JPH11107282A - 壁体構造 - Google Patents

壁体構造

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JPH11107282A
JPH11107282A JP27023997A JP27023997A JPH11107282A JP H11107282 A JPH11107282 A JP H11107282A JP 27023997 A JP27023997 A JP 27023997A JP 27023997 A JP27023997 A JP 27023997A JP H11107282 A JPH11107282 A JP H11107282A
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concrete block
concrete
wall structure
wall
water
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Shiro Kimura
志朗 木村
Taizo Kimura
泰三 木村
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RITA SOGO KIKAKU KK
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RITA SOGO KIKAKU KK
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 擁壁51等のコンクリート製の壁体など
の構造体とその背面側の土砂類との間に構築するコンク
リートブロック体1の積層体による壁体構造であって、
コンクリートブロック体1はその内部を中空部1aとす
るとともにこの中空部1aを外部に開放する開口1bを
設けたものとし、コンクリートブロック体1どうしがそ
れぞれの開口1bを介して連通するように積層配列する
ことで、空隙率が高くしかも透水性も有する壁体構造を
得る。 【効果】 施工が格段に容易で、しかも安定した透水性
及び強度を維持でき安定性に優れた壁体構造を提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、盛土や切土あるい
は各種の地下構造物を構築するためのコンクリートブロ
ックを利用した壁体構造に係り、特に土圧の軽減によっ
て高い安定性が維持できる壁体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】盛土や切土及び各種の地下構造物を構築
する施工においては、施工体の背面の土砂部との間を区
画するために、擁壁などの壁体を構築して必要な空間を
確保することが必要である。
【0003】このような壁体の設計・施工に際して考慮
されるべき重要な要素として、施工体周りの背面土砂か
ら受ける土圧と、背面水位から受ける水圧とくに上昇し
たときの条件を想定した水圧とが挙げられる。これらの
土圧及び水圧の中で、背面土砂そのものに内部摩擦角に
よる一定の自立性があるため、0.3や0.4などの
1.0以下の土圧係数を適用できるので、土圧は一定の
割合で軽減されることになる。これに対して、水圧は背
面土砂中にその圧力を下げるように作用する障害物がな
い場合には、土圧係数は1.0として考慮されるので、
水圧は実質的に軽減されないものとして設計することが
必要である。
【0004】したがって、擁壁等に対する圧力負荷につ
いては、水圧負荷をどのように抑えるかが重要な設計課
題の一つとなる。すなわち、このように壁体の設計・施
工に重要な因子のうち、水圧についてはその過大な上昇
を抑えることが不可欠であり、壁体の構築に際してはそ
の背面水位を如何にして上昇させないようにするかとい
うことが非常に重要である。そして、背面水位の上昇を
抑えるため、従来では、壁体の背面に透水性の高い砕石
や栗石を詰めたり透水マットを配置したりする施工が行
なわれている。
【0005】このような施工は、いずれも壁体周りの透
水性を高めることによって、雨水もしくは地中への浸透
水等が抜けやすくして外部に排出し、水圧による壁体へ
の圧力負荷の上昇をなくして施工体の安定性を維持する
というものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、地盤中の透
水性を高めて水を排出しやすくするための砕石や栗石及
び透水マットを用いる施工では、施工後においてこれら
の透水性部材の水の通路となる隙間にシルト分等が浸透
してしまうと、目詰まりを引き起こす。このようなシル
ト分等による目詰まりは経時的にその度合いが上昇して
いくので、水圧負荷も増加していき、これに起因して施
工体の擁壁が傾いてしまったり、過大な負荷が生じると
転倒等を招いてしまう。
【0007】また、砕石や栗石は専用に形成したブロッ
ク製品等に比べると廉価であり、トラック等による輸送
効率及び現場での施工性も比較的高いといえる。しかし
ながら、これらの砕石や栗石は、いわば不定形の塊であ
ってこれらの塊を現場で充填するというものなので、転
圧するにしてもその充填率の一様化には限界がある。こ
のため、塊どうしの間の通水路となる隙間の空隙率もば
らつきが多く、水が通り抜けやすい部分と閉塞してしま
う部分とが混在するようになり、水圧に対する安定化が
損なわれる。
【0008】更に、砕石や栗石による施工では、石の塊
の積層体として施工されるので、空隙率を大きくすれば
水の透水性は高まるものの、この積層体が崩落しやす
い。このため、充填率を或る程度以上に確保した施工体
としなければ強度的な問題を伴うことなり、したがって
その施工にも時間がかかるほか擁壁の背部に対する土圧
の軽減化にも制約を受けることなる。
【0009】このように、従来の盛土や切土及び各種の
地下構造物の施工では、透水性と強度及び土圧軽減のい
ずれもが最適化されたものではなく、一つの条件を満た
していても他の条件に適合できないという問題がある。
【0010】本発明において解決すべき課題は、施工が
格段に容易でしかも安定した透水性及び強度を維持でき
安定性に優れた壁体構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の壁体構造は、コ
ンクリート製壁体などの構造体とその背面側の土砂類と
の間に、内部から外面に連通した中空部を備え且つ自立
可能なコンクリートブロック体を積層したことを特徴と
する。
【0012】このような構成では、コンクリートブロッ
ク体を平面方向にも多数配列すると同時に上下方向に積
層するとき、中空部どうしが互いに連通するようにすれ
ば、壁体構造の中に水の通路を形成することができ、壁
体構造の全体に透水性を持たせることができると同時に
中空部による空隙率の増加によって構造体への土圧負荷
も軽減され、構造体をより簡易なものとすることができ
る。
【0013】また、本発明においては、コンクリートブ
ロック体は、六面以上の外面を有する多面体であって、
中空部は二面以上の外面に開けた開口によって外部に開
放したものとすることができ、二面以上に開口を開ける
ことで、少なくとも水の入側及び出側を持たせることが
できる。
【0014】更に、開口は、コンクリートブロック体を
上下に積層または平面的に配列したとき、隣接し合うコ
ンクリートブロック体のそれぞれについて互いに整合可
能な形状及び配置とすれば、積層方向にも平面配列方向
にも水の通路を展開させることができる。
【0015】また、コンクリートブロック体は、立方体
または直方体の外殻形状とすることができ、この場合、
平面配列及び積層のための施工をより一層簡略化するこ
とができ、施工期間の短縮化を図ることができる。
【0016】そして更に、コンクリートブロック体の外
殻面に沿って配置されコンクリートブロック体どうしを
位置決め接合する接手を備え、コンクリートブロック体
の積層配列及び平面配列の両方向に接手を介して相互に
間隔を開けて配列するものでは、中空部だけでなくコン
クリートブロック体自身の周りにも空間ができるので、
更に空隙率を上げることができ、軽量化を図ることが可
能である。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の壁体構造を適用し
た擁壁の要部を示す概略縦断面図である。図1におい
て、コンクリートによって打設された擁壁51の背部に
は、本発明の壁体構造の要素を形成するコンクリートブ
ロック体1が3種類のコンクリート製の接手2a,2
b,2cとともに地盤中に埋設されている。コンクリー
トブロック体1は、図2及び図4の別の例で示すものと
同様に、内部をほぼ球状の中空部とした中空部1aとす
るとともに、各面には、この中空部1aを外に開放する
円形の開口1bを形成したものである。そして、コンク
リートブロック体1は、図示の例では上下に3段積層さ
れ、平面方向には擁壁51に沿わせて複数配置してい
る。
【0018】図2はコンクリートブロック体の一つの種
類を示す斜視図、図3はこのコンクリートブロック体を
型製作する要領を示すための概略図である。なお、図2
に示すコンクリートブロック体は図1に示したコンクリ
ートブロック体1として適用できるものであるが、後述
する図4において別の種類のコンクリートブロック体を
示すので、図2においてはコンクリートブロック体は符
号3で指示する。
【0019】コンクリートブロック体3は立方体の外郭
を持つコンクリート製であり、その内部をほぼ球状を呈
する中空の中空部3aとして全体を軽量化したものであ
る。中空部3aはコンクリートブロック体3の中心と同
心上に配置され、その直径をコンクリートブロック体3
の1辺の長さよりも少し大きくすることによって、コン
クリートブロック体3の各表面には円形の開口3bがそ
れぞれ形成される。そして、このような形状のコンクリ
ートブロック体3は、図3に示す型枠4及び弾性中子5
によって製造することができる。
【0020】図3において、コンクリートブロック体3
を型製作するための型枠4は、上面だけを除く5面に創
成板4aを配置してこれらの創成板4aのそれぞれには
円形の開口4bを中央に開けたものである。そして、型
枠4の上端には創成板4aの開口4bと同じ内径を持つ
環状体4dを有する、弾性中子保持用の治具4cを配置
している。
【0021】ブロック3の中空部3aは、治具4cの環
状体4dから型枠4に出し入れ自在な弾性中子5によっ
て創成される。この弾性中子5は適切な強度を持つ厚さ
のゴムを素材とし、その中に空気を圧入しない自然状態
のときには図3において実線で示すような紡錘状の細長
い形状を保つものである。そして、弾性中子5の上端に
はコンプレッサ(図示せず)からの圧縮空気の供給ホー
ス5aを接続し、これから圧縮空気を供給することで図
中の一点鎖線で示すように全体を球状に膨張変形させる
ことができる。
【0022】このような弾性中子5を用いるときのコン
クリートブロック体3の型製作は、弾性中子5を自然状
態の紡錘形状としたままこれを治具4cの環状体4dに
通して型枠4の中に落とし込む。そして、供給ホース5
aから圧縮空気を弾性中子5に送り込むと、弾性中子5
は球状に膨張変形していき、その周面が各創成板4aの
開口4b及び治具4cの環状体4dの中に入り込むよう
に変形する。したがって、型枠4に対して弾性中子5を
所定の位置に位置決めしないままでも、最終的には各開
口4b及び環状体4dからの膨出が拘束力を作用させ合
い、球状に膨張変形した弾性中子5を型枠4に対して調
心させることができる。
【0023】以上の弾性中子5の挿入及び球体状への膨
張変形の後には、生コンクリートを治具4dの環状体4
d周りの開放部分から注入する。そして、養生期間をお
いて生コンクリートが固化したときには、弾性中子5内
の圧縮空気を抜いて紡錘状に収縮させ、これを環状体4
dから抜くとともに創成板4aをばらすことで離型すれ
ば、図2に示したブロック3が得られる。
【0024】図4はコンクリートブロック体の別の例を
示す斜視図、図5は図4のコンクリートブロック体を型
製作する要領を説明するための概略図である。
【0025】図示のコンクリートブロック体6は、図3
に示したコンクリートブロック体3と同様にその外殻形
状を立方体とするとともに内部を中空の中空部6aと
し、この中空部6aを外部に開放させる円形の開口6b
をコンクリートブロック体6の各面に開けたものであ
る。各開口6bはコンクリートブロック体6の各面の中
央に中心を一致させた同じ半径のものであり、複数のコ
ンクリートブロック体6を前後左右及び上下に配列した
ときには、各コンクリートブロック体6の面が全て一致
した積層構造とすることができ、開口6bどうしも全て
整合する。
【0026】なお、図3の例のものと相違するのは、各
開口6bはその軸線方向に厚みを持つものとして形成さ
れている点であり、したがって、各開口6bの縁の肉厚
を大きくして十分な強度を持たせることができる。そし
て、このような肉厚を開口6b部分が持つことから、中
空部6aは球状ではなく、開口6bの内径に等しい半径
を持つ3本の円柱を互いに直交させる向きに貫通させた
ときにできるような中空構造を持つものとなる。
【0027】コンクリートブロック体6は、図5に示す
ように、立方体の容器状とした型枠7と上枠7a及び分
割中子8によって型製作することができる。分割中子8
は、外枠9に対して上下方向の軸線を合わせたほぼ円柱
状の主中子8aと、この主中子8aに対してその軸線方
向と直交する向きであって相互の間を90°の角度ピッ
チで配列した4個の副中子8b〜8eとから構成された
ものである。
【0028】すなわち、主中子8aに副中子8b〜8e
を連結したときには、図示のように主中子8aの周面部
分から副中子8b〜8eが平面視で十字状の配列となっ
て主中子8aの周面から突き出て、主中子8aの上下両
端部分の円柱部分を含めて合計6面に円柱状の中子を型
枠7の中で形成することができる。そして、上枠7aを
装着して生コンクリートを充填して固化させた後には、
型枠7からの離型の後に各副中子8b〜8eを主中子8
aから抜き取るとともに、この主中子8aも成形品から
抜くことで、図4に示したコンクリートブロック体6を
得ることができる。
【0029】なお、図1に示したコンクリートブロック
体1は、図2または図4で示したコンクリートブロック
体3,6のいずれでもよく、要するに内部が中空の立方
体形状であって外殻の各面に中空部を外部に開放するた
めの開口を同心配置したものであればよい。以下、コン
クリートブロック体としては、図2及び図4のものを含
めて図1に示した符号1を添えた「コンクリートブロッ
ク体1」として記載する。
【0030】コンクリートブロック体1を擁壁51の背
面に施工するとき、隣接し合う各コンクリートブロック
体1どうしの間には適切な大きさの隙間が一様にできる
ように先に述べた接手2a,2b,2cによって配列す
る。接手2bはほぼT字状の断面としたもので、上下の
積層方向の両端面に含まれるコンクリートブロック体1
どうしの間に介装され、接手2bはほぼL字状の断面と
してコーナ部に組み込まれるものである。また、接手2
aは各コンクリートブロック体1の前後左右及び上下方
向に隣接し合う4個の間に介装されるものであり、その
詳細を図6に示す。
【0031】同図の(a)に示すように、接手2aは全
体は正六面体から上下の4箇所を横及び縦の断面形状を
正方形として切り欠いた形状をベースとし、1辺の長さ
の1/3に相当する幅の十字状のクロス面2a−1を形
成し、このクロス面2a−1を接手2aの各六面にそれ
ぞれ形成する。これにより、接手2aの各六面にはクロ
ス面2a−1とともに上下の左右の4か所に立方体状の
切欠として創成される受け座2a−2が形成される。そ
して、各クロス面2a−1の中央部には対向する面まで
貫通する孔2a−3を開け、この孔2a−3をモルタル
や流動性を持つ接着剤を通すための充填路または鉄筋を
組み込む場合は配筋孔として利用できるようにする。な
お、接手2aは孔2a−3のないものであってもよい。
【0032】接手2aは、同図の(b)に示すように、
各コンクリートブロック体1のコーナ部を受け座2a−
2に突き当たるように施工配置することで、各コンクリ
ートブロック体1はクロス面2a−1の幅に相当する隙
間が直交する格子状に走るように前後左右及び上下方向
に一様な間隔を持って配列される。
【0033】なお、孔2a−3の上方からモルタルを供
給すれば、コンクリートブロック体1を図1に積層した
後でも、接手2aを介して各コンクリートブロック体3
を連結することができる。この場合、孔2a−3だけで
なく、この孔2a−3から受け座2a−2に向かう流路
孔を開けておけば、この受け座2a−2とコンクリート
ブロック体1との接合面にもモルタルを送り込むことが
でき、接合強度を更に上げることができる。
【0034】以上のような接手2a,2b,2cを利用
することで、多数のコンクリートブロック体1を同じ平
面内に配列するとともに積層することができる。そし
て、各コンクリートブロック体1は図1に示すように上
下方向に整然と配列した関係となるように各接手2a〜
2cによってその位置が拘束され、平面方向への配列に
おいても同様な位置関係が得られる。したがって、各コ
ンクリートブロック体1は、その周り6面に位置してい
る他のコンクリートブロック体1に対して開口1bが全
て整合することになるので、上層から下層及び平面配列
の層における全てのコンクリートブロック体1はその内
部の中空部1aによって連通する。
【0035】以上の構成において、擁壁51の背部に接
手2a〜2bを介して構築されたコンクリートブロック
体1による壁体は、コンクリートブロック体1が持つ中
空部1a及び接手2a〜2cの介在によって生じるコン
クリートブロック体1どうしの間の隙間によって空隙率
が高い構造体とすることができ、その施工面積当たりの
構造体の重量を軽減することができる。したがって、施
工現場が軟弱地盤上であっても、施工後の地盤沈下等を
伴うことがなく、壁体構造の安定化を図ることができ
る。
【0036】また、コンクリートブロック体1はその前
後左右及び上下方向に連なっている配列の全てが開口1
b及び中空部1aを介して連通しているので、擁壁51
に沿う地盤の透水性を高めることができる。そして、従
来の砕石や栗石等の充填による透水化を図る場合に比べ
ると、コンクリートブロック体1の内部の殆どを占める
中空部1aが通水路として確保されるので、雨水量が多
いときでも擁壁51の保全が維持される。
【0037】更に、施工においては、各コンクリートブ
ロック体1を接手2a〜2cを利用して一定間隔で配列
及び展開していくだけで、コンクリートブロック体1を
一様に整然と配列施工できる。このため、擁壁51の背
部での透水分布を均一化することができ、通水が十分で
あったり不足する領域の差が無くなり、擁壁51の保全
が更に効果的に維持される。
【0038】図7は本発明の壁体構造を橋台の背面に施
工した例を示す要部の概略縦断面図である。この例でも
橋梁を構築する際の橋台基礎52の背面に上下6段のコ
ンクリートブロック体1の積層体が接手2a〜2cによ
って構築され、先の例と同様に各コンクリートブロック
体1の中空部1aがそれぞれの開口1bを介して隣接し
合うコンクリートブロック体1と連通している。そし
て、このような各コンクリートブロック体1の配列によ
って、橋台基礎52の背面側の土圧が軽減されるととも
に高い透水性を得ることができ、特に地盤が軟弱な湖床
付近の施工現場にも十分に対応できる。
【0039】図8は本発明の壁体構造を矢板による護岸
工事に適用した例を示す要部の縦断面図である。この例
では、護岸工事のために地中に打設した矢板53の背部
に上下3段のコンクリートブロック体1が同様に接手2
a〜2cを介して構築され、矢板53の背部での透水性
の確保による水圧負荷の削減及び土圧の軽減を可能とし
ている。そして、図7で示した橋台基礎52の施工の場
合と同様に、地盤が軟弱な海岸または河川における施工
現場においても、矢板53の傾斜は崩落を生じることな
くその保全が可能となる。なお、矢板53は、施工現場
の状況などに応じて、鋼製、コンクリート製のいずれも
使用することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明により、以下の効果を奏すること
ができる。
【0041】(1)請求項1の発明では、コンクリート
製壁体等の構造体とその背面側の土砂類との間に、内部
から外面に連通した中空部を有する自立可能なコンクリ
ートブロック体を積層することによって、中空部が水の
通路となって排水性を維持し、且つ自立することによっ
て同時に土圧の軽減も可能となり安定性に優れた壁体構
造が得られる。
【0042】(2)請求項2の発明では、二面以上の開
口を中空部から外に向けて開けることで、少なくとも水
の入側及び出側を持たせることができ、これより多数の
開口を持たせると水の通路が更に展開するので排水性も
向上する。
【0043】(3)請求項3の発明では、コンクリート
ブロック体をその平面方向及び積層方向に配列するだけ
で、積層方向にも平面配列方向にも水の通路を同時に展
開させることができ、施工性が更に向上する。
【0044】(4)請求項4の発明では、コンクリート
ブロック体が立方体または直方体であれば、その積層や
平面配列の施工が整然と行なえるので、中空部の分散を
一様化して土圧の局所的な変動を抑えることができ、土
圧の軽減も均一化される。
【0045】(5)請求項5の発明では、接手によって
中空部だけでなくコンクリートブロック体自身の周りに
も空間ができるので、更に空隙率を上げることができ、
土圧の軽減が促進され、安定した構造体の維持が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の壁体構造を擁壁の背部に施工した例
を示す縦断面図である。
【図2】 本発明の壁体構造に使用するコンクリートブ
ロック体の一例を示す斜視図である。
【図3】 図2のコンクリートブロック体を型製作する
ための型枠と弾性中子の分解斜視図である。
【図4】 コンクリートブロック体の別の例を示す斜視
図である。
【図5】 図4のコンクリートブロック体を型製作する
ための外枠と分割中子を示す一部切欠斜視図である。
【図6】 コンクリートブロック体の位置決め及び固定
のための接手であって、同図の(a)はその斜視図、同
図の(b)はコンクリートブロック体と接手との位置関
係を示す斜視図である。
【図7】 本発明の壁体構造を橋台基礎の背面に施工し
た例を示す縦断面図である。
【図8】 本発明の壁体構造を護岸用の矢板の背面に施
工した例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,3 コンクリートブロック体 1a,3a,6a 中空部 1b,3b,6b 開口 2a,2b,2c 接手 4 型枠 5 弾性中子 6 コンクリートブロック体 7 外枠 8 分割中子 51 擁壁 52 橋台基礎 53 矢板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート製壁体などの構造体とその
    背面側の土砂類との間に、内部から外面に連通した中空
    部を備え且つ自立可能なコンクリートブロック体を積層
    したことを特徴とする壁体構造。
  2. 【請求項2】 前記コンクリートブロック体は、六面以
    上の外面を有する多面体であって、前記中空部は二面以
    上の外面に開けた開口によって外部に開放していること
    を特徴とする請求項1記載の壁体構造。
  3. 【請求項3】 前記開口は、前記コンクリートブロック
    体を上下に積層または平面的に配列したとき、隣接し合
    う前記コンクリートブロック体のそれぞれについて互い
    に整合可能な形状及び配置としたことを特徴とする請求
    項2記載の壁体構造。
  4. 【請求項4】 前記コンクリートブロック体は、立方体
    または直方体の外殻形状であることを特徴とする請求項
    1〜3記載の壁体構造。
  5. 【請求項5】 前記コンクリートブロック体の外殻面に
    沿って配置され前記コンクリートブロック体同士を位置
    決め接合する接手を備え、前記コンクリートブロック体
    の積層配列及び平面配列の両方向に接手を介して相互に
    間隔を開けて配列したことを特徴とする請求項4記載の
    壁体構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007247354A (ja) * 2006-03-20 2007-09-27 Toda Constr Co Ltd 軽量盛土構造及びそのための樹脂発泡ブロック体、並びにその構築方法
US20190127976A1 (en) * 2017-10-26 2019-05-02 William Donnelly Interlocking Blocks

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