JPH107970A - ポリウレタン系印刷インキ用バインダー及びこれを用いた印刷インキ組成物 - Google Patents

ポリウレタン系印刷インキ用バインダー及びこれを用いた印刷インキ組成物

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JPH107970A
JPH107970A JP35534196A JP35534196A JPH107970A JP H107970 A JPH107970 A JP H107970A JP 35534196 A JP35534196 A JP 35534196A JP 35534196 A JP35534196 A JP 35534196A JP H107970 A JPH107970 A JP H107970A
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JP
Japan
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printing ink
binder
polyurethane
molecular weight
number average
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Application number
JP35534196A
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English (en)
Inventor
Sumiichi Yamazaki
純市 山崎
Shin Konishi
伸 小西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Polyurethane Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Polyurethane Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 あらゆるプラスチックフィルムへの密着性が
良好で、印刷後の加工適性を持ち、経時安定性に優れ、
かつ、環境に優しいポリウレタン系印刷インキ用バイン
ダー及び印刷インキ組成物を提供する。 【解決手段】 数平均分子量1,000〜10,000
で分子内に2個以下の水酸基を含有するポリ(エチレン
−ブチレン)共重合体、数平均分量500〜10,00
0の両末端水酸基含有高分子ポリオール、有機ジイソシ
アネート、短鎖グリコール及び/又は短鎖ジアミンを反
応させて得られるポリウレタン樹脂を印刷インキ用バイ
ンダーの主成分とすることで解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の材料のフィ
ルムに印刷できるポリウレタン系印刷インキ用バインダ
ー及び印刷インキ組成物に関する。更に詳しくは、酸性
雨・地球温暖化等の環境問題からプラスチック容器及び
建装材のプラスチック基材が、ポリ塩化ビニル(塩ビ)
からポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)に
変換する昨今の流れに沿った、即ち脱塩ビに対応した環
境に優しいポリウレタン系印刷インキ用バインダー及び
印刷インキ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から印刷インキ用バインダーとし
て、特にプラスチックフィルムへのグラビア印刷インキ
用バインダーを中心にポリウレタン系のものが用いられ
てきた。特公平5−64192号公報には、分子量が5
00〜4,000の末端に水酸基を有する水素添加型ポ
リブタジエン、又はこれと他の高分子ジオール、脂環族
ジイソシアネート、鎖延長剤、及び必要に応じて末端封
鎖剤から形成されたポリウレタン系印刷インキ用バイン
ダーが記載されている。また、特公平7−2932号公
報には、塩素含有量5〜50重量%の塩素化ポリオレフ
ィン及び塩素含有量5〜50重量%の塩素化ポリジエン
と、1分子中に二重結合と水酸基を少なくとも1個有す
る化合物を反応させて得られる樹脂に1分子中に少なく
とも1個の遊離イソシアネート基を含有するポリウレタ
ン系樹脂を反応させて得られる印刷インキ用バインダー
が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のポリウ
レタン系印刷インキ用バインダーは、耐ブロッキング
性、ラミネート加工適性、耐ボイル・レトルト適性は十
分満足できたが、ポリオレフィンフィルムに対する密着
性が不十分であった。また、水素添加型ポリブタジエン
等の炭化水素系樹脂を導入したポリウレタン系印刷イン
キ用バインダーは、炭化水素系樹脂の官能基数が2より
大きく約2.3程度あるため、製造に当たって無理に分
子量を大きくしようとするとゲル化してしまい、目的と
するバインダーそのものが得られない。このため、得ら
れるポリウレタン系印刷インキ用バインダーの分子量を
小さくせざるを得ず、耐久性の面で不満足であった。
【0004】また、塩素化ポリプロピレン(以後、塩素
化PPと略称する)等の塩素化ポリオレフィン等を導入
したポリウレタン系印刷インキ用バインダーを用いた印
刷インキも上市されているが、このような印刷インキ
は、耐ブロッキング性、ラミネート加工適性、耐ボイル
・レトルト適性、ポリオレフィンフィルムを含めた密着
性は十分満足できるが、経時で脱塩酸反応が起こるた
め、充填容器の腐食や樹脂の着色等、経時安定性に劣
る。また、リサイクル過程や燃焼時において、塩素を含
有しているため塩素ガスや塩化水素ガス発生し、酸性雨
等、環境に悪影響を及ぼす危険性があり、この環境保護
の立場からも塩素を含有しない環境に優しい印刷インキ
用バインダーの開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記事情
に鑑み、汎用的なポリオレフィンフィルムを含めた全て
のプラスチックフィルムへの密着性を十分に満足させ、
かつ、印刷後の加工適性や経時安定性に優れた、環境に
優しいポリウレタン系印刷インキ用バインダーについ
て、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至っ
た。
【0006】即ち、本発明は以下の(1)〜(4)であ
る。 (1)(A)数平均分子量1,000〜10,000で
分子中に0.5〜2個の水酸基を含有するポリ(エチレ
ン−ブチレン)共重合体、(B)数平均分子量500〜
10,000の両末端水酸基含有高分子ポリオール、
(C)有機ジイソシアネート、(D)数平均分子量62
〜500の短鎖グリコール及び/又は短鎖ジアミンを主
成分として得られることを特徴とするポリウレタン系印
刷インキ用バインダー。
【0007】(2)前記(1)記載のポリウレタン系印
刷インキ用バインダーにおいて、水酸基含有ポリ(エチ
レン−ブチレン)共重合体の導入量が、バインダーに対
して重量比で1〜40重量%であるポリウレタン系印刷
インキ用バインダー。
【0008】(3)前記(1)及び(2)記載のポリウ
レタン系印刷インキ用バインダーをインキバインダーの
主成分とすることを特徴とする印刷インキ組成物。
【0009】(4)前記(1)及び(2)記載のポリウ
レタン系印刷インキ用バインダーをインキバインダーの
主成分とする印刷インキ100重量部に対して、硬化剤
としてポリイソシアネートを1〜20重量部添加してな
る二液型印刷インキであることを特徴とする印刷インキ
組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、本発明のポリウレタン系印
刷インキ用バインダーの原料について説明する。本発明
で用いられる(A)数平均分子量1,000〜10,0
00で分子内に2個以下の水酸基を含有するポリ(エチ
レン−ブチレン)共重合体(以後、水酸基含有ポリ(エ
チレン−ブチレン)共重合体と称する)は、エチレンと
ブチレンのラジカル重合や、アニオン重合等のリビング
重合にて得られる。
【0011】本発明で用いられる水酸基含有ポリ(エチ
レン−ブチレン)共重合体のエチレンとブチレンのモル
比は、30/70〜70/30である。エチレンとブチ
レンのモル比が30/70よりエチレンリッチである場
合や、70/30よりブチレンリッチである場合は、結
晶性が大きくなり、密着性の低下や印刷インキで汎用に
用いられる溶剤への溶解性が低下する。
【0012】水酸基含有ポリ(エチレン−ブチレン)共
重合体の数平均分子量は、1,000〜10,000で
あり、特に1,000〜9,000が好ましい。数平均
分子量が、1,000未満の場合はポリオレフィンフィ
ルムへの密着性が低下する。また、10,000を越え
るとウレタン基濃度の低下による耐久性、耐ボイル・レ
トルト適性や、ポリエチレンテレフタレートフィルムや
ナイロンフィルムへの密着性が低下する。
【0013】水酸基含有ポリ(エチレン−ブチレン)共
重合体の水酸基含有量は、1分子当たり0.5〜2.0
個であり、特に0.8〜2.0個が好ましい。水酸基が
0.5個未満の場合は、水酸基含有ポリ(エチレン−ブ
チレン)共重合体がバインダー骨格にほとんど導入され
ず、フリーの状態にあることになる。そのため、極性の
強いポリウレタン成分と非極性のポリ(エチレン−ブチ
レン)共重合体成分の単なるブレンド物となり、経時で
相分離し貯蔵安定性に劣る。また、水酸基が2.0個を
越える場合は、分子量の大きいポリウレタン系印刷イン
キ用バインダーを製造しようとすると、水酸基含有ポリ
(エチレン−ブチレン)共重合体の導入量によってはゲ
ル化が起こる。
【0014】前記水酸基含有ポリ(エチレン−ブチレ
ン)共重合体としては、具体的には例えば米国シェル製
のクレイトンリキッドシリーズのHPVM−1202、
HPVM−2202等がある。
【0015】水酸基含有ポリ(エチレン−ブチレン)共
重合体の導入量は、バインダーに対して1〜40重量%
であり、特に2〜35重量%が好ましい。導入量が1重
量%未満の場合は、ポリオレフィンフィルムへの密着性
が低下する。40重量%を越える場合は、ポリオレフィ
ンフィルム以外のプラスチックフィルへの密着性が低下
する。
【0016】本発明で用いられる前記水酸基含有ポリ
(エチレン−ブチレン)共重合体以外の(B)数平均分
子量500〜10,000の両末端水酸基含有高分子ポ
リオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエー
テルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエ
ーテルエステルポリオール等があり、これらは単独ある
いは2種類以上用いても良い。
【0017】このポリエステルポリオールとしては、公
知のフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、クルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−
シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、
β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタ
ル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマ
ル酸等のジカルボン酸又は無水物等の1種類以上と、エ
チレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3
−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール、ジメチロールヘプタ
ン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー
酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドや
プロピレンオキサイド付加物等の低分子ジオールの1種
類以上との脱水縮合反応から得られる。さらに、ε−カ
プロラクトン、アルキル置換ε−カプロラクトン、δ−
バレロラクトン、アルキル置換δ−バレロラクトン等の
環状エステル(いわゆるラクトン)モノマーの開環重合
から得られるラクトン系ポリエステルポリオール等があ
る。さらに、低分子ジオールの一部をヘキサメチレンジ
アミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等
の低分子ジアミンや低分子アミノアルコールを用いても
よい。(この場合は、ポリエステル−アミド)ポリオー
ルが得られる)
【0018】ポリエーテルポリオールとしては、エチレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフ
ラン等のエポキサイドや環状エーテルのホモポリマーや
コポリマーがある。
【0019】ポリカーボネートポリオールとしては、前
述のポリエステルポリオール源の低分子ジオール、低分
子トリオール1種類以上とジエチルカーボネート、ジフ
ェニルカーボネートとの脱エタノール反応や脱フェノー
ル反応から得られる。
【0020】ポリエーテルエステルポリオールとして
は、前述のポリエーテルポリオールと前述のジカルボン
酸等から得られるコポリオールがある。また、前述のポ
リエステルやポリカーボネートと、エポキサイドや環状
エーテルとの反応で得られるものがある。
【0021】本発明で用いられる(C)有機ジイソシア
ネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート
(以後、2,4−TDIと略称する)、2,6−TD
I、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以
後、4,4′−MDIと略称する)、2,4′−MD
I、2,2′−MDI、1,5−ナフチレンジイソシア
ネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシア
ネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリ
レンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネー
ト、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,
4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニト
ロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′
−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、
3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイ
ソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシ
アネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′
−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テト
ラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(以後、HDIと略称する)、2−メチル−
1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,
5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート(以後、IPDIと略称する)、水素添加トリレ
ンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソ
シアネート(以後、H12MDIと略称する)、水素添加
キシリレンジイソシアネート(以後、H6XDIと略称
する)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネ
ート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイ
ソシアネートや、これらの2種類以上の混合物、これら
の有機ジイソシアネートのアダクト変性体、ビュレット
変性体、ウレトジオン変性体、ウレトイミン変性体、イ
ソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等、公知
のあらゆる有機ジイソシアネートであってもよいが、有
機ジイソシアネート成分における脂肪族ジイソシアネー
ト及び/又は脂環族ジイソシアネートを50〜100モ
ル%含有するものが好ましく、特に80〜100モル%
が好ましい。50モル%未満の場合、インキが黄変しや
すくなり、また、密着性も低下する。上記の有機ジイソ
シアネートの中では、IPDIが最も好ましい。
【0022】本発明で用いられる(D)数平均分子量6
2〜500の短鎖グリコール及び/又は短鎖ジアミンと
しては、前記のポリエステルポリオール源の低分子ポリ
オール及びこれらの混合物があり、低分子ポリアミンと
しては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、
イソホロンジアミン(以後、IPDAと略称する)、メ
ンセンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミ
ン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシ
レンジアミン、ピペラジン等又はこれらの2種類以上の
混合物がある。
【0023】なお、必要に応じて反応停止剤を用いても
よく、反応停止剤としては、メタノール、エタノール等
のようなモノアルコール、エチルアミン、プロピルアミ
ン等のようなモノアミン、モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−
フェニルジプロパノールアミン等のアミノアルコールが
ある。
【0024】本発明におけるポリウレタン系印刷インキ
用バインダーを合成する際の反応触媒としては、公知の
いわゆるウレタン化触媒を用いることができる。具体的
には、ジブチルチンジラウレート(以後、DBTDLと
略称する)、ジオクチルチンジラウレート等の有機金属
化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等
の有機アミンやその塩等が挙げられる。
【0025】本発明のポリウレタン系印刷インキ用バイ
ンダーの合成方法は、公知の方法が用いられる。即ち、
(1)ポリオール成分と有機ジイソシアネートを、水酸
基過剰の条件で所定分子量に達するまで反応させる方法
(ワンショット法)、(2)ポリオール成分と有機ジイ
ソシアネートを、イソシアネート基過剰の条件で反応さ
せ、イソシアネート基含有のプレポリマーを得て、次に
このプレポリマーを低分子グリコールや低分子ジアミン
で鎖延長させて所定分子量に達するまで反応させる方法
(プレポリマー法)等がある。
【0026】また、必要に応じて有機溶剤を用いること
ができる。この有機溶剤は、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン等
の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶
剤、アセトン、メチルエチルケトン(以後、MEKと略
称する)、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシ
クロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、
1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル
系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレ
ングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ系溶剤、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロ
リドン等のイソシアネート基に不活性なものであれば特
に制限はない。また、条件によっては、イソプロパノー
ル(以後、IPAと略称する)のようなアルコール系溶
剤も用いることができる。
【0027】本発明のポリウレタン系印刷インキ用バイ
ンダーの反応装置としては、上記の反応が達成できれば
いかなる装置でもよく、例えば、攪拌装置の付いた反応
釜やニーダー、一軸又は多軸押出し反応装置等の混合混
練装置が挙げられる。本発明のポリウレタン系印刷イン
キ用バインダーの好ましい合成方法は、溶液中でのプレ
ポリマー法である。
【0028】溶液中でのプレポリマー法について、更に
詳しく述べる。ポリウレタン系印刷インキ用バインダー
を製造するに当たって、まず、高分子ポリオールと水酸
基含有ポリ(エチレン−ブチレン)共重合体を混合し、
活性水素基を持たないケトンやエステル、炭化水素系の
溶剤等で適宜希釈する。
【0029】この混合溶液に有機ジイソシアネートを加
え、必要に応じてウレタン化触媒を添加した後、反応温
度を30〜100℃、好ましくは50〜80℃にて、数
時間反応させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリ
マー溶液を合成する。このときのイソシアネート基/水
酸基のモル比(R値)は1.1〜2.5が好ましく、特
に1.5〜2.0が好ましい。
【0030】R値が1.1未満の場合は、最終的に得ら
れるポリウレタン系印刷インキ用バインダーの耐久性や
耐ブロッキング性が低下する。また、R値が2.5を越
える場合は、最終的に得られるポリウレタン系印刷イン
キ用バインダーの溶剤への溶解性や密着性が低下する。
【0031】このようにして得られるイソシアネート基
含有ウレタンプレポリマー溶液に、短鎖グリコールや短
鎖ジアミンのような鎖延長剤及び必要に応じて反応停止
剤を加えて、反応温度を30〜80℃、好ましくは30
〜50℃にて、イソシアネート基が消失するまで鎖延長
反応させることにより、目的とするポリウレタン系印刷
インキ用バインダーが得られる。
【0032】本発明のポリウレタン系印刷インキ用バイ
ンダーの数平均分子量は、ポリスチレン検量線によるゲ
ルパーミエーション(GPC)によって測定されるが、
好ましくは8,000〜100,000であり、特に1
0,000〜50,000が好ましい。数平均分子量が
8,000未満の場合は、耐久性や耐ブロッキング性が
低下する。数平均分子量が100,000を越える場合
は、インキの密着性、流動性、顔料分散性、作業性に劣
る。
【0033】本発明の印刷インキ組成物は、本発明のポ
リウレタン系印刷インキ用バインダーを用いて印刷イン
キを製造する場合は、各種溶剤、各種顔料、必要に応じ
て酸化防止剤、紫外線吸収剤等のような添加剤や塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体や硝化綿等の副バインダーを
添加し、混練、分散して製造される。
【0034】インキ製造装置としては、公知の装置を用
いることができ、例えば、サンドグラインドミル、ボー
ルミル、三本ロール、ペイントシェイカー等が挙げられ
る。
【0035】本発明の印刷インキ組成物には、必要に応
じてポリイソシアネートを硬化剤として添加することが
できる。その添加量は、印刷インキ100重量部に対し
て、1〜20重量部である。ポリイソシアネートして
は、無黄変系ポリイソシアネート、例えば、日本ポリウ
レタン工業製のHDI系ポリイソシアネートであるコロ
ネートHX、コロネートHL、TDI系のコロネート
L、コロネート2030、コロネート2031等があ
り、これらは単独あるいは混合して用いてもよい。
【0036】
【実施例】以下に実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、
例中における部とは重量部、%は重量%をそれぞれ示
す。
【0037】実施例1 攪拌機、温度計、アリーン冷却管、窒素ガス導入管を組
んだ反応装置に、数平均分子量1,000の両末端水酸
基含有の変性ポリカプロラクトン(トーンポリオール2
221、ユニオンカーバイド製)を257部、水酸基含
有ポリ(エチレン−ブチレン)共重合体(HPVM−1
202、シェル製)を180部、トルエンを200部仕
込み、均一に攪拌した。このポリオール溶液にIPDI
を119部仕込み、ウレタン化触媒としてDBTDLを
0.08部仕込み、80度にて4時間反応させて、イソ
シアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液を得た。こ
のプレポリマー溶液に、トルエンを500部、MEKを
420部加え均一にした後、予めIPA280部とIP
DA42部とモノエタノールアミン2部を混合したアミ
ン液を一気に加え、40℃にてイソシアネート基が消失
するまで反応させ、ポリウレタン系印刷インキ用バイン
ダーPU−1を得た。PU−1の固形分は30%、粘度
は3,000cP/25℃、数平均分子量は、21,0
00であった。
【0038】実施例2〜8、10、比較例1〜2 実施例1と同様な装置と反応方法で、表1、2に記載し
た原料、量を使用してポリウレタン系印刷インキ用バイ
ンダーPU−2〜8、10〜12を得た。
【0039】実施例9 反応装置にニーダーを用いて、表2に記載した原料、量
を使用して固形樹脂を合成し、これを溶剤に溶解させて
ポリウレタン系印刷インキ用バインダーPU−9を得
た。
【0040】比較例3 実施例1と同様な反応装置に、クラポールP−3010
(クラレ製)を391部、水酸基含有ポリブタジエン
(Polybd R−45HT、出光石油化学製)を1
20部、トルエンを200部仕込み、均一に攪拌した。
このポリオール溶液にIPDIを67部、DBTDLを
0.08部仕込み、80℃にて4時間反応させ、イソシ
アネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。この
プレポリマー溶液に、予めIPA280部、IPDA2
1部、モノエタノールアミン1部を調製したアミン液を
一気に投入したところ、ゲル化した。
【0041】実施例1〜10、比較例1〜3を表1及び
表2に示す。表1及び表2における使用原料は以下の通
り。 トーンポリオール2221 :変性ポリカプロラクトンジオール 数平均分子量1,000、ユニオンカーバイド製 プラクセル220 :ポリカプロラクトンジオール 数平均分子量2,000、ダイセル化学工業製 クラポールP−3010 :3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピ ン酸から得られるポリエステルジオール 数平均分子量3,000、クラレ製 クラポールP−5010 :3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピ ン酸から得られるポリエステルジオール 数平均分子量5,000、クラレ製 PHA−5000 :1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から得ら れるポリエステルジオール 数平均分子量5,000 HG−PCD−3000 :1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネー トから得られるポリカーボネートジオール 数平均分子量3,000 PPG−2000 :ポリ(オキシプロピレン)グリコール 数平均分子量2,000 PTMG−3000 :ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール 数平均分子量3,000 HPVM−1202 :水酸基含有ポリ(エチレン−ブチレン)共重合体 官能基数=0.97 数平均分子量3,600、シェル製 HPVM−2202 :水酸基含有ポリ(エチレン−ブチレン)共重合体 官能基数=1.98 数平均分子量3,200、シェル製 スーパークロン813A :活性水素基含有塩素化PPのトルエン溶液 固形分=50%、日本製紙製 エピコート828 :ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂 油化シェルエポキシ製 Polybd R−45HT:水酸基含有ポリブタジエン 出光石油化学製 DBTDL :ジブチルチンジラウレート IPDI :イソホロンジイソシアネート MDI :4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート MEK :メチルエチルケトン IPA :イソプロパノール IPDA :イソホロンジアミン MEA :モノエタノールアミン NPG :ネオペンチルグリコール 1,4−BD :1,4−ブタンジオール 実施例9における溶剤量は、固形樹脂合成後に混合溶剤
に溶解させた。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】〔ポリウレタン系印刷インキ用バインダー
経時安定性試験〕PU−1〜12をブリキ缶に充填し、
25℃及び50℃にて1ヶ月保管する。1ヶ月後、缶の
腐食の状態とバインダー溶液の着色の度合いを観察し
た。 評価 缶の腐食に関して ○:腐食が見られなかった ×:腐食が見られた 着色に関して ○:着色が進まなかった ×:着色が進んだ
【0045】〔ポリウレタン系印刷インキ用バインダー
の燃焼試験−環境対応性〕PU−1〜12の溶剤をとば
して得られた5.0gの樹脂分を電気炉にて燃焼させ、
発生するガスをpH=7の蒸留水に溶かし込み、このガ
スの溶解水をpH試験紙にて評価した。pHが小さいほ
ど酸性雨の原因となる可能性が大きいことになる。経時
安定性試験、燃焼試験の評価結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】〔印刷インキ評価〕 実施例11 PU−1を頑丈な容器に以下に示す割合で配合し、配合
量と同量のガラスビーズ(直径1〜1.5mm)を仕込
み、ペイントシェイカーにて1時間分散させてインキ化
し、インキサンプルを得た。
【0048】実施例12〜20、比較例4、5 実施例11におけるPU−1をPU−2〜12に置き換
えること以外は、実施例11と同様の方法でインキサン
プルを得た。
【0049】実施例11〜20、比較例4、5で得たイ
ンキを以下に示すインキ性能試験で評価した。 (1)密着性 各インキをグラビア印刷機にて、印刷速度20m/分、
インキ厚1μになるように、厚さ15μのコロナ放電処
理延伸ポリプロピレン(以後、OPPと略称する)フィ
ルムの放電処理面、厚さ15μのコロナ放電処理ポリエ
チレンテレフタレート(以後、PETと略称する)フィ
ルムの放電処理面、厚さ15μのコロナ放電処理ナイロ
ン(以後、NYと略称する)フィルムの放電処理面に印
刷し、1日放置後、印刷面にセロハンテープを貼り付
け、これを急速に剥がした。
【0050】(2)耐ブロッキング性 各インキをOPPフィルムの放電処理面に上記と同様な
方法で印刷し、1日放置した後、面−裏に重ね、50
℃、80RH%にて24時間、ブロッキングテスターで
5kgf/cm2 の荷重をかけて、耐ブロッキング性を
評価した 評価 ○:剥がすときに全く抵抗なく剥がれ、かつ印刷面の脱落がない △:剥がすときの抵抗がやや大きく、かつ印刷面の脱落が多少見られる ×:剥がすときの抵抗が大きく、かつ印刷面の脱落が見られる
【0051】(3)ラミネート適性 各インキをOPPフィルムの放電処理面に上記と同様な
方法で印刷し、1日放置した後、未処理の未延伸ポリプ
ロピレン(以後、CPPと略称する)フィルムと重ね、
180℃にて2秒、5kgf/cm2 の条件にてヒート
シールした。ヒートシール後1日放置し、15mm幅に
カットし、引張速度200/分にて180°剥離強度を
測定した。密着性、耐ブロッキング性、ラミネート適性
の評価結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】以上説明してきた通り、本発明により経
時安定性に優れ、印刷適性を満足する他、特にポリオレ
フィンフィルムを含めたあらゆる種類のプラスチックフ
ィルムに良好な密着性を示し、耐ブロッキング性、ラミ
ネート適性等の印刷後の加工適性をも満足する、環境に
優しいポリウレタン系印刷インキ用バインダー及び印刷
インキ組成物を提供することが可能になった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)数平均分子量1,000〜10,
    000で分子中に0.5〜2個の水酸基を含有するポリ
    (エチレン−ブチレン)共重合体、(B)数平均分子量
    500〜10,000の両末端水酸基含有高分子ポリオ
    ール、(C)有機ジイソシアネート、(D)数平均分子
    量62〜500の短鎖グリコール及び/又は短鎖ジアミ
    ンを主成分として得られることを特徴とするポリウレタ
    ン系印刷インキ用バインダー。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリウレタン系印刷イン
    キ用バインダーにおいて、水酸基含有ポリ(エチレン−
    ブチレン)共重合体の導入量が、バインダーに対して重
    量比で1〜40重量%であるポリウレタン系印刷インキ
    用バインダー。
  3. 【請求項3】 請求項1及び請求項2記載のポリウレタ
    ン系印刷インキ用バインダーをインキバインダーの主成
    分とすることを特徴とする印刷インキ組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1及び請求項2記載のポリウレタ
    ン系印刷インキ用バインダーをインキバインダーの主成
    分とする印刷インキ100重量部に対して、硬化剤とし
    てポリイソシアネートを1〜20重量部添加してなる二
    液型印刷インキであることを特徴とする印刷インキ組成
    物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5728749B1 (ja) * 2014-03-24 2015-06-03 東洋インキScホールディングス株式会社 印刷インキ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5728749B1 (ja) * 2014-03-24 2015-06-03 東洋インキScホールディングス株式会社 印刷インキ
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