JPH1094920A - インボリュート歯形の加工方法 - Google Patents

インボリュート歯形の加工方法

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JPH1094920A
JPH1094920A JP27169296A JP27169296A JPH1094920A JP H1094920 A JPH1094920 A JP H1094920A JP 27169296 A JP27169296 A JP 27169296A JP 27169296 A JP27169296 A JP 27169296A JP H1094920 A JPH1094920 A JP H1094920A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内歯歯車状のホーニング用砥石をドレス用砥
石で複数回に亙ってドレスする際、毎回一定の切込み量
となるようにドレスすると、砥石の歯丈の減少に応じて
歯厚方向の削り代が増加するため、無駄なドレスを行う
ことになる。 【解決手段】 砥石とドレス用砥石の中心間距離Sをパ
ラメータとして予め設定した特性に基づいて切込み量α
を決定し、中心間距離Sの増大に応じて切込み量αを減
少させて、各回のドレスにおいて歯厚方向の削り代を一
定にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インボリュート歯
形の加工方法に関し、特にホーニング加工用砥石をドレ
ス用砥石でドレスするのに適した加工方法に関する。
【0002】従来、インボリュート歯形の複数の外歯を
有する歯車を機械加工する最終工程において歯車をホー
ニング加工する為のホーニング加工機は、歯車を回転自
在に支持する歯車支持機構と、歯車に噛合するインボリ
ュート歯形の複数の内歯を有するホーニング加工用砥石
を回転自在に支持する砥石支持機構と、この砥石支持機
構を歯車の軸心方向へ往復トラバース移動させる機構
と、砥石を回転駆動する機構と、歯車に対して砥石を旋
回させて軸交差角を調整する機構と、砥石と歯車の中心
間距離が増大する方向へ砥石を切込み送りする切込み送
り機構等を備えている。歯車の歯面をホーニング加工す
る際には、歯車に砥石を噛合圧接させた状態において、
砥石と歯車とを回転させながら切込み送りと歯筋方向へ
の往復トラバース移動を繰り返しながらホーニング加工
する。この種の歯車用ホーニング加工機は、特開平6−
1265特開平6−320335号公報に記載されてい
る。
【0003】ところで、1つのホーニング加工用砥石で
複数の歯車をホーニング加工していく間に、砥石が摩耗
していくので、所定数(例えば、20〜30個)の歯車
をホーニング加工する毎に、ドレス用砥石(ドレスギ
ヤ)にてホーニング加工用砥石をドレス加工する。この
場合、前記ホーニング加工機に歯車に代えてドレス用砥
石を装着し、ホーニング加工用砥石とドレス用砥石とを
噛合圧接させた状態で回転させながら、切込み送りと往
復トラバース移動を繰り返しながらドレス加工する。こ
の種のドレス技術については、特開平6−320335
号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記ホーニング加工用
砥石は、ドレスにより歯面が再生されるものの、歯の摩
耗は避けられず、多数回のホーニング加工の間に歯丈が
減少していく。図7は、ホーニング加工用砥石100が
殆ど摩耗していない状態におけるホーニング加工砥石1
00とドレス用砥石101との噛合状態を示した図であ
り、図8はホーニング加工用砥石100が著しく摩耗し
た状態におけるホーニング加工砥石100とドレス用砥
石101との噛合状態を示した図である。従来のホーニ
ング加工用砥石100に対するドレスにおいては、ホー
ニング加工用砥石100の摩耗状態に関係無く、図7、
図8に図示のように、両砥石100,101がバックラ
ッシュゼロの状態から、所定の切込み量Aだけドレスす
るように両砥石100,101の中心間距離を調整する
方法を採用していた。
【0005】しかし、図7の状態からドレスを行い、鎖
線aで示す位置まで切込み量Aだけドレスする場合、ホ
ーニング加工用砥石100の歯面100aは鎖線bの位
置までドレスされる。また、図8の状態からドレスを行
い、鎖線aで示す位置まで切込み量Aだけドレスする場
合、ホーニング加工用砥石100の歯面100bは鎖線
cの位置までドレスされる。そして、歯面100aから
鎖線bまでのドレス代Bよりも、歯面100bから鎖線
cまでのドレス代Cの方が数μmだけ大きくなるので、
無駄なドレスを行うことになり、ドレスの所要時間が長
くなり、ホーニング加工の稼働率が低下すること、高価
なドレス用砥石の寿命が低下すること、等の問題があ
る。本発明の目的は、外歯歯車状部材と内歯歯車状部材
とを噛合させ回転させながら一方の歯車状部材で他方の
歯車状部材を加工するインボリュート歯形の加工方法に
おいて、無駄な加工を排除して加工能率を高めること、
一方の歯車状部材の寿命を延ばすこと、等である。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1のインボリュー
ト歯形の加工方法は、インボリュート歯形の複数の外歯
を有する外歯歯車状部材を回転可能に支持し、その歯車
状部材の外歯に噛合するインボリュート歯形の複数の内
歯を有する内歯歯車状部材を回転可能に支持し、切込み
送り手段により外歯歯車状部材と内歯歯車状部材とを圧
接する方向に相対移動させながら両歯車状部材を噛合さ
せた状態で回転駆動手段で回転駆動させて一方の歯車状
部材で他方の歯車状部材の歯を加工するインボリュート
歯形の加工方法において、同種の複数の又は同一の他方
の歯車状部材に対する複数回の加工において、一方又は
他方の歯車状部材の消耗に起因して両歯車状部材の中心
間距離が変動する場合に、前記中心間距離の増大に応じ
て切込み送り手段による切込み送り量を小さく設定する
ことを特徴とするものである。
【0007】ここで、一方の歯車状部材が外歯歯車状部
材であり、他方の歯車状部材が内歯歯車状部材である場
合と、一方の歯車状部材が内歯歯車状部材であり、他方
の歯車状部材が外歯歯車状部材である場合とを含んでい
る。そして、同種の複数の他方の歯車状部材とは、例え
ば複数の加工対象のワークであり、この場合一方の歯車
状部材は加工工具である。同一の他方の歯車状部材と
は、例えばホーニング加工用砥石であり、この場合一方
の歯車状部材はドレス用砥石である。
【0008】同種の複数の又は同一の他方の歯車状部材
に対する複数回の加工を行うと、一方又は他方の歯車状
部材の消耗に起因して両歯車状部材の中心間距離が変動
する。つまり、両歯車状部材の中心間距離を調整して加
工することになる。そして、この場合、前記中心間距離
の増大に応じて(一方又は他方の歯車状部材の摩耗の進
行に応じて)切込み送り手段による切込み送り量を小さ
く設定する。
【0009】前記「課題」の欄で図7、図8を参照して
説明したように、両歯車状部材の中心間距離が増大して
も切込み送り量を一定に設定する場合には、インボリュ
ート歯形の特性から、両歯車状部材の中心間距離の増大
に応じて歯厚方向の加工代が増加し、無駄な加工を行う
ことになる。しかし、本発明では、前記中心間距離の増
大に応じて切込み送り量を小さく設定するため、無駄な
加工を減らすことができる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記切込み送り手段による切込み送り量を、他方の
歯車状部材の歯厚方向の加工代が、前記複数回の加工に
わたって一定となるように設定することを特徴とするも
のである。このように、切込み送り量を、他方の歯車状
部材の歯厚方向の加工代が、前記複数回の加工にわたっ
て一定となるように設定するため、必要最小限度の加工
のみを行うことができ、無駄な加工を解消することがで
き、一方の歯車状部材の寿命を延ばすことができる。
【0011】請求項3の発明は、請求項2の発明におい
て、前記内歯歯車状部材がホーニング加工用砥石であ
り、前記外歯歯車状部材がホーニング加工用砥石をドレ
スするドレス用砥石であることを特徴とするものであ
る。前記ホーニング加工用砥石は、繰り返しドレスされ
る間に歯丈が減少していくことから、ホーニング加工用
砥石をドレス用砥石でドレスする際のインボリュート歯
形の加工に、本発明を適用することで、無駄なドレスを
解消してドレス時間を短縮でき、ホーニング加工の稼働
率を高めることができ、高価なドレス用砥石の寿命を延
ばすことができる。
【0012】請求項4の発明は、請求項2の発明におい
て、前記外歯歯車状部材がホーニング加工用砥石であ
り、前記内歯歯車状部材がホーニング加工用砥石をドレ
スするドレス用砥石であることを特徴とするものであ
る。請求項3の場合と比較し、外歯と内歯の関係が逆に
なっただけであるので、基本的に請求項3と同様の作用
・効果を奏する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しながら説明するが、本実施形態は、外歯歯
車をホーニング加工するホーニング加工機により、ホー
ニング加工用砥石をドレス用砥石(ドレスギヤ)でドレ
スするドレス方法に本発明を適用した場合の一例であ
る。最初に、図1〜図4により数値制御式のホーニング
加工機Mについて説明する。図1に示すように、ホーニ
ング加工機Mは、砥石支持ハウジング10を備え、この
砥石支持ハウジング10には、中空状のリング部11が
設けられている。このリング部11の径方向内側には砥
石用軸受け(図示略)を介して外向きの歯をもつリング
スプロケット12が回転可能に保持され、このリングス
プロケット12の径方向内側に砥石押え13によりホー
ニング加工用砥石14(以下、砥石という)が固定され
ている。
【0014】この砥石14は、図4に示すようなインボ
リュート歯形の複数の内歯を有し、リングスプロケット
12と一体的に回転するようになっており、リングスプ
ロケット12の左右両側にはクーラント侵入防止用のド
ーナツ板状の水切り板15が固定されている。砥石支持
ハウジング10の上部には、砥石駆動モータ16が横向
きに固定され、この砥石駆動モータ16の出力軸17に
はモータスプロケット18が固定され、このモータスプ
ロケット18はサイレントチェーン19を介してリング
スプロケット12に連結され、これらモータスプロケッ
ト18、サイレントチェーン19及びリングスプロケッ
ト12により、砥石駆動モータ16の駆動力が砥石14
に伝達するように構成され、前記モータ出力軸17が図
1の矢印A1方向へ回転するのに伴って砥石14が図4
の矢印A2方向へ回転する。
【0015】前記砥石支持ハウジング10の後部には、
フランジ部20が設けられ、このフランジ部20は、ボ
ルト21によって軸交差角調整装置22の回転出力軸2
3に固定されている。この軸交差角調整装置22は、回
転出力軸23を回転駆動する砥石旋回モータ24を備
え、この砥石旋回モータ24の回転駆動力により、ホー
ニング加工対象のワーク(外歯歯車)またはドレス用砥
石25に対する砥石14と砥石支持ハウジング10の全
体の傾き角(軸交差角)を調整するように構成されてい
る。この軸交差角調整装置22は、テーブル26上に固
定されており、このテーブル26は所定の切込み方向
(図1の矢印A3)とその反対方向にスライド可能に設
置されている。このテーブル26には切込み駆動モータ
27及びボールネジ機構(図示略)が設けられ、これら
の作動によって、軸交差角調整装置22、砥石支持ハウ
ジング10及び砥石14の全体がテーブル26とともに
前記切込み方向へスライド駆動されるように構成されて
いる。
【0016】このホーニング加工機Mでホーニング加工
されるワークは、本実施形態の場合インボリュート歯形
の複数の外歯を有するはすば歯車であるので、砥石14
は、そのワークに噛合可能なインボリュート歯形の複数
の内歯を有し、この砥石14をドレスするドレス用砥石
25も砥石14に噛合可能なインボリュート歯形の複数
の外歯を有するものである。
【0017】前記ドレス用砥石25は、図3に示すワー
ク支持機構30に回転自在に支持される。このワーク支
持機構30は、ワーク又はドレス用砥石25を軸方向に
挟持する主軸台31と心押し台32を備えている。主軸
台31は、主軸33を回転自在に支持し、この主軸33
は主軸モータ34により回転駆動される。前記主軸33
の先端にはワーク又はドレス用砥石25の一端に圧接す
る挟持部35が形成されている。心押し台32はベッド
36の上面に配設され、心押し軸37を図3の矢印A4
方向(ワーク軸方向)にスライド自在に支持している。
【0018】この心押し台32には、ワーク又はドレス
用砥石25の軸方向他端部に圧接する挟持部38がスラ
スト軸受けを介して回転可能に付設されており、これら
挟持部38と心押し軸37がチャック用モータ39によ
り主軸台31に接近する方向に駆動されて、ワーク又は
ドレス用砥石25が挟持され、主軸33に伝達される回
転駆動力が挟持部35から摩擦力を介してワーク又はド
レス用砥石25に伝達される。前記主軸33はワーク又
はドレス用砥石25を砥石14に噛合させる際にワーク
又はドレス用砥石25の歯を所定位置に割り出す時だけ
回転駆動され、噛合後には図示しないクラッチ機構を分
断することで主軸モータ34との結合が解除され、ワー
ク又はドレス用砥石25は図4の矢印A6の方へ砥石1
4とつれ回りする。
【0019】そして、主軸台31と心押し台32とは、
テーブル26とは独立のテーブル36上に固定的に設け
られており、このテーブル36は、テーブル駆動モータ
40とボールネジ機構(図示略)により図3の矢印A5
方向へ往復移動可能であり、ドレス用砥石25で砥石1
4をドレスする際には、テーブル36をドレス用砥石2
5の軸心方向へ往復トラバース移動させながらドレスす
るように構成されている。また、砥石14に対してドレ
ス用砥石25がバックラッシュなしの状態に噛合したこ
とを検出する為の変位センサ52が心押し軸37の先端
部に設けられている。
【0020】次に、このホーニング加工機Mの制御系に
ついて説明する。図5に示すように、ホーニング加工機
Mの複数のサーボモータを数値制御方式で制御するコン
トロールユニット50が設けられ、このコントロールユ
ニット50には、操作パネル51が接続されるととも
に、変位センサ52の検出信号が入力され、このコント
ロールユニット50により、砥石駆動モータ16、砥石
旋回モータ24、切込み駆動モータ27、主軸モータ3
4、チャック用モータ39及びテーブル駆動モータ40
等が制御される。前記コントロールユニット50は、入
出力インターフェイス、コンピュータ、複数のモータの
為の駆動回路とを有し、コンピュータのメモリには、種
々ワーク(外歯歯車)をホーニング加工する制御プログ
ラム、種々の砥石14をドレスするドレス用制御プログ
ラムが予め入力格納されており、このドレス用制御プロ
グラムには、後述の本発明特有の切込み制御のサブルー
チン及び予め入力格納した種々のデータが含まれてい
る。
【0021】前記の切込み制御について説明すると、例
えば20〜30個の所定数のワークをホーニング加工す
る毎に,ドレス用砥石25を用いて砥石14に対するド
レスを行うが、ホーニング加工毎に砥石14が摩耗し、
ドレスを繰り返す間に砥石14が消耗していくため、砥
石14とドレス用砥石25間の中心間距離S(図4の点
O1とO2間の距離)が増大していく。前記従来技術の
欄において図7、図8を参照して説明したように、砥石
14の摩耗や消耗状態に関係無しに切込み量が一定にな
るように切込み量を制御していくと、砥石14の摩耗や
消耗量の増大に応じて砥石14の歯厚方向の削り代が増
加してしまい、無駄なドレスを行うことになる。そこ
で、本発明では、図6に示すように、砥石14が新品で
中心間距離SがS0の時の切込み量αをα0に設定し、
砥石14の摩耗や消耗により中心距離Sが増大するのに
応じて切込み量αがリニアに減少していき、砥石14の
インボリュート歯の歯厚方向の削り代が一定(例えば1
5μm)となるように切込み量αを設定する。そして、
中心間距離Sをパラメータとして、切込み量αは、α=
−K(S−S0)+α0となるように設定する。そし
て、砥石14の摩耗や消耗により中心距離SがS0から
ΔSだけ増加したときに、砥石14が寿命限界であると
する。
【0022】前記比例定数K,S0,α0,ΔSは、種
々の種類とサイズの砥石14及びドレス用砥石25につ
いて予め実験や理論計算にて求めてコンピュータに格納
しておくものとする。例えば、あるサイズの砥石14と
ドレス用砥石25の場合に、歯厚方向の削り代である目
標切込み量15μm、S0=100mm、ΔS=10m
m、α0=50〜60μm、α1=30〜40μmのよ
うな値となる。但し、前記例示したα0、α1、ΔSの
値を、全種類の砥石14に共通に適用することもでき
る。尤も、ΔSは砥石14のサイズが小さくなる程小さ
くなる。ここで、前記15μmの切込み量は、1回のト
ラバース端毎に2μmずつの切込みを行ない、必要な回
数のトラバースを行って達成するものとする。尚、前記
切込み量αの特性はリニアに設定しても十分な精度を確
保できるが、2次曲線の特性に設定することも可能であ
る。
【0023】次に、前記ホーニング加工機Mにより、砥
石14をドレス用砥石25を用いてドレスするときの加
工方法について説明する。ワークを所定数ホーニング加
工する毎に、その砥石14を同一のドレス用砥石25で
ドレスする場合において、各回のドレスを次のように行
う。最初に、準備段階において、砥石14とドレス用砥
石25を軸心が一致する状態にしてホーニング加工機M
にセットし、軸交差角調整装置22により軸交差角を調
整し、次に、切込み駆動モータ27の駆動によるテーブ
ル26の移動を介して砥石14をドレス用砥石25に噛
合させ、次に主軸モータ34と切込み駆動モータ27の
駆動を介してドレス用砥石25を砥石14にバックラッ
シュのない状態に噛合させる。このとき、ドレス用砥石
25の歯の先端が、砥石14の歯溝の底面に当接する
と、変位センサ52の検出信号が所定値以上になるの
で、その時点で切込み駆動モータ27の駆動を停止させ
る。
【0024】コントロールユニット50には、砥石14
とドレス用砥石25についての諸元のデータ、砥石14
が新品の時における中心間距離S0、前記比例定数K,
S0,α0,ΔSのデータ、α=−K(S−S0)+α
0の演算式等が予め格納されている。そして、コントロ
ールユニット50のコンピュータにより、前記砥石14
とドレス用砥石25の軸心を一致させた時点以降の切込
み駆動モータ27の駆動量から砥石14とドレス用砥石
25の中心間距離Sが演算され、この中心間距離Sを前
記演算式に適用して今回のドレスにおける切込み量αが
求められる。
【0025】ここで、前記求めた切込み量αを、複数回
のトラバースに分散して付与することになる。トラバー
スとは、テーブル駆動モータ40によりテーブル36を
ドレス用砥石25の軸方向へ所定ストローク往復移動さ
せる動作のことであり、本実施形態におけるような直径
が約5cm程度の小型のドレス用砥石25の場合には、
例えば12回のトラバースを介してドレスする。この1
2回のトラバースの各トラバース端において分割切込み
量Δαを付与するものとすると、12×2×Δα=αよ
り、Δα=α/24となる。
【0026】このように、分割切込み量Δαを求めてか
ら、砥石14に対する今回のドレス処理を開始する。こ
のドレス処理自体は、通常のドレス処理と同様であり、
砥石駆動モータ16を駆動させて砥石14を回転駆動さ
せ、ドレス用砥石25を従動回転させ、テーブル駆動モ
ータ40によりテーブル36をトラバースさせながらド
レス処理する。そして、各トラバース端において、前記
分割切込み量Δαだけ切込み駆動モータ27を切込み駆
動し、所定時間ドレスしてから終了する。
【0027】以上のように、砥石14を複数回にわたっ
てドレスする場合に、砥石14の摩耗や消耗に応じて中
心間距離Sが増大するが、各回のドレスにおいて砥石1
4のインボリュート歯の歯厚方向の削り代が一定となる
ように、前記中心間距離Sの増大に応じて切込み量αを
減少させていくので、各回のドレスにおいて砥石14の
インボリュート歯の歯面を必要最小限度の一定量だけド
レスすることができ、無駄なドレスを解消してドレス時
間を短縮でき、複数回のドレスの能率を大幅に高めるこ
とができ、しかも、高価なドレス用砥石25の摩耗を抑
制してその寿命を延ばすことができ、ホーニング加工の
生産性を高めることができる。
【0028】前記実施形態は、ホーニング加工用砥石1
4をドレス用砥石25でドレスする場合を例として説明
したが、複数のインボリュート歯形の内歯を有する歯車
状部材を複数のインボリュート歯形の外歯を有する歯車
状部材であるシェービングカッターでシェービング加工
する場合にも、本発明を同様に適用できるし、また、複
数のインボリュート歯形の外歯を有するホーニング加工
用砥石を、複数のインボリュート歯形の内歯を有する歯
車状部材であるドレス用砥石でドレスする場合にも本発
明を同様に適用でき、複数のインボリュート歯形の外歯
を有する歯車状部材を複数のインボリュート歯形の内歯
を有する歯車状部材であるシェービングカッターでシェ
ービング加工する場合にも、本発明を同様に適用でき
る。
【0029】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、既述のとお
り、一方の歯車状部材と他方の歯車状部材間の中心間距
離の増大に応じて切込み送り手段による切込み送り量を
小さく設定することにより、インボリュート歯形の加工
における無駄な加工を減らすことができる。請求項2の
発明によれば、請求項1と同様の効果の他に、切込み送
り量を、他方の歯車状部材の歯厚方向の加工代が、前記
複数回の加工にわたって一定となるように設定するた
め、必要最小限度の加工のみを行うことができ、無駄な
加工を解消することができ、一方の歯車状部材の寿命を
延ばすことができる。
【0030】請求項3の発明によれば、請求項2と同様
の効果の他に、無駄なドレスを解消してドレス時間を短
縮でき、ホーニング加工の稼働率を高めることができ、
高価なドレス用砥石の寿命を延ばすことができる。請求
項4の発明によれば、請求項2と同様の効果の他に、無
駄なドレスを解消してドレス時間を短縮でき、ホーニン
グ加工の稼働率を高めることができ、高価なドレス用砥
石の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るホーニング加工機の要
部正面図である。
【図2】前記ホーニング加工機の側面図である。
【図3】前記ホーニング加工機のワーク支持機構の側面
図である。
【図4】ホーニング加工用砥石の要部とドレス用砥石の
断面図である。
【図5】前記ホーニング加工機の制御系のブロック図で
ある。
【図6】切込み送り量の特性線図である。
【図7】従来技術に係るホーニング加工用砥石の要部と
ドレス用砥石の要部の断面図である。
【図8】従来技術に係るホーニング加工用砥石の要部と
ドレス用砥石の要部の断面図である。
【符号の説明】
M ホーニング加工機 14 ホーニング加工用砥石 16 砥石駆動モータ 22 軸交差角調整装置 25 ドレス用砥石 30 ワーク支持装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インボリュート歯形の複数の外歯を有す
    る外歯歯車状部材を回転可能に支持し、その歯車状部材
    の外歯に噛合するインボリュート歯形の複数の内歯を有
    する内歯歯車状部材を回転可能に支持し、切込み送り手
    段により外歯歯車状部材と内歯歯車状部材とを圧接する
    方向に相対移動させながら両歯車状部材を噛合させた状
    態で回転駆動手段で回転駆動させて一方の歯車状部材で
    他方の歯車状部材の歯を加工するインボリュート歯形の
    加工方法において、 同種の複数の又は同一の他方の歯車状部材に対する複数
    回の加工において、一方又は他方の歯車状部材の消耗に
    起因して両歯車状部材の中心間距離が変動する場合に、
    前記中心間距離の増大に応じて切込み送り手段による切
    込み送り量を小さく設定することを特徴とするインボリ
    ュート歯形の加工方法。
  2. 【請求項2】 前記切込み送り手段による切込み送り量
    を、他方の歯車状部材の歯厚方向の加工代が、前記複数
    回の加工にわたって一定となるように設定することを特
    徴とする請求項1に記載のインボリュート歯形の加工方
    法。
  3. 【請求項3】 前記内歯歯車状部材がホーニング加工用
    砥石であり、前記外歯歯車状部材がホーニング加工用砥
    石をドレスするドレス用砥石であることを特徴とする請
    求項2に記載のインボリュート歯形の加工方法。
  4. 【請求項4】 前記外歯歯車状部材がホーニング加工用
    砥石であり、前記内歯歯車状部材がホーニング加工用砥
    石をドレスするドレス用砥石であることを特徴とする請
    求項2に記載のインボリュート歯形の加工方法。
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