JPH1081572A - 不定形耐火物 - Google Patents

不定形耐火物

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JPH1081572A
JPH1081572A JP9186086A JP18608697A JPH1081572A JP H1081572 A JPH1081572 A JP H1081572A JP 9186086 A JP9186086 A JP 9186086A JP 18608697 A JP18608697 A JP 18608697A JP H1081572 A JPH1081572 A JP H1081572A
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alumina
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JP9186086A
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Yuji Koga
祐司 古賀
Kenji Sekiguchi
憲司 関口
Kazumi Nozawa
和己 野澤
Hirotomo Sakai
裕智 酒井
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来品に無い耐食性、耐消化性、強度発現
性、高流動性、及び可使時間に優れた不定形耐火物を提
供すること。 【解決手段】 アルミナセメント2〜10重量部、アルミ
ナ質骨材80〜95重量部、及びマグネシア質骨材3〜10重
量部、並びに、アルミナセメント、アルミナ質骨材、及
びマグネシア質骨材の合計100 重量部に対して、超微粉
0.1 〜5重量部、塩基性乳酸アルミニウム0.1 〜5重量
部、分散剤0.01〜0.5 重量部、及び硬化調整剤0.01〜0.
5 重量部を含有してなる不定形耐火物、さらに、特定量
の添加剤を含有してなる不定形耐火物を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不定形耐火物、特
に、従来品と比べて硬化体の耐食性、耐消化性、強度発
現性、高流動性、及び適当な可使時間を有する不定形耐
火物に関する。本発明の不定形耐火物は、アルミナセメ
ントが使用されている高炉や電気炉などを中心とした鉄
鋼分野を始め、焼却炉、セメントキルン、及び化学プラ
ント等に、また、各種耐火材や耐食材としての使用が可
能である。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、特定割合のCaO ・Al2O
3 、12CaO ・7Al2O3、及び非晶質からなり、α−アルミ
ナ、ヒドロキシカルボン酸、及び無機炭酸塩を含有して
なるアルミナセメント組成物、水溶性のポリアクリル酸
類及び/又はメタクリル酸−アクリル酸共重合体とアル
カリ金属炭酸塩とを含有してなるアルミナセメント、特
定のCaO /Al2O3 比の無定形カルシウムアルミネート
(非晶質カルシウムアルミネート)を含有するアルミナ
セメント、CaO ・Al2O3 、CaO ・2Al2O3、3CaO・Al2O
3 、12CaO ・7Al2O3、及び11CaO ・7Al2O3・CaF2等の鉱
物組成の一種又は二種以上に対応する非晶質カルシウム
アルミネートを主成分とするアルミナセメント、少なく
とも80重量%のカルシウムアルミネート組成をもつクリ
ンカーと特定の比表面積をもつアルミナとを含有してな
るアルミナセメント、アルミナセメントクリンカーにア
ルミナ質微粉を含有してなるアルミナセメント、並び
に、CaO ・2Al2O3を主体とし、12CaO ・7Al2O3、微粉ア
ルミナ、及びスルホン酸系アニオン界面活性剤を配合し
てなるアルミナセメント、並びに、特定割合のCaO ・Al
2O3 とCaO ・2Al2O3をもつクリンカーと、カルシウムア
ルミネート、ポリアクリル酸類、ホウ酸類、炭酸塩又は
ポリアクリル酸類、ホウ酸類、カルボン酸類からなるセ
メント組成物と、α−アルミナとからなるアルミナセメ
ント等が提案されている(特開昭49− 32921号公報、特
開昭50−102617号公報、及び特開昭55−121933号公報
等、特開昭55− 75947号公報や特開昭55-75948号公報な
ど、特開昭61− 77659号公報、特開昭61−132556号公
報、及び特開平 2−175638号公報等、特公昭47− 40694
号公報や特開昭52−111920号公報など、特開昭55−1219
34号公報や特開昭55−144456号公報など、特開平6-1570
97号公報等、並びに、USP 4162923 等)。また、アルミ
ナセメントの鉱物組成と添加剤の種類についての基本特
性も提案されている(HIGH ALUMINA CEMENT AND CONCRE
TES ;T.D.ROBSON 1962)。
【0003】これらの特許や文献に記載されているアル
ミナセメントは、高強度発現性、高耐火性、及び高流動
性等の特性改善を目的としたものであるが、いずれも一
長一短があり、従来の市販品の範疇を逸脱する物ではな
かった。特に、アルミナセメント中のAl2O3 含有量を高
め、耐食性と耐火性とを向上させようとすると養生強度
や乾燥強度が著しく低下するという課題があり、アルミ
ナセメント中のCaO とAl2O3 の含有割合は必然的に制限
されるものであった。また、多くのアルミナセメントの
鉱物組成は、カルシウムアルミネートの種類とその配合
割合の多少にかかわらず、流動性を確保するため、ま
た、強度発現性付与の面や適度の硬化性確保の面で、Ca
O ・Al2O3 を主体とするものに限定されていた。
【0004】一方、CaO ・Al2O3 の硬化速度の調整に、
12CaO ・7Al2O3のような早硬性のカルシウムアルミネー
トを配合することが提案されている(特公昭44−4220号
公報や特開昭54−139637号公報)。しかしながら、CaO
・2Al2O3は硬化遅延性や強度発現性が低下する傾向を示
し、12CaO ・7Al2O3は急硬性を示す特徴があり、添加剤
等で硬化調整を行っても、CaO ・Al2O3 を主体とするア
ルミナセメントには、強度発現性の面で劣るという課題
があった。
【0005】このように、アルミナセメントに関する技
術を記載する特許や文献は多数存在するものの、実際に
工業化されているアルミナセメントは、その鉱物組成が
CaO・Al2O3 を主体とするものに限定され、さらに、硬
化調整の目的で、また、高耐火性や強度発現性付与の目
的で、12CaO ・7Al2O3、α−アルミナ、及び各種添加剤
を含有したものであり、流動性、強度発現性、硬化性、
及び耐火性等に特色があるが、現在、耐火物分野、特
に、製銑設備や製鋼設備を始めとする鉄鉱分野で要求さ
れる不定形耐火物の要求レベルには、流動性、強度発現
性、耐火性、及び耐食性等の特性が不十分であった。こ
のため、不定形耐火物を構成する耐火物骨材の組み合わ
せで、これらアルミナセメントの課題をカバーする手法
が取られている。
【0006】最近、スラグやメタルに対する耐食性を向
上させる目的でマグネシアなどの塩基性骨材を配合する
技術が提案された(特開平 5− 97526号公報や特開平 7
−215771号公報など)。しかしながら、塩基性骨材を配
合した不定形耐火物は、混練り時、添加水により硬化体
が消化してクラックが発生したり、塩基性骨材から溶出
するMgイオン等の、アルミナセメントの硬化促進剤とし
て機能する可溶性成分のために流動性が低下し、施工時
の可使時間が短くなり、ミキサーやホッパー内で硬化す
るなどの課題があった。そこで、塩基性骨材の消化を抑
制する方法として、難溶性リン酸塩を使用する方法、非
晶質シリカ粉末を使用する方法、及びホウ砂やホウ酸を
使用する方法などが提案された(特開昭57−129881号公
報、特開昭58− 99177号公報、及び特開昭61−291465号
公報等)。しかしながら、これらの方法は溶湯を汚染す
る、耐火物に低融点化合物が生成し強度や耐食性が低下
する、及び容積安定性が悪くなるなどの課題があり、さ
らに、消化抑制効果が十分でないため、安価で溶湯の汚
染等の課題の無いアルミナセメントや水硬性アルミナを
バインダーとして使用することは困難であった。
【0007】また、アルミナセメントあるいは水硬性ア
ルミナとオキシカルボン酸の多価金属塩を併用して消化
を抑制し、強度に優れた不定形耐火物を得る方法が提案
された(特開平 7−206531号公報)。しかしながら、オ
キシカルボン酸の多価金属塩とこれらのバインダー、特
に、アルミナセメントを併用した場合、オキシカルボン
酸の多価金属塩から多価イオンが溶出すると不定形耐火
物は凝集しやすくなり、混練り時の流動性が低下し、施
工時の可使時間が短くなる課題があった。
【0008】本発明者は、これらの課題を解決するため
種々検討を重ねた結果、特定の不定形耐火物を使用する
ことによって前記課題が解決できる知見を得て本発明を
完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アルミ
ナセメント2〜10重量部、アルミナ質骨材80〜95重量
部、及びマグネシア質骨材3〜10重量部、並びに、アル
ミナセメント、アルミナ質骨材、及びマグネシア質骨材
の合計 100重量部に対して、超微粉0.1 〜5重量部、塩
基性乳酸アルミニウム0.1 〜5重量部、分散剤0.01〜0.
5 重量部、及び硬化調整剤0.01〜0.5 重量部を含有して
なる不定形耐火物であり、アルミナセメント、アルミナ
質骨材、及びマグネシア質骨材の合計 100重量部に対し
て、0.01〜0.5 重量部のカルボン酸類及び/又はアルカ
リ金属炭酸塩からなる添加剤を含有してなる不定形耐火
物であり、アルミナセメントが、CaO ・ Al2O3 と、CaO
・2Al 2O3 及び/又は12CaO ・7Al2O3 の鉱物組成を含有し
てなるクリンカーと、α−アルミナとを含有する不定形
耐火物であり、CaO ・ Al2O3 50〜75重量部とCaO ・2Al 2O
3 50〜25重量部の鉱物組成を含有してなるクリンカー
と、α−アルミナとを含有する不定形耐火物であり、α
−アルミナのBET比表面積が1〜10m2/gで、かつ、平
均粒子径が1〜10μmである不定形耐火物であり、アル
ミナセメント100重量部中のα−アルミナが5〜80重量
部である不定形耐火物である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明で使用するアルミナセメントは、ア
ルミナセメントのクリンカーとα−アルミナを含有する
ものである。ここで、アルミナセメントのクリンカーと
は、鉱物組成として、CaO ・Al2O3(CA) 、CaO ・2Al2O3
(CA2) 、及び12CaO ・7 Al2O3(C12A7)のいずれか一種又
は二種以上を含有するものであり、そのうち、CAとCA2
を含有するものが好ましく、その割合が、CA50〜75重量
部、CA2 50〜25重量部から構成されるものがより好まし
い。
【0012】クリンカーは、石灰石や生石灰などのCaO
原料と、赤ボーキサイト等の天然原料をバイヤープロセ
ス等の精製法により精製して得られた高純度アルミナや
ボーキサイト等のAl2O3 原料とを、所定の成分割合にな
るように配合し、電気炉、反射炉、縦型炉、平炉、シャ
フトキルン、及びロータリーキルン等の設備で、溶融及
び/又は焼成して得られるクリンカーを粉砕したもので
ある。本発明の目的とする鉱物組成を得るには、一時に
合成する方法、CA、CA2 、及びC12A7 各単一鉱物を所定
の割合に配合する方法などがある。焼成法で本発明のク
リンカーを製造する場合、Al2O3 原料とCaO 原料を所定
の割合で混合及び/又は混合粉砕し、ロータリーキルン
にて1,000 ℃以上の高温で焼成するのが好ましく、1,45
0 ℃以上で焼成することがより好ましい。焼成方法にお
いては、原料の粒度調整、焼成温度、焼成時間、及び冷
却速度が、所定の鉱物組成を得るための管理ポイントで
ある。また、溶融法で本発明品を製造する場合、鉱物組
成が成分比で熱力学的に決定されるため、CaO-Al2O3
二成分系状態図より、目的とする鉱物組成になるように
原料を配合することが好ましい。配合した原料を、電気
炉や平炉などの溶融装置によって、1,500 ℃以上、より
好ましくは1,700 ℃以上の高温で溶融後、高圧空気や水
に接触させて冷却したクリンカーとするのが好ましい。
【0013】本発明における鉱物組成の含有割合は、Cu
−Kα線を用いたX線回折分析によって分析可能であ
る。X線回折法による鉱物組成の定量方法として、回折
線の強度比測定法、内部標準法、Zevin 法、及びX線回
折ピーク分離法等があり、本発明においてはいずれの方
法でも定量可能である。ここでいう回折線の強度比測定
法は、各鉱物の回折強度を相対的に現した値で示すもの
であり、内部標準法とは、内部標準物質と試料を一定の
割合で混合し、成分濃度と回折線強度比との間には直線
関係が得られることを利用して、濃度が既知の標準試料
で検量線を作成し分析する方法である。また、Zevin 法
とは、試料の平均質量吸収係数と回折線強度比を測定
し、n次の連立方程式を解くことにより各結晶相を定量
する方法であり、平均質量吸収係数は蛍光X線分析法又
は化学分析によって、試料の成分を定量し、算出するこ
とができる。ここでいう回折強度比とは、CAのdが4.6
7、CA2 のdが4.45、及びC12A7 のdが4.89の回折線の
強度比である。この他、X線回折ピーク分離法でも定量
可能であって、この方法は試料の結晶やガラス相から測
定するものである。本発明においてはいずれの方法を使
用しても、鉱物組成やガラス化率を定量することが可能
であるが、測定が簡単で、精度が良いZevin 法又は回折
線の強度比測定法の使用が好ましい。クリンカーのガラ
ス化率は特に限定されるものではないが、一般にガラス
化率が高いと水硬性が強くなり高強度の硬化体が得られ
る。ガラス化率は、溶融及び/又は焼成した高温のクリ
ンカーを冷却する程度により調整可能であり、急冷する
とガラス化率が高くなる。このガラス化率は、粉末X線
回折による鉱物組成の分析で測定可能で、その程度は、
回折線の強度が弱いもの程ガラス化率が大きいことを示
す。
【0014】クリンカーのブレーン比表面積は、流動
性、硬化性、及び強度発現性に関するので、目的特性を
得るためアルミナセメントの重要特性である。粉砕した
クリンカーの粒度は、ブレーン法による比表面積で、3,
000cm2/g以上が好ましく、4,000cm2/g以上がより好まし
く、4,500 〜8,000cm2/gが最も好ましい。3,000cm2/g未
満では強度が低下し、流動性が低下する可能性がある。
また、平均粒子径としては、1〜10μmが流動性に優
れ、適当な可使時間がとれるため好ましく、2〜7μm
がより好ましい。1μm未満では強度発現性や流動性が
低下する傾向があり、10μmを越えると流動性が低下し
たり、硬化遅延する傾向がある。ここでいう平均粒子径
とは、レーザー回折法やレーザー散乱法、あるいは沈降
天秤法等の一般的に使用されている粒度分布測定機によ
る粒度測定結果の値であって、50%平均径である。
【0015】また、クリンカーとしては、CA、CA2 、及
びC12A7 の鉱物組成の他に、原料から混入する不純物に
より生成する、2CaO・Al2O3 ・SiO2、CaO ・TiO2、及び
4CaO・Al2O3 ・Fe2O3 等と示される鉱物組成を含有する
ものも使用可能である。アルミナセメント中の不純物は
少ない方が好ましく、SiO2が0.5 重量%以下、TiO2が0.
5 重量%以下、及びFe2O3 が0.5 重量%以下であること
が好ましく、特に、イグロス、CaO 、及びAl2O3 以外の
化学成分は、各成分とも0.1 重量%以下で、より少ない
ものが好ましい。これら不純物が多いと不定形耐火物に
使用した際、高温での硬化体の体積変化が大きくなり、
またスラグなどへの耐食性が低下するため好ましくな
い。また、アルミナセメントの特性を損なわない範囲
で、未反応の、CaO やAl2O3を少量含有していても良
い。未反応のCaO は2重量%以下が、また、未反応のAl
2O3 は10重量%以下程度が好ましく、CaO が1重量%以
下、Al2O3 が5重量%以下がより好ましい。未反応原料
がクリンカー中に存在すると、混練り時にCaイオンが溶
出したり、フィラーとして存在することで、流動性が悪
化したり、可使時間が短縮したりして、硬化が早くなっ
たり、強度発現性の低下や高温下での体積安定性が悪く
なる傾向がある。これらのクリンカーの粉砕・混合は、
クリンカー同士を混合後、粉砕しても良く、あるいは、
各々粉砕したものを混合しても良く、特に目的の鉱物組
成比にする手段は制限されるものではない。クリンカー
の粉砕には、通常、粉塊物の微粉砕用に使用される、例
えば、ローラーミル、ジェットミル、チューブミル、ボ
ールミル、及び振動ミル等の粉砕機の使用が可能であ
る。
【0016】本発明で使用するα−アルミナとは、クリ
ンカーと配合してアルミナセメントとするもので、高耐
火性、高温強度発現性、及び体積安定性を付与するもの
であり、バイヤープロセス等によって高純度化処理され
た水酸化アルミニウムをロータリーキルンで焼成して得
られる精製アルミナであって、一般には、高純度アルミ
ナ、バイヤーアルミナ、易焼結アルミナ、及び軽焼アル
ミナ等と呼ばれるものである。α−アルミナの純度は、
通常のバイヤープロセスによって製造されたアルミナで
あれば、Al2O3 90重量%以上程度の純度は確保可能であ
り、98重量%以上がより好ましい。Al2O3 の純度は高け
れば高いほど好ましいが、90重量%以上あれば十分であ
る。配合するα−アルミナの種類によって、アルミナセ
メントの特性が大きく変化するため、α−アルミナの選
択は重要である。
【0017】特に、本発明においては、組み合わせるク
リンカーとα−アルミナとの相互作用によって特性を発
揮でき、組み合わせるα−アルミナは、平均粒子径で1
〜10μm、BET法による比表面積で1〜10m2/gの範囲
のものが好ましい。通常、この一次粒子径は、バイヤー
プロセスにおける水酸化アルミニウムの析出速度に関連
し、析出速度を遅くすると大径のものが得られ、逆に早
くすると小径のものが得られる。本発明では、α−アル
ミナの平均粒子径が1〜10μmであることが好ましく、
2〜7μmがより好ましい。1μm未満では強度発現性
や流動性が低下する傾向があり、10μmを越えると流動
性が低下したり、硬化遅延する傾向がある。焼成度は、
比表面積が大きいものほど軽焼タイプのアルミナである
ことを示し、高温下で使用した際、焼結性に優れるが収
縮が大きくなる課題も有する。比表面積が大きいとアル
ミナセメントの流動性が低下し、逆に小さいと流動性が
向上する傾向を示す。また、比表面積が大きいと不定形
耐火物に配合した際、高温での焼結性は向上するもの
の、流動性が低下し、収縮も大きくなる傾向を示す。比
表面積が小さいアルミナを配合したものは、逆の傾向を
示す。本発明で使用するα−アルミナは、BET法の比
表面積が1〜10m2/gであることが好ましく、5〜8m2/g
がより好ましい。従って、本発明に配合するアルミナの
選択は、アルミナセメントの特性を大きく左右するた
め、慎重に行うべきであり、不定形耐火物に配合した際
の要求品質に応じて、適宜決定すべきものであるが、流
動性、硬化性、強度発現性、収縮率、及び耐スポーリン
グ性の面から、平均粒子径が1〜10μmであり、焼成度
がBET法の比表面積で1〜10m2/gのアルミナの使用が
好ましい。また、α−アルミナの純度は、通常のバイヤ
ープロセスによって製造されたアルミナであれば、アル
ミナ98重量%以上の確保が可能である。本発明ではアル
ミナの純度は高いことにこしたことはないが、98重量%
以上あれば十分である。本発明においては、アルミナの
純度の他に不純物としてのNa2O量が問題であり、Na2Oが
多いとアルミナセメントの流動性が低下したり、耐火性
が低下したり、高温で収縮したりする場合があり、Na2O
量は少ない方が好ましく、0.5 重量%以下が好ましく、
0.35重量%以下の低ナトリウムタイプのものがより好ま
しい。本発明においては、クリンカーとα−アルミナと
を配合し、粉砕機で混合粉砕するか、α−アルミナを単
独で平均粒子径1〜10μm、BET法の比表面積で1〜
10m2/gまで粉砕後、クリンカー粉砕物と混合することも
可能である。本発明では、α−アルミナをクリンカーと
混合粉砕した方がセメント粒子との馴染みが良く、ま
た、アルミナセメント中に均一に混合されるため、不定
形耐火物に使用した際、硬化体組織が均一になり、耐食
性が向上する傾向がある。α−アルミナの使用量は、ク
リンカーとα−アルミナからなるアルミナセメント100
重量部中、5〜80重量部であり、30〜50重量部が好まし
い。80重量部を越えると耐火性や高温での焼結強度は増
加するが、養生強度や乾燥強度が低下し、流動性も低下
する傾向があり、5重量部未満では逆の傾向を示す。特
に、α−アルミナを配合した後の成分割合が、CaO 15〜
25重量%、Al2O3 85〜75重量%になるように調合するこ
とが重要である。特に、本発明においては、CaO 17〜22
重量%、Al2O3 83〜78重量%、及び残部はイグロスと不
純物の範囲になるように調合したものが、流動性が良好
で、高強度発現性が得られることから好ましい。
【0018】本発明で使用するアルミナセメントは、ク
リンカーとα−アルミナを含有するものであるが、その
使用量は、アルミナセメント、アルミナ質骨材、及びマ
グネシア質骨材の合計(以下キャスタブル組成物とい
う)100 重量部中、2〜10重量部である。2重量部未満
では流動性が低く、可使時間が短く、強度発現性が低下
する傾向があり、10重量部を越えると耐食性が低下する
傾向がある。
【0019】本発明では、アルミナセメントの硬化反応
を遅延させる目的で、カルボン酸類及び/又はアルカリ
金属炭酸塩からなる添加剤をアルミナセメントと併用す
ることは好ましい。添加剤はアルミナセメントと混合す
ることも可能であり、不定形耐火物と混合することも可
能である。
【0020】本発明で使用するカルボン酸類とはカルボ
ン酸又はそのアルカリ塩である。ここで、カルボン酸と
は、オキシカルボン酸であって、具体的には、クエン
酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、
及びサリチル酸等が挙げられ、カルボン酸のアルカリ塩
としては、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム
塩等が挙げられる。これらのうち、クエン酸又はそのア
ルカリ塩、中でもナトリウム塩やカリウム塩の使用が好
ましく、クエン酸ナトリウムの使用が最も好ましい。カ
ルボン酸類の粒度は、アルミナセメントと混和した際、
水に溶解しやすいように、細かければ細かい程好まし
く、100 メッシュ以下が好ましく、200 メッシュ以下が
より好ましい。カルボン酸類の純度は特に限定されるも
のではないが、現在、工業的に精製されているカルボン
酸類の使用が可能であって、純度が80重量%程度以上が
好ましい。中でも、不純物として硫酸塩が0.05重量%以
下のクエン酸又はその塩や、20℃における1重量%水溶
液のpHが7〜10のクエン酸又はその塩を使用すること
が、適当な可使時間を有するためより好ましい。
【0021】本発明で使用するアルカリ金属炭酸塩とし
ては、無機アルカリ金属炭酸塩のいずれも使用可能であ
るが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、及び炭酸水素カリウム等の炭酸アルカリ金属塩の
使用が好ましく、その含水塩や無水塩のいずれの使用も
可能である。これらのうち、炭酸ナトリウムの使用が好
ましく、JIS K 1201、JIS K 8624、及びJIS K 8625で規
定される炭酸ナトリウムが使用可能である。アルカリ金
属炭酸塩(以下炭酸塩という)の粒度は、アルミナセメ
ントと混和した際、水に溶解しやすいように、細かい程
好ましく、100 メッシュ以下が好ましく、200 メッシュ
以下がより好ましい。炭酸塩の純度は特に限定されるも
のではないが、現在、工業的に精製されている炭酸塩の
使用が可能であって、目的とする炭酸塩の純度が80重量
%程度以上のものの使用が好ましい。
【0022】添加剤の使用量は、キャスタブル組成物 1
00重量部に対して、0.01〜0.5 重量部が好ましい。0.01
重量部未満では流動性が低下する傾向があり、0.5 重量
部を越えると硬化遅延や強度発現性が低下する傾向があ
る。
【0023】本発明における添加剤の配合方法は特に限
定されるものではなく、各添加剤を所定の割合になるよ
うに配合し、予め粉砕したクリンカー、及びα−アルミ
ナと、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウタミキ
サー、パン型ミキサー、及びオムニミキサー等の混合機
を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合でクリ
ンカーとα−アルミナに配合後、振動ミル、チューブミ
ル、ボールミル、及びローラーミル等の粉砕機で混合粉
砕することが可能である。
【0024】本発明では、このようにして得られた添加
剤を100 〜400 ℃の温度で加熱したものをアルミナセメ
ントと混合するか、あるいは、一緒に混合したものを加
熱することも可能である。加熱方法としては、粉砕と同
時に加熱する方法、輸送時の熱風加熱、輸送機の加熱、
及び貯蔵時の加熱等が可能である。本発明のアルミナセ
メントは、ICP、ICPA、GC−MS、C13−NM
R、HPLC、及びFT−IR等の機器分析やキレート
分析、放射化分析法等で種類と量比を特定化することが
可能である。
【0025】本発明の不定形耐火物は、アルミナセメン
ト、アルミナ質骨材、及びマグネシア質骨材からなるキ
ャスタブル組成物 100重量部に対して、超微粉0.1 〜5
重量部、塩基性乳酸アルミニウム0.1 〜5重量部、分散
剤0.01〜0.5 重量部、及び硬化調整剤0.01〜0.5 重量部
を含有してなるものである。
【0026】本発明で使用するアルミナ質骨材(以下Al
2O3 骨材という)とは、通常、不定形耐火物に使用され
ているもので、具体的には、溶融アルミナ、焼結アルミ
ナ、軽焼アルミナ、及び易焼結アルミナ等であり、水酸
化アルミニウムや仮焼アルミナなどのAl2O3 原料を、ロ
ータリーキルン等の焼成装置や電気炉等の溶融装置によ
って、焼結及び/又は溶融したものを、所定のサイズに
粉砕し、篩い分けしたものであって、鉱物組成として
は、α−Al2O3 やβ−Al2O3 などと示される酸化アルミ
ニウムであり、通常、Al2O3 を90重量%以上含有するα
−アルミナの使用が最も好ましい。また、アルミナとジ
ルコニアクリンカーを溶融して得られる耐熱スポーリン
グ性を向上させたアルミナ・ジルコニアクリンカー等の
使用も可能である。Al2O3 骨材は、通常、粒度5〜3m
m、3〜1mm、1mm下、200 メッシュ下、及び325 メッ
シュ下等のサイズのものを、要求物性に応じて配合す
る。Al2O3 骨材の使用量は、キャスタブル組成物 100重
量部中、80〜95重量部であり、85〜90重量部が好まし
い。80重量部未満では容積安定性が劣る傾向があり、95
重量部を越えると耐食性が低下する傾向がある。
【0027】本発明で使用するマグネシア質骨材(以下
MgO 骨材という)とは、溶融マグネシア、焼結マグネシ
ア、天然マグネシア、及び軽焼マグネシア等のマグネシ
アや、溶融マグネシアスピネルや焼結マグネシアスピネ
ルなどのマグネシアスピネルが使用可能である。ここ
で、マグネシアとは、海水法により海水から抽出された
Mg(OH)2 、炭酸マグネシア、天然MgO であるマグネサイ
ト、又は、天然炭酸マグシアをロータリーキルン等で焼
成して得られる焼結マグネシアクリンカー、その焼結マ
グネシアクリンカーを電気炉等で溶融して得られる電融
マグネシアクリンカーを、所定のサイズに粉砕し、篩い
分けしたものであって、MgO の純度が80重量%以上のも
のが不定形耐火物に使用した際、耐食性に優れる面で好
ましく、SiO2やTiO2などの不純物が少ないものが好まし
く、MgO の純度が95重量%以上で、CaO の含有率が2重
量%以下、SiO2の含有率が0.5 重量%以下、B2O3の含有
率が0.5 重量%以下のマグネシアが、耐食性に優れる面
からより好ましい。マグネシアスピネルとは、水酸化マ
グネシウムや仮焼マグネシアなどのMgO 原料と、水酸化
アルミニウムや仮焼アルミナなどのAl2O3 原料とを、所
定の割合になるように調合し、ロータリーキルン等の焼
成装置を用いて、約1,800 〜1,900℃の温度で反応・焼
結させてスピネルクリンカーとしたものや、電気炉等の
溶融装置にて溶融した溶融マグネシアスピネルを、所定
のサイズに粉砕し、篩い分けしたもの、さらには、これ
らを混合したものなどである。マグネシアスピネルクリ
ンカーにおけるMgO /Al2O3 の重量比は、1/1〜0.1
/1が好ましく、0.4 /1〜0.2 /1が不定形耐火物に
配合した際、耐用性に優れる面からより好ましい。この
他、スピネルコーティングしたマグネシア、粒界にチタ
ン酸マグネシウムを含有させたマグネシア、マグネシア
粒子表面にカルシウムアルミネートを生成させたマグネ
シア、塩基性煉瓦に使用される高純度、高嵩密度、及び
粗大結晶粒の特殊なマグネシアクリンカー、並びに、耐
熱スポーリング性を向上させたマグネシア・ジルコニア
クリンカー等の特殊なマグネシアも使用可能である。Mg
O 骨材の使用量は、キャスタブル組成物 100重量部中、
3〜10重量部であり、5〜8重量部が好ましい。3重量
部未満では耐食性が低下する傾向があり、10重量部を越
えると流動性、容積安定性、及び耐消化性が低下する傾
向がある。
【0028】本発明で使用する超微粉とは、粒径10μm
以下の粒子が80重量%以上占める耐火性微粉末であっ
て、平均粒子径が1μm以下で、BET法による比表面
積が10m2/g以上のものが、不定形耐火物に配合した際、
流動性が確保でき、高強度発現性を有するため好まし
い。具体的には、シリカフューム、コロイダルシリカ、
非晶質シリカ、及び微粉アルミナ等が使用可能であり、
そのうち、シリカフューム等のシリカ質の超微粉の使用
が好ましい。超微粉の使用量は、キャスタブル組成物 1
00重量部に対して、0.1 〜5重量部であり、0.5 〜2.5
重量部が好ましい。0.1 重量部未満では耐消化性や強度
発現性が低下し、5重量部を越えると硬化遅延性、強度
発現性、及び容積安定性が低下する傾向にある。
【0029】本発明で使用する塩基性乳酸アルミニウム
(以下乳酸アルミという)は、塩化アルミニウム、硫酸
アルミニウム、及び硝酸アルミニウム等の水溶性アルミ
ニウム塩と、炭酸塩又は炭酸とを反応させて得たアルミ
ナ水和物を、乳酸と反応させて得られるAl2O3 /乳酸モ
ル比0.3 〜2.0 のものであり、一般式Al(OH)3-x(Lac.Ac
id)x・nH2Oで表される多核錯体からなる高分子電解質で
あり、不定形耐火物の爆裂防止材やMgO 骨材の消化防止
材として有効である。乳酸アルミの使用量は、キャスタ
ブル組成物 100重量部に対して、0.1 〜5重量部であ
り、0.5 〜3重量部が好ましい。0.1 重量部未満では耐
爆裂性が低下する傾向があり、MgO 骨材の消化が起こり
やすくなり、5重量部を越えると流動性が低下し、可使
時間が取れなくなる傾向がある。
【0030】本発明で使用する分散剤は、アルミナセメ
ントや骨材を分散させるものであり、具体的には、リン
酸類やポリアクリル酸類が有効である。ここで、リン酸
類としては、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、ピロ
リン酸、及びウルトラポリリン酸又はこれらのナトリウ
ム塩等が挙げられるが、使いやすさの面からナトリウム
塩の使用が好ましい。また、ポリアクリル酸類は、ポリ
アクリル酸又はその塩類でポリアクリル酸ナトリウム、
ポリアクリル酸カリウム、及びポリアクリル酸アンモニ
ウム等が挙げらるが、これらの中で、性能、価格、入手
しやすさ、及び取扱いやすさ等からポリアクリル酸ナト
リウムが最も好ましい。分散剤の使用量は、キャスタブ
ル組成物 100重量部に対して、0.01〜0.5 重量部が好ま
しい。0.01重量部未満では流動性が低下し、可使時間延
長効果が期待できない傾向があり、0.5 重量部を越える
と硬化時間が遅延したり、強度発現性や耐爆裂性が低下
する傾向がある。
【0031】本発明では、硬化体の耐食性、耐消化性、
強度発現性、及び高流動性に優れ、適当な可使時間が取
れる面から、ホウ酸類等を硬化調整剤として使用する。
【0032】本発明で使用するホウ酸類とは、ホウ酸又
はそのアルカリ塩である。ここで、ホウ酸とは、別名ボ
ール酸、正ホウ酸、又はオルソホウ酸と呼ばれる物で、
化学式H3BO4 で表され、ピロホウ酸、テトラホウ酸、及
びメタホウ酸を含有するものである。ホウ酸の製造方法
は特に限定されるものではないが、通常、ホウ酸の原鉱
石に硫酸を加えて加熱分解し、ホウ酸を分離抽出後、精
製して得られる。ホウ酸のアルカリ塩としては、ナトリ
ウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等があって、そ
のうち、ナトリウム塩又はカリウム塩の使用が好まし
く、その含水化合物や無水化合物のいずれの使用も可能
である。ホウ酸類の粒度は、アルミナセメントに混和し
た際、水に溶解しやすいように小さい程好ましい。ま
た、ホウ酸類の純度は特に限定されるものではないが、
現在、工業的に精製されているものの使用が可能であっ
て、ホウ酸類中のBO4 分が80重量%以上のものの使用が
好ましい。硬化調整剤の使用量は、キャスタブル組成物
100重量部に対して、0.01〜0.5重量部が好ましい。0.0
1重量部未満では流動性が低下し、可使時間延長効果が
期待できない傾向があり、0.5 重量部を越えると硬化時
間が遅延し、強度や耐爆裂性が低下する傾向がある。
【0033】さらに、本発明では、不定形耐火物に、ビ
ニロンファイバー、ポリプロピレンファイバー、及び塩
化ビニールファイバー等の有機繊維、窒素ガス発生分解
繊維、並びに、フミン酸類等の爆裂防止材を必要に応じ
て、硬化体乾燥時の爆裂防止の目的で配合することも可
能である。
【0034】本発明の不定形耐火物の製造方法は特に限
定されるものでは無いが、通常の不定形耐火物の製造方
法に準じ、各構成原料を所定の割合になるように配合
し、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウターミキ
サー、パン型ミキサー、及びオムニミキサー等の混合機
を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合で混練
り施工する際、混練り機に直接秤込むことも可能であ
る。
【0035】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに説明す
る。
【0036】実施例1 生成物中の鉱物組成が所定の割合になるようにAl2O3
料とCaO 原料を配合し、ロータリーキルンにより、1,40
0 〜1,600 ℃で焼成して得られたクリンカーをバッチ式
ボールミルで粉砕して、CA60重量部、C12A7 10重量部、
及びCA2 30重量部の鉱物組成を有するクリンカーを製造
した。このクリンカーと、BET比表面積7.0 m2/gで、
平均粒子径4.3 μmになるようにバッチ式ボールミルで
粉砕したα−アルミナとを、アルミナセメント中のCaO
量が18重量%になるように混合しアルミナセメントを調
製した。調製したアルミナセメントとAl2O3 骨材イとを
表1に示すように配合し、さらに、MgO 骨材5重量部、
超微粉α0.5 重量部、乳酸アルミ0.5 重量部、分散剤A
0.10重量部、硬化調整剤0.05重量部、及び水6.0 重量部
を配合し、30℃の恒温室内で、モルタルミキサーを用い
て3分間混練して不定形耐火物を作製し、各物性を測定
した。結果を表1に併記する。
【0037】<使用材料> Al2O3 原料:高純度アルミナ、市販品 CaO 原料 :高純度炭酸カルシウム、市販品 α−アルミナ:市販品、平均粒径50μm、BET比表面
積6.0m2/g Al2O3 骨材イ:市販品、5〜1mm25重量部、1〜0.3mm
30重量部、0.3 mm下15重量部、及び45μm下18重量部の
混合品 MgO 骨材 :マグネシアクリンカー、市販品、粒度 200
mm下 超微粉α :シリカ質超微粉、シリカフューム 乳酸アルミ:市販品、多木化学社製商品名「タキセラム
M160 P」 分散剤A :ポリアクリル酸ナトリウム、市販品 硬化調整剤:ホウ酸類、ホウ酸、市販品
【0038】<測定方法> 鉱物組成:X線回折分析装置で測定したX線回折図をZe
vin 法で定量分析 化学成分:CaO 、Al2O3 、その他はJIS R 2522に準じて
分析 流動性 :3分間混練り後の不定形耐火物を用いて、フ
ローテーブルにより15回タップした後の広がり径をJIS
R 2521に準じて測定 可使時間:不定形耐火物をビニール袋に取り、流動性が
無くなるまでにかかった時間 硬化時間:不定形耐火物を500gポリビーカーに移し取
り、注水から水和発熱のピークまでにかかった時間を白
金測温抵抗体を用い打点記録計により測定。 養生強度:不定形耐火物を4×4×16cmの型枠に突き棒
でスタンピングしながら流し込み、表面をセメントナイ
フで平に整え24時間養生後の圧縮強度 乾燥強度:24時間養生後の硬化体を110 ℃で24時間乾燥
し、室温に放冷後の圧縮強度 焼成強度:乾燥後の硬化体をシリコニット電気炉に入
れ、1,400 ℃まで昇温後、2時間保持し、室温に放冷後
の圧縮強度 寸法変化:24時間養生後の硬化体を基準とした 1,400℃
焼成後の残存線変化率 耐消化性:不定形耐火物を4×4×16cmの型枠に流し込
み、24時間養生した硬化体をオートクレーブで圧力 0.4
9MPa、3時間保持後の重量増加率、なお、重量増加率が
0.2%を越える不定形耐火物は、乾燥時に消化による亀
裂が発生し、実用的ではない。 耐爆裂性:不定形耐火物をφ55×H 50mmの円筒形の型に
流し込み後、20℃で24時間養生した硬化体を 1,000℃に
昇温したシリコニット電気炉内に入れ、爆裂の有無を観
察した。○は爆裂なし、×は爆裂あり 耐食性 :不定形耐火物を4×4×16cmの型枠に流し込
み、24時間養生した硬化体を110 ℃で24時間乾燥後、1,
500 ℃で3時間焼成した供試体につき、回転ドラム侵食
試験装置を用いて、塩基度CaO /SiO2=2.5、全Feが10重
量%のスラグを侵食剤として用い、1時間毎にスラグを
入れ替え、1,000 ℃×5時間の条件で、溶損寸法を測
定。数値が高い程、耐食性が不良であることを示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間がとれ、
適度の硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、及び
焼成強度が得られる。
【0041】実施例2 アルミナセメント7重量部、表2に示すAl2O3 骨材イと
MgO 骨材を配合したこと以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表2に併記する。
【0042】
【表2】
【0043】表2から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間がとれ、
適度の硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、及び
焼成強度や、高耐食性が得られる。
【0044】実施例3 アルミナセメント7重量部、Al2O3 骨材イ88重量部、及
び表3に示す超微粉を配合したこと以外は実施例1と同
様に行った。結果を表3に併記する。
【0045】
【表3】
【0046】表3から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間がとれ、
適度の硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、及び
焼成強度や、高耐食性が得られる。
【0047】実施例4 アルミナセメント7重量部、Al2O3 骨材イ88重量部、及
び表4に示す乳酸アルミを配合したこと以外は実施例1
と同様に行った。結果を表4に併記する。
【0048】
【表4】
【0049】表4から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、高強度の養生強度
や乾燥強度や、高耐食性が得られる。
【0050】実施例5 アルミナセメント7重量部、Al2O3 骨材イ88重量部、及
び表5に示す分散剤と硬化調整剤を配合したこと以外は
実施例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
【0051】
【表5】
【0052】表5から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間がとれ、
高強度の養生強度、乾燥強度、及び焼成強度や、高耐食
性が得られる。
【0053】<使用材料> 分散剤B :トリポリリン酸ナトリウム、市販品
【0054】実施例6 生成物中の鉱物組成が所定の割合になるように、Al2O3
原料とCaO 原料を配合し、ロータリーキルンにより、1,
400 〜1,600 ℃で焼成して得られたクリンカーをバッチ
式ボールミルで粉砕して表6に示すクリンカーを製造し
た。このクリンカーと、BET比表面積7.0 m2/gで、平
均粒子径4.3 μmになるようにバッチ式ボールミルで粉
砕したα−アルミナとを、アルミナセメント中のCaO 量
が18重量%になるように混合した。このアルミナセメン
ト 100重量部に対して、添加剤a1.0 重量部と添加剤b
0.8 重量部を配合し、200 ℃で加熱してアルミナセメン
ト組成物を得た。アルミナセメント組成物中のアルミナ
セメント5重量部に対して、Al2O3 骨材ロ90重量部とMg
O 骨材5重量部とを配合してキャスタブル組成物を調製
した。調製したキャスタブル組成物 100重量部に対し
て、超微粉α0.5重量部、乳酸アルミ0.5 重量部、分散
剤B0.05重量部、硬化調整剤0.05重量部、及び水6.2 重
量部を配合して、30℃恒温室にて、モルタルミキサーで
3分間混練りして不定形耐火物を作製し、その物性の測
定を行った。結果を表7に示す。
【0055】<使用材料> 添加剤a:クエン酸ナトリウム、市販品 添加剤b:炭酸ナトリウム、市販品 Al2O3 骨材ロ:市販品、3〜1mm28重量部、1〜0.5mm
17重量部、0.5 〜0.3 mm15重量部、0.3 mm下14重量部、
及び45μm下16重量部混合品
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】表7から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間が取れ、
適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、及び
焼成強度が得られる。
【0059】実施例7 クリンカー60重量部と、表8に示すα−アルミナ40重
量部とを配合したこと以外は実施例6と同様に行った。
結果を表8に併記する。
【0060】
【表8】
【0061】表8から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間が取れ、
適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、及び
焼成強度や、高耐食性が得られる。
【0062】実施例8 クリンカーを用い、クリンカーとα−アルミナを表9
に示すように配合したこと以外は実施例6と同様に行っ
た。結果を表9に併記する。
【0063】
【表9】
【0064】表9から明らかなように、本発明の不定形
耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間が取れ、
適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、及び
焼成強度が得られ、寸法変化も少なく、高耐食性が得ら
れる。
【0065】実施例9 クリンカー60重量部と表10に示す添加剤を配合した
こと以外は実施例6と同様に行った。結果を表10に併
記する。
【0066】
【表10】
【0067】表10から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間が取
れ、適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、
及び焼成強度や、高耐爆裂性、高耐食性が得られる。
【0068】実施例10 クリンカー60重量部と、添加剤a/添加剤bの重量比
5/4の割合の添加剤とを表11に示すように配合した
こと以外は実施例6と同様に行った。結果を表11に併
記する。
【0069】
【表11】
【0070】表11から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間が取
れ、適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、
及び焼成強度や、高耐食性が得られる。
【0071】実施例11 クリンカー60重量部を使用し、表12に示すアルミナ
セメントを用いたこと以外は実施例6と同様に行った。
結果を表12に併記する。
【0072】
【表12】
【0073】表12から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると、流動性が良く、高強度の養生強
度や乾燥強度や、高耐食性が得られる。
【0074】実施例12 クリンカー60重量部を使用し、表13に示すAl2O3
材ロとMgO 骨材の配合量を用いたこと以外は実施例6と
同様に行った。結果を表13に併記する。
【0075】
【表13】
【0076】表13から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると、高耐食性が得られる。
【0077】実施例13 クリンカー60重量部を使用し、表14に示す超微粉を
用いたこと以外は実施例6と同様に行った。結果を表1
4に併記する。
【0078】
【表14】
【0079】表14から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間が取
れ、適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、
及び焼成強度、高耐消化性、並びに、高耐食性が得られ
る。
【0080】実施例14 クリンカー60重量部を使用し、表15に示す乳酸アル
ミを用いたこと以外は実施例6と同様に行った。結果を
表15に併記する。
【0081】
【表15】
【0082】表15から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると、流動性が良く、高強度の養生強
度、乾燥強度、及び焼成強度、高耐消化性、並びに、高
耐爆裂性が得られる。
【0083】実施例15 クリンカー60重量部を使用し、表16に示す分散剤を
用いたこと以外は実施例6と同様に行った。結果を表1
6に併記する。
【0084】<使用材料> 分散剤C:ヘキサメタリン酸ナトリウム、市販品
【0085】
【表16】
【0086】表16から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると、流動性が良く、可使時間が取
れ、適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、
及び焼成強度や、高耐爆裂性が得られる。
【0087】実施例16 クリンカー60重量部を使用し、表17に示す硬化調整
剤を用いたこと以外は実施例6と同様に行った。結果を
表17に併記する。
【0088】
【表17】
【0089】表17から明らかなように、本発明の不定
形耐火物を使用すると流動性が良く、可使時間が取れ、
適度な硬化時間と、高強度の養生強度、乾燥強度、及び
焼成強度、高耐爆裂性、並びに、高耐食性が得られる。
【0090】
【発明の効果】本発明の不定形耐火物は、アルミナセメ
ント、Al2O3 骨材、及びマグネシアやマグネシアスピネ
ルなどの塩基性骨材を配合し、乳酸アルミを含有してな
る不定形耐火物であって、従来と比べて硬化体の高耐食
性、高耐消化性、高強度発現性、高流動性、及び可使時
間に優れるなどの特徴を有し、アルミナセメントが使用
されている高炉や電気炉を中心とした鉄鋼分野を始め、
焼却炉、セメントキルン、並びに、高強度発現性、高流
動性、及び高耐食性が要求される化学プラントのライニ
ング等に、また、各種耐火材や耐食材などに使用が可能
である。耐火物分野においては、これまでアルミナセメ
ントが使用されてきた高炉や電気炉などの炉周辺に使用
する、吹き付け材、圧入材、及び樋材等の不定形耐火物
や、混銑車、トピード、タンディシュ、取り鍋、及びラ
ンス材、均熱炉、加熱炉、及びコークス炉等の溶銑設備
や製鋼設備、並びに、セメントキルン関連設備等に使用
される耐火物はもちろんのこと、転炉や特殊精錬鍋な
ど、塩基性骨材を使用することにより、従来のアルミナ
セメントを配合した不定形耐火物では施工時の流動性や
硬化後の容積安定性や耐爆裂性などに課題があるため施
工が困難であった部位の不定形化が可能になる。本発明
品を使用したライニング材は、高耐火性、高強度発現
性、及び高耐食性が得られるため、石油精製設備等の耐
食材や耐火材として使用できるばかりでなく、水硬性セ
ラミックス、触媒担体、及び耐食建材等に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 裕智 福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株 式会社大牟田工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナセメント2〜10重量部、アルミ
    ナ質骨材80〜95重量部、及びマグネシア質骨材3〜10重
    量部、並びに、アルミナセメント、アルミナ質骨材、及
    びマグネシア質骨材の合計 100重量部に対して、超微粉
    0.1 〜5重量部、塩基性乳酸アルミニウム0.1 〜5重量
    部、分散剤0.01〜0.5 重量部、及び硬化調整剤0.01〜0.
    5 重量部を含有してなる不定形耐火物。
  2. 【請求項2】 さらに、アルミナセメント、アルミナ質
    骨材、及びマグネシア質骨材の合計 100重量部に対し
    て、0.01〜0.5 重量部のカルボン酸類及び/又はアルカ
    リ金属炭酸塩からなる添加剤を含有してなる請求項1記
    載の不定形耐火物。
  3. 【請求項3】 アルミナセメントが、CaO ・ Al2O3 と、
    CaO ・2Al2O3 及び/又は12CaO ・7Al2O3 の鉱物組成を含
    有してなるクリンカーと、α−アルミナとを含有するこ
    とを特徴とする請求項1又は2項記載の不定形耐火物。
  4. 【請求項4】 アルミナセメントが、CaO ・ Al2O3 50〜
    75重量部とCaO ・2Al 2O3 50〜25重量部の鉱物組成を含有
    してなるクリンカーと、α−アルミナとを含有すること
    を特徴とする請求項1又は2項記載の不定形耐火物。
  5. 【請求項5】 α−アルミナのBET比表面積が1〜10
    m2/gで、かつ、平均粒子径が1〜10μmであることを特
    徴とする請求項3又は4項記載の不定形耐火物。
  6. 【請求項6】 アルミナセメント 100重量部中のα−ア
    ルミナが5〜80重量部である請求項3〜5項のうちの1
    項記載の不定形耐火物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009528972A (ja) * 2006-03-07 2009-08-13 ケルネオ 耐火コンクリート用バインダー、耐火コンクリートの調整、耐火コンクリート及びその製造方法
JP2014214033A (ja) * 2013-04-24 2014-11-17 新日鐵住金株式会社 不定形耐火物の製造方法、及び不定形耐火物
JP2016530205A (ja) * 2013-09-11 2016-09-29 ナバルテック アー・ゲー 酸化アルミニウムに基づく水硬性結合剤系

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