JPH1088036A - 金属材料表面処理用水性組成物 - Google Patents

金属材料表面処理用水性組成物

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JPH1088036A
JPH1088036A JP8265193A JP26519396A JPH1088036A JP H1088036 A JPH1088036 A JP H1088036A JP 8265193 A JP8265193 A JP 8265193A JP 26519396 A JP26519396 A JP 26519396A JP H1088036 A JPH1088036 A JP H1088036A
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JP
Japan
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synthetic resin
acid
water
ion
resin
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JP8265193A
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English (en)
Inventor
Shinobu Komiyama
忍 小見山
Yuzuru Matsubara
譲 松原
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Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の樹脂含有型クロメート処理の諸性能を
維持したまま、さらに高度な加工部耐食性や端面耐食
性、導電性、塗工性等を付与するために用いる金属材料
表面処理用水性組成物の提供。 【解決手段】 水溶性合成樹脂、6価クロムイオン、ス
メクタイト系粘土鉱物[Si8(MgaLib)O20(O
H)c4-c-xMe+x(0<a≦6、0<b≦6、4<
a+b<8、0≦c≦4、x=12−2a−b、Me:
Na、K、LiおよびNH4の少なくとも1種)および
水よりなるか、合成樹脂、6価クロムイオン、該スメク
タイト系粘土鉱物、界面活性剤および水よりなる金属材
料表面処理用水性組成物であって、合成樹脂は水溶性合
成樹脂を包含し、合成樹脂:6価クロムイオン:スメク
タイト系粘土鉱物の重量比が25〜1000:5:0.
1〜300である該金属材料表面処理用水性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属材料表面処理用
水性組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、例え
ば、鉄、鉄鋼、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ス
テンレス鋼、錫、チタン材料等の表面保護を必要とする
金属材料、特に工業上最も重要な材料の一つである鉄鋼
材料の表面に亜鉛、亜鉛基合金、アルミニウム等をめっ
きしためっき鋼材の防錆処理のために用いる金属材料表
面処理用水性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料、とりわけその代表的存在であ
る鉄鋼材料は、その優れた物理的性質と経済性により工
業材料の不動の王座を依然として維持している。その背
景には、鉄鋼材料の最大の弱点である腐食損耗に対する
不断の対策努力が成されてきたことを見逃すことはでき
ない。その代表的存在が鋼材表面に亜鉛、亜鉛基合金、
アルミニウム等がめっきされためっき鋼材である。鋼材
表面に被覆された亜鉛、亜鉛基合金、アルミニウム等の
めっき金属は、母材の鋼材に対して、通常、電位的に卑
となり犠牲防食作用を示すと共に、表面にバリヤー化合
物層を形成してめっき層自身の損耗を防ぎ、長期間に亘
り母材である鋼材の保護を可能ならしめている。
【0003】めっき層である亜鉛、亜鉛基合金、アルミ
ニウム等は実際の使用環境で酸化されて表面にこれらの
金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物等からなるバ
リヤー化合物層を形成してめっき金属層を保護するが、
バリヤー効果は完全ではないので、めっき層の損耗が徐
々に進行し、めっき層の消滅した時点で母材の腐食が進
行する。このバリヤー化合物層は白錆と呼ばれ美観上は
好まれず、特にめっき鋼材が実際の使用に供せられるま
での流通過程で発生した場合は不良クレームになる。こ
のため通常これらのめっき鋼材はクロム酸塩を主成分と
するクロメート処理を施されて出荷されている。
【0004】これらめっき鋼材の中で最も生産量が多い
ものは板状および帯状の製品である。めっき鋼帯は帯状
の鋼材を連続めっきラインでめっきすることにより生産
される。板状製品は通常鋼帯状でめっきされた後、スリ
ッターラインで切断されて作られる。連続めっきライン
はきわめて生産性が高く、通板速度は一般に100〜2
00メートル/分である。めっき鋼帯のクロメート処理
は、通常連続めっきライン内で実施され、その工程はめ
っき工程と鋼帯巻取り装置の間に設置されている。
【0005】連続めっきラインは高速であるため、反応
時間と後水洗工程を要する反応型クロメート処理は長い
処理ゾーンを必要とするので好ましくなく、通常非反応
型の塗布型クロメート処理が採用されている。その処理
方法はクロム酸を含有する水性組成物をスプレー法また
は浸漬法でめっき鋼板表面に接液させた後、余剰の液を
ロール絞りまたは気体絞りで排除して塗布するか、一定
量をロールコータで塗布した後、直ちに加熱エアー、赤
外線、遠赤外線、誘導加熱等の加熱方法で乾燥させるも
のである。
【0006】連続めっきラインが国内で初めて建設され
てしばらくの期間は塗布型クロメート処理として単純な
無水クロム酸水溶液による処理が実施されてきた。めっ
き鋼板が製品化された当初は短期間の防錆(白錆発生の
抑制)だけが要求されたにすぎなかったが、近年では、
さらに高度な耐食性、耐黒変性、加工性、耐指紋性、上
塗り塗装密着性、低公害性(クロム固定率)等多岐に亘
る要求項目を満足する必要が出てきている。
【0007】これらの要求性能を満足すべく、合成樹脂
含有型クロメート処理液を用いた処理を施すことにより
付加価値を高める表面処理方法が知られており、以下に
示す関連技術が開示されている。例えば、特公昭44−
5285号、特公昭44−8337号、特公昭49−3
1026号、特公昭49−40865号、特公昭50−
31026号、特開昭50−57931号、特公平7−
6070号、特開平5−279867号、特開平6−1
92850号公報等に数多くの処理液が開示されてい
る。
【0008】これらの先行技術は、水溶性合成樹脂もし
くは合成樹脂分散液とクロム酸化合物を主成分としてい
る。これらの合成樹脂含有型クロメート処理により金属
材料表面上に形成される皮膜は、通常の無機クロメート
皮膜に比べて、耐食性、上塗り塗装密着性、耐指紋性、
クロム固定率、潤滑性、加工性、外観等の性能において
優れている。しかし、難導電性物質である合成樹脂を皮
膜中に多く含むため、溶接性やアース性等の電気特性に
関しては望ましくないため、クロメート皮膜と合成樹脂
材料との配合比率は用途により2種類に大別されてい
る。
【0009】通常の無機クロメート皮膜に対して0.0
1〜2倍程度の合成樹脂材料をクロメート処理液に配合
すると、通常、溶接性やアース性等の電気特性に大きな
悪影響を与えずに、耐食性、耐指紋性、クロム固定率、
潤滑性、加工性等の諸性能をワンランク向上させること
ができる。また、極性基を有するアクリル酸、マレイン
酸等を構造中に多く含む水溶性高分子を配合すると、通
常、特に上塗り塗装密着性を向上させることができる。
以上のように、無機クロメート皮膜中に比較的少量の樹
脂材料を配合した樹脂含有型クロメート処理は、通常の
無機クロメート処理の高機能グレードとして位置付けら
れている。
【0010】一方、クロメート皮膜に対して2〜300
倍程度の合成樹脂材料を配合した合成樹脂含有型クロメ
ート処理皮膜は、電気特性は低下するが、特に加工性、
加工部耐食性、潤滑性、クロム固定率等を飛躍的に改良
することができ、通常の無機クロメート処理とは別格の
高級処理として位置付けられている。また、最近では加
工性のさらなる向上要求があり、特開平3−21908
6号公報では、合成樹脂含有型クロメート処理液中にノ
ニオン性乳化剤で分散した潤滑剤成分を配合することで
高度な潤滑性および加工性を付与している。しかしなが
ら、これらの方法により製造された合成樹脂含有型クロ
メート処理層の加工部耐食性は、無機ベースのクロメー
ト皮膜に比べると極めて良好だが、高度な加工用途が広
がる中、未だに不十分である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
抱える上記問題を解決し、金属材料、例えば鉄、鉄鋼、
亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス鋼、
錫、チタン材料等の表面保護を必要とする金属材料、特
にこれらの金属材料の中で、工業上最も重要な位置を占
めている鉄鋼材料に防食目的で亜鉛、亜鉛基合金、アル
ミニウム等をめっきしためっき鋼材に、従来の樹脂含有
型クロメート処理の諸性能を維持したまま、さらに高度
な加工部耐食性や端面耐食性、導電性(アース性および
溶接性)、塗工性(処理液のチクソトロピー粘性に起因
する均一塗工性(外観均一性))等を付与するために用
いる金属材料表面処理用水性組成物を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために合成樹脂含有クロメート処理液中に配
合できる、薄膜バリヤー形成能を有する物質につき鋭意
研究を進めてきた。その結果、スメクタイト系粘土鉱物
が良好な薄膜バリヤー形成能を有することを見出し、本
発明を完成した。すなわち、本発明は水溶性合成樹脂、
6価クロムイオン、スメクタイト系粘土鉱物[Si
8(MgaLib)O20(OH)c4-c-xMe+x(0<
a≦6、0<b≦6、4<a+b<8、0≦c≦4、x
=12−2a−b、Me:Na、K、LiおよびNH4
の少なくとも1種)および水よりなるか、合成樹脂、6
価クロムイオン、該スメクタイト系粘土鉱物、界面活性
剤および水よりなる金属材料表面処理用水性組成物であ
って、合成樹脂は水溶性合成樹脂を包含し、合成樹脂:
6価クロムイオン:スメクタイト系粘土鉱物の重量比が
25〜1000:5:0.1〜300である該金属材料
表面処理用水性組成物に関する。上記水溶性合成樹脂は
上記合成樹脂中常温で水溶性のものをいい、上記合成樹
脂としてはエチレン性不飽和モノマーの重合体である樹
脂(特にアクリル系樹脂)、アルキド樹脂、エポキシ樹
脂およびウレタン樹脂の中から選ばれる少なくとも1種
を使用することが好ましい。
【0013】本発明の金属材料表面処理用水性組成物は
さらに3価クロムイオンを6価クロムイオンを代替する
形で含有し、合成樹脂:6価クロムイオン+3価クロム
イオン:スメクタイト系粘土鉱物の重量比が25〜10
00:5:0.1〜300であり、3価クロムイオン/
(6価クロムイオン+3価クロムイオン)の重量比が
0.1〜0.9であることが、金属材料表面に形成され
るクロメート皮膜の水難溶性を高めてクロム固定率を高
めるために好ましい。また、本発明の金属材料表面処理
用水性組成物は、3価クロムイオンを含有する場合にお
いて、さらにりん酸イオンを、りん酸イオン(P
3- 4)/(6価クロムイオン+3価クロムイオン)の
重量比が0.05〜5.0となるよう含有させる場合に
は、3価クロムイオン/(6価クロムイオン+3価クロ
ムイオン)の重量比を高め、また3価クロム化合物によ
る着色を抑止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の金属材料表面処理用水性
組成物は、基本的には従来の合成樹脂含有型クロメート
処理水性組成物にスメクタイト系粘土鉱物を配合したも
のである。本発明の金属材料表面処理用水性組成物にお
いて使用する合成樹脂については、すでに既知のごと
く、これを従来からの無機ベースのクロメート処理液中
に配合することにより、樹脂膜のバリヤー効果により耐
食性を大幅に向上させることができ、耐指紋性、クロム
固定率、潤滑性、加工性、外観等の性能も大きく向上さ
せることができる。本発明の金属材料表面処理用水性組
成物において使用する合成樹脂は、特に制限されない
が、エチレン性不飽和モノマーの重合体である樹脂(特
にアクリル系樹脂)、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂お
よびウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1
種であることが好ましく、これらの中でもエチレン性不
飽和モノマーの重合体である樹脂(特にアクリル系樹
脂)であることがさらに好ましい。また、これらの合成
樹脂は常温で水に可溶性であっても不溶性であっても良
い。
【0015】エチレン性不飽和モノマーの重合体である
樹脂としては、一般に、以下に示すモノマーの単独重合
体または2種以上の共重合体を用いることができる。な
お、以下の例示において「低級」は炭素数が1〜4であ
ることを示す。本発明でアクリル系樹脂とは、下記
(1)のうちのアクリル酸もしくはメタクリル酸、下記
(2)、(3)、(4)および(5)の少なくとも1種
のアクリル系モノマーから構成される単独重合体もしく
は共重合体、またはこれらの少なくとも1種のアクリル
系モノマーと(1)のアクリル酸およびメタクリル酸を
除くモノマーおよび(6)のモノマーの少なくとも1種
のモノマーとの共重合体であって、アクリル系モノマー
の構成比が使用全モノマーに対して30モル%以上であ
るものをいうものとする。
【0016】(1)アクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等、これらの
うち2塩基酸のハーフエステル等のエチレン性不飽和カ
ルボン酸モノマー、特にアクリル酸およびメタクリル
酸、(2)N−メチロールアクリルアミド、N−メチロ
ールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルア
ミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のN−非
置換もしくは置換(特に低級アルコキシ置換)メチロー
ル基を有する(メタ)アクリルアミド、(3)ホスホニ
ルオキシメチルアクリレート、ホスホニルオキシエチル
アクリレート、ホスホニルオキシプロピルアクリレー
ト、ホスホニルオキシメチルメタクリレート、ホスホニ
ルオキシエチルメタクリレート、ホスホニルオキシプロ
ピルメタクリレート等のホスホニルオキシ低級アルキル
(メタ)アクリレート、
【0017】(4)メトキシメチルアクリレート、メト
キシエチルアクリレート、エトキシメチルアクリレー
ト、エトキシエチルアクリレート、メトキシメチルメタ
クリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシ
メチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート
等の低級アルコキシ低級アルキル(メタ)アクリレー
ト、(5)メチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソ
プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n
−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリ
レート、オクチルアクリレート等の炭素数1〜8のアル
カノールと(メタ)アクリル酸とのエステル、アクリロ
ニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の上記
(1)〜(4)に該当しないアクリル系モノマー、およ
び(6)スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、α位
で分岐した飽和カルボン酸のビニルエステル、塩化ビニ
ル、ビニルトルエン、エチレン等のその他のエチレン性
モノマー。
【0018】エチレン性モノマーの重合体である合成樹
脂の分子量については特に制限ないが、例えば、スチレ
ン樹脂またはアクリル酸エステル樹脂を標準物質として
用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定
した場合、1,000〜1000,000、特に10
0,000〜600,000であることが好ましい。
【0019】アルキド樹脂としては、2価アルコール
(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール等)または3価以上のアルコ
ール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、
トリグリセリン、ペンタエリトリット、マンニット、ソ
ルビット等)と無水フタル酸、フタル酸、無水イソフタ
ル酸、イソフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、コハク酸、セバシン酸等の多塩基酸もしくはそ
の無水物との縮合物が挙げられる。これらのうち、フタ
ル酸(無水フタル酸)またはマレイン酸(無水マレイン
酸)をベースにするものが好ましく、フタル酸(無水フ
タル酸)またはマレイン酸(無水マレイン酸)とグリセ
リンもしくはペンタエリトリット特にグリセリンとから
なるものが特に好ましい。アルキド樹脂の分子量につい
ては特に制限はない。
【0020】エポキシ樹脂としては、ビスフェノール
類、特にビスフェノールA(2,2−ビス(4´−ヒド
ロキシフェニル)プロパン)とエピクロルヒドリンとを
反応させて得られる、ビスフェノール型エポキシ樹脂、
特に下記式で表わされるビスフェノールA型エポキシ樹
脂をまず挙げることができる。他の例として、フェノー
ルノボラック樹脂のフェノール性水酸基をグリシジルエ
ーテル化したノボラック型エポキシ樹脂、芳香族カルボ
ン酸のグリシジルエステル、エチレン性不飽和化合物の
二重結合を過酸でエポキシ化した過酸エポキシ型等を挙
げることができる。さらに、上記のごときエポキシ樹脂
の樹脂骨格にエチレンオキシドまたはプロピレンオキシ
ドを付加したもの、多価アルコールのグリシジルエーテ
ル型等も挙げることができる。これらの中でビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂を用いるのがもっとも好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】エポキシ樹脂の分子量については特に制限
ないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーで測定した場合、ポリスチレン換算として350〜
5000であることが好ましい。
【0023】本発明の金属材料表面処理用水性組成物中
の合成樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、通常
エポキシ樹脂の硬化剤も含有させる。この硬化剤は通常
本組成物の使用直前に添加するが、硬化剤を含有してい
てもいなくても本発明の組成物中に入る。硬化剤として
は、エポキシ基に対する活性水素含有化合物の付加重合
反応、塩基性触媒や酸性触媒による開環重合反応、水酸
基に対するメチロール基の縮合反応、イソシアナト基の
付加反応等の種々の反応機構を利用した硬化剤を用いる
ことができる。代表的な硬化剤としては、ジエチレント
リアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペ
ンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノ
エチルピペラジン、イソホロンジアミン、キシレンジア
ミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメ
タン、ジアミノジフェニルスルホン、無水フタル酸、無
水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、メチルテトラ
ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチ
ルナジック酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチ
ルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク
酸、ポリアゼライン酸無水物等のアミン系および酸無水
物が挙げられる。
【0024】ウレタン樹脂は、ウレタン結合(NHCO
O)を有する合成樹脂であり、ウレタン樹脂としては、
一般にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシア
ネート化合物と活性水素基を2個以上有するポリオール
との重付加反応によって得られるものを用いることがで
きる。本発明では例えば主剤としてのポリプロピレング
リコールエーテル(HO[−CH2−CH(CH3)−O
−]n−H)、ポリテトラメチレングリコールエーテル
(HO[−CH2−CH2−CH2−CH2−O−]n
H)等のポリエーテルポリオール、エチレングリコール
もしくはプロピレングリコールとアジピン酸より構成さ
れ、末端がヒドロキシル基であるジオール、ポリカプロ
ラクトンジオール等のポリエステルポリオールまたはビ
スフェノールを、硬化剤としてのトリレンジイソシアネ
ート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシア
ネートを用いて硬化させて得たウレタン樹脂を用いるこ
とができる。また上記硬化剤としてメチルエチルケトン
オキシム、ε−カプロラクタム、アセト酢酸エチル、フ
ェノール等の活性水素化合物をブロック剤として用いた
ブロックポリイソシアネートなどに代表される硬化剤を
用いても良い。ウレタン樹脂の分子量については特に制
限はない。なお、上記以外の合成樹脂を用いても差支え
ない。
【0025】上述の各種合成樹脂して市販のものを用い
ることはもちろん可能であり、その場合、一般に、合成
樹脂が水溶性の場合水溶液として入手することができ、
合成樹脂が水不溶性の場合後に詳記する界面活性剤で水
に分散させた分散液として入手することができる。
【0026】6価クロムイオンはクロメート処理の主要
成分で、特にクロム酸イオン(CrO2- 4)の形態でめ
っき鋼材表面を不動態化して防錆効果を発揮する。6価
クロムイオンは水溶性6価クロム化合物として供給さ
れ、水溶性6価クロム化合物としては、無水クロム酸、
重クロム酸アンモニウム、クロム酸アンモニウム、クロ
ム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クロム酸リチウム
等の水に可溶なクロム酸または重クロム酸化合物が挙げ
られる。
【0027】亜鉛、亜鉛基合金、アルミニウム等をめっ
きしためっき鋼材の高級防錆処理として実施される樹脂
含有型クロメート処理において、本発明において用いら
れるスメクタイト系粘土鉱物を含有させることにより、
従来の樹脂含有型クロメート処理で達成される諸性能を
維持したまま、さらに高度な加工部耐食性や端面耐食
性、導電性(溶接性、アース性)、塗工性等の性能を顕
著に向上させることができ、加えて処理面の光沢度を従
来の樹脂含有型クロメート処理の場合に比し低減させる
ことができる(防眩効果)。
【0028】本発明において用いられるスメクタイト系
粘土鉱物は、以下の一般式[Si8(MgaLib)O20
(OH)c4-c-xMe+x(0<a≦6、0<b≦6、
4<a+b<8、0≦c≦4、x=12−2a−b、M
e:Na、K、LiおよびNH4の少なくとも1種)を
有する粘土鉱物である。この粘土鉱物は、天然にも産す
るが合成品としても得られる。スメクタイト系粘土鉱物
の粒子は一般に小さいため、薄膜形成性に優れるという
性質がある。特に合成品はより小さい粒子径のものが得
られることから薄膜形成を目的とする場合は合成品を用
いることが望ましい。 本発明において用いられるスメ
クタイト系粘土鉱物の具体的な例としては、モンモリロ
ナイト、ソーコナイト、バイデライト、ヘクライト等を
挙げることができるが、粒子径が小さいことからヘクラ
イトが好ましい。ヘクライトには天然ヘクライトと合成
ヘクライトがあり、どちらも本発明において用いること
ができるが、一般により小さい粒子径を有する合成ヘク
ライトがもっとも好ましい。
【0029】スメクタイト系粘土鉱物は層状構造をして
おり、層状構造における結晶構造各層は、厚さ約1mμ
の二次元小板よりなっている。そしてこの小板ユニット
に存在するマグネシウム原子とアルミニウム原子の一部
が低原子価の陽イオン原子と同型置換しており、その結
果小板ユニットは負に帯電している。乾燥状態ではこの
負電荷はプレート面の格子構造外側にある置換可能な陽
イオンと釣り合っており、固相ではこれらの粒子はファ
ンデルワールス力により互いに結合し平板の束を形成し
ている。このようなスメクタイト系粘土鉱物を水相に分
散すると、置換可能な陽イオンが水和されて粒子が膨潤
を起こし、高速ディソルバー等の通常の分散機を用いて
分散させると安定なゾルを得ることができる。このよう
に水相に分散された状態では小板は表面が負の電荷とな
り、相互に静電気的に反発し、小板状の一次粒子にまで
細分化されたゾルになる。スメクタイト系粘土鉱物の水
相分散物は厚さ約1mμの2次元小板すなわち方形また
は円板状のプレートでプレート面の一辺もしくは直径は
20〜500mμであると考えられている。一次粒子の
形状が厚さ約1mμで20〜40mμの直径を持つ円板
状粒子である合成ヘクライトが市販されている。
【0030】本発明の金属材料表面処理用水性組成物に
おいて、合成樹脂として水溶性合成樹脂を用いる場合に
は、界面活性剤は必須ではないが、合成樹脂として常温
で水に溶けない合成樹脂を使用する場合には、界面活性
剤はこれらの合成樹脂の分散安定性のため必要になる。
またスメクタイト系粘土鉱物は一般に水に安定に分散す
るが、場合により、さらなる分散安定性のため、また水
溶性合成樹脂を用いる場合にもそれが一部析出した場合
の分散安定性のためにも界面活性剤を使用することが好
ましい場合がある。かかる界面活性剤としては、通常非
イオン性界面活性剤または陰イオン性界面活性剤を用い
る。
【0031】非イオン性界面活性剤としては特に制限は
ないが、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレンま
たはポリオキシプロピレン、特にポリオキシエチレン)
型が好ましい。ポリオキシアルキレン型としてはエーテ
ル型、エステル型、エステル・エーテル型等が使用で
き、エーテル型としてはポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル(アルキルは通常C8または9)、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル(アルキルは通常C8
またはC9)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ンアルキルエーテル(アルキルは通常C8またはC
9)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキ
ルフェニルエーテル(アルキルは通常C8またはC9)
等が;エステル型としてはポリオキシエチレン高級脂肪
酸エステル(モノもしくはジエステル)(高級脂肪酸は
通常C12〜C18の飽和もしくは不飽和一価脂肪
酸)、ポリオキシエチレン高級多価脂肪酸エステル(モ
ノ、ジもしくはトリエステル)(高級多価脂肪酸として
は炭素数36の、オレイン酸もしくはリノール酸のダイ
マー酸、炭素数54の、オレイン酸もしくはリノール酸
のトリマー酸等が挙げられる)、ポリオキシエチレン重
縮合オキシ脂肪酸エステル(モノもしくはジエステル)
(重縮合オキシ脂肪酸としては炭素数36〜180程度
のものが適当であり、例えば、リシノール酸、オキシス
テアリン酸等が2分子〜10分子つながったものが挙げ
られる)等が;エステル・エーテル型としてはポリオキ
シエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル(通常モノエ
ステル)(高級脂肪酸は通常C12〜C18の飽和もし
くは不飽和一価脂肪酸)、ポリオキシエチレンソルビト
ール高級脂肪酸エステル(通常モノエステル)(高級脂
肪酸は通常C12〜C18の飽和もしくは不飽和一価脂
肪酸)等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては
また、ソルビタン、ソルビトール、グリセロール等の多
価アルコールの高級脂肪酸エステル(通常モノエステ
ル)(高級脂肪酸は通常C12〜C18の飽和もしくは
不飽和一価脂肪酸)も用いることができる。
【0032】陰イオン性界面活性剤としては特に制限は
ないが、高級脂肪酸塩(高級脂肪酸は通常C12〜C1
8の飽和もしくは不飽和一価脂肪酸)、アルキル硫酸エ
ステル塩(アルキルは通常C12〜C18のアルキ
ル)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキルは通常
C11〜C15のアルキル)、アルキルナフタレンスル
ホン酸塩(アルキルは通常C4程度のアルキル)、ジア
ルキルスルホコハク酸エステル塩(2つのアルキルの合
計炭素数が通常10〜20)、アルキルリン酸エステル
塩(アルキルは通常C12〜C18のアルキル)、ホル
マリン縮合ナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレ
ンアルキル硫酸エステル塩(アルキルは通常C8または
C9のアルキル)、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ル硫酸エステル塩(アルキルは通常C8または9のアル
キル)等が挙げられる。上記で塩は通常アルカリ金属
塩、特にナトリウム塩が好ましい。上記各界面活性剤は
各単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0033】本発明の金属材料表面処理用水性組成物は
任意成分として3価クロムイオンを6価クロムイオンの
一部を代替する形で含有していても良い。6価クロムイ
オンに3価クロムイオンを混在させることにより、めっ
き鋼材表面に形成されるクロメート皮膜の水難溶性が増
し、クロム固定率が向上する。3価クロムイオンの供給
は3価クロム化合物の添加によって行っても良いが、組
成物中に不要なアニオンが導入されるのを避けるため、
6価クロムイオン(通常クロム酸イオン)の還元剤によ
る部分還元により行うのが好ましい。
【0034】この場合に用いる還元剤としては、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
サッカロース、デキストリン、澱粉化合物、タンニン
酸、没食子酸、ポリビニルアルコール、アスコルビン
酸、ホルムアルデヒド等の、6価クロムイオンに3価ク
ロムイオンに還元する作用を有する、アルコール性水酸
基を有する有機化合物、または過酸化水素、第一鉄塩、
亜硫酸塩、重亜硫酸塩、次亜りん酸塩、亜硝酸塩等の、
6価クロムイオンに3価クロムイオンに還元する作用を
有する無機化合物が挙げられる。この還元操作は、本発
明の金属材料表面処理用水性組成物を調製する過程で通
常実施される。また、未反応状態の上記還元剤を組成物
中に若干残存させるか使用直前に必要量を添加すること
により、クロメート処理時の乾燥工程で還元反応を起こ
させることができる。これにより難溶性の3価クロムを
主体とした皮膜を形成できるため、クロム固定率等の性
能をより向上させることができる。
【0035】本発明の金属材料表面処理用水性組成物は
任意成分として、りん酸イオンおよびホスホン酸イオン
の少なくとも1種を含有することができる。単純な6価
クロムイオンの部分還元では、クロム還元率(Cr3+
Cr3++Cr6+)(Cr3+およびCr6+はそれぞれのイ
オンの組成物中におけるグラムイオン濃度を示す)は3
0%あたりが限界である。これ以上還元を進めると3価
クロムイオンが水酸化クロムとして析出する。めっき鋼
板表面に形成されるクロメート皮膜の水難溶化(クロム
固定率)の向上のためにはクロム還元率をさらに高める
ことが必要な場合が多い。よってクロム還元率を30%
超にするには、還元生成した3価クロムイオンを液中に
溶解保持するためのアニオンが必要になる。そのための
アニオンとして、耐食性等の諸性能に対し比較的に影響
の少ないりん酸イオンもしくはホスホン酸イオンが用い
られる。また、りん酸イオンおよびホスホン酸イオンは
3価クロム化合物による着色を抑止する効果があるため
外観向上の目的でも使用される。
【0036】本発明の金属材料表面処理用水性組成物に
おいては、合成樹脂:6価クロムイオン:スメクタイト
系粘土鉱物の重量比が25〜1000:5:0.1〜3
00であることが、本発明の目的を達成するために必要
であり、50〜500:5:0.3〜100であること
が好ましい。6価クロムイオンに対する合成樹脂の重量
比が25より小さいと充分な耐食性、加工性、耐指紋
性、潤滑性等が得られないことがあり、1000より大
きいと皮膜中のクロム濃度が低くなりすぎ、充分な耐食
性が得られないことがある。また、6価クロムイオンに
対するスメクタイト系粘土鉱物の重量比が0.1より小
さいと充分なバリヤー効果が得られないことがあり、3
00より大きいと効果は飽和し、経済的に不利となる。
【0037】本発明の金属材料表面処理用水性組成物中
の6価クロムイオンの一部を3価クロムイオンで代替し
て、金属材料表面に形成されるクロメート皮膜の水難溶
性を高めてクロム固定率を高めるためには、本組成物中
において合成樹脂:6価クロムイオン+3価クロムイオ
ン:スメクタイト系粘土鉱物の重量比が25〜100
0:5:0.1〜300であり、3価クロムイオン/
(6価クロムイオン+3価クロムイオン)の重量比が
0.1〜0.9であることが必要であり、前者の重量比
は50〜500:5:0.3〜100であることが好ま
しく、後者の重量比は0.3〜0.8であることが好ま
しい。6価クロムイオン+3価クロムイオンに対する合
成樹脂およびスメクタイト系粘土鉱物の重量比が上記必
要範囲内であれば本発明の目的が達成され、外れる場合
は上記のクロムイオンが6価クロムイオンのみよりなる
場合と同様の不都合が生じる。6価クロムイオン+3価
クロムイオンに対する3価クロムイオンの重量比が0.
1より小さいと充分なクロム固定率、耐食性等が得られ
ないことがあり、0.9より大きいと水性組成物のゲル
化や沈殿が起こり得るため、安定性の面で問題となるこ
とがある。
【0038】本発明の金属材料表面処理用水性組成物中
の6価クロムイオンの一部を3価クロムイオンで代替す
る場合において、さらにりん酸イオンもしくはホスホン
酸イオンを含有させて、3価クロムイオン/(6価クロ
ムイオン+3価クロムイオン)の重量比を向上させるた
めには、本組成物中においてりん酸イオン(PO 3- 4
/(6価クロムイオン+3価クロムイオン)の重量比が
0.05〜5.0であることが必要であり、0.1〜
3.0であることが好ましい。ホスホン酸イオンの場合
には、等グラムイオン換算でのりん酸イオンの重量とし
て考えれば良い。上記重量比が0.05未満であると水
性組成物中の3価クロムイオン等のカチオンの安定性が
低下することがあり、5.0を超えると皮膜の耐水性が
低下し耐食性、耐黒変性等の性能に悪影響を及ぼすこと
がある。
【0039】界面活性剤の使用量については、合成樹脂
が水溶性合成樹脂の場合、界面活性剤は必ずしも必要で
ないが、それが一部析出した場合の分散安定性およびス
メクタイト系粘土鉱物のさらなる分散安定性のために用
いても良い。かかる観点から界面活性剤の使用量は本発
明の金属材料表面処理用水性組成物中の濃度として30
重量%以下が適当である。合成樹脂が水溶性合成樹脂以
外の合成樹脂の場合、界面活性剤の使用は必須である。
この場合、界面活性剤の使用量は、合成樹脂を本組成物
中で安定に分散維持させ、さらに合成樹脂と6価クロム
イオン、3価クロムイオン、その他の金属イオン、酸成
分等との混和安定性のために必要とする最低量以上であ
れば特に制限ないが、あまり多いと泡が立ちやすくな
り、また不経済である。かかる観点から、水溶性合成樹
脂以外の合成樹脂の場合の界面活性剤の使用量は、本発
明の金属材料表面処理用水性組成物中の濃度として5〜
15重量%が適当である。
【0040】本発明の金属材料表面処理用水性組成物は
その他の任意成分として、以下のようなものをさらに含
有することができる。 ニッケルイオン、コバルトイオン、マンガンイオン、亜
鉛イオン、ジルコニウムイオン、チタニウムイオン、ア
ルミニウムイオン等から選ばれる少なくとも1種である
その他の特定金属イオン これらの金属イオンは、亜鉛または亜鉛基合金めっき鋼
板の耐食性向上に効果があるとされており、通常のクロ
メート処理水性組成物に配合されている。これら金属イ
オンは、水溶性もしくは組成物中で水に溶解する、硝酸
ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、りん酸ニッ
ケル、塩化ニッケル等のニッケル化合物、硝酸コバル
ト、炭酸コバルト、水酸化コバルト、りん酸コバルト、
硫酸コバルト、塩化コバルト等のコバルト化合物、硝酸
マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン等のマンガン化
合物、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、りん酸亜鉛、硫
酸亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛化合物、ジルコニウム化合
物、チタン化合物、アルミニウム化合物等によって供給
される。
【0041】弗素化合物 6価クロムイオンの耐食性作用を強化する目的で配合す
ることができる。弗素化合物としては、ジルコンフッ化
水素酸、ジルコンフッ化アンモニウム、ジルコンフッ化
リチウム、チタンフッ化水素酸、チタンフッ化アンモニ
ウム、チタンフッ化リチウム、フッ化アルミニウム、珪
フッ化水素酸、珪フッ化アンモニウム、フッ化水素酸、
酸性フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム、酸性フ
ッ化ナトリウム、フッ化ナトリウム等が挙げられる。
【0042】有機酸 3価クロムイオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、
マンガンイオン等の金属イオンの析出を抑止する目的で
配合することができる。有機酸としては、蟻酸、シュウ
酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン
酸、酒石酸、スルファミン酸、グルコン酸、ヘプトグル
コン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸等
またはそれらの水可溶性塩が挙げられる。
【0043】無機系分散物質 これらの物質の微粒子によって形成されるバリヤーの効
果と、これらの物質の吸着能による防錆剤(主として6
価クロムイオン)の吸着徐放効果をねらって配合するこ
とができる。これらの物質を従来の樹脂含有型クロメー
ト処理液中に経時的にも安定して分散することは困難で
あったが、スメクタイト系粘土鉱物の存在下では可能で
ある。無機系分散物質としては、シリカ、酸化チタン、
アルミナ、ジルコニア、マグネシア等の水に不溶な無機
物質を微粒子化させたものが挙げられ、これらは本発明
組成物中に分散させて使用する。
【0044】硝酸化合物 6価クロムイオンの耐食性作用を強化すると共に、耐黒
変性を付与する目的で使用することができる。硝酸化合
物としては、硝酸、硝酸アンモニウム、硝酸リチウム、
硝酸亜鉛、硝酸マンガン、硝酸ニッケル、硝酸コバル
ト、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が挙げられる。
【0045】潤滑添加剤 潤滑性、加工性、バリヤー効果等の向上のために配合す
ることができる。潤滑添加剤としては、ポリエチレンワ
ックス、ポリプロピレンワックス、フルオロカーボン、
ポリテトラフルオロカーボン、ポリトリフルオロカーボ
ン、ステアリン酸カルシウム、二硫化モリブデン等が挙
げられ、通常水性分散液として用いる。
【0046】その他の化合物 シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高分子
電解質等をクロム固定率、耐食性、塗装性、皮膜加工性
等を改善するために配合することができる。
【0047】上に列挙したその他の任意成分の各使用量
はそれぞれの目的を達成する量である限り、特に制限な
いが、その他の特定金属イオンについては、多すぎると
本発明組成物中に沈殿が生じることがあるので、その他
の特定金属イオンと3価クロムイオンの合計したグラム
イオンが6価クロムイオンとりん酸(もしくはホスホン
酸)とを合計したグラムイオンとの比で、(その他の特
定金属イオン+Cr3+)/(Cr6++PO3- 4)≦0.
5とするのが好ましい。また、潤滑添加剤については、
一般に、全皮膜(=潤滑添加剤も含む全固形分)/潤滑
添加剤重量比で2〜100の範囲で配合するのが好まし
い。また、一般にスメクタイト系粘土鉱物の本発明組成
物中への配合量が1重量%以上あれば、無機系分散物質
の沈降を抑えるのに充分な粘度の発現があるため、これ
を経時的にも安定分散することができる。
【0048】本発明の金属材料表面処理用水性組成物の
調製方法については、必要な成分を含有し、成分間の特
定な使用比率が満足された組成物が得られる限り、制限
されないが、例えば、予め水、例えば純水に分散したス
メクタイト系粘土鉱物と合成樹脂エマルジョンとを均一
に撹拌混合し、ついで各組成のクロメート剤を混合する
ような調製が適当である。得られる組成物中の固形分濃
度は、特に制限される訳ではないが、10〜50重量%
であるのが適当である。
【0049】本発明の金属材料表面処理用水性組成物を
塗布する対象は、既述のごとく、例えば、鉄、鉄鋼、亜
鉛、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス鋼、錫、
チタン材料等の表面保護を必要とする金属材料、特に工
業上最も重要な材料の一つである鉄鋼材料の表面に亜
鉛、亜鉛基合金、アルミニウム等をめっきしためっき鋼
材である。これらの金属材料はそのまま本発明水性組成
物の塗布に供するか、または塗布に先立ち、通常、脱
脂、化成処理等の前処理に付す。これらの前処理は金属
材料に樹脂含有型クロメート処理を施す際に通常行われ
る前処理と同様に行えば良い。
【0050】金属材料への本発明組成物の塗布は、特に
制限される訳ではないが、通常スプレー法、浸漬法、ロ
ール塗布法等によって行われる。この際の本発明組成物
の温度は、特に制限される訳ではないが、一般に5〜4
0℃が適当である。浸漬の際の時間は、特に制限される
訳ではないが、通常1〜10秒程度が適当である。塗膜
の乾燥は、特に制限される訳ではないが、通常60〜2
00℃で行えば良く、通常熱風乾燥により行う。乾燥皮
膜の厚さは、用いる金属材料、使用樹脂、最終製品の用
途等によって異なるが、一般に0.3〜5.0g/m2
程度、特に0.5〜2.0g/m2程度が適当である。
なお、亜鉛、亜鉛基合金、アルミニウム等をめっきした
めっき鋼帯は、既述のごとく、高速の連続めっきライン
で効率的に生産されている。このようなラインでのクロ
メート処理は、通常塗布型処理法で実施される。塗布方
法はスプレー法または浸漬法で鋼板表面に本発明組成物
を接液させた後、余剰の液をロール絞りまたは気体絞り
で排除して塗布するのが一般的である。
【0051】次に本発明の効果について、または本発明
組成物に配合されるスメクタイト系粘土鉱物の効果につ
いて、作用機構の考察も兼ねて、さらに詳しく説明す
る。スメクタイト系粘土鉱物を従来の樹脂含有型クロメ
ート処理剤に配合したことを特徴とする本発明の金属材
料表面処理用水性組成物は、これを用いて金属材料を表
面処理した場合、特に加工部耐食性や端面耐食性が大幅
に向上する。その効果の機構は定かではないが、超微粒
小板状であるスメクタイト系粘土鉱物のバリヤー効果お
よび防錆成分の吸着徐放作用によるものと考えられる。
スメクタイト系粘土鉱物の水相分散物は厚さ約1mμの
2次元小板すなわち方形または円板状のプレートでプレ
ート面の一辺または直径は20〜500mμと言われて
いる。一次粒子の形状が厚さ約1mμで20〜40mμ
の直径を有する円板状粒子である合成ヘクトライトが市
販されている。
【0052】導電性(溶接性、アース性)においても、
本発明の金属材料表面処理用水性組成物は、優れた効果
を示す。この効果の機構も推定の域を出ないが、電解質
のクロム酸塩化合物が表面負電荷を有するスメクタイト
系粘土鉱物の小平板間に包摂された構造になっているこ
とにより電子の移動が容易になる層間架橋粘土粒子が皮
膜中に多く含まれるため、高い導電性(より低い電気抵
抗値)を示すものと推定される。
【0053】本発明の目的は前述のごとく、従来の樹脂
含有型クロメート処理の加工部・端面耐食性、導電性、
塗工性等を向上することであったが、本発明者らはさら
に、スメクタイト系粘土鉱物が配合されている、本発明
の金属材料表面処理用水性組成物を用いてクロメート処
理した金属材料、特にめっき鋼材(例えば鋼板)が、従
来の樹脂含有型クロメート処理したものに比し、金属材
料、特にめっき鋼材の光沢が抑制されていることを見出
した。金属材料、例えばめっき鋼材は、大半の用途では
その固有の金属光沢で受け入れられているが、一部用途
では金属光沢が嫌われるケースがあり、そのため防眩処
理を必要としている。そのような用途においては素材の
色調を大きく変えることなく光沢度だけを低下させるこ
とが一般に要求される。しかしながら、これまではこの
ような要求を満足する適切な方法がなくその開発が待た
れていた。本発明の組成物は金属材料、特にめっき鋼材
の外観色調を実質上変えることなく金属光沢を低下させ
ることができることから、上記の用途にも有効な手段を
提供するものと判断される。なお、上記金属光沢低下効
果は、スメクタイト系粘土鉱物の金属材料、例えば鋼材
(例えば鋼板)表面での付着量が50mg/m2以上で
ないと十分に発揮されない。したがって、金属光沢を低
下させない場合は50mg/m2未満の付着量になるよ
う調整すれば良い。
【0054】従来の樹脂含有型クロメート処理液に無機
系分散物質を、バリヤー効果、防錆剤吸着徐放効果を期
待して添加した場合、通常、処理液安定性に問題が生
じ、添加は難しい。しかしながら、本発明組成物に含有
されるスメクタイト系粘土鉱物は、これら従来の無機系
分散物質に比べより安定に添加することができる。
【0055】また、本発明の金属材料表面処理用水性組
成物は良好な塗工性を有するが、塗工性を支配する因子
として粘度特性がある。一般に水性組成物の粘度調整剤
としてはヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸
ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ
ール等の有機高分子系増粘剤が知られている。これらの
有機高分子系増粘剤をクロム酸含有水性組成物に配合し
た場合、強酸化剤のクロム酸により有機高分子系増粘剤
が酸化変質し、経時的に増粘効果が低下する。このた
め、実用上、有機高分子系増粘剤は使用できない。一
方、無機系の増粘剤としては微粉シリカ、ベントナイ
ト、カオリン等が知られている。これら無機系増粘剤は
チクソトロピー性を付与する目的で使用されるが、いず
れも溶媒である水より大きな比重を有するため沈降しや
すく、有機高分子系増粘剤と併用するのが通常である。
しかしながらクロム酸含有の水性組成物には上記の理由
で有機高分子系増粘剤を使用することができないため無
機系増粘剤も使用できない状況にあったため、使用可能
な粘度調整剤の出現が待たれていた。
【0056】本発明に用いるスメクタイト系粘土鉱物は
水相に分散されると前述のごとく置換可能な陽イオンが
水和されて粒子が膨潤し、小板に分離する。水相中に分
散した状態では小板は表面負電荷となり、端部は正電荷
となる。表面負電荷が端部正電荷よりかなり大きい条件
下では小板表面負電荷同士の電気的排力により一次粒子
にまで分散した安定なゾル状態になる。しかし粒子濃度
を増加したり、イオン濃度を増加した場合、表面負電荷
による反発力が減少して、負電荷を帯びた小板面に、正
電荷を帯びた他の小板端部が電気的に配向することが可
能になり、いわゆるカードハウス構造を形成し、増粘性
とチクソトロピー性を呈するようになる。このようにカ
ードハウス構造の結合は電気的引力によるため、この分
散液は低せん断域では構造粘性を示し、高せん断域では
結合の分離が生じゾル状態になるため優れたチクソトロ
ピー性を示すものと考えられる。
【0057】スメクタイト系粘土鉱物に属するヘクトラ
イトは、一次粒子が厚さ約1mμの2次元小板すなわち
方形または円板状の微小プレートでプレート面の一辺ま
たは直径が20〜500mμと極めて微細である上に、
小板同士は表面負電荷で静電気的に反発し合い水相で安
定なゾルを形成することから、有機高分子系増粘剤なし
で、実質上粒子の沈降は起こらない。このような理由に
よりスメクタイト系粘土鉱物はクロム酸含有の水性組成
物の粘度調整剤としての適性を有すると判断される。
【0058】
【実施例】本発明を下記実施例および比較例により具体
的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって
制限されるものではない。 (1)塗布液の調製 市販の合成ヘクトライト[Si8(Mg 5.34Li0.66
20(OH+F)4]Na0.66(一次粒子形状:厚さ1
mμ、直径20〜40mμの小円板状)の分散液を予め
以下のようにして調製した。イオン交換水90重量部に
対し、合成ヘクトライト10重量部を加え、ハイスピー
ドミキサーにより1000rpmで10分混合し、合成
ヘクトライトの10重量%分散液を得た。6価クロム化
合物の水溶液を以下のようにして調製した。すなわち、
イオン交換水74重量部に重クロム酸アンモニウム26
重量部を溶解し、10重量%の6価クロムイオンを含有
する水溶液を得た。
【0059】クロム酸の部分還元水溶液を以下のように
して調製した。すなわち、イオン交換水33.6重量部
に無水クロム酸19.3重量部を溶解し、ついで75重
量%のりん酸41.4重量部を添加し、18.8重量%
のメチルアルコール水溶液5.7重量部を徐々に加えた
後、85℃で3時間保持し、還元率が30%のクロム酸
の部分還元水溶液を得た。また、比較のため、シリカゾ
ル[無水珪酸(粒径10〜20mμ)20%含有水分散
液]を準備した。実施例、比較例に供する塗布液は、各
例の目標の付着量を与えるように、上記の方法で調製し
た6価クロム化合物の水溶液もしくはクロム酸の部分還
元水溶液(さらに必要に応じて表1に記載の物質を添
加)および実施例の場合の合成ヘクトライト分散液を合
成樹脂の水分散液に添加し、イオン交換水で希釈し、通
常のプロペラ攪拌機で200rpmで10分間混合して
調製した。塗布液No.1〜20の組成を表1に示す。
【0060】(2)塗布 表1に示された組成になるように調製された塗布液N
o.1〜20の水性組成物を、溶融亜鉛めっき鋼板(目
付量が片面当たり90g/m2で200mm×300m
m、板厚0.35mmのもの)、電気亜鉛めっき鋼板
(目付量が片面当たり20g/m2で200mm×30
0mm、板厚0.6mmのもの)または亜鉛アルミニウ
ム合金(55重量%アルミニウム含有)めっき鋼板(目
付量が60g/m2で200mm×300mm、板厚
0.35mmのもの)にウェット塗布量が10μmにな
るようにロールコーターを用いて常温で塗布した。塗布
後直ちに熱風オーブンで10秒間、板温が100℃にな
る条件で乾燥し供試板を得た。得られた供試板を下記試
験に供した。
【0061】(3)評価試験 (3.1)塗布外観均一性 供試板の外観を目視観察し、下記に示す表か基準に基づ
いて評価した。 A…ムラなし B…斜めから観察すると判る程度のムラがある C…明らかにムラがある
【0062】(3.2)外観色調 上記の方法で作製した供試板の明度(L値)および黄色
度(YI値)を色彩色差計(CR−300、ミノルタカ
メラ(株)製)を使用し、JIS−Z8722に準じて
測定した。明度(L値)は高いほど好ましく、黄色度
(YI値)は低い値であることが望ましい。
【0063】(3.3)防眩性 上記の方法で作製した供試板の光沢度をデジタル変角光
沢計(スガ試験機(株)製、UGV−5K)を使用し、
JIS−Z8741に準じて60度鏡面光沢度として測
定した。本実施例では防眩効果を示すことが目的である
ため光沢度の値は低い値であることが望ましい。
【0064】(3.4)溶接性、アース性(層間抵抗
値) 上記の方法で作製した供試板の層間抵抗値を層間抵抗試
験機(LRT−1A、東英工業(株)製)を使用し、J
IS−C2550に準じて測定した。溶接性、アース性
は層間抵抗値が低いほど良好である。
【0065】(3.5)耐食性(耐塩水噴霧性) 上記の方法で作製した供試板の一部に5mmエリクセン
押出し加工を行い、JIS−Z2371に準じた塩水噴
霧機に入れて腐食を促進させ,24時間毎に観察し、平
面部はめっき鋼板表面の平板部の白錆発生面積が5%以
上になるまでの試験時間で評価した。また、エリクセン
押出し加工部や端面部については、その時の白錆発生状
況を目視により、以下の判定基準にしたがって評価し
た。 <加工部> A…白錆発生面積 20%未満 B…白錆発生面積 20%以上50%未満 C…白錆発生面積 50%以上 <端面部> A…白錆発生が端部から5mm以下 B…白錆発生が端部から5mmより大きく8mm未満 C…白錆発生が端部から8mm以上
【0066】(3.6)耐黒変性 上記の方法で作製した2枚の供試板を処理面を向かい合
わせにして重ね、全体を片面コート紙でコート面を外面
にして梱包し、上下方向から、上下ジグ付き(ネジで止
めるタイプ)板で挟み、トルクレンチにより上下方向か
ら70kgf/cmの圧を加え、50℃、98%RH
(相対湿度)に設定した恒温恒湿器中に240時間放置
した。色彩色差計(CR−300、ミノルタカメラ
(株)製)で試験前後における供試板表面の明度の差
(△L)を測定し、黒変の度合いを評価した。△Lは小
さいほど耐黒変性は良好である。 A…△L 8未満 B…△L 8以上、12未満 C…△L 12以上
【0067】(3.7)クロム固定率 上記の方法で作製した供試板を沸騰水に10分間浸漬し
た。浸漬前後のクロム付着量を蛍光X線分析装置(RI
X1000、理学電機工業(株)製)で測定して残存率
を計算した。残存率が高いほどクロム固定率は良好であ
る。 クロム固定率(%)=(B/A)×100 A:沸騰水浸漬前のクロム付着量(mg/m2) B:沸騰水浸漬後のクロム付着量(mg/m2
【0068】(3.8)上塗り塗装性能 上記の方法で作製した供試板にメラミンアルキッド塗料
(デリコン#700、大日本塗料(株)製)を塗膜厚2
5±5μmになるように塗布し、140℃で20分間焼
付け乾燥を行い試験片とした。 (3.8.1)塗装密着性(ゴバン目テープ剥離) 塗装試験片にカッターを用いて素地に達する1mm間隔
のゴバン目を100個作った。ついでセロテープ剥離を
行い、ゴバン目の残存数により密着性を評価した。塗膜
残存数が多いほど密着性は良好である。
【0069】(3.8.2)塗装密着性(ゴバン目テー
プ剥離エリクセン) 塗装試験片にカッターを用いて素地に達する1mm間隔
のゴバン目を100個作った。ゴバン目部をエリクセン
試験機により後方より5m押し出し、ついでセロテープ
剥離を行い、ゴバン目の残存数により密着性を評価し
た。塗膜残存数が多いほど密着性は良好である。
【0070】表1の塗布液を塗布して作製した溶融亜鉛
めっき鋼板供試板につき、上述の試験を実施した結果を
表2に示す。表1の塗布液を塗布して作製した電気亜鉛
めっき鋼板供試板につき、上述の試験を実施した結果を
表3に示す。表1の塗布液を塗布して作製した亜鉛アル
ミニウムめっき鋼板供試板につき、上述の試験を実施し
た結果を表4に示す。
【0071】本発明の金属材料表面処理用水性組成物を
用いた実施例1〜11においては、いずれの供試板も、
耐食性、溶接性、耐黒変性、防眩性、塗装密着性のいず
れにおいても優れていた。一方、本発明範囲外の水性組
成物を用いた比較例1〜13ではこれらの性能のいずれ
かが劣っていた。以下、より詳しく説明する。本発明水
性組成物は、溶融亜鉛めっき鋼板供試板についての表2
から明らかなごとく、実施例1〜7の供試板は、比較例
1〜9の供試板と比較し、耐塩水噴霧性、耐黒変性で良
好な性能を示した。また、比較例6〜8は従来技術の範
疇であるシリカ含有クロメート剤を塗布した例である
が、実施例1、3および4の供試板は、比較例6〜8の
供試板と比べ、加工部、端面部の耐塩水噴霧性、塗布外
観均一性において優れていた。なお、表2における実施
例と比較例との対応関係については比較例1、2、3、
4、5、6、7、8および9が実施例1、3、4、5、
6、2、3、4および7とそれぞれ対応する。また、電
気亜鉛めっき鋼板供試板についての表3から明らかなご
とく、実施例8および9の供試板は、比較例10および
11の供試板と比較し、耐塩水噴霧性、層間抵抗値(ア
ース性、溶接性)で良好な性能を示した。また、亜鉛・
アルミニウム合金めっき鋼板供試板についての表4から
明らかなごとく、実施例10および11の供試板は、比
較例12および13の供試板と比較し、耐塩水噴霧性、
耐黒変性、光沢度(防眩性)で良好な性能を示した。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【発明の効果】本発明のスメクタイト系粘土鉱物を配合
した金属材料表面処理用水性組成物は、これを金属材
料、例えば鋼板、亜鉛、亜鉛基合金、アルミニウム等を
めっきしためっき鋼材等の表面保護を必要とする鉄鋼材
料の表面に塗布乾燥する場合には、従来の合成樹脂含有
型クロメート処理液の塗布乾燥によって得られる乾燥皮
膜の性能を損なうことなく、より高度な耐食性(耐塩水
噴霧性、耐黒変性)、塗布外観均一性、防眩性等の多様
な性能を同時に有する乾燥皮膜を与えることが可能とな
り、したがって、その実用上の価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 167/00 C09D 167/00 175/00 175/00 C25D 5/48 C25D 5/48

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性合成樹脂、6価クロムイオン、ス
    メクタイト系粘土鉱物[Si8(MgaLib)O20(O
    H)c4-c-xMe+x(0<a≦6、0<b≦6、4<
    a+b<8、0≦c≦4、x=12−2a−b、Me:
    Na、K、LiおよびNH4の少なくとも1種)および
    水よりなるか、合成樹脂、6価クロムイオン、該スメク
    タイト系粘土鉱物、界面活性剤および水よりなる金属材
    料表面処理用水性組成物であって、合成樹脂は水溶性合
    成樹脂を包含し、合成樹脂:6価クロムイオン:スメク
    タイト系粘土鉱物の重量比が25〜1000:5:0.
    1〜300である該金属材料表面処理用水性組成物。
  2. 【請求項2】 合成樹脂がエチレン性不飽和モノマーの
    重合体である樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂およ
    びウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種
    である、請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 さらに3価クロムイオンを6価クロムイ
    オンの一部を代替する形で含有し、合成樹脂:6価クロ
    ムイオン+3価クロムイオン:スメクタイト系粘土鉱物
    の重量比が25〜1000:5:0.1〜300であ
    り、3価クロムイオン/(6価クロムイオン+3価クロ
    ムイオン)の重量比が0.1〜0.9である請求項1ま
    たは2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 さらにりん酸イオンをりん酸イオン(P
    3- 4)/(6価クロムイオン+3価クロムイオン)の
    重量比が0.05〜5.0となるよう含有する請求項3
    記載の組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999063012A1 (fr) * 1998-06-01 1999-12-09 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Agent de traitement de surface a base aqueuse
EP1479736A1 (en) * 2003-05-21 2004-11-24 Corus UK Limited Corrosion inhibitive coatings
FR2883569A1 (fr) * 2005-03-25 2006-09-29 Ass Pour Les Transferts De Tec Compositions aqueuses pour revetement

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999063012A1 (fr) * 1998-06-01 1999-12-09 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Agent de traitement de surface a base aqueuse
EP1479736A1 (en) * 2003-05-21 2004-11-24 Corus UK Limited Corrosion inhibitive coatings
FR2883569A1 (fr) * 2005-03-25 2006-09-29 Ass Pour Les Transferts De Tec Compositions aqueuses pour revetement

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