農業用ハウスの内側と
なるように展張することにより、多湿条件下でもフィル
ム内面が水滴で曇ったり、水滴がボタ落ちして作物を痛
めることがない。また、流滴が速やかであるためフィル
ムの乾燥が速く湿度が低くなり、作物の病気の発生を抑
えることができる。さらに本発明の防曇性フィルムに防
霧剤を添加することにより、ハウス内の霧の発生を抑
え、ハウス内の作物等への太陽光の到達が霧によって妨
げられることがなく、また、作物への水滴の付着を防
ぎ、病気の発生を抑えることができる。また本発明の防
曇性フィルムに無機化合物を含有させた場合、無機化合
物がハウス内の熱を吸収して外へ逃さず、保温性におい
ても優れた効果を発揮することができる。また本発明の
防曇性フィルムは、農業用以外にも包装フィルムや窓貼
りフィルムなどの用途にも有効に用いることができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。なお、実施例中の試験法
は以下の通りである。 〔防曇性試験〕:フィルムを縦34×横5cmのアクリ
ル製の枠に両面テープで貼り付け、試験面を下にして、
温度一定の環境試験室内に置いた恒温水槽の上に水平面
に対して15度の傾斜をつけて設置した。この時の、環
境試験室/恒温水槽の温度条件は、20℃/40℃とし
た。そして30日後までのフィルム面の水滴のようすを
観察し、以下の基準で判定した。 ○:フィルム面がほぼ均一に濡れている。 △:部分的に水滴が付着しているところがある。 ×:全体に水滴が付着し、白く曇っている。 〔耐傷性試験〕:コーティング面を上にしたフィルム
に、接触面積10cm2の金属ロールと布を巻いた治具
を乗せ、540gの荷重をかけ、フィルムを前後10回
往復させて摩擦した後のコーティング膜の傷を観察し
た。 ○:全く傷つかない。 △:少しスジ状の傷がつく程度。 ×:摩擦部分が全面傷つき白化している。 〔耐熱防曇性試験〕:フィルムを60℃、ドライの恒温
槽で10日間エージング処理した後、防曇性試験方法に
従って、30日後までのフィルム表面の水滴の様子を観
察し、以下の基準で評価した。 ○:フィルム面がほぼ均一に濡れている。 △:部分的に水滴が付着(白化)しているところがあ
る。 ×:全体に水滴が付着し、白く曇っている。 〔耐湿熱防曇性試験〕:フィルムを60℃、90%RH
の恒温恒湿槽で10日間エージング処理した後、防曇性
試験方法に従って、30日後までのフィルム表面の水滴
の様子を観察し、以下の基準で評価した。 ○:フィルム面がほぼ均一に濡れている。 △:部分的に水滴が付着(白化)しているところがあ
る。 ×:全体に水滴が付着し、白く曇っている。 〔保温性指数〕:赤外分光光度計(パーキンエルマー社
製 1640型FTIR)を用いて、以下の方法によ
り、保温性指数を求め保温性の尺度とした。27℃、厚
み75μmのフィルムの波長2.5〜30.3μmの範
囲の輻射線吸収エネルギーEλ・Tを求め、その時の黒
体輻射の吸収エネルギーに対するEλ・Tの比率を百分
率で表わした値を保温性指数とした。絶対温度300°
Kにおける試料の赤外線吸収率をAλ・Tとすると、波
長2.5〜30.3μmの範囲の輻射線吸収エネルギー
Eλ・Tは次式から求められる。
【数1】 ここで、Jλ・T は、プランクの法則にしたがう黒体
輻射の強さ分布であり、
【数2】 で与えられる。ただし、 C1=3.7402×10-12(W/cm2) C2=1.43848(cm・deg) λ=波長(cm) T=300°K また、試料の赤外線吸収率Aλ・Tは、絶対温度300
°Kにおいて上記赤外分光光度計で測定した試料の赤外
線吸収スペクトルから、入射光をJ0λ、透過光をJ
λとしたとき、 Aλ・T=1−Jλ/J0λ から求められる。実測から求めたAλ・Tを用い、波長
2.5〜30.3μmの範囲で波長の刻みを0.02μ
mとして上式を積分してEλ・Tを求めた。保温性指数
が大きほど保温性が高いことを示す。
【0046】防曇性フィルムの各層配合例、製法例は以
下に示すとおりである。 [A層] 多糖類溶液(1):水溶性セルロースエーテル「メトロ
ーズSM15」1%水溶液としたもの。 ・多糖類溶液(2):水溶性セルロースエーテル「メト
ローズSM100」1%水溶液としたもの。 多糖類溶液(3):水溶性セルロースエーテル「メトロ
ーズSM4000」1%水溶液としたもの。 多糖類溶液(4):水溶性セルロースエーテル「メトロ
ーズ60SH03」1%水溶液としたもの。 なお、比較用にPVA溶液(ポリビニルアルコール「P
VA403」1%水溶液)を用いた。 [B層] ・無機コロイド粒子分散液(1):水100重量部に対
して、コロイド状アルミナ3重量部、コロイド状シリカ
A0.8重量部、アニオン性界面活性剤としてデカン酸
ナトリウム0.03重量部、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム0.03重量部、加えたものを無機コロイ
ド分散液(1)とする。 ・無機コロイド粒子分散液(2):水100重量部に対
して、コロイド状アルミナ9重量部、コロイド状シリカ
A2.4重量部、アニオン性界面活性剤としてカプリル
酸ナトリウム0.015重量部、有機系電解質としてp
−トルエンスルホン酸ナトリウム0.002重量部、粘
土系鉱物としてスメクトンSAを0.09重量部加えた
ものを無機コロイド分散液(2)とする。 ・無機コロイド粒子分散液(3):水100重量部に対
して、コロイド状アルミナ3重量部、コロイド状シリカ
B9重量部、アニオン性界面活性剤としてカプリル酸ナ
トリウム0.015重量部、有機系電解質としてp−ト
ルエンスルホン酸ナトリウム0.002重量部、粘土系
鉱物としてスメクトンSAを0.09重量部、シリコン
系界面活性剤0.1重量部加えたものを無機コロイド分
散液(3)とする。 [熱可塑性樹脂基材フィルム] ・基材フィルム(1):低密度ポリエチレンのインフレ
ーションフィルム(厚み50μm)。 ・基材フィルム(2):エチレン−酢酸ビニル共重合体
(商品名 エバテートH2020 酢酸ビニル含有量1
5重量% 住友化学工業製)100重量部に対して、無
機化合物A16重量部、光安定剤としてヒンダードアミ
ン系化合物A0.35重量部、ヒンダードアミン系化合
物B0.45重量部、酸化防止剤I 0.1重量%、滑
剤としてエチレンビスステアリン酸アミド 0.4重量
部を加え、バンバリーミキサーを用いて130℃、5分
間混練後、造粒機により造粒し、組成物ペレットを得
た。これを樹脂組成物とする。次に、エチレン−酢酸
ビニル共重合体(商品名 エバテートD2011 酢酸
ビニル含有量5重量% 住友化学工業製)100重量部
に対して、ヒンダードアミン系化合物A0.8重量部、
紫外線吸収剤U0.1重量部、酸化防止剤I 0.1重
量部を加え、樹脂組成物と同様にしてペレットを得
た。これを樹脂組成物とする。樹脂組成物を中間層
に、樹脂組成物を内外層としてインフレーションフィ
ルム成形機によってフィルム厚み100μmのフィルム
(中間層60μm、内外層20μm)を作製した。これ
を基材フィルム(2)とする。 ・基材フィルム(3):樹脂組成物において樹脂をエ
チレン−酢酸ビニル共重合体(商品名 エバテートH2
031 酢酸ビニル含有量19重量% 住友化学工業
製)にかえ、無機化合物A、16重量部にかえて無機化
合物B、12重量部配合したものを樹脂組成物とす
る。次に樹脂組成物において、エチレン−酢酸ビニル
共重合体を低密度ポリエチレン(商品名 スミカセンF
208−1 住友化学工業製)にかえたものを樹脂組成
物とする。樹脂組成物を中間層に、樹脂組成物を
内層に、樹脂組成物を外層にして、インフレーション
成形機により、フィルム厚み100μmのインフレーシ
ョンフィルム(3種3層フィルム、中間層厚み:65μ
m、内層厚み:17.5μm、外層厚み:17.5μ
m)を作製した。これを基材フィルム(3)とした。 ・基材フィルム(4):樹脂組成物において樹脂をエ
チレン−酢酸ビニル共重合体(商品名 エバテートH2
031 酢酸ビニル含有量19重量% 住友化学工業
製)にかえ、無機化合物A、16重量部にかえて、無機
化合物C、10重量部配合したものを樹脂組成物とす
る。次に樹脂組成物においてエチレン−酢酸ビニル共
重合体を低密度ポリエチレン(商品名 スミカセンF2
08−1 住友化学工業製)にかえ、さらに無機化合物
Bを3重量部配合したものを樹脂組成物とする。さら
に樹脂組成物において、さらに無機化合物Bを3重量
部配合したものを樹脂組成物とする。樹脂組成物を
中間層に、樹脂組成物を内層に、樹脂組成物を外層
にして、インフレーション成形機により、フィルム厚み
100μmのインフレーションフィルム(3種3層フィ
ルム、中間層厚み:65μm、内層厚み:17.5μ
m、外層厚み:17.5μm)を作製した。これを基材
フィルム(4)とした。 ・基材フィルム(5):フィルム厚みを150μmとし
た以外は基材フィルム(3)と同様にし(各層の厚み比
も同じ)、これを基材フィルム(5)とした。 ・基材フィルム(6):フィルム厚みを75μm(層構
成比は同じ)とした以外は基材フィルム(3)と同様に
し、これを基材フィルム(6)とした。 [防曇フィルム作成方法] ・コロナ処理方法:シャーマン製コロナ処理機により、
各基材フィルム表面をコロナ処理し、表面張力を45dy
ne/cm以上とした。 ・コーティング方法:康井精機製テストコーターにてマ
イクログラビア方式(マイクログラビアロールを使用)
で各基材フィルム上に、所定のコロナ処理後、各無機コ
ロイド粒子分散液を塗布・乾燥し、B層を形成し、さら
に各種多糖類液または親水性樹脂溶液を塗布・乾燥し、
A層を形成した。塗布はいずれもインフレーションフィ
ルムチューブの外側(外層)に行った。ライン速度は2
0m/min.、ドライヤーの温度は90℃とした。なお、
上記の各コロイド状アルミナ、コロイド状シリカ、界面
活性剤、有機系電解質、無機層状化合物、滑剤、無機化
合物、ヒンダードアミン系化合物、紫外線吸収剤、酸化
防止剤については下記のものを用いた。 ・コロイド状アルミナ:日産化学工業(株)製「アルミ
ナゾル520」(分散媒:水、アルミナ粒子含量:20
重量%) ・コロイド状シリカA:日産化学工業(株)製「スノー
テックス20」(分散媒:水、シリカ粒子含量:20重
量%) ・コロイド状シリカB:日産化学工業(株)製「スノー
テックスXS」(分散媒:水、シリカ粒子含量:20重
量%) ・スメクトンSA:クニミネ工業(株)製合成スメクタ
イト ・メトローズSM15:信越化学工業製 メチルセルロ
ース DS 1.8 粘度13〜15cPs(2%水溶
液,20℃) ・メトローズSM100:信越化学工業製 メチルセル
ロース DS 1.8粘度80〜120cPs(2%水
溶液,20℃) ・メトローズSM4000:信越化学工業製 メチルセ
ルロース DS 1.8粘度3500〜5600cPs
(2%水溶液,20℃) ・メトローズ60SH03:信越化学工業製 ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース DS 1.9、MS
0.25 粘度2〜5cPs(2%水溶液,20℃) (なお、DSとはセルロースのグルコース環単位中の水
酸基がメトキシ基で置換された平均個数であり、MSと
はセルロースのグルコース環単位中の水酸基がヒドロキ
シアルコキシル基で置換された平均個数のことであ
る。) ・PVA403:クラレ製 ポリビニルアルコール ケ
ン化度80%、重合度300 ・シリコン系界面活性剤:東レダウコーニング製「SH
3746」 ・無機化合物A:合成ハイドロタルサイト 協和化学工
業製 「DHT4A」 ・無機化合物B:珪素含有複合水酸化物 富士化学工業
(株)製「フジレインLS」 ・無機化合物C:リチウムアルミニウム複合水酸化物
水沢化学工業製 「ミズカラックE」 ・ヒンダードアミン系化合物A:チバガイギー製「チヌ
ビン622−LD」 ・ヒンダードアミン系化合物B:チバガイギー製 「キ
マソーブ944−LD」 ・酸化防止剤I:チバガイギー製 「イルガノックス1
010」 ・紫外線吸収剤U:住友化学工業製 「スミソーブ13
0」 〔実施例1〜11〕表1、2に記載の配合で防曇性フィ
ルムを上記方法で作成し、各種試験に供した。結果は表
1、2の通り、優れたものであった。 〔実施例12〕基材フィルム(6)を用いた以外は、実
施例2と同様にし、保温性試験を行ったところ保温性指
数73%と優れたものであった。 〔実施例13〕熱可塑性樹脂基材フィルムとして市販の
農業用フィルム「クリンテートDX:住友化学工業製、
厚み75μm」を用いる以外は実施例1と同様にし、防
曇性フィルムを得ることができる。防曇性、保温性とも
に優れたものである。 〔比較例1,2〕多糖類液をコーティングしなかった以
外はそれぞれ実施例3,8と全て同様に行った。結果は
表2に示すとおり、耐熱防曇性、耐湿熱防曇性、耐傷性
に劣るものであった。 〔比較例3,4〕多糖類液のかわりにPVA溶液を用
い、A層の代わりにポリビニルアルコール層(PVA
層)を形成させた以外はそれぞれ実施例3,8と全て同
様に行った。結果は表3に示すとおり、耐熱防曇性、耐
湿熱防曇性に劣るものであった。
【表1】
【表2】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 勉 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住化プ ラステック株式会社内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂基材フィルムの少なくとも片
    面側に多糖類層(A層)および無機コロイド粒子層(B
    層)を有し、かつ少なくとも該面側の最表層がA層から
    なることを特徴とする防曇性フィルム。
  2. 【請求項2】B層が、無機コロイド粒子の分散液の乾燥
    被膜からなる層である請求項1記載の防曇性フィルム。
  3. 【請求項3】B層の重量厚みが0.01〜10g/m2
    である請求項1記載の防曇性フィルム。
  4. 【請求項4】無機コロイド粒子が、酸化物コロイド粒子
    および/または水酸化物コロイド粒子である請求項1に
    記載の防曇性フィルム。
  5. 【請求項5】酸化物コロイド粒子および/または水酸化
    物コロイド粒子が金属の酸化物コロイド粒子および/ま
    たは水酸化物コロイド粒子である請求項4に記載の防曇
    性フィルム。
  6. 【請求項6】金属が、珪素、アルミニウム、亜鉛、マグ
    ネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウ
    ム、マンガン、鉄、セリウム、ニッケルおよびスズから
    選ばれる少なくとも1種の金属である請求項5に記載の
    防曇性フィルム。
  7. 【請求項7】金属が、珪素および/またはアルミニウム
    である請求項6記載の防曇性フィルム。
  8. 【請求項8】A層が、多糖類溶液の乾燥被膜である請求
    項1に記載の防曇性フィルム。
  9. 【請求項9】A層の重量厚みが、0.01〜10g/m
    2である請求項1記載の防曇性フィルム。
  10. 【請求項10】多糖類が、セルロース誘導体である請求
    項1に記載の防曇性フィルム。
  11. 【請求項11】A層の厚み(d1)とB層の厚み(d2
    の比(d2/d1)が、0.1〜10である請求項1に記
    載の防曇性フィルム。
  12. 【請求項12】熱可塑性樹脂が密度が0.935g/c
    3以下の低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフ
    ィン共重合体、酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエ
    チレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも一
    種である請求項1に記載の防曇性フィルム。
  13. 【請求項13】A層およびB層を有する側の熱可塑性樹
    脂基剤フィルム面の表面張力が36dyne/cm以上である
    請求項1に記載の防曇性フィルム。
  14. 【請求項14】熱可塑性樹脂基材が、熱可塑性樹脂10
    0重量部に対し、無機化合物を0.03〜25重量部含
    有してなる熱可塑性樹脂組成物である請求項1に記載の
    防曇性フィルム。
  15. 【請求項15】無機化合物が、複合水酸化物である請求
    項14記載の防曇性フィルム。
  16. 【請求項16】複合水酸化物が、下記式 Li+(Al3+2(OH-6・(A2 n-1/n・mH2O (1) (式中、A2 n-は、n価の陰イオンを示し、mは、0≦
    m≦3の条件を満たす)で示されるリチウムアルミニウ
    ム複合水酸化物である請求項15記載の防曇性フィル
    ム。
  17. 【請求項17】複合水酸化物が、ハイドロタルサイト類
    化合物である請求項15記載の防曇性フィルム。
  18. 【請求項18】熱可塑性樹脂基材が、光安定剤、紫外線
    吸収剤、防霧剤、防曇剤から選ばれる少なくとも1種を
    含有してなる熱可塑性樹脂組成物である請求項1または
    14記載の防曇性フィルム。
  19. 【請求項19】熱可塑性樹脂基材が、熱可塑性樹脂10
    0重量部に対して、光安定剤0.02〜5重量部、紫外
    線吸収剤0.01〜3重量部、防霧剤0.01〜3重量
    部、防曇剤0.1〜4重量部含有してなる熱可塑性樹脂
    組成物である請求項1、14または18記載の防曇性フ
    ィルム。
  20. 【請求項20】熱可塑性樹脂基材フィルムが2層以上か
    らなる多層フィルムである請求項1記載の防曇性フィル
    ム。
  21. 【請求項21】多層フィルムの少なくとも1層が、密度
    が0.935g/cm3以下の低密度ポリエチレン、エ
    チレン−α−オレフィン共重合体または酢酸ビニル含有
    量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体か
    らなる層である請求項20に記載の防曇性フィルム。
  22. 【請求項22】70%以上の保温性指数を有する請求項
    1に記載の防曇性フィルム。
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