JPH1081514A - 炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体 - Google Patents

炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体

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JPH1081514A
JPH1081514A JP8253748A JP25374896A JPH1081514A JP H1081514 A JPH1081514 A JP H1081514A JP 8253748 A JP8253748 A JP 8253748A JP 25374896 A JP25374896 A JP 25374896A JP H1081514 A JPH1081514 A JP H1081514A
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calcium
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calcium phosphate
water
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Yoshio Suga
良夫 菅
Teruhiro Sudo
彰宏 須藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体への為害性が低く、安価で、しかも適当
な強度および均一な粒度を有する、広範な分野に利用可
能な炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体
を提供する。 【解決手段】 炭酸カルシウムと水溶性リン酸塩または
その水溶液とを特定の条件下にて反応させることによっ
て生成する、炭酸カルシウムとその外面を覆うリン酸カ
ルシウム系化合物の板状ないし針状結晶層とからなる炭
酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、炭酸カルシウム−
リン酸カルシウム系化合物複合体に関する。さらに詳し
くは、例えば、歯磨の研磨剤、食品添加剤、接着剤用充
填剤、化粧品などに有用で、特徴ある形状と強度を有
し、生体への為害性のない炭酸カルシウム−リン酸カル
シウム系化合物複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、リン酸カルシウム系化合物、
特に水酸化アパタイトやリン酸三カルシウムは生体親和
性が高いことから、インプラント材料などの医療用材料
に広く使用されている。また、近年化粧品原料としても
注目され既に活用され始めているが、医療用材料と同じ
非常に高純度のものが使用されているため、高価な原料
となっている。
【0003】一般的に水酸化アパタイトやリン酸三カル
シウムを製造する場合、湿式法、水熱法、および乾式法
と呼ばれる方法が用いられるが、工業的に大量に生産す
る場合は、主に湿式法が用いられている。湿式法には、
常圧下にて水酸化カルシウムスラリーにリン酸を滴下し
て合成する沈殿法や、リン酸水素カルシウム二水和物と
炭酸カルシウムとを反応させる加水分解法などが知られ
ている(参考文献:Inorganic Materials, Vol.2 No.25
8,393-400 (1995))。
【0004】この湿式法を用いた水酸化アパタイトやリ
ン酸三カルシウムなどのリン酸カルシウム系化合物の製
造は、工業的に大量の生産が可能となるが、生成物の一
次粒度が非常に小さいものとなり、粉体としての取り扱
いが難しいものになり易く、その対策としてスプレード
ライヤーなどの機械を用いて造粒工程を追加したり、高
温での焼結で形状を整えたりしている。造粒されたもの
は粒度は均一になるが、粒子の強度は決して大きいもの
でなく容易に変形したりつぶれたりし、また焼結された
ものは、粉体として使用する場合は、焼結後に微粉砕工
程が必要となり、繁雑でコストの高いものとなっている
のが現状である。
【0005】一方、湿式法による水酸化アパタイトやリ
ン酸三カルシウムの合成において炭酸カルシウムを原料
とすることは、特開昭53−110999号公報、特開
昭59−107912号公報、特開昭62−22301
0号公報、特開昭62−223011号公報、特開昭6
3−107807号公報、特開平1−290513号公
報、特開平3−279204号公報、特開平7−250
5号公報などの公報において提案されているが、これら
は水酸化アパタイトやリン酸三カルシウムそのものの合
成について記述されたものである。また、軽質炭酸カル
シウムの表面がアパタイトで被覆されてなる軽質炭酸カ
ルシウム−アパタイト複合体も提案されているが(特開
平7−118011号公報)、この複合体は軽質炭酸カ
ルシウムの利用分野の拡大を目的として、その耐酸性の
改善、およびpH値の低下をはかったものであり、形
状、強度などの特性について何等開示するところではな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来の湿式法で合成されるリン酸カルシウム系化
合物の有する欠点を克服して、特徴ある形状と強度を有
し、かつ生体への為害性のないリン酸カルシウム系化合
物、特に炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複
合体を、安価な合成原料から提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
好ましい特性を有するリン酸カルシウム系化合物、特に
炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体を開
発するために鋭意研究を重ねた結果、遂に、湿式法を用
いて炭酸カルシウムに水溶性リン酸類またはその水溶性
塩の水溶液を加えて反応させることにより、特徴的ある
形状と強度を有し、かつ生体への為害性のない炭酸カル
シウム−リン酸カルシウム系化合物複合体が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、炭酸カルシウムを原
料とし、カルシウムとリンのモル比(以下Ca/P比)
が1.5〜3.5になるように水溶性リン酸類またはその
水溶性塩の水溶液を加えて反応させることによって得ら
れ、一次粒子の大きさの平均値が0.1〜5μmで、厚
さの平均値が0.01〜0.1μmのリン酸カルシウム系
化合物の板状ないし針状結晶層で外面が覆われているこ
とを特徴とする炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化
合物複合体を提供するものである。
【0009】本発明によれば、上記のような課題を解決
して、安価で、特徴的な形状と強度を有し、かつ生体へ
の為害性のない炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化
合物複合体を提供できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の炭酸カルシウム−リン酸
カルシウム系化合物複合体は、図1および2に示すよう
に、原料である炭酸カルシウムと、その外面を覆うリン
酸カルシウム系化合物の板状ないし針状結晶層とからな
るものである。しかし、原料の炭酸カルシウムの粒度分
布によっては、その原料粒子全てが反応し、リン酸カル
シウム系化合物の板状ないし針状結晶層だけで成るもの
が、生成物の一部または全てを構成し得る。
【0011】本発明で用いる炭酸カルシウムは特に限定
されるものではなく、平均粒度が0.1〜100μm、
好ましくは1〜30μmであればその形状や起源に関係
なく利用できる。平均粒度0.1μm未満では、反応性
は向上するが、反応時に発生する炭酸ガスの制御が難し
い。また、炭酸カルシウムの粒度が0.1μm以下のも
のを製造するには特殊な粉砕機や、化学反応による製造
工程が必要であり、目的とする低コストの製品を作るこ
とが難しい。一方、100μmを超えると反応性が悪く
なり、目的とするCa/P比まで調整して反応させるこ
とが難しく、リン酸水素カルシウムなどの水酸化アパタ
イトおよびリン酸三カルシウム以外のものが生成し、好
ましくない。炭酸カルシウムとしては、鉱物性の重質炭
酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸カルシウム原
料として使用されている貝殻、珊瑚、卵殻などを粉砕し
た天然炭酸カルシウムなどが例示でき、特には重質炭酸
カルシウム、天然炭酸カルシウムが好ましく、さらに特
には貝殻粉砕物が好適である。
【0012】本発明で用いる水溶性リン酸類は、オルト
リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸など
が挙げられる。その水溶性塩としては、リン酸アンモニ
ウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモ
ニウムなどが挙げられる。
【0013】本願発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシ
ウム系化合物複合体は、原料である炭酸カルシウムの水
性懸濁液に水溶性リン酸類またはその水溶性塩の水溶液
を加え、塩基性領域で常圧下、50〜100℃の温度で
反応させることにより製造することができる。この際、
反応処理後、水洗、ろ過、乾燥などの処理を施してもよ
い。
【0014】さらに製造方法について詳しく説明する。
まず、炭酸カルシウムを水性懸濁液となす、このとき水
100重量部当たり、炭酸カルシウム原料を5〜100
重量部、好ましくは10〜30重量部で用いる。この炭
酸カルシウムの量が少なすぎて低濃度になりすぎると、
生産性が低下し、また多すぎて高濃度になりすぎても水
溶性リン酸類またはその水溶性塩の水溶液の分散性が不
良となり、反応性が低下するので好ましくない。
【0015】この炭酸カルシウムの水性懸濁液に加えら
れる水溶性リン酸類またはその水溶性塩の水溶液につい
ては、原料である炭酸カルシウムと反応し、炭酸カルシ
ウム粒子表面にリン酸カルシウム系化合物の結晶層を生
成するに十分な量と濃度のものを用いることが重要であ
る。このときのCa/P比は1.5〜3.5が、好ましく
は1.6〜2.0が選ばれる。この比が小さすぎると、水
酸化アパタイトやリン酸三カルシウム以外のリン酸カル
シウムが生成し、大きすぎても、粒子表面にリン酸カル
シウム系化合物の板状ないし針状の結晶層の生成が不十
分で、複合体のpHが塩基性となり好ましくない。
【0016】上記条件の塩基性領域については、通常p
H7〜10、好ましくはpH7.5〜9.0の範囲が選ば
れる。このpH値が低すぎるとリン酸水素カルシウムな
どのアパタイト以外のリン酸カルシウムが生成し、また
高すぎると結晶層の生成度合が悪くなるので好ましくな
い。
【0017】反応時における温度および圧力について
は、50℃以下では反応性が悪く効率的ではない。また
本合成反応は水系での反応であり、100℃以上にする
ためには加圧反応器が必要となりコストがかかるためあ
まり好ましくない。
【0018】本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウ
ム系化合物複合体を構成するリン酸カルシウム系化合物
は、従来の湿式法で製造される水酸化アパタイトやリン
酸三カルシウムと比較して、非常に大きな一次粒子を形
成し、原料の炭酸カルシウム表面を覆って特徴ある形状
と強度を有し、かつ製造コストが非常に安くなるため、
本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複
合体は、例えば歯磨の研磨剤など、食品添加剤、接着剤
用充填剤、化粧品などに利用できる。
【0019】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定される
ものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜
変更して実施することが可能なものである。
【0020】実施例1(貝殻粉砕物を原料とした製造
例) 平均粒度20μmの貝殻粉砕物(炭酸カルシウム97%
以上含有)100gを精製水1000mlに懸濁し、攪
拌しながら加温し90℃に保つ。反応時のpHを塩基性
に保ちながらCa/P比が約2.0となるようにリン酸
水溶液を滴下し反応させた後、常法に従って生成したも
のを乾燥、必要に応じて粉砕して炭酸カルシウム−リン
酸カルシウム系化合物複合体を得た。
【0021】上記実施例1に従って生成した複合体を、
走査型電子顕微鏡、高性能電界放射型電子顕微鏡、X線
マイクロアナライザーによるリンおよびカルシウムの平
面元素分析、IRスペクトル分析、X線回折チャートな
どで解析した。解析結果を図2〜6に示す。その結果か
ら、生成物が、炭酸カルシウム(貝殻粉末)を核とし、
その周辺に一次粒子の大きさの平均値が0.1〜5μm
で、厚さの平均値が0.01〜0.1μmの水酸化アパタ
イトの板状ないし針状結晶層で覆われている炭酸カルシ
ウム−リン酸カルシウム系化合物複合体であることを確
認した。
【0022】実施例2(重質炭酸カルシウムを原料とし
た製造例) 平均粒度15μmの重質炭酸カルシウム(炭酸カルシウ
ム97%以上含有)100gを精製水1000mlに懸
濁し、攪拌しながら加温し90℃に保つ。反応状態のp
Hを塩基性に保ちながらCa/P比が約1.6となるよ
うにリン酸水溶液を滴下し反応させた後、常法に従って
生成したものを乾燥、必要に応じて粉砕して炭酸カルシ
ウム−リン酸カルシウム系化合物複合体を得た。実施例
1と同様の分析方法で解析した結果、生成物は原料であ
る重質炭酸カルシウムがほとんど反応によって消失し、
微細な核として残留しており、その周辺に一次粒子の大
きさの平均値が0.1〜5μmで、厚さの平均値が0.0
5〜0.1μmの水酸化アパタイトおよびリン酸三カル
シウムの混合物の板状ないし針状結晶層で覆われている
炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体であ
ることを確認した。
【0023】実施例3(軽質炭酸カルシウムを原料とし
た製造例) 平均粒度4μmの軽質炭酸カルシウム(炭酸カルシウム
97%以上含有)100gを精製水1000mlに懸濁
し、撹拌しながら加温し約90℃に保つ。反応状態のp
Hを塩基性に保ちながらCa/P比が約2.5となるよ
うにリン酸水溶液を滴下し反応させた後、常法に従って
生成したものを乾燥、必要に応じて粉砕して炭酸カルシ
ウム−リン酸カルシウム系化合物複合体を得た。実施例
1と同様の分析方法で解析した結果、生成物は原料であ
る軽質炭酸カルシウムが微細な核として残留しており、
その周辺に一次粒子の大きさの平均値が0.1〜1μm
で、厚さの平均値が0.05〜0.1μmの水酸化アパタ
イトの板状ないし針状結晶層で覆われている炭酸カルシ
ウム−リン酸カルシウム系化合物複合体であることを確
認した。
【0024】その他、軽質炭酸カルシウム、卵殻粉砕物
などを原料としても、本発明の範囲の粒度のものを用い
れば、同様の形状を有する炭酸カルシウム−リン酸カル
シウム系化合物複合体を、安定に製造できることを確認
した。
【0025】評価 さらに実施例1および3で得た炭酸カルシウム−リン酸
カルシウム系化合物複合体の機能確認のため、その粒子
強度、歯磨剤での研磨力および細胞毒性などについて試
験評価した。以下に評価の方法および結果を説明する。
【0026】1.複合体粒子強度 実施例1および3で製造した複合体0.1gをガラス板
上にとり、精製水0.2mlと均一に練って試験スラリ
ーを調製する。この試験スラリーの上から同じガラス板
をのせ、荷重をかけながら一定距離(約2cm)を10
往復させる。その後上部のガラス板を外し、試験スラリ
ーを乾燥し、走査型電子顕微鏡(理学電気社製)を用い
て、複合体の表面性状と粒子性状を観察評価した。なお
比較例には、同等の粉体粒度(約20μm)を有する球
形水酸化アパタイトを用いた。評価基準および評価結果
を以下に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示すように、実施例1の粉体は、粉
体表面の性状、粒子の形状とも比較例の粉体と比べて強
度が優れていることが判明した。また、実施例3の粉体
は、荷重による表面のリン酸カルシウム化合物結晶の変
化は少なく、強度は優れているが、粒子形状の変化が大
きいことが判明した。
【0029】2.研磨力 表2に示す研磨剤を配合した各サンプルを下記の歯磨処
方1〜5に基づいて調製し、RDA(Radio Active Den
tine Abrasive)法によりそれらの研磨力を測定した。
また、試験に先立ち各サンプルに用いた研磨剤の平均粒
度をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−70
0(堀場製作所社製)により測定した。
【0030】 処方1 成分 配合量(重量%) 研磨剤(実施例1) 25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ソルビット液 50.0 精製水 21.5 合計 100.0
【0031】 処方2 成分 配合量(重量%) 研磨剤(実施例2) 25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ソルビット液 50.0 精製水 21.5 合計 100.0
【0032】 処方3 成分 配合量(重量%) 球形水酸化アパタイト(市販品A:平均粒度23μm)25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ソルビット液 50.0 精製水 21.5 合計 100.0
【0033】 処方4 成分 配合量(重量%) 不定形水酸化アパタイト(市販品B:平均粒度6μm)25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ソルビット液 50.0 精製水 21.5 合計 100.0
【0034】 処方5 成分 配合量(重量%) 重質炭酸カルシウム(市販品C:平均粒度15μm) 25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ソルビット液 50.0 精製水 21.5 合計 100.0
【0035】前記の製造法に従って製造した処方1〜5
の試料の研磨力(RDA値)を測定した。このRDA値
は、歯磨剤に配合される研磨剤の有する特性(歯の研磨
性とステイン除去)を表わす。RDA値50以下では研
磨性が弱く、歯牙に付着するステインを除去する力が小
さく、歯牙が着色する傾向にある。逆に、150を超え
るものは研磨力が強すぎ、ステインだけでなく歯牙も削
るため好ましくない。米国歯科医師会(ADA)におい
ても、RDA値が100程度の研磨力を有するものが、
比較的歯牙の研磨力が少なく、ステイン除去力もあり適
当であるとしている。すなわち、RDA値として50〜
100のものが好ましいという判断基準がある。測定結
果を以下の表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示すように、実施例1および2の研
磨剤は、RDA値が50〜100で、歯磨剤の研磨剤と
して最適であることが判明した。
【0038】3.細胞毒性 実施例1および2、比較例1および2の研磨剤試料を検
体として、以下に示す方法にて細胞毒性を評価した。ヒ
ト胎児表皮細胞を用い96穴プレートの1wellに、
4000cell/100μlずつ植込み3日間培養す
る。検体は無血清培地に溶解し、最終濃度10000〜
0.61μl/mlの14段階とコントロールを合せて
設定し各濃度6wellずつ行う。6日目に常法に従
い、ニュートラルレッドの色素取込み量を測定する。未
処理コントロールに対して50%細胞傷害を生じる検体
濃度(μl/ml)をNR50値として示し、その値が
大きければ検体の細胞毒性は小さいことを表わす。結果
を以下の表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】表3に示すように、実施例1および2の細
胞毒性は、すでに使用実績のある比較例1および2の試
料と同等であり、生体への為害性がないことが判明し
た。
【0041】以上表1〜3に示すように、特徴ある表面
形状を有する本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウ
ム系化合物複合体は、一次粒子の大きさの平均値が平均
0.1〜5μmで、厚さ平均0.01〜0.1μmであ
り、その一次粒子で覆われた炭酸カルシウム−リン酸カ
ルシウム系化合物複合体は、従来の水酸化アパタイトと
比較して高い強度を有する一方で、生体への為害性がな
く、歯磨剤に配合した場合、良好な研磨力を呈する炭酸
カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体である。
【0042】
【発明の効果】本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシ
ウム系化合物複合体は、従来のリン酸カルシウム系化合
物の持つ欠点を克服し、安価な合成原料から、特殊なあ
る形状と強度を持ち生体への為害性がないため、幅広い
範囲への応用が可能となる。例えば歯磨の研磨剤の場
合、一般的な歯磨剤の持つ研磨剤配合量まで、従来の方
法で製造された水酸化アパタイトを配合することは難し
く、たとえ配合できても、歯磨剤の水分を水酸化アパタ
イトが吸収し固化させたり、歯磨剤として必要な研磨力
がないなどの問題があったが、これらが可能となる。ま
た、粉体として取り扱いやすいため、食品添加剤、接着
剤用充填剤、化粧品などにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム
系化合物複合体断面の粒子構造を示す図面に代わる走査
型電子顕微鏡写真である。
【図2】 本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム
系化合物複合体の粒子構造を示す図面に代わる走査型電
子顕微鏡写真である。
【図3】 本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム
系化合物複合体断面の、高性能電界放射型電子顕微鏡写
真およびX線マイクロアナライザーによるリンの平面元
素分析チャートである。
【図4】 本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム
系化合物複合体断面の、高性能電界放射型電子顕微鏡写
真およびX線マイクロアナライザーによるカルシウムの
平面元素分析チャートである。
【図5】 本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム
系化合物複合体のIR分析チャートである。
【図6】 本発明の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム
系化合物複合体粉末のX線回折チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A23L 1/304 A23L 1/304

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸カルシウムと、その外面を覆うリン
    酸カルシウム系化合物の板状ないし針状結晶層とからな
    ることを特徴とする炭酸カルシウム−リン酸カルシウム
    系化合物複合体。
  2. 【請求項2】 リン酸カルシウム系化合物の板状ないし
    針状結晶層が、平均0.1〜5μmの大きさ、平均0.0
    1〜0.1μmの厚さである請求項1記載の炭酸カルシ
    ウム−リン酸カルシウム系化合物複合体。
  3. 【請求項3】 平均粒度0.1〜100μmの炭酸カル
    シウムと水溶性リン酸類またはその水溶性塩の水溶液と
    を、カルシウムとリンのモル比(以下Ca/P比)が
    1.5〜3.5の条件下にて反応させることによって得る
    ことのできる請求項1または2いずれか1項記載の炭酸
    カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウム系化合物が水酸化アパ
    タイトおよび/またはリン酸三カルシウムであることを
    特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の炭酸カルシ
    ウム−リン酸カルシウム系化合物複合体。
  5. 【請求項5】 炭酸カルシウムが重質炭酸カルシウムで
    ある請求項1〜4いずれか1項記載の炭酸カルシウム−
    リン酸カルシウム系化合物複合体。
  6. 【請求項6】 重質炭酸カルシウムが貝殻粉砕物である
    請求項5記載の炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化
    合物複合体。
JP8253748A 1996-09-03 1996-09-03 炭酸カルシウム−リン酸カルシウム系化合物複合体 Withdrawn JPH1081514A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013043786A (ja) * 2011-08-22 2013-03-04 Ehime Prefecture カルシウム系化合物、カルシウム系化合物の製造方法及び塗工紙
CN116477590A (zh) * 2023-04-19 2023-07-25 广州瑞云材料科技有限公司 碳酸钙核羟基磷灰石壳复合颗粒的制备方法及该复合颗粒

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