JPH1094604A - 注射具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬液等を封入したカートリッジを先端に注出
針を有するホルダに嵌挿し、カートリッジを前進させて
注出針を刺通することにより薬液等を目的物に注入可能
とするカートリッジ式の注射具において、カートリッジ
のピストンロッドを押して注出針を刺通したとき薬液等
を誤って大量に注出させることがなく、ロック機構また
はその一部が離脱しない注射具を提供する。 【解決手段】 ピストンロッド１５を押したときピスト
ン１４がカートリッジ１０の筒体１１内で動くことなく
ピストンロッド１５と筒体１１とを一体に前進させる解
除可能なロック機構２１を設けた。筒体１１の先端に注
出針５を刺通したとき係合部片２４を押込んでピストン
ロッド１５に密着させることによりロック機構２１を解
除してピストンロッド１５を押すとピストン１４が筒体
１１内で前進駆動され薬液等を注出針５を通って注出さ
せる。ロック機構２１が解除された後もピストンロッド
１５または筒体１１に保持されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は薬液、接着剤等を封入し
たカートリッジをホルダに嵌挿しておき、使用時にカー
トリッジを前進させてその先端部に注出針を刺通させ次
でピストンを前進させて薬液等を注出針から注射針を経
て人体その他の目的物に注入する形式の注射具に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】使い捨てに適したカートリッジ式の注射
具は、一般に図９に示したように先端に注射針１１３の
針基１１４を連結するロックアダプタからなる取付部１
０２を先端に有するとともに基端にフランジ１０３を有
する円筒形のホルダ１０１と、取付部１０２の中心に貫
通形成した通孔１０４に尖鋭先端をホルダ１０１の内部
に突出させて液密に嵌挿固着した注出針１０５と、先端
開口をゴム製の閉止部片１０６で密閉するとともに基端
開口から所定位置にピストン１０７を液密に嵌込んだ円
筒形の筒体１０８に所定量の薬液等を封入したカートリ
ッジ１１０と、ピストン１０７に連結されるピストンロ
ッド１１１とを具えており、閉止部片１０６を押え固定
したキャップ１０９のフランジ部をホルダ１０１の内側
周面前後に突設した突起１１２の間に位置させることに
よってホルダ１０１に嵌挿したカートリッジ１１０を閉
止部片１０６が注出針１０５から離れた位置に仮保持さ
せた構成である（実開平２−５５９５８号公報参照）。

【０００３】そして、運搬時などに誤ってピストンロッ
ド１１１を押して薬液等を注出してしまう、という不都
合を避けるためにピストンロッド１１１を別体とし、筒
体１０８を押して注出針１０５を刺通してからピストン
ロッド１１１をピストン１０７に連結し目的物への注入
を行なわせるように考慮しているが、注射具はピストン
ロッドを押すものであるという固定観念があるため、多
くの場合は先ずピストンロッド１１１をピストン１０７
に連結するとともに針基１１４を取付部１０２に結合し
てホルダ１０１に注射針１１３を取付け、次にピストン
ロッド１１１を押して筒体１０８を一体に前進駆動する
ことによって突起１１２による仮保持状態を解除して閉
止部片１０６に注出針１０５を刺通させ、更にピストン
ロッド１１１を押してピストン１０７を筒体１０８内で
前進駆動するという用法により薬液等を注出針１０５か
ら注射針１１３を経て目的物に注入している。

【０００４】即ち、この従来の注射具はピストンロッド
１１１を押したとき薬液等が液密状態で封入されている
ことにより筒体１０８が一体に前進駆動されるものであ
るが、閉止部片１０６を注出針１０５が刺通するときの
抵抗に対抗してかなり大きな力をピストンロッド１１１
に加える必要があり、そのために薬液等は加圧状態とな
っている。従って、注出針１０５が閉止部片１０６を完
全に刺通したとき薬液等が注出針１０５を通って注出さ
れてしまい、これに加えて閉止部片１０６と注出針１０
５との隙間から漏出することがあるばかりか、完全に刺
通したとき抵抗が急激に低下し且つ筒体１０８がホルダ
１０１の先端に衝って停止することによってピストンロ
ッド１１１を大きく押してしまい、薬液を誤って大量に
注出して目的物への注入量が著しく減少する、という不
都合を生じる。

【０００５】更に、使用の都度ピストンロッド１１１を
ピストン１０７に連結しなければならず不便である。

【０００６】また、薬液等を無駄に注出して目的物への
注入量が減少するということは、効果をそれだけ低下さ
せることにもなる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来のカートリッジ式の注射具、即ち先端
に注射針の取付部が設けられているとともに基端にフラ
ンジが設けられている筒状のホルダと、尖鋭先端をホル
ダ内に突出させて取付部に固着された注出針と、所定長
の筒体とその先端開口に設けた注出針が刺通可能な閉止
部片および基端開口から所定位置に嵌込まれたピストン
とこけらによって密封された薬液等とからなるカートリ
ッジとを具え、カートリッジがホルダに前後可動に且つ
閉止部片を注出針から離した位置で嵌装されている注射
具では、ピストンロッドを押して閉止部片に注出針を刺
通させる動作と薬液等を注出させる動作とが連続した一
動作で行なわれるため、誤って薬液等を大量に注出して
目的物への注入量を減少させやすい、という点およびピ
ストンロッドがピストンと別体であるため使用の際に一
個ずつ連結しなければならず不便である、という点であ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明はカートリッジのピストンに筒体の基端から
突出したピストンロッドを予め具えさせるとともに筒体
がホルダに最大深までに嵌装されたとき基端がホルダに
没入しない長さを有するとともに、ピストンロッドまた
は筒体にピストンが筒体を前進するのを阻止する解除可
能なロック機構が具えられ且つこれらのロック機構が解
除された後もピストンロッドまたは筒体に保持されてい
ることを特徴とし、このような手段としたことによって
誤って薬液等を注出させるという不都合および使用上の
不便さがないとともに操作性にも優れ且つ使用時にロッ
ク機構またはその一部を周囲に散乱させることなく注射
具を一体的に処理できる注射具を提供する。

【０００９】尚、ロック機構はピストンロッドの一部を
係合部片で形成して外側方へ突出させて筒体の基端面に
係合させた構成、ピストンロッドに係合部片を軸線方向
可動に嵌装して筒体の基端面に当接させた位置で解除可
能に固定した構成とすることが好ましい。

【００１０】ピストンロッドをロック機構によって筒体
から一定長さ突出した位置に固定した状態で出荷、運
搬、保管する。使用にあたってそのままピストンロッド
を押すと筒体が一体に前進駆動されて注出針を刺通しホ
ルダに最大深さまで嵌挿されたとき停止し、ピストンロ
ッドも停止する。このとき、ピストンは薬液等を加圧し
いないとともに筒体が停止したとき同時に停止するので
薬液等を注出させない。次にロック機構を解除してピス
トンロッドを押すことによりカートリッジの薬液等が目
的物に注入されることとなる。

【００１１】更に、ロック機構が解除された後も前記ピ
ストンロッドまたは筒体に保持されていることにより、
ロック機構またはその一部を周囲に散乱させることなく
使用後に注射具と一体に処理できる。

【００１２】

【発明の実施の形態】次に本発明の好ましい実施の形態
を図１、２、３に基いて説明すると、円筒形のホルダ１
は先端にロックアダプタからなる取付け部２を有すると
ともに基端にフランジ３を有し、取付け部２の中心に通
孔４が貫通形成されていて、尖鋭先端をホルダ１の内部
に突出させて注出針５が通孔４に液密に嵌挿固着されて
いる。

【００１３】カートリッジ１０は円筒形の筒体１１の先
端開口にゴム製の閉止部片１２を嵌装して密閉するとと
もにリング状のキャップ１３で閉止部片１２を押え固定
し、基端開口側からピストン１４を所定位置まで嵌込ん
でこれらに囲まれた密閉空間に所定量の薬液を封入した
構成であり、ホルダ１に基端側から緩く嵌挿されてい
る。このカートリッジ１０の筒体１１はホルダ１に最も
深く嵌挿されたとき基端面がホルダ１の基端面と同一ま
たはこれより少し突出する長さに作られており、またピ
ストン１４は筒体１１の基端から突出している丸棒状の
ピストンロッド１５を一体に有している。

【００１４】また、ホルダ１の内側周面に前後へ小さい
間隔を有して突起１７、１７が設けられており、キャッ
プ１３のフランジ部１３ａを突起１７、１７の間に位置
させることによりカートリッジ１０が閉止部片１２を注
出針５の尖鋭先端から離した位置に保持されている。こ
の突起１７、１７とフランジ部１３ａとはカートリッジ
１０の仮保持手段１８を構成している。

【００１５】ロック機構２１はピストンロッド１５の筒
体１１から突出している部分に形成した軸線方向へ延び
る端面半円形の切欠部２２と、この切欠部２２に嵌入し
てピストンロッド１５から突出することなく同一表面を
形成する端面半円形で切欠部２２と同長の係合部片２４
と、切欠部２２の平面２３に軸線方向へ適宜間隔で設け
た複数例えば二個の孔２６および係合部片２４の平面２
５に孔２６と対向させて設けた二個の突起２７とからな
る構成である。ピストンロッド１５と係合部片２４とは
硬質合成樹脂で作られている。

【００１６】そして、ピストンロッド１５の基端ヘッド
１６に近い方の孔２６に対向する突起２７が完全に押込
まれて嵌合し、筒体１１に近い方の孔２６に対向する突
起２７は一部が押込まれた状態とされ、これにより係合
部片２４の先端面が筒体１１の基端面に接触係合してい
る。

【００１７】使用にあたっては、図１、２に示したよう
に係合部片２４が筒体１１に係合している状態でピスト
ンロッド１５の基端ヘッド１６を押すと、フランジ１３
ａが先端側の突起１７を乗り越えて通過し、次に閉止部
片１２に注出針５が刺通されて筒体１１の先端がホルダ
１の先端に衝って停止する。ピストンロッド１５と筒体
１１とは一体に前進し、筒体１１が停止したときピスト
ンロッド１５を押すことが不可能となる。このため、ピ
ストン１４は薬液を加圧することがなく、注出或いは漏
出させない。

【００１８】次に、注射針７の針基８を取付け部２に結
合し、係合部片２４の先端部を強く押して一部嵌合して
いる突起２７を孔２６に完全に押込み嵌合してロック機
構２１を解除し、注射針７を人体に穿刺しピストンロッ
ド１５を押してピストン１４を筒体１１内で前進させる
ことにより薬液を注出針５から注射針７を経て体内に注
入するのである（図３）。このとき、係合部片２４はピ
ストンロッド１５の一部となって筒体１１に進入する。

【００１９】本実施の形態ではロック機構２１を解除し
たときに係合部片２４がピストンロッド１５の一部にな
るのでロック機構２１から取り去る部品がなく注射具と
一体的に処理できる。

【００２０】図４、５は本発明の他の実施の形態を示す
ものであるが、ホルダ１、カートリッジ１０は前記実施
の形態と同じであるため省略し、主にロック機構３１の
部分を図示した。

【００２１】このロック機構３１は丸棒状のピストンロ
ッド１５の筒体１１の基端面附近からこれより少し突出
した部分に亘って形成したねじ部３２と、中心にねじ孔
３４を有する円板形の係合部片３３とからなる構成であ
り、ねじ孔３４をねじ部３２に螺装して係合部片３３が
筒体１１の基端面に当接させられている。この実施の形
態のピストンロッド１５と係合部片３３はともに硬質合
成樹脂で作られている。

【００２２】ねじ部３２とねじ孔３４とは解除可能な結
合部を構成しており、ねじ部３２の谷径はピストンロッ
ド１５と同径またはこれよりも大きく係合部片３３がピ
ストンロッド１５上を自由に移動できるようになってい
るとともに、これらのねじは左ねじに形成され係合部片
３３を習慣的に右回転させたときピストンロッド１５の
基端方向へ動いて解除されるようになっている。

【００２３】この実施の形態ではピストンロッド１５を
押して筒体を一体に前進させ注出針を刺通させた後に係
合部片３３をねじ部３２から分離してロック機構３１を
解除し、ピストンロッド１５を押して薬液を体内に注入
する。このとき係合部片３３は図５のように基端ヘッド
１６に接するまで移動させておくか、或いはピストンロ
ッド１５上で遊ばせておくことによりピストンロッド１
５から離脱しない。

【００２４】図６は本発明の異なる実施の形態を示すも
のであって、この実施の形態のロック機構４１は円板形
の係合部片４２と、その中心に設けられてピストンロッ
ド１５に軸線方向可動に嵌装したボス４３に形成したＬ
形の係合溝４４およびピストンロッド１５に突設したピ
ン４５とからなる構成とされ、係合溝４４にピン４５を
係合して係合部片４２を筒体１１の基端面に当接した位
置でピストンロッド１５に固定したものである。この係
合部片４２は少し回転させて基端方向へ移動させること
により係合溝４４がピン４５から抜出してピストンロッ
ド１５上を自由に移動することができるようになる。こ
の実施の形態のピストンロッド１５と係合部片４２も硬
質合成樹脂で作られている。

【００２５】図７、８は本発明の更に異なる実施の形態
を示すものであって、この実施の形態のロック機構５１
は筒体１１の基端外側周面に嵌装固定された環状の基台
部片５２と、端面Ｕ形であって一端が基台部片５２に蝶
番５３によって回動可能に結合された腕部片５４および
そのもう一端に一体に形成されてＵ形の端面を覆った係
合片５５とからなる構成であり、腕部片５４がピストン
ロッド１５の筒体１１から突出している部分を半ば囲ん
で軸線方向へ延び、係合片５５が基端ヘッド１６に重ね
られて係合している。基台部片５２、腕部片５４および
係合片５５は硬質合成樹脂製である。

【００２６】前記の状態で係合片５５を押すことによっ
てピストンロッド１５を前進させると筒体１１も一体に
前進し、腕部片５４を蝶番５３を中心に回動して係合片
５５を基端ヘッド１６から離脱させることによりロック
機構５１を解除すると、ピストンロッド１５を押して薬
液を体内に注入することができる。

【００２７】前記各実施の形態はロック機構２１、３
１、４１、５１を解除した後もピストンロッド１５また
は筒体１１に保持されており、ロック機構を周囲に散乱
させることなく使用後に注射具と一体に処理できる利点
がある。

【００２８】また、本発明はカートリッジ１０の閉止部
片に注出針５を刺通したときピストンロッド１５を停止
させ薬液が不用意に注出されるのを防ぐことを主な目的
としており、この目的を達成するロック機構の構成が前
記実施の形態のものに限定されないことは言うまでもな
い。更に、実施の形態では人体用の薬液を扱う注射具に
ついて説明したが、例えば狭い隙間などに注入する接着
剤を扱う場合も全く同じである。

【００２９】

【発明の効果】本発明はカートリッジ式の注射具のピス
トンロッドを筒体から一定長さ突出した位置に固定しピ
ストンが筒体内を前進するのを阻止する解除可能なロッ
ク機構を設けたものであるから、ピストンロッドを使用
の際にピストンに連結する手間がなくなるばかりか、ピ
ストンロッドを押してカートリッジが注出針を刺通させ
ホルダの最大深さに嵌挿されたときロック機構によって
ピストンロッドも停止し、従ってピストンが薬液等を加
圧しないとともに筒体と一体に移動停止して薬液を注出
させない。

【００３０】即ち、ロック機構によってカートリッジに
注出針を刺通させる動作とロック機構を解除してピスト
ンを駆動し薬液等を注出させる動作とが不連続の二動作
に分けられ、注出針を刺通したとき誤って薬液等を大量
に注出して目的物への注入量を減少させ効果を低下させ
るという不都合がなくなり、規定量の薬液を適正に投与
することができるものである。

【００３１】殊にロック機構は解除後においてもピスト
ンロッドまたは筒体に保持されているため、解除したロ
ック機構またはその一部が周囲に散乱することがないば
かりか注射具と一体的に処理することができるので例え
ば手術室などにおいて使用する場合などに適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明における実施の形態の縦断面図である。

【図２】図１のＸ−Ｘ線に沿う拡大断面図である。

【図３】図１に示した実施の形態における薬液注出状態
の縦断面図である。

【図４】本発明における他の実施の形態の縦断面部分図
である。

【図５】図４に示す実施の形態における薬液注出状態の
縦断面部分図である。

【図６】本発明の異なる実施の形態の縦断面部分図であ
る。

【図７】本発明の更に異なる実施の形態の縦断面部分図
である。

【図８】図７に示した実施の形態における薬液注出状態
の縦断面部分図である。

【図９】従来例の縦断面図である。

【符号の説明】

１ ホルダ ２ 取付け部 ５ 注出針 ７ 注射針 １０ カートリッジ １１ 筒体 １２ 閉止部片 １４ ピストン １５ ピストンロッド １６ 基端ヘッド １８ 仮保持手段 ２１、３１、４１、５１ ロック機構 ２２ 切欠部 ２４、３３、４２ 係合部片 ５３ 蝶番 ５４ 腕部片 ５５ 係合片

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端に注射針の取付部が設けられている
   とともに基端にフランジが設けられている筒状のホルダ
   と、尖鋭先端を前記ホルダ内に突出させて取付部に固着
   された注出針と、前記注出針が刺通可能な閉止部片が先
   端開口に設けられた所定長の筒体の基端開口からピスト
   ンが所定位置に嵌まれて薬液等が密封されてなるカート
   リッジとを前後可動に且つ前記閉止部片を前記注出針か
   ら離した位置に嵌装された注射具において；前記筒体は
   前記ホルダに最大深までに嵌装されたとき基端がホルダ
   に没入しない長さを有するとともに、前記ピストンは前
   記筒体の基端から突出したピストンロッドを具えてお
   り、前記ピストンロッドまたは筒体に前記ピストンが前
   記筒体を前進するのを阻止する解除可能なロック機構が
   具えられ且つこれらのロック機構が解除された後も前記
   ピストンロッドまたは筒体に保持されていることを特徴
   とする注射具。