JPH1089131A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

Info

Publication number
JPH1089131A
JPH1089131A JP24621396A JP24621396A JPH1089131A JP H1089131 A JPH1089131 A JP H1089131A JP 24621396 A JP24621396 A JP 24621396A JP 24621396 A JP24621396 A JP 24621396A JP H1089131 A JPH1089131 A JP H1089131A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
air
cpu
value
purge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP24621396A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3269400B2 (ja
Inventor
Seiji Yoshimura
誠司 吉村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP24621396A priority Critical patent/JP3269400B2/ja
Publication of JPH1089131A publication Critical patent/JPH1089131A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3269400B2 publication Critical patent/JP3269400B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Supplying Secondary Fuel Or The Like To Fuel, Air Or Fuel-Air Mixtures (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】燃料タンクで発生する燃料蒸気をパージして混
合気に付加するようにした内燃機関において、パージ燃
料量の変化の応答遅れに拘らず、空燃比を安定的に調整
する。 【解決手段】インジェクタ7はエンジン8に供給される
燃料量を調整する。ベーパライン13、キャニスタ14
及びパージライン21を含む処理装置はタンク1で発生
する燃料蒸気を吸気通路10へパージする。パージ制御
弁22はパージされる燃料流量を調整する。電子制御装
置(ECU)51は、混合気の空燃比が目標空燃比とな
るようにエンジン8に供給されるべき燃料量を算出し、
その算出された燃料量に基づいてインジェクタ7を制御
する。ECU51はエンジン8へ供給されるべき燃料蒸
気の流量を算出し、その算出された燃料蒸気の流量に基
づいて制御弁22の開度を制御する。ECU51は制御
弁22の開度の変化率がその上限値に制限されるとき、
算出される供給燃料量を増量補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内燃機関に供給さ
れる可燃混合気の空燃比を制御するようにした空燃比制
御装置に関する。詳しくは、燃料タンクで発生する燃料
蒸気(fuel vapor)を可燃混合気に加えることを前提とし
て空燃比を制御するようにした内燃機関の空燃比制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関(エンジン)の燃焼
室に供給される可燃混合気(空気と燃料との混合気)の
空燃比を制御するようにした空燃比制御装置がある。一
般に、エンジンに要求される空燃比はエンジンの回転速
度、負荷状態及び暖機状態等に応じて変化する。そこ
で、上記の制御装置では、コンピュータが燃料供給装置
を制御することにより、燃焼室に供給される燃料量をエ
ンジンの要求空燃比に応じて調整する。即ち、コンピュ
ータは、センサにより検出される実際の空燃比が要求空
燃比と合致するように、燃料供給装置から燃焼室に供給
される燃料量を補正することにより、混合気の空燃比を
調整する。この空燃比の調整により、エンジンの各種の
運転条件に対応してエンジンの出力特性、排気特性及び
ドライバビリティ等の各種特性が最適化される。
【0003】一方、車両等に搭載される装置の一つとし
て、燃料蒸気処理装置がある。この処理装置は燃料タン
クで発生する燃料蒸気をキャニスタに捕集する。この処
理装置はキャニスタに捕集された燃料蒸気を必要に応じ
てキャニスタから吸気通路へパージする。吸気通路へパ
ージされた燃料は、燃料供給装置により燃焼室に供給さ
れる本来の混合気に加えられる。
【0004】ところで、上記の処理装置を備えたエンジ
ンにおいても空燃比制御を適合させる必要がある。その
ためには、燃焼室に供給される本来の混合気に対してパ
ージによる燃料蒸気が加えられることから、そのパージ
燃料分を見込んで空燃比を制御することが必要になる。
【0005】特開平7−269399号公報は、燃料タ
ンクで発生する燃料蒸気が吸気通路へパージされること
を見込んで空燃比を制御するようにした空燃比制御装置
の一例を開示する。図12に示すように、この装置で、
エンジン71に設けられたインジェクタ72は、燃料タ
ンク73からポンプ74により圧送される燃料をエンジ
ン71の各気筒に対応して噴射する。制御部75は、空
燃比センサ76により検出される実際の空燃比がエンジ
ン71の運転状態に応じて変化する目標空燃比に合致す
るようにインジェクタ72を制御する。これにより、各
気筒に供給される燃料量が調整され、混合気の空燃比が
制御される。
【0006】キャニスタ77は活性炭等よりなる吸着剤
を内蔵する。キャニスタ77は燃料タンク73で発生す
る燃料蒸気をベーパライン78を通じて捕集し、その吸
着剤に吸着させる。キャニスタ77から延びるパージラ
イン79は吸気通路80に連通する。パージライン79
に設けられたパージ制御弁81は、同ライン79を必要
に応じて選択的に開閉する。エンジン71の運転時に、
制御部75がパージ制御弁81を開くことにより、吸気
通路80で発生する負圧がパージラインを通じてキャニ
スタ77に作用する。この負圧の作用により、キャニス
タ77に捕集された燃料が吸着剤から離脱してパージラ
イン79を通じて吸気通路80へパージされる。この燃
料パージの際、制御部75は吸気通路80を流れる吸気
量に対するパージ燃料量の比をパージ率としてエンジン
71の運転状態に応じて算出する。制御部75はこのパ
ージ率の時間的な変化率を所定のしきい値以下に制限す
る。制御部75は算出されたパージ率に応じてパージ制
御弁81の開度を制御する。制御部75はパージ燃料の
濃度を空燃比センサ76の検出値に基づいて学習する。
そして、制御部75はこの燃料濃度の学習の進み度合が
小さいときには、パージ制御弁81の開度の変化率を、
学習の進み度合が大きいときよりも小さく設定する。こ
の設定により、制御部75はパージ率が変更される際の
空燃比の変動(荒れ)を抑える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報の
装置では、パージライン79を通じて吸気通路80へパ
ージされる燃料量の変化に応答遅れがある。しかも、パ
ージ制御弁81の開度の変化率に対するパージ燃料量の
変化に関する応答性は、エンジン71の運転状態、例え
ばエンジン回転速度及びエンジン負荷等の条件の違いに
応じて異なる。従って、上記装置のように濃度学習の進
み度合に応じてパージ制御弁81の開度の変化率を規制
したところで、パージ燃料量に応答遅れがあるために、
エンジン71で制御される空燃比の荒れを完全には抑え
ることができないというおそれがある。この遅れは、パ
ージ制御弁81それ自体の作動遅れ、或いはパージライ
ン81の経路長さ等に起因するものであり、避け難いも
のである。
【0008】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、燃料タンクで発生する燃料
蒸気を内燃機関に供給される可燃混合気に付加(パー
ジ)するようにした内燃機関において、パージされる燃
料量の変化の応答遅れに拘らず、内燃機関の空燃比を安
定的に調整することを可能にした内燃機関の空燃比制御
装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載のこの発明では、図1に示すよう
に、内燃機関M1に供給される燃料と空気との可燃混合
気に係る空燃比を制御するようにした空燃比制御装置で
あって、内燃機関M1に燃料を供給するための燃料供給
手段M2と、燃料を貯留するための燃料タンクM3で発
生する燃料蒸気を内燃機関M1へ流して処理するための
処理手段M4と、その処理手段M4を通じて内燃機関M
1へ供給される燃料蒸気の流量を調整するための調整弁
M5と、内燃機関M1の運転状態を検出するための運転
状態検出手段M6と、可燃混合気の空燃比が目標空燃比
となるように内燃機関M1へ供給されるべき燃料量を検
出される運転状態に基づいて算出するための第1の算出
手段M7と、算出される供給燃料量に基づいて燃料供給
手段M2を制御するための第1の制御手段M8と、内燃
機関M1へ供給されるべき燃料蒸気の流量を検出される
運転状態に基づいて算出するための第2の算出手段M9
と、算出される燃料蒸気の流量に基づいて調整弁M5の
開度を制御するための第2の制御手段M10と、制御さ
れる調整弁M5の開度の変化率に係る上限値を設定し、
変化率を設定された上限値に制限するための制限手段M
11と、その制限手段M11により変化率が制限される
ときに、算出される供給燃料量を増量補正するための補
正手段M12とを備えたことを趣旨とする。
【0010】上記の発明の構成によれば、第1の算出手
段M7は、可燃混合気の空燃比が目標空燃比となるよう
に、内燃機関M1へ供給されるべき燃料量を運転状態検
出手段M6により検出される内燃機関M1の運転状態に
基づいて算出する。第1の制御手段M8は、算出される
供給燃料量に基づいて燃料供給手段M2を制御する。第
2の算出手段M9は、内燃機関M1へ供給されるべき燃
料蒸気の流量を検出される運転状態に基づいて算出す
る。第2の制御手段M10は、算出される燃料蒸気の流
量に基づいて調整弁M5の開度を制御する。これによ
り、燃料タンクM3で発生する燃料蒸気が処理手段M4
を通じて内燃機関M1に供給される。
【0011】ここで、燃料蒸気が処理手段M4を通じて
内燃機関M1に供給される際、制限手段M11は調整弁
M5の開度の変化率に係る上限値を設定し、その変化率
を設定された上限値に制限する。そして、補正手段M1
2は、変化率が上限値に制限されるときに、算出される
供給燃料量を増量補正する。
【0012】従って、内燃機関M1の運転状態、例えば
内燃機関M1に供給される空気量が変化し、その変化に
応じて調整弁M5の開度が制御されたとする。このと
き、調整弁M5の開度の変化率が上限値に制限されるこ
とにより、処理手段M4を通じて内燃機関M1に供給さ
れる燃料蒸気の流量が、上限値に応じた流量に制限され
ることになる。そして、内燃機関M1に供給される燃料
蒸気が増量されることにより可燃混合気の空燃比が調整
される代わりに、燃料供給手段M2から内燃機関M1に
供給される燃料量が増量補正されることにより空燃比が
調整される。このため、燃料蒸気の供給遅れの有無に拘
らず、可燃混合気の空燃比が目標空燃比へ向けて速やか
に調整される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る内燃機関の
空燃比制御装置を自動車に具体化した一つの実施の形態
を図面を参照して詳細に説明する。
【0014】図2は燃料蒸気処理装置を備えた内燃機関
の空燃比制御装置を示す概略構成図である。自動車に搭
載されたガソリンエンジンシステムは燃料を収容するた
めの燃料タンク1を備える。タンク1は内部に燃料を注
入するための、即ち給油を行うためのインレットパイプ
2を有する。このパイプ2は先端に給油口2aを含む。
タンク1に給油を行う際、給油口2aには給油ノズル
(図示しない)が挿入される。給油口2aを塞ぐキャッ
プ3は取り外し可能である。
【0015】タンク1に内蔵されるポンプ4は、タンク
1に溜められた燃料を吸引・吐出する。ポンプ4から延
びるメインライン5はデリバリパイプ6に接続される。
このパイプ6に設けられた複数のインジェクタ7は内燃
機関(エンジン)8に設けられた複数の気筒(図示しな
い)に対応して配置される。デリバリパイプ6から延び
るリターンライン9は燃料タンク1に接続される。ポン
プ4が作動することにより、ポンプ4から吐出された燃
料はメインライン5を通ってデリバリパイプ6に至り、
各インジェクタ7へ分配される。各インジェクタ7が作
動することにより、燃料が吸気通路10へと噴射され
る。各インジェクタ7はエンジン8の各気筒へ燃料を供
給するための本発明の燃料供給手段を構成する。
【0016】吸気通路10はエアクリーナ11及びサー
ジタンク10aを含む。エアクリーナ11を通って浄化
された空気は吸気通路10に導入される。各インジェク
タ7から噴射された燃料と、吸気通路10に導入された
空気との可燃混合気(以下単に「混合気」と書き表
す。)はエンジン8の各気筒に供給され、燃焼に供され
る。デリバリパイプ6において各インジェクタ7へ分配
されることなく余った燃料は、リターンライン9を通じ
てタンク1に戻る。燃焼後の排気ガスはエンジン8の各
気筒から排気通路12を通って外部へ排出される。
【0017】この実施形態で、エンジン8はスタータ
(図示しない)の作動に基づいて始動時のクランキング
が行われるようになっている。この実施形態の燃料蒸気
処理装置はタンク1で発生する燃料蒸気を大気中に放出
させることなく捕集して処理する。この処理装置はタン
ク1で発生する燃料蒸気をベーパライン13を通じて捕
集するキャニスタ14を有する。キャニスタ14は活性
炭等よりなる複数粒の吸着剤15を内蔵する。キャニス
タ14の中は層状をなす吸着剤15により占められる部
分と、その吸着剤15の上下に位置する空間14a,1
4bとを含む。
【0018】キャニスタ14に設けられた第1の大気弁
16は逆止弁よりなる。この大気弁16はキャニスタ1
4の内圧が大気圧よりも小さいときに開いてキャニスタ
14に対する外気(大気圧)の導入を許容し、その逆方
向の気体の流れを阻止する。この大気弁16から延びる
エアパイプ17はエアクリーナ11に接続される。従っ
て、キャニスタ14にはエアクリーナ11により浄化さ
れた外気が導入される。キャニスタ14に設けられた第
2の大気弁18は逆止弁よりなる。この大気弁18はキ
ャニスタ14の内圧が大気圧よりも大きくなったときに
開いてキャニスタ14からアウトレットパイプ19に対
する気体(内圧)の導出を許容し、その逆方向の気体の
流れを阻止する。
【0019】キャニスタ14に設けられたベーパ制御弁
20はタンク1からキャニスタ14へ流れる燃料蒸気を
制御する。この制御弁20はベーパライン13を含むタ
ンク1の側の内圧(以下「タンク側内圧」という)PT
と、キャニスタ14の側の内圧(以下「キャニスタ側内
圧」という)PCとの差に基づいて開かれることによ
り、キャニスタ14に対する燃料蒸気の流入を許容す
る。即ち、制御弁20はキャニスタ側内圧PCが大気圧
とほぼ同じになり、その内圧PCがタンク側内圧PTよ
りも小さいときに開いてキャニスタ14に対する燃料蒸
気の流入を許容する。加えて、ベーパ制御弁20はキャ
ニスタ側内圧PCがタンク側内圧PTよりも大きいとき
に、キャニスタ14からタンク1に対する気体の流れを
許容する。
【0020】キャニスタ14から延びるパージライン2
1はサージタンク10aに連通する。キャニスタ14は
ベーパライン13を通じて導入される燃料蒸気の中の燃
料成分だけを吸着剤15に吸着させて捕集する。キャニ
スタ14は燃料成分を含まない気体だけを、大気弁18
が開いたときにアウトレットパイプ19を通じて外部へ
排出する。エンジン8の運転時には、吸気通路10で発
生する吸気負圧がパージライン21に作用する。このと
き、キャニスタ14に捕集された燃料、或いはタンク1
からキャニスタ14に導入されて吸着剤15に吸着され
ることのない燃料が、パージライン21を通じて吸気通
路10へパージされる。パージライン21に設けられた
パージ制御弁22はパージライン21を通過する燃料の
量をエンジン8の必要性に応じて調整する。パージ制御
弁22はケーシングと弁体(共に図示しない)を含む。
この制御弁22は電気信号の供給を受けて弁体を移動さ
せる電磁弁であり、デューティ信号を受けて開度がデュ
ーティ制御される。この実施形態において、ベーパライ
ン13、キャニスタ14及びパージライン21は本発明
の処理手段を構成する。更に、パージ制御弁22は本発
明の調整弁を構成する。
【0021】この処理装置は、タンク1からキャニスタ
14への燃料蒸気の流れを検出するための圧力センサ4
1を含む。この圧力センサ41はベーパ制御弁20を境
としたタンク側内圧PT及びキャニスタ側内圧PCを各
々個別に検出可能に構成される。即ち、圧力センサ41
に付随して設けられた三方切換弁23は三つのポートを
有する。この三方切換弁23は電気信号の供給を受けて
ポート間の連通が切り換えられる電磁弁である。三方切
換弁23の一つのポートは圧力センサ41に接続され
る。三方切換弁23の他の二つのポートはベーパ制御弁
20を境にしてタンク1の側のベーパライン13と、キ
ャニスタ14とに接続される。この三方切換弁23が必
要に応じて切り換えられることにより、圧力センサ41
がベーパライン13又はキャニスタ14に選択的に連通
する。この切換えに応じて、圧力センサ41がタンク側
内圧PTとキャニスタ側内圧PCをそれぞれ選択的に検
出する。この実施形態では、圧力センサ41にタンク側
内圧PTを優先的に検出させるために、三方切換弁23
に電気信号が供給されないときには、圧力センサ41が
ベーパライン13に連通するように三方切換弁23が構
成される。
【0022】各種センサ42,43,44,45,4
6,47はエンジン8と自動車の運転状態を検出するた
めの本発明の運転状態検出手段を構成する。エアクリー
ナ11の近傍に設けられた吸気温センサ42は吸気通路
10に吸入される空気の温度(吸気温度)THAを検出
し、その大きさに応じた信号を出力する。エアクリーナ
11の近傍に設けられた吸気量センサ43は吸気通路1
0に吸入される空気量(吸気量)Qを検出し、その大き
さに応じた信号を出力する。エンジン8に設けられた水
温センサ44はエンジンブロック8aの内部を流れる冷
却水の温度(冷却水温度)THWを検出し、その大きさ
に応じた信号を出力する。エンジン8に設けられた回転
速度センサ45はエンジン8のクランクシャフト8bの
回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、その大き
さに応じた信号を出力する。排気通路12に設けられた
空燃比検出手段としての酸素センサ46は排気通路12
を通過する排気ガス中の酸素濃度Oxを検出し、その大
きさに応じた信号を出力する。このセンサ46は、エン
ジン8の各気筒に供給される混合気中の酸素を特定成分
として、その濃度を検出する。自動車に設けられた車速
センサ47は車速SPDを検出し、その大きさに応じた
信号を出力する。
【0023】本発明の第1の算出手段、第2の算出手
段、第1の制御手段、第2の制御手段、制限手段及び補
正手段を構成する電子制御装置(ECU)51は各種セ
ンサ41〜47から出力される信号を入力する。ECU
51はエンジン8における混合気の空燃比が、エンジン
8の運転状態に適した目標空燃比となるように、各イン
ジェクタ7から噴射される燃料量を制御するための空燃
比制御を実行する。ECU51は燃料パージの実行を制
御するために燃料蒸気処理装置を司る。ECU51はエ
ンジン8の運転状態に適した量の燃料をパージするため
に、即ちパージ制御弁22を必要なデューティ比DPG
をもって制御するために、パージ制御弁22に必要なデ
ューティ信号を出力する。ここで、キャニスタ14から
吸気通路10へパージされる燃料は燃焼室に供給される
混合気の空燃比に影響を与える。そのため、ECU51
はエンジン8の運転状態に応じてパージ制御弁22の開
度を決定する。ECU51は燃料蒸気がエンジン8に供
給されているときに、空燃比制御の制御結果と、酸素セ
ンサ46により検出される酸素濃度Oxの値に基づき、
混合気に付加される燃料蒸気の濃度に係る学習値を学習
する。一般に、空燃比が濃くなった場合、エンジンの排
気ガス中に含まれるCO濃度等が増加し、酸素濃度Ox
が減少する。そこで、ECU51は酸素センサ46によ
り検出される排気ガス中の酸素濃度Oxの値に基づき、
パージされる燃料蒸気の濃度学習値FGHPGを学習す
る。ECU51は、この学習値FGHPGに基づきパー
ジ制御弁22の開度に相当するデューティ値DPGを決
定し、その値に応じたデューティ信号を制御弁22へ出
力する。ECU51はこの学習値FGHPGに基づき、
空燃比制御により調整される燃料量を補正する。
【0024】ECU51は各種センサ41〜47の検出
値に基づき三方切換弁23を必要に応じて切り換え、圧
力センサ41により検出されるタンク側内圧PTの値と
キャニスタ側内圧PCの値を選択的に入力する。
【0025】図3のブロック回路図に示すように、EC
U51は中央処理装置(CPU)52、読み出し専用メ
モリ(ROM)53、ランダムアクセスメモリ(RA
M)54、バックアップRAM55及びタイマカウンタ
56を備える。ECU51はこれら各部52〜56と、
外部入力回路57と、外部出力回路58とをバス59に
より接続してなる論理演算回路を構成する。ROM53
は空燃比制御及び燃料パージ等に関する所定の制御プロ
グラムを予め記憶する。RAM54はCPU52の演算
結果を一時記憶する。バックアップRAM55は予め記
憶したデータを保存する。タイマカウンタ56は同時に
複数の計時動作を行うことができる。外部入力回路57
はバッファ、波形成形回路、ハードフィルタ(電気抵抗
及びコンデンサよりなる回路)及びA/D変換器を含
む。外部出力回路58は駆動回路等を含む。各種センサ
41〜47は外部入力回路57に接続される。各インジ
ェクタ7、パージ制御弁22及び三方切換弁23は外部
出力回路58に接続される。
【0026】CPU52は外部入力回路57を介して入
力される各種センサ41〜47の検出信号を入力値とし
て読み込む。CPU52はそれら入力値に基づき空燃比
制御及び燃料パージ制御等を実行するために各インジェ
クタ7、パージ制御弁22及び三方切換弁23を制御す
る。
【0027】次に、ECU51(CPU52)が実行す
る制御の処理内容について説明する。ECU51のRO
M53は以下の各種ルーチンに関する制御プログラム及
び関数データを予め記憶する。
【0028】図4及び図5は燃料パージ制御に係る「燃
料パージ制御ルーチン」を示すフローチャートである。
ECU51(CPU52)はこのルーチンの処理を所定
時間(例えば「102m秒」)毎に周期的に実行する。
【0029】ステップ100において、CPU52は燃
料パージ制御の実行に係る前提条件が成立しているか否
かを判断する。この実施形態で、前提条件が成立すると
きとは、以下の各条件を全て満足するときである。即
ち、水温センサ44により検出される冷却水温THWの
値が「80℃」以上であること。エンジン8の始動後か
ら「30秒」以上が経過していること。後述する燃料噴
射量TAUの算出に使用される始動後増量FASEの値
が「0」に設定されるていること。同じく、燃料噴射量
TAUの算出に使用される暖機増量FWLの値が「0」
に設定されていること。同じく、燃料噴射量TAUの算
出に使用される高温増量FHOTの値が「0」に設定さ
れていること。エンジン回転速度NEの値が高いことに
よって燃料噴射の強制的な禁止、即ち「燃料カット」が
行われていないこと。更に、空燃比制御に係り、空燃比
のフィードバック制御が行われていること。
【0030】ステップ100において上記前提条件が成
立している場合、CPU52はステップ101におい
て、パージ実行フラグXPGEXを「1」に設定し、処
理をステップ103へ移行する。ステップ100におい
て上記前提条件が成立していない場合、CPU52はス
テップ102において、パージ実行フラグXPGEXを
「0」に、学習条件カウンタCPGKGOを「0」にそ
れぞれ設定し、処理をステップ104へ移行する。
【0031】ステップ101から移行してステップ10
3において、CPU52は燃料蒸気の濃度学習が終了し
ているか否かを判断する。この実施形態で、燃料蒸気の
濃度学習が終了したときとは、以下の各条件の何れか一
つを満足するときである。即ち、燃料蒸気の濃度学習が
終了していることを示す学習終了フラグXFPGEの前
回の設定値が「1」であること。後述する空燃比補正値
FAFの平均、即ち平均空燃比補正値FAFAVの値が
「0.98〜1.02」の範囲にあること。学習条件カ
ウンタCPGKGOの値が「0秒」以下であること。
【0032】ステップ103において濃度学習が終了し
ている場合、或いはステップ102から処理を移行した
場合、ステップ104において、CPU52は濃度学習
を開始した後の経過時間を計時するためのスキップカウ
ンタCSEVPを「0」にリセットし、その後、処理を
ステップ105へ移行する。ステップ103において濃
度学習が終了していない場合、CPU52は処理をその
ままステップ105へ移行する。
【0033】ステップ105において、CPU52はパ
ージ実行フラグXPGEXが「1」であるか否かを判断
する。このフラグXPGEXが「0」である場合、燃料
パージ実行のための前提条件が成立していないことか
ら、CPU52はステップ106において、燃料パージ
を再開するか否かの判定結果を示すパージ再開フラグX
PGRSTを「0」にリセットする。このフラグXPG
EXが「1」である場合、燃料パージ実行のための前提
条件が成立していることから、CPU52は処理をステ
ップ107へ移行する。
【0034】ステップ107において、CPU52はパ
ージ補正値FHPGに係るガードフラグXFPGMNが
「0」であるか、ガードフラグXFPGMNが「1」で
且つ前回のパージ実行フラグXPGEXOが「1」であ
るか否かを判断する。ここで、ガードフラグXFPGM
Nとは、後述するパージ補正値FHPGの下限値FHP
GMNが算出された後に、以下の式(1)の条件が成立
したときに「1」に設定されるものである。
【0035】 tFHPGCL(=FHPG)≦FHPGMN …(1) ステップ107において、上記条件が成立した場合、ス
テップ108において、CPU52はパージ再開フラグ
XPGRSTを「1」に設定し、その後の処理をステッ
プ109へ移行する。上記条件が成立しない場合、CP
U52はそのまま処理をステップ109へ移行する。
【0036】ステップ109において、CPU52は燃
料蒸気の濃度学習を終了するための条件が成立したか否
かを判断する。この実施形態で、終了条件が成立すると
きとは、以下の各条件を全て満足するときである。即
ち、学習条件カウンタCPGKGOが「0」以下の値で
あること。パージ制御弁22を駆動させるためのデュー
ティ値DPGが所定値D1(例えば「15%」)以上で
あること。後述する前回の学習開始フラグXFPGSO
が「1」であること。エンジン8がアイドル運転状態に
ないこと。ここで、所定値D1以上の値とは、デューテ
ィ値DPGとパージ制御弁22の開度との関係にリニア
リティを確保することのできる値である。学習開始フラ
グXFPGSとは、燃料蒸気の学習が開始されたときに
「1」に設定されるものである。
【0037】ステップ109において、上記終了条件が
成立した場合、CPU52はステップ110において、
学習終了フラグXFPGEを「1」に設定し、その後の
処理をステップ111へ移行する。上記終了条件が成立
しない場合、CPU52はそのまま処理をステップ11
1へ移行する。
【0038】ステップ111において、CPU52は燃
料蒸気の濃度学習を中止するための条件が成立したか否
かを判断する。この実施形態で、中止条件が成立すると
きとは、以下の各条件の少なくとも一つを満足するとき
である。即ち、エンジン8がクランキング中であること
(スタータがオン状態であることを示すスタータフラグ
XSTEFIが「1」であること)。燃料蒸気の濃度学
習が終了していること(学習終了フラグXFPGEが
「1」であること)、且つ前回の濃度判定がリッチでな
いこと(リッチ判定フラグXEVPRが「0」であるこ
と)。燃料蒸気の濃度学習が終了していないこと(学習
終了フラグXFPGEが「0」であること)、且つエン
ジン8がアイドル運転中でないこと(アイドルカウンタ
CPGKG0が「0」以下であること。燃料蒸気の濃度
学習が終了していないこと(学習終了フラグXFPGE
が「0」であること)、且つ燃料パージが実行されてい
ないこと(パージ実行フラグXPGEXが「0」以下で
あること)。
【0039】ステップ111において、中止条件が成立
している場合、CPU52はステップ112において、
学習開始フラグXFPGSを「0」に設定し、処理をス
テップ115へ移行する。中止条件が成立していない場
合、CPU52は処理をステップ113へ移行する。
【0040】ステップ113において、CPU52はス
キップカウンタCSEVPの値が「3」以上であるか否
かを判断する。上記値が「3」以上の場合、混合気の空
燃比が制御されていることから、ステップ114におい
て、CPU52は学習開始フラグXFPGSを「0」に
設定し、処理をステップ115へ移行する。上記値が
「3」未満の場合、空燃比の制御が行われていないこと
から、CPU52はそのまま処理をステップ115へ移
行する。
【0041】ステップ115において、CPU52は燃
料蒸気の濃度学習を終了するための条件が成立したか否
かを判断する。この実施形態で、終了条件が成立したと
きとは、以下の各条件の少なくとも一つを満足するとき
である。即ち、学習開始フラグXFPGSが「0」であ
ること。前回のリッチ判定フラグXEVPRの値が
「1」であり、且つアイドルカウンタCPGKG0の値
が「4.2秒」以上であること。
【0042】ステップ115において、終了条件が成立
している場合、エンジン8がアイドル運転状態に比較的
長く留まっていることになる。そこで、燃料蒸気の濃度
を再度学習するために、ステップ116において、CP
U52は学習終了フラグXFPGEを「0」に設定し、
処理をステップ117へ移行する。終了条件が成立して
いない場合、CPU52はそのまま処理をステップ11
7へ移行する。
【0043】ステップ117において、CPU52は全
開パージ流量QPRGMXの値を算出する。この流量Q
PRGMXはパージライン21を通じて吸気通路10へ
流れ込む燃料蒸気の量を示す。この値は吸気通路10で
発生する吸気負圧の大きさに応じて異なる。この実施形
態で、CPU52は負圧相当量GNと流量QPRGMX
との関係で予め定められた関数データを参照することに
より、流量QPRGMXを算出する。CPU52は、負
圧相当量GNの値を得るために、吸気量Qの値をエンジ
ン回転速度NEの値で除算する。上記関数データにおい
て、負圧相当量GNが大きくなるほど、流量QPRGM
Xが小さくなるように設定される。
【0044】ステップ118において、CPU52は燃
料カットが行われているか否かを判断する。燃料カット
が行われている場合、ステップ119において、CPU
52はパージ制御弁22の開度を決定するためのデュー
ティ値DPGを「0%」に設定し、処理をステップ12
5へ移行する。燃料カットが行われていない場合、CP
U52は処理をステップ120へ移行する。
【0045】ステップ120において、CPU52はガ
ードフラグXFPGMNが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXFPGMNが「1」である場合、パー
ジ補正値FHPGの下限値FHPGMNが算出されてか
ら上記式(1)の条件が成立したことになる。そこで、
CPU52は、ステップ121において、目標パージ流
量QPRGを算出する。CPU52は以下の式(2)に
従って目標パージ流量QPRGを算出する。
【0046】 QPRG=PGR*QAIPG …(2) 式(2)において、「PGR」は後述するパージ率を示
し、「QAIPG」は燃料パージが行われているときに
吸気量センサ43により検出される吸気量Qの値に相当
する。
【0047】一方、ステップ120において、フラグX
FPGMNが「0」である場合、CPU52は、ステッ
プ122において、目標パージ流量QPRGを算出す
る。CPU52は以下の式(3)に従って目標パージ流
量QPRGを算出する。
【0048】 QPRG=PGRB*QAIPG …(3) 式(3)において、「PGRQB」は後述する基本パー
ジ率を示す。ステップ121,122から移行してステ
ップ123において、CPU52はデューティ値DPG
に係る上限値である上限デューティ値DPGMXGを算
出する。CPU52は以下の式(4)に従って上限デュ
ーティ値DPGMXGを算出する。ステップ123の処
理を実行するECU51は、パージ制御弁22の開度に
相当するデューティ値DPGの変化率に係る上限値に相
当するデューティ上限値DPGMXGを設定するための
上限値設定手段に相当する。
【0049】 DPGMXG=DPGO+10(%)≦100(%) …(4) 式(4)において、「DPGO」は前回算出されたデュ
ーティ値DPGの値を意味する。
【0050】ステップ124において、CPU52はデ
ューティ値DPGを算出する。CPU52は以下の式
(5)に従ってデューティ値DPGを算出する。 DPG=QPRG/QPRGMX≦DPGMXG …(5) 上記ステップ119,124の処理を実行するECU5
1は、エンジン8へ供給されるべき燃料蒸気の流量に相
当するデューティ値DPGをエンジン8の運転状態に基
づいて算出するための本発明の第2の算出手段に相当す
る。更に、ステップ123,124の処理を実行するE
CU51は、デューティ値DPGの変化率を上記設定さ
れた上限デューティ値DPGMXGに制限するための本
発明の制限手段に相当する。
【0051】ステップ119,124から移行してステ
ップ125において、CPU52はデューティ値DPG
がデューティ上限値DPGMXG以上であり、且つ学習
開始フラグXFPGSが「1」であるか否かを判断す
る。この判断結果が肯定である場合、ステップ126に
おいて、CPU52はガードフラグXDPGOGを
「1」に設定する。上記判断結果が否定である場合、ス
テップ127において、CPU52はガードフラグXD
PGOGを「0」に設定する。従って、ガードフラグX
DPGOGは、燃料蒸気の学習が開始され、算出された
デューティ値DPGがデューティ上限値DPGMXG以
上である場合に「1」に設定され、それ以外の場合に
「0」に設定される。ステップ125〜ステップ127
は、デューティ値DPGの変化率がその上限デューティ
値DPGMXGに制限されているか否かを判断するため
の判断手段に相当する。
【0052】ステップ126,127から移行してステ
ップ128において、CPU52は今回算出されたデュ
ーティ値DPGに基づきパージ制御弁22の開度をデュ
ーティ制御し、その後の処理を一旦終了する。ステップ
128の処理を実行するECU51は、上記算出された
デューティ値DPGに基づいてパージ制御弁22の開度
を制御するための本発明の第2の制御手段に相当する。
【0053】図6及び図7は前述した基本パージ率PG
RB及びパージ率PRG、並びに後述するベースパージ
補正値FHPGB及び濃度学習値FGHPGを算出する
ための「第1の算出ルーチン」を示すフローチャートで
ある。CPU52はこのルーチンの処理を所定時間(例
えば「102m秒」)毎に周期的に実行する。
【0054】ステップ200において、CPU52は学
習開始フラグXFPGSが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXFPGSが「0」である場合、燃料蒸
気の濃度学習が開始されていないことから、ステップ2
01において、CPU52は基本パージ率PGRBを
「0」に設定する。更に、ステップ225において、C
PU52は後述するガード値Dを「0」に設定し、処理
をステップ230へ移行する。
【0055】ステップ200において、フラグXFPG
Sが「1」である場合、燃料蒸気の濃度学習が開始され
ていることから、ステップ202において、CPU52
は基本パージ率PGRBの値を仮の置き換え値(置換
値)Dとして設定し、処理をステップ203へ移行す
る。
【0056】ステップ203において、CPU52は学
習終了フラグXFPGEが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXFPGEが「1」である場合、燃料蒸
気の濃度学習が終了していることから、CPU52は処
理をステップ220へ移行する。フラグXFPGEが
「0」である場合、燃料蒸気の濃度学習が終了していな
いことから、CPU52は処理をステップ204へ移行
する。
【0057】ステップ204において、CPU52はリ
ッチ・リーンフラグXOXRが「1」であるか否かを判
断する。CPU52はエンジン8の燃焼室に供給される
混合気の空燃比がリッチ又はリーンであるかの判定を別
途のルーチンに基づいて実行する。このフラグXOXR
はその判定結果を示すものであり、判定がリッチの場合
に「1」に設定され、判定がリーンの場合に「0」に設
定される。
【0058】ステップ204において、フラグXOXR
が「1」である場合、空燃比がリッチであることから、
ステップ205において、CPU52は空燃比補正値F
AFが「0.93」よりも小さいか否かを判断する。こ
の判断結果が肯定である場合、ステップ206におい
て、CPU52はガード値Dから「0.005」を減算
した結果を新たなガード値Dとして設定し、処理をステ
ップ212へ移行する。上記判断結果が否定である場
合、CPU52は処理をそのままステップ212へ移行
する。
【0059】一方、ステップ204において、フラグX
OXRが「0」である場合、空燃比がリーンであること
から、CPU52は処理をステップ207へ移行する。
ステップ207において、CPU52はガードフラグX
DPGOGが「1」であるか否かを判断する。このフラ
グXDPGOGが「1」である場合、算出されたデュー
ティ値DPGがデューティ上限値DPGMXG以上であ
ることから、CPU52は処理をステップ208へ移行
する。
【0060】ステップ208において、CPU52はガ
ード値Dを以下の式(6)に従って算出し、処理をステ
ップ212へ移行する。 D=QPRGMX/(QAIPG*DPGMXG) …(6) 一方、ステップ207において、このフラグXDPGO
Gが「0」である場合、算出されたデューティ値DPG
がデューティ上限値DPGMXG未満であることから、
CPU52は処理をステップ209へ移行する。
【0061】ステップ209において、CPU52はリ
ッチ・リーンフラグXOXRが「1」であるか否かを判
断する。このリッチ・リーンフラグXOXRが「1」で
ある場合、空燃比の判定がリッチであることから、CP
U52は処理をステップ212へ移行する。このリッチ
・リーンフラグXOXRが「0」である場合、空燃比の
判定がリーンであることから、CPU52は処理をステ
ップ210へ移行する。
【0062】ステップ210において、CPU52は空
燃比補正値FAFが「0.98」よりも大きいか否かを
判断する。この判断結果が肯定である場合、ステップ2
11において、CPU52はガード値Dに「0.00
5」を加算した結果を新たなガード値Dとして設定し、
処理をステップ212へ移行する。上記判断結果が否定
である場合、CPU52は処理をそのままステップ21
2へ移行する。
【0063】ステップ212において、CPU52は今
回算出されたガード値Dをベースパージ率PGRBとし
て設定する。ステップ213において、CPU52はベ
ースパージ補正値FHPGBをガード値Dとして設定す
る。
【0064】ステップ214において、CPU52はリ
ッチ・リーンフラグXOXRが「1」であるか否かを判
断する。このフラグXOXRが「1」である場合、空燃
比の判定結果がリッチであることから、CPU52は処
理をステップ215へ移行する。
【0065】ステップ215において、CPU52は空
燃比補正値FAFが「0.98」よりも小さいか否かを
判断する。この判断結果が肯定である場合、ステップ2
16において、CPU52はガード値Dから「0.00
104」を減算した結果を新たなガード値Dとして設定
し、処理をステップ230へ移行する。上記判断結果が
否定である場合、CPU52はそのまま処理をステップ
230へ移行する。
【0066】一方、ステップ214において、フラグX
OXRが「0」である場合、空燃比の判定結果がリーン
であることから、CPU52は処理をステップ217へ
移行する。ステップ217において、CPU52は空燃
比補正値FAFが「1.03」よりも大きいか否かを判
断する。この判断結果が肯定である場合、ステップ21
8において、CPU52はガード値Dに「0.0010
4」を加算した結果を新たなガード値Dとして設定し、
処理をステップ230へ移行する。上記判断結果が否定
である場合、CPU52はそのまま処理をステップ23
0へ移行する。
【0067】一方、ステップ203において、学習終了
フラグXFPGEが「1」である場合、燃料蒸気の濃度
学習を終了していることから、CPU52は処理をステ
ップ220へ移行する。
【0068】ステップ220において、CPU52はパ
ージ実行フラグXPGEXが「1」であるか否かを判断
する。このフラグXPGEXが「0」である場合、燃料
パージが実行されていないことから、CPU52は処理
をそのままステップ240へ移行する。このフラグXP
GEXが「1」である場合、燃料パージが実行されてい
ることから、CPU52は処理をステップ221へ移行
する。
【0069】ステップ221において、CPU52は平
均空燃比補正値FAFAVの値が「0.9」よりも小さ
いか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、
CPU52は処理をステップ222へ移行する。ステッ
プ222において、CPU52は平均空燃比補正値FA
FAV、空燃比補正値FAF及びベースパージ補正値F
HPGBをそれぞれ「0.03」に設定し、処理をステ
ップ230へ移行する。
【0070】一方、ステップ221において、判断結果
が否定である場合、CPU52は処理をステップ223
へ移行する。ステップ223において、CPU52は平
均空燃比補正値FAFAVの値が「1.1」よりも大き
いか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、
CPU52は処理をステップ224へ移行する。ステッ
プ224において、CPU52は平均空燃比補正値FA
FAV、空燃比補正値FAF及びパージ補正値FHPG
をそれぞれ「0.03」に設定し、処理をステップ23
0へ移行する。
【0071】ステップ230において、CPU52はガ
ード値Dをベースパージ補正値FHPGBとして設定す
る。ステップ231において、CPU52は学習開始フ
ラグXFPGSが「1」であるか否かを判断する。この
フラグXFPGSが「0」である場合、燃料蒸気の濃度
学習が開始されていないことから、CPU52は処理を
ステップ234へ移行する。ステップ234において、
CPU52はベースパージ補正値FHPGBの値を濃度
学習値FGHPGとして設定し処理をステップ235へ
移行する。
【0072】一方、ステップ231において、フラグX
FPGSが「1」である場合、燃料蒸気の学習が開始さ
れていることから、CPU52は処理をステップ232
へ移行する。ステップ232において、CPU52はデ
ューティ値DPGが「30%」よりも大きいか否かを判
断する。この判断結果が否定である場合、CPU52は
処理をそのままステップ240へ移行する。この判断結
果が肯定である場合、CPU52は処理をステップ23
3へ移行する。
【0073】ステップ233において、CPU52はベ
ースパージ補正値FHPGBの値とベースパージ率PG
RBの値との比を濃度学習値FGHPGとして設定し、
処理をステップ235へ移行する。
【0074】ステップ235において、CPU52は濃
度学習値FGHPGが「0.02」以下であるか否かを
判断する。この判断結果が肯定である場合、CPU52
はステップ236において、リッチ判定フラグXEVP
Rを「1」に設定し、処理をステップ240へ移行す
る。上記判断結果が否定である場合、CPU52はステ
ップ237において、リッチ判定フラグXEVPRを
「0」に設定し、処理をステップ240へ移行する。
【0075】ステップ240において、CPU52はパ
ージ実行フラグXPGEXが「0」であるか、又は学習
開始フラグXFPGSが「0」であるか否かを判断す
る。この判断結果が肯定である場合、燃料パージが行わ
れていないか、燃料蒸気の濃度学習が行われていないこ
とから、CPU52は処理をステップ245へ移行す
る。ステップ245において、CPU52はパージ率P
RGを「0」に設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0076】一方、ステップ240の判断結果が否定で
ある場合、CPU52は処理をステップ241におい
て、CPU52はガードフラグXFPGMNが「1」で
あるか否かを判断する。このフラグXFPGMNが
「1」である場合、パージ補正値FHPGがその下限値
FHPGMN以下であることから、CPU52はその後
の処理を一旦終了する。このフラグXFPGMNが
「0」である場合、パージ補正値FHPGがその下限値
FHPGMNよりも大きいことから、CPU52は処理
をステップ242へ移行する。
【0077】ステップ242において、CPU52はガ
ードフラグXDPGOGが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXDPGOGが「1」である場合、算出
されたデューティ値DPGがデューティ上限値DPGM
XG以上であることから、CPU52は処理をステップ
244へ移行する。ステップ244において、CPU5
2はパージ率PGRの値を以下の式(7)に従って算出
し、その後の処理を一旦終了する。
【0078】 PGR=QPRGMX/(QAIPG*DPGMXG) …(7) 一方、ステップ242において、フラグXDPGOGが
「0」である場合、デューティ値DPGがデューティ上
限値DPGMXG未満であることから、ステップ243
において、CPU52はベースパージ率PGRBの値を
パージ率PGRとして設定し、その後の処理を一旦終了
する。
【0079】図8及び図9は前述したベースパージ補正
値FHPGB、パージ補正値FHPG、その下限値FH
PGMN、ベースパージ率PGRB及びパージ率PGR
を算出するための「第2の算出ルーチン」を示すフロー
チャートである。CPU52はこのルーチンの処理を所
定時間毎に周期的に実行する。
【0080】ステップ300において、CPU52はパ
ージ補正値FHPGの下限値FHPGMNを算出する。
CPU52はこの下限値FHPGMNを以下の式(8)
に従って算出する。 FHPGMN=(tKPGTAU−FMW)/tTAUEVP−FAFKG …(8) ここで、「tKPGTAU」は後述する燃料噴射量TA
Uのガードを決定するための定数である。「FMW」は
インジェクタ7から噴射される燃料のうち、吸気通路1
0の壁面に付着する燃料量を予測して補正するための補
正量を意味する。「tTAUEVP」は(FAFKG+
FHPG)と壁面付着補正量FMWの値を反映しなかっ
た場合の燃料噴射量の計算値を意味する。「FAFK
G」は空燃比補正値FAFと学習値KGXとの和を意味
する。
【0081】ステップ301において、CPU52はガ
ードフラグXDPGOGが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXDPGOGが「1」である場合、算出
されたデューティ値DPGがデューティ上限値DPGM
XG以上であることから、CPU52は処理をステップ
302へ移行する。
【0082】ステップ302において、CPU52は以
下の式(9)に従ってガード値Dを算出する。 D=FGHGP*QPRGMX/(QAIPG*DPGMXG) …(9) 一方、ステップ301において、フラグXDPGOGが
「0」である場合、算出されたデューティ値DPGがデ
ューティ上限値DPGMXG未満であることから、CP
U52は処理をステップ303へ移行する。ステップ3
03において、CPU52はベースパージ補正値FHP
GBをガード値Dとして設定する。
【0083】ステップ302,303から移行してステ
ップ304において、CPU52は上記のように算出さ
れたガード値Dが下限値FHPGMNよりも大きいか否
かを判断する。ガード値Dが下限値FHPGMN以下で
ある場合、CPU52はステップ305において、ガー
ドフラグXFPGMNを「1」に設定する。ガード値D
が下限値FHPGMNよりも大きい場合、CPU52は
ステップ306において、ガードフラグXFPGMNを
「0」に設定する。
【0084】ステップ306から移行してステップ30
7において、各種フラグ条件が成立したか否かを判断す
る。この実施形態で、各種フラグ条件が成立したときと
は、以下の各条件の全てを満足するときである。即ち、
ガードフラグXDPGOGが「1」であること。学習終
了フラグXFPGEが「0」であること。パージ実行フ
ラグXPGEXが「1」であること。上記条件が成立し
た場合、ステップ308において、CPU52はガード
値Dをベースパージ補正値FHPGBとして設定し、処
理をステップ310へ移行する。上記条件が成立しない
場合、CPU52は処理をそのままステップ310へ移
行する。
【0085】ステップ310において、CPU52は燃
料パージが実行されていないか否かを判断する。CPU
52は以下の条件の少なくとも一つが成立したときに、
燃料パージの実行がないものと判断する。即ち、パージ
再開フラグXPGRSTが「0」であること。パージ率
PGRが「0」であること。ここで、燃料パージの実行
がない場合、ステップ311において、CPU52はガ
ード値Dを「0」に設定し、処理をステップ318へ移
行する。燃料パージの実行がある場合、CPU52は処
理をステップ312へ移行する。
【0086】ステップ312において、CPU52はガ
ードフラグXFPGMNが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXFPGMNが「0」である場合、パー
ジ補正値FHPGがその下限値FHPGMNよりも大き
いことから、CPU52は処理をそのままステップ31
8へ移行する。このフラグXFPGMNが「1」である
場合、パージ補正値FHPGがその下限値FHPGMN
以下であることから、ステップ313において、CPU
52はパージ補正値FHPGの下限値FHPGMNをガ
ード値Dとして設定する。
【0087】ステップ314において、CPU52は学
習終了フラグXFPGEが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXFPGEが「1」である場合、燃料蒸
気の濃度学習が終了していることから、CPU52は処
理をそのままステップ318へ移行する。このフラグX
FPGEが「0」である場合、燃料蒸気の濃度学習が終
了していないことから、CPU52は処理をステップ3
15へ移行する。
【0088】ステップ315において、CPU52は濃
度学習値FGHPGが「0」よりも小さいか否かを判断
する。濃度学習値FGHPGが「0」よりも小さい場
合、ステップ316において、CPU52はガード値D
を「0」に設定し、処理をステップ317へ移行する。
濃度学習値FGHPGが「0」以上である場合、CPU
52は処理をそのままステップ317へ移行する。
【0089】ステップ317において、CPU52はガ
ード値Dをベースパージ補正値FHPGBとして設定す
る。ステップ312,314,317から移行してステ
ップ318において、CPU52はガード値Dをパージ
補正値FHPGとして設定する。
【0090】その後、ステップ320において、CPU
52はガードフラグXFPGMNが「1」であるか否か
を判断する。このフラグXFPGMNが「0」である場
合、パージ補正値FHPGがその下限値FHPGMNよ
りも大きいことから、CPU52はそのままその後の処
理を一旦終了する。このフラグXFPGMNが「1」で
ある場合、パージ補正値FHPGがその下限値FHPG
MN以下であることから、CPU52は処理をステップ
321へ移行する。
【0091】ステップ321において、CPU52は下
限値FHPGMNが「0」よりも大きく、或いは濃度学
習値FGHPGが「0」よりも大きいか否かを判断す
る。この判断結果が肯定である場合、ステップ322に
おいて、CPU52はガード値Dを「0」に設定する。
この判断結果が否定である場合、ステップ323におい
て、CPU52は以下の式(10)に従ってガード値D
を算出する。
【0092】 D=FHPGMN/FGHPG …(10) ステップ322,323から移行してステップ324に
おいて、CPU52はパージ実行フラグXPGEXが
「1」であるか否かを判断する。このフラグXPGEX
が「1」である場合、燃料パージが実行されていること
から、ステップ325において、CPU52はガード値
Dをパージ率PGRとして設定し、処理をステップ32
6へ移行する。このフラグXPGEXが「0」である場
合、燃料パージが実行されていないことから、CPU5
2は処理をステップ326へ移行する。
【0093】ステップ326において、CPU52は学
習終了フラグXFPGEが「1」であるか否かを判断す
る。このフラグXFPGEが「1」である場合、燃料蒸
気の濃度学習が終了していることから、CPU52はそ
の後の処理を一旦終了する。このフラグXFPGEが
「0」である場合、燃料蒸気の濃度学習が終了していな
いことから、ステップ327において、CPU52はガ
ード値Dをベースパージ率PGRBとして設定し、その
後の処理を一旦終了する。
【0094】この実施形態で、上記の「第2の算出ルー
チン」を実行するECU51は、デューティ値DPGの
変化率が制限されるときに、算出される燃料噴射量TA
Uを増量補正するためのパージ補正値FHPGを算出す
るための補正値算出手段に相当する。
【0095】図10は各インジェクタ7からの燃料噴射
を制御するための「燃料噴射制御ルーチン」を示すフロ
ーチャートである。CPU52はこのルーチンを所定時
間毎に周期的に実行する。
【0096】ステップ400において、CPU52は各
センサ43,45により検出される吸気量Q及びエンジ
ン回転速度NEの値に基づき基本噴射量TAUbを算出
する。CPU52はROM53に予め記憶された各パラ
メータQ,NE,TAUbの関係よりなる関数データに
基づいて基本噴射量TAUbの値を算出する。
【0097】ステップ410において、CPU52は各
センサ42,44により検出される吸気温度THA及び
冷却水温THW値に基づき温度補正値KTを算出する。
ステップ420において、CPU52は基本噴射量TA
Ubの値、温度補正値KT、空燃比補正値FAF及びパ
ージ補正値FHPGに基づき、以下の式(11)に従い
今回噴射すべき燃料噴射量TAUの値を算出する。 TAU=TAUb×(KT+FAF+FHPG)+FASE+FWL+FHOT …(11) この式(11)において、空燃比補正値FAFは、可燃
混合気がリッチかリーンかに応じて燃料噴射量TAUを
補正するために用いられる。CPU52は、別途のルー
チンに従い、酸素センサ46の検出値から空燃比がリッ
チかリーンかを判定することにより、この補正値FAF
を算出する。各種パラメータFASE,FWL,FHO
Tは前述した増量値である。パージ補正値FHPGは前
述したように算出される。
【0098】従って、この式(11)によれば、燃料噴
射量TAUの算出に空燃比補正値FAFが反映されるこ
とから、混合気の空燃比が目標空燃比となるような燃料
噴射量算TAUの値が得られる。燃料噴射量TAUの算
出にパージ補正値FHPGが反映されることから、混合
気に加えられるパージ燃料量の変化率に応じた燃料噴射
量TAUの値が得られる。
【0099】尚、この実施形態では、パージ制御弁22
が開かれて燃料パージが行われるときに、予めパージ燃
料量を見込んで、本来の基本噴射量TAUbからその
「16%」だけ減量された値が基本噴射量TAUbの値
として適用される。
【0100】ステップ430において、CPU52は今
回算出された燃料噴射量TAUの値に基づいて各インジ
ェクタ7を制御することにより、エンジン8に供給され
るべき燃料量を調整する。ステップ430の処理を終了
した後、CPU52はその後の処理を一旦終了する。
【0101】この実施形態で、ステップ400〜420
の処理を実行するECU51は、可燃混合気の空燃比が
目標空燃比となるようにエンジン8へ供給されるべき燃
料噴射量TAUを算出するための本発明の第1の算出手
段に相当する。ステップ430の処理を実行するECU
51は、算出された燃料噴射量TAUに基づいてインジ
ェクタ7を制御するための本発明の第1の制御手段に相
当する。更に、ステップ430の処理を実行するECU
51は、上記パージ補正値FHPGに基づいて燃料噴射
量TAUを増量補正するための本発明の補正手段に相当
する。
【0102】図11(a)〜(d)は前述した各種パラ
メータQ,DPG,XDPGOG,FHPGの挙動に関
する一例を示すタイムチャートである。時刻t1〜t2
において、エンジン8が定常運転状態から加速され、吸
気量Qが急増したとする。このとき、吸気量Qの増加に
応じ、パージ制御弁22の開度に係るデューティ値DP
Gの変化率が所定の上限値より大きくなり、パージ燃料
量の調整に遅れが生じるおそれがある。そこで、そのこ
とを示すガードフラグXDPGOGが「1」となり、パ
ージ補正値FHPGが増えることにより、燃料噴射量T
AUが増量補正される。
【0103】その後、時刻t2〜t3においては、ある
程度の吸気量Qの増加はあるものの、デューティ値DP
Gの変化率が所定の上限値よりは大きくなく、パージ燃
料量の調整は好適に行われる。そこで、ガードフラグX
DPGOGが「0」となり、パージ補正値FHPGが増
えることはなく、燃料噴射量TAUが増量補正されるこ
とはない。
【0104】続いて、時刻t3〜t4において、吸気量
Qが再び急増し、その増加に応じてデューティ値DPG
の変化率が所定の上限値より大きくなったとする。この
とき、そのことを示すガードフラグXDPGOGが
「1」となり、パージ補正値FHPGが増えて、燃料噴
射量TAUが増量補正される。
【0105】そして、時刻t4〜t5において、吸気量
Qが更に増加することにより、デューティ値DPGがそ
の上限の「100%」に達したとする。このとき、ガー
ドフラグXDPGOGは「1」となり、パージ補正値F
HPGは吸気量Qの変化に応じて増大し、燃料噴射量T
AUが増量補正される。
【0106】以上説明したように、この実施形態の空燃
比制御装置によれば、ECU51はエンジン8に供給さ
れる可燃混合気の空燃比が目標空燃比となるように、各
インジェクタ7から噴射されるべき燃料噴射量TAU
を、エンジン8の運転状態に基づいて算出する。ECU
51はその算出された燃料噴射量TAUに基づいて各イ
ンジェクタ7を制御する。
【0107】ここで、燃料タンク1で発生する燃料蒸気
はキャニスタ14に捕集され、必要に応じ、パージライ
ン21を通じて吸気通路10へパージされる。ECU5
1はエンジン8へ供給されるべき燃料蒸気の流量に相当
するデューティ値DPGをエンジン8の運転状態に基づ
いて算出する。ECU51は算出されたデューティ値D
PGに基づいてパージ制御弁22の開度を制御する。こ
れにより、燃料タンク1で発生する燃料蒸気がキャニス
タ14、パージライン21、パージ制御弁22及び吸気
通路10等を通じ、各インジェクタ7から噴射されて形
成される本来の可燃混合気に付加され、エンジン8にお
ける燃焼に供される。
【0108】ここで、燃料蒸気がパージによってエンジ
ン8に供給される際、ECU51は、パージ制御弁22
の開度、即ちデューティ値DPGの変化率に係る上限
値、即ち上限デューティ値DPGMXGを設定し、その
変化率を設定された上限デューティ値DPGに制限す
る。そして、ECU51はデューティ値DPGの変化率
が上限デューティ値DPGに制限されるとき、上記算出
される燃料噴射量TAUをパージ補正値FHPGの分だ
け増量補正する。
【0109】従って、例えば、エンジン8が定常運転状
態から加速され、エンジン8に供給される吸気量Qが変
化してパージ制御弁22の開度が増大したとする。この
とき、パージ制御弁22の開度の変化率、即ちデューテ
ィ値DPGの変化率がその上限デューティ値DPGMX
Gに制限されることにより、エンジン8に供給される燃
料蒸気の流量が、上限デューティ値DPGMXGに応じ
た流量に制限される。そして、エンジン8に供給される
燃料蒸気の流量が増量補正されることにより可燃混合気
の空燃比が調整される代わりに、各インジェクタ7から
供給される燃料量、即ち燃料噴射量TAUがパージ補正
値FHPGに基づき増量補正されることにより空燃比が
調整される。このため、パージ制御弁22の開度変化に
対してキャニスタ14から吸気通路10へパージされる
燃料に応答遅れがあったとしても、その遅れに拘らず、
エンジン8の可燃混合気の空燃比が目標空燃比へ向けて
速やかに調整される。つまり、パージ制御弁22それ自
体に避けられない作動遅れがあったり、パージライン2
1の経路長さ等に起因してパージ燃料に避けられない応
答遅れがあったりしても、その遅れに拘らず、空燃比が
速やかに好適に調整される。この結果、パージ制御弁2
2によるパージ燃料流量の調整における応答遅れに拘ら
ず、エンジン8の空燃比を安定的に調整することができ
る。この意味から、エンジン8における空燃比の制御精
度を向上させることができる。
【0110】この実施形態によれば、エンジン8におけ
る実際の空燃比を目標空燃比に調整するために、ECU
51は吸気量Qの増加に応じてパージ制御弁22の開度
を増大させる。そして、ECU51はパージ制御弁22
の開度に係るデューティ値DPGの変化率が所定値より
大きいとき以外は、デューティ値DPGが「100%」
に達したときだけ燃料噴射量TAUをパージ補正値FH
PGに基づき増量補正する。従って、デューティ値DP
Gが「100%」に達しない場合には、燃料パージに応
答遅れのおそれがある場合にのみ、燃料噴射量TAUが
増量補正される。このため、燃料噴射量TAUにおける
不要な増量補正を極力抑えることができ、併せて、燃料
蒸気を効率良く利用することができる。
【0111】この実施形態によれば、ECU51は酸素
センサ46の検出結果に基づいて得られる空燃比に基づ
いて空燃比補正値FAFを算出する。ECU51はその
補正値FAFに基づいて燃料噴射量TAUを補正するこ
とにより、可燃混合気の空燃比をフィードバック制御す
る。これにより、可燃混合気に係る実際の空燃比を目標
空燃比に正確に収束させることができる。
【0112】この実施形態によれば、ECU51は酸素
センサ46の検出結果に基づいて得られる空燃比に基づ
き、キャニスタ14から吸気通路10へパージされる燃
料蒸気の濃度学習値FGHPGを学習する。ECU51
はその濃度学習値FGHPGを、燃料噴射量TAUを増
量補正するために使用されるパージ補正値FHPGの算
出に反映させる。このため、エンジン8の運転状態に応
じたより適正な燃料噴射量TAUを算出することがで
き、エンジン8の空燃比をより適正に調整することがで
きる。
【0113】尚、この発明は次のような別の実施形態に
具体化することもできる。以下の実施形態においても、
前記実施形態と同等の作用及び効果を得ることができ
る。 (1)前記実施形態では、酸素センサ46により検出さ
れる酸素濃度Oxに基づいて空燃比補正値FAFを算出
する。その空燃比補正値FAFにより燃料噴射量TAU
を補正することにより、エンジン8における空燃比をフ
ィードバック制御するようにした。これに対し、空燃比
補正値FAFに基づき燃料噴射量TAUを補正すること
なく、即ち空燃比をフィードバック制御することなく、
空燃比を制御するようにしてもよい。
【0114】(2)前記実施形態では、キャニスタ14
が二つの大気弁16,18を有する場合に具体化した
が、これらの弁16,18を省略してキャニスタ14に
大気へ連通する孔だけを設けてもよい。この場合、大気
に連通する孔が本発明の空気導入部となる。
【0115】更に、特許請求の範囲に記載した以外に、
上記各実施形態から把握することのできる技術的思想
を、以下にその効果と共に記載する。 (イ)請求項1に記載の発明において、前記可燃混合気
の空燃比を検出するための空燃比検出手段と、前記第1
の制御手段が前記検出される空燃比に基づいて前記燃料
供給手段をフィードバック制御することとを更に含むも
のである内燃機関の空燃比制御装置。
【0116】この構成によれば、実際の空燃比を目標空
燃比に収束させることができる。 (ロ)請求項1に記載の発明において、前記可燃混合気
の空燃比を検出するための空燃比検出手段と、前記検出
される空燃比に基づいて前記処理手段により処理される
燃料蒸気の濃度を学習するための学習手段と、前記学習
される濃度を前記補正手段により増量補正される補正量
に反映させるための反映手段とを更に含む内燃機関の空
燃比制御装置。
【0117】この構成によれば、燃料蒸気の濃度の学習
結果を補正量に反映させることにより、内燃機関の空燃
比をより適正に調整することができる。
【0118】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、燃料供
給手段から内燃機関に供給される可燃混合気に対し、燃
料タンクで発生する燃料蒸気を処理手段により付加する
ようにした内燃機関を前提とする。そして、可燃混合気
の空燃比が目標空燃比となるように内燃機関へ供給され
るべき燃料量を内燃機関の運転状態に基づき算出し、そ
の算出される供給燃料量に基づき燃料供給手段を制御す
る。内燃機関へ供給されるべき燃料蒸気の流量を内燃機
関の運転状態に基づき算出し、その算出された流量に基
づき流量調整用の調整弁の開度を制御する。更に、その
調整弁の開度の変化率に係る上限値を設定し、その変化
率が上限値に制限されるときに、算出される供給燃料量
を増量補正するようにしている。
【0119】従って、調整弁の開度の変化率が上限値に
制限されるときには、内燃機関に供給される燃料蒸気が
増量されることにより空燃比が調整される代わりに、燃
料供給手段から内燃機関に供給される燃料量が増量補正
されることにより空燃比が調整される。このため、燃料
蒸気の供給遅れの有無に拘らず、可燃混合気の空燃比が
目標空燃比へ向けて速やかに調整される。この結果、パ
ージされる燃料量の変化の応答遅れに拘らず、空燃比を
安定的に調整することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明に係る基本概念構成図。
【図2】 内燃機関の空燃比制御装置を示す概略構成
図。
【図3】 ECUを示すブロック回路図。
【図4】 「燃料パージ制御ルーチン」を示すフローチ
ャート。
【図5】 図4の続きを示すフローチャート。
【図6】 図5の続きを示すフローチャート。
【図7】 「第1の算出ルーチン」を示すフローチャー
ト。
【図8】 図7の続きを示すフローチャート。
【図9】 図8の続きを示すフローチャート。
【図10】 「第2の算出ルーチン」を示すフローチャ
ート。
【図11】 図10の続きを示すフローチャート。
【図12】 図11の続きを示すフローチャート。
【図13】 「燃料噴射制御ルーチン」を示すフローチ
ャート。
【図14】 各種パラメータの挙動を示すタイムチャー
ト。
【図15】 従来の空燃比制御装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
1…燃料タンク、7…燃料供給手段としてのインジェク
タ、8…内燃機関としてのエンジン、ベーパライン1
3、14…キャニスタ、21…パージライン(13,1
4,21は処理手段を構成する。)、22…調整弁とし
てのパージ制御弁、43…吸気量センサ、45…回転速
度センサ、46…酸素センサ(43,45,46は運転
状態検出手段を構成する。)、51…ECU(51は第
1の算出手段、第1の制御手段、第2の算出手段、第2
の制御手段、制限手段及び補正手段を構成する。)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に供給される燃料と空気との可
    燃混合気に係る空燃比を制御するようにした空燃比制御
    装置であって、 前記内燃機関に燃料を供給するための燃料供給手段と、 前記燃料を貯留するための燃料タンクで発生する燃料蒸
    気を前記内燃機関へ流して処理するための処理手段と、 前記処理手段を通じて前記内燃機関へ供給される燃料蒸
    気の流量を調整するための調整弁と、 前記内燃機関の運転状態を検出するための運転状態検出
    手段と、 前記可燃混合気の空燃比が目標空燃比となるように前記
    内燃機関へ供給されるべき燃料量を前記検出される運転
    状態に基づいて算出するための第1の算出手段と、 前記算出される供給燃料量に基づいて前記燃料供給手段
    を制御するための第1の制御手段と、 前記内燃機関へ供給されるべき燃料蒸気の流量を前記検
    出される運転状態に基づいて算出するための第2の算出
    手段と、 前記算出される燃料蒸気の流量に基づいて前記調整弁の
    開度を制御するための第2の制御手段と、 前記制御される調整弁の開度の変化率に係る上限値を設
    定し、前記変化率を前記設定された上限値に制限するた
    めの制限手段と、 前記制限手段により前記変化率が制限されるときに、前
    記算出される供給燃料量を増量補正するための補正手段
    とを備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装
    置。
JP24621396A 1996-09-18 1996-09-18 内燃機関の空燃比制御装置 Expired - Fee Related JP3269400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24621396A JP3269400B2 (ja) 1996-09-18 1996-09-18 内燃機関の空燃比制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24621396A JP3269400B2 (ja) 1996-09-18 1996-09-18 内燃機関の空燃比制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1089131A true JPH1089131A (ja) 1998-04-07
JP3269400B2 JP3269400B2 (ja) 2002-03-25

Family

ID=17145209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24621396A Expired - Fee Related JP3269400B2 (ja) 1996-09-18 1996-09-18 内燃機関の空燃比制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3269400B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040015578A (ko) * 2002-08-13 2004-02-19 현대자동차주식회사 와이어 컨넥터

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040015578A (ko) * 2002-08-13 2004-02-19 현대자동차주식회사 와이어 컨넥터

Also Published As

Publication number Publication date
JP3269400B2 (ja) 2002-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6779512B2 (en) Apparatus and method for controlling internal combustion engine
JP3239701B2 (ja) 燃料蒸気処理装置の故障診断装置
JP2008101524A (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
WO1996018814A1 (fr) Systeme de controle de l'evaporation de carburant
EP0810366B1 (en) Evaporative fuel processing apparatus of an internal combustion engine
US6729319B2 (en) Apparatus and method for controlling internal combustion engine
JPH08218922A (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3458571B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JPH0742595A (ja) 内燃機関の異常判定装置
US6092515A (en) Air-fuel ratio control system for internal combustion engine
US5791321A (en) Fuel supplying apparatus for internal combustion engine
JP3620210B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP3269400B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP3339258B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JPH0733797B2 (ja) アイドル回転数制御方法
JP2001336438A (ja) エンジンの空燃比制御装置
JP4052710B2 (ja) エンジンの空燃比制御方法および空燃比制御装置
JPH08284713A (ja) エンジンの蒸発燃料処理装置
JP3500693B2 (ja) 燃料蒸気処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置
JPH11159406A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4039343B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP2019210838A (ja) 蒸発燃料処理装置
JPH05202815A (ja) 空燃比学習制御方法
JP2745984B2 (ja) エバポパージシステムの故障診断装置
JPS6198956A (ja) 電子制御エンジンの高温再始動制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080118

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090118

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090118

FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100118

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees