JPH1097937A - 希土類永久磁石の製造方法 - Google Patents
希土類永久磁石の製造方法Info
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- JPH1097937A JPH1097937A JP8250604A JP25060496A JPH1097937A JP H1097937 A JPH1097937 A JP H1097937A JP 8250604 A JP8250604 A JP 8250604A JP 25060496 A JP25060496 A JP 25060496A JP H1097937 A JPH1097937 A JP H1097937A
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- H01F41/02—Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 鉱物油、合成油あるいは植物油を溶媒として
使用する希土類焼結磁石の湿式プロセスにおいて、焼結
体酸素量の増加を抑え、高い磁気特性を有する高性能希
土類磁石を安定に製造する方法を提供する。 【解決手段】 RCo5系、R2Co17系あるいはR−F
e−B系(RはYを含む希土類元素の内の1種類または
2種類以上)希土類永久磁石用の微粉と鉱物油、合成油
あるいは植物油の混合物ならびに成形体を不活性雰囲気
中あるいは真空中で保管する希土類永久磁石の製造方
法。
使用する希土類焼結磁石の湿式プロセスにおいて、焼結
体酸素量の増加を抑え、高い磁気特性を有する高性能希
土類磁石を安定に製造する方法を提供する。 【解決手段】 RCo5系、R2Co17系あるいはR−F
e−B系(RはYを含む希土類元素の内の1種類または
2種類以上)希土類永久磁石用の微粉と鉱物油、合成油
あるいは植物油の混合物ならびに成形体を不活性雰囲気
中あるいは真空中で保管する希土類永久磁石の製造方
法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、R−Co5系、R2
−Co17系、R−Fe−B系(RはYを含む希土類元素
の内の1種または2種以上)希土類永久磁石の製造方法
に関するものである。
−Co17系、R−Fe−B系(RはYを含む希土類元素
の内の1種または2種以上)希土類永久磁石の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】焼結型希土類永久磁石は、原料金属を溶
解し、鋳型に注湯して得られたインゴットを粉砕、成
形、焼結、熱処理、加工して製造される。粉砕は、不活
性高圧ガス雰囲気中で粒子どうしを衝突させ乾粉を得る
ジェットミル粉砕法、ボ−ルミル、振動ミル等を用い、
有機溶媒中で原料粉を粉砕しその後有機溶媒を乾燥させ
て乾粉を得る湿式粉砕法で行われるのが一般的である。
乾粉を成形するにあたっては、所定量の乾粉を秤量し、
これを金型キャビティ内に投入する、あるいはフィ−ド
ボックス等を用いて擦り切り法にて金型キャビティ内に
投入する方法が取られ、給粉後、配向磁界を印加して成
形を行う。また、あらかじめ磁界を印加したキャビティ
内に上記方法で乾粉を給粉し、成形する方法が採られる
場合もある。一方、粉砕後の希土類焼結磁石用粉末は、
化学的に非常に活性であるため大気中で急激に酸化し、
磁気特性の劣化を招いてしまう。これを防止する方法と
しては、例えば特開昭58−157924号、特開昭6
1−114505号、特開平1−303710号、特開
平3−1504号、特開平4−83319号に開示され
ているように、原料粉末と有機溶媒との混合物を作製
し、これを上記の乾粉と同様の方法で金型キャビティ内
に給粉し、磁界中にて成形し、得られた成形体を乾燥、
焼結及び熱処理する製造方法がある。この製造方法によ
れば、湿式で成形するため乾式で問題となる酸化による
磁気特性の劣化が低減できる。しかし、乾粉を用いるに
しろ有機溶媒と混合した湿式粉を用いるにしろ、上記給
粉、成形方法では希土類永久磁石用原料粉が有する磁気
特性的なポテンシャルを十分に引き出せず、得られる永
久磁石の磁気特性の水準は、満足すべきものではなかっ
た。磁気特性、特に残留磁束密度及び最大エネルギ−積
の向上は、希土類永久磁石用原料粉の配向性の改善或い
は磁性相の相対比率の増加により達成される。これらの
課題に対して、本発明者らは、希土類焼結磁石原料とあ
る種の鉱物油、合成油あるいは植物油との混合物を金型
キャビティ内に一定の圧力以上で加圧注入し加圧充填
し、これを湿式成形することによって希土類焼結磁石の
配向が大幅に改善できることを見いだした(特開平7−
57914号)
解し、鋳型に注湯して得られたインゴットを粉砕、成
形、焼結、熱処理、加工して製造される。粉砕は、不活
性高圧ガス雰囲気中で粒子どうしを衝突させ乾粉を得る
ジェットミル粉砕法、ボ−ルミル、振動ミル等を用い、
有機溶媒中で原料粉を粉砕しその後有機溶媒を乾燥させ
て乾粉を得る湿式粉砕法で行われるのが一般的である。
乾粉を成形するにあたっては、所定量の乾粉を秤量し、
これを金型キャビティ内に投入する、あるいはフィ−ド
ボックス等を用いて擦り切り法にて金型キャビティ内に
投入する方法が取られ、給粉後、配向磁界を印加して成
形を行う。また、あらかじめ磁界を印加したキャビティ
内に上記方法で乾粉を給粉し、成形する方法が採られる
場合もある。一方、粉砕後の希土類焼結磁石用粉末は、
化学的に非常に活性であるため大気中で急激に酸化し、
磁気特性の劣化を招いてしまう。これを防止する方法と
しては、例えば特開昭58−157924号、特開昭6
1−114505号、特開平1−303710号、特開
平3−1504号、特開平4−83319号に開示され
ているように、原料粉末と有機溶媒との混合物を作製
し、これを上記の乾粉と同様の方法で金型キャビティ内
に給粉し、磁界中にて成形し、得られた成形体を乾燥、
焼結及び熱処理する製造方法がある。この製造方法によ
れば、湿式で成形するため乾式で問題となる酸化による
磁気特性の劣化が低減できる。しかし、乾粉を用いるに
しろ有機溶媒と混合した湿式粉を用いるにしろ、上記給
粉、成形方法では希土類永久磁石用原料粉が有する磁気
特性的なポテンシャルを十分に引き出せず、得られる永
久磁石の磁気特性の水準は、満足すべきものではなかっ
た。磁気特性、特に残留磁束密度及び最大エネルギ−積
の向上は、希土類永久磁石用原料粉の配向性の改善或い
は磁性相の相対比率の増加により達成される。これらの
課題に対して、本発明者らは、希土類焼結磁石原料とあ
る種の鉱物油、合成油あるいは植物油との混合物を金型
キャビティ内に一定の圧力以上で加圧注入し加圧充填
し、これを湿式成形することによって希土類焼結磁石の
配向が大幅に改善できることを見いだした(特開平7−
57914号)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−57914
号により、希土類焼結磁石の配向性が改善し、かつ耐酸
化性も向上したため、高性能の希土類焼結磁石が安定に
生産できるようになった。鉱物油、合成油あるいは植物
油を用いる湿式プロセスは、原料磁石粉あるいは成形体
を大気から遮断することによって、特に低酸素の原料の
安定な取扱いを可能とした。しかしながら、前記湿式プ
ロセスにおいても最終的に得られる焼結体の酸素量は、
原料磁石粉あるいは成形体の保管に対して経時変化を示
し、酸素量の増加を完全に抑制することは困難であっ
た。また、高性能の希土類焼結磁石をさらに歩留り良く
安定に生産するためには、酸素量の増加を極力抑えたプ
ロセスとする必要があった。したがって、本発明は、酸
素量の増加を極力抑えた希土類磁石の製造方法を提供す
ることを目的とする。
号により、希土類焼結磁石の配向性が改善し、かつ耐酸
化性も向上したため、高性能の希土類焼結磁石が安定に
生産できるようになった。鉱物油、合成油あるいは植物
油を用いる湿式プロセスは、原料磁石粉あるいは成形体
を大気から遮断することによって、特に低酸素の原料の
安定な取扱いを可能とした。しかしながら、前記湿式プ
ロセスにおいても最終的に得られる焼結体の酸素量は、
原料磁石粉あるいは成形体の保管に対して経時変化を示
し、酸素量の増加を完全に抑制することは困難であっ
た。また、高性能の希土類焼結磁石をさらに歩留り良く
安定に生産するためには、酸素量の増加を極力抑えたプ
ロセスとする必要があった。したがって、本発明は、酸
素量の増加を極力抑えた希土類磁石の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、RCo5
系、R2Co17系或いはR−Fe−B系(RはYを含む
希土類元素の内の1種類または2種類以上)希土類永久
磁石用の微粉と鉱物油、合成油あるいは植物油を混合
し、この混合物(以下、スラリーという)を磁界中にて
湿式加圧成形して成形体とし、その後脱溶媒・焼結する
希土類永久磁石の製造方法に関し、最終的に得られる焼
結体酸素量の増加を極力抑え、高性能な希土類永久磁石
を安定に製造する方法について鋭意研究を重ねた結果、
混合物または成形体を保管する方法において、スラリ
ー、または鉱物油、合成油あるいは植物油に浸した成形
体を真空中または不活性ガス雰囲気で保管することによ
り、酸素量の増加を著しく低減できることを見いだし、
本発明に至ったものである。
系、R2Co17系或いはR−Fe−B系(RはYを含む
希土類元素の内の1種類または2種類以上)希土類永久
磁石用の微粉と鉱物油、合成油あるいは植物油を混合
し、この混合物(以下、スラリーという)を磁界中にて
湿式加圧成形して成形体とし、その後脱溶媒・焼結する
希土類永久磁石の製造方法に関し、最終的に得られる焼
結体酸素量の増加を極力抑え、高性能な希土類永久磁石
を安定に製造する方法について鋭意研究を重ねた結果、
混合物または成形体を保管する方法において、スラリ
ー、または鉱物油、合成油あるいは植物油に浸した成形
体を真空中または不活性ガス雰囲気で保管することによ
り、酸素量の増加を著しく低減できることを見いだし、
本発明に至ったものである。
【0005】以下本発明について詳述する。本発明にお
ける原料混合物を作製するのに使用する溶媒である鉱物
油あるいは合成油は、塩素基やフッ素基を含まない芳香
族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、直鎖パラフィン系
炭化水素、側鎖パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭
化水素の内の少なくとも一種類もしくは二種類以上の混
合物を主成分とし、分留点が400℃以下、常温での動
粘度は10cSt以下のものとされる。使用する鉱物油
あるいは合成油の分留点が400℃よりも高く、また常
温での動粘度が10cStよりも大きい場合には、焼結
前の脱溶媒工程においてそれを除去することが困難とな
り、焼結体中の残留炭素量が増加して焼結体密度が低下
し、残留磁束密度と最大エネルギ−積が低下する。な
お、本発明における植物油とは、植物より抽出される油
を指し、その種類も特定の植物に限定されるものではな
いが、例えばパイン油、ショウノウ油、なたね油、大豆
油、コ−ン油などがあげられる。
ける原料混合物を作製するのに使用する溶媒である鉱物
油あるいは合成油は、塩素基やフッ素基を含まない芳香
族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、直鎖パラフィン系
炭化水素、側鎖パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭
化水素の内の少なくとも一種類もしくは二種類以上の混
合物を主成分とし、分留点が400℃以下、常温での動
粘度は10cSt以下のものとされる。使用する鉱物油
あるいは合成油の分留点が400℃よりも高く、また常
温での動粘度が10cStよりも大きい場合には、焼結
前の脱溶媒工程においてそれを除去することが困難とな
り、焼結体中の残留炭素量が増加して焼結体密度が低下
し、残留磁束密度と最大エネルギ−積が低下する。な
お、本発明における植物油とは、植物より抽出される油
を指し、その種類も特定の植物に限定されるものではな
いが、例えばパイン油、ショウノウ油、なたね油、大豆
油、コ−ン油などがあげられる。
【0006】希土類永久磁石用の微粉と鉱物油、合成油
或いは植物油との混合方法は特に限定されない。また、
鉱物油、合成油或いは植物油は、これらを混合して使用
することもできる。あらかじめ所定量の微粉と鉱物油、
合成油或いは植物油を用意し、これらを混合してもよ
い。あるいはジェットミル等の粉砕機の微粉排出口に鉱
物油、合成油或いは植物油を設置し、排出される微粉を
直接溶媒中に回収する方法を採ることもできる。また、
振動ミル、ボ−ルミル等に溶媒として鉱物油、合成油あ
るいは植物油を入れ、これに希土類永久磁石用原料粗粉
を所定量装入し、湿式粉砕することで原料混合物とする
こともできる。ただし、いずれの場合においても最終的
に混合された原料混合物中の希土類永久磁石用微粉の量
は重量百分率で50〜80%である必要がある。微粉の
量が50%〜80%の範囲を外れると、微粉と溶媒の分
離、あるいは原料混合物の連続性の低下によって定量供
給性が損なわれる。原料混合物は磁界中で湿式成形され
成形体とされる。金型キャビティ内への原料混合物の充
填方法および成形方法としては、例えば擦り切りフィ−
ダ等でキャビティ内に原料混合物を擦り切り充填した後
磁界を印加して成形する方法、磁界を印加したキャビテ
ィ内に原料混合物を加圧充填した後成形する方法、原料
混合物を擦り切り充填した後磁界を印加・保持し、原料
混合物をキャビティ内に追加加圧注入した後成形する方
法等があるが、原料混合物の充填方法および成形方法は
これに限定するものではない。
或いは植物油との混合方法は特に限定されない。また、
鉱物油、合成油或いは植物油は、これらを混合して使用
することもできる。あらかじめ所定量の微粉と鉱物油、
合成油或いは植物油を用意し、これらを混合してもよ
い。あるいはジェットミル等の粉砕機の微粉排出口に鉱
物油、合成油或いは植物油を設置し、排出される微粉を
直接溶媒中に回収する方法を採ることもできる。また、
振動ミル、ボ−ルミル等に溶媒として鉱物油、合成油あ
るいは植物油を入れ、これに希土類永久磁石用原料粗粉
を所定量装入し、湿式粉砕することで原料混合物とする
こともできる。ただし、いずれの場合においても最終的
に混合された原料混合物中の希土類永久磁石用微粉の量
は重量百分率で50〜80%である必要がある。微粉の
量が50%〜80%の範囲を外れると、微粉と溶媒の分
離、あるいは原料混合物の連続性の低下によって定量供
給性が損なわれる。原料混合物は磁界中で湿式成形され
成形体とされる。金型キャビティ内への原料混合物の充
填方法および成形方法としては、例えば擦り切りフィ−
ダ等でキャビティ内に原料混合物を擦り切り充填した後
磁界を印加して成形する方法、磁界を印加したキャビテ
ィ内に原料混合物を加圧充填した後成形する方法、原料
混合物を擦り切り充填した後磁界を印加・保持し、原料
混合物をキャビティ内に追加加圧注入した後成形する方
法等があるが、原料混合物の充填方法および成形方法は
これに限定するものではない。
【0007】スラリ−および成形体は製造工程上一定時
間保管する必要性が生じるが、本発明の保管方法を採用
することにより、保管時の酸素量の増加を抑えることが
可能である。すなわち、スラリ−、または鉱物油、合成
油あるいは植物油に浸した成形体を真空中またはN2、
Ar等の不活性ガス雰囲気で保管する。鉱物油、合成油
あるいは植物油中に保管される磁石粉、成形体は、それ
らに溶存する酸素を吸収し、これによって酸素量の増加
が進行する。溶存酸素量が減ると雰囲気からさらに酸素
が溶け込み雰囲気と平衡する。したがって保管する雰囲
気を真空中あるいは不活性ガス雰囲気とすることで、鉱
物油、合成油あるいは植物油への新たな酸素の溶け込み
を防止し、結果として酸素量の増加を抑えることができ
る。不活性雰囲気とする前に一度真空排気することによ
って、本発明の効果をさらに高めることができる。これ
は雰囲気の置換効率を上げるとともに、鉱物油、合成油
あるいは植物油を脱気し、溶存酸素量を低減する意味を
持つ。あらかじめ脱気した鉱物油、合成油あるいは植物
油を使用することも有効である。また、成形後鉱物油、
合成油あるいは植物油に浸さない状態においても、前記
方法によって酸素量の増加を抑えた成形体の保管が可能
である。
間保管する必要性が生じるが、本発明の保管方法を採用
することにより、保管時の酸素量の増加を抑えることが
可能である。すなわち、スラリ−、または鉱物油、合成
油あるいは植物油に浸した成形体を真空中またはN2、
Ar等の不活性ガス雰囲気で保管する。鉱物油、合成油
あるいは植物油中に保管される磁石粉、成形体は、それ
らに溶存する酸素を吸収し、これによって酸素量の増加
が進行する。溶存酸素量が減ると雰囲気からさらに酸素
が溶け込み雰囲気と平衡する。したがって保管する雰囲
気を真空中あるいは不活性ガス雰囲気とすることで、鉱
物油、合成油あるいは植物油への新たな酸素の溶け込み
を防止し、結果として酸素量の増加を抑えることができ
る。不活性雰囲気とする前に一度真空排気することによ
って、本発明の効果をさらに高めることができる。これ
は雰囲気の置換効率を上げるとともに、鉱物油、合成油
あるいは植物油を脱気し、溶存酸素量を低減する意味を
持つ。あらかじめ脱気した鉱物油、合成油あるいは植物
油を使用することも有効である。また、成形後鉱物油、
合成油あるいは植物油に浸さない状態においても、前記
方法によって酸素量の増加を抑えた成形体の保管が可能
である。
【0008】
【発明の実施の態様】以下、本発明を実施例をもって具
体的に説明するが、本発明の内容はこれによって限定さ
れるものではない。
体的に説明するが、本発明の内容はこれによって限定さ
れるものではない。
【0009】(実施例1)重量百分率でNd29.0
%、Dy1.0%、B1.0%、Nb0.5%、Co
2.0%、Ga0.2%、残部Feの組成を有するNd
−Fe−B系希土類磁石原料粗粉(酸素量1520pp
m)を酸素量20ppm以下の窒素気流中で微粉砕を行
い、窒素ガス雰囲気中で排出微粉を直接鉱物油(出光興
産製、商品名ス−パ−ゾルPA30)の中に回収し、原
料混合物(スラリー)とした。原料微粉の重量百分率は
60%に調整した。このスラリ−を保管容器に入れ、窒
素ガス3l/minで置換し、10日間保管した。保管
開始時のスラリ−および10日間保管後のスラリ−を1
0kOeの磁界を印加・保持し、1ton/cm2の成
形圧力で湿式成形して、成形体を得た。成形体は真空中
200℃×2時間の脱溶媒処理を施した後、真空中で1
070℃×2時間の条件で焼結を行い、Arガス雰囲気
中で900℃×1時間、さらに600℃×1時間の熱処
理を施した。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定
したところ、表1に示すように保管時間に対して酸素量
の増加がなく、磁気特性の低下も見られなかった。
%、Dy1.0%、B1.0%、Nb0.5%、Co
2.0%、Ga0.2%、残部Feの組成を有するNd
−Fe−B系希土類磁石原料粗粉(酸素量1520pp
m)を酸素量20ppm以下の窒素気流中で微粉砕を行
い、窒素ガス雰囲気中で排出微粉を直接鉱物油(出光興
産製、商品名ス−パ−ゾルPA30)の中に回収し、原
料混合物(スラリー)とした。原料微粉の重量百分率は
60%に調整した。このスラリ−を保管容器に入れ、窒
素ガス3l/minで置換し、10日間保管した。保管
開始時のスラリ−および10日間保管後のスラリ−を1
0kOeの磁界を印加・保持し、1ton/cm2の成
形圧力で湿式成形して、成形体を得た。成形体は真空中
200℃×2時間の脱溶媒処理を施した後、真空中で1
070℃×2時間の条件で焼結を行い、Arガス雰囲気
中で900℃×1時間、さらに600℃×1時間の熱処
理を施した。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定
したところ、表1に示すように保管時間に対して酸素量
の増加がなく、磁気特性の低下も見られなかった。
【0010】(実施例2)実施例1で得られた保管開始
時のスラリ−を保管容器に入れ、30分真空排気した
後、窒素ガス3l/minで置換し、10日間保管し
た。保管開始時のスラリ−および10日間保管後のスラ
リ−を実施例1と同様の条件で成形、脱溶媒、焼結、熱
処理を行った。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測
定したところ、表1に示すように保管時間に対して酸素
量の増加がなく、磁気特性の低下も見られなかった。
時のスラリ−を保管容器に入れ、30分真空排気した
後、窒素ガス3l/minで置換し、10日間保管し
た。保管開始時のスラリ−および10日間保管後のスラ
リ−を実施例1と同様の条件で成形、脱溶媒、焼結、熱
処理を行った。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測
定したところ、表1に示すように保管時間に対して酸素
量の増加がなく、磁気特性の低下も見られなかった。
【0011】(実施例3)実施例1で得られた保管開始
時のスラリ−を実施例1と同様の条件で湿式成形し、得
られた成形体を、鉱物油(出光興産製、商品名ス−パ−
ゾルPA30)中に浸し、30分真空排気した後、窒素
ガス3l/minで置換し、10日間保管した。成形体
は実施例1と同様の条件で脱溶媒、焼結、熱処理を行っ
た。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定したとこ
ろ、表1に示すように保管時間に対して酸素量の増加が
なく、磁気特性の低下も見られなかった。
時のスラリ−を実施例1と同様の条件で湿式成形し、得
られた成形体を、鉱物油(出光興産製、商品名ス−パ−
ゾルPA30)中に浸し、30分真空排気した後、窒素
ガス3l/minで置換し、10日間保管した。成形体
は実施例1と同様の条件で脱溶媒、焼結、熱処理を行っ
た。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定したとこ
ろ、表1に示すように保管時間に対して酸素量の増加が
なく、磁気特性の低下も見られなかった。
【0012】(比較例1)実施例1で得られた保管開始
時のスラリ−を保管容器に入れ、大気中で10日間保管
した。保管開始時のスラリ−および10日間保管後のス
ラリ−を実施例1と同様の条件で成形、脱溶媒、焼結、
熱処理を行った。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を
測定したところ、表1に示すように保管時間に対して酸
素量が増加し、磁気特性の低下が見られた。
時のスラリ−を保管容器に入れ、大気中で10日間保管
した。保管開始時のスラリ−および10日間保管後のス
ラリ−を実施例1と同様の条件で成形、脱溶媒、焼結、
熱処理を行った。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を
測定したところ、表1に示すように保管時間に対して酸
素量が増加し、磁気特性の低下が見られた。
【0013】(比較例2)実施例2の成形で得られた成
形体を、鉱物油(出光興産製、商品名ス−パ−ゾルPA
30)中に浸して、大気中で10日間保管した。成形体
は実施例1と同様の条件で脱溶媒、焼結、熱処理を行っ
た。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定したとこ
ろ、表1に示すように保管時間に対して酸素量が増加
し、磁気特性の低下が見られた。
形体を、鉱物油(出光興産製、商品名ス−パ−ゾルPA
30)中に浸して、大気中で10日間保管した。成形体
は実施例1と同様の条件で脱溶媒、焼結、熱処理を行っ
た。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定したとこ
ろ、表1に示すように保管時間に対して酸素量が増加
し、磁気特性の低下が見られた。
【0014】(実施例4)実施例1で得られた保管開始
時のスラリ−を実施例1と同様の条件で湿式成形し、得
られた成形体を、鉱物油に浸すことなく保管容器に入
れ、窒素ガス3l/minで置換し、3日間保管した。
成形体は実施例1と同様の条件で、焼結、熱処理を行っ
た。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定したとこ
ろ、表1に示すように保管時間に対して酸素量の増加が
なく、磁気特性の低下も見られなかった。
時のスラリ−を実施例1と同様の条件で湿式成形し、得
られた成形体を、鉱物油に浸すことなく保管容器に入
れ、窒素ガス3l/minで置換し、3日間保管した。
成形体は実施例1と同様の条件で、焼結、熱処理を行っ
た。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を測定したとこ
ろ、表1に示すように保管時間に対して酸素量の増加が
なく、磁気特性の低下も見られなかった。
【0015】(実施例5)実施例4の成形で得られた成
形体を、鉱物油に浸すことなく保管容器に入れ、10分
真空排気した後、窒素ガス3l/minで置換し、3日
間保管した。成形体は実施例1と同様の条件で、焼結、
熱処理を行った。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を
測定したところ、表1に示すように保管時間に対して酸
素量の増加がなく、磁気特性の低下も見られなかった。
形体を、鉱物油に浸すことなく保管容器に入れ、10分
真空排気した後、窒素ガス3l/minで置換し、3日
間保管した。成形体は実施例1と同様の条件で、焼結、
熱処理を行った。得られた焼結体の酸素量と磁気特性を
測定したところ、表1に示すように保管時間に対して酸
素量の増加がなく、磁気特性の低下も見られなかった。
【0016】(比較例3)実施例4の成形で得られた成
形体を、鉱物油に浸すことなく保管容器に入れ、大気中
で、3日間保管した。成形体は実施例1と同様の条件
で、焼結、熱処理を行った。得られた焼結体の酸素量と
磁気特性を測定したところ、表1に示すように保管時間
に対して酸素量が増加し、焼結不良を引き起こし、磁気
特性が著しく低下した。
形体を、鉱物油に浸すことなく保管容器に入れ、大気中
で、3日間保管した。成形体は実施例1と同様の条件
で、焼結、熱処理を行った。得られた焼結体の酸素量と
磁気特性を測定したところ、表1に示すように保管時間
に対して酸素量が増加し、焼結不良を引き起こし、磁気
特性が著しく低下した。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】以上詳述したように、鉱物油、合成油あ
るいは植物油を使用した希土類焼結磁石の湿式プロセス
において、本発明のスラリ−および成形体の保管方法を
行うことにより、焼結体酸素量の増加を抑え、高い磁気
特性を有する高性能希土類磁石を安定に製造することが
可能となった。
るいは植物油を使用した希土類焼結磁石の湿式プロセス
において、本発明のスラリ−および成形体の保管方法を
行うことにより、焼結体酸素量の増加を抑え、高い磁気
特性を有する高性能希土類磁石を安定に製造することが
可能となった。
Claims (4)
- 【請求項1】 RCo5系、R2Co17系或いはR−Fe
−B系(RはYを含む希土類元素の内の1種類または2
種類以上)希土類永久磁石用の微粉と鉱物油、合成油あ
るいは植物油を混合し、この混合物を磁界中にて湿式加
圧成形して成形体とし、その後脱溶媒・焼結する希土類
永久磁石の製造方法において、前記混合物、または鉱物
油、合成油あるいは植物油に浸した成形体を真空中また
は不活性ガス雰囲気で保管することを特徴とする希土類
永久磁石の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法において、混
合物、または鉱物油、合成油あるいは植物油に浸した成
形体の保管雰囲気を不活性ガス雰囲気とする前に、真空
排気することを特徴とした希土類永久磁石の製造方法。 - 【請求項3】 RCo5系、R2Co17系或いはR−Fe
−B系(RはYを含む希土類元素の内の1種類または2
種類以上)希土類永久磁石用の微粉と鉱物油、合成油あ
るいは植物油を混合し、この混合物を磁界中にて湿式加
圧成形して成形体とし、その後脱溶媒・焼結することを
特徴とする希土類永久磁石の製造方法において、成形体
を真空中または不活性ガス雰囲気で保管する希土類永久
磁石の製造方法。 - 【請求項4】 請求項3に記載の製造方法において、成
形体の保管雰囲気を不活性ガス雰囲気とする前に、真空
排気することを特徴とした希土類永久磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8250604A JPH1097937A (ja) | 1996-09-20 | 1996-09-20 | 希土類永久磁石の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8250604A JPH1097937A (ja) | 1996-09-20 | 1996-09-20 | 希土類永久磁石の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1097937A true JPH1097937A (ja) | 1998-04-14 |
Family
ID=17210348
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8250604A Pending JPH1097937A (ja) | 1996-09-20 | 1996-09-20 | 希土類永久磁石の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1097937A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011125578A1 (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-13 | 日立金属株式会社 | スラリーの再生方法、希土類系焼結磁石の製造方法およびスラリーの再生装置 |
WO2023181771A1 (ja) * | 2022-03-24 | 2023-09-28 | 株式会社プロテリアル | R-t-b系焼結磁石の製造方法 |
-
1996
- 1996-09-20 JP JP8250604A patent/JPH1097937A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011125578A1 (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-13 | 日立金属株式会社 | スラリーの再生方法、希土類系焼結磁石の製造方法およびスラリーの再生装置 |
CN102822915A (zh) * | 2010-03-31 | 2012-12-12 | 日立金属株式会社 | 浆液的再生方法、稀土类烧结磁铁的制造方法以及浆液再生装置 |
JP5682623B2 (ja) * | 2010-03-31 | 2015-03-11 | 日立金属株式会社 | スラリーの再生方法、希土類系焼結磁石の製造方法およびスラリーの再生装置 |
US9358614B2 (en) | 2010-03-31 | 2016-06-07 | Hitachi Metals, Ltd. | Slurry recycling method, producing method of rare earth sintered magnet and slurry recycling apparatus |
US10807167B2 (en) | 2010-03-31 | 2020-10-20 | Hitachi Metals, Ltd. | Slurry recycling method, producing method of rare earth sintered magnet and slurry recycling apparatus |
WO2023181771A1 (ja) * | 2022-03-24 | 2023-09-28 | 株式会社プロテリアル | R-t-b系焼結磁石の製造方法 |
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