JPH1084883A - 代用乳の給与方法 - Google Patents

代用乳の給与方法

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JPH1084883A
JPH1084883A JP8262359A JP26235996A JPH1084883A JP H1084883 A JPH1084883 A JP H1084883A JP 8262359 A JP8262359 A JP 8262359A JP 26235996 A JP26235996 A JP 26235996A JP H1084883 A JPH1084883 A JP H1084883A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反芻動物の第4胃でレンネット凝固を生起し
ない代用乳を、下痢や軟便等の消化不良を防止しなが
ら、順調な生育が行われ得るようにして、子牛等の幼少
反芻動物に給与する方法を開発すること。 【解決手段】 反芻動物の第4胃でレンネット凝固が生
起しない代用乳の浸透圧を100〜300mOsm/kg・H2O
に調整して幼少反芻動物に給与する本発明の方法、浸透
圧を前記した100〜300mOsm/kg・H2Oに調整した本
発明の代用乳によって、上記の課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、子牛などの幼少反
芻動物への代用乳の給与方法および幼少反芻動物用の代
用乳に関する。より詳細には、本発明は、子牛、子羊な
どの幼少反芻動物にその第4胃でレンネット凝固(カー
ド形成)が生起しない代用乳を給与するに当たって、下
痢や軟便などの消化不良を防止して、幼少反芻動物を健
全に生育させることのできる幼少反芻動物への代用乳の
給与方法、およびそのための代用乳に関する。
【0002】
【従来の技術】子牛などの幼少反芻動物の飼育や生産に
当たっては、人工的につくられた代用乳を給与して飼育
することが広く行われている。幼少反芻動物に給与され
る代用乳は、全脂粉乳、脱脂粉乳、乾燥ホエー、濃縮ホ
エー蛋白などのような乳成分を主原料とし、これに油脂
類、糖類、穀類、魚粉、ビタミン、ミネラル、抗生物質
などを配合して製造された代用乳組成物を水あるいは温
水に溶解または分散させて調製されている。
【0003】そのような代用乳組成物のうちで、脱脂粉
乳および/または全脂粉乳などの粉乳類を主成分とする
代用乳組成物は、特に夏場のような高温多湿の時期には
固まりやダマを生じて取り扱い性が不良になったり、水
や温水に溶解または分散させた際にも均一に溶解せずに
ダマが生ずるというトラブルを発生し易い。
【0004】一方、乾燥ホエーや濃縮ホエー蛋白などの
ようなホエー類を主成分とする代用乳組成物も既に知ら
れており、ホエー類を主成分とする代用乳組成物は、高
温多湿な夏場にも固まりやダマを生じず、取り扱い性に
優れ、しかも水や温水への溶解性または分散性にも優れ
ている。しかしながら、ホエー類を主成分とする代用乳
組成物を水または温水で希釈して得られる代用乳を子牛
などの幼少反芻動物に給与すると、下痢や軟便などの消
化不良を生じ易く、幼少反芻動物の成長が健全に行われ
にくいという欠点がある。
【0005】また、従来より、代用乳組成物中の油脂含
有量を高めて高カロリー化や高栄養化を図ることが行わ
れている。しかしながら、油脂含有量を高めることと溶
解性を良くすることとは技術的には相互に矛盾する課題
を包含するものであり、代用乳組成物中の油脂含有量を
高めると、一般に水や温水への溶解性や分散性が低下す
る。そのため、代用乳組成物の水や温水への溶解性や分
散性を向上させるために乳化剤を用いることが従来から
種々行われているが、従来の粉末状代用乳組成物では、
乳化剤を使用してもその油脂含有量は、通常、高いもの
でもせいぜい15〜18重量%程度であり、20重量%
以上にすることはできず、より高油脂含有量とすると、
水また温水に溶解または分散して希釈したとき、脂肪球
の径が大きくなり、安定性が悪くなって油脂の分離を起
こしたり、消化吸収性が悪くなり、子畜などの幼動物の
下痢などの発生をもたらす原因となっている。
【0006】
【発明の内容】上記の点から、本発明者らは、高温多湿
の夏場などでも固化やダマが発生せず取り扱い性に優
れ、水や温水への溶解性または分散性に優れ、しかも子
牛などの幼少反芻動物に給与したときに下痢や軟便など
の消化不良が生じない、幼少反芻動物用の代用乳を開発
すべく種々検討を重ねてきた。また、本発明者らは、ホ
エー類などを主成分とする代用乳組成物を水や温水に溶
解または分散させた代用乳を幼少反芻動物に給与するに
当たって、天然の牛乳と同程度の高い油脂含有量を有し
ていて栄養価が高く、しかも水や温水への溶解性や分散
性が良好で、消化吸収性に優れる代用乳を開発すること
を目的として研究を行ってきた。
【0007】その結果、ホエー類などを主成分とする代
用乳組成物を水や温水に溶解または分散させて得られる
代用乳を子牛などの幼少反芻動物に給与した場合には、
その第4胃に栄養分の円滑な消化吸収にとって重要な役
割を果たすレンネット凝固、すなわちカード形成が生起
せず、それが下痢や軟便などの消化不良の主たる原因に
なっていることが判明した。そして、ホエー類を主成分
とする代用乳などのような、第4胃でレンネット凝固の
生起しない代用乳を幼少反芻動物に給与するに当たって
は、代用乳の浸透圧を特定の範囲に調整して給与する
と、第4胃でレンネット凝固が生起しなくてもその消化
吸収が良好になって、下痢や軟便などの消化不良を防止
できることを見出した。さらに、本発明者らは、第4胃
でレンネット凝固を生起しない代用乳を、その浸透圧を
特定の範囲に調整して幼少反芻動物に給与するに当たっ
て、該代用乳としてレシチンおよびポリオキシエチレン
グリセリン脂肪酸エステルを含有する代用乳を用いる
と、代用乳中における油脂類の分散を良好にして油脂の
含有量を高めることが可能であること、そしてそれによ
り得られる高油脂含有量の代用乳は消化吸収性に優れて
いて、幼少反芻動物の順調な生育に極めて有効であるこ
とを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成し
た。
【0008】すなわち、本発明は、幼少反芻動物に、そ
の第4胃でレンネット凝固が生起しない代用乳を給与す
る方法であって、前記代用乳の浸透圧を100〜300
mOsm/kg・H2Oに調整して給与することを特徴とする幼少
反芻動物への代用乳の給与方法である。
【0009】さらに、本発明は、幼少反芻動物の第4胃
でレンネット凝固が生起しない代用乳であって且つ浸透
圧を100〜300mOsm/kg・H2Oに調整してあることを
特徴とする幼少反芻動物用の代用乳である。
【0010】そして、前記した本発明では、限定される
ものではないが、第4胃でレンネット凝固を生起しない
代用乳の代表として、ホエー類を主成分とする代用乳組
成物を水または温水に溶解または分散させて調製した代
用乳を挙げることができる。 さらに、本発明における上記の代用乳として、レシチン
およびポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを
含有するホエー類を主成分とする代用乳組成物を用いる
と、代用乳組成物、ひいては代用乳中における油脂含有
量を高くすることが可能になり、油脂含有量が高くても
油脂の分離が生じず、消化吸収性にも優れたものとな
り、幼少反芻動物を一層順調に生育させることができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明は、子牛や子羊などのような第4胃を有す
る幼少反芻動物を対象にしており、特に子牛用の代用乳
およびその給与方法として適している。そして、本発明
では代用乳を給与する幼少反芻動物の日令などは特に制
限されない。
【0012】本発明における代用乳は、幼少反芻動物の
第4胃でレンネット凝固が生起しない(カード形成が行
われない)代用乳であればその種類などは何ら制限され
ず、代表的には、乾燥ホエーや濃縮ホエー蛋白質などの
ようなホエー類を主成分とする代用乳、濃縮大豆蛋白質
や大豆ミールなどのような植物性蛋白質を主成分とする
代用乳、或いは魚粉または魚粉の酵素分解物などを主成
分とする代用乳などを挙げることができる。ホエー類を
主成分とする代用乳は、一般に、乾燥ホエーや濃縮ホエ
ー蛋白質を主たる乳成分として含有する代用乳組成物を
水または温水に溶解または分散させて調製される。その
際のホエー類を主たる乳成分とする代用乳組成物として
は、代用乳組成物の重量(乾燥重量)に基づいて、ホエ
ー類を10〜80重量%の割合で含有しているものを用
いるのが好ましい。
【0013】ホエー類を主たる乳成分として含有する上
記した代用乳組成物は、油脂、および必要に応じて、脱
脂粉乳や全脂粉乳などの他の乳成分;大豆ミール、濃縮
大豆蛋白質、魚粉;カゼイン、カゼインナトリウム、カ
ゼインカルシウム、グルテンなどの蛋白質またはその変
性物;並びにこれらの加水分解物(例えばカゼイン、グ
ルテン、大豆蛋白質、アルブミン、ホエー蛋白質等を蛋
白分解酵素、酸、アルカリ等を使用して部分的に分解し
て得られるペプチド混合物等)などのような蛋白源の1
種または2種以上を、場合により糖類、ビタミン、ミネ
ラルなどの栄養素材、調味料や香辛料などと共に含有し
ていてもよい。
【0014】そして、本発明では、ホエー類を主たる乳
成分とする代用乳組成物などを水や温水に溶解または分
散させて調製した、反芻動物の第4胃でレンネット凝固
を生起しない代用乳を幼少反芻動物に給与するに当たっ
て、該代用乳の浸透圧を100〜300mOsm/kg・H2Oに
調整して給与することが必要である。ここで、本発明で
いう代用乳の浸透圧は、一定量の代用乳組成物を温水に
溶解し、その溶液をオスモメーター等を用いて、代用乳
の氷点降下度を測定し、該氷点降下度より求めた、水1
kgに溶けている代用乳組成物の浸透圧濃度、すなわち
重量浸透圧濃度(mOsm/kg・H2O)をいう。
【0015】幼少反芻動物、特に子牛への給与時に、代
用乳の浸透圧が300mOsm/kg・H2Oよりも高いと、下痢
や軟便などの消化不良を生じて生育が順調に行われず、
一方100mOsm/kg・H2Oよりも低いとやはり充分な増体
重が達成できず生育が順調に行われない。下痢や軟便な
どの消化不良の発生を防止しながら子牛などの幼少反芻
動物をより順調に生育させ得ることから、浸透圧が20
0〜300mOsm/kg・H2Oの代用乳を給与して飼育するの
がより好ましい。浸透圧を100〜300mOsm/kg・H2O
に調整した代用乳の幼少反芻動物への給与方法は特に制
限されず、従来の代用乳の給与方法と同様に行えばよ
く、例えば好きなときに自由に摂取させる不断給与法、
時間を決めて給与する定時給与法などのいずれの方法で
行ってもよい。
【0016】ホエー類を主たる乳成分とする代用乳組成
物などを用いて浸透圧が100〜300mOsm/kg・H2Oで
ある代用乳を調製するには、代用乳組成物を水または温
水に溶解または分散させる量を調整する、すなわち代用
乳組成物の水または温水による希釈倍率を調整すること
によって行うことができるが、温水によって希釈調整す
ることが好ましい。浸透圧が100〜300mOsm/kg・H
2Oである代用乳を得るための代用乳組成物の適当な希釈
倍率は、代用乳組成物に含まれる成分の種類や成分組成
などに応じて変わるので、代用乳組成物の内容に応じて
調整することが必要である。例えば、以下の実施例1に
記載のようにホエー類を主たる乳成分とする特定の配合
組成の代用乳組成物を用いる場合は、9倍以上の希釈倍
率、好ましくは10〜30倍の希釈倍率にすると、目的
とする浸透圧が100〜300mOsm/kg・H2Oである代用
乳を調製することができる。そのうちでも、代用乳の浸
透圧、栄養化および幼動物による嗜好性などを勘案する
と、希釈倍率を10〜12倍にするのがより好ましい。
そして、代用乳組成物を温水に溶解または分散させて代
用乳を調製する場合は、温水の温度を40〜55℃にし
ておくのが、成分の変質防止やダマの発生防止などの点
から好ましい。
【0017】本発明において、第4胃でレンネット凝固
を生起しない代用乳を子牛などの幼少反芻動物に給与す
るに当たって、該代用乳の浸透圧を100〜300mOsm
/kg・H2Oに調整すると、下痢や軟便などの消化不良が防
止できる理由は明確ではないが、代用乳の浸透圧を10
0〜300mOsm/kg・H2Oに調整することによって、第4
胃にレンネット凝固が生起していなくても(カード形成
がなされていなくても)、腸管壁を通しての水分の出入
および栄養成分の吸収にバランスが保たれて、過度の水
分が腸管壁を通して腸管内に入ってくることが防止され
て、下痢や軟便などの消化不良が生じないようになるも
のと推定される。
【0018】また、本発明では、浸透圧が100〜30
0mOsm/kg・H2Oである、反芻動物の第4胃でレンネット
凝固を生起しない代用乳を調製するのに用い得る、ホエ
ー類を主たる乳成分とする上記した代用乳組成物とし
て、その栄養価などの点から、代用乳組成物の重量に基
づいて、油脂類を10〜40重量%の割合で含有してい
るものが好ましく用いられ、油脂類を20〜30重量%
の割合で含有している高油脂含有量のものがより好まし
く用いられる。そして、そのような油脂含有量の高い代
用乳組成物(特に油脂含有量が20〜30重量%である
代用乳組成物)を用いて、浸透圧が100〜300mOsm
/kg・H2Oである代用乳を調製し、それを子牛などの幼少
反芻動物に給与した場合には、その第4胃でレンネット
凝固が生起しないにも拘わらず、下痢や軟便の発生を防
止しながら、その一層高い栄養価によって、子牛などの
幼少反芻動物を大きな増体重効果を奏しながら極めて順
調に生育させることができる。
【0019】上記したような高い油脂含有量を有するホ
エー類を主たる乳成分とする代用乳組成物(特に油脂含
有量が20〜30重量%である代用乳組成物)は、代用
乳組成物中にレシチンおよびポリオキシエチレングリセ
リン脂肪酸エステルを含有させることによって得ること
ができる。レシチンおよびポリオキシエチレングリセリ
ン脂肪酸エステルを含有するそのような代用乳組成物で
は、代用乳組成物中での油脂含有量が20重量%以上で
あっても、代用乳組成物を水または温水に溶解または分
散させて代用乳を調製する際に、レシチンおよびポリオ
キシエチレングリセリン脂肪酸エステルの特異な乳化作
用によって脂肪球の径が、天然の牛乳に含まれている脂
肪球とほぼ同じ大きさの2〜10μm程度の微小な大き
さとなり、これによって、油脂の分離が生じにくくなっ
て、代用乳の安定性および消化吸収性が極めて優れたも
のとなる。
【0020】その際の油脂としては、粉末状の代用乳組
成物の製造に通常用いられる油脂類のいずれもが使用で
き、例えば牛脂、豚脂、チキンオイル、魚油、鯨油等の
動物性油脂;トウモロコシ油、綿実油、大豆油、ゴマ
油、落花生油、パーム油、ヤシ油、ココナッツ油等の植
物性油脂;それらの水添物などを挙げることができ、前
記した油脂類は1種類のみを使用しても、または2種以
上を用いてもよい。そのうちでも、牛脂および/または
豚脂が造粒性、嗜好性などの点から好ましく用いられ、
牛脂がより好ましく用いられる。
【0021】ホエー類を主たる乳成分とする代用乳組成
物中にレシチンおよびポリオキシエチレングリセリン脂
肪酸エステルを含有させる場合は、脂肪球を上記した2
〜10μm程度の微小なものとするために、両者の合計
含有量が、代用乳組成物の重量に基づいて、0.5〜
3.0重量%程度にするのが好ましく、0.5〜1.5
重量%程度にするのがより好ましく、またレシチン:ポ
リオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの含有割合
を1:1〜1.4(重量比)にするのが好ましく、1:
1.1〜1.2(重量比)にするのがより好ましい。
【0022】レシチンは、その調製法や由来などは何ら
制限されずいずれも使用することができ、例えば植物
油、卵等より抽出される天然レシチン、これらのレシチ
ンに精製若しくは水素添加、酵素分解等の処理を施した
ものなどのいずれもが使用でき、またレシチンの純度も
特に制限されず、高純度のもの、またはあまり純度の高
くないもののいずれも使用できる。
【0023】また、酸化エチレンが付加重合したグリセ
リンの脂肪酸エステルであるポリオキシエチレングリセ
リン脂肪酸エステルとしては、特にそのモノエステル、
ジエステルのような部分エステル化物が好ましく用いら
れ、ポリオキシエチレン鎖は特に制限はないが15モル
以上であるものが好ましく用いられる。また、ポリオキ
シエチレングリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸
成分としては、通常、炭素数6〜24程度の脂肪酸が用
いられる。脂肪酸は飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のい
ずれでもよく、その脂肪酸は直鎖型のものに限定され
ず、分岐型のものでよい。更に、脂肪酸、任意に水酸基
等の置換基を有していてもよいし、また必ずしも一塩基
酸に限定されず、二塩基酸等であってもよい。
【0024】また、本発明の代用乳の調製に用いられる
上記した代用乳組成物は、必要に応じて糖類を通常30
重量%以下の割合で含有することができる。その場合の
糖類としては、単糖類および/または少糖類を使用する
のが好ましく、具体例としてはブドウ糖、果糖、乳糖、
麦芽糖等の糖類を挙げることができ、これらの糖類は単
独で用いても2種以上を用いてもよい。
【0025】本発明で好ましく用いられる、ホエー類を
主たる乳成分とし且つ油脂と共にレシチンおよびポリオ
キシエチレングリセリン脂肪酸エステルを含有する上記
した代用乳組成物の調製法は特に制限されないが、特
に、レシチンおよびポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸エステルを油脂に溶解した油脂混合物を80℃以下の
温度で液状を保ちながら、ホエー類を主たる乳成分とす
る代用乳組成物用の粉末原料に噴霧して造粒する方法に
より好ましく製造される。そして、前記した方法で製造
される代用乳組成物は、80℃以下の低温で造粒を行う
ことによって、蛋白質の変性、ビタミンの破壊等がな
く、栄養価および消化吸収性に優れたものとなる。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例において、代用乳の浸透圧は次のようにし
て測定した。また以下の例において、特に断らない限
り、%は重量%を示す。
【0027】[代用乳の浸透圧の測定法]オスモメータ
ー[ドイツ・クナウアー社製「SMO−1」]を用い
て、氷点降下度を測定し、該氷点降下度より水1kgに
溶けている代用乳組成物の浸透圧濃度[重量浸透圧濃度
(mOsm/kg・H2O)]を求めて代用乳の浸透圧とした。
【0028】《実施例1》 (1) 下記の表1に示す子牛用の代用乳組成物配合を
準備した。
【0029】
【表1】 [子牛用代用乳組成物配合] 成 分 配合量(重量部) 濃縮ホエー蛋白質 295 乾燥ホエー 100 脱脂粉乳 300 魚粉 40 ビタミン・ミネラル類1) 15 牛脂 224 牛脂硬化油 10 乳化剤2) 9 レシチン 7 1)食塩、香料等を含む 2)ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(スウェーデン・ ベロールノベル社製「BREDOL 697」)
【0030】(2) 上記の表1の牛脂224重量部お
よび牛脂硬化油10重量部を70℃に加熱して溶かし、
これにレシチン7重量部および乳化剤(ポリオキシエチ
レングリセリン脂肪酸エステル)9重量部を加えて液状
の牛脂混合物を調製した。 (3) 一方、上記の表1の残りの成分の全量をリボン
型混合機を用いて均一に混合し、この混合物を低速で撹
拌しながら、そこに上記(2)で調製した液状の牛脂混
合物を噴霧し、噴霧終了後に温度を25℃に低下させ
て、油脂含有量が約25%である子牛用の代用乳組成物
を製造した。
【0031】(4) 上記(3)で得られた代用乳組成
物1kgを50℃の温水9kgに溶解して(希釈倍率1
0倍)、油脂含有量2.5%の代用乳を調製した。これ
により得られた代用乳の浸透圧を上記した方法で測定し
たところ、下記の表2に示すように、235mOsm/kg・H
2Oであり、また代用乳のpHは6.39であった。な
お、この代用乳の調製時には、ダマなどを発生すること
なく温水に良好に溶解した。この代用乳中の脂肪球の大
きさを光学顕微鏡を用いて測定したところ、約2〜10
μmの大きさであって、天然の牛乳中の脂肪球の大きさ
とほぼ同じであった。 (5) 上記(4)のようにして浸透圧を235mOsm/
kg・H2Oに調製した代用乳を、10日令の子牛4頭(平均
42.7kg/頭)に4週間に亙って給与して自由に摂
取させて、1週間ごとに体重を測定してその平均体重を
求めると共に、消化不良(下痢)の発生率を調べたとこ
ろ、下記の表2に示すとおりであった。
【0032】《比較例1》 (1) 実施例1の(3)で得られた代用乳組成物1k
gを50℃の温水7kgに溶解して(希釈倍率8倍)、
油脂含有量3.13%の代用乳を調製した。これにより
得られた代用乳の浸透圧を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表2に示すように、325mOsm/kg・H2Oであ
り、また代用乳のpHは6.37であった。なお、この
代用乳の調製時には、ダマなどを発生することなく温水
に良好に溶解した。この代用乳中の脂肪球の大きさを光
学顕微鏡を用いて測定したところ、約2〜10μmの大
きさであって、天然の牛乳中の脂肪球の大きさとほぼ同
じであった。 (2) 上記(1)のようにして浸透圧を325mO,sm
/kg・H2Oに調製した代用乳を、10日令の子牛4頭(平
均41.8kg/頭)に4週間に亙って給与して自由に
摂取させて、1週間ごとに体重を測定してその平均体重
を求めるとともに、消化不良(下痢)の発生率を調べた
ところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0033】
【表2】 実施例1 比較例1 代用乳 浸透圧(mOsm/kg・H2O) 235 325 pH 6.37 6.39 平均体重 当初(kg/頭) 42.7 41.8 1週間後(kg/頭) 44.7 43.1 2週間後(kg/頭) 44.9 43.2 3週間後(kg/頭) 50.9 47.4 4週間後(kg/頭) 55.4 52.9 消化不良発生率(%) 1日目〜7日目 10.7 21.4 8日目〜14日目 7.1 21.4 15日目〜21日目 7.1 17.9 22日目〜28日目 7.1 21.4 なお、上記の表2における各試験期間(1週間)毎の消
化不良発生率は、次式により求めた。
【0034】
【数1】試験期間(1週間)毎の消化不良発生率(%)=
(A/B)×100 式中、A=下痢の発生している子牛の数を毎日数え、各
試験期間(1週間)中における下痢の発生していた子牛の
延べ頭数 B=各試験期間(1週間)毎の子牛の延べ頭数=4頭×7
(日)=28頭
【0035】上記の表2の結果から、牛の第4胃でレン
ネット凝固を生起しない代用乳を子牛に給与するに当た
って、代用乳の浸透圧を100〜300mOsm/kg・H2Oの
範囲に調整して給与した実施例1による場合は、下痢や
軟便などの消化不良が生じず、良好な増体重で子牛が順
調に生育することがわかる。それに対して、子牛に給与
した代用乳の浸透圧が325mOsm/kg・H2Oである比較例
1の場合は、下痢や軟便などの消化不良が多発して、子
牛が順調に生育しないことがわかる。
【0036】
【発明の効果】子牛、子羊などの幼少反芻動物にその第
4胃でレンネット凝固(カード形成)が生起しない代用
乳を給与するに当たって、浸透圧を100〜300mOsm
/kg・H2Oに調整した代用乳を給与する本発明の場合は、
幼少反芻動物における下痢や軟便などの消化不良を円滑
に防止し、しかも良好な増体重で、幼少反芻動物を順調
に生育させることができる。そして、本発明は、代用乳
の希釈倍率を調整するという極めて簡単な操作で浸透圧
を、幼少反芻動物の生育に適した100〜300mOsm/
kg・H2Oの範囲に調整することができる。また、上記した
本発明において、レシチンおよびポリオキシエチレング
リセリン脂肪酸エステルを含有する代用乳組成物を水ま
たは温水で希釈して得られる代用乳を用いると、代用乳
中に多量の油脂を含有しても油脂の分離が生じず、天然
の牛乳中と同じような、2〜10μmの極めて微小な脂
肪球を形成して、安定性および消化吸収性に優れる代用
乳とすることができるので、子牛などの幼少反芻動物を
一層順調に生育させることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 幼少反芻動物に、その第4胃でレンネッ
    ト凝固が生起しない代用乳を給与する方法であって、前
    記代用乳の浸透圧を100〜300mOsm/kg・H2Oに調整
    して給与することを特徴とする幼少反芻動物への代用乳
    の給与方法。
  2. 【請求項2】 ホエー類を主成分とする代用乳組成物を
    水または温水に溶解または分散させて調製した代用乳で
    あって且つ浸透圧を100〜300mOsm/kg・H2Oに調整
    したものを給与する請求項1の給与方法。
  3. 【請求項3】 代用乳組成物がレシチンおよびポリオキ
    シエチレングリセリン脂肪酸エステルを含有するもので
    ある請求項2の給与方法。
  4. 【請求項4】 代用乳組成物が該代用乳組成物の重量に
    基づいて20〜30重量%の油脂を含有するものである
    請求項2または3の給与方法。
  5. 【請求項5】 幼少反芻動物の第4胃でレンネット凝固
    が生起しない代用乳であって且つ浸透圧を100〜30
    0mOsm/kg・H2Oに調整してあることを特徴とする幼少反
    芻動物用の代用乳。
  6. 【請求項6】 ホエー類を主成分とする代用乳組成物を
    水または温水に溶解または分散させて調製した代用乳で
    ある請求項5の代用乳。
  7. 【請求項7】 レシチンおよびポリオキシエチレングリ
    セリン脂肪酸エステルを含有する代用乳組成物を用いて
    調製した請求項6の代用乳。
  8. 【請求項8】 20〜30重量%の油脂を含有する代用
    乳組成物を用いて調製した請求項6または7の代用乳。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105166390A (zh) * 2015-09-30 2015-12-23 四川铁骑力士实业有限公司 一种促进羔羊瘤胃发育的全价颗粒饲料及其制备方法
JP2016112002A (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 伊藤 弘一 発泡性固型混合飼料

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