JPH11103027A - 強誘電体薄膜及び強誘電体薄膜素子の製造方法、並びに強誘電体薄膜構造及び強誘電体薄膜素子 - Google Patents

強誘電体薄膜及び強誘電体薄膜素子の製造方法、並びに強誘電体薄膜構造及び強誘電体薄膜素子

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JPH11103027A
JPH11103027A JP9261379A JP26137997A JPH11103027A JP H11103027 A JPH11103027 A JP H11103027A JP 9261379 A JP9261379 A JP 9261379A JP 26137997 A JP26137997 A JP 26137997A JP H11103027 A JPH11103027 A JP H11103027A
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thin film
film
ferroelectric thin
ferroelectric
substrate
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JP9261379A
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English (en)
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Akiji Morimoto
章治 森本
Tatsuo Shimizu
立生 清水
Koumin Ri
効民 李
Kousuke Shiratsuyu
幸祐 白露
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Kanazawa University NUC
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kanazawa University NUC
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si基板上において、Pb系ペロブスカイト
型酸化物強誘電体薄膜を容易にかつ確実にエピタキシャ
ル成長させ得る強誘電体薄膜の製造方法とこれにより得
られる強誘電体薄膜を提供する。 【解決手段】 Si基板上に、Tiの一部をAlで置換
してなるTiN薄膜を形成し、その上に(Ba,Sr)
TiO3 層を形成し、さらにその上にPb系ペロブスカ
イト型酸化物強誘電体をエピタキシャル成長させる強誘
電体薄膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DRAMやFer
rolectric RAM(FeRAM)用キャパシ
ターとして有用な強誘電体薄膜をSi基板上に形成する
強誘電体薄膜の製造方法とこれにより得られる強誘電体
薄膜に関し、より詳細にはSi基板上に導電膜を形成
し、該導電膜上に強誘電体薄膜を高い配向度で形成する
ことを可能とする強誘電体薄膜の製造方法とこれにより
得られる強誘電体薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Si基板上に、鉛系あるいは非鉛
系ペロブスカイト化合物からなる強誘電体薄膜を形成す
る方法が種々試みられている。この種々の鉛系もしくは
非鉛系ペロブスカイト化合物としては、例えば、BaT
iO3 、SrTiO3 、(Ba,Sr)TiO3 、Pb
TiO3 、(Pb,La)TiO3 、PZT、PLZ
T、Pb(Mg,Nb)O3 などが挙げられる。
【0003】中でも、残留分極が大きいPZTやPLZ
TなどのPb系ペロブスカイト化合物をSi基板上にお
いてエピタキシャル成長することができれば、自発分極
を一方向に揃えることができるので、より大きな分極値
及び良好なスイッチング特性を得ることができる。従っ
て、高密度記録媒体としての応用を拡大し得るため、P
b系ペロブスカイト化合物をSi基板上にエピタキシャ
ル成長させる方法が強く求められている。
【0004】しかしながら、自発分極を膜厚方向の一方
向に揃えることが必要な上記用途では、Si基板上にお
いて、強誘電体薄膜を導電層で挟み込んだ構造、いわゆ
る金属−強誘電体−金属(MFM)構造が必要となる。
そのため、以下の理由により、結晶性に優れた、3軸配
向した酸化物強誘電体薄膜を得ることは困難であった。
【0005】すなわち、Si基板上に金属層として、
AgやAuなどの金属膜を形成し、金属膜上に酸化物強
誘電体薄膜を成長させた場合には、酸化物強誘電体薄膜
の成長時に強誘電体と金属との界面が酸化したり、金属
とSiとの間で相互拡散を生じたりするという問題があ
った。
【0006】金属膜材料としてPtを用いる方法も考
えられるが、PtはMgOやSrTiO3 などの酸化物
単結晶基板上においてはエピタキシャル成長するが、S
i基板上でPtを直接エピタキシャル成長することはで
きなかった。
【0007】導電層として、(La,Sr)CoO3
のような酸化物を用いる方法も考えられているが、この
場合には、Si基板と導電層との間に別の層を挿入する
ことが必要であった。例えば、強誘電体薄膜としてPL
ZTを形成する場合、PLZT/(La,Sr)CoO
3 /Bi4 Ti3 12/Y添加ZrO2 /Siのような
構造とする必要があった。従って、最上層であるPLZ
T層のような強誘電体層のエピタキシャル性を高めるこ
とが困難であった。
【0008】他方、鯉沼等(Jpn. J. Appl. Phys. vol.
35 (1996), L574 )は、Si基板上にTiN膜をレーザ
ー蒸着法(Pulsed Laser Deposition: PLD)により形成
し、TiN膜上にバッファ層としてSrTiO3 層を形
成し、バッファ層上にPZT薄膜をエピタキシャル成長
させる方法を提案している。この方法では、Si基板上
に10-7Torr以下の圧力(高真空)下でTiNをエ
ピタキシャル成長させ、SrTiO3 層を10-5Tor
rの圧力下において550℃の温度で形成し、しかる
後、PZT層を450℃において0.1Torr/O2
フロー中で形成している。すなわち、SrTiO3 は、
PZT層と極端に異なる圧力で作成されており、SrT
iO3 層が、上記のような低酸素分圧下でペロブスカイ
ト層となるため、SrTiO3 層は、PZT薄膜形成時
の酸化雰囲気下におけるTiN層の酸化を防止するため
に用いられていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記鯉
沼等の方法では、以下の問題があった。 Si上においてTiN薄膜をエピタキシャル成長させ
るために、10-7Torr以下の低圧力(高真空)が必
要であり、成膜チャンバなどの真空系のコストが非常に
高くつくという欠点があった。
【0010】TiNとPZTとの間のSrTiO3
ッファ層は、比誘電率εr が約200と小さいため、P
ZT/SrTiO3 の積層構造を形成した場合、電界が
SrTiO3 側に集中しやすかった。また、格子定数に
ついても、SrTiO3 の格子定数aは3.905Åで
あり、TiNの格子定数a=4.235ÅやPZTの格
子定数a=4.0〜4.1Åに比べて小さいため、Sr
TiO3 膜は、PZT薄膜をその上でエピタキシャル成
長させるには適当な膜とはいえなかった。
【0011】よって、本発明の目的は、Si基板上にバ
ッファ層としてTiN系材料層を形成し、さらにPb系
強誘電体薄膜をエピタキシャル成長させるに際し、強誘
電体薄膜を容易にかつ確実にエピタキシャル成長させる
ことができ、高い真空度を必要としないため安価に強誘
電体薄膜を製造することを可能とする、強誘電体薄膜の
製造方法とこれにより得られる強誘電体薄膜を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、Si基板上に、導電膜を形成し、該導電膜上に強誘
電体薄膜をエピタキシャル成長させる強誘電体薄膜の製
造方法において、前記導電膜として、AlでTiの一部
が置換されたTiN(以下TANと略す。)膜を形成
し、該TAN膜上に(Ba,Sr)TiO3 下地層を形
成し、下地層上にPb系ペロブスカイト型の酸化物強誘
電体を堆積させることを特徴とする。
【0013】また、請求項2記載の発明は、前記TAN
膜におけるAl置換量が、Ti及びAlの合計に対し原
子比で1〜30%の範囲とされていることを特徴とす
る。請求項3に記載の発明は、前記TAN膜を、Tiの
一部がAlで置換されているターゲット物質を用いレー
ザー蒸着法により形成することを特徴とする。
【0014】また、好ましくは、請求項3に記載の発明
においては、請求項4に記載のように、前記TAN膜の
レーザー蒸着法による形成に際し、10-5Torr以下
の圧力で形成することを特徴とする。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載の強誘電体薄膜の製造方法を用いた強誘
電体薄膜素子の製造方法であって、前記Pb系ペロブス
カイト型酸化物誘電体を堆積させた後に、該Pb系ペロ
ブスカイト型酸化物強誘電体膜上にさらに金属層を形成
することを特徴とする。
【0016】請求項6に記載の発明は、Si基板と、S
i基板上に形成されたTAN膜と、TAN膜上に形成さ
れた(Ba,Sr)TiO3 層と、(Ba,Sr)Ti
3層上に形成されたPb系ペロブスカイト型酸化物強
誘電体薄膜とを備える強誘電体薄膜構造である。
【0017】請求項7に記載の発明は、前記請求項6の
Tiの一部をAlで置換したTiN膜におけるAl置換
量がTi及びAlの合計に対し原子比で1〜30%の範
囲とされていることを特徴とする。
【0018】請求項8に記載の発明は、前記Pb系ペロ
ブスカイト酸化物強誘電体薄膜上に、形成された金属層
をさらに備える請求項6または7に記載の強誘電体薄膜
構造を用いたことを特徴とする強誘電体薄膜素子であ
る。
【0019】以下、本発明の詳細を説明する。本願発明
者等は、Si基板上に強誘電体薄膜をエピタキシャル成
長させるに際し、バッファ層としてTiN膜を形成する
場合、TiNのTiサイトの一部をAlで置換すれば、
10-7Torrのような高真空下でなくとも、Alで置
換されたTiN膜が良好にエピタキシャル成長すること
を見い出し、TAN膜を用い、さらに、特定の第2のバ
ッファ層を形成すれば、上記課題を達成し得ることを見
い出し、本発明をなすに至った。
【0020】TAN膜が、絶対圧10-7Torrのよう
な低圧力(高真空)下でなくとも良好にエピタキシャル
成長する理由は定かではないが、本願発明者により実験
的に見い出されたものである。
【0021】また、TiNのTiサイトの一部をAlで
置換するに際しての置換量については、請求項2に記載
のように、Ti及びAlの合計量に対し原子比率でAl
原子として1〜30%の範囲とすることが好ましい。こ
の置換割合が1%未満では、後述の耐酸化性向上効果が
十分に得られないことがあり、30%を超えるとTAN
の導電率が著しく低下し、電極層として機能を果たさな
くなることがある。
【0022】TAN膜のSi基板上への形成は、上述し
たとおり、高い真空度を必要とせずに行うことができ、
本願発明者の実験によれば、従来のTiN膜形成時に比
べて、高い圧力(低真空度)、すなわち10-5Torr
で行うことが可能であり、それによってSi基板上にT
AN膜をエピタキシャル成長させることができる。
【0023】さらに、本願発明者等は、PZTに代表さ
れるPb系ペロブスカイト化合物を上記TAN膜上にて
直接エピタキシャル成長させることが困難であることを
考慮し、TAN膜とPb系ペロブスカイト酸化物との間
に、(Ba,Sr)TiO3層を介在させれば、Pb系
ペロブスカイト酸化物をエピタキシャル成長させ得るこ
とを見い出した。
【0024】ここで、TAN層上に上記Pb系ペロブス
カイト酸化物をエピタキシャル成長させるに先立ち、
(Ba,Sr)TiO3 層を形成した理由は、以下の2
点である。
【0025】PZTに代表されるようなPb系強誘電
体薄膜の作製雰囲気は、一般には10 -1〜数10Tor
rの酸素雰囲気であり、TANを成長させる雰囲気とは
大きく異なり、非常に高酸素分圧である。従って、Pb
系強誘電体薄膜の作製に際し、TAN層の酸化が進行し
やすくなる。これに対して、揮発成分を構成元素に持た
ない非Pb系ペロブスカイト型強誘電体(室温以下で強
誘電体であるものを含む)、例えば、(Ba,Sr)T
iO3 は、低酸素分圧下でもペロブスカイト構造を取り
やすいため、TANの酸化防止層として利用することが
でき、かつPb系強誘電体薄膜形成に際しての下地とし
てペロブスカイトを形成する際の核となって働くことが
期待される。
【0026】上部に形成されるPb系誘電体薄膜の格
子定数を考慮すると、鯉沼等の提案しているSrTiO
3 層に比べて、SrTiO3 とBaTiO3 (格子定数
a=3.992Å)との固溶体である(Ba,Sr)T
iO3 をバッファ層として採用した場合の方が、Pb系
強誘電体がエピタキシャル成長しやすいと考えられる。
【0027】もっとも、格子定数だけを考慮すると、B
aTiO3 単体も有望であるが、BaTiO3 は温度に
より種々の結晶系に相変態するため、Pb系強誘電体の
エピタキシャル成長に際しての下地バッファ層としては
好ましくない。
【0028】また、比誘電率の面でも(Ba,Sr)T
iO3 はSrTiO3 やPZTに比べて十分大きいた
め、PZTとの積層構造をとった場合にも、PZT側に
より電界がかかり易いという利点がある。
【0029】以上のように、本発明では、TANを用い
ることにより、従来より高い圧力でSi基板上にTAN
を良好にエピタキシャル成長させ、TAN層上にさらに
(Ba,Sr)TiO3 をエピタキシャル成長させ、そ
れによってPb系強誘電体のエピタキシャル成長を確実
に行うことを可能とすると共に、該エピタキシャル成長
に際してのTANの酸化を防止したことに特徴を有す
る。
【0030】本発明において、用いられる上記Si基板
としては、特に限定される訳ではないが、種々の結晶方
位の単結晶Si基板を用いることができ、例えば、(1
00)、(111)、(110)などの任意の結晶方位
のSi単結晶基板を用いることができる。
【0031】また、Si基板上に、TAN膜を形成する
工程についても特に限定される訳ではないが、例えば、
レーザー蒸着法、スパッタリング、反応性蒸着などを例
示することができる。好ましくは、真空度を独立に制御
できる等の理由により請求項3に記載のように、Tiの
一部がAlで置換されているターゲット物質を用いて、
レーザー蒸着法によりTAN層を形成することができ
る。この場合、10-5Torr以下の圧力下でTAN膜
を形成することができる。すなわち鯉沼等の方法におけ
るTiN膜の形成よりも高い圧力(低真空)下でTAN
膜を形成することができる。
【0032】上記TAN膜の厚みについても特に限定さ
れるわけではないが、一般的な金属よりも比抵抗が1桁
〜2桁大きいため、300〜500nm程度の厚みとす
ることが望ましい。
【0033】(Ba,Sr)TiO3 層の形成について
も、その方法自体は特に限定されず、例えば、レーザー
蒸着法、スパッタ、CVD法などを用いることができ
る。また、(Ba,Sr)TiO3 層の膜厚について
も、特に限定される訳ではないが、その上にPb系ペロ
ブスカイト酸化物強誘電体をエピタキシャル成長させる
ため、並びに、下地のTAN膜の酸化を防止するには、
通常、50〜150nm程度とすることが望ましい。
【0034】本発明において、上記(Ba,Sr)Ti
3 層上に形成されるPb系ペロブスカイト型酸化物強
誘電体についても、特に限定されず、例えば、Pb(T
i,Zr)O3 のようなPZT、PLZT、Pb(M
g,Nb)O3 、(Pb,La)TiO3 、PbTiO
3 などを挙げることができる。
【0035】上記Pb系ペロブスカイト型酸化物強誘電
体層の膜厚についても特に限定されず、用途によって異
なるが、通常、500〜1μmの範囲とすることが望ま
しい。
【0036】なお、Pb系ペロブスカイト型酸化物強誘
電体薄膜の形成方法についても、CVD法、スパッタ法
やレーザー蒸着法等の種々の方法を採用することができ
る。また、好ましくは、上記Pb系ペロブスカイト型酸
化物強誘電体を堆積させた後に、強誘電体薄膜上にさら
に適宜の金属層を形成し、それによってMFM構造を形
成してもよい。この場合の金属層構成材料としては、A
u,Ag,TAN等任意の金属材料を用いることができ
る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の非限定的な実施例
及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにす
る。
【0038】(実施例1)Si基板として5.08mm
径(2インチ径)のSi(100)単結晶基板を用い
た。このSi単結晶基板を有機溶媒中で超音波洗浄し、
10重量%濃度のHF水溶液中に浸漬し、Si単結晶基
板表面の酸化膜を除去した。
【0039】次に、図1に示すパルスレーザー蒸着法
(PLD)法により、約10-5Torrの圧力下で基板
温度を550〜650℃程度とし、レーザー繰り返し周
波数5Hz、レーザーエネルギー密度=4.5J/cm
2 (KrF)の条件下で、Tiサイトの一部をAlで、
Al原子に換算して10%置換してなるTAN薄膜(T
0.9 Al0.1 N)をエピタキシャル成長させた。
【0040】なお、図1において、1は真空容器を示
し、10は入射されるレーザービームを示す。レーザー
ビーム10は、レーザー集光レンズ2を介して真空容器
1に設けられた合成石英からなる窓部9から入射され
る。窓部9近傍には、真空容器1にガス導入管3が設け
られており、該ガス導入管3から種々のガスの導入が可
能である。真空容器1内においては、基板加熱ヒーター
5上に載置されたSi単結晶基板7の斜め上方にターゲ
ット4が配置されている。ターゲット4としては、Ti
サイトの一部をAlで10%置換したTiN焼結体(T
0.9 Al0.1 N)を用いた。この焼結体の相対密度は
90%以上であるが、望ましくは95%以上の緻密なも
のを用いることが好ましい。
【0041】また、6はターゲットを駆動するためのマ
ニュピュレーターを示し、8は排気口を示す。次に、上
記のようにして形成されたTAN薄膜上に、同様のパル
スレーザー蒸着法を用い、10-4Torr、基板温度5
50℃、レーザー繰り返し周波数5Hz、レーザーエネ
ルギー密度=5.0J/cm2 (KrF)の条件下で厚
み約50〜100nmの(Ba,Sr)TiO3 薄膜を
成長させた。この場合、ターゲットとしては、Ba0.7
Sr0.3 TiO3 の組成のセラミック焼結体ターゲット
を用いた。
【0042】上記(Ba,Sr)TiO3 薄膜上に図2
に示すMOCVD装置により、Pb(Zr0.52
0.48)O3 薄膜をエピタキシャル成長させた。なお、
図2において、21は真空容器を示し、22は真空容器
21内に設けられたガス吹き出しノズルを示す。また、
真空容器21内においては、ガス吹き出しノズル22の
下方に基板加熱用ヒーター23が配置されており、該基
板加熱ヒーター23上に基板24が配置されている。2
5はガス混合器を示し、26は真空ポンプを示す。
【0043】ガス混合機25には、ガスフローコントロ
ーラー27〜30が、それぞれ、所定のガスを導入する
ために接続されている。ガスフローコントローラー28
とガス混合機25との間にはPb用固体気化器31が接
続されており、ガスフローコントローラー29とガス混
合器25との間にはZr用液体気化器32が接続されて
おり、ガスフローコントローラー30とガス混合器25
との間にはTi用液体気化器33が接続されている。
【0044】ガスフローコントローラー27には、O2
ガス34が供給され、ガスフローコントローラー28〜
30には、それぞれ、Arガスが供給される。上記MO
CVD装置により、(Ba,Sr)TiO3 層上に、全
圧10Torr(酸素分圧5Torr)、基板温度60
0℃で、厚み300〜600nmのPb(Zr0.52Ti
0.48)O3 薄膜をエピタキシャル成長させた。なお、P
b、Zr及びTiのプリカーサーとしては、それぞれ、
Pb(DPM)2 、Zr(O−t−C4 9 4 、Ti
(O−i−C3 7 4 を用いた。また、上記Pb(Z
0.52Ti0.48)O3 薄膜形成に際しての詳細な条件を
下記の表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】次に、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3 薄膜
上に、マスクを用いて径0.5mmのAu上部電極を真
空蒸着法により形成し、強誘電体薄膜素子を得た。
【0047】(比較例1)実施例1と同様にして、Si
(100)単結晶基板上に、PLD法により、約10-5
Torr、基板温度550〜650℃、レーザー繰り返
し周波数5Hz、レーザーエネルギー密度4.5J/c
2 (KrF)の条件下で、約厚み100〜500nm
のTAN薄膜(Ti0.9 Al0.1 N薄膜)をエピタキシ
ャル成長させた。このTAN薄膜上に実施例1と同様に
MOCVD法により全圧10Torr(酸素分圧5To
rr)、基板温度600℃で、厚み300〜600nm
のPb(Zr0.52Ti0.48)O3 薄膜をエピタキシャル
成長させた。次に、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3 薄膜
上に、マスクを用いて径0.5mmのAu上部電極を真
空蒸着法により形成し、強誘電体薄膜素子を得た。
【0048】(実施例1及び比較例1の評価)図3は、
実施例1でSi基板上に形成されたTAN薄膜のXRD
(X線回折)パターンを示す。また、図4は、実施例1
で得られたTAN薄膜における膜面内の配向性を確認す
るために極点図解析を行った結果を示す。この解析は、
TAN(220)について行ったが、4回対称のピーク
が得られており、TAN薄膜がSi基板上において良好
にエピタキシャル成長していることがわかる。
【0049】図5は、TAN層上に(Ba,Sr)Ti
3 層を形成した後に、エピタキシャルPb(Zr0.52
Ti0.48)O3 薄膜を形成した場合の該PZT薄膜のX
RDパターンを示す。なお、図5,図6及び図9中のB
STは、(Ba,Sr)TiO3 を示す。
【0050】また、多層構造となった強誘電体薄膜素子
全体の配向性について、φスキャンを実施した結果を図
6に示す。図5及び図6より、実施例1では、Pb(Z
0.52Ti0.48)O3 薄膜が良好にエピタキシャル成長
していることがわかる。
【0051】図7は、比較例1で得られたPZT薄膜の
XRDパターンを示す。図7から明らかなように、PZ
T薄膜はペロブスカイト層とはなっているものの、特定
軸に配向している傾向が見られず、エピタキシャル成長
できないことがわかる。
【0052】また、実施例1及び比較例1で得たPZT
薄膜上に、さらに、上述したようにAu上部電極を真空
蒸着法により形成し、強誘電体薄膜素子を形成した場合
の電気的特性を測定した。結果を下記の表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】表2から明らかなように、比較例1で得ら
れた強誘電体薄膜素子に比べて、実施例1で得られた強
誘電体薄膜素子ではtanδが低められていることがわ
かる。
【0055】また、実施例1において得られたエピタキ
シャルPZT薄膜を用いて描いたP−Eヒステリシスル
ープを図8に示す。図8から分極度−駆動電圧特性にお
いて良好なヒステリシス特性を有することがわかる。
【0056】(実施例2)実施例1と同様にして、Si
単結晶基板上にPLD法によりTAN薄膜(Ti 0.7
0.3 N)をエピタキシャル成長させた。
【0057】このTAN薄膜上に、実施例1と同様にし
て厚み50〜100nmのごく薄い(Ba,Sr)Ti
3 層を形成した。しかる後、PLD法により、5To
rr(O2 雰囲気)、基板温度500℃、レーザー繰り
返し周波数5Hz、レーザーエネルギー密度4.5J/
cm2 (KrF)の条件下で厚み約500〜800nm
のPLT薄膜(Pb0.9 La0.1 TiO3 )をエピタキ
シャル成長させた。この場合PLT薄膜を得るのに用い
たターゲットは、Pb0.9 La0.1 TiO3 組成のセラ
ミック焼結体ターゲットである。
【0058】図9に得られたエピタキシャルPLT薄膜
のXRDパターンを示す。図9から明らかなように、本
発明による強誘電体薄膜製造方法を用いることにより、
PLT薄膜についても、Si単結晶基板上においてエピ
タキシャル成長させ得ることがわかる。
【0059】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、TAN
膜は、単結晶Si基板上において従来法に比べて低い真
空度(高い圧力)でエピタキシャル成長させることがで
きるため、真空系のコストを低減することができる。加
えて、TANとPb系ペロブスカイト型酸化物強誘電体
層との間に(Ba,Sr)TiO3 層を挿入することに
より、Pb系ペロブスカイト型酸化物強誘電体の形成に
際してのTAN表面の酸化が確実に防止され、良好な結
晶を維持しつつ、Pb系ペロブスカイト型酸化物強誘電
体薄膜をエピタキシャル成長させることができる。
【0060】従って、従来、極めて困難とされていたP
ZTに代表されるPb系ペロブスカイト型酸化物強誘電
体薄膜を単結晶Si基板上において比較的容易にかつ確
実にエピタキシャル成長させることが可能となり、DR
AMやFeRAMなどの強誘電体薄膜素子や焦電素子、
マイクロアクチュエータ、薄膜コンデンサあるいは小型
圧電素子などの様々な用途に好適に用い得る強誘電体薄
膜を提供することが可能となる。
【0061】請求項2に記載の発明では、エピタキシャ
ルTAN薄膜におけるAlによる置換量が、Al原子と
してTi及びAlの合計の1〜30%(原子比率)とさ
れているため、TAN薄膜をSi基板上により一層確実
にエピタキシャル成長させることができる。
【0062】請求項3に記載の発明では、Tiの一部が
Alで置換されているターゲット物質を用いてレーザー
蒸着法により、TAN薄膜が形成されるので、TAN薄
膜を容易にかつ確実にエピタキシャル成長させることが
でき、さらに、請求項4に記載のように10-5Torr
以下の圧力で形成し得るため、高価な真空系を必要とし
ない。
【0063】請求項5に記載の発明によれば、上記Pb
系ペロブスカイト型酸化物強誘電体層上に、さらに金属
層が形成されるので、請求項8に記載の発明に係る強誘
電体薄膜素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において、TAN薄膜及び(B
a,Sr)TiO3 薄膜の作製に用いたパルスレーザー
蒸着装置を説明するための概略構成図。
【図2】実施例1及び比較例1でPZT薄膜の作製に用
いたMOCVD装置の概略構成図。
【図3】実施例1,2及び比較例1で作製したTAN薄
膜のXRDパターン図。
【図4】実施例1,2及び比較例1で得たTAN薄膜の
極点図。
【図5】実施例1で作製したエピタキシャルPZT薄膜
のXRDパターン図。
【図6】図5に示したPZT薄膜のφスキャン図。
【図7】比較例1で作製したPZT薄膜のXRDパター
ン図。
【図8】実施例1で作製したエピタキシャルPZT薄膜
のP(分極度)−E(電圧)ヒステリシスループを示す
図。
【図9】実施例2で作製したエピタキシャルPLT薄膜
のXRDパターン図を示す。
【符号の説明】
1…PLD装置における真空容器 2…レーザー集光レンズ 3…ガス導入管 4…ターゲット 5…基板加熱ヒーター 6…ターゲット駆動用マニュピュレーター 7…基板 8…排気口 9…合成石英窓 10…エキシマレーザー光(ビームライン) 21…MOCVD装置における真空容器 22…ガス吹き出しノズル 23…基板加熱ヒーター 24…基板 25…ガス混合器 26…真空ポンプ(メカニカルブースターポンプ) 27〜30…マスフローコントローラー 31…固定気化器(Pb用) 32…液体気化器(Zr用) 33…液体気化器(Ti用) 34…O2 ガス 35〜37…Arガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 27/10 451 (72)発明者 李 効民 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 白露 幸祐 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si基板上に、導電膜を形成し、該導電
    膜上に強誘電体薄膜をエピタキシャル成長させる強誘電
    体薄膜の製造方法において、 前記導電膜として、Tiの一部をAlで置換したTiN
    膜を形成し、該Alで置換されたTiN膜上に(Ba,
    Sr)TiO3 下地層を形成し、下地層上にPb系ペロ
    ブスカイト型の酸化物強誘電体を堆積させることを特徴
    とする、強誘電体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記Tiの一部をAlで置換したTiN
    膜におけるAl置換量が、Ti及びAlの合計に対し原
    子比で1〜30%の範囲とされていることを特徴とす
    る、請求項1に記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記Tiの一部をAlで置換したTiN
    膜を、Tiの一部がAlで置換されているターゲット物
    質を用いレーザー蒸着法により形成する、請求項1また
    は2に記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記Tiの一部をAlで置換してなるT
    iN膜のレーザー蒸着法による形成に際し、10-5To
    rr以下の圧力で形成することを特徴とする、請求項3
    に記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の強誘電
    体薄膜の製造方法を用いた強誘電体薄膜素子の製造方法
    であって、前記Pb系ペロブスカイト型酸化物誘電体を
    堆積させた後に、該Pb系ペロブスカイト型酸化物強誘
    電体膜上にさらに金属層を形成することを特徴とする強
    誘電体薄膜素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 Si基板と、Si基板上に形成されてお
    りかつTiの一部をAlで置換されてなるTiN膜と、
    Tiの一部をAlで置換したTiN膜上に形成された
    (Ba,Sr)TiO3 層と、(Ba,Sr)TiO3
    層上に形成されたPb系ペロブスカイト型酸化物強誘電
    体薄膜とを備える強誘電体薄膜構造。
  7. 【請求項7】 前記Tiの一部をAlで置換したTiN
    膜におけるAl置換量が、Ti及びAlの合計に対し原
    子比で1〜30%の範囲とされていることを特徴とす
    る、請求項6に記載の強誘電体薄膜構造。
  8. 【請求項8】 前記Pb系ペロブスカイト酸化物強誘電
    体薄膜上に形成された金属層をさらに備える請求項6ま
    たは7に記載の強誘電体薄膜構造を用いたことを特徴と
    する強誘電体薄膜素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002083811A (ja) * 2000-09-06 2002-03-22 Murata Mfg Co Ltd 薄膜積層体の製造方法および強誘電体薄膜素子の製造方法

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