JP3807773B2 - アルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物 - Google Patents
アルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物に関し、特に、従来品にない耐COガス性、耐体積安定性、及び硬化体を長期間暴露した際の硬化体の色調変化が少ない特性を有するものである。
本発明のアルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物は、従来からアルミナセメントが使用されている耐火物分野を中心に、化学プラントのライニング、耐食材料、触媒材料、及び土木建築分野等への利用が可能である。
【0002】
【従来の技術とその課題】
アルミナセメントとは、CaO ・Al2O3 、CaO ・2Al2O3、及び12CaO ・7Al2O3等と示される鉱物組成の水硬性カルシウムアルミネートが主体となるように各種原料を配合し、溶融及び/又は焼成して製造したクリンカーを単独粉砕した水硬性セメント、又はそのクリンカーにアルミナや各種添加剤を配合し粉砕した水硬性セメントであって、原料不純物より、2CaO・Al2O3 ・SiO2、4CaO・Al2O3 ・Fe2O3 、及びCaO ・TiO2等の鉱物を含有したものであり、その特性と化学成分は種々紹介されている(秋山桂一著, セメント・コンクリートの化学;p225〜260,1984、荒井康夫著, セメントの材料化学;p215〜218,1991、耐火物;Vol.29, p368〜374,1977、耐火物;Vol.34, p634〜640,1982、耐火物;Vol.35, p190〜199,1983、及びTrans.J.Br.Ceram.Soc.; Vol.81(2),1982)。
【0003】
また、これらアルミナセメントについては、ヨーロッパを中心に古くから研究が行われており、一般的なアルミナセメントの製造方法、各種鉱物組成の特性、各種添加剤による硬化調整方法、及び不定形耐火物への適用方法等が提案された(T.D.Robson, High Alumina Cements and Concrete;p1〜45,1962 、耐火物; Vol.34, p499〜503,1982、及びChemistry of Cement Clinker(Part1); Symposium held October 7-11,Vol.11968,Tokyo, p349〜365 等)。
【0004】
これらアルミナセメント中のFe2O3 含有量は、通常0.3 重量%以上であって、このアルミナセメントを脱鉄処理することで、Fe2O3 0.2 重量%以下とし、アルカリ蒸気の浸透による膨張・亀裂発生やCOガス浸透による亀裂発生、さらに熱的スポールや衝撃・摩耗により剥離することを解決することが提案された(特開平 7−267744号公報)。
【0005】
また、高炉の寿命延長を目的とした高炉シャフト部壁面などへの吹き付け補修材のバインダーとして、アルミナセメントを使用した場合、高炉内に充満しているCOガスや、アルミナセメントや耐火骨材中の鉄分に起因して、耐スポーリング性や体積安定性が悪いことが判明しており、耐C0ガス性向上のために原材料の低鉄分化処理を行うことが提案された(耐火物、Vol.45(11),p673,1993)。
しかしながら、脱鉄処理してFe2O3 を0.2 重量%以下にしたアルミナセメントを使用しても、アルミナセメント中に含まれる鉄分の酸化形態の差により、耐CO性は充分ではなく、高炉の内張り材等に使用した際、内張り材等の硬化体に体積変化を生じ、クラックが発生したり、硬化体を長時間暴露養生した場合に色調変化を生じてコンクリート打ち継ぎ時に外観が不良となるなどの課題があった。
特に、従来のアルミナセメント中には、原料中の鉄分や粉砕時に混入する鉄分等によって、硬化体を長時間暴露した際、この鉄分の酸化による形態変化に伴って、硬化体が赤く変色するという色調変化の課題があり、土木・建築用途に使用した際、見た目が悪くなり、商品価値が低下するという課題があった。
【0006】
本発明者は、これら課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルミナセメント中に含まれるFe、FeO 、Fe3O4 、及びFe2O3 等の鉄分がその形態の違いによって、COガスや酸素ガスとの反応性が異なり、各種鉄分の形態の中でも、FeとFeO が最も耐C0ガス性と長期暴露時の色調変化防止に影響があり、特に、アルミナセメント中のFeとFeO の含有量を各々0.1 重量%以下にすれば、前記課題が解決できるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、化学成分としてのFeとFeO が各々0.1 重量%以下で、ブレーン比表面積が 2,000 〜 10,000cm 2 /gであるアルミナセメントであり、該アルミナセメントとα-Al2O3とを含有してなり、ブレーン比表面積が 2,000 〜 10,000cm 2 /g であるアルミナセメント組成物であり、該アルミナセメント又はアルミナセメント組成物と、耐火骨材とを配合してなる不定形耐火物である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明に係るアルミナセメントは、CaO ・Al2O3 (CA)、CaO ・2Al2O3(CA2 )、12CaO ・7Al2O3(C12A7 )、CaO ・6Al2O3(CA6 )、3CaO・5Al2O3(C3A5)、5CaO・3Al2O3(C5A3)、及び3CaO・Al2O3 (C3A )等と示される鉱物組成を有するカルシウムアルミネートの他、原料不純物等に起因する2CaO・Al2O3 ・SiO2(C2AS)、4CaO・Al2O3 ・Fe2O3 (C4AF)、CaO ・TiO2(CT)、及びα-Al2O3等を含有したものである。
【0010】
また、本発明に係るアルミナセメント組成物は、鉱物組成として、CA、CA2 、及びC12A7 のうちの二種以上とα-Al2O3とを含有することが好ましく、CA、CA2 、及びα-Al2O3、並びに、CA、CA2 、C12A7 、及びα-Al2O3を含有することが、耐CO性に優れ、色調変化も少ないためより好ましい。
【0011】
アルミナセメントは、石灰石や生石灰などのCaO 原料と、ボーキサイトや赤ボーキサイトなどの天然のAl2O3 原料、これら天然のAl2O3 原料をバイヤープロセス等の精製法で精製して得られた高純度アルミナ、並びに、アルミ残灰等のAl2O3 原料とを配合し、電気炉、反射炉、縦型炉、高炉、平炉、及びキュポラ、並びに、ロータリーキルン、シャフトキルン、及びシャトル窯等の設備で、溶融及び/又は焼成して得られるクリンカーを粉砕して製造することが可能である。
【0012】
また、本発明のアルミナセメント組成物は、耐火度と高温下での焼結性を向上させる目的で、アルミナセメントとα-Al2O3とを含有するものであり、アルミナセメントにα-Al2O3を混合したり、アルミナセメントのクリンカー、α-Al2O3、及び必要に応じ各種添加剤を各々粉砕して混合したり、クリンカー、α-Al2O3、及び必要に応じ各種添加剤混合粉砕して製造することが可能である。
【0013】
本発明のアルミナセメント又はアルミナセメント組成物(以下アルミナセメント類という)中のFeとFeO の含有量を低減する方法としては、鉄分量の少ないCaO 原料やAl2O3 原料などを使用したりする方法、電気炉や反射炉などの溶融法でクリンカーを製造する際に、カーボンライニングした炉内で溶融したり、微粉炭等の還元材を原料に添加することによって、鉄分を還元し、クリンカーとの比重差を利用して、鉄分を炉底に沈降分離させ、上澄み分のみタッピングして鉄分を除去したりする方法や、還元雰囲気にて長時間、溶融及び/又は焼成することでFeやFeO の含有量を減少させる方法等が可能である。
【0014】
さらには、クリンカーを合成する際に、SiO2を少量添加し、選択的に鉄分をガラス相に固溶させることで、より一層耐COガス性の向上や色調を安定化させることが可能である。
【0015】
本発明においては、比較的簡単に鉄分を還元除去しやすい電気炉や反射炉などの溶融法でクリンカーを製造することが好ましく、カーボンライニングした電気炉で製造することが最も好ましい。この場合、溶融保持時間を長くすることで還元状態を持続でき、鉄分除去が容易になる。そのため、原料溶融後、少なくとも10分間以上溶融状態を保持することが好ましく、30分間以上保持することがよりが好ましい。溶融状態を保持することで、FeO 、Fe3O4 、及びFe2O3 等の酸化鉄は還元され、カルシウムアルミネートとの比重差によって炉床に沈降し、クリンカー相からFeやFeO の鉄分を分離除去することが可能となる。
【0016】
さらに、還元材を使用する場合は、原料100 重量部に対し、還元材を5重量部程度以下添加することが可能である。還元材を多量に使用すると還元材がクリンカー中に残存し、アルミナセメント類として不定形耐火物に使用した際、流動性や強度発現性が低下したり、収縮したりする場合がある。
【0017】
さらに、アルミナセメント類中の化学成分は、CaO が15〜40重量%、Al2O3 が60〜85重量%、SiO2が1重量%以下、並びに、FeとFeO が各々0.1 重量%以下が耐CO性に優れるため好ましい。
本発明におけるアルミナセメント類中のFeとFe0 の含有割合は、各々0.1 重量%以下であり、0.05重量%以下がより好ましい。0.1 重量%を越えるとCO雰囲気で使用した際、体積変化が大きく、また、長期間暴露した際に硬化体が色調変化する場合がある。
【0018】
このFeとFeO 含有量は、例えば、次の方法で測定することが可能である。
試料1gを酸化防止のために窒素置換した200 mlの三角フラスコに投入し、臭素−メチルアルコール50mlを加えて、窒素雰囲気中で10分間攪拌し、濾過し、メチルアルコールで洗浄し、残渣は濾紙とともに三角フラスコに入れ、窒素置換後、6規定のHCl 20mlを加え、加熱して溶解して、室温まで冷却し、さらに、水100 ml、H2SO4 、H3PO4 、及び水を重量比で3/3/14の割合で混合した混酸30ml、及びジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム0.5 mlを加え、1/40規定の重クロム酸カリウムで滴定してFeO の含有量を測定することが可能である。
また、濾液と洗浄液を300 mlのビーカーに入れ、6規定のHCl 20mlを加え、約1時間濃縮し、さらに、HClO4 10ml加え、乾固し、6規定のHCl 10mlと温水50mlを加えて濾過し200 mlのメスフラスコで定容し、2,483 Åで原子吸光分析(AAS)で測定しFeを測定することが可能である。
【0019】
本発明における鉱物組成の配合割合は、Cu−K α線を用いたX線回折分析によって分析可能である。
X線回折法による鉱物組成の定量方法として、回折線の強度比測定法、内部標準法、Zevine法、及びX線回折ピーク分離法等があり、本発明ではいずれの方法でも定量可能である。
ここでいう回折線の強度比測定法とは、各鉱物組成の回折強度を相対的に現した値で示すものであり、内部標準法とは、内部標準物質と試料とを一定の割合で混合し、成分濃度と回折線強度比との間には直線関係が得られることを利用して、濃度が既知の標準試料で検量線を作成し分析する方法である。
また、Zevine法とは、試料の平均質量吸収係数と回折線強度比とを測定し、n次の連立方程式を解くことで各結晶相を定量する方法である。ここで、平均質量吸収係数は、蛍光X線分析法又は化学分析によって試料の成分を定量して算出することができる。この他、試料の結晶やガラス相から測定するX線回折ピーク分離法でも定量可能である。
本発明ではいずれの方法でも鉱物組成を定量することが可能だが、測定が簡単で精度が良いZevine法又は回折線の強度比測定法が好ましい。
【0020】
本発明のアルミナセメント類のブレーンの比表面積(ブレーン値)は、JIS R 2521記載の方法によって測定できるもので、流動性、硬化性、及び強度発現性に関与するため重要な管理ポントであって、アルミナセメント類の粒度は、ブレーン値2,000〜10,000cm2/gであり、4,000〜8,000cm2/gが好ましい。2,000cm2/g未満ではアルミナセメント類としての水和活性が低く、強度発現性が低下したり、硬化不良が発生したりする場合があり、10,000cm2/gを越えると水和活性が大きくなりすぎ、流動性が低下して注水後の可使時間が確保できない場合がある。
【0021】
アルミナセメントと配合するα-Al2O3とは、バイヤープロセス等によって高純度化処理された水酸化アルミニウムをロータリーキルン等で焼成して得られる精製アルミナであって、Al2O3 を90重量%以上含有する高純度アルミナであり、一般には、高純度アルミナ、バイヤーアルミナ、易焼結アルミナ、又は軽焼アルミナと呼ばれるものである。
【0022】
また、α-Al2O3の純度は、高ければ高いことにこしたことはないが、通常のバイヤープロセスによって製造されたアルミナであれば、Al2O3 98重量%以上の純度の確保が可能であるので充分である。
本発明で使用するα-Al2O3は、バイヤー法でα-Al2O3を製造する過程で、可溶性Na2Oが少なくなるように、得られた水酸化アルミニウムを充分洗浄し、それを原料として焼成したものであって、ナトリウム分の除去を行ったものであることが好ましい。
可溶性Na2Oとしては、0.1 重量%以下が好ましく、0.05重量%以下がより好ましい。可溶性Na2Oが多くなるとアルミナセメント組成物にした際、Naイオンが硬化促進剤として働き、可使時間や流動性が確保できなくなる場合がある。
また、総Na2Oは少ない方が好ましく、0.5 重量%以下が好ましく、0.35重量%以下の低ナトリウムタイプがより好ましい。総Na2Oが多いとアルミナセメントにした際、流動性や耐火性が低下したり、高温で収縮したりする場合がある。
可溶性SO3 は、その大部分が水酸化アルミニウムを焼成する際に、重油や石炭などの燃料からα-Al2O3中に含まれるものであり、その量は、0.05重量%以下であることがアルミナセメントの品質特性上好ましい。可溶性SO3 の量が多いとアルミナセメントにした際の硬化が遅延する場合がある。
【0023】
本発明では、α-Al2O3のBET比表面積も重要であって、0.3 〜0.8 m2/gが好ましく、0.4 〜0.7 m2/gがより好ましい。BET比表面積が0.3 m2/g未満では不定形耐火物に使用した際の高温での強度発現性が低下する場合があり、0.8 m2/gを越えるとアルミナセメント組成物としての可使時間や流動性が確保できない場合がある。
【0024】
本発明では、BET比表面積が0.3 〜0.8 m2/gのα-Al2O3を使用することが好ましく、BET比表面積0.4 〜0.7 m2/gで、化学成分として、可溶性Na2Oが0.1 重量%以下、可溶性SO3 が0.05重量%以下のα-Al2O3を使用することがより好ましい。
【0025】
α-Al2O3の使用量は、アルミナセメント組成物100 重量部中、10〜50重量部が好ましく、20〜30重量部がより好ましい。α-Al2O3の使用量が多すぎると養生後の強度発現性と流動性が不足する場合があり、少ないと焼結性が不充分で、高温使用時の強度発現性向上効果が充分でない場合がある。
【0026】
さらに、本発明では、アルミナセメント類やそれを用いた不定形耐火物の流動性の改善目的で、通常、不定形耐火物に配合される、例えば、耐火物;33-59,p3〜7,1981、耐火物;3-393,p31 〜34,1981 、及び耐火物;40-5,p270 〜278,1988等に記載されている、硬化遅延剤や硬化促進剤などの添加剤や、流動化剤等を併用することが可能である。
【0027】
硬化遅延剤としては、カルボン酸類、アルカリ金属炭酸塩、ホウ酸類、ポリアクリル酸類、ポリメタクリル酸類、及びリン酸類が挙げられ、そのうち、カルボン酸又はそのアルカリ塩のカルボン酸類の使用が好ましい。
ここで、カルボン酸類としては、オキシカルボン酸類であって、具体的には、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、及びサリチル酸又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等のアルカリ塩等が挙げられる。これらのうち、クエン酸又はそのアルカリ塩、中でもクエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムの使用が好ましい。
カルボン酸類の純度は特に限定されるものではないが、現在、工業的に精製されているカルボン酸類の使用が可能であって、目的とするカルボン酸類の純度が80重量%程度以上が好ましい。中でも、不純物として硫酸塩が0.05重量%以下のクエン酸又はその塩や、20℃における1重量%濃度の水溶液のpHが7〜10のクエン酸又はその塩を使用することは、可使時間に優れるため好ましい。
【0028】
アルカリ金属炭酸塩としては、無機の炭酸塩のいずれも使用可能であるが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩の使用が好ましく、その含水塩や無水塩のいずれの使用も可能である。これらのうち、炭酸ナトリウムの使用が好ましく、JIS K 1201やJIS K 8625で規定される炭酸ナトリウムを使用することが可能である。
アルカリ金属炭酸塩の粒度は、アルミナセメントと混合した際、水に溶解しやすいように、細かいもの程好ましく、100 メッシュ以下、特に、200 メッシュ以下が好ましい。
アルカリ金属炭酸塩の純度は特に限定されるものではないが、現在、工業的に精製されているアルカリ金属炭酸塩の使用が可能であって、目的とする炭酸塩の純度が80重量%程度以上のものの使用が好ましい。
【0029】
ホウ酸類とはホウ酸又はそのアルカリ塩をいう。
ホウ酸は、別名ボール酸、正ホウ酸、又はオルソホウ酸と呼ばれ、H3BO4 で示され、ピロホウ酸、テトラホウ酸、及びメタホウ酸を含有するものである。
ホウ酸の製造方法は特に限定されるものではないが、通常、ホウ酸の原鉱石に硫酸を加えて加熱分解し、ホウ酸を遊離させて分離抽出後精製する方法が行われている。
ホウ酸のアルカリ塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が挙げられ、そのうち、ナトリウム塩又はカリウム塩の使用が好ましく、その含水化合物や無水化合物のいずれの使用も可能である。
ホウ酸類の粒度は、アルミナセメントに混合した際、水に溶解しやすいように小さければ小さいほど好ましい。
また、ホウ酸類の純度は特に限定されるものではないが、現在、工業的に精製されているホウ酸の使用が可能であって、ホウ酸中のBO4 分が80重量%以上のものが好ましい。
【0030】
ポリアクリル酸類としては、ポリアクリル酸又はこれらの塩で、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、及びポリアクリル酸アンモニウム等が挙げられるが、これらの中で、性能、価格、入手し易さ、及び取扱い易さ等からポリアクリル酸ナトリウムの使用が最も好ましい。
【0031】
ポリメタクリル酸類としては、ポリメタクリル酸又はこれらの塩で、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸カリウム、及びポリメタクリル酸アンモニウム等が挙げられるが、これらの中で、性能、価格、入手し易さ、及び取扱い易さ等からポリメタクリル酸ナトリウムの使用が最も好ましい。
【0032】
リン酸類としては、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、及びピロリン酸又はそのアルカリ塩等が挙げられる。
【0033】
また、硬化促進剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウム等の水酸化物や、炭酸リチウム、塩化リチウム、及びクエン酸リチウム等の水溶性リチウム化合物が挙げられ、そのうち水溶性リチウム化合物の使用が硬化促進作用が強い面から好ましい。
【0034】
これら添加剤の使用量は、アルミナセメント類100 重量部に対して、0.5 〜2.5 重量部が好ましく、1.0 〜2.0 重量部がより好ましい。0.5 重量部未満では作業性が低下する場合があり、2.5 重量部を越えると硬化が遅延したり、強度発現性が低下する場合がある。
【0035】
流動化剤は、セメント分散性に優れる界面活性剤を主成分とする混和剤であって、一般には、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩(ナフタレン系)、メラミン樹脂スルホン酸ホルマリン縮合物の塩(メラミン系)、及びオレフィン/マレイン酸共重合物の塩(カルボン酸系)等が使用可能であり、具体的にはβ−ナフタレンスルホン酸高縮合物のナトリウム塩、クレオソート油スルホン酸縮合物のナトリウム塩、β−ナフタレンスルホン酸低縮合物のナトリウム塩、及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
流動化剤の使用量は特に限定されるものではないが、アルミナセメント類と耐火骨材とからなる不定形耐火物100 重量部に対し、5重量部以下が好ましい。
【0036】
添加剤や流動化剤の配合方法は特に限定されるものではなく、添加剤等を所定の割合になるように配合し、あらかじめ粉砕したアルミナセメント類と、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウタミキサー、パン型ミキサー、及びオムニミキサー等の混合機を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合でアルミナセメント類と添加剤等とを配合後、振動ミル、チューブミル、ボールミル、及びローラーミル等の粉砕機で混合粉砕することが可能である。
【0037】
また、本発明では、添加剤等を100 〜400 ℃の温度で加熱し、アルミナセメント類と混合するか、又は、添加剤等とアルミナセメント類とを一緒に混合したものを加熱する方法などが可能である。
加熱方法としては、粉砕と同時に加熱する方法、輸送時に熱風で加熱する方法、輸送機械を加熱する方法、及び貯蔵時に加熱する方法等が可能である。
これらの添加剤は、ICP、ICPA、GC−MS、NMR、HPLC、及びFT−IR等の機器分析、キレート分析、及び放射化分析法等で種類と量比とを特定化することが可能である。
【0038】
本発明で使用する水は特に限定されるものではなく、水道水、工業用水、天然水、及び河川水等一般のコンクリート用として使用される水が使用できるが、Na+ 、K + 、Mg2+、Ca2+、及びCl- 等の可溶性成分の少ない水が好ましい。
水の使用量は目的とする不定形耐火物によって適宜決定され、特に限定されるものではないが、水の使用量が多くなるとブリージングしたり強度発現性が低下する場合がある。そのため、流し込み施工する不定形耐火物では、通常、不定形耐火物100 重量部に対して、2〜20重量部が好ましい。
一般的には、JIS R 2521記載の方法で測定したフロー値が130 〜240 mmになるように水を添加することが好ましい。
【0039】
本発明に使用する耐火骨材は、化学成分としてFeとFeO の含有割合が少ないものが好ましく、特に、FeとFeO が5.0 重量%以下のものを配合することが耐COガス性の面から好ましい。
【0040】
本発明で使用する耐火骨材とは、通常、不定形耐火物に使用されている耐火骨材が使用可能である。具体的には、マグネシア質、マグネシアスピネル質、アルミナ質、カーボン質、及び超微粉等が挙げられ、その他、溶融シリカ、焼成ムライト、酸化クロム、ボーキサイト、アンダルサイト、シリマナイト、シャモット、ケイ石、ロー石、粘土、ジルコン、ジルコニア、ドロマイト、パーライト、バーミキュライト、煉瓦屑、陶器屑、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素、及び窒化珪素鉄等の使用が可能である。
特に、本発明の不定形耐火物では、耐COガス性と耐食性の面から、マグネシア質骨材、マグネシアスピネル質骨材、アルミナ質骨材、カーボン質骨材、超微粉、及びシャモットや炭化珪素等の骨材の中から選ばれた一種又は二種以上の耐火骨材を配合することが好ましい。
また、鉄鋼製造プロセスの溶鋼工程に使用する場合は、スラグ浸透抑制の面から、マグネシア質骨材とアルミナ質骨材の併用又はマグネシアスピネル質骨材とアルミナ質骨材の併用が好ましく、溶銑工程に使用する場合は、電融アルミナや焼結アルミナなどのアルミナ質骨材、カーボン質骨材、超微粉、及び添加剤の併用が好ましい。
【0041】
ここで、マグネシア質骨材とは、海水法で海水から抽出された水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、天然マグネシアであるマグネサイト、及び天然炭酸マグネシウム等をロータリーキルン等で焼成して得られる焼結マグネシアクリンカーを、その焼結マグネシアクリンカーを電気炉等で溶融して得られる電融マグネシアクリンカーを、さらには、焼結マグネシアクリンカーと電融マグネシアクリンカーの混合物等を所定のサイズに粉砕し、篩い分けしたものであって、MgO の純度が80重量%以上のものが不定形耐火物に使用した際、耐食性に優れる面で好ましく、SiO2やTiO2などの不純物が少ないものが好ましく、MgO の純度が95重量%以上であり、CaO が2重量%以下、SiO2が0.5 重量%以下、及びB2O3が0.5 重量%以下のマグネシアが、耐食性に優れる面から好ましい。具体的には、溶融マグネシア、焼結マグネシア、天然マグネシア、及び軽焼マグネシア等が使用可能であり、この他、スピネルコーティングしたマグネシア、粒界にチタン酸マグネシウムを含有させたマグネシア、マグネシア粒子表面にカルシウムアルミネートを生成させたマグネシア、塩基性煉瓦に使用される、高純度、高嵩密度、及び粗大結晶粒の特殊なマグネシア、並びに、耐熱スポーリング性を向上させたマグネシア・ジルコニア等を粉砕した特殊なマグネシアも使用可能である。
【0042】
マグネシアスピネル質骨材とは、水酸化マグネシウムや仮焼マグネシア等のMgO 原料と、水酸化アルミニウムや仮焼アルミナ等のAl2O3 原料とを、所定の割合になるように配合し、ロータリーキルン等の焼成装置を用いて、約1,800 〜1,900 ℃の温度で反応・焼成させたマグネシアスピネルクリンカーを、また、電気炉などの溶融装置にて溶融したマグネシアスピネルクリンカーを、さらには、これらの焼成したものと溶融したものを混合したマグネシアスピネルクリンカーを所定のサイズに粉砕し、篩い分けしたものである。具体的には、溶融マグネシアスピネルや焼結マグネシアスピネルなどが挙げられる。
マグネシアスピネルクリンカーにおけるMgO /Al2O3 モル比は、0.1 /1〜1/1が好ましく、0.2 /1〜0.4 /1が不定形耐火物に配合した際、耐用性に優れる面からより好ましい。
【0043】
アルミナ質骨材とは、水酸化アルミニウムや仮焼アルミナなどのAl2O3 原料を、電気炉等の溶融装置やロータリーキルン等の焼成装置で、溶融及び/又は焼成したものを、所定のサイズに粉砕し、篩い分けしたものであって、鉱物組成としては、α-Al2O3やγ-Al2O3などと示される酸化アルミニウムであり、電融アルミナ、溶融アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アルミナ、及び易焼結アルミナ等と呼ばれるものである。通常、Al2O3 を90重量%以上含有するα-Al2O3の使用が最も好ましい。具体的には、溶融アルミナ、焼結アルミナ、軽焼アルミナ、及び易焼結アルミナ等が挙げられる。
また、アルミナとジルコニアクリンカーとを溶融して得られる、耐熱スポーリング性を向上させたアルミナ・ジルコニアクリンカー等の使用も可能である。
【0044】
カーボン質骨材としては、オイルピッチ、タール、及び鱗状黒鉛等が挙げられる。
【0045】
耐火骨材は各種の粒度を要求物性に応じて配合するもので、耐火骨材の粒度は、通常、5〜3mm、4〜1mm、3〜1mm、1mm下、200 メッシュ下、及び325 メッシュ下(45μm下)等に分けられている。
【0046】
本発明では、耐火骨材として、さらに、粒径が微小の粉体である超微粉を使用することが可能である。
ここで、超微粉とは、粒径10μm以下の粒子が80重量%以上の耐火性微粉末であって、平均粒子径が1μm以下で、BET法による比表面積が10m2/g以上のものが、不定形耐火物に配合した際、流動性に優れ、高強度を有するため好ましい。具体的には、シリカヒューム、コロイダルシリカ、軽焼アルミナ、易焼結アルミナ、非晶質シリカ、ジルコン、炭化珪素、窒化珪素、酸化クロム、及び酸化チタン等の無機微粉が使用可能であり、このうち、シリカヒューム、コロイダルシリカ、及び易焼結アルミナ微粉の使用が好ましい。
特に、低セメントキャスタブルに使用するシリカヒュームは、スラリーにした際のpHが分散性を左右することから重要であって、弱酸性から酸性のものが特に可使時間が確保できる面から好ましい。
【0047】
耐火骨材の使用量は、施工場所によって適宜決定すべきものであり、特に限定されるものではないが、不定形耐火物100 重量部中、50〜99重量部が好ましく、流動性、硬化性、及び強度発現性の面から65〜85重量部がより好ましい。
耐火骨材として超微粉を使用した低セメントキャスタブルでは、アルミナセメント類1〜6重量部、耐火骨材94〜98重量部、及びシリカヒューム5重量部以下とする配合が流動性と可使時間を確保できる面から好ましい。
【0048】
本発明の不定形耐火物の製造方法は特に限定されるものではないが、通常の不定形耐火物の製造方法に準じ、各原料を所定の割合になるように配合し、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウターミキサー、パン型ミキサー、及びオムニミキサー等の混合機を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合で混練り施工する際、混練り機に直接秤込むことも可能である。
【0049】
さらに、本発明の不定形耐火物には、硬化体を乾燥する際に生じやすい爆裂を防止する目的で、金属アルミニウムやシリコン合金などの金属粉末、ビニロン繊維やポリプロピレンなどの有機繊維、窒素含有ガス生成物、及びデキストリン等の爆裂防止剤を必要に応じて配合することも可能である。
爆裂防止剤の使用量は目的とする耐爆裂性に応じて適宜決定すべきもので一義的に決定することはできないが、一般的には、不定形耐火物100 重量部に対して、0.05〜5重量部配合することが可能である。
【0050】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに説明する。
【0051】
実施例1
CaO 原料とAl2O3 原料αとを配合し、電気炉で溶融後、表1に示す溶融保持時間、溶融状態を保持し、低鉄分化処理を行った後、高圧冷却エアーで溶融物を急冷して、CaO 33.1重量%、Al2O3 65.8重量%、SiO20.8 重量%、及びTiO20.1 重量%未満で、表1に示す鉄分の化学成分を持ち、CAとCA2 の鉱物組成を持つクリンカーを合成した。
合成したクリンカーを、アルミナボールを充填したアルミナライニングの中央加工機社製振動ミルにより粉砕して、ブレーン値4,800cm2/gの本発明のアルミナセメントを製造した。
製造したアルミナセメント15重量部と、耐火骨材a85重量部とを配合した不定形耐火物100 重量部に対して、水9.5 重量部を加え、ミキサーで5分間混練り後、流動性としてフロー値、硬化時間、常温強度として養生強度と乾燥強度、高温強度として焼成強度、耐CO性、及び暴露時の色調変化をそれぞれ測定した。測定は全て20℃恒温室内で行った。結果を表1に併記する。
【0052】
<使用材料>
CaO 原料 :市販生石灰
Al2O3 原料α:バイヤー法で製造された高純度アルミナ、市販品、Al2O3 純度99重量%、平均粒子径70μm
耐火骨材a:電融アルミナ、市販品、粒度5〜3mm40重量%、粒度3〜1mm45重量%、1mm下10重量%、及び45μm下5重量%
【0053】
<測定方法>
鉱物組成 :X線回折法を用い、各鉱物組成の回折線の有無から測定
化学分析 :FeO 含有量は、試料1gを酸化防止のために窒素置換した200 mlの三角フラスコに投入し、臭素−メチルアルコール50mlを加えて、窒素雰囲気中で10分間攪拌し、濾過し、メチルアルコールで洗浄し、残渣は濾紙とともに三角フラスコに入れ、窒素置換後、6規定のHCl 20mlを加え、加熱して溶解して、室温まで冷却し、さらに、水100 ml、H2SO4 、H3PO4 、及び水を重量比で3/3/14の割合で混合した混酸30ml、及びジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム0.5 mlを加え、1/40規定の重クロム酸カリウムで滴定してFeO の含有量を測定
また、Fe含有量は、前記濾液と洗浄液を300 mlのビーカーに入れ、6規定の HCl 20mlを加え、約1時間濃縮し、さらに、HClO4 10ml加え、乾固し、6規定のHCl 10mlと温水50mlを加えて濾過し200 mlのメスフラスコで定容し、2,483 Åで原子吸光分析(AAS)で測定
フロー値 :流動性の評価、20℃恒温室内に混練り物を所定時間放置した後、15回タッピングして測定
硬化時間 :温度記録計を用いて、20℃恒温室内に混練り物を放置した際の注水から発熱温度が最大に到達するまでの時間
養生強度 :常温強度、4×4×16cmの型枠に混練り物を入れ、20℃恒温室内で 24時間養生後の圧縮強度
乾燥強度 :常温強度、24時間養生後、さらに、110℃にて24時間乾燥後の圧縮強度
焼成強度 :高温強度、110℃で乾燥後、シリコニット電気炉にいれ、1,000℃で3時間焼成した後、室温まで放冷したものの圧縮強度
耐COガス性:800 ℃に加熱したCOガス気流中に3時間放置した硬化体のクラックの有無を目視で、また、長さ変化計を用いて長さ変化を測定
色調変化 :養生後の硬化体を1ヶ月間暴露した時の色具合の変化有無を目視で観察
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示すように、本発明のアルミナセメントを配合した不定形耐火物は、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も少なく、長期暴露した際の色調変化がないものである。
【0056】
実施例2
CA、CA2 、及びC12A7 をそれぞれ単独に合成し、TiO2が0.1 重量%未満、Fe 0.01 重量%、及びFeO 0.02重量%で、その他の化学成分と鉱物組成が表2に示すように配合したアルミナセメントを使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0057】
【表2】
【0058】
表2に示すように、本発明のアルミナセメントを配合した不定形耐火物は、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も少なく、長期暴露した際の色調変化がないものである。
【0059】
実施例3
表3に示す化学成分となるように、実施例1実験No.1- 3 のクリンカーにα-Al2O3を添加し、粉砕してブレーン値4,800cm2/gとしたアルミナセメント組成物を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
比較のため、市販のアルミナセメントを使用して同様に行った。結果を表3に併記する。
【0060】
<使用材料>
AC−1 :アルミナセメント、鉱物組成CA、CaO 36.5重量%、Al2O3 54.0重量%、SiO2 4.0重量%、TiO2 3.5重量%、Fe 1.1重量%、FeO1.3重量%、ブレーン値4,850cm2/g
AC−2 :アルミナセメント、鉱物組成CA、CA2 、及びα-Al2O3、CaO 25.0重量%、Al2O3 74.5重量%、SiO2 0.5重量%、TiO2 0.1重量%未満、Fe 0.06 重量%、FeO0.2重量%、ブレーン値4,780cm2/g
AC−3 :アルミナセメント、鉱物組成CA、CA2 、C12A7 、及びα-Al2O3、Ca O 26.5重量%、Al2O3 73.0重量%、SiO2 0.5重量%、TiO2 0.1重量%未満、Fe 0.2重量%、FeO0.3重量%、ブレーン値6,200cm2/g
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示すように、本発明のアルミナセメント組成物を配合した不定形耐火物は、従来の市販のアルミナセメントを配合した不定形耐火物に比べて、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も少なく、長期暴露した際の色調変化がないものである。
【0063】
実施例4
溶融保持時間を30Hとし、鉱物組成としてCA、CA2 を持ち、CaO 33.2重量%、Al2O3 65.7重量%、SiO20.8 重量%、及びTiO20.1 重量%未満で、表4に示す鉄分を持ち、表4に示すブレーン値のアルミナセメントを使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
【0064】
【表4】
【0065】
表4に示すように、本発明のアルミナセメントを配合した不定形耐火物は、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も少なく、長期暴露した際の色調変化がないものである。
【0066】
実施例5
Al2O3 原料βを使用し、CaO 36.5重量%、Al2O3 54.1重量%、SiO23.9 重量%、及びTiO23.5 重量%で、表5に示す鉄分の化学成分と、CAとCA2 の鉱物組成を持つクリンカーを合成したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
【0067】
<使用材料>
Al2O3 原料β:ボーキサイト
【0068】
【表5】
【0069】
表5に示すように、本発明のアルミナセメントを配合した不定形耐火物は、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も少なく、長期暴露した際の色調変化がないものである。
【0070】
実施例6
溶融保持時間30時間で、鉱物組成としてCAとCA2 を含有し、化学成分がCaO 31.8重量%、Al2O3 67.4重量%、SiO20.8 重量%、及びTiO20.1 重量%未満のアルミナセメントに、BET比表面積0.6m2/g のα-Al2O3を表6に示すように配合し、実施例1と同様に粉砕して本発明のアルミナセメント組成物を製造した。
アルミナセメントの代わりに製造したアルミナセメント組成物を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表6に併記する。
【0071】
【表6】
【0072】
表6に示すように、本発明のアルミナセメント組成物を配合した不定形耐火物は、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も少なく、長期暴露した際の色調変化がないものである。
【0073】
実施例7
Fe 0.02 重量%でFeO 0.04重量%のアルミナセメント70重量部とα-Al2O330重量部を混合し、表7に示すブレーン値のアルミナセメント組成物を製造した。
アルミナセメントの代わりに製造したアルミナセメント組成物を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表7に併記する。
【0074】
【表7】
【0075】
表7に示すように、本発明のアルミナセメント組成物を配合した不定形耐火物は、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も少なく、長期暴露した際の色調変化がないものである。
【0076】
実施例8
Fe 0.07 重量%でFeO 0.22重量%で、ブレーン値10,000 cm2/gのアルミナセメント70重量部とα-Al2O330重量部を混合したアルミナセメント組成物を用い、6,000 ガウスの日本マグネチック社製電磁石により脱鉄したアルミナセメント組成物を製造した。
アルミナセメントの代わりに製造したアルミナセメント組成物を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表8に示す。
【0077】
【表8】
【0078】
表8に示すように、本発明のアルミナセメント組成物をさらに脱鉄処理することで、耐COガス性が良好で、クラック発生がなく、長さ変化も低減できる。
【0079】
【発明の効果】
本発明はアルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物は、従来品にない耐COガス性と、硬化体を長期間暴露した際の硬化体の色調変化が少ない特性を有するものであり、特に、耐火骨材と組み合わせて不定形耐火物に使用した際、COガス中に放置しても長さ変化が少なく、体積安定性に優れ、高炉を中心に使用可能である。
また、長期間暴露した場合の色調変化も少なく、土木・建築材料としての利用に好ましい。
Claims (3)
- カーボンライニングした電気炉で原料を溶融後、少なくとも10分以上溶融状態を保持して鉄分を還元除去することを特徴とする、対 CO ガス性に優れ、化学成分としてCaO を15〜40重量%、 Al 2 O 3 を60〜85重量%、 SiO 2 を1重量%以下、FeとFeO を各々0.1 重量%以下含み、ブレーン比表面積が2000〜10000cm2/gであるアルミナセメントの製造方法。
- 請求項1記載の製造方法により得られるアルミナセメントとα-Al2O3とを含有してなり、ブレーン比表面積が2000〜10000cm2/gであるアルミナセメント組成物。
- 請求項1記載の製造方法により得られるアルミナセメント又は請求項2記載のアルミナセメント組成物と耐火骨材とを配合してなる不定形耐火物。
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