JPH1085247A - 排気装置付き人工肛門用パウチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人工肛門用パウチの上部に取付孔を開口する
作業や、この開口した取付孔に排気チューブのラッパ状
の連結部を接着する作業が面倒である。 【解決手段】 人工肛門用パウチ１の上部に取付孔２を
開口し、この取付孔２に連結チューブ４を取付けてパウ
チ本体１１を形成する。また、先端に開閉栓９を装着し
て排気チューブ７を形成する。そして、この排気チュー
ブ７の基部を、前記連結チューブ４に連結して人工肛門
用パウチの排気装置を形成する。排気チューブ７の基部
と連結チューブ４に連結は、着脱自在であっても一体的
であってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人工肛門から排泄
する汚物を溜めるパウチに関し、特にパウチから臭気を
抜く排気装置の付いた人工肛門用パウチの改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の人工肛門用のパウチとしては、特
公昭６１−２２５８０号公報、特公平４−６０６５９号
公報、実公昭６０−３４２５８号公報等で提案されたも
のがある。この人工肛門用のパウチには、パウチ内に溜
まったガスを脱臭する脱臭手段が設けられている。

【０００３】しかし、これらのものは、患者（使用者）
の自由意思によることなく、自然にガスが何処の場所で
あっても放出してしまう。この場合、ガスは、脱臭手段
により、一応脱臭または除臭されてから放出されること
になっているが、実際の場合、活性炭などを使用した脱
臭手段の効力は、殆どの場合、約２時間程で衰退してし
まう。従って、２〜３時間以上経た場合には、ガスは脱
臭し切れないまま排出されることとなる。

【０００４】従って、ガスが下着と皮膚の間を伝わって
首筋に上がる。この臭いに気が付いて、直ぐに便所に行
ってガス抜きしたとしても、下着に悪臭が染み込んでし
まって、本人のみならず、周囲の人々にも悪臭をばらま
く結果になるなどの欠点がある。

【０００５】これらの欠点を解決するために本発明者
は、特開平７−２４６２１３号公報に記載の人工肛門用
パウチの排気装置を提案した。この人工肛門用パウチの
排気装置は、排気チューブと人工肛門用パウチからな
る。人工肛門用パウチは、既製のあらゆる型式のもので
よく、上部に取付孔を開口する。排気チューブは、先端
に開閉栓を装着し、基部にはラッパ状の連結部を形成し
たものである。そして、人工肛門用パウチに開口した取
付孔に排気チーブのラッパ状の連結部を接着したもので
ある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、人工肛門用パ
ウチの排気装置を使用する患者の中には、人工肛門用パ
ウチの上部に取付孔を開口する作業や、開口した取付孔
に排気チューブのラッパ状の連結部を接着する作業が面
倒であるので、初めから人工肛門用パウチと排気チュー
ブが連結しているものを要求する人もいる。あるいはも
っと簡便に人工肛門用パウチと排気チューブを連結でき
るものを要求する人もいる。

【０００７】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であり、初めから人工肛門用パウチと排気チューブが連
結している装置、あるいはより簡便に連結できる装置を
提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、人工肛門用パウチの上部に取付孔を開口
し、該取付孔に連結チューブを一体的に取付けてなるパ
ウチ本体と、先端に開閉栓を装着してなる排気チューブ
とからなる。そして、該排気チューブの基部を、前記連
結チューブに連結して排気装置付き人工肛門用パウチを
形成する。排気チューブと連結チューブの連結は、着脱
自在であっても、あるいは一体的であってもよい。

【０００９】

【発明の実施形態】以下、本発明の実施例について図面
を参照して説明する。図１、図２、図３は、それぞれ本
発明による人工肛門用パウチの全体図、排気チューブの
断面図、開閉栓の要部拡大斜視図である。

【００１０】図において、１は人工肛門用パウチ、２は
パウチ１の上部に設けた取付孔である。３は、人工肛門
用パウチ１の背面の略中央に設けた円形の開口部で、開
口部３の周縁には両面接着剤３ａが貼着してあり、その
表面を剥離紙で保護する。このように、取付孔２は開口
部３より離れた位置に開口し、かつ人体にパウチ１を装
着したとき、取付孔２が左上隅にあることが好ましい。

【００１１】４は軟質で可撓性の連結チューブであっ
て、連結チューブ４の基部には先広がりのラッパ状の連
結部５を一体的に形成する。取付孔２の大きさは略連結
チューブ４の太さ程度でよい。６は、連結チューブ４の
周囲に連結チューブ４と一体に形成した抜け防止構造で
あり、図１に示す矢尻状の突起などである。

【００１２】図４は、連結部５の拡大断面図、図５は連
結部５の平面図である。図４では、連結部５の外側周縁
に両面接着テープ５ａが貼付されており、その表面をド
ーナツ形の剥離紙５ｂで保護している。１０は連結チュ
ーブ４の経路中の任意な箇所に充填されたフィルタであ
って、吸水性があり、液体不透過性で気体透過性のスポ
ンジ材料を使用する。以上の部材は全てできるだけ感触
的にも柔らかいものが好ましい。

【００１３】連結チューブ４は、以下のようにして人工
肛門用パウチ１に取付ける。連結チューブ４を開口部３
から人工肛門用パウチ１の中に入れてから、連結チュー
ブ４の先端を取付孔２から外部へ引き出す。次に連結部
５の外側周縁の剥離紙５ｂを剥がして、連結部５を人工
肛門用パウチ１の内側から取付孔２の周縁に接着し、取
付孔２の周囲を完全に塞ぎパウチ本体１１を形成する。
これで連結チューブ４は人工肛門用パウチ１に気密的
に、また水密的に連結される。このように、連結部５を
人工肛門用パウチ１の内面に接着すると、連結チューブ
４を外方に引っ張っても外れる心配がない。

【００１４】７は長さが１０センチ乃至８０センチほど
の軟質で可撓性の排気チューブであり、８は排気チュー
ブ７の中間に充填した除臭剤である。除臭剤８には主と
して活性炭が使用される。この除臭剤８は人工肛門用パ
ウチ１の内部の汚物で濡れないよう出来るだけ排気チュ
ーブ７の基部から離れた位置が好ましい。９は排気チュ
ーブの先端に装着したプラスチック製の開閉栓で、筒状
体９ａと、その頭部を閉鎖するつまみ９ｂとからなり、
筒状体９ａの側壁に排気孔９ｃを開口する。一方排気チ
ューブ７の先端付近にも、排気孔９ｃと略同形のガス排
出孔７ａを穿設して、筒状体９ａを排気チューブ７の先
端に挿入することにより、開閉栓９を排気チューブに装
着する。開閉栓９のつまみ９ｂを回転して、排気孔９ｃ
とガス排出孔７ａとの位置を合致すると、開閉栓９は開
口し、両孔９ｃ，７ａの位置をずらせると開閉栓９は閉
鎖する構成となっている。

【００１５】前記パウチ本体１１を使用するには、連結
チューブ４に排気チューブ７の基部を連結する。この際
に抜け防止構造６が、排気チューブ７の基部の案内をし
て連結を円滑にするとともに、排気チューブ７を引っ張
ても連結チューブ４から抜け難くする。そして、従来と
同様に、人工肛門用パウチ１の開口部３の回りの剥離紙
３ａを剥がし、そのまま人工肛門の周囲に図示しない接
着剤で貼付する。人工肛門用パウチ１の上から伸縮性包
帯やバンド又は下着などでパウチを軽く支えて人工肛門
用パウチ１の移動を規制する。排気チューブ７の先端を
下着の紐やバンドで挟み外部へつまみ出せる程度にす
る。長い排気チューブは下着の襟元から外に出し先端を
腰のバンドに挟んで仮止めするとよい。人工肛門用パウ
チ１の内部にガスが溜まり、ある程度、人工肛門用パウ
チ１がふくらむと、ガスはフィルタ１０を経て排気チュ
ーブ７の中にも溜まる。この場合、人工肛門用パウチ１
に流入した排泄汚物も排気チューブ７の方へ流れ込もう
とするが、フィルタ１０には吸水性があるので、汚物は
フィルタ１０に阻止され、ガスのみがフィルタ１０を透
過する。

【００１６】患者（使用者）は身体に人工肛門用パウチ
１の膨らみを感じる。そこで自分の意思で、トイレや人
気のない処へ行き、排気チューブ７の先端を下着から外
部へ取り出し、開閉栓９のつまみ９ｂを回して開栓し、
ガスを放出する。なお、ガスの排出力が弱くなったとき
には、人工肛門用パウチ１を着衣の上から軽く手で押さ
えればよい。なお、外部から人工肛門用パウチ１を押し
ても、汚物はフィルタ８により阻まれ外部には流出しな
い。以上、本発明においては、開閉栓９の構成について
は特に限定するものではなく、ガスの排気と遮断の切り
替えができればよい。また、連結チーブ４の周囲に形成
する抜け防止構造は、矢尻状の突起に限らず螺子であっ
てもよい。螺子を形成した場合は、排気チューブ７の内
周にも螺子を形成しなくてはならないが、矢尻状の突起
であれば排気チューブ７の内周はそのままでよいという
利点がある。

【００１７】図６は、別の実施例の正面図を示す。この
実施例では、連結チューブ４の基部にラッパ状の連結部
５を形成せず、連結チューブ４の基部を取付孔２の孔縁
に一体に取付ける点が前記実施例と異なる。このように
すると、パウチ本体１１を製造する際に、連結部５を人
工肛門用パウチ１に接着する人手による作業がなく、機
械により大量生産できる。

【００１８】図７は、連結チューブ４と排気チューブ７
の連結部の別の実施例を示す要部の拡大断面図で、除臭
剤８を使用する場合に、除臭剤交換が容易な構造を示
す。即ち、除臭剤８が充填された継管１２を設け、この
継管１２の両端に連結チューブ４の先端と排気チューブ
７の基部とをそれぞれ連結するものである。なお、除臭
剤８は通気孔のある蓋付き筒状容器に粗い粒状のものを
充填してもよく、また通気孔のある成形された除臭剤で
もよい。この場合は、予め補充用の除臭剤８又は、交換
用の除臭剤８付き継管１２を用意しておき、除臭剤８の
効力が落ちた時に、除臭剤８または継管１２の全部を交
換すれば、ガスを常に除臭してから放出することが出来
る。継管１２と連結する連結チューブ４の先端と排気チ
ューブ７の基部には、抜け防止構造６を形成するとよ
い。

【００１９】さらに、上記各実施例では、排気チューブ
７の基部を、前記連結チューブ４に着脱自在に連結した
が、接着剤などを使用して一体的に連結し、排気チュー
ブ７と連結チューブ４を一体にしてもよい。この構成に
より、患者は排気チューブ７の基部を前記連結チューブ
４に連結する作業なしに、人工肛門用パウチ１を使用で
きる。なお、人工肛門用パウチ１に排気チューブ７など
が連結した人工肛門用パウチの排気装置は、排気チュー
ブ７とパウチ本体１１が一体の状態で製造するのは困難
であるので、排気チューブ７とパウチ本体１１を別に製
造し組立てるとよい。

【００２０】

【発明の効果】本発明は、人工肛門用パウチの上部に取
付孔を開口し、該取付孔に連結チューブを一体的に取付
けてなるパウチ本体と、先端に開閉栓を装着してなる排
気チューブとからなり、排気チューブの基部を、前記連
結チューブに連結してなるので、機械により大量生産で
き、排気装置付き人工肛門用パウチを安価に提供でき
る。また、排気チューブの基部を、連結チューブに着脱
自在に連結すると、洗浄しにくい排気チューブが交換で
き、パウチ本体を洗浄することにより繰返し使用でき
る。また、排気チューブの基部を、連結チューブに一体
的に連結すると、排気チューブの基部を前記連結チュー
ブに連結する作業なしに、そのままの状態で人工肛門用
パウチを使用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施した人工肛門用パウチの全体図で
一部を断面で示す。

【図２】排気チューブの断面図である。

【図３】開閉栓の要部拡大斜視図である。

【図４】連結チューブの拡大断面図である。

【図５】連結チューブの平面図である。

【図６】別の実施例になる人工肛門用パウチの正面図で
ある。

【図７】さらに別の実施例になる人工肛門用パウチの要
部の拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 人工肛門用パウチ ２ 取付孔 ４ 連結チューブ ７ 排気チューブ ９ 開閉栓 １１ パウチ本体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 人工肛門用パウチの上部に取付孔を開口
   し、該取付孔に連結チューブを一体的に取付けてなるパ
   ウチ本体と、 先端に開閉栓を装着してなる排気チューブとからなり、 該排気チューブの基部を、前記連結チューブに連結して
   なる排気装置付き人工肛門用パウチ。
2. 【請求項２】 前記排気チューブの基部を、連結チュー
   ブに着脱自在に連結してなる請求項１記載の排気装置付
   き人工肛門用パウチ。
3. 【請求項３】 前記排気チューブの基部を、連結チュー
   ブと一体的に連結してなる請求項１記載の排気装置付き
   人工肛門用パウチ。