JPH1098841A - 配電設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の配電設備を変更することなく、配電母
局から遠方の配電子局を制御すると共に、配電母局から
遠方の配電子局を正確に制御する。 【解決手段】 高圧配電線に配電子局の制御に係わる通
信信号を重畳させて伝送し、該通信信号に基づいて配電
母局から配電子局を制御する配電設備において、配電母
局と配電子局とについて、前記通信信号が受信できない
レベルに減衰する手前の位置の通信信号を検出して増幅
する付加設備をそれぞれ設け、配電母局及び配電子局に
各々設けられた送受信装置は、付加設備から出力された
通信信号に基づいて相互に交信を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、配電設備に係わ
り、特に配電線に制御信号を重畳させて電力の配電を自
動化する技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】電力は、例えば主変圧器を有する親局か
ら高圧配電線を介して子局に高圧電力（例えば６６００
ボルト等）が配電され、子局において低圧電力（例え
ば、１００ボルトや２２０ボルト等）に変圧されて一般
家庭等に供給される。このような電力配電を自動化する
システムの１つとして、配電母局から高圧配電線に重畳
させて制御信号を配電先の配電子局に送信し、該配電子
局を配電母局から遠隔制御することにより配電経路の切
り換えや配電子局の作動状態の監視を自動化する高圧搬
送方式がある。この場合、高圧配電線には周波数変調さ
れた制御信号が重畳される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術においては、配電母局から配電子局までの距離が遠く
なる程、また配電母局から配電子局までの間における高
圧配電線の分岐が多くなる程、制御信号のレベルが低下
してＳ／Ｎ比が劣化するので、遠方の配電子局を正確に
制御することが困難であるという問題点がある。

【０００４】本発明は、上述する問題点に鑑みてなされ
たもので、以下の点を目的としている。 （１）既存の配電設備を変更することなく、配電母局か
ら遠方の配電子局を制御することが可能な配電設備を提
供する。 （２）配電母局から遠方の配電子局を正確に制御するこ
とが可能な配電設備を提供する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第１の手段として、高圧配電線に配電子局の制御に
係わる通信信号を重畳させて伝送し、該通信信号に基づ
いて配電母局から配電子局を制御する配電設備におい
て、配電母局と配電子局とについて、前記通信信号が受
信できないレベルに減衰する手前の位置の通信信号を検
出して増幅する付加設備をそれぞれ設け、配電母局及び
配電子局に各々設けられた送受信装置は、付加設備から
入力された通信信号に基づいて相互に交信を行うという
手段が採用される。

【０００６】第２の手段として、上記第１の手段におい
て、付加設備は通信信号を非接触で電流として検出し、
該通信信号を光信号に変換して出力する光ＣＴを備える
という手段が採用される。

【０００７】第３の手段として、上記第１の手段におい
て、付加設備は通信信号を非接触で電圧として検出し、
該通信信号を光信号に変換して出力する光ＰＴを備える
という手段が採用される。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図１を参照して、本発明に
係わる配電設備の一実施形態について説明する。

【０００９】図１は、本実施形態の全体構成を示す図で
ある。この図において、符号１は配電母局、２Ａ，２Ｂ
は配電子局である。符号３Ａ1，３Ｂ1，３Ｃ1，３Ａ2，
３Ｂ2，３Ｃ2は高圧配電線であり、各々三本（３Ａ1，
３Ｂ1，３Ｃ1と３Ａ2，３Ｂ2，３Ｃ2）がペアとなって
三相交流の高圧配電電力を上記配電母局１から配電子局
２Ａ，２Ｂに配電する。

【００１０】配電母局１において、符号４は、送電線等
の特高圧系の電圧を高圧配電系の配電電圧に変圧する主
変圧器であり、例えば周波数６０Ｈｚ、配電電圧６６０
０ボルトの高圧配電電力を各相について設けられた母線
５Ａ、５Ｂ、５Ｃを介して上記高圧配電線３Ａ1、３Ｂ
1、３Ｃ1、３Ａ2、３Ｂ2、３Ｃ2に出力する。

【００１１】上記母線５Ａ，５Ｂ，５Ｃの各々には、図
示するように送受信装置６が結合装置７Ａ，７Ｂ，７Ｃ
を介して接続される。送受信装置６は、配電母局１を制
御する制御装置（図示略）から入力された制御信号（配
電子局２Ａ，２Ｂを制御するための信号）を周波数変調
し、結合装置７Ａ，７Ｂ，７Ｃを介して各相の母線５
Ａ，５Ｂ，５Ｃに通信信号として出力する。

【００１２】結合装置７Ａ，７Ｂ，７Ｃは、例えば図示
するようにコンデンサとコイルの直列回路からなるもの
で、該コンデンサの容量とコイルのインダクタンスに基
づく直列共振周波数つまり上記通信信号のみを伝送する
ものである。このように構成された結合装置７Ａ，７
Ｂ，７Ｃを送受信装置６と母線５Ａ，５Ｂ，５Ｃとの間
に介挿することにより、送受信装置６に高圧配電線３Ａ
1、３Ｂ1、３Ｃ1、３Ａ2、３Ｂ2、３Ｃ2に通電される高
圧配電電圧が印加されることを防止した状態で、通信信
号のみを母線５Ａ，５Ｂ，５Ｃに伝送することができ
る。

【００１３】また、光ＣＴ（Current Transformer：変
流器）８とアダプタＡ９とアダプタＢ１０とは、上記配
電母局１に対して付随的に設けられる付加設備である。
光ＣＴ８は、配電子局２Ａ，２Ｂから高圧配電線３Ｃ1
を介して配電母局１に出力された通信信号を非接触で電
流として検出し、光信号に変換してアダプタＡ９に出力
する。

【００１４】ここで、該光ＣＴ８は、高圧配電線３Ｃ1
上において当該通信信号を受信するに当たり十分な受信
レベルが得られる位置に設けられる。アダプタＡ９は、
光ＣＴ８の検出信号のうち通信信号のみをフィルタ等を
用いて分離すると共に、分離した通信信号を長距離伝送
が可能なように増幅して光信号としてアダプタＢ１０に
出力する。

【００１５】アダプタＢ１０は、アダプタＡ９から入力
された光信号を電気信号に変換して通信信号を取り出
し、該通信信号を増幅して配電母局１の送受信装置６に
出力する。ここで、アダプタＢ１０の出力は、上記結合
装置７Ｃと送受信装置６との間に信号分岐器等を介して
接続される。送受信装置６は、アダプタＢ１０から入力
される通信信号あるいは結合装置７Ｃを介して高圧配電
線３Ｃ1から入力される通信信号を復調して配電母局１
を制御する制御装置（図示略）に出力する。

【００１６】続いて、配電子局２Ａは高圧配電線３Ａ
1、３Ｂ1、３Ｃ1の途中に設けられた配電子局であり、
これに対して配電子局２Ｂは、配電子局２Ａのさらに先
つまり配電母局１に対して配電子局２Ａよりも遠方に設
けられた配電子局である。

【００１７】配電子局２Ａは、変圧器１１と送受信装置
１２と結合装置１３とによって構成される。変圧器１１
は、高圧配電線３Ａ1、３Ｂ1、３Ｃ1によって伝送され
てきた高圧配電電力を、例えば２２０ボルトや１００ボ
ルトの低圧配電電力に変圧する。結合装置１３は上記結
合装置７Ａ，７Ｂ，７Ｃと全く同様に構成され、高圧配
電線３Ｃ1と送受信装置１２とを接続する。

【００１８】送受信装置１２は、結合装置１３を介して
高圧配電線３Ｃ1に接続され、上記送受信装置４から受
信された通信信号を復調し、該復調によって得られる制
御信号を当該配電子局２Ａを制御する制御装置（図示
略）に出力すると共に、制御装置から入力された動作状
態信号を周波数変調し、結合装置１３を介して高圧配電
線３Ｃ1に出力する。例えば、該制御装置は、変圧器１
１の出力に接続された開閉器の作動を制御信号に基づい
て切り換えることにより低圧配電電力の配電を制御し、
該制御の終了を示す動作状態信号を周波数変調して送受
信装置１２に出力する。

【００１９】配電子局２Ｂは、変圧器１４と送受信装置
１５と結合装置１６によって構成される。ここで、該配
電子局２Ｂは、配電母局１から離れているため、また図
示しないが高圧配電線３Ａ1、３Ｂ1、３Ｃ1が途中にお
いて分岐されている等のために配電母局１から受信され
る通信信号のレベルが減衰するので、高圧配電線３Ｃ1
を介して十分な受信レベルの通信信号を受信することが
できない。したがって、配電子局２Ｂの変圧器１４と結
合装置１６とは、上記配電子局２Ａと全く同様に構成さ
れるが、通信信号の受信に係わる構成が以下のように配
電子局２Ａとは異なっている。

【００２０】すなわち、光ＣＴ１７とアダプタＡ１８と
アダプタＢ１９とは、該配電子局２Ｂに付随的に設けら
れる付加設備である。光ＣＴ１７は、高圧配電線３Ｃ1
上において配電母局１から出力された通信信号について
十分な受信レベルが得られる位置に設けられ、高圧配電
線３Ｃ1に流れる高圧配電電力と通信信号の電流レベル
を非接触で検出し、光信号に変換してアダプタＡ１８に
出力する。該アダプタＡ１８は、フィルタ等を用いてＣ
Ｔ１７の検出信号のうち通信信号のみを分離すると共
に、分離した通信信号を長距離伝送が可能なように増幅
して光信号としてアダプタＢ１９に出力する。

【００２１】アダプタＢ１９は、アダプタＡ１８から入
力された光信号を電気信号に変換して通信信号を取り出
し、該通信信号を増幅して配電子局２Ｂの送受信装置１
５に出力する。ここでも、アダプタＢ１９の出力は、結
合装置１６と送受信装置１５との間に信号分岐器等を介
して接続されるようになっている。送受信装置１５は、
このようにしてアダプタＢ１９から入力される通信信号
あるいは結合装置１６を介して高圧配電線３Ｃ1から入
力される通信信号を復調し、該復調によって得られる制
御信号を当該配電子局２Ｂを制御する制御装置（図示
略）に出力する。

【００２２】次に、上記のように構成された配電設備の
作動について詳しく説明する。まず、三相交流の高圧配
電電力は、配電母局１の主変圧器４から母線５Ａ，５
Ｂ，５Ｃ及び高圧配電線３Ａ1、３Ｂ1、３Ｃ1、３Ａ2、
３Ｂ2、３Ｃ2を介して各配電子局２Ａ，２Ｂに配電さ
れ、配電子局２Ａにおいては変圧器１１によって、また
配電子局２Ｂにおいては変圧器１４によって、２２０ボ
ルトや１００ボルトの低圧配電電力に変圧されて低圧配
電される。

【００２３】一方、通信信号について説明すると、例え
ば配電母局１から配電子局２Ｂに通信信号が送信される
場合、該通信信号は、配電子局２Ｂを指し示す通信コー
ドと共に配電子局２Ｂにおける配電を指示する制御信号
が配電母局１を制御する制御装置から送受信装置６に入
力され、該送受信装置６によって周波数変調されて結合
装置７Ａ，７Ｂ，７Ｃ及び母線５Ａ，５Ｂ，５Ｃを介し
て各相の高圧配電線３Ａ1、３Ｂ1、３Ｃ1、３Ａ2、３Ｂ
2、３Ｃ2に出力される。

【００２４】ここで、配電子局２Ｂは配電母局１に対し
て遠方に位置しているために、高圧配電線３Ｃ1を介し
て受信される通信信号のレベルは大きく減衰しており、
送受信装置１５によって十分に復調できない場合があ
る。このような状況に対して、送受信装置１５には信号
分岐器等を介して光ＣＴ１７から通信信号が入力される
ようになっているので、送受信装置１５は光ＣＴ１７を
介して入力された通信信号に基づいて上記制御信号と通
信コードとを復調することができる。

【００２５】すなわち、光ＣＴ１７は復調が困難になる
程に通信信号が減衰しない位置に設けられると共に、該
光ＣＴ１７によって検出された通信信号はアダプタＢ１
９によって長距離伝送が可能なように増幅されるので、
光ＣＴ１７を介して送受信装置１５に入力された通信信
号は十分に復調可能な信号となる。したがって、送受信
装置１５は、光ＣＴ１７からの通信信号を復調すること
により制御信号と通信コードとを制御装置に確実に出力
することができる。制御装置は、該制御信号と通信コー
ドが入力されると、通信コードに基づいて自局宛の制御
信号が入力されたことを判断し、該制御信号に基づいて
開閉器等を作動させて配電を制御する。

【００２６】一方、このようにして配電母局１から受信
された制御信号に基づく配電子局２Ｂの配線制御が終了
すると、制御装置は該配電制御が正常に終了したことを
配電母局１に告げる動作状態信号を送受信装置１５に出
力する。この動作状態信号には送受信装置１５によって
配電母局１を指し示す通信コードが付加され、さらに周
波数変調されて通信信号として高圧配電線３Ｃ1に出力
される。

【００２７】この配電子局２Ｂから配電母局１への通信
信号は、高圧配電線３Ｃ1を伝送されて結合装置７Ｃを
介して送受信装置６に入力される一方、光ＣＴ８によっ
て検出されてアダプタＡ９及びアダプタＢ１０を介して
送受信装置６に入力される。ここで、上述したと同様に
配電子局２Ｂと配電母局１との距離が離れているため、
高圧配電線３Ｃ1を伝送された通信信号は減衰しており
送受信装置６によって十分に復調できない場合がある。

【００２８】この事態に対して、送受信装置６は、光Ｃ
Ｔ８、アダプタＡ９及びアダプタＢ１０を介して入力さ
れた通信信号を復調することにより、配電子局２Ｂから
の通信コードと動作状態信号とを制御装置に出力する。
そして、配電子局２Ｂの制御装置は、該通信コードに基
づいて配電子局２Ｂから動作状態信号が受信されたこと
を判断し、該動作状態信号に基づいて配電子局２Ｂの動
作状態を確認する。

【００２９】なお、本願発明は上記実施形態に限定され
るものではなく、以下のような実施形態も本願発明の範
囲に属する。 （１）通信信号を非接触で電流として検出し、検出電流
を光信号に変換して出力する光ＣＴに代えて、通信信号
を非接触で電圧として検出して光信号に変換して出力す
る光ＰＴ（Potential Transformer：変圧器）を用い
る。 （２）アダプタＡとアダプタＢ間の伝送を電気信号によ
る伝送に代えて、光ファイバケーブルによる光伝送とす
る。 （３）アダプタＡとアダプタＢ間の伝送を電気信号によ
る有線式の伝送に代えて、無線伝送とする。例えば、Ｐ
ＨＳ等の既存の無線電話網を利用する。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる配
電設備によれば、以下のような効果が得られる。 （１）高圧配電線に配電子局の制御に係わる通信信号を
重畳させて伝送し、該通信信号に基づいて配電母局から
配電子局を制御する配電設備において、配電母局と配電
子局とについて、前記通信信号が受信できないレベルに
減衰する手前の位置の通信信号を検出して増幅する付加
設備をそれぞれ設け、配電母局及び配電子局に各々設け
られた送受信装置は、付加設備から入力された通信信号
に基づいて相互に交信を行うので、既存の配電設備を変
更することなく、配電母局と遠隔地の配電子局配との間
で通信信号による交信を確実に行うことができる。した
がって、電親局から遠隔地の配電子局を確実に制御する
ことができる。 （２）付加設備は通信信号を非接触で電流として検出し
て光信号として出力する光ＣＴ、あるいは通信信号を非
接触で電圧として検出して光信号として出力する光ＰＴ
を備えるので、高圧配電電力が通電される高圧配電線か
ら通信信号を検出することができる。 （３）付加設備を設けることにより、配電母局は従来遠
隔制御することができなかった遠方の配電子局をも制御
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係わる配電設備の一実施形態の全体
構成を示す図である。

【符号の説明】

１……配電母局，２Ａ，２Ｂ……配電子局，３Ａ1，３
Ａ2，３Ｂ1，３Ｂ2，３Ｃ1，３Ｃ2……高圧配電線，４
……主変圧器，５Ａ，５Ｂ，５Ｃ……母線，６，１２，
１５……送受信装置，７Ａ，７Ｂ，７Ｃ，１３，１６…
…結合装置，１１，１４……変圧器，８，１７……光Ｃ
Ｔ，９，１８……アダプタＡ，１０，１９……アダプタ
Ｂ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高圧配電線に配電子局の制御に係わる通
   信信号を重畳させて伝送し、該通信信号に基づいて配電
   母局から配電子局を制御する配電設備において、 配電母局と配電子局とについて、前記通信信号が受信で
   きないレベルに減衰する手前の位置の通信信号を検出し
   て増幅する付加設備をそれぞれ設け、 配電母局及び配電子局に各々設けられた送受信装置は、
   付加設備から入力された通信信号に基づいて相互に交信
   を行うことを特徴とする配電設備。
2. 【請求項２】 請求項１記載の配電設備において、前記
   付加設備は、通信信号を非接触で電流として検出し、該
   通信信号を光信号に変換して出力する光ＣＴ（Current
   Transformer）を備えることを特徴とする配電設備。
3. 【請求項３】 請求項１記載の配電設備において、付加
   設備は、前記通信信号を非接触で電圧として検出し、該
   通信信号を光信号に変換して出力する光ＰＴ（Potentia
   l Transformer）を備えることを特徴とする配電設備。