JPH1099161A - 椅子の肘掛け - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課 題】 簡単かつ堅牢な構造で、調節のための操
作も容易かつ簡便であり、また、安全面においても問題
のない椅子の機能性肘掛けを提供すること。 【解決手段】 椅子の座部材又は該座部材が取付けられ
る基部材に取付けられて前記座部材の側部から立上げら
れた柱状部材１であって、その高さ方向の適宜範囲に亘
り肘掛け部材６の高さ調節用の係止部２を設けた柱状部
材１と、該柱状部材１に挿脱自在に被せられる筒状部材
３であって、前記係止部２と対応する位置にその係止部
の任意の位置に係合保持され、かつ、人手により操作し
て前記係止部との係合が解かれるようにした操作部４を
具備した筒状部材３と、該筒状部材３の上面に設けた肘
掛け部材６とから成る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は主として事務用回転
椅子に適用して有用な肘掛けの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】事務用回転椅子を始めとする種々の事務
用椅子やロビ−用，食堂用などの椅子では、座り心地を
良好にする観点から、座板を沈み込み運動する構造にし
たり、或は、背もたれが揺動運動できる構造にしたも
の、或は、座の沈み込みと背もたれの揺動を一定の関係
で連動させるようにしたものなど、高機能化されたもの
が多く使用されるようになった。

【０００３】上記のような高機能化された椅子であって
も、肘掛けについては、デザイン的な形態処理により使
い心地の良さを追求したものが大半であるが、最近では
肘掛けの高さを可変としたり、肘掛けの平面角度を変更
できるようにしたものも提案されるようになった。しか
し、操作性や堅牢性、或は、安定性の面などで未だ十分
とはいえないのが現状である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
肘掛けの現状に鑑み、簡単かつ堅牢な構造で、調節のた
めの操作も容易かつ簡便であり、また、安全面において
も問題のない椅子の機能性肘掛けを提供することを、そ
の課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本発明肘掛けの構成は、椅子の座
部材又は該座部材が取付けられる基部材に取付けられて
前記座部材の側部から立上げられた柱状部材であって、
その高さ方向の適宜範囲に亘り係止歯を設けた柱状部材
と、該柱状部材に挿脱自在に被せられる筒状部材であっ
て、前記歯と対応する面にその歯に向って常時付勢され
て歯に係合され、かつ、人手により操作して前記歯との
係合が解かれるようにした爪を有する操作レバ−を設け
た筒状部材と、該筒状部材の上面に所要平面角において
旋回可能に枢着した肘掛け部材とから成ることを特徴と
するものである。

【０００６】本発明肘掛けにおいては、肘掛け部材を高
さ調節自在とするため、その高さ調節機構のみを具備し
たもの、或は、肘掛け部材の平面角を任意に変更するた
め、その旋回機構のみを具備したものであってもよい。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、本発明肘掛けの実施の形態
を図に拠り説明する。図１は本発明肘掛けの一例の内部
構造を透視した側面図、図２は図１の肘掛けの左側面
図、図３は図１の肘掛けの平面図、図４は肘掛けの高さ
調節機構の操作例を示す要部の側面図、図５は係止歯と
操作レバ−の関係を示す斜視図、図６は肘掛け部材の高
さ調節機構の別例の平断面図である

【０００８】これらの図において、１は本発明肘掛けの
ベ−スとなる柱状部材で、一般的な回転椅子における座
部材（図示せず）、又は、この座部材を支持する脚支柱
上部に形成された基部材（図示せず）に取付けられるほ
ぼ水平な向きの取付基部1aと該基部1aから略垂直に立上
げられた柱状部1bとから形成されている。この柱状部1b
の高さは、一般的な椅子の肘掛けの位置に見合う程度の
ものであり、格段に長く形成したり、短かく形成するも
のではない。

【０００９】上記柱状部材１は、その前面（図１の左側
面）の上半部に、好ましくは上面を少なくとも水平より
上向きにしたラック状の歯２が上下方向に等ピッチで、
図の例では中央のガイド溝2aを挟んで２列設けられ、係
止部を形成している。

【００１０】３は上記柱状部材１にその上方から挿脱可
能に被嵌した筒状部材で、この例では前記歯２の列に対
応する側に、後に説明する操作レバ−４を具備すると共
に、上面が平坦で、かつ、略半円形よりも小さな中心角
の扇形（又は円弧状）をなす肘掛け受座５に形成されて
いる。なお、この受座５の上面の面積は筒状部材３の断
面積より大きく形成されている。

【００１１】ここで、上記筒状部材３は、少なくともそ
の筒状の内面が柱状部材１の外面との間で大きくガタつ
かず円滑な上，下動を確保するため、柱状部材１の断面
外形に則した内面の平断面形状を具備していることが好
ましい。

【００１２】また、上記筒状部材３は、その上部前面
（支柱部材１の歯列）を少し膨出させた形態にして操作
レバ−４の取付部3aを形成し、そこに水平な軸4aにより
操作レバ−４を枢着して取付けている。この操作レバ−
４は、図５に例示するように、その下端側を２列の歯２
に適合する側に曲げて形成すると共に、その先端部を、
隣合う上下の歯２の歯間に噛合する左，右の爪4bに形成
する一方、この左，右の爪4bの中間に、前記ガイド溝2a
に遊嵌される突出片4cを形成している。

【００１３】また、上記操作レバ−４は、軸4aの上方の
背面に、このレバ−４の爪4bを歯２の歯間側へ付勢する
スプリング4dを介挿しており、常態においてはこのスプ
リング4dの反撥力によって爪4bが歯２の間に噛合状態に
保持されている。従って、爪4bと歯間との噛合を解くに
は、このレバ−４におけるスプリング4dの上を、当該ス
プリング4dを圧縮する側に押し、レバ−４の先端を軸4a
を中心に歯２から後退する側に回転動作させてやれば良
い。図１において、4eはこのレバ−４の前面に形成した
押し操作部である。

【００１４】上記構成によって柱状部材１に挿脱可能に
被嵌した筒状部材３は、操作レバ−４における操作部4e
を押し、このレバ−４の爪4bを柱状部材１における歯２
の歯間との噛合を解くことにより、柱状部材１に沿って
自由に上，下動可能になるので、前記爪4bを所望高さに
おける歯２の歯間に噛合させることにより、高さを任意
に変更できる。従って、この筒状部材３に、肘掛け部材
６の高さを、歯２が列設された高さの範囲で自由に変更
できることとなるのである。

【００１５】本発明においては、筒状部材３の柱状部材
に対する高さ調節機構を図６に例示する構造としてもよ
い。即ち、柱状部材１の高さ方向に長穴21を形成すると
共に、その穴21と平行かつ一体にテ−パ状の溝21aを形
成する一方、筒状部材３には、前記穴21を貫通し、か
つ、中間にネジ41aを形成した軸41を定位置で回転自在
に設け、該軸41にそのネジ41aに螺装され、かつ、前記
溝21aに嵌入するテ−パ状の駒41bを設けるのである。な
お、41cは軸41の回転操作用ノブである。この機構で
は、ノブ41cを一方に回転させて、駒41bを溝21aから浮
かせると、筒状部材３は柱状部材１に対し上，下動自在
になり、ノブ41cを他方に回転させて、駒41bを溝21aに
圧着させると、筒状部材３が柱状部材１に対して固定さ
れ、その位置に拘束されることとなる。ここで、溝21a
と駒41bの当接面は、歯を形成したり、摩擦面に形成し
てもよい。

【００１６】本発明の肘掛けは、この実施例では上記高
さ調節機構に加え、肘掛け部材６の平面内での旋回機能
も具備しているので、以下この点について説明する。筒
状部材３の上端には、上面を平坦にした平面視略180度
未満の円弧形状（図の例では約150度であるが、この角
度は約90〜150度の間の任意の角度、例えば120度であっ
てもよい）をなす肘掛け受座５が形成されている。一
方、肘掛け部材６の後部下面には、前記受座５に上面か
ら回転可能に遊嵌される約180度〜180度超の略半円形状
をなす凹部6aが形成されている。そして、前記受座５と
凹部6aは、それぞれの円弧と半円形の中心において軸6b
により回転可能に枢結されている。前記凹部6aの中心角
も、受座５の角度、並びに、肘掛け部材６の所望旋回角
によって、前記角度以外の角度に形成することができ
る。

【００１７】上記構成により、肘掛け部材６は、平面角
０度の真直向きを基準にして、図３に符号6′，6″で一
例として示したように、左，右約15度の範囲で平面内の
向きを変更することができる。ここで、前記受座５の中
心角、或は、凹部6aの中心角を、任意に設定することに
より、肘掛け部材６の旋回角は、上記実施例の角度以外
の範囲の角度、例えば15度以上の旋回が可能に形成する
ことができる。

【００１８】また、図３において、5aは受座５の上面に
形成した肘掛け部材６の旋回運動の中心となる軸6bを中
心にして形成したガイド円弧、6cはこのガイド円弧5aに
遊嵌し、下端にワッシャ6dを設けた補助ピンで、実質的
に軸6bを中心にした片持ち支持構造である肘掛け部材６
の支持強度を補完すると共に、その旋回運動の円滑さを
保持するためのものである。

【００１９】上記の実施形態において、柱状部材１の上
端外面と筒状部材３の上端内面の間に撥力の小さな圧縮
バネやガススプリングを介装し、肘掛け部材６の上昇動
作を補助させるようにしてもよい。また、本発明を適用
する肘掛けは、事務用回転椅子以外の椅子についても適
用できること勿論である。

【００２０】

【発明の効果】本発明は以上の通りであって、椅子の座
部材又は該座部材が取付けられる基部材に取付けられて
前記座部材の側部から立上げられた柱状部材であって、
その高さ方向の適宜範囲に亘り係止用の歯を設けた柱状
部材と、該柱状部材に挿脱自在に被せられる筒状部材で
あって、前記歯と対応する面にその歯に向って常時付勢
されて歯に係止されると共に人手による操作により前記
歯との係合が解かれるようにした爪を具備した筒状部材
と、該筒状部材の上面に設けた肘掛け部材とから椅子の
肘掛けを構成したので、ワンタッチ操作により肘掛けの
上，下位置の調節を行うことができることは勿論のこ
と、肘掛け部材の平面内での開き角を着座者の体形や好
みに合った角度にすることができるので、椅子の座り心
地の向上に寄与するところきわめて大である。

【００２１】また、上記の機能を果すための構造は至っ
てシンプルであり、それ故に堅牢度も十分なものとして
設計，製造することが容易になるのみならず、シンプル
な構造ゆえに操作も簡単ですむという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明肘掛けの一例の内部構造を透視した側面
図。

【図２】図１の肘掛けの左側面図。

【図３】図１の肘掛けの平面図。

【図４】肘掛けの高さ調節機構の操作例を示す要部の側
面図。

【図５】係止歯と操作レバ−の関係を示す斜視図。

【図６】高さ調節機構の別例の平断面図。

【符号の説明】

１ 柱状部材 ２ 歯 ３ 筒状部材 ４ 操作レバ− ５ 受座 ６ 肘掛け部材

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 椅子の座部材又は該座部材が取付けられ
   る基部材に取付けられて前記座部材の側部から立上げら
   れた柱状部材と、該柱状部材の上端に形成した受座に、
   所要平面角度において旋回可能に支持させた肘掛け部材
   とから成ることを特徴とする肘掛け。
2. 【請求項２】 受座は中心角が180度以下の円弧状をな
   すように柱状部材の上端に形成する一方、肘掛け部材の
   下面には中心角が180度乃至はそれ以上の角度であって
   前記受座の円弧状部より稍大径の円弧状をなす凹陥支持
   部を形成し、この肘掛け部材を前記円弧状部の中心にお
   いて枢着した請求項１の肘掛け。
3. 【請求項３】 椅子の座部材又は該座部材が取付けられ
   る基部材に取付けられて前記座部材の側部から立上げら
   れた柱状部材であって、その高さ方向の適宜範囲に亘り
   肘掛け部材の高さ調節用の係止部を設けた柱状部材と、
   該柱状部材に挿脱自在に被せられる筒状部材であって、
   前記係止部と対応する位置にその係止部の任意の位置に
   係合保持され、かつ、人手により操作して前記係止部と
   の係合が解かれるようにした操作部を具備した筒状部材
   と、該筒状部材の上面に設けた肘掛け部材とから成るこ
   とを特徴とする椅子の肘掛け。
4. 【請求項４】 係止部は、ラック状の歯に形成すると共
   に、操作部は、レバ−部材の先端側を爪状に形成し、こ
   の爪を前記歯に噛合させることにより係合保持されるよ
   うにした請求項３の椅子の肘掛け。
5. 【請求項５】 係止部は縦長穴に形成すると共に、操作
   部は前記長穴に遊嵌されたスライドブロックと該ブロッ
   クを前記長穴に圧着保持するため当該ブロックに取付け
   た締付ネジ杆とから形成した請求項３の椅子の肘掛け。
6. 【請求項６】 椅子の座部材又は座部材が取付けられる
   基部材に取付けられて座部材の側部から立上げられた柱
   状部材であって、その高さ方向の適宜範囲に亘り係止歯
   を設けた柱状部材と、該柱状部材に挿脱自在に被せられ
   る筒状部材であって、前記歯と対応する面にその歯に向
   って常時付勢されて歯に係合され、かつ、人手により操
   作して前記歯との係合が解かれるようにした爪を有する
   操作レバ−を設けた筒状部材と、該筒状部材の上面に所
   要平面角において旋回可能に枢着した肘掛け部材とから
   成ることを特徴とする椅子の肘掛け。