JPH1094325A - 園芸用育苗培土 - Google Patents

園芸用育苗培土

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JPH1094325A
JPH1094325A JP8271879A JP27187996A JPH1094325A JP H1094325 A JPH1094325 A JP H1094325A JP 8271879 A JP8271879 A JP 8271879A JP 27187996 A JP27187996 A JP 27187996A JP H1094325 A JPH1094325 A JP H1094325A
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JP
Japan
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seedlings
seedling
soil
soluble
raising
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Application number
JP8271879A
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English (en)
Inventor
Yasuaki Okada
泰明 岡田
Masao Miyagi
征夫 宮城
Shigetoshi Kimoto
成年 木元
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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Publication date
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  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 健苗が育成でき、安価で、かん水によるバイ
ンダーの流出がなく、移植後に崩れないために新根の発
生を押さえることもなく、親水性を損なわずにかん水の
効率がよく、かつ高根鉢強度の苗の育苗培土を提供する
こと。 【解決手段】 クエン酸可溶性B23を含有し、かつ、
保水性能を有し、苗を支持するための物質より構成され
た園芸用育苗培土及び該培土を用いて園芸作物苗を育成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は野菜、花卉、果樹等
園芸作物の育苗用培土及び該培度を用いた園芸作物の育
苗方法に関する。さらに詳しくは、移植の際、苗の根部
の培土(根鉢部分)の崩壊を生じにくく、移植作業の効
率の低下を起こさない培土及び園芸作物の育苗方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】農作業の省力化は、機械、農材の技術革
新が進み、高機能高性能化したことによるところが大き
い。その技術の1つで、近年急速に普及しはじめている
ものにセル育苗システムがある。該セル育苗システムと
は、土詰め機、播種機、発芽室、移動式頭上灌水装置等
をシステムとして準備し、大量の均一な苗を少ない面積
で効率的に生産する手法である。該セル育苗システム
は、農家が育苗の煩わしさやそのリスクを回避し、苗生
産を工場化できる等の利点がある。特に、花卉、野菜、
果樹等の園芸作物の育苗において有効である。また、こ
の育苗システムで育苗された苗をセル成型苗という。セ
ル成型苗のメリットとして次の事項が挙げられる。つま
り、 育苗と栽培とを分業化することができ、農家が育苗に
費やす労力(播種、床土準備、育苗管理等)が不要とな
り、栽培規模の拡大と生産コストの低減が可能になる。 育苗施設を持たない農家等でも新たな作物の栽培が可
能となる。 密植ができ、大量生産が可能となる。 移植機を利用できる。
【0003】さらに、近年ではセル育苗システムに自動
接木装置を組み合わせた接木苗が実用化されつつあり、
果菜類で普及するものと思われる。セル成型苗を移植す
る機械も発表され、水稲並の機械化が可能となりつつあ
る。セル育苗に用いる農業資材の研究開発も活発であ
る。培土については床土用土の物理性や理化学性を最適
にした数多くの専用培土が上市されている。また、肥料
において粒径の小さな被覆粒状肥料が販売されており、
液肥等との使い分けによって効果的な肥培管理ができ
る。また、園芸作物の育苗は労力がかかりすぎるため技
術革新が求められており、このように新しい育苗資材や
移植関連の作業の効率化に対応するには安定した大量育
苗技術の確立が不可欠とされている。
【0004】セル育苗システムは、アメリカにおいて花
壇苗を中心に開発されてきた育苗技術である。このた
め、日本では花壇苗の主産地である兵庫県で20年ほど
前から普及が進められてきた。当時の播種用土は、土を
主として堆肥、もみがら、くん炭、砂などを配合する
か、砂が単用されており、土に含まれているかもしれな
い病害虫や雑草の種を死滅させるための消毒が必要であ
った。また用土が重く、微細粒子の多い草の発芽には不
適当な培土が多かった。このため、ピートモス配合土に
よる標準培土の開発が行なわれ、培土の規格化及び育苗
技術の標準化が行なわれた結果、ピートモス配合土の使
用量が急速に伸びた。現在使用されているセル用配合土
は、ピートモスを主体とし、そこにバーミキュライトや
パーライト等の改良資材と肥料や湿展剤さらに植物活性
剤などが添加されて、それぞれの特徴を持ったセル用配
合土として使用されているものが主流となっている。
【0005】セル育苗は、比較的均一で、強健な苗を得
やすい反面、苗を育成した培土(育苗培土)と共に移植
する際に、苗の根部(根鉢部分)の崩壊を生じやすく、
移植作業の効率の低下を起こす大きな要因となってい
る。このため、根鉢部分の安定した培土を得るための検
討が種々試みられており、たとえば土壌自体で粘着力を
得るために練床状にした湿土を用いる方法がある。この
方法では混合、混練に手間を要するだけでなく、通気
性、透水性が低下し、苗の生育が阻害され、なおかつ根
鉢部分の強度も満足できるものとはならないといった問
題点がある。また、粘着力を増すためのバインダーとし
てポリアクリル酸ナトリウムを用いる方法が提案されて
いる(特開平5−292833号公報)。しかしなが
ら、該ポリアクリル酸ナトリウムは高価であり、安価な
園芸用育苗培土の原料としては用い難い。
【0006】また、特開平4−335826号公報に
は、育苗期間中のかん水によるバインダーの流出を避け
るため、移植直前にアルギン酸塩水溶液を用いて培土を
処理し、根鉢部分の硬さを向上させる方法が提案されて
いる。しかしながら、該方法は、移植直前に培土を処理
する手間がかかり、さらにはアルギン酸塩が水溶性であ
るために処理後のかん水ができなくなり、処理後に雨が
降ったりして移植作業ができない場合に苗が萎凋状態に
おかれ、老化することがある。また、移植作業が順調に
終了したとしても、今度は逆に雨が降るまで根鉢の培土
部分が強度を保つために新根の発生が押さえられ、生育
が止まるという問題点があった。
【0007】また、ガラス繊維、セラミック繊維、岩綿
のごとき無機質材料をフェノール樹脂でマット状の集合
体に成型しフェノール樹脂を加熱硬化させた育苗床の製
法が特公平1−27693号公報に開示されている。こ
の技術では、結合剤としてフェノール樹脂のほかに尿素
樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル酸エステル樹脂も使
用可能なことが示されている。こうした結合剤を用いれ
ば確かに乾燥硬化後に樹脂は水に不溶となるので播種、
かん水、移植に至るまでの間、根鉢の強度は十分保持さ
れるが、欠点としては硬化後の樹脂が親水性に乏しいた
めに、かん水の効率が悪く、結果として発芽、苗の生長
を妨げることになることである。親水性を向上させる目
的で界面活性剤の併用も提案されているが、効果及び親
水性の持続性の点で充分でない。このように、苗の根部
(根鉢部分)の強度向上のための試みが多数検討されて
いるが、未だ健苗育成、低コスト、高強度の全てを満足
する育苗培土は得られていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、健苗が
育成でき、安価で、かん水によるバインダーの流出がな
く、移植後に崩れないために新根の発生を押さえること
もなく、親水性を損なわずにかん水の効率がよく、かつ
高根鉢強度の苗の育苗培土を得るべく鋭意検討を重ね
た。その結果、クエン酸可溶性B23を含有し、かつ苗
を支持するための、保水能を有する物質で構成された培
土が、上記条件を満足できる育苗培土になることを見い
出し、この知見に基づき本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の(1)
ないし(6)の構成を有する。 (1)クエン酸可溶性B23と、苗を支持するための、
保水能を有する物質とで構成された園芸用育苗培土。 (2)クエン酸可溶性B23の含有量が培土1kg当た
り0.1〜200mgである前記第1項記載の園芸用育
苗培土。 (3)クエン酸可溶性B23の含有量が培土1kg当た
り1〜100mgである前記第1項記載の園芸用育苗培
土。 (4)苗を支持するための、保水能を有する物質がピー
トモスである前記第1項〜第3項のいづれか1項記載の
園芸用育苗培土。 (5)苗を支持するための、保水能を有する物質がバー
ミキュライト、パーライトから選ばれた1種以上の物質
と、ピートモスとの組み合わせである前記第1項〜第3
項のいづれか1項記載の園芸用育苗培土。 (6)前記第1項1〜第5項のいずれか1項記載の園芸
用育苗培土に、水及び播種から移植に至るまでの育苗に
必要な肥料を添加して育苗ポットで苗を育成することを
特徴とする園芸作物の育苗方法。
【0010】本発明について以下に詳述する。本発明の
園芸用育苗培土は、クエン酸可溶性B23と、苗を支持
するための、保水能を有する物質とで構成され、園芸作
物を育苗ポットで播種、育苗後、本圃で栽培する栽培法
における園芸用育苗培土と、その培土を用いて育苗ポッ
トで苗を育成する園芸作物の育苗方法である。本発明の
育苗培土を用いて育苗すれば、移植の際の苗の根部の培
土(根鉢部分)の崩壊を生じにくく、容易に移植作業を
行うことができる。このため、多くの栽培面積を有する
大規模農家にとっては移植期の作業量を減らすことがで
きるため省力化を達成しうる。
【0011】本発明園芸用育苗培土に必須のB23は、
クエン酸可溶性B23でなければならない。水溶性のB
23を用いると、過剰害が出やすいために、培地に添加
できる量が制限され、また、該B23が苗に吸収される
につれ培土中のB23が減少し、欠乏症が生ずる。ま
た、灌水量を増すと該B23が流出してしまう傾向にあ
る。この結果、根鉢強度は、無添加の場合よりも若干増
加するものの、十分なレベルまでは到達しえない。B2
3がクエン酸可溶態であると、育苗時に培土中に該B2
3が多く含有されていても水に溶けにくく、また成分
の溶出が緩効性であることから育苗時の欠乏症を防ぐこ
とができる。また、その添加量は、培土1kg当たり
0.1mg未満だと根鉢強度の改善効果がなく、また、
培土1kg当たり200mg以上だと過剰害がおこりや
すい。更に、この範囲内においても濃度が低いと効果が
少ない。このため、作物にもよるが、更に好ましくは、
培土1kg当たり1〜100mgの範囲がよい。
【0012】添加するクエン酸可溶性B23はその粒径
により、溶出速度を変えることができ、粒径が大きいと
溶出速度が小さく、小さいと溶出速度が大きい。このた
め、長期間にわたって肥効を持続させるためには様々な
粒径のものを均一に分布させるのがよい。また、粒径が
あまり大きいと容量の小さなセルの場合、その1つ1つ
に均一に入りにくくなり、バラツキがでやすい。このた
め、100メッシュのふるいを通過する大きさ以下の粒
径のものが平均的に含まれているのがよい。また、クエ
ン酸可溶性B23は、pHによっても溶出率が異なり、
pHが低くなると溶出が早くなる傾向があり、またpH
が高ければ遅くなる傾向がある。このため、作物にもよ
るが、培土のpHは6〜7の範囲が好ましい。
【0013】保水材としては、繊維質であり、繊維の絡
みによって根鉢部分の強度を保持しやすいことから、ピ
ートモスが最も良い。該ピートモスは寒冷地帯の湿原に
生えていた水苔類がそのまま堆積、腐植化したものであ
り、泥炭とも言われ、その特徴としては一般的に保水
性、通気性に優れている、塩基置換容量が大きく保肥
性がある、酸性である、安価で安定的に供給されて
いることが挙げられる。該ピ−トモスのみを用いた培土
は、該培土をセルトレーに詰める作業の作業性がよくな
い。これは、繊維質であるピートモスが、単体では絡ま
りやすく、容量の小さなセルに分配するのが容易でない
ことによる。このため、ピートモスに、バーミキュライ
ト、パーライト等の非繊維質の物質を組み合わせるのが
よい。このとき、ピートモスは80容量%以下が良く、
さらに好ましくは50容量%以下がよいが、この範囲に
限定されるものではない。
【0014】バーミキュライトは、天然の蛭石を加熱処
理して発泡させたもので非常に軽い物質であり、該バー
ミキュライトの特徴としては保水性、通気性に優れて
いる、塩基置換容量が大きく保肥性がある、中性か
らアルカリ性である等があげられる。また、パーライト
は、天然の真珠岩を加熱処理して発泡させたものであ
り、その特徴としては、保水性、通気性、透水性に優
れている、軽量である等があげられる。かかるバーミ
キュライト、パーライトには、その原石の大きさに応じ
た様々な粒径のものがあり、粒径が小さすぎると培土の
孔隙率が減り、空気の通りが悪くなる。また逆に、大き
すぎると、セルに詰めた際に均一に入らない。このた
め、これらの粒径はある範囲内でそろっていることが必
要である。その大きさは、育苗用としては1〜2mmの
粒径のものが80重量%以上含まれるものが好ましい
が、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。
【0015】また、その他の保水材としては、天然土壌
のほか木屑、パルプ粕、水苔、ヤシ殻等の天然有機物、
発泡樹脂、ゼオライト等が挙げられるが安価で安定的に
供給されているという点からもピートモス、バーミキュ
ライト、パーライトが最も好ましい物質である。また、
これらの保水材は軽量であり、取り扱いが楽であるが、
あまりに比重が軽い培土は、本圃の土との比重差が大き
すぎ、移植後の根の活着がよくないことが知られてい
る。このため、上記保水材に重さを付与するための軽石
等を加えて園芸用育苗培土として用いるのが通例であ
る。更に、これら保水材と重さを付与するための軽石の
他に、pHやEC(なんのことか不明)等の理化学性を
調整するため種々の添加物を加えることができるのはも
ちろんのことである。
【0016】本発明の培土には、化学的に肥料成分の溶
出を抑えた肥料、粒状肥料を被膜により被覆し、物理的
に溶出量を制御した被覆粒状肥料から選ばれた1種以上
の肥料を用いることができる。ここで化学的に肥料成分
の溶出を抑えた肥料とは、化学合成により緩効化された
窒素肥料のことであり、例えば、イソブチルアルデヒド
縮合尿素(IBDU)、アセトアルデヒド縮合尿素(C
DUまたはOMU)、ホルムアルデヒド加工尿素、硫酸
グアニル尿素、オキサミドが挙げられる。
【0017】被覆粒状肥料としては例えば、市販品のロ
ング(商品名、旭化成工業(株)製)、LPコート(商
品名、チッソ(株)製)、セラコート(商品名、セント
ラル硝子(株)製)、エムコート(商品名、三菱化学
(株)製)等が挙げられる。該被覆粒状肥料は苗を支持
し、保水材の機能を損なわない範囲で混合できる。つま
り、被覆粒状肥料が多いと培土の保水性が低下し、少な
すぎると育苗時の肥料が不足することから、好ましくは
被覆粒状肥料5〜50重量部、保水材50〜95重量部
の合計100重量となる割合である。この数値は保水材
が天然土壌のような鉱物質を想定した場合であり、例え
ば比重の軽いバーミキュライトやピートモス等の場合は
保水材の重量換算の割合が小さくなるため相対的に保水
材量が50重量部より小さくなることもあり、この数値
はあくまでも目安である。
【0018】更に、本発明の培土には、発明の効果を妨
げない範囲で速効性肥料も添加することができる。その
成分としては広範囲のものが用いられ、N(チッソ)、
25(リン酸)、K2O(加里)のうち少なくとも1
種以上を含むものである。また、これら以外にも、Ca
O(カルシウム)、MgO(マグネシウム)、微量要素
等の化合物を含んでいてもよい。
【0019】育苗ポットは、プラスチック製の従来のも
のに加えて、ペーパーポットやセルトレー等連結ポット
が挙げられるが、育苗に用いられるものであれば特に制
限されない。また、ポットの容量は用いる作物等により
異なる。
【0020】本発明の培土は、根菜、葉菜、果菜類等の
野菜、花き等セル育苗に用いられる作物に広く用いるこ
とができる。また、セル育苗以外にもポット育苗、水稲
育苗に用いてもよい。ポット育苗に用いた場合、セル育
苗と同様、根鉢の形成がよく、移植する際の根部の欠損
を生じにくい苗ができる。また、水稲育苗に用いた場
合、根のマット形成をよくする効果がある。いづれにし
ても、移植作業の効率の低下を起こしにくいことから省
力化を達成することができる。
【0021】本発明の培土の混合方法は特に制限はなく
あらゆる方法が適用できる。例えば、保水材とクエン酸
可溶性B23を常用の混合機例えば2重円錐型、V型、
水平円筒型、垂直スクリュー型、ミューラー型、副軸ロ
ーター型混合機等によって容易に製造できる。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0023】実施例1 保水材としてピートモスとバーミキュライト、更に培土
に重さを付与するための軽石を容量比で4:5:1の比
率で混ぜ、更にチッソ、リン酸、加里、石灰、苦土を添
加した。更に根鉢形成促進材としてクエン酸可溶性B2
3を添加した。これらを、コンクリートミキサーで混
合し、本発明の育苗培土を得た。該培土の理化学性は見
かけ比重0.38[kg/L]、pH(1:5水)6.
7、EC(1:5水)0.7mS/cm、水分30重量
%であり、肥料成分(mg/L)は窒素150、リン酸
1000、加里 150、根鉢形成促進剤のクエン酸
可溶性B2319mg/L(50mg/kg)であっ
た。なお、窒素肥料成分はアセトアルデヒド縮合尿素
(CDU)を用いた。
【0024】実施例2 実施例1の培土3Lに被覆複合肥料であるマイクロロン
グトータル201−100(商品名、チッソ旭肥料
(株))を10g施用し、さらに均一になるよう攪拌し
て本発明の育苗培土を得た。
【0025】実施例3 保水材としてピートモス、培土に重さを付与するための
軽石を容量比で9:1の比率で混ぜ、更にチッソ、リン
酸、加里、石灰、苦土を添加した。更に根鉢形成促進剤
のクエン酸可溶性B23を添加した。これらを、コンク
リートミキサーで混合し、本発明の育苗培土を得た。該
培土の理化学性は見かけ比重0.20kg/L、pH
(1:5水)6.2、EC(1:5水)0.8mS/c
m、水分30重量%であり、肥料成分(mg/L)は窒
素 150、リン酸 1000、加里 150、根鉢形
成促進剤のクエン酸可溶性B2310mg/L(50m
g/kg)であった。また、窒素肥料成分はアセトアル
デヒド縮合尿素(CDU)を用いた。
【0026】比較例1 根鉢形成促進材であるクエン酸可溶性B23を含まない
以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。。
【0027】比較例2 水溶性B23を含ませる以外は実施例1に準拠して育苗
培土を得た。
【0028】比較例3 結合剤としてフェノール樹脂、親水性付与剤として非イ
オン系界面活性剤を添加してロックウールをマット状に
成型した比重0.065kg/Lのロックウール成型培
地を用い、これに肥料成分(mg/L)として窒素15
0、リン酸1000、加里150になるように表面に添
加した。なお、窒素肥料成分は、アセトアルデヒド縮合
尿素(CDU)を用いた。これをクサビ型状に切断し、
セルの1つ1つの穴に入る様にした培土を調製した。。
【0029】比較例4 バインダーとして、0.5重量%のアルギン酸塩を添加
する以外は比較例1に準拠して育苗培土を得た。
【0030】レタスを用いた効果確認試験1 実施例1〜3、比較例1〜4で得られた培土のそれぞれ
を用いてレタス(品種:SPSサリナス88(商品名、
住友化学工業(株))の育苗試験を行った。育苗及び栽培
はガラスハウス(福岡県北九州市戸畑区)で行い、育苗
栽培管理は慣行法に準じて行った。育苗は25日で終了
した。育苗ポットは200穴セルトレーを用いた。育苗
試験の結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】表1からも明らかなように、実施例1〜3
の培土は良好に苗を育成し栽培することができた。ま
た、根鉢形成も良好であった。中でもピートモス単用の
実施例3において、根鉢形成が最もよかった。しかし、
セルトレーに培土を詰める作業において、実施例3の培
土はピートモスの固まりができやすく、作業性が悪かっ
た。ピートモスにバーミキュライトを混合した実施例1
及び2の培土はピートモスが固まることもなく作業性が
良かった。比較例1、4は生育はしたものの根鉢形成が
悪かった。比較例4は、バインダーを加えているもの
の、バインダーが水溶性であるために育苗期間中のかん
水で流亡したためと考えられた。比較例2、3は生育に
異常がみられた。比較例2では草丈、葉数に大きな差は
みられないものの、下葉の先端が黄化しており、B2O
3過剰症の傾向が見られた。これは、B23が水溶性で
あるためと考えられた。しかし、B23無添加区(比較
例1)よりも若干根鉢の形成は良かった。また、比較例
3は、栽培開始時は培土のは水性がなくかん水の効率が
良かったものの、徐々には水性があらわれ、培土が乾燥
気味に推移し、結果として苗の生育が抑えられていた。
これは、親水性を付与するための界面活性剤が育苗期間
中のかん水により流亡したためと考えられる。
【0033】トマトを用いた効果確認試験 実施例1〜2、比較例1〜2の培土を用いてトマト(品
種:桃太郎(商品名、タキイ種苗(株))の育苗試験を行
った。育苗及び栽培はガラスハウス(福岡県北九州市戸
畑区)で行い、育苗栽培管理は慣行法に準じて行った。
育苗は25日で終了した。育苗トレーは72穴セルトレ
ーを用いた。育苗試験の結果を表2に示した。
【0034】
【表2】
【0035】表2からも明らかな通り実施例1〜2で得
られた培土は良好に苗を育成し、栽培することができ
た。また、根鉢形成も良好であった。しかし比較例1は
生育はしたものの根鉢形成が悪かった。また、比較例2
で草丈、葉数に変化は見られないものの、下葉の先端が
黄化しており、B23過剰症の傾向が見られた。これ
は、B23が水溶性であるためと考えられた。しかし、
23無添加区(比較例1)よりも若干根鉢の形成は良
かった。
【0036】実施例4 クエン酸可溶性B23を0.1mg/Kgとなる様に添
加する以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0037】実施例5 クエン酸可溶性B23を1mg/Kgとなる様に添加す
る以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0038】実施例6 クエン酸可溶性B23を10mg/Kgとなる様に添加
する以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0039】実施例7 クエン酸可溶性B23を100mg/Kgとなる様に添
加する以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0040】実施例8 クエン酸可溶性B23を200mg/Kgとなる様に添
加する以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0041】比較例5 クエン酸可溶性B23を0.01mg/Kgとなる様に
添加する以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0042】比較例6 クエン酸可溶性B23を1000mg/Kgとなる様に
添加する以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0043】比較例7 クエン酸可溶性B23を10000mg/Kgとなる様
に添加する以外は実施例1に準拠して育苗培土を得た。
【0044】レタスを用いた効果確認試験2 実施例1、4〜8、比較例5〜7で得られた培土のそれ
ぞれを用いてレタス(品種:SPSサリナス88(商品
名、住友化学工業(株))の育苗試験を行った。育苗及び
栽培はガラスハウス(福岡県北九州市戸畑区)で行い、
育苗栽培管理は慣行法に準じて行った。育苗セルトレー
は200穴のものを用いた。育苗は25日で終了した。
育苗試験の結果を表3に示した。
【0045】
【表3】
【0046】表3からも明らかな通り、実施例1、4〜
8、比較例5の培土は苗の育成が良好であった。しか
し、根鉢形成に差が見られた。すなわち実施例1、4〜
8は根鉢形成も良好であったが比較例5は不良であっ
た。また、特に実施例1、5〜7が良かった。また、比
較例6では下葉の先端が黄化するB23過剰害が見ら
れ、更に比較例7はその過剰害が甚だしく、発芽もしな
かった。
【0047】実施例9 保水材としてピートモス、バーミキュライト、パーライ
ト、更に培土に重さを付与するための軽石を容量比で
4:4:1:1の比率で混ぜ、更にチッソ、リン酸、加
里、苦土、石灰、さらにクエン酸可溶性B23を添加し
た。これを、コンクリートミキサーで混合し、本発明の
育苗培土を得た。該保水材の理化学性は見かけ比重0.
38kg/L、pH(1:5水)6.3、EC(1:5
水)0.5mS/cm、水分40重量%であり、肥料成
分(mg/L)は窒素100、リン酸500、加里10
0、根鉢形成促進剤のクエン酸可溶性B2319mg/
L(50mg/kg)である。なお、窒素肥料成分はア
セトアルデヒド縮合尿素(CDU)を用いた。
【0048】比較例8 クエン酸可溶性B23を添加しない以外は実施例9に準
拠して育苗培土を得た。
【0049】比較例9 クエン酸可溶性B23の代わりに水溶性B23を添加す
る以外は実施例9に準拠して育苗培土を得た。
【0050】ハクサイを用いた効果確認試験 実施例9と比較例8、9の培土を用いてハクサイ(品
種:郷風(商品名、住友化学工業(株))の育苗試験を行
った。育苗及び栽培はガラスハウス(福岡県北九州市戸
畑区)で行い、育苗栽培管理は慣行法に準じて行った。
育苗セルトレーは200穴のものを用いた。育苗は25
日で終了した。育苗試験の結果を表4に示した。
【0051】
【表4】
【0052】表4から明らかなように、実施例9の培土
は良好に苗を育成し、栽培することができた。また、根
鉢形成も良好であった。しかし比較例8は生育はしたも
のの根鉢形成が悪かった。また、比較例9で下葉の先端
が黄化するB23過剰症の傾向が見られ、これはB23
が水溶性であるためと考えらる。しかし、B23無添加
区(比較例8)よりも根鉢の形成は良かった。
【0053】比較例10 バインダーとして、0.5重量%のアルギン酸塩の水溶
液を移植直前に添加する以外は比較例1に準拠して育苗
培土を得た。
【0054】レタスを用いた効果確認試験3 実施例1、2、比較例10の培土を用いてレタス(品
種:SPSサリナス88(商品名、住友化学工業(株))
の育苗試験を行った。育苗及び栽培はガラスハウス(福
岡県北九州市戸畑区)で行い、育苗栽培管理は慣行法に
準じて行った。育苗ポットは200穴セルトレーを用い
た。育苗は25日で終了し、消毒済みの山砂(福岡県
産、比重1.3kg/L)を充填した1/2000aワ
グネルポットに移植し、本試験は砂耕法で行った。肥培
管理は慣行法に準じて行った。液肥として園試処方均衡
培養液を用い、移植後1週間は0.7倍希釈液で行い、
その後は希釈せずに用いた。液肥の添加は、株元に設置
したノズルによりおこなった。かん水は自動かん水機で
行った。かん水は午前中と午後に1度づつ1日に2回行
った。1回に与えた水の量はポット当たり約100ml
である。本試験は各試験区3株4反復で行い、2週間後
に生育調査を実施した。日平均気温は35℃から40℃
と高めであり、与えた水分がすぐ蒸発するため、土壌の
表層はかん水後まもなく乾燥していることが認められ
た。育苗試験の結果を表5に示した。
【0055】
【表5】
【0056】本試験の培土は、栽培期間中乾燥状態で推
移していた。本乾燥条件下で、実施例、比較例とも同量
の水を与えたが、実施例1、2の方が水を求めて根が深
くはっていた。また、比較例10の培土はバインダーと
して加えたアルギン酸塩が溶解せず、生育調査時にもそ
のままの形状を保持していた。このため、新根が発生し
にくい状態となり、結果として表5の通り苗の生育が抑
えられ、そのまま老化していた。本発明培土は、植物の
根自身が編目構造をとって土をしっかりと保持している
のであり、、バインダーが土を保持しているのではな
い。このため高根鉢強度であるにも関わらず本圃に移植
された後に新根の発生を妨げない機構となっている。こ
の点が、これまでの単にバインダーを用いて根鉢強度を
向上させた培土とは異なるところである。
【0057】
【発明の効果】本発明の培土は、育苗用培土として使用
すると、安価に、かん水によるバインダーの流出がな
く、移植後に新根の発生を抑えることもなく、親水性を
損なわずにかん水の効率がよい、かつ高根鉢強度である
健苗が得られる培土である。これにより移植作業の効率
の低下を防ぎ、省力化を達成することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クエン酸可溶性B23を含有し、かつ、保
    水能を有し、苗を支持するための物質で構成された園芸
    用育苗培土。
  2. 【請求項2】クエン酸可溶性B23の含有量が培土1k
    g当たり0.1〜200mgである請求項1記載の園芸
    用育苗培土。
  3. 【請求項3】 クエン酸可溶性B23の含有量が培土1
    kg当たり1〜100mgである請求項1記載の園芸用
    育苗培土。
  4. 【請求項4】 保水能を有し、苗を支持するための物質
    がピートモスである請求項1〜3のいづれか1項記載の
    園芸用育苗培土。
  5. 【請求項5】 保水能を有し、苗を支持する物質がバー
    ミキュライト、パーライトから選ばれた1種以上の物質
    と、ピートモスとの組み合わせである請求項1〜3のい
    づれか1項記載の園芸用育苗培土。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の園芸
    用育苗培土に、播種から移植に至るまでの育苗に必要な
    肥料及び水を添加して育苗ポットで苗を育成することを
    特徴とする園芸作物の育苗方法。
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