JPH1095693A - 結晶性薄膜形成方法 - Google Patents

結晶性薄膜形成方法

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JPH1095693A
JPH1095693A JP24466696A JP24466696A JPH1095693A JP H1095693 A JPH1095693 A JP H1095693A JP 24466696 A JP24466696 A JP 24466696A JP 24466696 A JP24466696 A JP 24466696A JP H1095693 A JPH1095693 A JP H1095693A
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JP
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substrate
thin film
target
forming
incident
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JP24466696A
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Sumiyoshi Ueyama
須美義 植山
Daisuke Kosaka
大介 小坂
Toshikazu Yoshimizu
敏和 吉水
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Original Assignee
MegaChips Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸配向多結晶薄膜を低温度下で効率よく形成
する。 【解決手段】 DC電源17によって直流電圧をターゲ
ット3に印加することによって、ターゲット3の表面に
スパッタリングを引き起こさせる。そして、スパッタ粒
子(スパッタされた原子または分子)を基板2へと入射
させることにより、スパッタ粒子に含まれる元素を構成
元素の少なくとも一つとする物質の薄膜を、基板2の上
に形成する。このとき、ターゲット3の表面の中でスパ
ッタリングが発生しているエロージョン領域の直径Eに
対する、ターゲット・基板間距離Dの比率D/Eを、1.
8以上の大きさに設定することによって、表面に最稠密
面が配向する軸配向多結晶薄膜を形成することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、軸配向多結晶薄
膜または単結晶薄膜を、低温度下で効率よく形成するこ
とを可能にする結晶性薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多結晶あるいは非晶質(アモルフ
ァス)の薄膜が、三次元LSI、太陽電池セル本体、選
択透過膜、熱線反射膜、タッチパネル用導電膜、センサ
用電極、液晶等のディスプレー電極など多方面に採用さ
れつつある。そして、スパッタリングを用いることによ
って所定の基板の上に薄膜を形成する方法が、低温下で
効率よくこれらの薄膜を形成することのできる有用な方
法として知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
スパッタリングを用いた薄膜形成方法では、非晶質薄
膜、あるいは、結晶粒が任意の方向に配向する規則性の
低い多結晶薄膜が得られるに過ぎなかった。
【0004】この発明は、従来の方法における上記の問
題点を解消するためになされたもので、低温度のもとで
任意の基板の上に、単結晶薄膜および規則性の高い軸配
向多結晶薄膜を、効率よく形成する結晶性薄膜形成方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明の方法は、結
晶性薄膜形成方法において、ターゲットをスパッタし、
スパッタされた原子または分子、すなわちスパッタ粒子
を、基板へと入射することによって、当該基板の上に、
前記粒子に含まれる元素を構成元素として包含する物質
の薄膜を形成する。しかも、前記ターゲットの中でスパ
ッタリングが発生する領域の前記基板から見た最大幅に
対する、前記領域と前記基板の間の距離の比率が、1.8
以上に設定されていることを特徴とする。
【0006】第2の発明の方法は、第1の発明の結晶性
薄膜形成方法において、前記スパッタ粒子の入射方向で
ある第1の方向とは異なる第2の方向からビームを入射
し、前記第1および第2の方向が、前記物質の単結晶体
の互いに異なる最稠密面にそれぞれ垂直な方向であるこ
とを特徴とする。
【0007】第3の発明の方法は、第2の発明の結晶性
薄膜形成方法において、前記ビームが、もう一つのター
ゲットをスパッタすることによって前記基板へと入射す
るスパッタ粒子で構成され、前記もう一つのターゲット
の中でスパッタリングが発生する領域の前記基板から見
た最大幅に対する、この領域と前記基板の間の距離の比
率が、1.8以上に設定されていることを特徴とする。
【0008】第4の発明の方法は、第2の発明の結晶性
薄膜形成方法において、前記ビームを構成する元素の原
子量が、前記物質を構成する元素の最大の原子量よりも
低いことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>図1は、スパッタリングを用いた薄膜
形成装置の一例を示す断面図である。この装置101
は、マグネトロン型の反応性スパッタ装置として構成さ
れている。
【0010】図1において、1は容器本体、2は基板、
3はターゲット、4は基板ホルダ、5はヒータ、6は基
板固定治具、7はマグネトロン電極、8はマグネット、
9は冷却用配管、10はシャッタ、11は電極支持部、
12はシャッタ支持部、13は排気管、14はガス導入
管、15は蓋部、16は基板ホルダ支持部、17はDC
電源、18は照射室、そして、Dはターゲット・基板間
距離である。
【0011】照射室18は、容器本体1と蓋部15とに
よって、外部から気密に保たれており、これに連通する
排気管13を通じて排気されることによって、真空に保
たれる。照射室18には、基板ホルダ4およびマグネト
ロン電極7が設置されており、それらには、それぞれ基
板2およびターゲット3が、互いにターゲット・基板間
距離Dをもって対向するように取り付けられている。
【0012】一方の基板ホルダ4の内部には、基板2を
加熱可能なヒータ5が、基板2に接触するように取り付
けられている。他方のマグネトロン電極7の内部には、
リング状の永久磁石であるマグネット8が設置されてい
る。また、マグネトロン電極7の内部には、冷却用配管
9が連通している。この冷却用配管9に水などの冷媒を
循環させることによって、ターゲット3を冷却すること
が可能である。
【0013】冷却水用配管9と容器本体1との間には、
DC電源17が接続されている。このDC電源17が発
生する直流電圧は、冷却水用配管9を通じて、容器本体
1とマグネトロン電極7との間に印加される。
【0014】容器本体1には、照射室18に連通するガ
ス導入管14が固定されている。そして、このガス導入
管14を通じて、所定の種類の気体が照射室18へと導
入される。容器本体1には、さらに、シャッタ支持部1
2を通じて、シャッタ10が回動自在に取り付けられて
いる。このシャッタ10は、基板2とターゲット3との
間を自在に遮蔽および退避可能な遮蔽体として機能す
る。
【0015】つぎに、TiN(窒化チタン)の軸配向多
結晶薄膜を形成し得た実験の例をあげて、図1の装置1
01を用いて結晶性薄膜を形成する方法について説明す
る。TiNは、例えば超LSIのコンタクトホールのバ
リアメタルとして有用である。超LSIの微細化に対応
するために、コンタクトホールのアスペクト比は大きく
設定される傾向にある。したがって、コンタクトホール
の底部に結晶性の薄膜を形成することができれば、超L
SIのさらなる微細化に寄与するところが大きい。
【0016】実験では、基板2として、安価で容易に入
手可能な7059規格のガラス基板が用いられ、ターゲット
3としてTi(チタン)板が用いられた。基板2の形状
は、厚さが1.1mm、縦横の長さが30mm×30mmの矩形の板
状に設定された。また、ターゲット3の形状は、厚さが
5mm、外径が100mmの円板状に設定された。さらに、ヒー
タ5には電流を供給せず、基板2の加熱は行わなかっ
た。
【0017】ガス導入管14を通じて、ターゲット3へ
入射してスパッタを引き起こすもとになるAr(アルゴ
ン)ガスと、Tiとの反応によりTiNを形成する元素
を含むN2(窒素)ガスとが、約1:1の比率で供給さ
れた。また、DC電源17の電圧は、500V前後に設
定され、そのときの電流は約0.3A〜約0.6Aの範囲にあっ
た。
【0018】DC電源17が供給する直流電圧によって
放電が発生し、その結果、供給されたガスがイオン化さ
れるとともに、ターゲット3へと加速される。マグネッ
ト8は、放電が発生する領域を制限することによって、
放電を起こり易くし、DC電源17の電圧を低くするこ
とを可能にしている。ターゲット3へとイオンが入射す
ることによって、ターゲット3の表面でスパッタリング
が引き起こされる。ターゲット3からスパッタ粒子(ス
パッタされる原子または分子)として放出されるTi原
子は、基板2へと到達するとともに、窒素元素との反応
をともなうことによって、TiN薄膜として基板2の上
に堆積する。
【0019】実験の後の観測によると、直径100mmのタ
ーゲット3の表面の中央部に相当する直径50mmの範囲
で、エロージョン(侵食)が観測された。すなわち、ス
パッタリングは、ターゲット3の表面の中で、基板2の
直下に位置する直径50mmの範囲で発生している。
【0020】実験は、ターゲット・基板間距離Dを複数
通りに変えて行われた。そして、ターゲット・基板間距
離Dに関するそれぞれの条件下で基板2の表面に形成さ
れたTiN薄膜に対して、X線の回折強度(いわゆる、
XRD)を計測することよって結晶方位が調べられた。
図2は、その結果を示すグラフである。
【0021】図2において、3本の曲線は、基板2の表
面に配向する3種の結晶面の回折強度にそれぞれ対応し
ている。すなわち、黒丸は(111)面、白丸は(20
0)面、そして、白角は(220)面の回折強度の相対
値をそれぞれ表している。白丸に対応する(200)面
が、TiNの最稠密面に相当する。
【0022】図2からわかるように、ターゲット・基板
間距離Dを大きくするほど、ターゲット3の表面に最稠
密面(200)が配向する割合が高くなっている。これ
は、ターゲット・基板間距離Dが大きくなるほど、スパ
ッタ粒子が基板2へ入射する方向の均一性が高くなるた
めであると考えられる。このことは、さらに、最稠密面
が、スパッタ粒子の入射方向に垂直となるように配向す
ることをも教示している。
【0023】特に、ターゲット・基板間距離Dが30mm程
度から90mmの範囲で、その割合は劇的に変化しており、
90mm以上では基板2の表面には、ほとんど最稠密面のみ
が配向する軸配向多結晶が形成されていることがわか
る。すなわち、ターゲット・基板間距離Dを90mm以上に
設定すれば、スパッタ粒子の入射方向の均一性は、軸配
向多結晶薄膜を形成する上で十分であるといえる。
【0024】軸配向多結晶体は、結晶粒の間で結晶の方
位が一軸方向に関してのみ揃っている特殊な多結晶体で
あり、通常の多結晶体に比べて規則性が高いために、電
気的、電子物性的、熱的、機械的に単結晶に近い特性を
有している。すなわち、軸配向多結晶薄膜には、単結晶
薄膜の代用として高い有用性が期待される。
【0025】ターゲット・基板間距離Dに関する条件
は、ターゲット3の表面の中でスパッタリングが発生す
る領域であるエロージョン領域の大きさと関連づけるこ
とによって、より一般的な形式で規定することができ
る。図3は、このことを説明するための配置図である。
図3に示すように、エロージョン領域50は、基板2に
対向する直径50mmの円形領域である。したがって、ター
ゲット・基板間距離Dに関する条件:D≧90mmは、ター
ゲット・基板間距離Dとエロージョン領域の直径Eとの
比率D/Eに関する条件:比率D/E≧90mm/50mm=1.8
倍(=約2倍)と等価である。
【0026】そして、エロージョン領域50の大きさが
様々に異なる様々な装置を用いても、軸配向多結晶薄膜
を形成するための比率D/Eに関する臨界値(1.8倍)
には変わりがないとの推測が十分に成り立つ。すなわ
ち、スパッタリングを用いた薄膜形成方法一般におい
て、比率D/Eを1.8倍以上に設定することによって、
軸配向多結晶薄膜を形成することができると結論づけら
れる。
【0027】また、実験では、TiNの薄膜を形成した
が、他の材料についても、同様の結果が十分に期待され
る。例えば、比率D/Eに関する上記の条件を満たすこ
とによって、最稠密面(111)がターゲット3の表面
に配向したシリコンの軸配向多結晶薄膜を形成すること
ができる。
【0028】<実施の形態2>図4は、スパッタリング
を用いた薄膜形成装置の他の例を示す断面図である。こ
の装置102は、ECR型のスパッタ装置として構成さ
れている。なお、以下の図において、図1に示した実施
の形態1の装置と同一部分または相当部分(同一の機能
をもつ部分)については、同一符号を付してその詳細な
説明を略する。
【0029】図4において、20は照射室容器、21は
プラズマ容器、22はプラズマ室、23は導波管、24
は石英窓、25は磁気コイル、26はガス導入管、27
は冷却用配管、31はターゲットホルダ、32は排気
管、34はプラズマ流、35は試料台、36はプラズマ
引出口、37はDC電源、そして40はプラズマ発生部
である。
【0030】この装置102を動作させるためには、ガ
ス導入管26からプラズマ室22へガスが導入され、同
時に導波管23からプラズマ室22へマイクロ波が導入
される。さらに、同時に、磁気コイル25に直流電流を
印加して、プラズマ室22およびその周辺に直流磁場を
形成する。プラズマ室22では、マイクロ波と直流磁場
とによってサイクロトロン共鳴と称される現象が引き起
こされる。この現象によって、螺旋運動する高エネルギ
ーの電子が生成されるとともに、供給されたガスがこの
電子によってプラズマ化される。
【0031】この電子は、反磁性の特性を有するので、
磁場の弱い方向、つまり、磁力線に添って電子流を形成
する。磁気コイル25は照射室18に発散磁場を生成す
るので、プラズマ引出口36から発散する磁力線に沿っ
て下方へと広がりつつ流れる電子流が形成される。そし
て、電気的中性を維持するために、この電子流にともな
って正イオンも、磁力線にそってイオン流を形成する。
すなわち、プラズマ室22に発生したプラズマが、プラ
ズマ流34となって、プラズマ引出口36の直下に設置
された基板2へ向かって流れる。
【0032】プラズマ引出口36の近傍にはターゲット
3が設置されている。このため、DC電源37によって
直流電圧が印加されることにより、プラズマイオンが加
速され、ターゲット3へと入射する。その結果、ターゲ
ット3の表面でスパッタリングが発生し、基板2へと到
達したスパッタ粒子は、基板2の表面の上に堆積する。
このようにして、基板2の上に、ターゲット3を構成す
る元素を含有する薄膜が形成される。
【0033】つぎに、代表的な透明電極材料として知ら
れるITO(酸化インジウム−酸化物系導電物質)の軸
配向多結晶薄膜を基板2の上に形成する例をあげて、図
4の装置102を用いた結晶性薄膜形成方法について説
明する。この例では、ターゲット3の材料として、In
23−(20mol%)SnO2、あるいは、In23−(9mol%)
SnO2などが用いられる。また、ガス導入管26から
供給されるガスとして、ArまたはKr(クリプトン)
などの不活性ガスが用いられる。照射室18の真空度
は、5×10-3Torr程度に保たれる。
【0034】ターゲット3から飛来するスパッタ粒子に
よって、基板2の上にITO薄膜が形成される。そし
て、スパッタ粒子の基板2への入射方向が十分に均一と
なるほどに、ターゲット・基板間距離Dを大きく設定す
ることによって、表面に最稠密面が配向した軸配向多結
晶体のITO薄膜が形成される。
【0035】装置102では、ターゲット3がリング状
であり、その内壁の表面で引き起こされるスパッタリン
グによって発生するスパッタ粒子が、薄膜の形成に寄与
している。したがって、基板2へのスパッタ粒子の入射
方向のばらつきは、図3において、ターゲット3の内径
Eと同一大きさの直径Eを有する円形のエロージョン領
域50からのスパッタ粒子の入射方向のばらつきと同等
である。
【0036】したがって、装置102を用いた薄膜形成
においても、ターゲット・基板間距離Dと内径Eとの比
率D/Eに関して、実施の形態1と同一の条件(比率D
/E≧1.8)を満たすことによって、最稠密面が表面に
配向した軸配向多結晶薄膜を形成することが可能であ
る。
【0037】すなわち、比率D/Eの分母をなす値E
を、スパッタ粒子が発生する領域の基板2から見た広が
りの最大幅として、一般的に規定することによって、実
施の形態1と同一の条件が一般に成立する。例えば、図
4の装置102において、ターゲット3の内径Eが50mm
であれば、ターゲット・基板間距離Dを90mm以上に設定
することによって、基板2の上に軸配向多結晶薄膜を形
成することができる。
【0038】<実施の形態3>実施の形態1,2では、
軸配向多結晶薄膜を形成する方法について説明した。し
かしながら、同様のスパッタリングを用いることによっ
て単結晶薄膜を形成することも可能である。図5は、ス
パッタリングを用いて単結晶薄膜を形成するための装置
の例を示す断面図である。この装置103は、装置10
2と同様のECR型のスパッタ装置として構成されてお
り、単一の照射室容器41に装置102のプラズマ発生
部40が2個(一般には複数個)付随している点が特徴
的である。
【0039】複数個のプラズマ発生部40は、それらか
ら供給される複数本のプラズマ流34が、基板2の上に
形成すべき単結晶薄膜の相異なる複数の最稠密面に、そ
れぞれ垂直に入射するように配置されている。例えば、
(111)面を最稠密面とするSiの単結晶薄膜を形成
するときには、図5に例示するように、複数本のプラズ
マ流34が、互いの間で70°の角度を成すように、プ
ラズマ発生部40が設置される。
【0040】このことによって、各プラズマ発生部40
から基板2へと入射するスパッタ粒子の主要な(平均的
な)入射方向が、基板2の上に形成すべき単結晶薄膜の
相異なる複数の最稠密面に垂直な方向に設定される。そ
れぞれのプラズマ発生部40は、さらに、比率D/Eに
関する実施の形態2で説明した条件(比率D/E≧1.
8)を満たすように設置される。
【0041】その結果、基板2の上に形成される薄膜の
結晶面は、複数のプラズマ発生部40から入射するスパ
ッタ粒子の複数の入射方向のいずれにも、最稠密面が垂
直となるように配向する。すなわち、独立な複数の最稠
密面の方向が一義的に定められる。このことは、基板2
の上に形成される薄膜が、単結晶薄膜として形成される
ことを意味している。しかも、プラズマ発生部40の配
置を適切に設定することによって、単結晶薄膜の結晶方
位を所望どおりに設定することが可能である。
【0042】少なくとも二つの独立な最稠密面の方向が
定まると、単結晶薄膜の結晶方位はつねに一義的に定ま
るので、スパッタ粒子の複数の入射方向は、図5に例示
するように二方向で十分である。
【0043】<変形例> (1) 実施の形態3では、二方向からスパッタ粒子を基板
2へと入射する例を示した。しかしながら、スパッタ粒
子を一方向のみから入射し、他の方向からは、入射方向
が十分に均一なイオン、原子等のビームを入射してもよ
い。例えば、図5において、二つのプラズマ発生部40
の中の一方には、ターゲット3を設けずに、入射方向が
十分に均一となるように調整されたプラズマイオン(ま
たは電子と再結合した後の中性原子)のみが基板2へと
入射するようにしてもよい。
【0044】この方法によっても、図5の装置103を
用いたときと同様に、スパッタ粒子およびプラズマイオ
ン(または中性原子)の二つの入射方向に最稠密面の方
向が規定された単結晶薄膜が形成される。このとき、プ
ラズマイオンの原子量は、形成すべき単結晶薄膜を構成
する元素の最大の原子量よりも低いことが望ましい。そ
の場合には、プラズマイオン(または中性原子)が、薄
膜の表面で後方へと散乱されるので、薄膜の中に不純物
として残留し難いという利点が得られる。
【0045】さらに、プラズマイオン(または中性原
子)は、Arなどの不活性元素であることが望ましい。
このときには、イオンまたは原子が単結晶薄膜の中にわ
ずかながら残留したとしても、これらが単結晶薄膜の電
子物性へ不純物として悪影響を及ぼすことが少ないとい
う利点が得られる。
【0046】
【発明の効果】第1の発明の方法では、ターゲットと基
板の間の距離が、実験によって確認された適切に範囲に
設定されているので、スパッタ粒子の入射方向に垂直な
方向に最稠密面が配向した規則性の高い結晶性薄膜が得
られる。
【0047】第2の発明の方法では、第2の方向からビ
ームが入射され、しかも、二つの入射方向が、形成すべ
き薄膜物質の単結晶体における互いに異なる最稠密面に
それぞれ垂直な方向に設定されるので、互いに異なる最
稠密面が二つの入射方向にそれぞれ垂直な方向へと配向
した単結晶薄膜が形成される。
【0048】第3の発明の方法では、第2の方向から入
射されるビームが、第1の発明と同一に条件づけられた
もう一つのターゲットから入射するスパッタ粒子で構成
されるので、より容易に単結晶薄膜を形成することがで
きる。
【0049】第4の発明の方法では、ビームを構成する
元素の原子量が、形成すべき薄膜物質を構成する元素の
最大の原子量よりも低いので、ビームを構成する元素が
薄膜の中に、不純物として残留し難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の方法に適した装置の断面図で
ある。
【図2】 実施の形態1の方法に関する実験の結果を示
すグラフである。
【図3】 実施の形態1の方法を説明する説明図であ
る。
【図4】 実施の形態2の方法に適した装置の断面図で
ある。
【図5】 実施の形態3の方法に適した装置の断面図で
ある。
【符号の説明】
2 基板 3 ターゲット 34 プラズマ流 D ターゲット・基板間距離 E 最大幅

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性薄膜形成方法において、 ターゲットをスパッタし、スパッタされた原子または分
    子、すなわちスパッタ粒子を、基板へと入射することに
    よって、当該基板の上に、前記粒子に含まれる元素を構
    成元素として包含する物質の薄膜を形成し、 しかも、前記ターゲットの中でスパッタリングが発生す
    る領域の前記基板から見た最大幅に対する、前記領域と
    前記基板の間の距離の比率が、1.8以上に設定されてい
    ることを特徴とする結晶性薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の結晶性薄膜形成方法に
    おいて、 前記スパッタ粒子の入射方向である第1の方向とは異な
    る第2の方向からビームを入射し、 前記第1および第2の方向が、前記物質の単結晶体の互
    いに異なる最稠密面にそれぞれ垂直な方向であることを
    特徴とする結晶性薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の結晶性薄膜形成方法に
    おいて、 前記ビームが、 もう一つのターゲットをスパッタすることによって前記
    基板へと入射するスパッタ粒子で構成され、 前記もう一つのターゲットの中でスパッタリングが発生
    する領域の前記基板から見た最大幅に対する、この領域
    と前記基板の間の距離の比率が、1.8以上に設定されて
    いることを特徴とする結晶性薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の結晶性薄膜形成方法に
    おいて、 前記ビームを構成する元素の原子量が、前記物質を構成
    する元素の最大の原子量よりも低いことを特徴とする結
    晶性薄膜形成方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2263843A (en) * 1992-01-10 1993-08-04 Frederic Emmanuel Lamond Portable personal telephone number

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GB2263843A (en) * 1992-01-10 1993-08-04 Frederic Emmanuel Lamond Portable personal telephone number

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