JPH1095357A - 電気式動力操舵装置 - Google Patents

電気式動力操舵装置

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JPH1095357A
JPH1095357A JP25205096A JP25205096A JPH1095357A JP H1095357 A JPH1095357 A JP H1095357A JP 25205096 A JP25205096 A JP 25205096A JP 25205096 A JP25205096 A JP 25205096A JP H1095357 A JPH1095357 A JP H1095357A
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shaft
rack shaft
steering
power steering
rack
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JP25205096A
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Tsugio Onodera
次男 小野寺
Naoo Kodaira
直雄 小平
Yoshiaki Taniguchi
義章 谷口
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Mitsuba Corp
Original Assignee
Mitsuba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動機の慣性に起因する力の発生を防止して
各部材の強度条件を緩和する。 【解決手段】 操向車輪に連結されたラック軸2と、こ
のラック軸2を摺動自在に収容すると共にラック軸に形
成されたラック歯と操向ハンドルに連結された操舵軸5
のピニオンとを噛合させた結合部6を保持するハウジン
グAと、ラック軸2の周囲に同軸的に設けられその回転
力がボールねじ機構3を介してラック軸2に操舵補助力
として伝達される電動機1とを有する。そして、摩擦面
40、41を圧接させてなるトルクリミッタ機構を介し
てナット部19とアーマチュアシャフト11とを連結す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用の電気式動
力操舵装置に関し、特に、ラック・アンド・ピニオン式
の操舵装置に用いられる電気式動力操舵装置に適用して
有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の操舵力補助のため、近年多くの車
両にいわゆるパワーステアリング装置が装備されてお
り、油圧式や電気式等、様々な動力操舵装置が提案され
ている。このような動力操舵装置のうち、ラック・アン
ド・ピニオン式の操舵装置に適用される電気式の動力操
舵装置(いわゆる電動パワーステアリング)としては、
特開平8−98451号公報のように、ラック軸に同軸
的に設けた電動機によって操舵補助力を得るものが知ら
れている。
【0003】このような電気式動力操舵装置は、図6に
示すように、ラック軸51と同軸的に電動機52を設
け、この電動機52が発生する操舵補助力をボールねじ
機構53を介してラック軸51に伝達する。そして、こ
の操舵補助力と手動操舵力とにより操向車輪を転舵し、
運転者の操舵負担を軽減するようになっている。
【0004】この場合、ラック軸51は、両端にタイロ
ッドやナックルアーム等を介して操向車輪が連結される
と共に、操向ハンドル等と接続された操舵軸54とラッ
ク・アンド・ピニオン結合され、運転者の転舵操作によ
り図6において左右方向に往復運動する。また、電動機
52は、円筒状のヨーク55に円筒状のアーマチュアシ
ャフト56と界磁装置57とを同軸的に挿入させた構成
となっており、給電部58から電力が供給される。さら
に、界磁装置57は、ヨーク55の内周部に取り付けら
れたマグネット59およびアーマチュアシャフト56の
外周部に取り付けられたアーマチュアコア60とから構
成されている。そして、電動機52が発生する回転力
は、アーマチュアシャフト56の図中左端に設けられた
ボールねじ機構53を介し操舵補助力としてラック軸5
1に伝達される。なお、アーマチュアシャフト56の右
端側は、ハウジング61内に保持されたアンギュラーベ
アリング65によって支持されている。
【0005】一方、ボールねじ機構53は、ナット部6
2とスクリュー部63との間に多数のボール64を介装
させてなる一般に周知な構成のものであり、そのナット
部62はアーマチュアシャフト56に圧入された上でカ
シメ固定されている。そしてこれにより、電動機53の
回転力がアーマチュアシャフト56から、ナット部6
2、ボール64およびスクリュー部63を介してラック
軸51に軸方向の往復運動となって伝達され、操舵力が
補助される。
【0006】ところで、車輪を限界まで転舵すると、前
記のラック軸51両端に取り付けられたタイロッドのス
トッパ(図示せず)が、ハウジング61やヨーク7の端
部に当接して車輪の動きを規制する。そしてストッパ当
接に伴い、ラック軸51と共に回転していたアーマチュ
アシャフト56等の回動部分も同時に停止され、その慣
性によりラック軸51にも衝撃力が加わる。このため、
アーマチュアシャフト56にもボールねじ機構53より
その反力が加わる。
【0007】例えば図6のヨーク55の左端にストッパ
が当接したとき、アーマチュアシャフト56等の慣性に
よりラック軸51をさらに右に移動させようとする力が
加わり、その反力としてアーマチュアシャフト56には
引張力が加えられる。これとは逆に図6の右端側にてス
トッパがハウジング61に当接すると、ラック軸51に
は、電動機52の慣性によってさらに左に移動しようと
する力が加わり、その反力としてアーマチュアシャフト
56には今度は圧縮力が加えられる。このように、図6
の動力操舵装置では、アーマチュアシャフト56に回転
力の他に引張、圧縮力が加わるため、アーマチュアシャ
フト56でナット部62を包み込むような形で両者を固
結していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな動力操舵装置にあっては、図6に示されているよう
に、アーマチュアシャフト56が複雑な形状となり、加
工難度が高くなるという問題があった。また、アーマチ
ュアシャフト56は、ナット部62を包み込む形でカシ
メられるため、装置の組み付け性が良くないという問題
もあった。
【0009】さらに、アーマチュアシャフト56には、
回転力のみならず引張、圧縮力も加わるため、このよう
な複雑な形状であるにもかかわらず厳しい強度条件を満
足させなければならない。このため、材質や加工工程、
加工精度等の安定化が高度に求められ、加工難度の高さ
も相俟って製造コストが高くなるという問題もあった。
【0010】本発明の目的は、電動機の慣性に起因する
力の発生を防止して各部材の強度条件を緩和することに
ある。
【0011】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかに
なるであろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。
【0013】すなわち、本発明の電気式動力操舵装置
は、まず、操向車輪に連結されたラック軸と、このラッ
ク軸を摺動自在に収容すると共にラック軸に形成された
ラック歯と操向ハンドルに連結された操舵軸のピニオン
とを噛合させた結合部を保持するハウジングと、ラック
軸の周囲に同軸的に設けられラック軸に対し操舵補助力
を供給する電動機と、電動機のアーマチュアシャフトと
連結されたナット部とラック軸に形成されたスクリュー
部との間をボール部材を介在させて連結して電動機の回
転力を操舵補助力としてラック軸に伝達するボールねじ
機構とを有する。そして、ボールねじ機構のナット部
が、トルクリミッタ機構を介してアーマチュアシャフト
と連結されることを特徴としている。
【0014】この場合、前記トルクリミッタ機構を、ナ
ット部の端部およびアーマチュアシャフトの一端部にそ
れぞれ形成されたテーパ状の摩擦面同士をアーマチュア
シャフトの他端側に設けた弾性体によって圧接させて構
成するようにしても良い。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0016】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1である電気式動力操舵装置の全体構成を示す断面
図、図2は図1に示した電気式動力操舵装置の要部の拡
大断面図である。
【0017】当該電気式動力操舵装置(以下、動力操舵
装置と略す)は、図1、2に示すように、図6に示した
従来の動力操舵装置と同様、中空状の電動機1をラック
軸2の周囲に配した構成となっており、例えば自動車前
輪等の操向車輪の操舵装置として取り付けられる。そし
て、電動機1が発生する操舵補助力をボールねじ機構3
を介してラック軸2に伝達することにより運転者の操舵
負担を軽減させるようになっている。
【0018】ここで当該動力操舵装置は、図1に示した
ように、ハウジングAと電動機1のヨーク7とハウジン
グBとをそれぞれ複数のねじ8a、8bにより一体に結
合させた構成となっており、その内部にラック軸2が左
右方向に摺動自在に取り付けられている。そして、ブラ
ケット9およびハウジングBの取り付け孔10により車
両本体に取り付けられた状態で、ラック軸2の両端にタ
イロッドやナックルアーム等を介して操向車輪が連結さ
れる。
【0019】ハウジングAは、鋳鉄またはアルミダイキ
ャスト製の中空部材であり、その図1中の右端側に操向
ハンドルと連結された操舵軸5とラック軸2との結合部
6が形成されている。この結合部6では、操舵軸5に設
けられた図示しないピニオンと、ラック軸2の側部に形
成された図示しないラック歯とが噛み合っており、操舵
軸5の回転がラック軸2の図中の左右方向の動きに変換
される。なお、結合部6の軸上には操舵軸5の回転トル
クを検出する図示しないトルクセンサが設けられてお
り、その検出値に基づき電動機1による補助操舵力が制
御される。
【0020】次に電動機1は、円筒状のヨーク7内に円
筒状のアーマチュアシャフト11と界磁装置12とを同
軸的に挿入させた構成となっている。そして、このアー
マチュアシャフト11の内部をラック軸2が貫通する形
で組み付けられる。また、界磁装置12は、ヨーク7の
内周部に取り付けられたマグネット14およびアーマチ
ュアシャフト11の外周部に取り付けられたアーマチュ
アコア15とから構成されており、アーマチュアには給
電部13から電力が供給される。
【0021】ヨーク7は、鉄製の円筒形部材であり、円
筒パイプにより略一定の肉厚に形成されている。そし
て、その中に界磁装置12および給電部13が収容され
ている。また、ヨーク7の図中において右側は、ハウジ
ングAと複数のねじ8aによって連結されており、その
間はOリング16によって気密状態にされている。さら
に、その左側はハウジングBと複数のねじ8bによって
連結されている。
【0022】界磁装置12を構成する界磁極であるマグ
ネット14は、ヨーク7内に、周方向に間隔をおいて複
数配置される。一方、アーマチュアシャフト11は、そ
の一端側(図1、2において右端)はハウジングAに取
り付けられたスラストベアリング43によって保持され
ている。なお、当該動力操舵装置で用いられるアーマチ
ュアシャフト11は、図6に示したような従来のそれと
比して形状が簡単かつ小型である。このため、これに要
するコストを低減できると共に、そのイナーシャも低減
でき、電動機1の小型化や応答速度の向上を図ることも
可能となる。
【0023】ここで、アーマチュアシャフト11の一端
部(図1、2において左端側)には、図3に示されてい
るように、テーパ状の摩擦面40が形成されている。一
方、ボールねじ機構3のナット部19の端部にも同様に
摩擦面41が形成されている。また、アーマチュアシャ
フト11の他端側に設けられたスラストベアリング43
の右側には皿ばね(弾性体)42が取り付けられてお
り、この皿ばね42の弾発力によってアーマチュアシャ
フト11は軸方向、すなわちナット部19側に押し付け
られる。これにより、アーマチュアシャフト11の摩擦
面40がナット部19の摩擦面41に押し付けられ、ア
ーマチュアシャフト11の回転がナット部19に伝達さ
れる。なお、摩擦面40、41は、金属面またはフェー
シング材等により形成されている。また、押圧用の弾性
体は、十分な摩擦力を確保できるものであればその種類
は問われず、皿ばね42に代えてゴムやウエーブワッシ
ャ、合成樹脂等を用いても良い。
【0024】なお、当該動力操舵装置では、アーマチュ
アシャフト11の他端側をスラストベアリング43で支
持しているが、これは当該装置では軸方向に押圧力を加
える構成となっているためである。すなわち、摩擦面4
0、41を圧接させ、その摩擦力によって回転力を伝達
する構成であるため、スラスト方向の荷重を受けた状態
でアーマチュアシャフト11を回転支持する必要があ
る。このため、当該動力操舵装置ではラジアルベアリン
グではなくスラストベアリング43を用いている。但
し、スラスト荷重の程度やベアリングの性能如何によっ
てはラジアルベアリングを使用しても良いことは言うま
でもない。
【0025】一方、当該動力操舵装置では、アーマチュ
アシャフト11とナット部19とが摩擦力により連結さ
れているため、その摩擦力を超える負荷が発生すると、
摩擦面40、41の間にすべりを生じる。すなわち、こ
の部分は所定以上の負荷を逃がすトルクリミッタとして
の役割を果たしていることになる。従って、電動機2に
所定以上の負荷をかけないことは勿論のこと、限界転舵
時にラック軸2が急停止しても、アーマチュアシャフト
11の慣性をこの摩擦面40、41間のすべりにより吸
収することができ、前述のようなラック軸2からの反力
の発生を抑えることが可能となる。従って、各部の強度
条件を緩和することが可能となり、サイズやコストの面
でより有利な製品を提供できる。
【0026】次に給電部13は、アーマチュアに電力を
供給する部分であり、アーマチュアシャフト11に固定
されたコンミテータ22と、コンミテータ22の周面に
接触する電気的接点であるブラシ23とを有する構成と
なっている。この場合、ブラシ23は、合成樹脂製のブ
ラシホルダステー24と一体に形成されたブラシホルダ
内に保持されており、図示しない弾機によりコンミテー
タ22に所定押圧力で摺接するようになっている。一
方、ブラシホルダステー24には、その一端がブラシ2
3のピグテール25とスポット溶接された端子板26が
突出部24aを貫通してインサート成形されている。そ
して、ブラシホルダステー24は、ハウジングAの孔2
7を介してその突出部24aの先端部を外部に突出させ
た状態でハウジングAにねじ止めされる。これにより、
ブラシホルダステー24の突出部24aと共に端子板2
6がハウジングAから突出して給電用の端子が形成され
る。
【0027】図4は、このようにして形成された給電用
の端子にカプラー28を取り付ける様子を示した斜視図
である。図4に示すように、ハウジングAの外側には、
突出部24aと共に端子板26が突出してオス端子が形
成されており、そこにOリング29を介して防水構造の
メス端子たるカプラー28がねじ止めされる。この場
合、操舵力の補助という観点から電動機1に対する電力
供給は、たとえ一瞬たりとも途絶えることは許されな
い。しかしながら、当該動力操舵装置では、カプラー2
8をハウジングAにねじ止め固定することから、振動等
によりカプラー28が外れて電力供給が途絶えることを
防止でき、製品の信頼性向上を図ることができる。
【0028】ところで従来の動力操舵装置では、この端
子部分は、図6に示したように、端子66と一体成形さ
れたカプラー67(オス側)をハウジング61に差し込
んで固定すると共に、端子66の一端をブラシのピグテ
ール68と固着させた構成となっている。しかしなが
ら、このような従来の動力操舵装置では、端子66とピ
グテール68とは、カプラー67をハウジング61に取
り付けた後にスポット溶接される。そのため、従来の動
力操舵装置では、寸法の大きいハウジング61を固定し
て溶接作業を行う必要があり、作業性が悪いという問題
があった。また、カプラー67の部分は非分解の構造と
なるため、ブラシを交換する際にはハウジング61ごと
交換するか、ピグテール68と端子66を切断してブラ
シを交換し、改めて溶接を行う必要があった。
【0029】そこで、当該動力操舵装置においては前記
のような端子構造を採用し、スポット溶接をブラシホル
ダステー24とピグテール25の間で行うようにしてこ
れをサブアッシイ化し作業性の向上を図っている。ま
た、ハウジングAとの間も分解可能な構成となっている
ため、ブラシ23を交換する際にもブラシホルダステー
24を交換すれば足り、交換部分の削減と作業性の向上
が図られる。さらに、従来に比して部品点数が1点少な
いため(図6におけるカプラー67が不要)、部品コス
ト削減にも寄与している。
【0030】次に、ハウジングBは、ハウジングAと同
様、鋳鉄またはアルミダイキャスト製の中空部材であ
り、内部にボールねじ機構3が組み込まれている。この
ボールねじ機構3は、ナット部19と、ラック軸2の外
周に形成されたスクリュー部30と、ナット部19とス
クリュー部30との間に介装された多数のボール31と
からなる一般に周知な構成のものである。そして、ラッ
ク軸2は、軸回りの回動が規制された状態でナット部1
9によって左右方向に往復動自在支持され、ナット部1
9の回転に伴って左右方向に移動する。
【0031】ここで、ナット部19は、ハウジングBに
固定されたアンギュラーベアリング4を介してハウジン
グBに対し軸回りに回動自在に保持されている。すなわ
ち、当該動力操舵装置では、図6の装置とは異なり、従
来別個に設けられていたボールねじ機構3のナット部1
9とアンギュラーベアリング4を一体にした形でハウジ
ングBに収容した構成となっている。また、ナット部1
9は、図6の従来の動力操舵装置とは異なり、アーマチ
ュアシャフト11とは別体にハウジングBに収容固定さ
れており、前述の摩擦面40、41同士を圧接させるこ
とによりナット部19とアーマチュアシャフト11が連
結される。
【0032】なお、アンギュラーベアリング4は、ハウ
ジングBの開口部にねじ込まれたベアリング固定用リン
グ32とハウジングBの内部に形成された段部33との
間で軸方向の動きが規制された状態で固定されている。
また、ナット部19とアンギュラーベアリング4との間
の軸方向の動きは、ナット部19の左端にねじ込まれた
ベアリング固定用リング34とナット部19の外周に形
成された段部35とによって規制される。
【0033】ところで、ラック軸2は操向車輪等から加
えられる外力によって曲がりを生じるため、ラック軸2
とアーマチュアシャフト11との間には、その曲がり量
を考慮したクリアランスが必要となる。従来、この曲が
り量とラック軸2の支持点の位置との関係は考慮されて
おらず、支持点の位置は任意に設定されていた。そのた
め、ラック軸2の曲がりに十分対応できるだけのクリア
ランスを設定せざるを得ず、装置の小型化を難しくする
一因ともなっていた。そこで、当該動力操舵装置では、
ラック軸2がボールねじ機構3と結合部6の2点で支持
されることを生かし、両支点の剛性が等しい場合には、
ラック軸2の端面から支点までの距離を両側で等しくす
ることによりラック軸2の曲がりを最小に抑えるように
している。また、両者の剛性が異なる場合には、その比
を考慮して支点位置を決定すればラック軸2の曲がりを
最小に抑えることができる。そして、このようにラック
軸2の曲がりを最小に抑えることができれば、クリアラ
ンスを最小にすることができ、装置寸法を小さくできコ
スト上も有利となる。
【0034】当該動力操舵装置にあっては、先ず前述の
4つの部分をそれぞれ組み立てる。すなわち、ハウジン
グAでは皿ばね42やスラストベアリング43、ブラシ
ホルダステー24等の取り付けを行う。また、ヨーク7
ではその内部にマグネット14等を組み付け、アーマチ
ュアシャフト11ではアーマチュアコア15、コンミテ
ータ22等を組み付ける。さらに、ハウジングBでは、
アンギュラーベアリング4とラック軸2の組み合わされ
たボールねじ機構3を組み付ける。
【0035】次に、ハウジングAとアーマチュアシャフ
ト11を組み付け、ハウジングAにヨーク7をねじ止め
した後、ラック軸2が取り付けられたハウジングBとヨ
ーク7とをねじ止めする。その後、ハウジングAに挿入
されたラック軸2と操舵軸5とを接続させ、操舵軸5の
ピニオン歯とラック軸2のラック歯とを噛み合わせる。
なお、ハウジングAはゴム等の弾性体を介した状態でブ
ラケット9により車両本体に取り付けられる。
【0036】この場合、ヨーク7にハウジングBを取り
付ける際には、アーマチュアシャフト11の摩擦面40
をナット部19の摩擦面41に接触させた状態でヨーク
7とハウジングBとをねじ止めする。これにより、摩擦
面40、41同士が皿ばね42の弾発力により圧接さ
れ、アーマチュアシャフト11とナット部19はこの摩
擦力により連結される。
【0037】なお、当該動力操舵装置では、ラック軸2
の倒れや振れ等をなくすようにハウジングBの取付位置
を調節しつつねじ止めを行い、偏心等によるラック軸2
の芯ずれを吸収することができる。また、アーマチュア
シャフト11とナット部19の間は連結・分離可能な状
態となっているため、カシメ作業を行うことなくねじ止
め固定によってボールねじ部3を組み付けることができ
る。従って、従来に比して装置の組み付け性が向上が図
られ、工数の削減を図ることが可能となる。
【0038】一方、当該動力操舵装置は次のように動作
する。すなわち、まず操向ハンドルが操作されて操舵軸
5が回動し、この回動に応じた方向にラック軸2が移動
して転舵操作がなされる。この操作により、図示しない
ステアリングトルクセンサが作動すると、検出トルクに
応じてカプラー28を介して端子板26からブラシ23
を経てコンミテータ22に電力が供給される。そして、
これにより電動機1が作動してアーマチュアシャフト1
1が回転し、これと摩擦面40、41の摩擦力によって
連結されたナット部19もまた回転する。ナット部19
が回転するとボールねじ機構3の作用によりラック軸3
に操舵補助力が伝達され、これによりラック軸2の移動
が促進されて操舵力が補助される。
【0039】ところで、当該動力操舵装置にあっては、
限界まで転舵した場合でも、電動機1の慣性を摩擦面4
0、41の間のすべりにより逃がすことができる。すな
わち、摩擦面40、41はトルクリミッタとしても機能
しており、これにより電動機1の慣性に基づく反力の発
生を抑えることができる。
【0040】例えば、ラック軸2が図1において左側に
移動し、ラック軸2の右側に取り付けられたストッパ
(図示せず)がハウジングAに当接し、ラック軸2が左
側に移動しストッパによって停止させられたとする。こ
のときアーマチュアシャフト11も同時に停止させられ
るが、その慣性力によりナット部19を停止前と同方向
に回転させようとする力、すなわち、ラック軸2をさら
に左側に移動させる方向の力が発生する。しかしなが
ら、この時既にラック軸2はストッパによって移動限界
まで達しておりこれ以上左側には動けない。そのため、
ナット部19が停止状態にあるにもかかわらずアーマチ
ュアシャフト11がさらに回転しようとする。そこで摩
擦面40、41の間には、両者の間の摩擦力以上の力が
働きその間にすべりが生じる。これにより、アーマチュ
アシャフト11の慣性を吸収しナット部19にそれによ
る力が伝わるのが防止される。
【0041】このように、当該動力操舵装置ではアーマ
チュアシャフト11には回転方向の力しか働かない。こ
のため、従来のようにアーマチュアシャフト11に引張
力や圧縮力が働くことがなく、その分アーマチュアシャ
フト11に求められる強度条件が緩和される。従って、
材質や板圧等をより緩和された条件で設計、生産でき、
生産性の向上を図りコストダウンを達成することが可能
となる。
【0042】また、当該動力操舵装置では、図1、2と
図6を比較すれば明らかなように、従来に比してアーマ
チュアシャフトの形状が非常に簡素化されている。すな
わち、アーマチュアシャフト11のくびれ部分がなく全
長も短い。従って、強度条件の緩和と相俟って、その加
工コストを大幅に削減することが可能である。また、ア
ーマチュアシャフト11のイナーシャも低減される。
【0043】(実施の形態2)次に、本発明の実施の形
態2である動力操舵装置について図5を参照しつつ説明
する。当該実施の形態2は、アーマチュアシャフト11
とナット部19の摩擦面40、41の面積を大きくして
伝達トルクの向上を図ったものである。
【0044】当該動力操舵装置にあっては、図5に示し
たように、アーマチュアシャフト11の一端部が拡径し
ており、その内面側に摩擦面40が形成されている。一
方、ナット部19の端部はアーマチュアシャフト11の
端部と対応して縮径されており、その外面に摩擦面41
が形成されている。そして、ナット部19の端部をアー
マチュアシャフト11の端部に挿入することにより、摩
擦面40、41同士が密着するようになっている。な
お、この摩擦面40、41も金属面またはフェーシング
材等により形成されている。
【0045】また、アーマチュアシャフト11の他端側
は、ゴム(弾性体)21を介してハウジングAに保持さ
れたスラストベアリング43によって支持されている。
これにより、ゴム21の弾発力によって摩擦面40が摩
擦面41に押し付けられてアーマチュアシャフト11と
ナット部19が連結され、アーマチュアシャフト11の
回転力がナット部19に伝達される。この場合、ゴム2
1の代わりに皿ばねやウエーブワッシャ等を用いても良
いのは勿論である。なお、摩擦面40、41の構成およ
びゴム21以外については実施の形態1のものと同様で
あるのでその詳細は省略する。
【0046】ところで、実施の形態1の装置では、摩擦
面40をアーマチュアシャフト11の厚みを用いて形成
しているため摩擦面40の面積を大きくとれない。そこ
で、当該実施の形態2では、アーマチュアシャフト11
の端部を拡径させ、その内面側に摩擦面40を形成する
ことにより摩擦面40の径を大きくとっている。これに
より、摩擦面40、41の面積を実施の形態1のものに
比して大きくとることができ、伝達トルクの向上を図る
ことができる。また、ゴム21の押圧力を下げることも
可能となる。さらに、接触面の面積が大きいため摩擦力
が安定し伝達トルクも安定する。なお、押圧力の低下に
伴い、スラストベアリング43をラジアルベアリングに
変更しても良い。また、当該実施の形態2も摩擦力によ
り回転力を伝達する構成となっており、これもまたトル
クリミッタとしての機能を有することは言うまでもな
い。
【0047】一方、ボールねじ機構3ではボール31の
周囲にグリスが塗布されており、それがアーマチュアシ
ャフト11とナット部19との接触部から摩擦面40、
41に回る恐れがある。しかしながら、摩擦面40、4
1にグリスが回るとその間の摩擦力が変動し、アーマチ
ュアシャフト11からナット部19への回転力の伝達が
阻害される。そこで、当該動力操舵装置では、図5に示
したように、ナット部19の先端にグリスストッパ部4
4を設け、摩擦面40、41にグリスが回ることを防止
している。
【0048】なお、実施の形態1においても、グリスが
摩擦面40、41に回る可能性があるため、アーマチュ
アシャフト11の先端部にはグリスストッパ部44が設
けられている。
【0049】以上、本発明者によってなされた発明を実
施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実
施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱し
ない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0050】たとえば、本発明は、給電部にブラシを用
いないブラシレスモータを用いた電動機にも適用でき
る。この場合、界磁装置としてはコアがヨーク側に、マ
グネットがアーマチュアシャフト側に固装され、給電部
には通電手段およびアーマチュアシャフト回転位置の検
出装置を備えた回路基板が設けられることになる。さら
に、本発明は、前輪操舵装置のみならず、具体的な構成
や取り付け上の環境が同じである後輪操舵装置にも適用
できる。
【0051】以上の説明では主として本発明者によって
なされた発明をその利用分野である車両、特に自動車の
動力操舵装置に適用した場合について説明したが、これ
に限定されるものではなく、たとえば、産業機械等、操
舵機構を有する車両に広く適用できる。
【0052】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代
表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。
【0053】すなわち、ボールねじ機構のナット部をト
ルクリミッタ機構を介してアーマチュアシャフトと連結
したことにより、電動機の慣性を摩擦面の間のすべりに
より逃がすことができるという効果がある。従って、電
動機の慣性に起因する反力の発生を抑えることができ、
各部の強度要件を緩和することが可能となり、製品の小
型化やコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1である動力操舵装置の全
体構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した動力操舵装置の要部の拡大断面図
である。
【図3】図1に示した動力操舵装置におけるアーマチュ
アシャフトとボールねじ機構との連結構造を示した拡大
断面図である。
【図4】給電用の端子にカプラーを取り付ける様子を示
した斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2である動力操舵装置のア
ーマチュアシャフトとボールねじ機構との連結構造を示
した拡大断面図である。
【図6】従来の動力操舵装置の全体構成を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 電動機 2 ラック軸 3 ボールねじ機構 4 アンギュラーベアリング 5 操舵軸 6 結合部 7 ヨーク 8a ねじ 8b ねじ 9 ブラケット 10 取り付け孔 11 アーマチュアシャフト 12 界磁装置 13 給電部 14 マグネット 15 アーマチュアコア 16 Oリング 18 スプライン 19 ナット部 20 スプライン 21 ゴム(弾性体) 22 コンミテータ 23 ブラシ 24 ブラシホルダステー 24a 突出部 25 ピグテール 26 端子板 27 孔 28 カプラー 29 Oリング 30 スクリュー部 31 ボール 32 ベアリング固定用リング 33 段部 34 ベアリング固定用リング 35 段部 40 摩擦面 41 摩擦面 42 皿ばね(弾性体) 43 スラストベアリング 44 グリスストッパ部 51 ラック軸 52 電動機 53 ボールねじ機構 54 操舵軸 55 ヨーク 56 アーマチュアシャフト 57 界磁装置 58 給電部 59 マグネット 60 アーマチュアコア 61 ハウジング 62 ナット部 63 スクリュー部 64 ボール 65 アンギュラーベアリング 66 端子 67 カプラー 68 ピグテール A ハウジング B ハウジング

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操向車輪に連結されたラック軸と、該ラ
    ック軸を摺動自在に収容すると共に前記ラック軸に形成
    されたラック歯と操向ハンドルに連結された操舵軸のピ
    ニオンとを噛合させた結合部を保持するハウジングと、
    前記ラック軸の周囲に同軸的に設けられ前記ラック軸に
    対し操舵補助力を供給する電動機と、前記電動機のアー
    マチュアシャフトと連結されたナット部と前記ラック軸
    に形成されたスクリュー部との間をボール部材を介在さ
    せて連結し前記電動機の回転力を操舵補助力として前記
    ラック軸に伝達するボールねじ機構とを有する電気式動
    力操舵装置であって、 前記ボールねじ機構のナット部は、トルクリミッタ機構
    を介して前記アーマチュアシャフトと連結されることを
    特徴とする電気式動力操舵装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電気式動力操舵装置であ
    って、前記トルクリミッタ機構は、前記ナット部の端部
    および前記アーマチュアシャフトの一端部にそれぞれ形
    成されたテーパ状の摩擦面同士を前記アーマチュアシャ
    フトの他端側に設けられた弾性体によって圧接させてな
    ることを特徴とする電気式動力操舵装置。
JP25205096A 1996-09-24 1996-09-24 電気式動力操舵装置 Pending JPH1095357A (ja)

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US08/925,291 US5904224A (en) 1996-09-24 1997-09-08 Electric power steering unit
EP97402153A EP0831013A3 (en) 1996-09-24 1997-09-17 Electric power steering unit

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