JPH10306153A - 硬化性ポリエステルの製造方法 - Google Patents

硬化性ポリエステルの製造方法

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JPH10306153A
JPH10306153A JP11537497A JP11537497A JPH10306153A JP H10306153 A JPH10306153 A JP H10306153A JP 11537497 A JP11537497 A JP 11537497A JP 11537497 A JP11537497 A JP 11537497A JP H10306153 A JPH10306153 A JP H10306153A
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JP
Japan
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polyester
mol
producing
acid anhydride
epoxide
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JP11537497A
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Tsukasa Otsuki
司 大槻
Noribumi Watanabe
紀文 渡辺
Minoru Uno
稔 宇野
Masumi Takano
真主実 高野
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状酸無水物、エポキシドから塩基性化合物
を用いてポリエステルを合成し、安定した水分散液がで
きたが、塗料、インキ等に適用すると耐水性が乏しかっ
た。 【解決手段】 1分子中に1個の酸無水物基を有する環
状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有す
るエポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に
等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレ
ン性不飽和二重結合を有し、塩基性化合物(C)存在下
に、反応させて得られるポリエステルの製造方法におい
て、(A)もしくは(B)1モルに対し(C)が0.0
5モル未満であり、全体重量に対し5〜50%の不飽和
二重結合を有するモノマー(D)を添加して反応させる
ことを特徴とするポリエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料分散性、下地
への密着性、光沢保持性に優れ、塗料、インキ、接着剤
に利用できるポリエステルの製造方法に関する。更に詳
しくは、100℃以下の反応温度で重合でき、硬化性を
有するポリエステル水性分散体の製造方法に関する。本
発明のポリエステルは、塗料、インキ、接着剤、建材用
下地処理剤及び仕上げ剤、紙処理剤として有用であり、
特に、ポリエステルフィルム用の塗料、インキとして有
用である。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、PET、PBTなどポ
リエステルフィルムへの接着性が、非常に良好であり、
塗料、インキ、接着剤用のポリマーとして大量に使用さ
れている。該用途のポリエステル合成方法には、ニ塩基
酸とグリコールより脱水縮合で合成する方法、二塩基酸
エステルとグリコールよりエステル交換反応で合成する
方法、環状酸無水物とエポキシドの開環重合で合成する
方法などがある。以上の方法の中で、環状酸無水物とエ
ポキシドより開環重合で合成する方法は、100℃以下
の反応温度で合成できる唯一のポリエステル合成法であ
り、生産設備が非常に簡便であるという利点がある。ま
た、環状酸無水物とエポキシドの開環重合によるポリエ
ステル合成法は、樹脂を高分子量化することが難しく、
5000以上の数平均分子量を有する良好な高分子量ポ
リエステルが得られなかった。
【0003】環状酸無水物とエポキシドの開環重合によ
るポリエステル合成法(特開昭61−47728号公
報、特開昭61−126128号公報)は開示されてい
るが、環境に対する配慮から有機溶剤を使用しない塗
料、インキ、接着剤が要望されるようになり、当該ポリ
エステルを有機溶剤を含まない硬化性樹脂として供給す
ることが期待されていた。溶剤を含まない硬化性樹脂を
製造するためには、溶剤系の中で硬化性樹脂を製造し脱
溶剤するか、初めから無溶剤で硬化性樹脂を作るかのい
ずれかであるが、100℃以上熱を加えるとゲル化しや
すくなるため、簡便に無溶剤硬化性樹脂を得ることは難
しかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の状況に鑑み、本
発明は、環状酸無水物とエポキシドによる開環重合を利
用して、エチレン性不飽和二重結合を有する、数平均分
子量5000以上の高分子量ポリエステルを、100℃
以下の反応温度で合成する方法を確立することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、1分子中
に1個の酸無水物基を有する環状酸無水物(A)と1分
子中に1個のエポキシ基を有するエポキシド(B)を、
(A)および(B)が実質的に等モル量で、(A)
(B)の一部もしくは全部がエチレン性不飽和二重結合
を有し、塩基性化合物(C)存在下に、反応させて得ら
れるポリエステルの製造方法において、(A)もしくは
(B)1モルに対し(C)が0.05モル未満であり、
全体重量に対し5〜50重量%の、エチレン性不飽和二
重結合を有するモノマー(D)の存在下に反応させるこ
とを特徴とするポリエステルの製造方法である。
【0006】第2の発明は、塩基性化合物(C)が第三
級アミンであることを特徴とする第1発明記載のポリエ
ステルの製造方法である。第3の発明は、中和して水分
散する前の数平均分子量が5000以上であることを特
徴とする第1〜2発明いずれか記載のポリエステル水分
散体の製造方法である。第4の発明は、1分子中に1個
のエポキシ基を有するエポキシド(B)が、グリシジル
メタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート
であることを特徴とする第1〜3発明いずれか記載のポ
リエステルの製造方法である。
【0007】第5の発明は、100℃以下の反応温度で
重合することを特徴とする第1〜4発明いずれか記載の
ポリエステルの製造方法である。第6の発明は、(A)
もしくは(B)1モルに対して重合禁止剤0.001〜
0.03モル存在下に反応させることを特徴とする第1
〜5発明いずれか記載のポリエステルの製造方法であ
る。第7の発明は、酸素濃度3〜21重量%の無機混合
ガスの雰囲気で反応させることを特徴とする第1〜6発
明いずれか記載のポリエステルの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、環状酸無水物、エポキ
シド、水酸基含有化合物を出発原料とし、塩基性触媒を
用いた開環重合によるポリエステル合成法を詳細に検討
した結果、誘導したものである。本発明のポリエステル
製造方法は、1分子中に1個の酸無水物基を有する環状
酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有する
エポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に等
モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレン
性不飽和二重結合を有し、塩基性化合物(C)存在下
に、反応させて得られるポリエステルの製造方法であ
り、反応の概略は以下の通りである。
【0009】
【化1】
【0010】反応は、塩基性化合物(C)の存在下、環
状酸無水物(A)とエポキシド(B)の開環重合による
ポリエステル重合反応である。塩基性化合物(C)に
は、塩基性触媒としての働きと反応停止剤としての働き
の二つの働きがある。塩基性触媒としては、環状酸無水
物(A)とエポキシド(B)の開環触媒として作用す
る。一方、反応停止剤として作用するため、化合物
(C)はポリエステルの末端構造に組み込まれる。生成
するポリエステルの平均分子量は、化合物(C)の仕込
み量によって制御することができ、化合物(C)の量が
少なければ少ないほど平均分子量は大きくなる。
【0011】上記のポリエステル製造方法において、
(A)および(B)が実質的に等モル量で、(A)
(B)の一部もしくは全部がエチレン性不飽和二重結合
を有し、(A)もしくは(B)1モルに対し(C)が
0.5モル未満であり、全体重量に対し5〜50重量%
のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(D)を
添加することを特徴とするポリエステルの製造方法を提
示する。
【0012】1分子内に1個の酸無水物基を有する環状
酸無水物(A)としては、多価カルボン酸の分子内無水
物であり、飽和または不飽和の脂肪族多価カルボン酸無
水物、脂環式多価カルボン酸無水物、芳香族多価カルボ
ン酸無水物など、あるいはこれらの一部が飽和または不
飽和の炭化水素基、芳香環基、ハロゲン原子、複素環基
などで置換されたものがある。これらの具体例として
は、無水こはく酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無
水ドデセニルこはく酸、無水クロレンデック酸、無水ト
リメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキ
サヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無
水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル
酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、
5−(2、5−ジオキソテトラヒドロキシフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸
無水物、無水メチルナジック酸、グリセロールトリス
(アンヒドロトリメリテート)、エチレングリコールビ
ス(アンヒドロトリメリテート)などがある。エチレン
性不飽和二重結合を有する環状酸無水物としては、無水
マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが
ある。1分子内に2個以上の酸無水物基を有する無水ピ
ロメリット酸のような環状酸無水物は、ポリエステル合
成時に架橋反応を起こし、ゲル化を招くため好ましくな
い。
【0013】1分子中に1個のエポキシ基を有するエポ
キシド(B)としては、分子内にエポキシド構造を有す
る、飽和または不飽和の脂肪族エポキシド、脂環式エポ
キシド、芳香族エポキシドなど、あるいはこれらの一部
が飽和または不飽和の炭化水素基、芳香環基、ハロゲン
原子、複素環基などで置換されたものがある。これらの
具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイド、エピクロルヒドリン、スチレンオキサイド、エ
ピブロモヒドリン、フェニルグリシジルエーテル、アリ
ルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブ
テンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、クレジル
グリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエ
ーテルなどがある。これらの中で、エチレン性不飽和二
重結合を有するエポキシドには、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエー
テルがある。とりわけ、グリシジルメタクリレートおよ
び/またはグリシジルアクリレートは硬化性ポリエステ
ルをつくる上で好適である。1分子中に2個以上のエポ
キシ基を有するジグリシジルエーテル化合物はポリエス
テル合成時に架橋反応を起こし、ゲル化を招くため好ま
しくない。
【0014】塩基性化合物(C)としては、N、N−ジ
メチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリブチル
アミン、N、N−ジエチルアニリン、N、N−ジメチル
アニリンなどの三級アミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウムなどの強アルカリ有機酸塩、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなどの強アルカリなどがある。これら塩基
性触媒の中で、三級アミンは環状酸無水物とエポキシド
の開環重合に対して、その触媒作用が適度であるため反
応の制御が容易であり、また、透明な樹脂を与えること
から好適である。
【0015】エチレン性不飽和二重結合を有するモノマ
ー(D)は、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリ
ル基、ビニル基、あるいはこれらの基の二重結合の水素
原子を他の官能基に置換したエチレン性不飽和二重結合
を有する化合物である。エチレン性不飽和二重結合はモ
ノマー1分子中に複数個あってもよい。モノマー(D)
の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート,エチ
ル(メタ)アクリレート,プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート,ペンチル(メタ)ア
クリレート,ヘキシル(メタ)アクリレート,2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート,オクチル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート,ベ
ンジル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)ア
クリレート、アルキル基が芳香環基,複素環基,ハロゲ
ン原子などで置換されているトリフルオロエチル(メ
タ)クリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)クリ
レート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)クリレート、
オクタフルオロペンチル(メタ)クリレート、ヘプタデ
カフルオロデシル(メタ)クリレートなどのアルキル
(メタ)アクリレート、2−メトキエチル(メタ)クリ
レート、3−メトキシブチル(メタ)クリレート、エチ
ルカルビトール(メタ)クリレート、フェノキシエチル
(メタ)クリレート、テトラフルフリル(メタ)クリレ
ート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)クリ
レート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)ク
リレートなどのエーテル結合を持つアクリレートがあ
る。
【0016】さらに、1,4−ブタンジオールジ(メ
タ)クリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)クリレ
ート、テトラエチレングリコールジ(メタ)クリレー
ト、トリプロピレングリコールジ(メタ)クリレート、
テトラエチレングリコールジ(メタ)クリレート、ポリ
エチレングリコールジ(メタ)クリレート、ポリプロピ
レングリコールジ(メタ)クリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)クリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)クリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)クリレートなどの多官能(メタ)クリレ
ートがある。スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリ
ドン、アクリロニトリルなどもモノマー(D)として使
用できる。モノマー(D)の添加量は、全体重量に対
し、5〜50%である。モノマー(E)の添加量を50
重量%より多くすると、反応速度が極端に遅くなり好ま
しくない。有機溶剤を5重量%より少なくすると、重合
反応が早すぎて反応の制御が難しくなり好ましくない。
【0017】モノマー(D)は、水酸基、アミノ基、カ
ルボキシル基などの活性水素を含まない化合物が好まし
い。また、酸無水物基やエポキシ基を有する化合物は、
モノマー(D)として好ましくない。ポリエステル合成
の溶媒として働き、反応には関与しない。活性水素を有
する化合物を添加してポリエステルを合成した場合、モ
ノマー(D)は化合物(C)と同様、停止剤として働
き、ポリエステルの分子量を大きくすることはできな
い。
【0018】本発明のポリエステルの重合反応は、塩基
性化合物(C)の作用によって、エポキシドが開環し、
塩基性化合物(C)より活性化された環状酸無水物
(A)の酸無水物基とが先ず優先的に反応し、次いで、
この反応により生じたカルボキシル基と、塩基性化合物
(C)により活性化されたエポキシド(B)のエポキシ
基とが反応し、二級の水酸基を生じる。さらに、生じた
水酸基と環状酸無水物(A)の酸無水物基とが反応する
というように、以下、順次、上記と同様の反応を進行さ
せることができる。この反応の詳細は、特開昭61−4
7728号公報、特開昭61−126128号公報に記
載されている。この反応において、環状酸無水物(A)
およびエポキシド(B)の量に対し、塩基性化合物
(C)を出来る限り少なくすることにより、高分子量の
ポリエステルを作ることができる。それぞれの化合物の
割合は、環状酸無水物(A)とエポキシド(B)とはほ
ぼ等モルの割合で、塩基性化合物(C)は、環状酸無水
物(A)もしくはエポキシド(B)1モルに対し、0.
05モル未満が好ましい。塩基性化合物(C)の量が
0.05モルより多い場合には、得られるポリエステル
の分子量が低く、数平均分子量5000以上のポリエス
テルが得られない。塩基性化合物(C)の量が0.00
05モル以下の場合には、触媒作用が乏しく反応が進行
しない。
【0019】該ポリエステルの重合反応において、
(A)(B)の一部もしくは全部がエチレン性不飽和二
重結合を有する場合、合成されたポリエステルは樹脂構
造の繰り返し単位の中にエチレン性不飽和二重結合を有
する硬化性ポリエステルとなる。エチレン性不飽和二重
結合の具体例としては、アクリロイル基、メタクリロイ
ル基、アリル基、ビニル基、あるいはこれらの基の二重
結合の水素原子を他の官能基に置換したものである。エ
チレン性不飽和二重結合を有する(A)あるいは(B)
とエチレン性不飽和二重結合を有さない(A)あるいは
(B)を同じポリエステルの中で併用すると、硬化性の
程度が異なるポリエステルを合成することができる。エ
チレン性不飽和二重結合を有する(A)あるいは(B)
を多くすればするほど硬化性は大きくなる。
【0020】本発明のポリエステルの製造方法では、エ
チレン性不飽和基の保護のために、ハイドロキノン、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカ
テコール、p−ベンゾキノンなどのラジカル重合禁止剤
を添加した状態で行なうことができる。重合禁止剤の添
加量は、(A)もしくは(B)1モルに対して0.00
1〜0.03モルである。重合禁止剤の添加量が0.0
01モルより少ない場合には、ポリエステル重合中にエ
チレン性不飽和基が反応しゲル化し易くなり好ましくな
い。重合禁止剤の添加量が0.03モルより多い場合に
は、ポリエステルの硬化性が抑制され、塗料やインキな
どに利用する場合好ましくない。
【0021】本発明のポリエステルの製造方法では、エ
チレン性不飽和二重結合の保護のために、酸素濃度3〜
21重量%の無機混合ガスの雰囲気でポリエステルを合
成させることができる。酸素以外の無機ガスは、窒素、
二酸化炭素など不活性無機ガスであれば何でもよいが、
酸素と混合し易く、空気を希釈して利用できる窒素が好
ましい。酸素濃度3〜21重量%の無機混合ガスは反応
釜のヘッドスペースへ導入するか、反応液の中へバブリ
ングして導入する。酸素濃度を高くすると、エチレン性
不飽和基は保護できるが、有機溶剤への引火性が大きく
なり、安全上好ましくないため、酸素濃度はさらに好ま
しくは3〜10重量%である。酸素濃度が3重量%より
少ない場合には、エチレン性不飽和二重結合を十分保護
することができない。酸素濃度が10重量%より多い場
合には、引火の危険性が増大し好ましくないし、さら
に、21重量%より多い場合には、空気に酸素を加える
ことになり、安全上好ましくない。
【0022】本発明は、無溶剤型硬化性ポリエステルの
製造方法を提供するものである。本発明のポリエステル
は不飽和二重結合を有するためラジカル重合性を有し、
適当な反応開始剤と併用して光硬化性材料、嫌気硬化性
材料、熱硬化性材料として利用される。光硬化性材料と
しては、光反応開始剤を加え、必要であれば他の樹脂と
ブレンドして、印刷物のトップコートあるいは下地への
アンダーコートとして利用する用途がある。嫌気硬化性
材料あるいは熱硬化性材料としては、有機過酸化物など
のラジカル重合開始剤を加え、必要であれば他の樹脂と
ブレンドして、接着剤として利用できる。接着剤として
の利用は、被着体の片側に本発明のポリエステル溶液を
塗工し、もう一方の被着体と貼り合わせる。嫌気硬化の
場合は、貼り合わせて空気が遮断されたことがトリガー
となって硬化し、熱硬化の場合には、貼り合わせた後、
有機過酸化物の熱分解温度以上に接着剤を加熱すること
により、硬化を起こさせる。このポリエステルは透明な
皮膜を与えるが、顔料、フィラーを分散した塗料、イン
キとしても利用可能である。特に、グラビアインキ用樹
脂として利用すると、下地のポリエステルフィルムへの
密着性が良好である。
【0023】
【実施例】実施例および比較例により本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、実施例および比較例中の部およ
び%は、重量部および重量%を表す。
【0024】<平均分子量測定>ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーを用いて測定した。平均分子量の決
定には、標準試料として市販されている単分散のポリス
チレンを用いた。
【0025】実施例1 環状酸無水物としてヘキサヒドロ無水フタル酸1.0モ
ル、エポキシドとしてグリシジルメタクリレート1.0
モル、塩基性化合物としてジメチルベンジルアミン0.
02モル、重合禁止剤としてハイドロキノン0.01モ
ル、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとして
トリメチロールプロパントリアクリレートを全体重量に
対し25重量%反応容器に入れ、常圧、空気雰囲気中
で、90℃、5時間撹拌した。反応物の分子量はGPC
により測定した。反応の終了はIRスペクトルで酸無水
物の吸収1850cm-1が消失することで確認した。
【0026】実施例2〜9 仕込み原料を表1のように変える以外は実施例1と同様
に操作し結果を得た。結果は表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】HHPA:ヘキサヒドロ無水フタル酸 PAH:無水フタル酸 GAH:無水グルタル酸 GMA:グリシジルメタクリレート BGE:ブチルグリシジルエーテル A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレー
ト ST:スチレン PETTA:ペンタエリスリトールテトラアクリレート DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
【0029】比較例1 実施例1において、トリメチロールプロパントリアクリ
レートの代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレートと
する以外、同様に操作したが粘度が上がらなかった。 比較例2 実施例1において、トリメチロールプロパントリアクリ
レートを25重量%から60重量%へ変更する以外は、
同様に操作したが、反応が進行しなかった。 比較例3 実施例1において、トリメチロールプロパントリアクリ
レートを25重量%から4重量%へ変更する以外は、同
様に操作したが、反応の途中でゲル化した。結果を表1
に示した。
【0030】比較例4 実施例1において、ハイドロキノン量を0.01モルよ
り0モルへ変えて同様に操作したが、反応の途中でゲル
化した。 比較例5 実施例1において、空気雰囲気を窒素雰囲気へ変えて同
様に操作したが、反応の途中でゲル化した。
【0031】
【発明の効果】本発明は、有機溶剤を含まず硬化性を有
するポリエステルの製造方法を提供するものである。こ
の硬化性ポリエステルを用いて作ったインキ、塗料は、
顔料分散性に優れ、容易に塗料化できるばかりでなく、
ポリエステルフィルムをはじめ多くの基材に対し良好な
接着性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09J 167/06 C09J 167/06 (72)発明者 高野 真主実 東京都中央区京橋二丁目3番13号東洋イン キ製造株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に1個の酸無水物基を有する環
    状酸無水物(A)と1分子中に1個のエポキシ基を有す
    るエポキシド(B)を、(A)および(B)が実質的に
    等モル量で、(A)(B)の一部もしくは全部がエチレ
    ン性不飽和二重結合を有し、塩基性化合物(C)存在下
    に、反応させて得られるポリエステルの製造方法におい
    て、(A)もしくは(B)1モルに対し(C)が0.0
    5モル未満であり、全体重量に対し5〜50重量%の、
    エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(D)の存
    在下に反応させることを特徴とするポリエステルの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 塩基性化合物(C)が第三級アミンであ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 中和して水分散する前の数平均分子量が
    5000以上であることを特徴とする請求項1〜2いず
    れか記載のポリエステル水分散体の製造方法。
  4. 【請求項4】 1分子中に1個のエポキシ基を有するエ
    ポキシド(B)が、グリシジルメタクリレートおよび/
    またはグリシジルアクリレートであることを特徴とする
    請求項1〜3いずれか記載のポリエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 100℃以下の反応温度で重合すること
    を特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリエステル
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 (A)もしくは(B)1モルに対して重
    合禁止剤0.001〜0.03モル存在下に反応させる
    ことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリエス
    テルの製造方法。
  7. 【請求項7】 酸素濃度3〜21重量%の無機混合ガス
    の雰囲気で反応させることを特徴とする請求項1〜6い
    ずれか記載のポリエステルの製造方法。
JP11537497A 1997-05-06 1997-05-06 硬化性ポリエステルの製造方法 Pending JPH10306153A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000059981A1 (en) * 1999-04-01 2000-10-12 Dynea Chemicals Oy Multifunctional macromers

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000059981A1 (en) * 1999-04-01 2000-10-12 Dynea Chemicals Oy Multifunctional macromers
US6521719B1 (en) 1999-04-01 2003-02-18 Ashland Inc. Multifunctional macromers

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