JPH1095838A - ポリエステル水分散体の製造方法 - Google Patents

ポリエステル水分散体の製造方法

Info

Publication number
JPH1095838A
JPH1095838A JP25122396A JP25122396A JPH1095838A JP H1095838 A JPH1095838 A JP H1095838A JP 25122396 A JP25122396 A JP 25122396A JP 25122396 A JP25122396 A JP 25122396A JP H1095838 A JPH1095838 A JP H1095838A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecule
polyester
acid anhydride
aqueous dispersion
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25122396A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsukasa Otsuki
司 大槻
Noribumi Watanabe
紀文 渡辺
Minoru Uno
稔 宇野
Masumi Takano
真主実 高野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink Mfg Co Ltd filed Critical Toyo Ink Mfg Co Ltd
Priority to JP25122396A priority Critical patent/JPH1095838A/ja
Publication of JPH1095838A publication Critical patent/JPH1095838A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状酸無水物、エポキシド、水酸基含有化合
物から塩基性触媒を用いてポリエステルを合成し、安定
した水分散液ができたが、塗料、インキ等に適用すると
耐水性が乏しかった。 【解決手段】 1分子中に1個の酸無水物基を有する環
状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有す
るエポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に
等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレ
ン性不飽和二重結合を有し、1分子中に1個以上の水酸
基を有する化合物(C)の存在下に、塩基性触媒(D)
を触媒として、反応させて得られるポリエステルの製造
方法において、(A)もしくは(B)1モルに対し
(C)が0.5モル未満であり、上記(A)(B)
(C)の一部もしくは全部がカルボキシル基を有し、中
和する前の該ポリエステルの酸価が5〜100であり、
カルボキシル基の一部もしくは全部を中和して水分散体
とすることを特徴とするポリエステル水分散体の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料分散性、下地
への密着性、光沢保持性に優れ、塗料、インキ、接着剤
に利用できるポリエステルの製造方法に関する。更に詳
しくは、100℃以下の反応温度で重合でき、中和処理
を行うことにより自己乳化して水中に分散可能であり、
さらに硬化性を有するポリエステル水性分散体の製造方
法に関する。本発明のポリエステル水分散体は、塗料、
インキ、接着剤、建材用下地処理剤及び仕上げ剤、紙処
理剤として有用であり、特に、ポリエステルフィルム用
の塗料、インキとして有用である。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、PET、PBTなどポ
リエステルフィルムへの接着性が、非常に良好であり、
塗料、インキ、接着剤用のポリマーとして大量に使用さ
れている。該用途のポリエステル合成方法には、ニ塩基
酸とグリコールより脱水縮合で合成する方法、二塩基酸
エステルとグリコールよりエステル交換反応で合成する
方法、環状酸無水物とエポキシドの開環重合で合成する
方法などがある。以上の方法の中で、環状酸無水物とエ
ポキシドより開環重合で合成する方法は、100℃以下
の反応温度で合成できる唯一のポリエステル合成法であ
り、生産設備が非常に簡便であるという利点がある。
【0003】環状酸無水物とエポキシドの開環重合によ
るポリエステル合成法は、発明者らが研究を重ねてきた
ものであるが(特開昭61−47728号公報、特開昭
61−126128号公報)、環境に対する配慮から有
機溶剤を使用しない塗料、インキ、接着剤が要望される
ようになり、当該ポリエステルを水性分散体として供給
することが期待されていた。しかし、ポリエステルの水
性分散体を作ることは、ポリエステル自体に自己乳化能
が乏しいため非常に難しく、良好な水性分散体は得られ
ていなかった。さらに、得られたポリエステルに自己架
橋性がない場合には、優れた塗膜を形成することが難し
く、塗工後に硬化反応を起こすことができるポリマー構
造を有するポリエステルが要求されていた。塗工後、硬
化により架橋が行われない場合には、水性分散体塗膜最
大の欠点である耐水性を改善することができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の状況に鑑み、本
発明は、環状酸無水物とエポキシドによる開環重合を利
用して、100℃以下の反応温度でポリエステルを合成
し、さらに水中にポリエステルを安定に分散したポリエ
ステル水性分散体の製造方法を確立することにあり、さ
らに、樹脂自体に硬化性を付与するため重合性官能基を
導入することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、環状酸無水
物、エポキシド、水酸基含有化合物を出発原料とし、塩
基性触媒を用いた開環重合によるポリエステル合成法を
詳細に検討した結果、誘導したものである。本発明のポ
リエステル製造方法は、1分子中に1個の酸無水物基を
有する環状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ
基を有するエポキシド(B)を、(A)および(B)が
実質的に等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部
がエチレン性不飽和二重結合を有し、1分子中に1個以
上の水酸基を有する化合物(C)の存在下に、塩基性触
媒(D)を触媒として反応させて得られる合成方法であ
り、反応式は以下の通りである。
【0006】
【化1】
【0007】
【発明の実施の形態】1分子中に1個以上の水酸基を有
する化合物(C)は、反応の停止剤として働き、ポリエ
ステルの末端構造に組み込まれる。ポリエステルの平均
分子量は、化合物(C)の仕込み量によって制御するこ
とができ、化合物(C)の量が少なければ少ないほど平
均分子量は大きくなる。反応は、塩基性触媒(D)を触
媒とする、環状酸無水物(A)とエポキシド(B)の開
環重合によるポリエステル重合反応である。
【0008】上記のポリエステル製造方法において、
(A)および(B)が実質的に等モル量で、(A)
(B)の一部もしくは全部がエチレン性不飽和二重結合
を有し、(A)もしくは(B)1モルに対し(C)が
0.5モル未満であり、上記(A)(B)(C)の一部
もしくは全部がカルボキシル基を有し、中和する前の該
ポリエステルの酸価が5〜100であり、カルボキシル
基の一部もしくは全部を中和して水分散体とすることを
特徴とするポリエステル水分散体の製造方法を提示する
ものである。
【0009】1分子内に1個の酸無水物基を有する環状
酸無水物(A)としては、多価カルボン酸の分子内無水
物であり、飽和または不飽和の脂肪族多価カルボン酸無
水物、脂環式多価カルボン酸無水物、芳香族多価カルボ
ン酸無水物など、あるいはこれらの一部が飽和または不
飽和の炭化水素基、芳香環基、ハロゲン原子、複素環基
などで置換されたものがある。これらの具体例として
は、無水こはく酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無
水ドデセニルこはく酸、無水クロレンデック酸、無水ト
リメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキ
サヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無
水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル
酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、
5−(2、5−ジオキソテトラヒドロキシフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸
無水物、無水メチルナジック酸、グリセロールトリス
(アンヒドロトリメリテート)、エチレングリコールビ
ス(アンヒドロトリメリテート)などがある。これらの
中で、カルボキシル基を有する環状酸無水物としては、
無水トリメリット酸のようなトリカルボン酸無水物があ
り、とりわけ、無水トリメリット酸は良好な水分散体溶
液をつくる上で好適である。エチレン性不飽和二重結合
を有する環状酸無水物としては、無水マレイン酸、無水
イタコン酸、無水シトラコン酸などがある。1分子内に
2個以上の酸無水物基を有する無水ピロメリット酸のよ
うな環状酸無水物は、ポリエステル合成時に架橋反応を
起こし、ゲル化を招くため好ましくない。
【0010】1分子中に1個のエポキシ基を有するエポ
キシド(B)としては、分子内にエポキシド構造を有す
る、飽和または不飽和の脂肪族エポキシド、脂環式エポ
キシド、芳香族エポキシドなど、あるいはこれらの一部
が飽和または不飽和の炭化水素基、芳香環基、ハロゲン
原子、複素環基などで置換されたものがある。これらの
具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイド、エピクロルヒドリン、スチレンオキサイド、エ
ピブロモヒドリン、フェニルグリシジルエーテル、アリ
ルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブ
テンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、クレジル
グリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエ
ーテルなどがある。これらの中で、エチレン性不飽和二
重結合を有するエポキシドには、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエー
テルがある。とりわけ、グリシジルメタクリレートおよ
び/またはグリシジルアクリレートは硬化性ポリエステ
ル水分散体をつくる上で好適である。1分子中に2個以
上のエポキシ基を有するジグリシジルエーテル化合物は
ポリエステル合成時に架橋反応を起こし、ゲル化を招く
ため好ましくない。
【0011】1分子中に1個以上の水酸基を有する化合
物(C)としては、メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの脂肪族飽
和アルコール、アリルアルコール、クロチルアルコー
ル、プロパギルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコー
ル、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂
環式アルコール、ベンジルアルコール、シンナミルアル
コールなどの芳香族アルコール、フルフリルアルコー
ル、テトラヒドロフルフリルアルコールなどの複素環ア
ルコール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1、4−ブチレングリコール、ブテンジオール、ヘ
キサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジエチレン
グリコールなどのグリコール、グリセリン、トリメチロ
ールプロパンなどのトリオール、ビスフェノールA、フ
ェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレ
ゾールなどのフェノール類などのアルコール性またはフ
ェノール性の水酸基を有する化合物がある。これらの中
で、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、
4−ブチレングリコール、ブテンジオール、ヘキサンジ
オール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ルなどのグリコール類は、1個の水酸基が反応すると残
りの水酸基は反応性が極度に低下し、両末端に水酸基を
有するポリエステルを合成することができるため、水性
分散体として安定な溶液にするためには好適である。
【0012】塩基性触媒(D)としては、N、N−ジメ
チルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン、N、N−ジエチルアニリン、N、N−ジメチルア
ニリンなどの三級アミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ムなどの強アルカリ有機酸塩、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムなどの強アルカリなどがある。これら塩基性
触媒の中で、三級アミンは環状酸無水物とエポキシドの
開環重合に対して、その触媒作用が適度であるため反応
の制御が容易であり、また、透明な樹脂を与えることか
ら好適である。
【0013】本発明のポリエステルの重合反応は、化合
物(C)の水酸基と、塩基性触媒により活性化された環
状酸無水物(A)の酸無水物基とが先ず優先的に反応
し、次いで、この反応により生じたカルボキシル基と、
塩基性触媒により活性化されたエポキシド(B)のエポ
キシ基とが反応し、二級の水酸基を生じる。さらに、生
じた水酸基と環状酸無水物(A)の酸無水物基とが反応
するというように、以下、順次、上記と同様の反応を進
行させることができる。この反応の詳細は、特開昭61
−47728号公報、特開昭61−126128号公報
に記載されている。この反応において、化合物(C)の
量に対して、反応させられる環状酸無水物(A)および
エポキシド(B)の量を調整することにより、化合物
(C)を末端としてラジカル重合性の不飽和基を有す
る、所望の長さのポリエステルをつくることができる。
それぞれの化合物の割合は、環状酸無水物(A)とエポ
キシド(B)とはほぼ等モルの割合で、化合物(C)
は、環状酸無水物(A)もしくはエポキシド(B)1モ
ルに対し、0.5モル未満が好ましい。化合物(C)の
量が0.5モルより多い場合には、得られるポリエステ
ルの分子量が低く、化合物(C)の残留もあって、必要
な特性が得られない。化合物(C)の量が0モルの場合
には、分子量が大きくなり過ぎて反応の制御が難しくな
る。
【0014】該ポリエステルの重合反応において、
(A)(B)の一部もしくは全部がエチレン性不飽和二
重結合を有する場合、合成されたポリエステルは樹脂構
造の繰り返し単位の中にエチレン性不飽和二重結合を有
する硬化性ポリエステルとなる。エチレン性不飽和二重
結合の具体例としては、アクリロイル基、メタクリロイ
ル基、アリル基、ビニル基、あるいはこれらの基の二重
結合の水素原子を他の官能基に置換したものである。エ
チレン性不飽和二重結合を有する(A)あるいは(B)
とエチレン性不飽和二重結合を有さない(A)あるいは
(B)を同じポリエステルの中で併用すると、硬化性の
程度が異なるポリエステルを合成することができる。エ
チレン性不飽和二重結合を有する(A)あるいは(B)
を多くすればするほど硬化性は大きくなる。
【0015】該ポリエステルを水分散体とするために
は、(A)(B)(C)の一部もしくは全部がカルボキ
シル基を有し、この一部もしくは全部を中和する。該ポ
リエステルの中和する前の酸価は5〜100であり、好
ましくは20〜90である。酸価が5より少ない場合に
は、水との親和性が乏しく良好な水分散体にはならな
い。酸価が100より大きい場合には、ポリエステルの
粘度が著しく上昇し、好ましくない。環状酸無水物
(A)の一部もしくは全部が、1分子中に1個以上のカ
ルボキシル基を有する環状酸無水物である場合には、全
環状酸無水物に対し、カルボキシル基を有する環状酸無
水物が3〜60モル%であることが好ましい。カルボキ
シル基を有する環状酸無水物が3〜60モル%の範囲よ
り逸脱すると、合成されたポリエステルは所定の酸価に
なることが困難となり好ましくない。中和には、アンモ
ニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチル
アミノエタノール、トリエチルアミンなどのアミン類を
用いる。カルボキシル基の一部あるいは全部を中和する
が、pH5〜10の範囲に調整することが好ましい。中
和操作は、ポリエステル重合後、60℃以下で、一定量
の水を添加して行う。水分散性を向上させる目的で、イ
ソプロピルアルコールなどの親水性溶媒や乳化剤を併用
してもよい。
【0016】環状酸無水物(A)とエポキシド(B)
を、(A)および(B)が実質的に等モル量で、(A)
(B)の一部もしくは全部がエチレン性不飽和二重結合
を有し、1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物
(C)の存在下に、塩基性触媒(D)を触媒とし、全体
重量に対し5〜50重量%の沸点100℃以下の有機溶
剤(E)存在下に、100℃以下の反応温度で重合する
ことができる。この有機溶剤(E)としては、酢酸エチ
ル、MEK、トルエンなど一般的に使用されているもの
が適用できるが、アルコール類のように活性水素を有す
るものは適用できない。この反応は、適当な有機溶剤の
存在下あるいは不存在下に行うことができるが、反応を
制御しやすくするため、有機溶剤を加えることができ
る。有機溶剤の添加量を50重量%より多くすると、反
応速度が極端に遅くなり残留モノマーも多くなって好ま
しくない。有機溶剤を5重量%より少なくすると、重合
反応が早すぎて反応の制御が難しくなる。
【0017】本発明のポリエステル水分散体の製造方法
では、エチレン性不飽和基の保護のために、ハイドロキ
ノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−
ブチルカテコール、p−ベンゾキノンなどのラジカル重
合禁止剤を添加した状態で行なうことができる。重合禁
止剤の添加量は、(A)もしくは(B)1モルに対して
0.001〜0.03モルである。重合禁止剤の添加量
が0.001モルより少ない場合には、ポリエステル重
合中にエチレン性不飽和基が反応しゲル化し易くなり好
ましくない。重合禁止剤の添加量が0.03モルより多
い場合には、ポリエステル水分散体の硬化性が抑制さ
れ、塗料やインキなどに利用する場合好ましくない。
【0018】本発明のポリエステル水分散体の製造方法
では、エチレン性不飽和基の保護のために、酸素濃度3
〜21重量%の無機混合ガスの雰囲気でポリエステルを
合成させることができる。酸素以外の無機ガスは、窒
素、二酸化炭素など不活性無機ガスであれば何でもよい
が、酸素と混合し易く、空気を希釈して利用できる窒素
が好ましい。酸素濃度3〜21重量%の無機混合ガスは
反応釜のヘッドスペースへ導入するか、反応液の中へバ
ブリングして導入する。酸素濃度を高くすると、エチレ
ン性不飽和基は保護できるが、有機溶剤への引火性が大
きくなり、安全上好ましくないため、酸素濃度はさらに
好ましくは3〜10重量%である。酸素濃度が3重量%
より少ない場合には、エチレン性不飽和基を十分保護す
ることができない。酸素濃度が10重量%より多い場合
には、引火の危険性が増大し好ましくないし、さらに、
21重量%より多い場合には、空気に酸素を加えること
になり、安全上好ましくない。
【0019】本発明は、ポリエステル水分散体の製造方
法を提供するものである。本発明のポリエステル水分散
体は不飽和二重結合を有するためラジカル重合性を有
し、適当な反応開始剤と併用して光硬化性材料、嫌気硬
化性材料、熱硬化性材料として利用される。光硬化性材
料としては、光反応開始剤を加え、必要であればアクリ
ルポリマーエマルジョンとブレンドして、印刷物のトッ
プコートあるいは下地へのアンダーコートとして利用す
る用途がある。嫌気硬化性材料あるいは熱硬化性材料と
しては、有機過酸化物などのラジカル重合開始剤を加
え、必要であれば他のエマルジョンとブレンドして、接
着剤として利用できる。接着剤としての利用は、被着体
の片側に本発明の水分散体溶液を塗工し、水を飛散させ
てからもう一方の被着体と貼り合わせる。嫌気硬化の場
合は、貼り合わせて空気が遮断されたことがトリガーと
なって硬化し、熱硬化の場合には、貼り合わせた後、有
機過酸化物の熱分解温度以上に接着剤を加熱することに
より、硬化を起こさせる。このポリエステル水分散体は
透明な皮膜を与えるが、顔料、フィラーを分散した塗
料、インキとしても利用可能である。特に、水性グラビ
アインキ用樹脂として利用すると、下地のポリエステル
フィルムへの密着性が良好である。
【0020】
【実施例】実施例および比較例により本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、実施例および比較例中の部およ
び%は、重量部および重量%を表す。また、ポリエステ
ル水分散体の物性試験については、以下に示す試験方法
に従って試験を実施した。
【0021】<平均分子量測定>ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーを用いて測定した。平均分子量の決
定には、標準試料として市販されている単分散のポリス
チレンを用いた。 <酸価の測定>JIS K 0070−1966に定め
られている方法で測定した。
【0022】<水分散体安定性試験>所定の方法で合成
したポリエステルを、アミン類で中和して固形分30%
に調製した、各実施例および比較例に示したポリエステ
ル水分散体溶液を、40℃、24時間静置しポリマーと
水の分離状況を観察した。判断基準は以下の通りであ
る。 ○:全く分離は認められない △:分離は認められるが撹拌すると再度良好な分散液に
なる。 ×:完全に分離し撹拌しても再度分散しない。
【0023】<耐水性試験>所定の方法で合成しポリエ
ステルに水を加え中和した固形分30%の、各実施例お
よび比較例に示したポリエステル水分散体溶液にベンゾ
イルパーオキサイドを樹脂固形分に対し0.5%加え、
ワイアーコーターNo.50を用いて、50μのPET
フィルムに塗布し、60℃、3分間乾燥して水を飛散さ
せた後、110℃、3分間加熱した。塗工したブリキ板
を40℃の水に24時間浸漬し、目視で状態を観察し
た。その判断基準は以下の通りである。 ○:つやびけ、ふくれ、全くなし。 △:つやびけはないが、ふくれはある ×:つやびけ、ふくれともにある。
【0024】実施例1 環状酸無水物としてヘキサヒドロ無水フタル酸0.8モ
ルおよび無水トリメリット酸0.2モル、エポキシドと
してグリシジルメタクリレート1.0モル、水酸基を有
する化合物としてエチレングリコール0.1モル、塩基
性触媒としてジメチルベンジルアミン0.02モル、重
合禁止剤としてハイドロキノン0.01モルを反応容器
に入れ、常圧、空気雰囲気中で、90℃、5時間撹拌し
た。反応物の分子量はGPCにより測定した。反応の終
了はIRスペクトルで酸無水物の吸収1850cm-1
消失することで確認した。得られたポリエステルにトリ
エチルアミン0.2モルと固形分が30重量%になるよ
う蒸留水を加え、強く撹拌してポリエステル水分散液を
得た。水分散体安定性試験と耐水性試験を所定の方法で
行った。結果は表1に示した。
【0025】実施例2〜9 仕込み原料を表1のように変える以外は実施例1と同様
に操作し結果を得た。結果は表1に示した。 比較例1 実施例1において、ヘキサヒドロ無水フタル酸を0モ
ル、無水トリメリット酸を1.0モルとする以外、同様
に操作した。結果を表1に示した。 比較例2 実施例1において、ヘキサヒドロ無水フタル酸を1.0
モル、無水トリメリット酸を0モルとした。中和は行わ
ず、それ以外は、同様に操作した。結果を表1に示し
た。
【0026】比較例3 実施例1において、グリシジルメタクリレート1.0モ
ルをブチルグリシジルエーテル1.0モルとする以外、
同様に操作した。結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】HHPA:ヘキサヒドロ無水フタル酸 TMA:無水トリメリット酸 PAH:無水フタル酸 GAH:無水グルタル酸 GMA:グリシジルメタクリレート BGE:ブチルグリシジルエーテル EG:エチレングリコール TEA:トリエチルアミン
【0029】実施例10 実施例1と同様、環状酸無水物としてヘキサヒドロ無水
フタル酸0.8モルおよび無水トリメリット酸0.2モ
ル、エポキシドとしてグリシジルメタクリレート1.0
モル、水酸基を有する化合物としてエチレングリコール
0.1モル、塩基性触媒としてジメチルベンジルアミン
0.02モル、重合禁止剤としてハイドロキノン0.0
1モルを反応容器に入れ、さらに酢酸エチルが全体の2
5重量%になるよう加え、その他の操作は実施例1と同
様に行った。得られたポリエステルは実施例1で合成し
たものと平均分子量、酸価、耐水性、水分散安定性とも
同レベルであった。
【0030】比較例4 実施例10において、ハイドロキノン量を0.01モル
より0モルへ変えて同様に操作したが、反応の途中でゲ
ル化した。
【0031】比較例5 実施例10において、空気雰囲気を窒素雰囲気へ変えて
同様に操作したが、反応の途中でゲル化した。
【0032】比較例6 実施例10において、酢酸エチルが全体の60%になる
よう加え、同様に操作したが、5時間後も未反応物が多
く、反応が終了しなかった。
【0033】
【発明の効果】本発明は、硬化性を有するポリエステル
水分散液の製造方法を提供するものである。水分散体の
最大の弱点である耐水性もポリエステルに硬化性を付与
することによって、塗工後、塗膜を硬化させ改善するこ
とができる。ポリエステルは自己乳化性に乏しく、水分
散体とすることは難しかったが、酸価を調節することに
より安定な分散液となることわかった。このポリエステ
ル水分散液を用いて作った水性塗料は、顔料分散性に優
れ、容易に塗料化できるばかりでなく、ポリエステルフ
ィルムをはじめ多くの基材に対し良好な接着性を示す。
フロントページの続き (72)発明者 高野 真主実 東京都中央区京橋二丁目3番13号東洋イン キ製造株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に1個の酸無水物基を有する環
    状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有す
    るエポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に
    等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレ
    ン性不飽和二重結合を有し、1分子中に1個以上の水酸
    基を有する化合物(C)の存在下に、塩基性触媒(D)
    を触媒として、反応させて得られるポリエステルの製造
    方法において、(A)もしくは(B)1モルに対し
    (C)が0.5モル未満であり、上記(A)(B)
    (C)の一部もしくは全部がカルボキシル基を有し、中
    和する前の該ポリエステルの酸価が5〜100であり、
    カルボキシル基の一部もしくは全部を中和して水分散体
    とすることを特徴とするポリエステル水分散体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 塩基性触媒(D)が第三級アミンである
    ことを特徴とする請求項1記載のポリエステル水分散体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 1分子中に1個以上の水酸基を有する化
    合物(C)が、グリコール類であることを特徴とする請
    求項1〜2いずれか記載のポリエステル水分散体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 環状酸無水物(A)の一部または全部が
    トリメリット酸無水物であることを特徴とする請求項1
    〜3いずれか記載のポリエステル水分散体の製造方法。
  5. 【請求項5】 1分子中に1個以上の酸無水物基を有す
    る環状酸無水物(A)の一部もしくは全部が、1分子に
    1個以上のカルボキシル基を有する環状酸無水物であ
    り、全環状酸無水物に対し、3〜60モル%を含むこと
    を特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリエステル
    水分散体の製造方法。
  6. 【請求項6】 1分子中に1個のエポキシ基を有するエ
    ポキシド(B)が、グリシジルメタクリレートおよび/
    またはグリシジルアクリレートであることを特徴とする
    請求項1〜5いずれか記載のポリエステル水分散体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 1分子中に1個の酸無水物基を有する環
    状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有す
    るエポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に
    等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレ
    ン性不飽和二重結合を有し、1分子中に1個以上の水酸
    基を有する化合物(C)の存在下に、塩基性触媒(D)
    を触媒とし、全体重量に対し5〜50重量%の沸点10
    0℃以下の有機溶剤(E)存在下に、100℃以下の反
    応温度で重合することを特徴とする請求項1〜6いずれ
    か記載のポリエステル水分散体の製造方法。
  8. 【請求項8】 1分子中に1個の酸無水物基を有する環
    状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有す
    るエポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に
    等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレ
    ン性不飽和二重結合を有し、1分子中に1個以上の水酸
    基を有する化合物(C)の存在下に、塩基性触媒(D)
    を触媒とし、(A)もしくは(B)1モルに対して重合
    禁止剤0.001〜0.03モル存在下に反応させるこ
    とを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のポリエステ
    ル水分散体の製造方法。
  9. 【請求項9】 1分子中に1個の酸無水物基を有する環
    状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有す
    るエポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に
    等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレ
    ン性不飽和二重結合を有し、1分子中に1個以上の水酸
    基を有する化合物(C)の存在下に、塩基性触媒(D)
    を触媒とし、酸素濃度3〜21重量%の無機混合ガスの
    雰囲気で反応させることを特徴とする請求項1〜8いず
    れか記載のポリエステル水分散体の製造方法。
JP25122396A 1996-09-24 1996-09-24 ポリエステル水分散体の製造方法 Pending JPH1095838A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25122396A JPH1095838A (ja) 1996-09-24 1996-09-24 ポリエステル水分散体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25122396A JPH1095838A (ja) 1996-09-24 1996-09-24 ポリエステル水分散体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1095838A true JPH1095838A (ja) 1998-04-14

Family

ID=17219544

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25122396A Pending JPH1095838A (ja) 1996-09-24 1996-09-24 ポリエステル水分散体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1095838A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010523787A (ja) * 2007-04-12 2010-07-15 エルジー・ケム・リミテッド 硬化性樹脂製造用組成物、それによって製造された硬化性樹脂、およびそれを含むインク組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010523787A (ja) * 2007-04-12 2010-07-15 エルジー・ケム・リミテッド 硬化性樹脂製造用組成物、それによって製造された硬化性樹脂、およびそれを含むインク組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2545124B1 (en) Radiation curable aqueous coating compositions
EP1189994B1 (en) Oil soluble radiation curable metal-containing compounds and compositions
US3719728A (en) Radiation curable compositions
US4111770A (en) Radiation curable epoxy resin
US4101398A (en) Process for hardening a resin which is the reaction product of an epoxy resin, an olefinically unsaturated monocarboxylic acid and a polycarboxylic acid anhydride unit
US7906562B2 (en) Epoxy resin, epoxy resin composition containing the epoxy resin as an essential component and a cured product containing the epoxy resin as an essential component
JPH0717917A (ja) 三官能性不飽和化合物及びその誘導体
JPH1095838A (ja) ポリエステル水分散体の製造方法
WO1999010409A1 (en) Radiation-polymerizable composition and printing inks containing same
CN112300375B (zh) 一种水性光固化环氧丙烯酸树脂的制备方法
JPH10306149A (ja) ポリエステル水分散体の製造方法
JPH10306152A (ja) 硬化性ポリエステルの製造方法
JPH10306153A (ja) 硬化性ポリエステルの製造方法
JPH1095836A (ja) ポリエステル水分散体の製造方法
JPH1095837A (ja) ポリエステル水分散体の製造方法
JP2000109522A (ja) 活性エネルギー線硬化性組成物、それを用いた硬化皮膜の形成方法および硬化物
JPH10306148A (ja) ポリエステル水分散体の製造方法
JPH10306150A (ja) ポリエステル水分散体の製造方法
JP3655718B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂の製造方法
JP2562591B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JPH06107752A (ja) 硬化性樹脂組成物
JPH10306151A (ja) 硬化性ポリエステルの製造方法
JP3550777B2 (ja) 分散剤及びそれを用いたエポキシ樹脂水性分散体ならびに水性硬化性樹脂組成物
JP3209537B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JPH06298851A (ja) 水溶性活性エネルギー線硬化型樹脂の製造方法