JPH11100712A - キトサン含有セルロース繊維 - Google Patents

キトサン含有セルロース繊維

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JPH11100712A
JPH11100712A JP27998397A JP27998397A JPH11100712A JP H11100712 A JPH11100712 A JP H11100712A JP 27998397 A JP27998397 A JP 27998397A JP 27998397 A JP27998397 A JP 27998397A JP H11100712 A JPH11100712 A JP H11100712A
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JP
Japan
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chitosan
cellulose
aqueous solution
wet
weight
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JP27998397A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Obara
則行 小原
Tsuneo Katayama
経雄 片山
Osamu Yamashita
修 山下
Ryuichi Kasahara
竜一 笠原
Hiromi Obara
裕美 小原
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Japan Exlan Co Ltd
Original Assignee
Japan Exlan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 人体に対する毒性が無く、しかも耐久性に
富んだ抗菌性、防カビ性および防臭性を有するばかりで
なく一般衣料材料、寝装材料、医療材料、衛生材料など
に適し、生分解性を有するため使用後の廃棄処理に伴う
環境汚染が少ないキトサン含有セルロース繊維を提供す
る。 【構成】 キトサンをセルロースと共にロダン酸塩水
溶液に溶解し、該紡糸原液を湿式または乾湿式紡糸する
ことによるキトサンを含有するセルロース繊維。 【効果】 耐久性に富んだ抗菌性、防カビ性および防
臭性を有し、廃棄処理時に環境汚染を起こさない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に富んだ抗
菌性を有する衣料材料、寝装材料、医療材料、衛生材料
に好適なキトサン含有セルロース繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、快適な生活環境が求められ、その
中でも健康的、衛生的な環境が脚光を浴びている。これ
らの環境を作る必要性から抗菌加工を施した繊維製品が
数多く生まれている。特許としても特公昭63−540
13号公報、特開昭63−175117号公報や特開平
1−250413号公報にはゼオライトに担持させた抗
菌性を有する金属により抗菌性を付与することが開示さ
れている。また古くから、抗菌性を有する第4級アンモ
ニウム塩系の抗菌剤等を繊維や布帛に塗付する方法も行
われてきた。しかしながら、これらの方法で得られた繊
維や布帛には、用途により人体の皮膚等に炎症を生じる
可能性があり安全衛生上の問題を内在している。
【0003】そこで人体に対する毒性が無く安全性の高
いキチンまたはキチン誘導体を抗菌製品に適用する試み
がなされている。キチン誘導体の抗菌性を利用するもの
としては、特開昭62−83875号公報や特開昭63
−102623号公報があり、それにはキチン誘導体で
あるキトサンが付与されたフィルムあるいは魚網が提案
されている。しかし、これらの例は人体に直接触れるも
のに適用し得るものではなかった。また、特開平8−2
60237号公報ではキトサンとアクリロニトリル系重
合体をロダン酸塩水溶液に溶解し、該紡糸原液を紡糸す
ることによりアクリル繊維内部にキトサンを含有させた
繊維を開示している。しかし、合成繊維であるアクリル
は生分解性を有しないため廃棄時に焼却等の処理が必要
であり環境汚染等の問題を内在している。
【0004】一方、特開平8−144121号公報では
微小粒状キトサンをセルロースビスコースに混合し、該
セルロースビスコースを紡糸することによる抗菌性セル
ロース繊維を開示している。しかし、該方法では紡糸の
操業性を得るためにキトサンを粉砕機や噴霧乾燥機を用
いて微粒化する必要があり、そのため多額の設備投資を
必要とする。キトサンを硫化しビスコース化したのちセ
ルロースビスコースと混合紡糸し、染色性を改善するこ
とは古くから検討されており、例えば高分子加工(高分
子刊行会)、14巻198−205頁(1965)に記
載されているが、キトサンは酸性条件で水に溶解するた
め、セルロースビスコースと同一条件での凝固再生が難
しく、強伸度の満足な繊維が得られないのが実情であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】キチン誘導体を利用し
た材料は抗菌性などの優れた特徴を有すると共に、優れ
た安全性を有するが、従来法で加工すると上述のとおり
環境問題、高額な加工費などの問題を内在している。
【0006】かかる実状において本発明者らは上記の問
題点を解決するため鋭意検討した結果、キトサンはセル
ロースの溶剤でもあるロダン酸塩の濃厚水溶液に溶解す
ることを見出し、紡糸用原液としてキトサンとセルロー
スの混合物の溶液を作製し、該溶液の紡糸および凝固が
可能であることを見出し、キトサン含有セルロース繊維
を製造するに至った。
【0007】すなわち本発明は、人体に対する毒性が無
く、極めて安全性が高く、耐久性に富む抗菌、防カビ、
防臭材料として、一般衣料材料、寝装材料、医療材料、
衛生材料などに適し生分解性を有するキトサン含有セル
ロース繊維を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は5
〜50重量%のキトサンを含有してなるキトサン含有セ
ルロース繊維および、セルロースとキトサンをチオシア
ン酸塩濃厚水溶液に溶解した原液を、湿式または乾湿式
紡糸することによる5〜50重量%のキトサンを含有し
てなるキトサン含有セルロース繊維の製造方法により達
成できる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるセルロースは
特に限定はされないが、チオシアン酸塩濃厚水溶液への
溶解性の観点から、予めセルロース中の結晶構造を乱す
ための前処理を施した無定型セルロースであって、粘度
平均重合度200以上のものが好ましく、前処理方法と
しては特開平8−158148号公報記載の方法等が好
適に採用できる。即ち、該公報では無定型セルロースの
調整方法として、天然セルロースをセルロースの溶媒に
溶解した後、再生するとか天然セルロースをアルカリ金
属の水酸化物の水溶液や液体アンモニア、アミン類等の
セルロースの膨潤剤に浸漬するとか、さらにセルロース
の溶媒を用いてセルロースを溶解させない条件で浸漬す
るなどの方法が挙げられる。これらの方法により調整さ
れる無定型セルロースは、X線回折法で、セルロース結
晶成分由来の結晶性ピークが検出されず、回折角(2
θ)約20deg.付近にブロードなピークのみを持つ
セルロースである。
【0010】かかる方法で得られたセルロースは後述す
るキトサンと共にチオシアン酸塩濃厚水溶液に溶解して
紡糸原液となし、公知のノズルで湿式または乾湿式紡糸
する。
【0011】また、チオシアン酸塩としてはチオシアン
酸ソーダ、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸亜
鉛、チオシアン酸カルシウム等が使用可能であるが、繊
維への残留金属の安全性の問題、後工程である染色の特
性および製造コストの面からチオシアン酸ソーダおよび
チオシアン酸アンモニウムが特に好ましい。また、濃厚
水溶液の濃度は、塩の種類により異なり一概には言えな
いが、概ね55〜70重量%、チオシアン酸ソーダでは
60〜70重量%の濃度の水溶液が好適である。
【0012】次にキトサンであるが、本発明で使用でき
るキトサンはチオシアン酸塩濃厚水溶液に溶解し均一溶
液を形成するものであることが必須である。この条件を
満たすキトサンは脱アセチル化度が50%以上、好まし
くは60%以上のものである。脱アセチル化度が50%
未満のキトサンではチオシアン酸塩濃厚水溶液に溶解し
た際に、未溶解部分が残ることがある。なお、脱アセチ
ル化度とは原料のキチン中のアミド基のうち、脱アセチ
ル反応によりアミノ基に変換された割合を指し、キトサ
ン中のアミノ基を滴定により定量することで決定するこ
とができる。
【0013】セルロースとキトサン両成分からの複合繊
維の調整方法であるが、それぞれを個々にチオシアン酸
塩濃厚水溶液に溶解してからドープ状態で混合したのち
紡糸しても、両者をポリマー段階で予め混合してから溶
解および紡糸してもよい。また、前者の場合、2成分の
ドープを紡糸段階で複合することによりサイドバイサイ
ド型などの複合繊維と成すことも出来る。
【0014】紡糸方法としては湿式法および乾湿式法が
採用できるが、乾湿式法が特に好適に採用できる。即
ち、紡糸用原液を紡糸口金を介して一旦不活性雰囲気中
を経由したのち凝固液中に押し出して凝固せしめ、次い
で水洗他必要に応じて熱処理や油剤処理を行なうという
ものである。これらの方法において凝固液としては水ま
たは水溶性有機溶剤および両者の混合溶液が採用でき
る。水溶性有機溶剤としてはアルコール類、アセトン、
アセトニトリル等が好適に採用される。尚、凝固液であ
るが、強酸性ではキトサンの凝固が起こり難く、強アル
カリ性ではセルロースが凝固し難いため、pHが4〜1
2の範囲が好適である。
【0015】かくして形成するセルロース繊維のキトサ
ン含有量は、セルロースとキトサンの混合比率によって
一義的に決まる。したがって、両者の組み合わせにより
任意の含有量を設定することができるが、キトサンの含
有量が繊維重量に対して50重量%を越えるとゲル糸の
水分率が高くなり乾燥時に融着を起こすため50重量%
以下である必要がある。また、十分な抗菌特性を発現す
るには5重量%以上のキトサン含有量が必要である。
【0016】
【作用】キトサンの抗菌、防カビ、防臭作用の機構につ
いては定かではないが、4級化したキトサンのカチオン
性アミノ基によって菌の細胞壁中の陰イオン構成物質が
吸収され、その結果、細胞壁の生合成が阻害されるた
め、抗菌作用が発現されるものと推定されている。一
方、セルロースは吸湿性、吸水性に優れた衣料、寝装分
野に適した素材であるばかりではなく、その分子構造が
キトサンと酷似しているため両者を複合したときの相溶
性がよく、また抗菌作用を阻害しないという点でも好適
な素材である。この両者を複合することにより従来のセ
ルロース系繊維と同様の方法で他繊維との混合使用も可
能で、抗菌、防カビ、防臭機構を有し、なおかつ安全性
の高い繊維が得られる。
【0017】また、セルロースおよびキトサンのチオシ
アン酸塩濃厚水溶液に対する溶解機構の詳細は不明であ
るが、チオシアン酸イオンは一般に水素結合を阻害する
ことが知られていることから、セルロースおよびキトサ
ンの分子間および分子内の水素結合を阻害し可溶化する
ものと思われる。本発明は、チオシアン酸塩濃厚水溶液
は両者の共通溶剤であることからセルロースおよびキト
サンを原液段階で混合・溶解し該溶液を紡糸することに
よりキトサン含有セルロース繊維の作製に成功したもの
である。これにより安全性が高く、生分解能を有する抗
菌、防カビ、防臭素材の提供が可能になった。
【0018】
【実施例】以下に本発明の理解を容易にするため実施例
を示すが、これらはあくまで例示的なものであり、本発
明の要旨はこれらにより限定されるものではない。な
お、実施例中、部及び百分率は特に断りのない限り重量
基準で示す。なお、実施例において記述する抗菌性能は
下記の方法で測定したものである。 抗菌性 繊維製品衛生加工協議会「抗菌防臭加工製品の加工効果
試験」を基に、黄色葡萄状球菌を用いて、菌数測定を行
い数1により増減値差を求めた。
【0019】ここで、増減値差とは、無加工試料につい
て接種直後の平均菌数をA、18時間培養後の平均菌数
をBとし、抗菌加工試料の18時間培養後の平均菌数を
Cとして数1により算出する。ここで、測定回数は3回
行いその平均値で以て表示するが、一般に増減値差が
1.6以上あれば抗菌性能が有ると見なされる。
【0020】
【数1】
【0021】実施例 1 ビスコース法で再生された粘度平均重合度500の再生
セルロースと脱アセチル化度70%で粘度平均重合度1
000のキトサンとの混合物をチオシアン酸ソーダ58
重量%水溶液を溶媒とし紡糸用原液中ポリマー濃度とし
てセルロースおよびキトサンの重量%を表1のように変
化させた、総濃度5重量%の原液とし、メタノールを凝
固液に用い凝固液温度10℃で乾湿式紡糸し、水洗、
1.5倍延伸を行い、そののち80℃で乾燥しキトサン
含有セルロース繊維を作製した。得られたキトサン含有
セルロース繊維のキトサン含有率および該繊維の抗菌性
を評価した結果を表1に示す。(No.1〜No.4)
【0022】
【比較例】
【0023】比較例 1 実施例1で用いた再生セルロース単独で実施例1と同様
の条件でセルロース繊維を作製し抗菌性評価した結果を
表1に併示する。(No.5)
【0024】
【表1】
【0025】表1で示すようにNo.2〜3のキトサン
含有率5重量%以上を有する繊維は、抗菌特性を有する
ことが理解される。また、キトサン含有率が50重量%
を超えるものでは正常な繊維が形成されないことも明瞭
である。さらに、キトサン含有セルロース繊維No.2
およびNo.3をJIS−L−0217,103法に従
い、水1lに対して2gの割合で合成洗剤(第1工業製
薬(株)製モノゲンユニ)を溶解し、この洗濯液を40
℃にして、浴比が1対30になるように繊維を投入して
洗濯を10回繰り返した後、抗菌性を評価すると、増減
値差はそれぞれ1.8、1.7であり、十分な耐久性を
有することが示された。一方、No.5のキトサンを含
有しないセルロース繊維は全く抗菌性を示さなかった。
【0026】実施例 2 粘度平均重合度500のアラスカパルプと実施例1で用
いたキトサンをチオシアン酸カルシウム60重量%水溶
液を溶媒とし紡糸用原液中ポリマー濃度としてセルロー
スおよびキトサンの重量%をそれぞれ4.7重量%、
0.3重量%の総濃度5重量%の原液とし、メタノール
を凝固液に用い凝固液温度10℃で乾湿式紡糸し、水
洗、1.5倍延伸を行い、そののち80℃で乾燥しキト
サン含有セルロース繊維(キトサン含有率6重量%)を
作製した。得られたキトサン含有セルロース繊維の抗菌
性を評価した結果、抗菌性増減値差は1.9であった。
【0027】実施例 3 粘度平均重合度500のアラスカパルプをポリマー濃度
5重量%になるように58重量%のチオシアン酸ナトリ
ウム水溶液に分散したのち、この分散液を150℃油浴
中で攪拌しながら濃縮溶解を行った。得られたドープは
ポリマー濃度が5.6重量%であった。また、実施例1
で用いたキトサンをポリマー濃度2重量%になるように
58重量%チオシアン酸ナトリウム水溶液に分散したの
ち、100℃で溶解した。得られた2種類のドープの温
度を110℃に調整したのち重量比1対1の割合で混合
し、凝固液には50重量%のメタノール水溶液を用いて
乾湿式紡糸を行った。水洗しながら1.5倍延伸を行
い、そののち80℃で乾燥しキトサン含有セルロース繊
維(キトサン含有率26重量%)を作製した。得られた
キトサン含有セルロース繊維の抗菌性を評価した結果、
抗菌性増減値差は2.0であった。
【0028】実施例 4 実施例3で得たキトサン含有セルロース繊維2.4gお
よび熱融着性繊維(東洋紡製FE−7)0.6gを5〜
10mmに切断したのち、これを水中に分散して25c
m×25cmの金網上に抄紙を行なった。得られた布帛
を60℃で1時間乾燥した後、家庭用アイロンで熱接着
を行なった。この布帛を活性汚泥中に浸漬し7日間放置
したところ布帛の形態は維持されていなかった。一方、
熱融着繊維のみで同様の布帛を作製し活性汚泥中に浸漬
したが、10日間でも布帛の形態を維持していた。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法はキト
サンをセルロースと共にチオシアン酸塩濃厚水溶液に溶
解し、該紡糸原液を湿式または乾湿式紡糸することによ
り、人体に対する毒性が無く、しかも耐久性に富んだ抗
菌性を有し一般衣料材料、寝装材料、衛生材料、医療材
料などに好適なキトサン含有セルロース繊維を供した点
が本発明の特筆すべき効果であり、工業的意義の大なる
ものがある。該繊維は生分解性も備えるものであり、環
境要求にも応えるものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】5〜50重量%のキトサンを含有してなる
    キトサン含有セルロース繊維。
  2. 【請求項2】セルロースとキトサンをチオシアン酸塩濃
    厚水溶液に溶解した原液を、湿式または乾湿式紡糸する
    ことを特徴とする5〜50重量%のキトサンを含有して
    なるキトサン含有セルロース繊維の製造方法。
JP27998397A 1997-09-26 1997-09-26 キトサン含有セルロース繊維 Pending JPH11100712A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273912A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Ipe:Kk 抗菌性成形用組成物およびその成形物
JP2009508015A (ja) * 2006-04-21 2009-02-26 ジャングー ロンマ グリーン ファイバーズ カンパニー リミテッド パイロット規模でのセルロース製品の製造における水酸化ナトリウム/チオ尿素水溶液の使用
CN106222863A (zh) * 2016-08-20 2016-12-14 何翼 松花粉纤维保健面料
CN106222864A (zh) * 2016-08-20 2016-12-14 何翼 松花粉纤维和竹炭纤维混纺的面料及其制备方法

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