JPH0598429A - 透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置 - Google Patents

透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置

Info

Publication number
JPH0598429A
JPH0598429A JP28708491A JP28708491A JPH0598429A JP H0598429 A JPH0598429 A JP H0598429A JP 28708491 A JP28708491 A JP 28708491A JP 28708491 A JP28708491 A JP 28708491A JP H0598429 A JPH0598429 A JP H0598429A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target
substrate
conductive film
laser
transparent conductive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28708491A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Tanaka
正治 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP28708491A priority Critical patent/JPH0598429A/ja
Publication of JPH0598429A publication Critical patent/JPH0598429A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ITOもしくはインジウム/スズ合金のターゲ
ットによる透明導電膜の作製を、レーザービームスパッ
タ法により従来の成膜法よりは容易にかつ大きい速度
で、ターゲットの利用効率も良く行なえるようにする。 【構成】 真空容器1のy方向移動とターゲット8のx
方向小移動を繰り返し、かつ被処理基板20を回転させ
ながら、ターゲット8の表面にレーザー光3を万遍なく
照射させる。また酸素を主とする活性化したプラズマガ
スPの照射を行なって、酸素欠損を気相状態で補いなが
らレーザー光3によってターゲット8の表面からターゲ
ット物質を瞬時に蒸発、気化させ、ほぼそのターゲット
組成を保ったまま被処理基板20に到達させてITO薄
膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、OA機器、画像機器、
入出力機器、半導体デバイス等に用いられるITOやイ
ンジウム/スズ合金の透明導電膜を形成する方法及び同
装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ITO
透明導電膜等の形成方法としては、真空蒸着法、スパッ
タリング法が主流である。このうち真空蒸着法では、電
子ビーム(EB)蒸発源を用いた反応性蒸着を行う方法
が一般的であるが、被処理基板温度を300℃程度と高
く保持する必要があり、成膜速度も5オングストローム
/sec程度と遅く、また形成する膜の透明度と導電性を
左右する酸化反応と結晶化が被処理基板温度に依存する
ため比較的大面積に成膜することが可能であるが成膜速
度の高速化と結晶性の制御に問題がある。一方、スパッ
タリング法は、例えばDCマグネトロンスパッタ法によ
ってIn/Sn合金ターゲットによる反応性スパッタリング
法やITO酸化物ターゲットを用いるが、大面積基板へ
の成膜に対応できないという欠点がある。また、スパッ
タリング法ではプラズマイオンの高いエネルギーを用い
るため、成膜過程でのダメージが基板上の膜の結晶性に
悪影響を及ぼし、ITO膜の低抵抗化を阻害する要因に
なっている。さらに真空蒸着法、スパッタリング法と
も、基板温度を200〜300℃程度に加熱保持する必
要があり、成膜プロセスの制御性や再現性に問題があ
る。
【0003】これらの欠点を解決するために、活性化反
応性蒸着法(ARE)やイオンビームスパッタリング法
等のプラズマやイオンを積極的に利用した低温化プロセ
スの開発がなされている。例えば、特開平3−1006
6号公報で示されるようにイオンビームスパッタ法を用
い、ターゲット物質をスパッタ蒸発させ、さらに酸素イ
オンを主としたイオンビームを照射することにより、化
学的に活性な酸素イオンにより膜の酸化を促進し透明化
を促すと共に、イオンビームのエネルギーを利用して基
板表面での成膜物質の移動やエネルギー付勢によって結
晶性を向上させているものがある。一方、従来のプラズ
マを使ったスパッタリング法では、特開平2−2909
70号公報等で示されるようにプラズマの電子密度分布
に着目し低抵抗化を目指している例もある。
【0004】しかしながら上述のような真空蒸着法、ス
パッタリング法、これらにプラズマやイオンの作用を利
用する方法では、成膜速度、プロセスの制御性、結晶
性、材料の利用効率などに問題があり低温成膜、低抵抗
化、結晶性、結晶粒径制御、大面積化という諸問題を同
時に解決することは難しく、量産化による低コストでI
TO膜を形成することができない。
【0005】このような問題を解決するため、レーザー
を用いたスパッタ作用によってターゲット組成を損なう
ことなく高速にターゲット物質を薄膜化する技術が開発
されている。例えば、特開平2−310363号公報に
見られるように、酸化物薄膜を形成するためレーザー光
を用いる場合に被照射材料の表面層の物理的状態が変化
することを防止するため、表面層近傍にガスを供給して
材料の変質を防ぐ方法が開発されている。しかしながら
このような方法をITO膜のレーザー蒸着にそのまま適
用することは難しく、さらに低温成膜かつ大面積化に対
応したITO導電性薄膜作製に適用することはできな
い。
【0006】即ち、ITO酸化物ターゲット表面からレ
ーザー光によって瞬時に蒸発させられたターゲット物質
は、正確にはターゲット組成を保ったまま蒸気化され
ず、ターゲットを構成する元素のIn、Sn、OがO、In、Sn
の順で分散しながら酸素が欠損した状態で基板に蒸着す
ることになる。このため基板上に形成された膜を薄膜X
線分析(WDS分析)で調べると、Inの微粒塊もしくは
Inリッチな粒塊がアイランド状に形成され、かつ酸素が
欠損した状態であるため、膜質が透明性および導電性に
劣るという結果になる。酸素イオンを主とするプラズマ
ガス、活性化された酸素ガスを基板に照射しながら行う
方法も考えられているがイオン源が非常に高価なもので
あり、プラズマ発生のためプロセス中の真空度(圧力)
も10-4〜10-5Torrとなり、高真空プロセスの問題で
装置構成が複雑になってしまい、さらに基板の加熱も必
要であるという問題がある。
【0007】本発明はこのようの従来の種々の問題点に
鑑みてなしたもので、従来の成膜法よりは容易にかつ大
きい速度で、しかもターゲットの利用効率も良く成膜で
きる透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る透明導電膜
作製方法は上記目的を達成するための構成として、真空
容器、真空排気系、イオン源、ガス導入系及びレーザー
光源からなる透明導電膜作製装置において、ITOもし
くはインジウム/スズ合金のターゲットに対向させて被
処理基板を配置し、上記レーザー光源から射出するレー
ザー光によって上記ターゲット表面の物質をレーザービ
ームスパッタ法によって蒸発させると共に、上記イオン
源により酸素イオンを主とするプラズマイオンを上記被
処理基板に照射して上記被処理基板上に透明導電膜を形
成するようにしたものである。
【0009】本発明に係る透明導電膜作製装置は上記目
的を達成するための構成として、真空容器、真空排気
系、イオン源、ガス導入系及びレーザー光源を備えた真
空容器内に、ITOもしくはインジウム/スズ合金のタ
ーゲットを配置し、上記レーザー光源から射出するレー
ザー光によって上記ターゲット表面の物質をレーザービ
ームスパッタ法によって蒸発させると共に、上記イオン
源により酸素イオンを主とするプラズマイオンを上記被
処理基板に照射して上記被処理基板上に透明導電膜を形
成するようにしたものである。
【0010】上記透明導電膜作製装置は、上記ターゲッ
トより大面積で矩形の被処理基板を上記真空容器内で回
転させつつ反復移動させる手段と、上記真空容器自体を
上記レーザー光に対して反復移動させる手段とを有する
するようにしてもよい。
【0011】また本発明に係る透明導電膜作製方法は上
記目的を達成するための構成として、真空容器内に、レ
ーザー蒸着用容器、熱陰極型電子銃、酸素ガス供給系、
真空排気系及びレーザー光源を備え、上記レーザー蒸着
用容器を上記真空容器から仕切って設置し、該レーザー
蒸発用容器内にITOもしくはインジウム/スズ合金の
ターゲットを配し、上記レーザー光源から射出するレー
ザー光によって上記ターゲット表面の物質を蒸発させつ
つ上記酸素ガス供給系から酸素ガスを導入し、該導入さ
れた酸素ガスを熱陰極型電子銃から出た電子により活性
化し、上記レーザー蒸発用容器に対向配置した被処理基
板上に透明導電膜を形成するようにしたものである。
【0012】本発明に係る透明導電膜作製装置は、真空
容器、該真空容器内に仕切って設置したレーザー蒸着用
容器、熱陰極型電子銃、酸素ガス供給系、真空排気系及
びレーザー光源からなる透明導電膜作製装置において、
上記レーザー蒸発用容器内にITOもしくはインジウム
/スズ合金のターゲットを配し、上記レーザー光源から
射出するレーザー光によって上記ターゲット表面の物質
を蒸発させつつ上記酸素ガス供給系から酸素ガスを導入
し、該導入された酸素ガスを熱陰極型電子銃から出た電
子により活性化し、上記レーザー蒸発用容器に対向配置
した被処理基板上に透明導電膜を形成するようにしたも
のである。
【0013】上記透明導電膜作製装置は、上記被処理基
板に低周波電圧と直流電圧を重畳した電圧を印加する手
段を有するようにもできる。
【0014】
【実施例】図1ないし図6は本発明の第1実施例を示
す。まず本実施例の構成を説明すると、図中1は真空容
器で、ターボ分子ポンプもしくはクライオポンプを主ポ
ンプとする真空排気系2を備え、10-7Torr台まで真空
排気され得るようになっている。また真空容器1にはレ
ーザー光3を導入するための透過窓4が設けられてい
る。この透過窓4は、図2に示すように長手方向に長さ
lを有する。レーザー光3は、例えばArF、KrFなどのエ
キシマレーザー光で、図示せぬレーザー光源から射出さ
れ、真空容器1外の平面鏡5で反射された後に集光レン
ズ6を介して透過窓4を通り、さらに真空容器1内の平
面鏡7で反射された後にターゲット8に照射されるよう
になっている。
【0015】ターゲット8はITO酸化物燒結体ターゲ
ット(もしくはインジウムとスズの合金ターゲット)で
あり、図3(A)に示すように、長手方向に長さl0
有する。また平面鏡7は図3(B)に示すように長手方
向に長さl1を有する矩形のものである。そして透過窓
4、平面鏡7及びターゲット8の各長手方向の長さl0
との関係はl>l1>l0としてある。
【0016】ターゲット8を搭載したターゲットホルダ
ー9は、回転運動を直線運動に変換するラックアンドピ
ニオン機構を備える回転導入装置10に連結され、x方
向に反復直線運動すると同時に真空容器1自体を紙面に
垂直なy方向(図1では図示の必要から斜め方向に向け
てある。)に反復移動させるようになっている。なお、
真空容器1は台座11に設けられたスライドレール12
に沿って図示せぬ駆動機構によりy方向に反復移動する
よう駆動されるようになっている。
【0017】図1中の13はプラズマイオン源で、例え
ば電子サイクロトロン共鳴(ECR)放電によるプラズ
マを利用するものである。ECR放電によるプラズマ
は、磁場発生用電磁石14による磁場の強さ875ガウ
スと、2.45GHzのマイクロ波による電子サイクロト
ロン共鳴を利用して発生させる。図中15はマイクロ波
導波管(一部図示を省略)、16はマイクロ波発生電
源、17は電磁石コイルの電源、18はプラズマイオン
を遮断するためのシャッター機構である。さらに図中1
9はプラズマイオン源に酸素を主成分とするアルゴンと
の混合ガスを導入するためのガス導入系である。本装置
では、プラズマイオン源13によって主として酸素ガス
プラズマを生成させ、被処理基板20に照射するもので
ある。
【0018】被処理基板20をターゲット8に対向させ
て保持するための基板ホルダー21は、被処理基板20
とは反対側に加熱ヒーター22を備え、回転駆動装置2
3により成膜中は一定速度で回転駆動されるようになっ
ている。被処理基板20とターゲット8との配置関係は
図4に示すようになる。
【0019】図中24はプラズマの電子温度、電子密度
を測定する探針(ラングミュアプローブ)である。プラ
ズマ中に電気的に絶縁された針状の電極27を挿入し、
直流電圧を印加したとき電極に流入するイオン、電子に
よる荷電粒子の電流の電圧−電流特性を得ることによっ
て電子温度が求まり、計算によって電子密度を得ること
ができるものである。そして25は探針24の測定回路
系、26は探針測定データを解析しコイル電源17にフ
ィードバック信号を送るための計測制御系である。なお
探針24に備えられた電極27は、図示せぬ駆動機構に
よりプラズマイオン源13の中心軸から半径方向に移動
可能であり、プラズマイオン源13から流出するプラズ
マ流Pの断面の電子密度分布を調べることが可能なもの
である。また図中28は真空容器1の圧力を計測する真
空計である。
【0020】次に本実施例の作用を説明する。外部に固
定されたレーザー光源に対し、真空容器1を透過窓4の
長手方向の間をレーザー光3が透過するようにy方向に
移動させ、lだけ動いた時点でターゲット8をある位置
Δxだけx方向(紙面に平行な方向)に移動させ、その
後真空容器1を距離lだけ逆方向にy軸方向に戻し、さ
らにターゲット8をx方向にΔxだけ移動させる。この
ような移動の繰り返しにより、細長い矩形ターゲット8
の表面には焦点スポットが固定されたレーザー光3が万
遍なく照射される。またプラズマイオン源13とガス導
入系19により、酸素を主とする活性化したプラズマガ
スの照射を行なって、酸素欠損を気相状態で補いながら
レーザー光3によってターゲット8の表面からターゲッ
ト物質を瞬時に蒸発(スパッタリング)、気化させ、ほ
ぼそのターゲット組成を保ったまま被処理基板20に到
達させてITO薄膜を形成する。そして上述のように、
矩形の細長いターゲット8の表面層にくまなくレーザー
光3を照射しながら、かつ被処理基板20を回転させる
ことにより、小さいターゲット面積ながら大面積の基板
上ににITO透明導電膜を5×10-5Torrという高真空
状態において蒸着する。
【0021】本発明者らの行なった成膜処理では、従来
の真空蒸着法やプラズマを利用したスパッタリング法に
比べて成膜速度が数倍速くなり、また活性化した酸素プ
ラズマにより基板温度が80℃程度で成膜が可能であっ
た。即ち、プラズマイオンをアシストさせて照射するこ
とによりプラズマ中の電子作用も酸素イオンの活性化を
助長し、基板上の薄膜形成時に電子の持つ熱エネルギー
により基板を300〜400℃に加熱するのと同等の物
理、化学的効果を与えることができたものと考えられ
た。また形成した膜の組成をストイキオメトリーに近い
透明で導電性にすぐれ、また密着性のよいものとするこ
とができた。さらに、プラズマイオン照射によって活性
化した酸素を供給し、アルゴンイオンで軽微に基板表面
上の面を適度に衝撃を加えて不純物を除去すると共に、
結晶粒の形成及びマイグレーション効果により緻密な膜
を形成することができた。そしてターゲットの利用率は
100%に近いものが得られた。図5(A)、(B)
は、磁場コイル電流が135Aのときの電子密度の分布
に対応する被処理基板上のシート抵抗の分布を示し、図
6(A)、(B)は、磁場コイル電流が160Aのとき
の電子密度の分布を示し、広い範囲に亘り高い電子密度
を有するプラズマ流を照射することにより、大面積にお
いて低抵抗化が実現できた例を示す。
【0022】図7及び図8は本発明の第2実施例を示
す。なお第1実施例と共通する部分、要素については共
通する符号を付して説明する。真空容器1は真空排気系
2により10-8Torr台まで真空排気され得るようになっ
ている。真空容器1内には、レーザー蒸発用容器30が
隔離形成してあり、ITO酸化物ターゲット(またはイ
ンジウム/スズ合金ターゲット)8がターゲットホルダ
ー9ごと収容、設置してある。レーザー蒸発用容器30
には、別途の真空排気系31がコンダクタンス可変バル
ブ32を含む真空排気管33を介して接続してあり、真
空容器1とは別個に真空排気されるようになっている。
なおターゲットホルダー9は第1実施例とはことなり回
転導入装置10によってx方向及びy方向に連続して動
かすことができる。
【0023】レーザー蒸発用容器30の上部には、蒸気
物質噴出孔34が設けてある。この蒸気物質噴出孔34
には、図8で詳細に示すようにテーパー形状の金属管3
5が立設してあり、金属管35には途中部位にガス導入
管36が接続され、また上端には絶縁材37によって電
気的に絶縁された金属メッシュ電極38が付設してあ
る。なお金属管35の材料としては例えばSUS304
を、絶縁材37の材料としては例えばアルミナを、金属
メッシュ電極38の材料としては例えばタングステンメ
ッシュ材を用いる。
【0024】真空容器1に設けたレーザー光3を導入す
るための透過窓4内には、レーザー光3をレーザー蒸発
用容器30内へ入射させるためのレーザー光導入管39
が設けてあり、二重構造としてある。
【0025】図中40は電源で、基板ホルダー21に接
離自在に保持させた被処理基板20には、電源40から
直流負電圧によってバイアスされた低周波電圧が印加さ
れるようになっている。また41は四重極型質量分析計
であり、計測・制御系42に接続されて被処理基板20
の近傍に配置され、レーザー光3によって蒸発させられ
たターゲット物質の組成元素と組成比をレーザー光のパ
ワーに応じて測定する。図中43は電子放出源にLaB6
用いた熱陰極型電子銃であり、44はその電源である。
図中45はマスフローコントローラーで、ガス導入系1
9の途中に設けてあり、ガス導入管36を介して金属管
35内に酸素ガスを供給するようになっている。さらに
図中46は直流電源であり、金属メッシュ電極38に直
流電圧を印加するためのものである。また図中47はシ
ャッターである。
【0026】被処理基板20に印加する低周波電圧は、
例えば500w、50KHzで、バイアスの直流電圧は−
400Vとする。被処理基板20に低周波電圧を印加す
るのは、直流の負バイアス電圧の効果によりイオン化さ
れ、活性化された蒸発粒子を被処理基板20方向に加速
し、絶縁体基板の場合には基板の帯電を防止し、熱陰極
型電子銃43から出た電子を被処理基板20と金属メッ
シュ電極38の間の空間で振動させ、被処理基板20に
電子の照射効果を与えるためである。
【0027】本実施例の作用を説明する。まずレーザー
蒸発用容器30内を真空排気系31により10-5Torr台
まで真空排気した後、ターゲット8に対するレーザー光
3の照射によって蒸発させられたターゲット物質の組成
元素と組成比をレーザー光3のパワーに応じて予め四重
極型質量分析計41によって測定し、特に酸素成分比を
モニターしておく。さらにガス導入系19により酸素ガ
スを金属管35内に供給し、熱陰極型電子銃43によっ
て電子ビームを放出しつつ、金属メッシュ電極38に直
流電源46を用いて+30〜200Vの直流電圧を印加
して電子ビームを導き、導入された酸素ガスを活性化
(イオン化、ラジカル化)する。この時レーザー光3の
エネルギーによって蒸発させられたターゲット物質は活
性な状態になっており、電子ビームとの衝突によってイ
オン化した酸素原子と共にクラスターイオンの様態にな
っていると考えられる。
【0028】そしてレーザー蒸発用容器30と金属管3
5内の圧力は10-3Torr台、その外側の真空容器1内の
圧力は10-6Torr台となり、レーザー蒸発用容器30内
の蒸発物質は内外の差圧により被処理基板20に向かっ
て膨張噴出する。そして電子ビーム衝突により活性なク
ラスター状となったイオンは負電圧にバイアス印加され
た被処理基板20に向かって成膜粒子となり、被処理基
板20にITO膜が堆積する。被処理基板20には上述
のように負バイアス電圧に対して50KHzの低周波電圧
が印加されており、熱陰極型電子銃43から放出される
電子流の一部は被処理基板20に向かって照射され、被
処理基板20を加熱すると共に蒸発物質を基板近傍にお
いて再び活性化して成膜しやすくする。
【0029】さらに被処理基板20の近傍に置かれた四
重極型質量分析計41により、成膜粒子をイオン化して
その元素組成、特に酸素成分比をモニターしながら活性
化された酸素とターゲット8から蒸発するターゲット物
質との反応合成の過程における酸素成分比の変動量をモ
ニターし、化学量論的組成比を一定に保つように、金属
メッシュ電極38に印加する電圧と酸素導入量を制御す
るため、直流電源46及びマスフローコントローラー4
5にフィードバック信号を送って最適値を決める。
【0030】なお本発明は、他の酸化物、窒化物系のセ
ラミックス薄膜にも同様にして用いることができる。
【0031】
【発明の効果】請求項1に係る透明導電膜作製方法及び
請求項2に係る透明導電膜作製装置は以上説明してきた
ように、レーザー光によるスパッタ効果を利用すること
により、高真空状態においてITOターゲットの組成に
近い状態で被処理基板上にITO薄膜を形成することが
でき、成膜速度を従来の真空蒸着法、プラズマを利用し
たスパッタリング法に比べて数倍速くすることができる
ようになるという効果がある。またプラズマイオンを基
板にアシストして照射することにより、ターゲット組成
の蒸発時における変動を補い、活性化された酸素イオン
とプラズマ電子を供給することにより低温でストイキオ
メトリーに近い組成で透明かつ導電性に優れたITO薄
膜を形成することができるという効果がある。
【0032】請求項3に係る透明導電膜作製装置は上記
共通の効果に加え、小面積を有するターゲットにまんべ
んなくレーザー光を照射でき、ターゲットの利用効率が
100%に近いうえ、照射時に受ける物理科学的効果が
プラズマイオンの場合と違い組成の変動を引き起こさな
いという効果があり、さらに被処理基板を回転させるこ
とにより大面積基板に効率良くITO薄膜等を形成する
ことができるという効果がある。
【0033】請求項4に係る透明導電膜作製方法及び請
求項5に係る透明導電膜作製装置は以上説明してきたよ
うに、レーザー光による蒸発を利用してターゲット物質
を蒸気化し噴出させることによってクラスター(塊状)
にして、かつ酸素ガスを導入して熱陰極型電子銃から出
た電子により活性化て蒸着することによって、従来の成
膜法よりは大きい成膜速度で容易にターゲット組成に近
い組成をもつ透明薄膜を基板に形成することができるよ
うになるという効果がある。
【0034】請求項6に係る透明導電膜作製装置は上記
共通の効果に加え、直流電圧と低周波電圧を重畳して基
板に印加することにより、基板表面を熱的に活性化して
不純物粒子を除去すると共に基板に加熱機構がなくても
反応合成に必要な温度を基板に与えることができ、基板
へのバイアス直流負電圧によって、ターゲットから蒸発
してくる活性な粒子を基板の方に加速し、基板に衝突さ
せて化合反応を促進し、マイグレーション効果により緻
密かつ透明で密着性の良い薄膜を低温で形成することが
できるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例装置の概要を示す部分断面図であ
る。
【図2】レーザー光の透過窓の外観を示す斜視図であ
る。
【図3】(A)がターゲットの外観を示す斜視図、
(B)がレーザー光反射用の平面鏡の外観を示す斜視図
である。
【図4】ターゲットと被処理基板の配置関係を示す平面
図である。
【図5】磁場コイル電流が135Aのときの電子密度の
分布に対応する被処理基板上のシート抵抗の分布を示す
グラフである。
【図6】磁場コイル電流が160Aのときの電子密度の
分布を示すグラフである。
【図7】第2実施例装置の概要を示す部分断面図であ
る。
【図8】真空容器内に仕切ったレーザー蒸発用容器の蒸
発物質噴出孔近傍を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2、31 真空排気系 3 レーザー光 4 透過窓 7 平面鏡 8 ターゲット 9 ターゲットホルダー 10 回転導入装置 13 プラズマイオン源 19 ガス導入系 20 被処理基板 21 基板ホルダー 23 回転駆動装置 30 レーザー蒸発用容器 34 蒸気物質噴出孔 38 金属メッシュ電極 40 電源 41 四重極型質量分析計 43 熱陰極型電子銃 45 マスフローコントローラー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器、真空排気系、イオン源、ガス
    導入系及びレーザー光源からなる透明導電膜作製装置に
    おいて、ITOもしくはインジウム/スズ合金のターゲ
    ットに対向させて被処理基板を配置し、上記レーザー光
    源から射出するレーザー光によって上記ターゲット表面
    の物質をレーザービームスパッタ法によって蒸発させる
    と共に、上記イオン源により酸素イオンを主とするプラ
    ズマイオンを上記被処理基板に照射して上記被処理基板
    上に透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜
    作製方法。
  2. 【請求項2】 真空容器、真空排気系、イオン源、ガス
    導入系及びレーザー光源を備えた真空容器内に、ITO
    もしくはインジウム/スズ合金のターゲットを配置し、
    上記レーザー光源から射出するレーザー光によって上記
    ターゲット表面の物質をレーザービームスパッタ法によ
    って蒸発させると共に、上記イオン源により酸素イオン
    を主とするプラズマイオンを上記被処理基板に照射して
    上記被処理基板上に透明導電膜を形成することを特徴と
    する透明導電膜作製装置。
  3. 【請求項3】 上記ターゲットより大面積で矩形の被処
    理基板を上記真空容器内で回転させつつ反復移動させる
    手段と、上記真空容器自体を上記レーザー光に対して反
    復移動させる手段とを有することを特徴とする請求項2
    の透明導電膜作製装置。
  4. 【請求項4】 真空容器内に、レーザー蒸着用容器、熱
    陰極型電子銃、酸素ガス供給系、真空排気系及びレーザ
    ー光源を備え、上記レーザー蒸着用容器を上記真空容器
    から仕切って設置し、該レーザー蒸発用容器内にITO
    もしくはインジウム/スズ合金のターゲットを配し、上
    記レーザー光源から射出するレーザー光によって上記タ
    ーゲット表面の物質を蒸発させつつ上記酸素ガス供給系
    から酸素ガスを導入し、該導入された酸素ガスを熱陰極
    型電子銃から出た電子により活性化し、上記レーザー蒸
    発用容器に対向配置した被処理基板上に透明導電膜を形
    成することを特徴とする透明導電膜作製方法。
  5. 【請求項5】 真空容器、該真空容器内に仕切って設置
    したレーザー蒸着用容器、熱陰極型電子銃、酸素ガス供
    給系、真空排気系及びレーザー光源からなる透明導電膜
    作製装置において、上記レーザー蒸発用容器内にITO
    もしくはインジウム/スズ合金のターゲットを配し、上
    記レーザー光源から射出するレーザー光によって上記タ
    ーゲット表面の物質を蒸発させつつ上記酸素ガス供給系
    から酸素ガスを導入し、該導入された酸素ガスを熱陰極
    型電子銃から出た電子により活性化し、上記レーザー蒸
    発用容器に対向配置した被処理基板上に透明導電膜を形
    成することを特徴とする透明導電膜作製装置。
  6. 【請求項6】 上記被処理基板に低周波電圧と直流電圧
    を重畳した電圧を印加する手段を有することを特徴とす
    る請求項5の透明導電膜作製装置。
JP28708491A 1991-10-07 1991-10-07 透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置 Pending JPH0598429A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28708491A JPH0598429A (ja) 1991-10-07 1991-10-07 透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28708491A JPH0598429A (ja) 1991-10-07 1991-10-07 透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0598429A true JPH0598429A (ja) 1993-04-20

Family

ID=17712848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28708491A Pending JPH0598429A (ja) 1991-10-07 1991-10-07 透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0598429A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015183238A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 三井造船株式会社 皮膜形成装置、皮膜形成方法、及び皮膜付筒部材
CN108566719A (zh) * 2018-05-18 2018-09-21 河南太粒科技有限公司 大强度离子的离子源产生装置及产生方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015183238A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 三井造船株式会社 皮膜形成装置、皮膜形成方法、及び皮膜付筒部材
CN108566719A (zh) * 2018-05-18 2018-09-21 河南太粒科技有限公司 大强度离子的离子源产生装置及产生方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2662321B2 (ja) 超低速クラスターイオンビームによる表面処理方法
JP3836184B2 (ja) 酸化マグネシウム膜の製造方法
JP2946402B2 (ja) プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置
JPH0598429A (ja) 透明導電膜作製方法及び透明導電膜作製装置
EP1184484B1 (en) METHOD FOR FABRICATING MgO POLYCRYSTALLINE THIN FILM
JP3559641B2 (ja) 真空容器内の加熱方法及び加熱機構
JP4735291B2 (ja) 成膜方法
JPH0417669A (ja) プラズマを用いた成膜方法およびrfイオンプレーティング装置
JP3080096B2 (ja) 大面積薄膜の作製方法
JP3874607B2 (ja) 薄膜形成方法
JP2005281726A (ja) プラズマ成膜方法及びその装置
JPH05295526A (ja) 蒸着方法および蒸着装置
JP2777657B2 (ja) プラズマ付着装置
JPH06145974A (ja) 真空成膜装置及び真空成膜方法
JP2687468B2 (ja) 薄膜形成装置
JPH048506B2 (ja)
JPS6247472A (ja) 立方晶チツ化ホウ素膜の形成方法
JPH04114904A (ja) 高品質酸化物超電導薄膜の作製方法
JP2000016839A (ja) 透明導電性酸化物薄膜の形成方法及びこの装置
JPH0688222A (ja) スパッタイオンプレーティング装置
JP4408505B2 (ja) ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法と装置
JPH0590253A (ja) 絶縁性被膜の形成方法および形成装置
JP2774541B2 (ja) 薄膜形成装置
JP3174313B2 (ja) 薄膜形成装置
JPH0610338B2 (ja) ホウ素薄膜の形成方法