JPH1110761A - 複合フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

複合フィルムおよびその製造方法

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JPH1110761A
JPH1110761A JP16840997A JP16840997A JPH1110761A JP H1110761 A JPH1110761 A JP H1110761A JP 16840997 A JP16840997 A JP 16840997A JP 16840997 A JP16840997 A JP 16840997A JP H1110761 A JPH1110761 A JP H1110761A
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film
resin
composite film
thickness
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JP16840997A
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Tomoko Miyazaki
朋子 宮崎
Keiji Takeda
恵司 竹田
Jiro Amano
慈朗 天野
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】十分な防水性能を有すると同時に、優れた透湿
性能を具備した複合フィルムを得ること。 【解決手段】一の非多孔質樹脂層(A)の片面に、他の
非多孔質樹脂層(B)が部分的に被覆されてなり、か
つ、該樹脂層(A)の厚みが5〜50μm、樹脂層
(B)の厚みが0.01〜30μmである複合フィルム
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合フィルムに関
する。より詳細には、高度な透湿性能および防水性能を
具備したフィルムとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】衣料分野あるいは医療材料分野などにお
いては、膜を利用した透湿防水素材が広く用いられてい
る。近年、特にスポーツ用途を始めとする衣料分野にお
いて、激しい運動の際にも快適性を維持できるように、
より高い透湿性能、結露防止性能をもった素材が希求さ
れており、膜自体の機能向上のために様々な手段が講じ
られてきた。中でも、コスト的に有利な乾式コーティン
グで調製される非多孔膜を用いる場合には、膜自身の親
水化、薄膜化などによる高透湿化が行われていた。
【0003】しかし、膜自身の親水化によっては高水圧
下での漏水および繊維構造物と接着した際の接着性の低
下が、薄膜化によっては強度および耐久性の低下などが
おこり、防水性能に問題が生じた。
【0004】そこで、例えば親水化による弊害を補完す
るために、疎水性膜を全面に複合化するなど、膜の厚さ
方向に違方性を付与した複合膜を利用することも有効な
手段として実施されていた。
【0005】しかしながら、均質な疎水性膜を全面に複
合化した場合、疎水性膜を超薄膜としても透湿度の低下
が著しく、十分な防水性能と両立しうる透湿性能には限
界があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、十分
な防水性能を備えながら、非常に優れた透湿性能を発現
する複合フィルムとその製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の複合フィルム
は、前記課題を解決するため以下の構成を有する。
【0008】すなわち、一の非多孔質樹脂層(A)の片
面に、他の非多孔質樹脂層(B)が部分的に被覆されて
なり、かつ、樹脂層(A)の厚みが5〜50μm、樹脂
層(B)の厚みが0.01〜30μmであることを特徴
とする複合フィルムである。
【0009】また、本発明の複合フィルムの製造方法
は、前記課題を解決するため以下の構成を有する。
【0010】すなわち、離型支持体上に、被膜時の膨潤
率が10%以上である樹脂Aを均一塗布し、熱処理を施
した後に、被膜時の吸水膨潤率が1%以下、かつ、浸水
後の強度保持率が80%以上である樹脂層(B)を部分
的に塗布し、前記樹脂に熱処理を施して離型支持体上か
ら離型することを特徴とする複合フィルムの製造方法で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
を行う。
【0012】本発明の複合フィルムは、2種類の非多孔
質樹脂より構成されるものである。
【0013】本発明において、「非多孔質」とは走査電
子顕微鏡(以下、SEMと略す)および透過電子顕微鏡
(以下、TEMと略す)で観察した場合、これらの分解
能では「孔」が観察不可能な状態のことをいい、一般的
には非膨潤状態において20nm以上の「孔」が存在し
ない状態をいう。
【0014】この場合の「孔」とは、製造工程などで膜
中に生じた独立気泡、物理刺激により生じたピンホー
ル、欠陥などは含まれない。
【0015】本発明において、樹脂層(A)は5〜50
μmの厚さの連続面構造を持つ非多孔質層であり、樹脂
層(A)を部分的に被覆する樹脂層(B)は0.01〜
30μmの厚さの非多孔質層である。
【0016】本発明において、樹脂層(B)は樹脂層
(A)を部分的に被覆することが重要である。
【0017】樹脂層(A)の片面を樹脂層(B)を用い
て被覆することで、膜に異方性を付与して吸水時の樹脂
層(A)の膨潤を抑制し、強度低下を防いで十分な防水
性を発現させることができるが、一方で樹脂層(B)は
透湿度に比較的劣るため、樹脂層(A)の全面を被覆す
ると膜全体の透湿性能の低下を招く。
【0018】よって、樹脂層(B)による被覆を全面で
はなく部分的にすることで、水に対する透湿抵抗の低い
経路が確保され、透湿度の低下を格段に小さく抑えるこ
とができるのである。
【0019】樹脂層(A)に用いる樹脂膜として、単独
被膜でもある程度の防水性能を有したものを選択すれ
ば、樹脂層(A)の吸水による膨潤を樹脂層(B)によ
り部分的に抑制するだけで高水圧下での漏水も防止する
ことが可能であり、吸水時の樹脂層(A)の強度低下も
抑制しうる。
【0020】ただし、ここでいう「漏水」とは、高い水
圧をかけた場合に、吸水膨潤により樹脂自体が可塑化さ
れて液体のまま水が膜の逆側に通過しうる状態となり、
膜逆面に達した水の膜面からの蒸発速度よりも膜中の水
の透過速度の方が大きくなって、膜自体が破損すること
なく逆側の膜面が濡れる現象をいう。
【0021】すなわち、樹脂層(B)での部分的な被覆
によって、樹脂層(A)の高い透湿度をほとんど損なう
ことなく、十分な防水性を両立しうるのである。
【0022】本発明において、樹脂層(A)の膜厚は5
〜50μmであることが重要である。樹脂A層の膜厚が
5μmより薄いとフィルムのハンドリング上および強度
上の問題が生じる。また、50μmを超えると樹脂層
(A)自体の透湿度が低くなり、樹脂層(B)での被覆
による低下をも考慮すると、複合膜とした場合に十分な
透湿性能が発現されない。
【0023】本発明において、樹脂層(B)の厚みは
0.01〜30μmであることが重要である。樹脂層
(B)が0.01μmよりも薄いと樹脂層(A)の吸水
による膨潤を十分に抑制することが出来ず、30μmよ
りも厚いと部分的な被覆であっても複合部分の透湿度が
極めて小さくなるため、膜全体の透湿度が非常に低くな
る。
【0024】樹脂層(B)の複合形態としては、出来る
だけ均一分布していることが好ましく、具体的には網目
状あるいはドット状、などの形状がより好ましい。
【0025】本発明において樹脂層(A)上を樹脂層
(B)によりドット状に被覆する場合、性能バランスの
面から、ドット1つ当たりの被覆面積は0.01〜10
mm2であることが望ましい。また、ドットの形は特に
限定されず、直線および円弧のそれぞれ、あるいはこれ
らの組み合わせによって囲まれる形状など、あらゆる形
のものを適宜用いることができる。
【0026】本発明における樹脂層(B)による樹脂層
(A)の被覆率は、30〜90%であることが好まし
い。
【0027】樹脂層(B)による樹脂層(A)の最適な
被覆率は、被覆形態および目的とする複合膜の性能バラ
ンスに依存する。著しい透湿度の低下を防ぎ、部分的な
被覆であることのメリットを十分に生かすために90%
以下の被覆率、そして漏水防止および強度維持効果を得
るために60%以上の被覆率にすることがより好まし
い。
【0028】本発明の複合フィルムにおいて、樹脂層
(A)側の結露量に対する樹脂層(B)による部分被覆
側の結露量の比が80%以下であることが好ましい。
【0029】樹脂層(A)側の結露量とは、樹脂層
(A)が水蒸気層と接した場合、膜面への吸水量または
吸湿量、ならびに膜の水蒸気排出能力を超えた余剰水蒸
気が、樹脂層(A)面に水滴となって現れる量のことい
い、樹脂層(B)による部分被覆側の結露量とは、樹脂
層(A)の樹脂層(B)により部分的に被覆されたが側
が水蒸気層と接した場合、膜面への吸水量または吸湿
量、ならびに膜の水蒸気排出能力を超えた余剰水蒸気
が、樹脂層(B)による部分被覆側の膜表面に水滴とな
って現れる量のこという。ただし、ここでいう膜の水蒸
気排出能力とは、樹脂層(A)を通過して、あるいは部
分的には樹脂層(A)および樹脂層(B)を経て、膜を
透過しうる透湿量をいう。
【0030】樹脂層(A)側の結露量に対する樹脂層
(B)被覆側の結露量の比が80%以下であるとは、い
かなる場合においても樹脂層(A)からの結露量が樹脂
層(B)による部分被覆側からの結露量に対し80%以
下であることをいう。
【0031】本発明においては、樹脂層(A)側から、
あるいは樹脂層(B)による部分被覆側からの膜内部へ
の水分の移動性に差を有する。
【0032】具体的には、樹脂層(A)は非常に大きな
吸湿・吸水量を示し、樹脂層(A)に収着した水により
樹脂自体が可塑化されて高い透湿度を発現するが、樹脂
層(B)ではこのような水による可塑化効果はほとんど
認められない。こうした水に対する樹脂の挙動の差によ
り、水分の移動性に差を生じる。
【0033】本発明においては、樹脂層(A)には親水
性で高い透湿度を発現する樹脂を使用するが、衣料素材
に本複合フィルムを利用した際の着用快適性に大きく影
響する結露防止性を特に重視すれば、吸水機能を有する
エラストマーを用いることが望ましい。
【0034】本発明で使用するエラストマーとしては、
スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、
ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、ポ
リアミド系エラストマーなどを使用できる。
【0035】具体的には、スチレン系エラストマーとし
て、ポリブタジエンとポリスチレンとの共重合体やポリ
イソプレンとポリスチレンとの共重合体など、オレフィ
ン系エラストマーとして、エチレン・プロピレン・メチ
レンとポリプロピレンとの共重合体、ウレタン系エラス
トマーとして、短鎖グリコールが結合したジイソシアナ
ートと長鎖ポリオールが結合したジイソシアナートとの
共重合体、エステル系エラストマーとして、ポリエチレ
ンテレフタレートと高分子量ポリエチレンエーテルグリ
コールとの共重合体やポリブチレンテレフタレートと高
分子量ポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体
など、ポリアミド系エラストマーとしてナイロン6とポ
リエーテルとの共重合体などの親水化されたものを使用
することができる。
【0036】特に、ウレタン系エラストマー、エステル
系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどの水膨
潤性エラストマーを使用することがより好ましい。
【0037】吸水膨潤による構造弛緩、強度低下を考慮
に入れると、その中でもウレタン系エラストマーの使用
が特に好ましい。
【0038】樹脂層(B)は、水に対して樹脂層(A)
と全く異なる挙動を示すにもかかわらず、いかなる湿度
雰囲気下においても樹脂層(A)と一体化していること
が必要であり、すなわち、樹脂層(A)と良好に相溶す
るものでなければならない。さらに積層フィルムのスト
レッチ性を考慮すれば、ポリウレタン樹脂を用いること
が好ましい。
【0039】本発明で用いるポリウレタン樹脂とは、ポ
リイソシアネートとポリオールを反応せしめて得られる
共重合体のことをいう。
【0040】イソシアネート成分としては、芳香族ジイ
ソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよび脂肪族ジ
イソシアネートの単独またはこれらの混合物を用い、例
えば、トリレン2,4−ジイソシアネート、4,4′−
ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメ
チレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイ
ソシアネートなどを用い、また、ポリオール成分として
は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール
を用い、ポリエーテルポリオールはポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコールなどを用い、ポリエステルポリオールは、エ
チレングリコール、プロピレングリコールなどのジオー
ルとアジピン酸、セバチン酸などの2塩基酸との反応生
成物やカプロラクトンなどの開環重合物を用いることが
できる。その他、エーテル/エステル系、アミド系、カ
ーボネート系のものも適宜利用できる。
【0041】吸水膨潤抑制の観点から、これらの中でも
水と接した場合において膨潤性の低いものが好ましい。
【0042】本発明による複合フィルムの衣料素材での
利用を想定する場合、衣服内に結露が生じた場合の着用
快適性の低下と広い適応範囲の観点から、素材としての
一方の面側からの透湿度が20000g/m2・24h
以上であるのが好ましい。特に、繊維構造物に本発明の
複合フィルムを複合化して用いることを考慮すると、繊
維構造物との接着による透湿度の低下が避けがたいもの
と考えられることから、フィルム単独での樹脂層(A)
側からの透湿度は50000g/m2・24h以上であ
ることがより好ましい。
【0043】本発明における透湿度とは、JIS L 1
099 酢酸カリウム法での透湿度を評価したもののこ
とをいう。 この方法は特に発汗量が多く、衣服内が結
露した状態での透湿を想定したものである。
【0044】通常、汗は水蒸気の形で衣服内から樹脂層
を通して衣服外に排出されるため、衣服内で結露してい
ない状態では、従来素材でも十分に対応できる範囲にあ
る。しかし、発汗量が多くなり、衣服内で結露が生じる
までの状態になると液体水と接した系となり、結露した
汗をいかに衣服外へ排出するかが大きな問題となり、よ
り多く透湿する必要が出てくる。
【0045】このような状況において、本発明の複合フ
ィルムは非常に優れた性能を発揮するのである。
【0046】次に、本発明の複合フィルムの製造方法に
ついて説明する。
【0047】本発明の複合フィルムの製造方法は、離型
支持体上に被膜時の吸水膨潤率が10%以上である樹脂
Aを均一塗布し、熱処理を施して製膜後、単独膜にした
場合の吸水膨潤率が1%以下、かつ浸水後の強度保持率
が80%以上である樹脂層(B)を部分的に塗布し、前
記樹脂に熱処理を施して製膜後、離型支持体上から樹脂
被膜を離型することにより複合フィルムを形成するもの
である。
【0048】本発明で用いる離型支持体とは、タフタ織
物、フィルム、紙など、表面が平滑で、しかもその表面
が支持上に形成させる樹脂膜に対し、親和性が低いもの
のことをいう。通常は、シリコーン樹脂を塗布した離型
紙やフィルム、ポリプロピレンをラミネートした離型紙
などを使用することが好ましい。
【0049】本発明において、被膜時の吸水膨潤率が1
0%以上である樹脂とは、膜厚30μmの樹脂単独被膜
を室温の蒸留水に浸漬した際に、線膨潤率が10%以上
であるもののことをいい、樹脂自身の吸水性が非常に高
いことを意味する。
【0050】また、被膜時の吸水膨潤率が1%未満であ
る樹脂とは、膜厚30μmの樹脂単独被膜を室温の蒸留
水に浸漬した際に、線膨潤率が1%未満であるもののこ
とをいい、樹脂自身の吸水性が非常に低いことを意味す
る。
【0051】浸水後の強度保持率が80%以上であると
は、膜厚30μmの樹脂単独被膜を室温の蒸留水に30
分以上浸漬し、表面の水滴を軽く拭った直後に測定され
る引張強度が、気乾時に測定される引張強度の80%以
上を維持していることをいい、樹脂自身の強度が水によ
りほとんど低下しないことを意味する。
【0052】また、離型支持体上に樹脂Aを均一塗布さ
せるとは、離型支持体上に樹脂A溶液をナイフオーバー
ロールコーティング、ダイレクトロールコーティング、
リバースロールコーティング、グラビアコーティングな
どのコーティング処方を用い、所望の膜厚となるように
塗布量を適宜設定して塗布することをいう。
【0053】熱処理を施して製膜するとは、温度50℃
〜150℃で、0.5分〜10分間の条件で乾燥、被膜
化せしめることをいう。
【0054】樹脂層(B)を部分的に塗布するとは、樹
脂層(B)溶液を、グラビアコーティング、スプレーコ
ーティングなどのコーティング処方を用いて、樹脂A被
膜上に所望の厚みおよび塗布形態となるように塗布量お
よび塗布速度を適宜設定して塗布することをいう。
【0055】被膜化の際、耐溶剤性、膜強度を向上させ
る目的で適宜、樹脂溶液に架橋剤してイソシアネート化
合物を併用することが好ましい。
【0056】イソシアネート化合物としては、2,4−
トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシ
アネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネートまたはこれらのジイソシアネート
類3モルと活性水素を含有する化合物、1モルとの付加
反応によって得られるトリイソシアネート類などを使用
できる。
【0057】これらのイソシアネート類は、イソシアネ
ート基が遊離した形のものであっても、あるいはフェノ
ール、メチルエチルケトオキシムなどを付加させること
により安定させ、その後の熱処理によりブロックを解離
させる形のものであってもよく、作業性や用途により適
宜使い分ければよい。
【0058】以上の方法により、複合フィルムを作製す
ることができ、離型支持体から剥離させることで複合フ
ィルム単独での利用が可能となる。
【0059】かかる構成から本発明における作用は、吸
水性樹脂を用いて結露防止性に優れた高透湿度の膜を形
成し、この上に部分的に疎水性樹脂層を形成せしめて膜
の吸水膨潤による強度低下、低耐水圧化を抑制すること
により達成されると考えられる。
【0060】また、結露量の差によって表されるよう
に、フィルムの表裏からの吸水性または吸湿性、透湿性
能に異方性が発現すること、結露時を想定した場合の透
湿度が50000g/m2・24h以上であることによ
り、あらゆる条件下での快適性を得ることができる。
【0061】本発明は透湿防水用フィルムとして、ま
た、衣料素材に利用すればフィッシング、登山衣などの
アウトドアウェア、スキー関連ウェア、ウインドブレー
カー、アスレチックウェア、ゴルフウェアレインウェ
ア、カジュアルコートなどのほか、屋外作業着、手袋、
靴などにも用いることができる。
【0062】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0063】なお、本発明における評価方法について以
下に示す。
【0064】[透湿度]JIS L 1099 酢酸カリ
ウム法に準じて測定した。
【0065】[膜面の結露量] 1.70℃の湯を500mlビーカーに満たし、水面と膜
面を一定間隔あけ、片面がビーカー側になるようにし
て、室温で3分放置する。
【0066】2.放置後、ビーカー側に面した膜面に生
じた液滴重量を測定した。A層側およびB被覆側からの
結露量を測定し、B被覆側に対するA層の結露量比を算
出した。
【0067】[耐漏水性] 1.JIS L 1092 高水圧法に準じた耐水度試
験機に、濡れにより変色する薄紙を挟んで透明フィルム
で補強した試験片を取り付け、0.3MPaまで徐々に
水圧を上昇させた。
【0068】0.3MPaの水圧を3分間保持し、薄紙が変色
しなかったものを○、変色したものを×として評価し
た。
【0069】[膜厚測定] 1.樹脂層(A)のみを熱処理・被膜化した時点で一部
をサンプリング(試料1)、同樹脂層を樹脂層(B)に
より部分的に被覆し、熱処理・複合被膜化したものの一
部をサンプリング(試料2)した。
【0070】2.試料1および試料2の断面をSEM観
察し、試料1の平均厚さを樹脂層(A)の厚さ、(試料
2の平均厚さ−試料1の平均厚さ)を樹脂層(B)の厚
さとした。
【0071】[ドット形状]樹脂層(A)が樹脂層(B)
により部分的に被覆された側のフィルム断面を、SEM
を用いて観察した。
【0072】[被覆率]樹脂層(A)が樹脂層(B)によ
り部分的に被覆された側のフィルム表面をSEMにより
観察し、5cm×5cmの範囲で樹脂層(B)が観察さ
れる面積と、樹脂層(A)が直接観察される面積との比
から樹脂層(B)による被覆率を算出した。
【0073】[吸水膨潤率] 1.バットに満たした水(23℃)中に膜厚30μmの
樹脂単独膜を24h浸漬した。
【0074】2.浸漬後、膜膨潤による直線方向の長さ
変化率(線膨潤率)を吸水膨潤率とした。
【0075】実施例1 吸水膨潤率17.4%の吸水性ポリウレタンエラストマ
ーを、メチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混
合溶媒中に溶解させ、固形分23重量%の樹脂A塗工液
を調製した。
【0076】吸水膨潤率0.1%の疎水性ポリウレタン
エラストマーを、メチルエチルケトンとジメチルホルム
アミドの混合溶媒中に溶解させて固形分10重量%とし
た溶液に、架橋剤として芳香族系ポリイソシアネート9
重量部、架橋促進剤としてアミン成分2重量部を添加
し、樹脂層(B)塗工液を調製した。
【0077】PPフィルムをラミネートしてある離型紙
上に、ナイフを用いて樹脂A塗工液を塗布し、120℃
で2分間熱処理して溶剤を揮散させ、樹脂層(A)を形
成せしめた。
【0078】続いて、樹脂層(A)上に、グラビアロー
ルを用いて樹脂層(B)塗工液を塗布した。該樹脂を、
120℃で2分間熱処理し、溶剤を揮散させると同時に
架橋反応を進行せしめ、複合被膜を調製した。
【0079】被膜を離型紙から剥離させることで本発明
の複合フィルムを得た。樹脂層(A)の膜厚は12μ
m、樹脂層(B)の厚みは約2μmであった。樹脂層
(B)による樹脂層(A)の被覆形状はドット状であ
り、表面被覆率は70%であった。
【0080】表1に示すように透湿度が101,000
g/m2・24hと非常に高く、十分な耐漏水性を示す
フィルムが得られた。
【0081】実施例2 樹脂層(B)塗工液を、樹脂層(B)の厚みが約5μm
となるように塗布する以外は実施例1と同じ方法で複合
フィルムを製造した。
【0082】樹脂層(A)の膜厚は12μm、樹脂層
(B)の厚みは5μmであった。樹脂層(B)による樹
脂層(A)表面の被覆形状はドット状であり、表面被覆
率は75%であった。
【0083】表1に示すように、89,000g/m2
・24hと非常に高い透湿度を示すと同時に、十分な耐
漏水性を有するフィルムが得られた。
【0084】実施例3 樹脂層(B)塗工液を、樹脂層(B)が網目状になるよ
うに塗布する以外は実施例1と同じ方法で複合フィルム
を製造した。
【0085】樹脂層(A)の膜厚は13μm、樹脂層
(B)の厚みは5μmであった。樹脂層(B)による樹
脂層(A)表面の被覆形状は網目状であり、表面被覆率
は65%であった。
【0086】表1に示すように、結露量の表裏差が大き
く、72,000g/m2・24hと非常に高い透湿度
を示すと同時に、十分な耐漏水性を有するフィルムが得
られた。
【0087】比較例1 樹脂A塗工液を、膜厚が4μmとなるように塗布する以
外は実施例1と同じ方法で複合フィルムを製造した。
【0088】樹脂層(A)の膜厚は4μm、樹脂層
(B)の厚みは2μmであった。樹脂層(B)による樹
脂層(A)の表面被覆形状はドット状であり、表面被覆
率は70%であった。
【0089】この比較例1の複合フィルムは、フィルム
全体が薄いために透湿度や対漏水性を測定する器具への
取付中に破損してしまうなど、強度に劣ったフィルムと
なった。
【0090】比較例2 樹脂A塗工液を、膜厚が約60μmとなるように塗布す
る以外は実施例1と同じ方法で複合フィルムを製造し
た。
【0091】樹脂層(A)の膜厚は63μm、樹脂層
(B)の厚みは2μmであった。樹脂層(B)による樹
脂層(A)の表面被覆形状はドット状であり、表面被覆
率は70%であった。
【0092】表1に示すように、樹脂層(A)が厚いた
めに、耐漏水性は十分であるが、25,000g/m2
・24hとやや透湿度に劣ったフィルムとなった。
【0093】比較例3 樹脂層(B)塗工液を、膜厚が0.01μmより小さく
なるように塗布する以外は実施例1と同じ方法で複合フ
ィルムを製造した。
【0094】樹脂層(A)の膜厚は14μm、樹脂層
(B)の厚みは0.01μmよりも小さく正確には測定
不能であった。樹脂層(B)による樹脂層(A)の表面
被覆形状はドット状であり、表面被覆率は60%であっ
た。
【0095】表1に示すように、樹脂層(B)が非常に
薄いために、121,000g/m2・24hと非常に
高い透湿度を示すものの、耐漏水性に劣ったフィルムと
なった。
【0096】比較例4 樹脂層(B)塗工液を、樹脂層(B)の厚みが約40μ
mとなるように塗布する以外は実施例1と同じ方法で複
合フィルムを製造した。
【0097】樹脂層(A)の膜厚は13μm、樹脂層
(B)の厚みは43μmであった。樹脂層(B)による
樹脂層(A)の表面被覆形状はドット状であり、表面被
覆率は80%であった。
【0098】表1に示すように、樹脂層(B)が非常に
厚いために、十分な耐漏水性を示すものの、透湿度は
4,000g/m2・24hと低いフィルムとなった。
【0099】比較例5 樹脂層(B)塗工液を、樹脂層(B)の厚みが約4μm
となるようにクリアランスを調整したナイフを用いて均
一に塗布する以外は実施例1と同じ方法で複合フィルム
を製造した。
【0100】樹脂層(A)の膜厚は16μm、樹脂層
(B)の厚みは4μmであった。樹脂層(A)は樹脂層
(B)により表面全体を均一に被覆されており、従って
樹脂層(B)による樹脂層(A)の表面被覆率は100
%であった。
【0101】表1に示すように、樹脂層(B)が樹脂層
(A)全体を均一に被覆しているために、結露量の表裏
差が大きく、十分な耐漏水性を示すものの、透湿度は2
7,000g/m2・24hと部分被覆したものに比べ
てやや劣ったフィルムであった。
【0102】
【表1】
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、十分な防水性能を備え
ながら、非常に優れた透湿性能を有したフィルムを得る
ことができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // A41D 31/00 504 A41D 31/00 504D 31/02 31/02 C B29L 7:00 9:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一の非多孔質樹脂層(A)の片面に、他の
    非多孔質樹脂層(B)が部分的に被覆されてなり、か
    つ、樹脂層(A)の厚みが5〜50μm、樹脂層(B)
    の厚みが0.01〜30μmであることを特徴とする複
    合フィルム。
  2. 【請求項2】樹脂層(B)が、ドット状もしくは網目状
    に樹脂層(A)に積層していることを特徴とする請求項
    1に記載の複合フィルム。
  3. 【請求項3】樹脂層(B)による樹脂層(A)の被覆率
    が、30〜90%であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の複合フィルム。
  4. 【請求項4】樹脂層(A)面側の結露量が、樹脂層
    (B)に部分的被覆されてなる面側の結露量の80%以
    下であり、かつ、樹脂層(A)面側からの透湿度が20
    000g/m2・24h以上であることを特徴とする請
    求項1、2または3に記載の複合フィルム。
  5. 【請求項5】樹脂層(A)がウレタン系エラスマーであ
    ることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の
    複合フィルム。
  6. 【請求項6】樹脂層(B)がポリウレタン樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の
    複合フィルム。
  7. 【請求項7】離型支持体上に、被膜時の吸水膨潤率が1
    0%以上である樹脂Aを均一塗布し、熱処理を施して製
    膜後、被膜時の吸水膨潤率が1%未満であり、かつ、浸
    水後の強度保持率が80%以上である樹脂層(B)を部
    分的に塗布し、熱処理を施して製膜後、離型支持体上か
    ら樹脂被膜を離型することを特徴とする複合フィルムの
    製造方法。
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