JPH06153816A - 乳牛用飼料組成物および乳牛から生産された牛乳 - Google Patents
乳牛用飼料組成物および乳牛から生産された牛乳Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 人体に有益なｎ−３脂肪酸に富んだ牛乳を効
率よく生産するための乳牛用飼料組成物を提供する。 【構成】 亜麻種、荏胡麻、魚粉などのｎ−３脂肪酸供
給源：３０〜６０重量部；小麦、大麦、燕麦などの炭水
化物供給源：７〜２０重量部、粉末乾草：３〜６重量
部、乳化補助剤：３０〜５０重量部、抗酸化剤：０．０
５〜０．１５重量部を含有する乳牛用飼料組成物であ
る。この様な飼料組成物を乳牛に与えることによって、
ｎ−３脂肪酸が豊富な牛乳が生産される。
率よく生産するための乳牛用飼料組成物を提供する。 【構成】 亜麻種、荏胡麻、魚粉などのｎ−３脂肪酸供
給源：３０〜６０重量部；小麦、大麦、燕麦などの炭水
化物供給源：７〜２０重量部、粉末乾草：３〜６重量
部、乳化補助剤：３０〜５０重量部、抗酸化剤：０．０
５〜０．１５重量部を含有する乳牛用飼料組成物であ
る。この様な飼料組成物を乳牛に与えることによって、
ｎ−３脂肪酸が豊富な牛乳が生産される。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ｎ−３脂肪酸に富んだ
牛乳を効率よく生産するための乳牛用飼料組成物に関す
るものである。より詳細には、ｎ−３脂肪酸のうち従来
の牛乳には含有されていなかったイコサペンタエン酸
（以下ＥＰＡと略す）、ドコサペンタエン酸（以下ＤＰ
Ａと略す）およびドコサヘキサエン酸（以下ＤＨＡと略
す）を含有し、ｎ−６脂肪酸に対するｎ−３脂肪酸の比
率を著しく高めた牛乳を生産するための乳牛用飼料組成
物に関するものである。
牛乳を効率よく生産するための乳牛用飼料組成物に関す
るものである。より詳細には、ｎ−３脂肪酸のうち従来
の牛乳には含有されていなかったイコサペンタエン酸
（以下ＥＰＡと略す）、ドコサペンタエン酸（以下ＤＰ
Ａと略す）およびドコサヘキサエン酸（以下ＤＨＡと略
す）を含有し、ｎ−６脂肪酸に対するｎ−３脂肪酸の比
率を著しく高めた牛乳を生産するための乳牛用飼料組成
物に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】現在市販されている牛乳には、ｎ−３脂
肪酸の含有量は非常に低く、α−リノレン酸が若干約
０．４％含有されているにすぎず、その他のｎ−３脂肪
酸であるＥＰＡ、ＤＰＡ、ＤＨＡは全く含有されていな
い。他方、アラキドン酸、リノール酸などのｎ−６脂肪
酸の含有量は約２％であり、ｎ−３脂肪酸に比べると多
く含有されている。
肪酸の含有量は非常に低く、α−リノレン酸が若干約
０．４％含有されているにすぎず、その他のｎ−３脂肪
酸であるＥＰＡ、ＤＰＡ、ＤＨＡは全く含有されていな
い。他方、アラキドン酸、リノール酸などのｎ−６脂肪
酸の含有量は約２％であり、ｎ−３脂肪酸に比べると多
く含有されている。
【０００３】ｎ−６脂肪酸であるリノール酸はアラキド
ン酸に代謝され、アラキドン酸はさらに体内組織の細胞
膜においても代謝され、強い生理活性をもつ２−系列の
プロスタグランジン類、４−系列のロイコトリエン類な
どのアラキドン酸代謝物が作られる。これらは、動脈硬
化症、高血圧、心筋梗塞症、心臓病、虚血性心疾患、血
栓症、心臓病、骨髄炎や内因性皮膚疾患などの様々な生
理的疾病を誘発することが知られている。
ン酸に代謝され、アラキドン酸はさらに体内組織の細胞
膜においても代謝され、強い生理活性をもつ２−系列の
プロスタグランジン類、４−系列のロイコトリエン類な
どのアラキドン酸代謝物が作られる。これらは、動脈硬
化症、高血圧、心筋梗塞症、心臓病、虚血性心疾患、血
栓症、心臓病、骨髄炎や内因性皮膚疾患などの様々な生
理的疾病を誘発することが知られている。
【０００４】一方、ｎ−３脂肪酸、例えばリノレン酸
は、体内組織の細胞膜において鎖長延長酵素および不飽
和化酵素によって一部がＥＰＡに転換され、ＥＰＡは代
謝されて３−系列のプロスタグランジン類と５−系列の
ロイコトリエン類を生成する。これらは、上述したアラ
キドン酸の代謝産物である２−系列のプロスタグランジ
ン類と４−系列のロイコトリエン類の生成を遮断し、各
種生理的疾患を予防治療するのみならず、ｎ−３脂肪酸
自体もｎ−６脂肪酸の代謝経路を遮断してｎ−６脂肪酸
によるイコサノイドの生成を阻害する。
は、体内組織の細胞膜において鎖長延長酵素および不飽
和化酵素によって一部がＥＰＡに転換され、ＥＰＡは代
謝されて３−系列のプロスタグランジン類と５−系列の
ロイコトリエン類を生成する。これらは、上述したアラ
キドン酸の代謝産物である２−系列のプロスタグランジ
ン類と４−系列のロイコトリエン類の生成を遮断し、各
種生理的疾患を予防治療するのみならず、ｎ−３脂肪酸
自体もｎ−６脂肪酸の代謝経路を遮断してｎ−６脂肪酸
によるイコサノイドの生成を阻害する。
【０００５】さらにｎ−３脂肪酸は、動物の視覚機能お
よび知能の発達に重要な役割を果たすことが知られてい
る。例えば、Ｕａｕｙ等はｎ−３脂肪酸がヒトにおける
視覚機能の正常な発達に必要であると報告している（3r
d International Congress on EPA and Eicosanoids, 1
992 ）。Ｃａｒｌｓｏｎ等はｎ−３脂肪酸が欠乏した食
品を摂取した幼児には視覚障害が起こることを報告して
いる（Fed. Proc, 3:A1056, 1989) 。Ｓｉｍｏｐｏｕｌ
ｏｓはｎ−３脂肪酸によって老後の視覚機能の低下を改
善することができると報告している（Nutrition Today,
1988 ）。また、ＣａｒｌｓｏｎとＳａｌｅｍは、ＤＨ
Ａが網膜機能と学習能力の発達に重要な役割を果たすこ
とを報告している（Health Effects of ω3PUFA in Sea
foods, 1990)。さらにＦｕｊｉｍｏｔｏ等は、ネズミを
用いてＤＨＡの知能に及ぼす影響を調べたところ、ＤＨ
Ａが豊富な飼料を摂取したネズミではＤＨＡが欠乏して
いる飼料を摂取したネズミに比べて学習能力がはるかに
高いことを報告している（Health Effects of Fish and
Fish Oil, 1989 ）。
よび知能の発達に重要な役割を果たすことが知られてい
る。例えば、Ｕａｕｙ等はｎ−３脂肪酸がヒトにおける
視覚機能の正常な発達に必要であると報告している（3r
d International Congress on EPA and Eicosanoids, 1
992 ）。Ｃａｒｌｓｏｎ等はｎ−３脂肪酸が欠乏した食
品を摂取した幼児には視覚障害が起こることを報告して
いる（Fed. Proc, 3:A1056, 1989) 。Ｓｉｍｏｐｏｕｌ
ｏｓはｎ−３脂肪酸によって老後の視覚機能の低下を改
善することができると報告している（Nutrition Today,
1988 ）。また、ＣａｒｌｓｏｎとＳａｌｅｍは、ＤＨ
Ａが網膜機能と学習能力の発達に重要な役割を果たすこ
とを報告している（Health Effects of ω3PUFA in Sea
foods, 1990)。さらにＦｕｊｉｍｏｔｏ等は、ネズミを
用いてＤＨＡの知能に及ぼす影響を調べたところ、ＤＨ
Ａが豊富な飼料を摂取したネズミではＤＨＡが欠乏して
いる飼料を摂取したネズミに比べて学習能力がはるかに
高いことを報告している（Health Effects of Fish and
Fish Oil, 1989 ）。
【０００６】この様にｎ−３脂肪酸は、ｎ−６脂肪酸に
よる様々な生理的疾病の発生を抑制することができ、か
つヒトの知能ならびに視覚機能の発達に必須であると考
えられるので、ｎ−３脂肪酸を豊富に含有し、かつｎ−
６／ｎ−３脂肪酸の比率が低い牛乳を乳牛から生産する
ことが強く望まれている。ここで考慮しなければならな
いことは、乳牛は代表的な反芻動物であり、豚などの非
反芻動物とは消化機序が大きく異なることである。すな
わち乳牛の場合、摂取された脂肪は反芻胃中の微生物が
分泌する酵素によって遊離脂肪酸となり、異性化反応や
水素化反応によってトランス型または飽和脂肪酸に変化
し、さらに発酵によって酢酸とプロピオン酸を生成す
る。従ってｎ−３脂肪酸に富んだ牛乳を生産するために
は、この様な反芻胃における微生物の作用を受けずに消
化されて小腸で吸収される様な乳牛用飼料組成物を開発
することが必要である。
よる様々な生理的疾病の発生を抑制することができ、か
つヒトの知能ならびに視覚機能の発達に必須であると考
えられるので、ｎ−３脂肪酸を豊富に含有し、かつｎ−
６／ｎ−３脂肪酸の比率が低い牛乳を乳牛から生産する
ことが強く望まれている。ここで考慮しなければならな
いことは、乳牛は代表的な反芻動物であり、豚などの非
反芻動物とは消化機序が大きく異なることである。すな
わち乳牛の場合、摂取された脂肪は反芻胃中の微生物が
分泌する酵素によって遊離脂肪酸となり、異性化反応や
水素化反応によってトランス型または飽和脂肪酸に変化
し、さらに発酵によって酢酸とプロピオン酸を生成す
る。従ってｎ−３脂肪酸に富んだ牛乳を生産するために
は、この様な反芻胃における微生物の作用を受けずに消
化されて小腸で吸収される様な乳牛用飼料組成物を開発
することが必要である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の様な状
況に鑑みてなされたものであって、その目的は、ＥＰ
Ａ、ＤＰＡおよびＤＨＡを含むｎ−３脂肪酸に富み、ｎ
−６／ｎ−３脂肪酸の比率が低い新規な牛乳を生産する
ことのできる乳牛用飼料組成物であって、かつ該飼料組
成物中のｎ−３脂肪酸が反芻胃における微生物の作用を
受けることなくそのまま体内へ効率良く吸収される様な
新規な乳牛用飼料組成物を提供することである。
況に鑑みてなされたものであって、その目的は、ＥＰ
Ａ、ＤＰＡおよびＤＨＡを含むｎ−３脂肪酸に富み、ｎ
−６／ｎ−３脂肪酸の比率が低い新規な牛乳を生産する
ことのできる乳牛用飼料組成物であって、かつ該飼料組
成物中のｎ−３脂肪酸が反芻胃における微生物の作用を
受けることなくそのまま体内へ効率良く吸収される様な
新規な乳牛用飼料組成物を提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明の乳牛用飼料組成
物は、ｎ−３脂肪酸供給源：３０〜６０重量部、炭水化
物供給源：７〜２０重量部、粉末乾草：３〜６重量部、
乳化補助剤：３０〜５０重量部、抗酸化剤：０．０５〜
０．１５重量部を含有する点に要旨を有する。この様な
飼料組成物を乳牛に与えることにより、生産された牛乳
はｎ−３脂肪酸に富んでいる。
物は、ｎ−３脂肪酸供給源：３０〜６０重量部、炭水化
物供給源：７〜２０重量部、粉末乾草：３〜６重量部、
乳化補助剤：３０〜５０重量部、抗酸化剤：０．０５〜
０．１５重量部を含有する点に要旨を有する。この様な
飼料組成物を乳牛に与えることにより、生産された牛乳
はｎ−３脂肪酸に富んでいる。
【０００９】
【作用】上記ｎ−３脂肪酸供給源は３０〜６０重量部含
有され、その例としては特に限定されないが入手の容易
なものとして例えば、亜麻種（亜麻の種子）、荏胡麻、
魚粉などが用いられる。しかしながらこれらに限定され
る必要はなく、荏胡麻の他にもシソ科の植物であれば任
意の植物が用いられ、また植物体の全体もしくは任意の
部位を選択的に使用することも可能であり、魚粉に関し
てもこのような形態に限定されず、魚体の任意の部分ま
たは形態が用いられる。これらは蛋白質供給源ともな
り、かつｎ−３脂肪酸の乳牛体内への吸収をより効果的
に促進する。このうち、亜麻種は価格が安く、ｎ−３脂
肪酸のうちα−リノレン酸を約２５％含有している他、
可溶性繊維質やリグニンなども含有しており、また一般
の脂肪酸供給源の中では特に蛋白質を多く含有している
（約２５％）ため、体内への吸収性が良い。しかしなが
ら、亜麻種は、ｎ−３脂肪酸のうちＥＰＡやＤＨＡを殆
んど含有していないため、これらの含有量が高い魚粉を
混合して用いることが好ましい。魚粉の含有量は好まし
くは５〜１０重量部である。荏胡麻は、亜麻種と成分上
大きな差異はないが、これを含有する飼料組成物を乳牛
に与えると乳牛の嗜好度が高まり、ｎ−３脂肪酸供給源
として亜麻種のみを与えた場合に比べて、飼料の消化吸
収がはるかに優れているので、両者を併用することが好
ましい。荏胡麻は種子を含めて植物体すべてを用いるこ
とができ、この場合、亜麻種と荏胡麻との比率は、１０
０：（２〜１０）が好ましい。
有され、その例としては特に限定されないが入手の容易
なものとして例えば、亜麻種（亜麻の種子）、荏胡麻、
魚粉などが用いられる。しかしながらこれらに限定され
る必要はなく、荏胡麻の他にもシソ科の植物であれば任
意の植物が用いられ、また植物体の全体もしくは任意の
部位を選択的に使用することも可能であり、魚粉に関し
てもこのような形態に限定されず、魚体の任意の部分ま
たは形態が用いられる。これらは蛋白質供給源ともな
り、かつｎ−３脂肪酸の乳牛体内への吸収をより効果的
に促進する。このうち、亜麻種は価格が安く、ｎ−３脂
肪酸のうちα−リノレン酸を約２５％含有している他、
可溶性繊維質やリグニンなども含有しており、また一般
の脂肪酸供給源の中では特に蛋白質を多く含有している
（約２５％）ため、体内への吸収性が良い。しかしなが
ら、亜麻種は、ｎ−３脂肪酸のうちＥＰＡやＤＨＡを殆
んど含有していないため、これらの含有量が高い魚粉を
混合して用いることが好ましい。魚粉の含有量は好まし
くは５〜１０重量部である。荏胡麻は、亜麻種と成分上
大きな差異はないが、これを含有する飼料組成物を乳牛
に与えると乳牛の嗜好度が高まり、ｎ−３脂肪酸供給源
として亜麻種のみを与えた場合に比べて、飼料の消化吸
収がはるかに優れているので、両者を併用することが好
ましい。荏胡麻は種子を含めて植物体すべてを用いるこ
とができ、この場合、亜麻種と荏胡麻との比率は、１０
０：（２〜１０）が好ましい。
【００１０】次に、炭水化物供給源は７〜２０重量部含
有され、その例としては特に限定されないが、入手の容
易なものとして例えば、小麦、大麦、燕麦などの穀物が
用いられる。本発明の飼料組成物は市販の飼料組成物と
は異なり、上述した様な脂肪酸を多く含有しているの
で、飼料の交替により乳牛の嗜好に変化が生じ、体内吸
収率に異常が生ずる可能性がある。従って、炭水化物供
給源を含有させておくことにより、乳牛の嗜好に適した
飼料組成物とすることができる。粉末乾草は３〜６重量
部含有され、その例としては特に限定されないが、例え
ばアルファルファなどが用いられる。粉末乾草は、繊維
質供給源および脂肪酸分解防止剤として用いられ、飼料
組成物の反芻胃内の通過を短縮する効果が得られる。
有され、その例としては特に限定されないが、入手の容
易なものとして例えば、小麦、大麦、燕麦などの穀物が
用いられる。本発明の飼料組成物は市販の飼料組成物と
は異なり、上述した様な脂肪酸を多く含有しているの
で、飼料の交替により乳牛の嗜好に変化が生じ、体内吸
収率に異常が生ずる可能性がある。従って、炭水化物供
給源を含有させておくことにより、乳牛の嗜好に適した
飼料組成物とすることができる。粉末乾草は３〜６重量
部含有され、その例としては特に限定されないが、例え
ばアルファルファなどが用いられる。粉末乾草は、繊維
質供給源および脂肪酸分解防止剤として用いられ、飼料
組成物の反芻胃内の通過を短縮する効果が得られる。
【００１１】本発明の飼料組成物の最も重要な特徴は、
組成物中に乳化補助剤を３０〜５０重量部含有する点に
ある。ここで本発明で用いられる乳化補助剤は、乳化状
態を安定に保つ作用を有する本来の乳化剤成分と、乳化
剤の乳化力を高めるために用いられる補助成分とを含ん
でおり、乳牛の胃の中で飼料組成物を乳化状態にさせる
ものであればすべて包含される。その例としては、例え
ばカゼイン、大豆等から供給されるレシチン、ホルムア
ルデヒド、塩化ナトリウム、メタノールなどが挙げられ
る。このうち、カゼインおよびレシチンは乳化剤として
作用するだけでなく、蛋白質強化剤としての作用も有す
る。この様な乳化剤と共にホルムアルデヒド、塩化ナト
リウム、メタノール等を併用することにより、飼料組成
物の乳化が促進され、反芻胃における脂肪酸の分解と発
酵を防ぐ脂肪酸分解防止効果も得られる。すなわち、乳
化補助剤により乳牛の体内で乳化状態になった本発明の
飼料組成物は、ホルムアルデヒドと飼料組成物中の蛋白
質との結合により蛋白質が凝固し、不溶性となるので、
微生物の作用を受けることなく第１胃・第２胃を通過す
ることができる。その後飼料組成物は、第４胃で胃液分
泌によるｐＨの低下と各種消化酵素の作用によって初め
て胃内消化が行われ、飼料中の脂肪酸は代謝されずに小
腸に到達し、体内に吸収される様になるのである。一般
にホルムアルデヒドは毒性物資であるが、本発明の飼料
組成物と混合して使用する時には乳化力を高めて飼料を
乳化状態にした後、直ちに揮発するので、毒性に対する
心配はしなくてもよい。またメタノールは、ホルムアル
デヒドの重合を防止する作用を有し、ホルムアルデヒド
の乳化促進力をさらに高めるためにも少量添加すること
が好ましい。
組成物中に乳化補助剤を３０〜５０重量部含有する点に
ある。ここで本発明で用いられる乳化補助剤は、乳化状
態を安定に保つ作用を有する本来の乳化剤成分と、乳化
剤の乳化力を高めるために用いられる補助成分とを含ん
でおり、乳牛の胃の中で飼料組成物を乳化状態にさせる
ものであればすべて包含される。その例としては、例え
ばカゼイン、大豆等から供給されるレシチン、ホルムア
ルデヒド、塩化ナトリウム、メタノールなどが挙げられ
る。このうち、カゼインおよびレシチンは乳化剤として
作用するだけでなく、蛋白質強化剤としての作用も有す
る。この様な乳化剤と共にホルムアルデヒド、塩化ナト
リウム、メタノール等を併用することにより、飼料組成
物の乳化が促進され、反芻胃における脂肪酸の分解と発
酵を防ぐ脂肪酸分解防止効果も得られる。すなわち、乳
化補助剤により乳牛の体内で乳化状態になった本発明の
飼料組成物は、ホルムアルデヒドと飼料組成物中の蛋白
質との結合により蛋白質が凝固し、不溶性となるので、
微生物の作用を受けることなく第１胃・第２胃を通過す
ることができる。その後飼料組成物は、第４胃で胃液分
泌によるｐＨの低下と各種消化酵素の作用によって初め
て胃内消化が行われ、飼料中の脂肪酸は代謝されずに小
腸に到達し、体内に吸収される様になるのである。一般
にホルムアルデヒドは毒性物資であるが、本発明の飼料
組成物と混合して使用する時には乳化力を高めて飼料を
乳化状態にした後、直ちに揮発するので、毒性に対する
心配はしなくてもよい。またメタノールは、ホルムアル
デヒドの重合を防止する作用を有し、ホルムアルデヒド
の乳化促進力をさらに高めるためにも少量添加すること
が好ましい。
【００１２】本発明の飼料組成物はさらに、抗酸化剤を
０．０５〜０．１５重量部含有する。本発明に用いられ
る抗酸化剤としては特に限定されないが、最も好ましい
抗酸化剤としてはエトキシキンが挙げられ、これは「サ
ントキン」の商品名（モンサント社製）として知られて
いる。この抗酸化剤は、乳牛の体内において抗酸化作用
を示すのみならず、飼料中のｎ−３脂肪酸の酸化分解を
防止し、飼料の変質を防ぐこともできる。そのため、飼
料を長期間保存することも可能である。本発明の飼料組
成物は上記成分以外に必要に応じて、燐酸水素カルシウ
ム、ビタミンなどを含有してもよい。
０．０５〜０．１５重量部含有する。本発明に用いられ
る抗酸化剤としては特に限定されないが、最も好ましい
抗酸化剤としてはエトキシキンが挙げられ、これは「サ
ントキン」の商品名（モンサント社製）として知られて
いる。この抗酸化剤は、乳牛の体内において抗酸化作用
を示すのみならず、飼料中のｎ−３脂肪酸の酸化分解を
防止し、飼料の変質を防ぐこともできる。そのため、飼
料を長期間保存することも可能である。本発明の飼料組
成物は上記成分以外に必要に応じて、燐酸水素カルシウ
ム、ビタミンなどを含有してもよい。
【００１３】本発明の飼料組成物は、上記の様に乳化補
助剤を含有することによって飼料を乳化状態とし、ｎ−
３脂肪酸の吸収率を高めたものであるが、優れた乳化性
を保つためには、脂肪と蛋白質を適切な比率で混合する
必要がある。このため飼料組成物中の脂肪と蛋白質との
比率は（１〜４）：１であることが好ましい。本発明の
飼料組成物を乳牛に与えることによって生産される牛乳
は、ｎ−３脂肪酸の含有量が高い。好適な実施態様で
は、ｎ−６／ｎ−３脂肪酸の比率は（２〜３）：１であ
り、かつ従来の牛乳には含有されていなかったＥＰＡ、
ＤＰＡおよびＤＨＡをも含有する様になる。
助剤を含有することによって飼料を乳化状態とし、ｎ−
３脂肪酸の吸収率を高めたものであるが、優れた乳化性
を保つためには、脂肪と蛋白質を適切な比率で混合する
必要がある。このため飼料組成物中の脂肪と蛋白質との
比率は（１〜４）：１であることが好ましい。本発明の
飼料組成物を乳牛に与えることによって生産される牛乳
は、ｎ−３脂肪酸の含有量が高い。好適な実施態様で
は、ｎ−６／ｎ−３脂肪酸の比率は（２〜３）：１であ
り、かつ従来の牛乳には含有されていなかったＥＰＡ、
ＤＰＡおよびＤＨＡをも含有する様になる。
【００１４】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するもので
はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施
することは全て、本発明の技術的範囲に包含される。
に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するもので
はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施
することは全て、本発明の技術的範囲に包含される。
【００１５】
【実施例】表１に示す組成の成分を均一に混合した後、
再度混合均質機で混合することによりペレット状の本発
明の飼料組成物（径：０．５ｃｍ）を製造した。
再度混合均質機で混合することによりペレット状の本発
明の飼料組成物（径：０．５ｃｍ）を製造した。
【００１６】
【表１】
【００１７】実験１ ホルスタイン乳牛１０頭を５頭ずつ２群に分けて、対照
群には市販の乳牛飼育用飼料組成物を与えた。一方、実
験群には上記で製造した本発明の飼料組成物と市販の飼
料組成物とを第１日目には０．５：９．５、第２日目に
は１：９、第３日目には１．５：８．５、第４日目には
２：８、第５日目には２．５：７．５、第６日目には
３：７、第７日目には３．５：６．５、第８日目には
４：６、第９日目には４．５：５．５、第１０日目以降
には５：５の比率で混合して合計３週間与えた。対照群
および実験群から生産された牛乳中の脂肪酸組成を分析
し、その平均値を比較した。得られた結果を表２に示
す。
群には市販の乳牛飼育用飼料組成物を与えた。一方、実
験群には上記で製造した本発明の飼料組成物と市販の飼
料組成物とを第１日目には０．５：９．５、第２日目に
は１：９、第３日目には１．５：８．５、第４日目には
２：８、第５日目には２．５：７．５、第６日目には
３：７、第７日目には３．５：６．５、第８日目には
４：６、第９日目には４．５：５．５、第１０日目以降
には５：５の比率で混合して合計３週間与えた。対照群
および実験群から生産された牛乳中の脂肪酸組成を分析
し、その平均値を比較した。得られた結果を表２に示
す。
【００１８】
【表２】
【００１９】表２から明らかな様に実験群から生産され
る牛乳では、対照群から生産される牛乳に比べてｎ−３
脂肪酸の含有量が増加し、給餌後２〜３週間で約５倍に
なった。このうち、α−リノレン酸の含有量は給餌後３
週間で３．５倍になり、かつ対照群には全く含有されて
いなかったＥＰＡ、ＤＰＡおよびＤＨＡもそれぞれ０．
１、０．１および０．２％ずつ蓄積されるようになっ
た。さらにｎ−６／ｎ−３脂肪酸の比率も給餌後３週間
で約２：１となり、ｎ−６脂肪酸とｎ−３脂肪酸のバラ
ンスが非常に良い結果が得られた。
る牛乳では、対照群から生産される牛乳に比べてｎ−３
脂肪酸の含有量が増加し、給餌後２〜３週間で約５倍に
なった。このうち、α−リノレン酸の含有量は給餌後３
週間で３．５倍になり、かつ対照群には全く含有されて
いなかったＥＰＡ、ＤＰＡおよびＤＨＡもそれぞれ０．
１、０．１および０．２％ずつ蓄積されるようになっ
た。さらにｎ−６／ｎ−３脂肪酸の比率も給餌後３週間
で約２：１となり、ｎ−６脂肪酸とｎ−３脂肪酸のバラ
ンスが非常に良い結果が得られた。
【００２０】
【発明の効果】上述の通り、本発明の飼料組成物を乳牛
に与えることによって生産される牛乳は、ｎ−３脂肪酸
が豊富であり、従来の牛乳には含有されていなかったＥ
ＰＡ、ＤＰＡおよびＤＨＡも含有するようになる。ま
た、ｎ−６／ｎ−３脂肪酸の比率も減少するため、ｎ−
６脂肪酸による各種の生理的疾病を予防することがで
き、人体内の生理的な均衡を維持することができる。従
って、栄養上母乳にまさるとも劣らない牛乳が得られる
ようになる。
に与えることによって生産される牛乳は、ｎ−３脂肪酸
が豊富であり、従来の牛乳には含有されていなかったＥ
ＰＡ、ＤＰＡおよびＤＨＡも含有するようになる。ま
た、ｎ−６／ｎ−３脂肪酸の比率も減少するため、ｎ−
６脂肪酸による各種の生理的疾病を予防することがで
き、人体内の生理的な均衡を維持することができる。従
って、栄養上母乳にまさるとも劣らない牛乳が得られる
ようになる。
Claims (11)
- 【請求項１】 ｎ−３脂肪酸供給源：３０〜６０重量
部、炭水化物供給源：７〜２０重量部、粉末乾草：３〜
６重量部、乳化補助剤：３０〜５０重量部、抗酸化剤：
０．０５〜０．１５重量部を含有することを特徴とする
乳牛用飼料組成物。 - 【請求項２】 前記ｎ−３脂肪酸供給源が、亜麻種、荏
胡麻および魚粉よりなる群から選択される少なくとも一
種である請求項１に記載の飼料組成物。 - 【請求項３】 前記亜麻種と前記荏胡麻との混合比が１
００：（２〜１０）となる様に選択される請求項２に記
載の飼料組成物。 - 【請求項４】 前記魚粉の含有量が５〜１０重量部とな
る様に選択される請求項２に記載の飼料組成物。 - 【請求項５】 前記炭水化物供給源が小麦、大麦および
燕麦よりなる群から選択される少なくとも一種である請
求項１に記載の飼料組成物。 - 【請求項６】 前記乳化補助剤がカゼインおよび／また
はレシチン、ならびにホルムアルデヒド、塩化ナトリウ
ム、メタノールおよび水を含有するものである請求項１
に記載の飼料組成物。 - 【請求項７】 前記抗酸化剤がエトキシキンである請求
項１に記載の飼料組成物。 - 【請求項８】 脂肪と蛋白質の比率が（１〜４）：１で
ある請求項１〜７のいずれかに記載の飼料組成物。 - 【請求項９】 ｎ−３脂肪酸に富んだ牛乳。
- 【請求項１０】 ｎ−６／ｎ−３脂肪酸の比率が（２〜
３）：１である請求項１０に記載の牛乳。 - 【請求項１１】 前記ｎ−３脂肪酸がイコサペンタエン
酸、ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸であ
る請求項９または１０に記載の牛乳。
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|---|---|---|---|
| KR14711 | 1992-08-14 | ||
| KR1019920014711A KR940003473A (ko) | 1992-08-14 | 1992-08-14 | n-3 지방산이 축적된 우유 및 우유용 사료조성물 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06153816A true JPH06153816A (ja) | 1994-06-03 |
| JP2503367B2 JP2503367B2 (ja) | 1996-06-05 |
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| JP5166938A Expired - Fee Related JP2503367B2 (ja) | 1992-08-14 | 1993-07-06 | 乳牛用飼料組成物および牛乳の生産方法 |
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|---|---|
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| KR (1) | KR940003473A (ja) |
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| FR (1) | FR2694680B1 (ja) |
Cited By (6)
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| JP2008212149A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-09-18 | Sukegawa Electric Co Ltd | 特定の飼料を給与することを特徴とする家畜の飼育方法 |
| JP2011234679A (ja) * | 2010-05-11 | 2011-11-24 | Meiji Shiryo Kk | 反芻家畜乳中の高度不飽和脂肪酸含量増加方法、及び、当該方法に用いられる医薬剤又は飼料組成物 |
| CN103222546A (zh) * | 2013-04-19 | 2013-07-31 | 安徽强农牧业有限公司 | 一种高营养奶牛饲料及其制备方法 |
| JP2018088917A (ja) * | 2016-12-02 | 2018-06-14 | アグリカルチュラル カンパニー コーポレーションズ グリーン グラス フィード カンパニー リミテッド | エゴマ粕を用いた飼料組成物及びその製造方法 |
| US11273136B2 (en) | 2019-02-15 | 2022-03-15 | Neopharma Japan Co. Ltd. | Method for increasing protein content in milk of lactating cows |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| FR2732560B1 (fr) * | 1995-04-10 | 1997-06-27 | Valorex Sa | Aliment pour vaches laitieres autorisant la baisse du taux de matieres grasses dans le lait |
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| FR2745979B1 (fr) * | 1996-03-15 | 1998-05-29 | Additif alimentaire pour animaux | |
| CA2208392C (en) * | 1996-06-21 | 2002-09-03 | University Of Guelph | Method for enriching docosahexaenoic acid in expressed milk of dairy cattle |
| FR2768025B1 (fr) * | 1997-09-05 | 1999-11-12 | Unicopa | Supplement energetique a l'alimentation des vaches laitieres et son procede de fabrication |
| DE19809893B4 (de) * | 1998-03-07 | 2004-06-03 | Jodlbauer, Heinz D., Dr. | Verfahren zur Herstellung eines Nahrungsergänzungsmittels aus Perillasamen |
| AUPP887399A0 (en) * | 1999-02-24 | 1999-03-25 | Bartlett Grain Pty Ltd | Animal feed formulae for the nutritional enrichment of foodstuffs |
| US7001610B2 (en) | 2001-04-23 | 2006-02-21 | Omeganutrel Inc. | Food supplement and use thereof for elevating levels of essential fatty acids in livestock and products therefrom |
| CA2444189C (en) * | 2001-04-23 | 2007-03-13 | Omeganutrel Inc. | A food supplement containing essential fatty acids and products therefrom |
| EP1656839A1 (en) | 2004-11-11 | 2006-05-17 | N.V. Nutricia | Nutrition containing lipid blend |
| NL2003315C2 (en) * | 2009-07-31 | 2011-02-02 | Friesland Brands Bv | Milk composition, use thereof and products based thereon, formulation to be fed to mammals, and method for producing said milk composition. |
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| EP3945860A1 (en) | 2019-03-27 | 2022-02-09 | FrieslandCampina Nederland B.V. | Bovine milk having a high n6-polyunsaturated fatty acid content |
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|---|---|---|---|---|
| JPH0371100A (ja) * | 1989-08-09 | 1991-03-26 | Nikon Corp | 結像型軟ｘ線顕微鏡装置 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| US4664917A (en) * | 1984-11-13 | 1987-05-12 | Central Soya Company, Inc. | Method of providing cattle with proteinaceous feed materials |
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| KR0148349B1 (ko) * | 1992-01-23 | 1998-10-15 | 이순목 | n-3 지방산이 축적된 우육 생산용 사료 조성물 |
-
1992
- 1992-08-14 KR KR1019920014711A patent/KR940003473A/ko not_active IP Right Cessation
-
1993
- 1993-07-06 JP JP5166938A patent/JP2503367B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 1993-08-10 FR FR9309822A patent/FR2694680B1/fr not_active Expired - Fee Related
- 1993-08-13 DE DE4327310A patent/DE4327310C2/de not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
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Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| FR2694680B1 (fr) | 1995-11-17 |
| FR2694680A1 (fr) | 1994-02-18 |
| DE4327310C2 (de) | 1996-09-19 |
| JP2503367B2 (ja) | 1996-06-05 |
| DE4327310A1 (de) | 1994-02-17 |
| KR940003473A (ko) | 1994-03-12 |
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